(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、脂溶性で水への分散性が低く、生体吸収性でも劣るCoQ10を、水に分散させることができ、しかも生体吸収性に優れたCoQ10の経口摂取用組成物に関するもので、種子処理物とコエンザイムQ10を含むことを特徴とする。
【0010】
発明者らは、安全性が高く、しかも簡便かつ経済的に少量の添加量でもCoQ10の生体吸収性を高めることができる物質について鋭意検討した結果、種子処理物を用いた場合、CoQ10の生体吸収性を少量の添加量で著しく高めることができることを見出し、本発明を完成することができた。
【0011】
本発明では使用するCoQ10は酸化型(化学式1)、還元型(化学式2)どちらでも使用できる。その合成は有機合成、発酵法どちらでも構わない。
CoQ10はソラネソールとベンゾキノンを用いた合成法、酵母やバクテリア等の微生物を用いた発酵法により製造することができる。
【0014】
本発明に使用する種子処理物としては、大豆タンパクまたは大豆タンパク加水分解物から選ばれる少なくとも1種類、あるいは種子の粉砕粉末および種子の抽出物より得られた粉末から選ばれる一種以上の粉末が好ましい。
【0015】
本発明で使用する大豆タンパクやその加水分解物は、大豆から製造され、これらの製造方法は特に限定されない。一般的な製造方法は脱脂してある大豆を希アルカリ溶液(pH8〜9)でタンパク質を抽出後、不溶成分を遠心分離によって沈殿したタンパク質を回収し、水洗後水に懸濁して噴霧乾燥することによって得られる。またはアルカリ抽出後、酸添加して可溶分を除いた酸処理物、あるいはアルコール洗浄したアルコール処理物、また、その後酵素分解して得られる酵素加水分解処理物、あるいはアルカリで処理したアルカリ処理物が挙げられる。当然、脱脂していない大豆も原料として使用できる。
【0016】
本発明で使用する大豆タンパクとしては、特に限定はされないが、大豆タンパク粉を使用することができる。
大豆タンパク粉には抽出大豆タンパク粉、濃縮大豆タンパク粉、分離大豆タンパク粉等がある。これらの元になる原料豆乳の一般的な製造工程は、以下のような工程からなる。すなわち、原料大豆の脱皮工程→脱胚軸工程(土壌細菌、不快味成分の除去)→浸漬工程(膨潤、少糖類の除去)→磨砕(呉)工程(微細化)→加熱工程(85〜95℃、トリプシンインヒビター、リポキシゲナーゼ等の失活)→タンパク質の抽出分離工程(おからの除去)→調整工程(植物油、糖等の添加)→殺菌工程→均質化工程→充填工程である。近年、製造技術の改良がなされ、青臭さのない高品質の豆乳製品が製造されるようになっている。
一方、大豆特有の青臭みやえぐみの原因となる成分を低減した大豆の品種改良が進められており、青臭みの原因であるリポキシゲナーゼを無くし、強いえぐみを呈するグループAアセチルサポニンを欠失させた大豆品種キヌサヤカ(だいず農林130号)等が育出され青臭さやえぐみが少ないより良質な豆乳が生産されるようになって来ている。
乾燥豆乳粉末中のタンパク含量は40〜44%程度、これに、部分精製を加えた抽出大豆タンパク粉中のタンパク含量は60%程度である。
【0017】
濃縮大豆タンパクは、基本的には脱脂大豆粉から糖類、その他の可溶性成分を除去した物で、タンパク質、セルロース、ヘミセルロースなどを主成分とし、タンパク質含量は約70%である。濃縮大豆タンパクは、一般的に脱脂大豆を濃度50〜70%のエチルアルコールで洗浄し、糖類、灰分、その他の微量成分を除去後、粉砕、乾燥、粉末化したものである。
分離大豆タンパクは、大豆タンパクの中では最も精製度が高いもので、脱脂大豆粉から希アルカリ溶液(pH8〜9)でタンパク質を抽出後、不溶成分を遠心分離によって沈殿したタンパク質を回収し、水洗後水に懸濁して噴霧乾燥することによって得られる。
【0018】
大豆タンパクとしては、酸処理物、アルカリ処理物またはアルコール処理物等、また大豆タンパク加水分解物としては酵素加水分解物等がある。
本発明で使用する大豆タンパクやその加水分解物に含まれるタンパク含有量は40%以上が好ましく、より好ましくは60%以上である。
本発明はCoQ10の生体吸収性を高めることができるだけではなく、同時に栄養学上の優れた特性を活かした経口摂取用組成物を製造することが可能となる。
【0019】
本発明で使用可能な大豆タンパクやその加水分解物は市販されており、それらを使用できる。例えば不二製油株式会社製のソヤサワー、ハイニュートシリーズ、フジプロシリーズ、サンラバーシリーズ、プロリーナシリーズ、日清オイリオ株式会社製のニューソイミー、ニューコミテックス、プロコン、ソルピー、ソーヤフラワー、アルファープラス等が挙げられる。
【0020】
本発明において、CoQ10と大豆タンパクやその加水分解物を混合する場合、粉末でCoQ10と大豆タンパクやその加水分解物とを混合することで作ることができる。
大豆タンパクやその加水分解物は水やアルコールに均一の分散を作りやすく、それを使って混合してもよい。配合割合が質量比で大豆タンパクやその加水分解物が、CoQ10に対して好ましくは0.01倍以上であり、より好ましくは0.05倍以上である。
【0021】
混合する方法は特に規定されないが、CoQ10の融点が50℃付近であることから、混合の際に過度の熱がかからない方法が好ましい。この組成物を作る際には-20から40℃で行うのが好ましい。
【0022】
このように、本発明によって、CoQ10からなる製剤とほぼ等しい嵩張らない剤形のものから、栄養的な面から注目されている大豆を同時かつ容易に摂取できるものをつくることが可能となる。
CoQ10と大豆由来粉の粉体の大きさは、どの種類でもそれぞれ0.1から500μmが好ましく、より好ましくは5から180μmである。
【0023】
本発明で種子処理物として用いる種子粉末や種子抽出物から得られた粉末とは、種子または種子抽出物を粉体化したものである。
種子の粉砕粉末の具体例としては、種子の種皮、胚乳および胚芽から選ばれる一種以上の部分を粉砕することによって得られた粉末、種子の種皮、胚乳および胚芽から選ばれる一種以上の部分を焙煎したものを粉砕することによって得られた粉末、種子の種皮、胚乳および胚芽から選ばれる一種以上の部分を脱脂したものを粉砕することによって得られた粉末等が挙げられる。
種子の抽出物から得られた粉砕粉末としては、種子の種皮、胚乳および胚芽から選ばれる一種以上の部分から、圧搾または水若しくはアルコール類を含む水系溶媒を用いて抽出された抽出液を乾燥させることによって得られた粉末、種子の種皮、胚乳および胚芽から選ばれる一種以上の部分を加熱処理したものから抽出された抽出液を乾燥させることによって得られた粉末、種子の種皮、胚乳および胚芽から選ばれる一種以上の部分から抽出された抽出液のタンパク画分を乾燥させた粉末等が挙げられる。
【0024】
対象として使用し得る種子としては、日常的に食物として利用されている種子が好ましく、例えば、アオイ科(ワタ)、アオギリ科(カカオ)、アカネ科(コーヒー)、アブラナ科(ナタネ)、イチョウ科(ギンナン)、イネ科(ムギ、コメ、トウモロコシ)、ウリ科(カボチャ、スイカ)、ウルシ科(カシューナッツ、ピスタチオ)、キク科(ヒマワリ)、クルミ科(クルミ、ペカン)、ゴマ科(ゴマ)、シソ科(エゴマ)、タデ科(ソバ)、ツバキ科(ツバキ)、トチノキ科(トチ)、ハス科(ハス)、バラ科(アンズ)、ブドウ科(ブドウ)、ブナ科(クリ)、ヒシ科(ヒシ)、マツ科(マツ)、マメ科(ダイズ、アズキ、エンドウ、ソラマメ、ヒヨコマメ、インゲンマメ、ラッカセイ等)、モクセイ科(オリーブ)、ヤシ科(ココヤシ)、ヤマモガシ科(マカダミア)等に属する植物の種子より得られた粉末を挙げることができる。これら植物の種子のうちで好ましいのは、耕作作物として広く栽培されているマメ科、アカネ科、ゴマ科、イネ科植物の種子であり、より好ましいのはマメ科植物の種子であり、その中でも、特に大規模に栽培されている大豆が、経済性や効果の面で最も好ましい。
【0025】
以下、種子粉末や種子抽出物から得られた粉末原料の植物種子として豆科に属する大豆を用いた場合を例にして説明する。
一般的な大豆の粉砕粉末としては、黄粉、全脂大豆粉、脱脂大豆粉等がある。本発明に用いる大豆の種子から得られた粉末としては、丸大豆粉、丸大豆黄粉、脱脂大豆粉、脱脂大豆黄粉が好ましい。
黄粉は、大豆を焙煎して製粉した食品であり、焙煎することによってリポキシゲナーゼが不飽和脂肪酸に接することなく加熱失活する。それによって、不快臭がなく香ばしい味わいを有するものを作ることができる。また、さらに不快味を除くため脱皮、脱胚軸してもよい。
大豆の焙煎は、丸大豆または脱脂大豆を平釜で100〜200℃、10〜30分の条件で加熱することによって行われ、通常は150℃の温度で15分間程度行なわれる。現在では、さらに外観および食味に優れた黄粉を得る目的で、焙煎砂を用いた回転式焙煎機によって、220℃前後で30秒程度と高温短時間焙煎する方法が多く行われている。この焙煎処理によって、消化吸収阻害を起こすトリプシン阻害因子等の生大豆に存在する生理上好ましくない成分を失活させ除くことができる。なお、黄粉や大豆粉は全粒大豆を破砕することによって製造されるが、品質向上のため、粉砕の前に粗砕して、脱皮する工程を入れてもよい。
また、大豆から得られた粉末としては、上述した豆乳粉末、大豆タンパク粉末または大豆タンパク加水分解物粉末等の大豆の種子抽出物から得られた粉末を用いることができる。
【0026】
大豆の粉砕、磨砕方法は特に限定されないが、石またはセラミック製の臼や、コーヒーミルのような装置を用いることによって好適に行われる。粉砕、磨砕する大豆は、予め加熱処理したものを用いても、未加熱のものを用いてもよく、完熟果でも、未熟果でも構わない。また、乾燥した状態の大豆をそのまま用いてよいし、一定時間、水またはお湯に浸漬したものを用いてもよい。このようにして得られた粉砕、磨砕物を、必要に応じ篩別し、粒径の大きいものを除き、さらに再度粉砕、磨砕することによりきめの細かい良質な粉砕、磨砕物を歩留まりよく得ることができる。なお、磨砕物(呉)の場合は、得られた磨砕物を晒し布のような適当な濾材を用いて濾過することによって、液状の絞り汁(豆乳)を得ることができる。
このようにして得られた、粉砕、磨砕物は腐敗等による変質を防止するために乾燥する。乾燥方法としては特に限定されないが、例えば棚段式の通風乾燥器、通風加熱乾燥器、凍結乾燥器、ドラム乾燥機、噴霧乾燥機等を用いて乾燥する。乾燥温度、乾燥時間は、乾燥粉体の食味性や保存性を考慮しつつ適宜決めればよい。
【0027】
使用する大豆の品種としてはフクユタカ(だいず農林73号)、エンレイ(だいず農林57号)、スズユタカ(だいず農林76号)、タマホマレ(だいず農林72号)、タチナガハ(だいず農林85号)、サチユタカ(農林116号)、ユキホマレ(だいず農林118号)等多くの種類があり特に定めはないが、裂皮の難易、色調、粒形、粒度等の外観特性、タンパク質含有量、脂肪含有量、全糖含有量、溶出固形分、灰分含有量、種皮率、吸水率等の成分特性、さらに破壊強度、固形分抽出率、豆乳タンパク含有率、色調、官能評価等の加工特性などに着目して選定することができる。
【0028】
近年、育種的努力によって新たな形質を付与させた品種が作出されている。大豆の青臭みの原因酵素であるリポキシゲナーゼを完全に欠失させた品種、いちひめ(だいず農林103号)、エルスター(だいず農林115号)、すずさやか(だいず農林125号)等が、大豆アレルゲン蛋白のうちのαサブユニットを欠失させた品種、ゆめみのり(だいず農林117号)等が育成されている。また、機能的成分として注目されているイソフラボン含量の高い品種、ふくいぶき(だいず農林122号)のような品種も育成されている。
【0029】
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た構造をしており、女性ホルモンの補完作用を持つと考えられている。これまでの研究で、骨粗鬆症の抑制、ほてりなどの更年期症状の緩和、癌の抑制、糖尿病予防等の機能が報告されている。また、米国食品医薬局は、大豆タンパク質の持つコレステロール低下作用に着目し、大豆タンパク質を一食あたり6.25g(一日あたり25g)を含む食品について、心臓病のリスクを低減する食品という趣旨の表示をすることを認めている。
このように、大豆の粉砕粉末や抽出物より得られた粉末を用いることによって、CoQ10の生体吸収性を高めることができるだけではなく、同時に種々の大豆品種が持ち合わせている農産製造上または栄養学上の優れた特性を活かした経口摂取用組成物を製造することが可能となる。
【0030】
本発明において、CoQ10と大豆粉を混合する場合、CoQ10を一定量取り、種子の磨砕物または種子抽出物より調製した粉体と混合する。
CoQ10と大豆粉を混合する場合、CoQ10の結晶をそのまま混和する方法、予めCoQ10を溶融したり、油脂等に溶解して液状となした後、大豆黄粉や大豆タンパク粉に注加しまぶすような形で混合することができる。還元型CoQ10と大豆粉の混合物は、例えば、酸化型CoQ10をハイドロサルファイトナトリウムや水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤によって還元し、酸化型CoQ10と同様に大豆黄粉や大豆タンパク粉に混合することによって製造することができる。なお、その際、窒素気流下等の無酸素状態下で処理することにより、還元型Q10の酸化型Q10への変化を防ぐことができる。
【0031】
本発明において、CoQ10と種子処理物の混合比率は、CoQ10に対する種子処理物の配合割合として質量比で0.01倍以上が好ましく、0.1倍以上がより好ましい。一方、上限は特にないが、組成物当たり摂取できるCoQ10の量を一定量確保する観点から、25倍程度以下であることが好ましい。このように、本発明によって、CoQ10単独からなる製剤とほぼ等しい嵩張らない剤形のものから、栄養的な面から注目されている種子、特に大豆を同時かつ容易に摂取できるものをつくることが可能となる。
【0032】
このように、種子処理物とCoQ10を単に混合するだけという大変簡便な方法を採用することによって、CoQ10の生体吸収性を顕著に高めることが可能となった。なお、その機序については、種子処理物中(例えば大豆中)の特に高分子性のタンパク質とCoQ10との間に吸着付加物が生成されること、あるいは高分子性のタンパク質が乳化性を有しているために水溶性の低いCoQ10の水への分散性が向上することで、小腸における捕捉吸収性が増進されることによるものではないかと推定している。
【0033】
本発明で得られるCoQ10の経口摂取用組成物の投与剤形は、特に制限されず使用する用途により適宜選択することができる。本発明の経口摂取用組成物は、ヒト用または動物用として、食品、機能性食品、医薬品または医薬部外品として使用することができる。ここでいう機能性食品とは、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、栄養保険食品等、健康の維持あるいは食事にかわり栄養補給の目的で摂取する食品を意味している。本発明の経口摂取用組成物の一般的な形態としてはカプセル剤、タブレット、チュアブル、錠剤、ドリンク剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
より具体的には通常の食品、例えば味噌、醤油、インスタントみそ汁、ラーメン、焼きそば、カレー、コーンスープ、マーボードーフ、マーボーなす、パスタソース、プリン、ケーキ、パン等に加えることも可能である。
【0035】
製剤は、CoQ10と種子処理物を少なくとも含む組成物よりなるが、さらに任意の有効成分を含有していてもよい。それら製剤は、医薬、食品として許容される一種またはそれ以上の加工用の担体と共に混合し、製剤学の技術分野において公知の任意の方法により製造される。
【0036】
経口薬として製剤化する場合には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、抗菌剤等の添加剤を用いることができる。
一方、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防菌防黴剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等を用いることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例および比較例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。
【0038】
<CoQ10の生体吸収性試験>
(摂餌方法)
8週齢のSD系ラット(オス、一群3匹、体重250〜300g、試験前日夕方より試験終了まで絶食させた)に対し、実施例および比較例で調製した経口摂取用組成物をCoQ10量として100mg/kgラット重となるように経口的に強制摂取させた後、投与3時間後に尾静脈よりヘパリン加真空採血管を用いて採血し、血漿を分離した。
【0039】
(血中CoQ10量の測定)
得られた血漿を1ml分取し、血漿中のCoQ10の全量が酸化型になるように、2%FeCl
3−エタノール溶液を2.5ml加えて混合し、還元型CoQ10を酸化型CoQ10に変換した。次いで、ヘキサンを5ml加えて激しく混合し、血漿中の酸化型CoQ10を抽出した後、遠心分離し、ヘキサン層を別の試験管に採取した。この操作を3回繰り返し得られたヘキサン抽出液15mlをエバポレーターにて減圧濃縮〔1.3〜13.3kPa(10〜100torr)〕し、その後、イソプロパノールを0.2ml加えて溶解した。得られたイソプロパノール溶液0.2mlを、下記の条件でHPLCにより分析し、血漿1ml中の濃度を算出した。結果を表1及び表2に示す。
HPLC分析条件:
カラム;YMC PACK ODS−A、移動相;メタノール:ヘキサン=4:1(V:V)、検出波長;275nm、流速;1.0ml/min、カラム温度30℃、還元型CoQ10の保持時間;10min、酸化型CoQ10の保持時間;16min。
【0040】
実施例1
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)8g、種子処理物として大豆から大豆油を抽出分離後の脱脂大豆をアルコール洗浄し可溶性の糖類を除いた大豆タンパクを2gの割合でポリびんに入れ、良く振って混合した後、オリーブ油で分散させ、濃度12.5質量%の経口摂取用組成物を調製した。得られた経口摂取用組成物を用いてCoQ10生体吸収性試験を行った。
【0041】
実施例2
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)8g、種子処理物として大豆から大豆油を抽出分離した脱脂大豆をアルコール洗浄し可溶性の糖類を除いた後、酵素加水分解処理した大豆タンパク2gを用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
【0042】
実施例3
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)8g、種子処理物として大豆から大豆油を抽出分離した脱脂大豆から不溶分を除いた後、アルカリ処理した大豆タンパク2gを用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
【0043】
実施例4
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)8g、種子処理物として大豆の皮を取り除いた脱皮大豆を加熱後粉砕した大豆粉末2gを用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
【0044】
実施例5
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)8g、種子処理物として大豆から大豆油を抽出分離した脱脂大豆を粉砕したもの2gを用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
【0045】
実施例6
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)9.5g、種子処理物として大豆から大豆油を抽出分離した脱脂大豆をアルコール洗浄し可溶性の糖類を除いた後、酵素加水分解処理した大豆タンパク0.5gを用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
【0046】
比較例1
酸化型CoQ10を10g使用し、種子処理物を使用しなかったこと以外は実施例1と同様に行った。
【0047】
上記の実施例1〜6の組成物、比較例1のラットにおけるCoQ10の生体吸収性試験の結果(2〜5匹の平均値)を以下の表1及び
図1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例7
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を20質量部、種子処理物として豆乳粉(不二製油株式会社製)を80質量部の割合で乳鉢に加えよく混合した後、これを水に分散させ、濃度12.5質量%の経口摂取用組成物を調製した。得られた経口摂取用組成物を用いてCoQ10の生体吸収性試験を行った。
【0050】
実施例8
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を20質量部、種子処理物として豆乳粉(不二製油株式会社製)を80質量部の割合で乳鉢に加えよく混合した後、これをオリーブ油に分散させ、濃度12.5質量%の経口摂取用組成物を調製し用いたこと以外は、実施例7と同様に行った。
【0051】
実施例9
豆乳粉のかわりにリポキシゲナーゼ欠失大豆である「すずさやか(だいず農林125号)」より調製された大豆粉(池田屋製)を用いたこと以外は実施例8と同様に行った。
【0052】
実施例10
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を80質量部、大豆タンパク粉(日清オイリオ株式会社製)を20質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0053】
実施例11
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を80質量部、豆乳粉(不二製油株式会社製)を20質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0054】
実施例12
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を20質量部、ゴマ粉(株式会社真誠製)を80質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0055】
実施例13
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を80質量部、ゴマ粉(株式会社真誠製)を20質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0056】
実施例14
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を90質量部、大豆タンパク加水分解物(HSP310タツア・ジャパン社製)を10質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0057】
実施例15
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を95質量部、大豆タンパク粉(日清オイリオ株式会社製)を5質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0058】
実施例16
豆乳粉のかわりに黄粉(株式会社真誠製)を用いたこと以外は実施例8と同様に行った。
【0059】
実施例17
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を20質量部、焙煎したコーヒー豆(コロンビア産:キーコーヒー株式会社製)の粉砕品を80質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0060】
実施例18
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を80質量部、焙煎したコーヒー豆(コロンビア産:キーコーヒー株式会社製)の粉砕品を20質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0061】
実施例19
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を99質量部、大豆タンパク粉(日清オイリオ株式会社製)を1質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0062】
実施例20
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)を20質量部、小麦粉(強力粉:日清製粉株式会社製)を80質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
【0063】
実施例21
酸化型CoQ10(三菱瓦斯化学株式会社製)より、還元剤にハイドロサルファイトナトリウムを用いて調製した還元型CoQ10を20質量部、黄粉(株式会社真誠製)を80質量部の割合で混合したものを使用したこと以外は実施例7と同様に行った。
【0064】
比較例2
還元型CoQ10を100質量部使用し、種子処理物を使用しなかったこと以外は、実施例8と同様に行った。
【0065】
上記の実施例7〜21、及び比較例1及び2のラットにおけるCoQ10の吸収性試験の結果(2〜5匹の平均値)を以下の表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
表1および表2から分かるように、本発明に属するCoQ10と大豆に代表される種子処理物から得られる経口摂取用組成物は、上述の構成よりなり、体内吸収性に優れており、優れた生体吸収性を発揮する。