特許第5704005号(P5704005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5704005
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】電球形LEDランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150402BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150402BHJP
【FI】
   F21S2/00 216
   F21S2/00 224
   F21S2/00 219
   F21Y101:02
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-163336(P2011-163336)
(22)【出願日】2011年7月26日
(65)【公開番号】特開2013-26198(P2013-26198A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】久安 武志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大悟
【審査官】 川内野 真介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−151145(JP,A)
【文献】 特開2010−033959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが環状に並べて基板に実装され、環状に配置された前記LEDより内側の前記基板上に前記LEDへ電力を供給するためのコネクタが配置されるとともにこのコネクタに接続されるプラグを通過させるための開口部が前記基板に設けられたLEDモジュールと、
前記LEDモジュールに対して熱的に接続されて前記LEDが発生する熱を放出させる機能を有した基体と、
ドーム形に形成されて前記LEDモジュールを覆って取り付けられるグローブと、
前記LEDが実装された前記基板のおもて面側から前記開口部に係合固定され、前記LEDが出射する光の一部を案内し前記基板の外縁部越しにおもて面側から背面側に向けて出射する導光体と
を備え
前記導光体は、前記開口部の縁に係合するフックを有し、
前記フックは、前記開口部の中心に対して対称の位置に少なくとも1つずつ配置されることを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
前記導光体は、前記基板のおもて面に沿う方向に、前記フックと前記開口部の縁との間に隙間を有している
ことを特徴とする請求項に記載のLEDランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電球用の口金を有した電球形のLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発光効率が向上したことに伴い、照明器具に発光ダイオード(LED)が採用されるようになり、フィラメントを光源とする白熱電球に代わって、LEDを光源とする電球形LEDランプが普及してきている。LEDランプは、LEDが実装された基板を内蔵している。LEDランプは、光源となるLEDが平坦な基板に実装されているので、180度以上の配光角度を得られない。また、LEDが放射する光は、白熱電球のフィラメントが放射する光よりも指向性が強いため、照射野の中心が明るく周囲が薄暗く感じる。
【0003】
このような配光特性を改善するために、LEDが実装されている基板そのものを傾けて側方への配光量を増やしたLEDランプや、プリズムおよびレンズのような光学素子または反射板を内蔵するLEDランプが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9870号公報
【特許文献2】特開2010−62005号公報
【特許文献3】特開2006−156187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LEDが実装されている基板に角度を付けて取り付ける場合、基板を立体的に組み合わせる必要があるとともに、これらの基板それぞれを冷却しなければならない。点灯と消灯によって温度変化が生じるため、基板とその冷却部材との熱伸び量に差が生じると、すべての基板を均等に冷却できなくなることも懸念される。それらを改善するためには、構造が複雑になり、製造単価が上がるため、採用しがたい。
【0006】
また、配光特性を変えるために光学素子や反射板を取り付ける場合、LEDが発生する光を効率よく拡散させるとともに、これらを設けることによって影ができないようにしなければならない。したがって、光学素子や反射板を取り付けることのできる範囲は限られる。これまでに知られているものは、基板にネジで直接固定したり、接着剤で貼り付けたりしている。しかし、光学素子や反射板をネジで基板に固定する場合、部品点数が増えるため好ましくない。また、光学素子や反射板を接着剤で基板に固定する場合、基板の線膨張係数と光学素子や反射板の線膨張係数との差によって、接着面に剪断力が作用する。LEDランプは、光源であるLEDの耐用年数が白熱電球のフィラメントよりも飛躍的に延び、十年以上使用されることが予想されている。そのため、接着剤の経年劣化とともに、繰り返し剪断力が作用することによって、LEDの耐用年数の末期において、接着面が剥離したり接着部が破損することが懸念される。
【0007】
そこで、本発明においては、LEDの配光角度を拡げるための光学部材を取り付ける場合に部品点数を増やすことなく、また、LEDの耐用年数よりも先に破損しない構造を有したLEDランプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態のLEDランプは、LEDモジュールと基体とグローブと導光体とを備える。LEDモジュールは、複数のLEDが環状に並べて基板に実装され、環状に配置されたLEDより内側の基板上にLEDへ電力を供給するためのコネクタが配置されるとともにこのコネクタに接続されるプラグを通過させるための開口部が基板に設けられている。基体は、LEDモジュールに対して熱的に接続され、LEDが発生する熱を放出させる機能を有している。グローブは、ドーム形に形成され、LEDモジュールを覆って取り付けられる。導光体は、LEDが実装された基板のおもて面側から開口部に係合固定され、LEDが出射する光の一部を案内して、基板の外縁部越しにおもて面側から背面側に向けて出射する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態のLEDランプを示す斜視図。
図2図1に示したLEDランプの分解斜視図。
図3図2に示した基板の開口部側を見たLEDランプの中心を通る断面図。
図4図2に示した基板の開口部のコネクタ側の縁に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態のLEDランプ1について、図1から図4を参照して説明する。図1に示すLEDランプ1は、いわゆる電球型の外観を有したLEDランプである。この明細書において、「LED」とは、発光ダイオード(Light-Emitting Diode)以外に発光素子(Light-Emitting Device)も含む。このLEDランプ1は、図2に示すLEDモジュール11と基体12とグローブ13と導光体14とを備える。
【0011】
LEDモジュール11は、図2に示すように円いディスク状に形成された基板111と、この基板上に環状に並べて実装される複数のLED112と、LED112に電力を供給するために基板111の中央部に配置されたコネクタ113と、このコネクタに接続されるプラグ114を通過させるための開口部115とを含む。LED112は、基板111の中心に対して同一円上に24個が等間隔で配置されている。
【0012】
コネクタ113は、環状に配置されたLED112よりも内側で基板111の中心から偏心した位置に取り付けられている。開口部115は、コネクタ113が取り付けられた位置の近傍に設けられている。プラグ114は、基体12の内部に配置される制御基板に接続されている。制御基板には、電源回路や点灯回路が設けられている。
【0013】
基体12は、図2に示すように、放熱体121と絶縁材122と口金123とを有している。放熱体121は、熱伝導性に優れた部材、本実施形態の場合はアルミニウム合金のダイカスト製であり、図3に示すように、LEDモジュール11と熱的に接続される接触面121aを有している。接触面121aは、LED112が実装された範囲の基板111に接触する面積を少なくとも有している。また放熱体121は、LED112が発生する熱を放出させるために外側面に放熱用のフィン121bを等間隔で有している。絶縁材122は、合成樹脂など非導電性の部材で作られ、放熱体121の内部に挿着され、図3に示すようにねじで固定されている。LED112の点灯および消灯を制御する制御基板は、この絶縁材122の内部に保持される。口金123は、白熱電球用のソケットに適合するように形成され、絶縁材122によって放熱体121に対して絶縁されている。この口金123は、制御基板に接続されている。
【0014】
グローブ13は、図3に示すようにドーム形に形成され、LEDモジュール11を覆って取り付けられている。このグローブ13は、基部131とドーム部133とを含む。基部131は、図2および図3に示すように、LEDモジュール11の外周を囲って形成され、放熱体121のフィン121bの先端を通る円錐面に沿った側壁131aと、接触面121aと平行に内側に延びて放熱体121に固定されるフランジ131bとを有している。ドーム部133は、フランジ131bが設けられた側と反対側の基部131の縁131eに接合される。この実施形態において、ドーム部133は、ほぼ半球面に形成されている。射出成型によって合成樹脂で作られるグローブ13の材質と製造過程によっては、半球に少し満たない球面であってもよいし、大円を越える位置まで一体に整形された球面であってもよい。ドーム部133は、基部131の縁131eに対して超音波接合やレーザ接合などによって溶融接合される。
【0015】
導光体14は、図2および図3に示すように、ベース部141と光案内部142とフック143とを備える。ベース部141は、図3および図4位示すように、環状に配置されたLED112の内側の範囲のコネクタ113および開口部115の範囲を除く部分で、基板111のおもて面111fに当接している。光案内部142は、図3に示すように、ベース部141の外周の角と一体につながっており、基板111の外周に向かうに従って基板111から離れる方向に延びている。なお、光案内部142は、LED112から出射された光の一部を基板111の外縁部111a越しにおもて面111f側から背面111r側へ向けて出射することで、LEDランプ1の配光角度を拡げることができるものであれば、その形状や原理は、本実施形態で図示した図2から図4の形状に限定されない。
【0016】
フック143は、図3および図4に示すように基板111の開口部115の縁に対応する位置のベース部141に一続きに形成されており、開口部115を通って基板111のおもて面111f側から背面111r側に向かって延びている。フック143は、開口部115の中心に対して対称の位置に少なくとも1つずつ、本実施形態では、図2および図4に示すように2つずつ並べて配置されている。
【0017】
図3に示すように導光体14が基板111に密着している状態で、フック143の先端は、基板111の背面111rに対して少し離れている。また、図4に示すように、基板111のおもて面111fに沿う方向に、フック143は、開口部115の縁との間にわずかに隙間を有している。このままでは、基板111と導光体14との間には、がた付きが生じることになるので、ベース部141のフック143を除く位置、例えば、コネクタ113および開口部115に対応してベース部141に開けられた貫通部141aと基板111のおもて面111fとの間を接着剤で接続してもよい。
【0018】
以上のように構成された、LEDランプ1は、導光体14がフック143によって係合固定されている。したがって、ビスなどの細かい部品が不要である。また、フック143は、導光体14をLEDモジュール11の基板111に取り付けるときにのみ撓み、導光体14がLEDモジュール11の開口部115に嵌合している状態では、開口部115の縁に対して隙間を有している。その結果、LEDランプ1が使用される間、点灯と消灯を繰り返すことによって生じる温度変化が繰り返されても、フック143そのものは繰返し応力を受けることはない。したがって、LEDの耐用年数の末期になっても、導光体14は、LEDモジュール11から脱落することなく、健全に保持された状態を維持することができる。そして、がたつきを抑えるために使用された接着剤が劣化して剥離しても、導光体14は、フック143で基板111に係合されているので、脱落しない。
【0019】
また、導光体14を基板に係合固定しているフック143は、LED112が環状に並べられた部分よりも内側の基板に形成された開口部115の縁に嵌合している。基板111がLED112の熱によって膨張しても、基板111の中心付近の寸法変化は、軽微なものである。さらに、基板111が膨張すると、開口部115の縁は、フック143から遠ざかる方向に拡がる。したがって、フック143と開口部115の隙間は、実質的にほとんど無くてもよい。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0021】
1…LEDランプ、11…LEDモジュール、111…基板、111a…外縁部、111f…おもて面、111r…背面、112…LED、113…コネクタ、114…プラグ、115…開口部、12…基体、13…グローブ、14…導光体、143…フック。
図1
図2
図3
図4