(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算手段は、前記実部データまたは前記虚部データである入力データについて、該入力データの要素の値が0以上または0より大きい場合には、該入力データの該要素の値と所定の正の閾値との差分を所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値と同じである値を加算する前記所定の演算を行い、該入力データの該要素の値が0未満または0以下である場合には、該入力データの該要素の値と所定の負の閾値との差分を前記所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値である値を加算する前記所定の演算を行った後に、該入力データの該要素の値が前記正の閾値以上もしくは前記正の閾値より大きい、または前記負の閾値以下もしくは前記負の閾値未満である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値に前記差分の絶対値を2で除算した値を加算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素から、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を減算する前記所定の振分後の演算を行い、該入力データの該要素の値が前記負の閾値より大きく前記正の閾値未満、前記負の閾値より大きく前記正の閾値以下、前記負の閾値以上で前記正の閾値未満、または前記負の閾値以上で前記正の閾値以下である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値から前記差分の絶対値を2で除算した値を減算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を加算する前記所定の振分後の演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信機。
前記演算手段は、前記実部データおよび前記虚部データのそれぞれについて、同じ前記正の閾値および前記負の閾値を用いることを特徴とする請求項2または3に記載の通信機。
前記逆演算手段は、それぞれ2つの要素を含む前記サブデータを生成し、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値以上もしくは該要素の値より大きい場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値以下もしくは該要素の値未満である場合には、該サブデータの1行目の要素と該サブデータの2行目の要素を加算する前記所定の演算を行い、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値未満もしくは該要素の値以下である場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値より大きいもしくは該要素の値以上である場合には、5を乗算した該サブデータの1行目の要素から3を乗算した該サブデータの2行目の要素を減算する前記所定の演算を行うことを特徴とする請求項5に記載の通信機。
前記演算ステップにおいて、前記実部データまはた前記虚部データである入力データについて、該入力データの要素の値が0以上または0より大きい場合には、該入力データの該要素の値と所定の正の閾値との差分を所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値と同じである値を加算する前記所定の演算を行い、該入力データの該要素の値が0未満または0以下である場合には、該入力データの該要素の値と所定の負の閾値との差分を前記所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値である値を加算する前記所定の演算を行った後に、該入力データの該要素の値が前記正の閾値以上もしくは前記正の閾値より大きい、または前記負の閾値以下もしくは前記負の閾値未満である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値に前記差分の絶対値を2で除算した値を加算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素から、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を減算する前記所定の振分後の演算を行い、該入力データの該要素の値が前記負の閾値より大きく前記正の閾値未満、前記負の閾値より大きく前記正の閾値以下、前記負の閾値以上で前記正の閾値未満、または前記負の閾値以上で前記正の閾値以下である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値から前記差分の絶対値を2で除算した値を減算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を加算する前記所定の振分後の演算を行うことを特徴とする請求項7に記載の通信方法。
前記演算ステップにおいて、前記実部データおよび前記虚部データのそれぞれについて、同じ前記正の閾値および前記負の閾値を用いることを特徴とする請求項8または9に記載の通信方法。
前記逆演算ステップにおいて、それぞれ2つの要素を含む前記サブデータを生成し、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値以上もしくは該要素の値より大きい場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値以下もしくは該要素の値未満である場合には、該サブデータの1行目の要素と該サブデータの2行目の要素を加算する前記所定の演算を行い、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値未満もしくは該要素の値以下である場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値より大きいもしくは該要素の値以上である場合には、5を乗算した該サブデータの1行目の要素から3を乗算した該サブデータの2行目の要素を減算する前記所定の演算を行うことを特徴とする請求項11に記載の通信方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OFDM方式の通信では、PAPRを低減することが課題となっている。特許文献1では、PAPRを低減する最適位相を算出するために繰り返し計算処理を行い、サブキャリアごとに位相を制御する必要がある。また特許文献1に開示されている技術では、PAPRの低減の程度を制御することはできない。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、OFDM方式の通信において、PAPRを低減し、さらにPAPRの低減の程度を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る通信機は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調手段と、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行うIFFT手段と、
前記IFFT手段の演算結果を該演算結果の実部である実部データと該演算結果の虚部である虚部データとに分解する分解手段と、
前記実部データおよび前記虚部データのそれぞれについて、該実部データおよび該虚部データの各要素に所定の演算を施した後に、各要素の符号が同じであって値が互いに異なり、各要素の値の合計が該実部データまたは該虚部データの該要素の該演算結果に一致する振分後サブデータを生成し、前記振分後サブデータの各要素に所定の振分後の演算を施し、該実部データまたは該虚部データの要素の並び順に基づき、前記所定の振分後の演算を施した前記振分後サブデータを並べて合成して実部振分後データおよび虚部振分後データをそれぞれ生成する演算手段と、
前記演算手段で生成した、前記実部振分後データと前記虚部振分後データと、を合成したデータに基づきベースバンド信号を生成する合成手段と、
前記ベースバンド信号から送信信号を生成して送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記演算手段は、前記実部データまたは前記虚部データである入力データについて、該入力データの要素の値が0以上または0より大きい場合には、該入力データの該要素の値と所定の正の閾値との差分を所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値と同じである値を加算する前記所定の演算を行い、該入力データの該要素の値が0未満または0以下である場合には、該入力データの該要素の値と所定の負の閾値との差分を前記所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値である値を加算する前記所定の演算を行った後に、該入力データの該要素の値が前記正の閾値以上もしくは前記正の閾値より大きい、または前記負の閾値以下もしくは前記負の閾値未満である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値に前記差分の絶対値を2で除算した値を加算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素から、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を減算する前記所定の振分後の演算を行い、該入力データの該要素の値が前記負の閾値より大きく前記正の閾値未満、前記負の閾値より大きく前記正の閾値以下、前記負の閾値以上で前記正の閾値未満、または前記負の閾値以上で前記正の閾値以下である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値から前記差分の絶対値を2で除算した値を減算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を加算する前記所定の振分後の演算を行う。
【0009】
好ましくは、前記正の閾値の絶対値と前記負の閾値の絶対値とが同じである。
【0010】
好ましくは、前記演算手段は、前記実部データおよび前記虚部データのそれぞれについて、同じ前記正の閾値および前記負の閾値を用いる。
【0011】
本発明の第2の観点に係る通信機は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信手段と、
前記ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する直並列手段と、
前記並列信号を前記並列信号の実部である実部データと前記並列信号の虚部である虚部データとに分解する受信側分解手段と、
前記並列信号の前記実部データおよび前記並列信号の前記虚部データのそれぞれを、所定の数に等分割してサブデータを生成し、前記サブデータの要素の値に基づき前記サブデータに対応する所定の演算を検出し、前記サブデータの要素の値を用いて前記所定の演算を行った結果を要素とし、前記サブデータの並び順に基づき前記要素を並べて合成して実部復元データおよび虚部復元データをそれぞれ生成する逆演算手段と、
前記逆演算手段で生成した、前記実部復元データと前記虚部復元データと、を合成する受信側合成手段と、
前記受信側合成手段の演算結果の高速フーリエ変換を行ってサブキャリア変調信号を生成するFFT手段と、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記逆演算手段は、それぞれ2つの要素を含む前記サブデータを生成し、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値以上もしくは該要素の値より大きい場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値以下もしくは該要素の値未満である場合には、該サブデータの1行目の要素と該サブデータの2行目の要素を加算する前記所定の演算を行い、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値未満もしくは該要素の値以下である場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値より大きいもしくは該要素の値以上である場合には、5を乗算した該サブデータの1行目の要素から3を乗算した該サブデータの2行目の要素を減算する前記所定の演算を行う。
【0013】
本発明の第3の観点に係る通信方法は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調ステップと、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行うIFFTステップと、
前記IFFTステップの演算結果を該演算結果の実部である実部データと該演算結果の虚部である虚部データとに分解する分解ステップと、
前記実部データおよび前記虚部データのそれぞれについて、該実部データおよび該虚部データの各要素に所定の演算を施した後に、各要素の符号が同じであって値が互いに異なり、各要素の値の合計が該実部データまたは該虚部データの該要素の該演算結果に一致する振分後サブデータを生成し、前記振分後サブデータの各要素に所定の振分後の演算を施し、該実部データまたは該虚部データの要素の並び順に基づき、前記所定の振分後の演算を施した前記振分後サブデータを並べて合成して実部振分後データおよび虚部振分後データをそれぞれ生成する演算ステップと、
前記演算ステップで生成した、前記実部振分後データと前記虚部振分後データと、を合成したデータに基づきベースバンド信号を生成する合成ステップと、
前記ベースバンド信号から送信信号を生成して送信する送信ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記演算ステップにおいて、前記実部データまはた前記虚部データである入力データについて、該入力データの要素の値が0以上または0より大きい場合には、該入力データの該要素の値と所定の正の閾値との差分を所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値と同じである値を加算する前記所定の演算を行い、該入力データの該要素の値が0未満または0以下である場合には、該入力データの該要素の値と所定の負の閾値との差分を前記所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値である値を加算する前記所定の演算を行った後に、該入力データの該要素の値が前記正の閾値以上もしくは前記正の閾値より大きい、または前記負の閾値以下もしくは前記負の閾値未満である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値に前記差分の絶対値を2で除算した値を加算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素から、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を減算する前記所定の振分後の演算を行い、該入力データの該要素の値が前記負の閾値より大きく前記正の閾値未満、前記負の閾値より大きく前記正の閾値以下、前記負の閾値以上で前記正の閾値未満、または前記負の閾値以上で前記正の閾値以下である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値から前記差分の絶対値を2で除算した値を減算した値である、2つの要素を含む前記振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が前記差分の絶対値を2で除算した値である値を加算する前記所定の振分後の演算を行う。
【0015】
好ましくは、前記正の閾値の絶対値と前記負の閾値の絶対値とが同じである。
【0016】
好ましくは、前記演算ステップにおいて、前記実部データおよび前記虚部データのそれぞれについて、同じ前記正の閾値および前記負の閾値を用いる。
【0017】
本発明の第4の観点に係る通信方法は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信ステップと、
前記ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する直並列ステップと、
前記並列信号を前記並列信号の実部である実部データと前記並列信号の虚部である虚部データとに分解する受信側分解ステップと、
前記並列信号の前記実部データおよび前記並列信号の前記虚部データのそれぞれを、所定の数に等分割してサブデータを生成し、前記サブデータの要素の値に基づき前記サブデータに対応する所定の演算を検出し、前記サブデータの要素の値を用いて前記所定の演算を行った結果を要素とし、前記サブデータの並び順に基づき前記要素を並べて合成して実部復元データおよび虚部復元データをそれぞれ生成する逆演算ステップと、
前記逆演算ステップで生成した、前記実部復元データと前記虚部復元データと、を合成する受信側合成ステップと、
前記受信側合成ステップの演算結果の高速フーリエ変換を行ってサブキャリア変調信号を生成するFFTステップと、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記逆演算ステップにおいて、それぞれ2つの要素を含む前記サブデータを生成し、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値以上もしくは該要素の値より大きい場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値以下もしくは該要素の値未満である場合には、該サブデータの1行目の要素と該サブデータの2行目の要素を加算する前記所定の演算を行い、前記サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、該サブデータの2行目の要素の値未満もしくは該要素の値以下である場合、または前記サブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、該サブデータの2行目の要素の値より大きいもしくは該要素の値以上である場合には、5を乗算した該サブデータの1行目の要素から3を乗算した該サブデータの2行目の要素を減算する前記所定の演算を行う。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、OFDM方式の通信において、PAPRを低減し、さらにPAPRの低減の程度を制御することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。以下の説明において、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation:逆高速フーリエ変換)は、IFFTとIDFT(Inverse Discrete Fourier Transformation:逆離散フーリエ変換)を含む概念とする。したがって本発明の実施の形態においては、IFFTの代わりに、IDFTを行うよう構成してもよい。同様にFFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)は、FFTとDFT(Discrete Fourier Transformation:離散フーリエ変換)を含む概念とする。またIDFTおよびDFTを行う場合は、以下の説明におけるFFTサイズとは、DFTのサイズを意味する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信機の構成例を示すブロック図である。通信機1は、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の無線通信により他の機器と通信を行う。通信機1は、アンテナ10、変調部11、直並列変換部12、IFFT部13、分解部14、演算部15、合成部16、送信部17、およびコントローラ20を備える。演算部15は、実部演算部151および虚部演算部152を備える。
【0023】
コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)21、RAM(Random Access Memory)23、およびROM(Read-Only Memory)24を備える。複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ20から各部への信号線が省略されているが、コントローラ20は通信機1の各部にI/O(Input/Output)22を介して接続しており、それらの処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。
【0024】
RAM23には、例えば送信フレームを生成するためのデータが記憶されている。ROM24は、コントローラ20が通信機1の動作を制御するための制御プログラムを格納する。コントローラ20は、制御プログラムに基づいて、通信機1を制御する。
【0025】
図2は、実施の形態に係る通信機の異なる構成例を示すブロック図である。上述の通信機1に受信機能をもたせるため、
図2に示す通信機1はさらに復調部31、並直列変換部32、FFT部33、受信側合成部34、逆演算部35、受信側分解部36、受信部37、および送受信切替部38を備える。逆演算部35は、実部逆演算部351および虚部逆演算部352を備える。送信機能および受信機能を備える
図2に示す通信機1を用いて、通信機1が行う通信方法について以下に説明する。
【0026】
変調部11は、入力信号を所定の変調方式で変調し、変調信号を生成し、直並列変換部12に送る。変調方式として、例えばQPSK(Quadrature Phase-Shift Keying:四位相偏移変調)を用いる。直並列変換部12は、変調信号を直並列変換し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する。そして、サブキャリア変調信号をIFFT部13に送る。IFFT部13は、サブキャリア変調信号のIFFTを行い、演算結果を分解部14に送る。
【0027】
分解部14は、IFFT部13の演算結果を該演算結果の実部である実部データと、該演算結果の虚部である虚部データとに分解し、実部データと虚部データを演算部15に送る。演算部15は、実部データを実部演算部151に、虚部データを虚部演算部152にそれぞれ送る。実部演算部151および虚部演算部152の動作は同じであるため、実部演算部151の動作について説明する。
【0028】
実部演算部151は、実部データである入力データの各要素に所定の演算を施した後に、各要素の符号が同じであって値が互いに異なり、各要素の値の合計が該入力データの該要素の該演算結果に一致する振分後サブデータを生成する。実部演算部151は、振分後サブデータの各要素に所定の振分後の演算を施し、入力データの要素の並び順に基づき、所定の振分後の演算を施した振分後サブデータを並べて合成して実部振分後データを生成する。
【0029】
実部演算部151は、例えば、入力データの要素の値が0以上または0より大きい場合には、該入力データの該要素の値と所定の正の閾値との差分を所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が該差分の絶対値と同じである値を加算する所定の演算を行う。また該入力データの該要素の値が0未満または0以下である場合には、該入力データの該要素の値と所定の負の閾値との差分を所定の差分として用いて、該入力データの該要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が該差分の絶対値と同じである値を加算する所定の演算を行う。そして、実部演算部151は、該入力データの該要素の値が正の閾値以上もしくは正の閾値より大きい、または負の閾値以下もしくは負の閾値未満である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値に上記差分の絶対値を2で除算した値を加算した値である、2つの要素を含む振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素から、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が上記差分の絶対値を2で除算した値である値を減算する所定の振分後の演算を行う。また該入力データの該要素の値が負の閾値より大きく正の閾値未満、負の閾値より大きく正の閾値以下、負の閾値以上で正の閾値未満、または負の閾値以上で正の閾値以下である場合には、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値から上記差分の絶対値を2で除算した値を減算した値である、2つの要素を含む振分後サブデータを生成し、該振分後サブデータの各要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が上記差分の絶対値を2で除算した値である値を加算する所定の振分後の演算を行う。
【0030】
所定の正の閾値および負の閾値は、後述するようにPAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)の低減の程度およびBER(Bit Error Rate:符号誤り率)の劣化の程度を考慮して予め定められている。なお正の閾値の絶対値と負の閾値の絶対値とは同じ値でもよいし、異なる値でもよい。正の閾値の絶対値と負の閾値の絶対値とが同じであるように構成すると、上述の演算処理の実装を簡易化することが可能である。
【0031】
実部演算部151は、例えば以下のように入力データの要素に演算を施す。FFTサイズをNとして、入力データの要素をu
i(i=0、1、・・・、N−1)で表す。正の閾値をτ
+とすると、入力データの要素の値が正の閾値以上である場合には、下記(1)式で表されるように、該要素の値と所定の正の閾値との差分αを所定の差分として用いる。入力データの要素の値が正の閾値以上であるので、α≧0である。
【0033】
実部演算部151は、入力データの要素に符号が該要素と同じであって絶対値が上記(1)式で表される差分の絶対値と同じである値を加算する所定の演算を行う。入力データの要素u
iの該演算結果βは、下記(2)式で表される。
【0035】
入力データの要素の値が正の閾値以上であるので、実部演算部151は、1行目の要素と2行目の要素の符号が正であって値が互いに異なり、1行目の要素と2行目の要素の合計が上記(2)式で表される該入力データの該要素の該演算結果に一致し、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値に上記差分の絶対値を2で除算した値を加算した値である、2つの要素を含む振分後サブデータを生成する。入力データの要素u
iの上述の演算結果に基づき生成した振分後サブデータの各要素は、下記(3)式で表され、v
i_1が1行目の要素を、v
i_2が2行目の要素を表すものとする。
【0037】
実部演算部151は、該振分後サブデータの各要素から、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が上記差分の絶対値を2で除算した値である値を減算する所定の振分後の演算を行う。所定の振分後の演算を施した振分後サブデータは、下記(4)式で表される。下記(4)式を変形して、下記(5)式が導き出される。
【0040】
入力データの要素の値が0以上であって正の閾値未満である場合には、下記(6)式で表されるように、該要素の値と所定の正の閾値との差分αを所定の差分として用いる。入力データの要素の値が0以上であって正の閾値未満であるので、α>0である。
【0042】
実部演算部151は、入力データの要素に符号が該要素と同じであって絶対値が上記(6)式で表される差分の絶対値と同じである値を加算する所定の演算を行う。入力データの要素u
iの該演算結果βは、上記(2)式で表される。入力データの要素の値が0以上であって正の閾値未満であるので、実部演算部151は、1行目の要素と2行目の要素の符号が正であって値が互いに異なり、1行目の要素と2行目の要素の合計が上記(2)式で表される該入力データの該要素の該演算結果に一致し、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値から上記差分の絶対値を2で除算した値を減算した値である、2つの要素を含む振分後サブデータを生成する。振分後サブデータは、下記(7)式で表される。
【0044】
実部演算部151は、該振分後サブデータの各要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が上記差分の絶対値を2で除算した値である値を加算する所定の振分後の演算を行う。所定の振分後の演算を施した振分後サブデータは、下記(8)式で表される。下記(8)式を変形して、下記(9)式が導き出される。
【0047】
負の閾値をτ
−とすると、入力データの要素の値が0未満であって負の閾値より大きい場合には、下記(10)式で表されるように、該要素の値と所定の負の閾値との差分αを所定の差分として用いる。入力データの要素の値が0未満であって負の閾値より大きいため、α<0となる。
【0049】
実部演算部151は、入力データの要素に符号が該要素と同じであって絶対値が上記(10)式で表される差分の絶対値と同じである値を加算する所定の演算を行う。上記(10)式においては、α<0であり、入力データの要素u
iの該演算結果βは、上記(2)式で表される。入力データの要素の値が0未満であって負の閾値より大きいので、実部演算部151は、1行目の要素と2行目の要素の符号が負であって値が互いに異なり、1行目の要素と2行目の要素の合計が上記(2)式で表される該入力データの該要素の該演算結果に一致し、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値から上記差分の絶対値を2で除算した値を減算した値である、2つの要素を含む振分後サブデータを生成する。振分後サブデータは、下記(11)式で表される。
【0051】
実部演算部151は、該振分後サブデータの各要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が上記差分の絶対値を2で除算した値である値を加算する所定の振分後の演算を行う。所定の振分後の演算を施した振分後サブデータは、下記(12)式で表される。下記(12)式を変形して、下記(13)式が導き出される。
【0054】
入力データの要素の値が負の閾値以下である場合には、下記(14)式で表されるように、該要素の値と所定の負の閾値との差分αを所定の差分として用いる。入力データの要素の値が負の閾値以下であるので、α≦0となる。
【0056】
実部演算部151は、入力データの要素に符号が該要素と同じであって絶対値が上記(14)式で表される差分の絶対値と同じである値を加算する所定の演算を行う。入力データの要素u
iの該演算結果βは、上記(2)式で表される。入力データの要素の値が負の閾値以下であるので、実部演算部151は、1行目の要素と2行目の要素の符号が負であって値が互いに異なり、1行目の要素と2行目の要素の合計が上記(2)式で表される該入力データの該要素の該演算結果に一致し、1行目の要素の絶対値が2行目の要素の絶対値に上記差分の絶対値を2で除算した値を加算した値である、2つの要素を含む振分後サブデータを生成する。振分後サブデータは、下記(15)式で表される。
【0058】
実部演算部151は、該振分後サブデータの各要素から、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が上記差分の絶対値を2で除算した値である値を減算する所定の振分後の演算を行う。所定の振分後の演算を施した振分後サブデータは、下記(16)式で表される。下記(16)式を変形して、下記(17)式が導き出される。
【0061】
実部演算部151は、上述のように、振分後サブデータを生成し、振分後サブデータに上述の演算を施す。そして下記(18)式で表されるように、上述の演算を施した振分後サブデータを入力データの要素の並び順に基づいて並べて合成して実部振分後データを生成する。
【0063】
入力データの要素の値に基づく場合分けは上述の例に限られず、所定の演算を行うための場合分けと、所定の振分後の演算を行うための場合分けとの組み合わせ方は任意である。例えば入力データの要素の値が、正の閾値より大きい場合、0より大きく正の閾値以下である場合、負の閾値より大きく0以下である場合、負の閾値以下である場合に分け、それぞれ上述の演算を施すよう構成してもよい。
【0064】
図3は、実施の形態に係る演算部での演算処理の概略を示す図である。横軸が入力データの要素であり、縦軸が要素の値である。点線は正の閾値および負の閾値を表す。
図3(a)は、実部データである入力データを表す。入力データの要素に、符号が該入力データの該要素と同じであって絶対値が上記差分の絶対値と同じである値を加算する所定の演算を行った結果が
図3(b)である。
図3(b)に示す、所定の演算を施した入力データの要素に基づき生成した振分後サブデータが
図3(c)である。
図3(c)に示す振分後サブデータに、所定の振幅後の演算を施した結果が
図3(d)である。図に示すように、入力データの要素に上述の処理を施して、値の変動を小さくすることでPAPRを低減することができる。
【0065】
虚部演算部152は、虚部データを入力データとして実部演算部151と同様に上述の演算処理を行い、虚部振分後データを生成する。実部演算部151および虚部演算部152が用いる所定の正の閾値および負の閾値は、異なってもよい。実部演算部151および虚部演算部152が同じ所定の正の閾値および負の閾値を用いる場合には、1つの演算器を用いて実部演算部151および虚部演算部152を実現することができる。
【0066】
演算部15は、実部演算部151で生成した実部振分後データおよび虚部演算部152で生成した虚部振分後データを合成部16に送る。
【0067】
合成部16は、実部振分後データおよび虚部振分後データを合成したデータに基づきベースバンド信号を生成し、送信部17に送る。実部振分後データをw、虚部振分後データをxとすると、合成したデータはw+jxで表される。ただしjは虚数単位である。送信部17は、ベースバンド信号から送信信号を生成し、送受信切替部38およびアンテナ10を介して他の機器に送信信号を送る。
【0068】
図4は、実施の形態に係る通信機が行う送信制御の動作の一例を示すフローチャートである。変調部11は、入力信号を所定の変調方式で変調して変調信号を生成し、直並列変換部12は、変調信号を直並列変換し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する(ステップS110)。IFFT部13は、サブキャリア変調信号のIFFTを行う(ステップS120)。
【0069】
分解部14は、IFFT部13の演算結果を該演算結果の実部である実部データと、該演算結果の虚部である虚部データとに分解する(ステップS130)。実部演算部151は、実部データの各要素に所定の演算を施し、各要素の符号が同じであって値が互いに異なり、各要素の値の合計が該実部データの該要素の該演算結果に一致する振分後サブデータを生成する。実部演算部151は、振分後サブデータの各要素に所定の振分後の演算を施し、該実部データの要素の並び順に基づき、該演算を施した振分後サブデータを並べて合成して実部振分後データを生成する。虚部演算部152は、虚部データに対し、実部演算部151と同様の演算処理を行って虚部振分後データを生成する(ステップS140)。
【0070】
合成部16は、実部振分後データおよび虚部振分後データを合成したデータに基づきベースバンド信号を生成する(ステップS150)。送信部17は、ベースバンド信号から送信信号を生成し、送受信切替部38およびアンテナ10を介して他の機器に送信信号を送る(ステップS160)。
【0071】
受信側での処理を以下に説明する。受信部37は、アンテナ10および送受信切替部38を介して送信信号を受信し、ベースバンド信号を生成し、受信側分解部36に送る。受信側分解部36は、ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する。受信側分解部36は、並列信号を並列信号の実部である実部データと、並列信号の虚部である虚部データとに分解し、並列信号の実部データと虚部データを逆演算部35に送る。逆演算部35は、並列信号の実部データを実部逆演算部351に、並列信号の虚部データを虚部逆演算部352にそれぞれ送る。実部逆演算部351および虚部逆演算部352の動作は同じであるため、実部逆演算部351の動作について説明する。
【0072】
並列信号の実部データは、送信側の実部演算部151で生成した実部振分後データに一致する。実部逆演算部351は、並列信号の実部データを、所定の数に等分割してサブデータを生成し、サブデータの要素の値に基づきサブデータに対応する所定の演算を検出し、サブデータの要素の値を用いて所定の演算を行った結果を要素とし、サブデータの並び順に基づき上記要素を並べて合成して実部復元データを生成する。所定の数とは、送信側の実部演算部151で生成した振分後サブデータの数、すなわち入力信号の要素の数に一致する。受信側では、所定の数についての情報を予め保持しているものとする。
【0073】
実部逆演算部351は、例えば、並列信号の実部データを所定の数に等分割して、それぞれ2つの要素を含むサブデータを生成する。サブデータは、送信側の実部演算部151で生成し、所定の振分後の演算を施した振分後サブデータに一致する。実部逆演算部351は、サブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、サブデータの2行目の要素の値以上もしくは該要素の値より大きい場合、またはサブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、サブデータの2行目の要素の値以下もしくは該要素の値未満である場合には、サブデータの1行目の要素とサブデータの2行目の要素を加算する所定の演算を行う。またサブデータの1行目の要素の値が0以上もしくは0より大きく、サブデータの2行目の要素の値未満もしくは該要素の値以下である場合、またはサブデータの1行目の要素の値が0未満もしくは0以下であって、サブデータの2行目の要素の値より大きいもしくは該要素の値以上である場合には、5を乗算したサブデータの1行目の要素から3を乗算したサブデータの2行目の要素を減算する所定の演算を行う。
【0074】
所定の演算は、受信側で、送信側の実部演算部151で生成した実部振分後データから入力信号を復元できる所定の演算であり、上述の演算に限られない。
【0075】
上記(5)式において、u
i≧τ
+であるから、w
i_1≧w
i_2>0であり、上記(9)式において、0≦u
i<τ
+であるから、0<w
i_1<w
i_2であり、上記(13)式において、τ
−<u
i<0であるから、0>w
i_1>w
i_2であり、また上記(17)式において、u
i≦τ
−であるから、w
i_1≦w
i_2<0である。
【0076】
したがって、送信側で上述の例に示すような演算を施した場合には、実部逆演算部351は、例えば以下のような演算処理を行う。実部逆演算部351は、サブデータの1行目の要素の値が0以上であってサブデータの2行目の要素の値以上である場合、またはサブデータの1行目の要素の値が0未満であってサブデータの2行目の要素の値以下である場合には、サブデータの1行目の要素とサブデータの2行目の要素を加算する所定の演算を行う。この場合には、サブデータが上記(5)式または(17)式で表されるので、下記(19)式で表されるように、サブデータの1行目の要素とサブデータの2行目の要素を加算する演算を行った結果r
iは、実部演算部151の入力データである実部データの要素u
iに一致する。
【0078】
また実部逆演算部351は、サブデータの1行目の要素の値が0以上であってサブデータの2行目の要素の値未満である場合、またはサブデータの1行目の要素の値が0未満であってサブデータの2行目の要素の値より大きい場合には、5を乗算したサブデータの1行目の要素から3を乗算したサブデータの2行目の要素を減算する所定の演算を行う。この場合には、サブデータが上記(9)式または(13)式で表されるので、下記(20)式で表されるように、5を乗算したサブデータの1行目の要素から3を乗算したサブデータの2行目の要素を減算する演算を行った結果r
iは、実部演算部151の入力データである実部データの要素u
iに一致する。
【0080】
実部逆演算部351は、上述の演算結果を要素として、サブデータの並び順に基づき上記要素を並べて合成して実部復元データを生成する。実部逆演算部351が並列信号の実部データに基づき生成した実部復元データは、送信側の分解部14で生成した実部データに一致する。
【0081】
虚部逆演算部352は、並列信号の虚部データについて、実部逆演算部351と同様に上述の演算処理を行い、虚部復元データを生成する。虚部逆演算部352が生成した虚部復元データは、送信側の分解部14で生成した虚部データに一致する。実部逆演算部351および虚部逆演算部352が用いる所定の正の閾値および負の閾値は、異なってもよい。実部逆演算部351および虚部逆演算部352が同じ所定の正の閾値および負の閾値を用いる場合には、1つの演算器を用いて実部逆演算部351および虚部逆演算部352を実現することができる。
【0082】
逆演算部35は、実部逆演算部351で生成した実部復元データおよび虚部逆演算部352で生成した虚部復元データを受信側合成部34に送る。
【0083】
受信側合成部34は、実部復元データおよび虚部復元データを合成したデータをFFT部33に送る。実部復元データをr、虚部復元データをsとすると、合成したデータはr+jsで表される。FFT部33は、受信側合成部34から送られたデータのFFTを行い、サブキャリア変調信号を生成する。FFT部33は、サブキャリア変調信号を並直列変換部32に送る。
【0084】
並直列変換部32は、サブキャリア変調信号を並直列変換し、直列信号を生成して復調部31に送る。復調部31は、直列信号を所定の復調方式で復調する。例えば、復調部31は直列信号のQPSK復調を行う。これにより変調部11で変調した入力信号を復調部31で復調して出力することができる。
【0085】
図5は、実施の形態に係る通信機が行う受信制御の動作の一例を示すフローチャートである。受信部37は、アンテナ10および送受信切替部38を介して送信信号を受信し、ベースバンド信号を生成する(ステップS210)。受信側分解部36は、ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する(ステップS220)。受信側分解部36は、並列信号を並列信号の実部である実部データと、並列信号の虚部である虚部データとに分解する(ステップS230)。
【0086】
実部逆演算部351は、並列信号の実部データを所定の数に等分割してサブデータを生成し、サブデータの要素の値に基づきサブデータに対応する所定の演算を検出し、サブデータの要素の値を用いて所定の演算を行った結果を要素とし、サブデータの並び順に基づき上記要素を並べて合成して実部復元データを生成する。虚部逆演算部352は、並列信号の虚部データに対し、実部逆演算部351と同様の演算処理を行って虚部復元データを生成する(ステップS240)。
【0087】
受信側合成部34は、実部復元データおよび虚部復元データを合成し、FFT部33は、合成したデータのFFTを行い、サブキャリア変調信号を生成する(ステップS250)。並直列変換部32は、サブキャリア変調信号を並直列変換して直列信号を生成し、復調部31は、直列信号を所定の復調方式で復調する(ステップS260)。
【0088】
以上説明した原理に従って、通信機1は例えば以下のように通信を行う。サブキャリアの数が4の場合に、分解部14が生成した実部データuが下記(21)式で表されるとする。添え字のTは行列を転置表示していることを示す。
【0090】
ここで一例として、正の閾値を5、負の閾値を−5、とする。実部演算部151において、実部データの1行目の要素については上記(5)式に基づき、2行目の要素については上記(9)式に基づき、3行目の要素については上記(17)式に基づき、4行目の要素については上記(17)式に基づき、演算処理を行って生成した実部振分後データは下記(22)式で表される。
【0092】
受信側での処理を以下に説明する。受信側分解部36が生成した並列信号の実部データrは、上記(22)式で表される実部振分後データwに一致する。実部逆演算部351で生成した実部復元データの各要素は、下記(23)式で表され、上記(21)式の各要素に一致する。したがって、受信側で入力信号を復元できることがわかる。
【0094】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態に係る通信機1によれば、OFDM通信方式において、実部データと虚部データに所定の演算を施し、該演算結果に基づき生成した振分後サブデータに所定の振分後の演算を施して合成し、ベースバンド信号を生成することでPAPRを低減することが可能となる。また後述するように、PAPRを低減し、PAPRの低減の程度を制御することが可能となる。
【0095】
(具体例)
次に、シミュレーションにより本実施の形態に係る発明の効果を説明する。入力信号にランダム信号を用いて、従来技術と本実施の形態に係る発明について、ベースバンド信号を生成し、PAPRの算出を繰り返すシミュレーションを行った。変調方式としてQPSKを用い、FFTサイズを2048として、従来技術と本実施の形態に係る発明のPAPRのCCDF(Complementary Cumulative Distribution Function:相補累積分布関数)、すなわちPAPRの発生確率の特性を比較した。従来技術とは、上述のような演算を加えずにサブキャリア変調信号からベースバンド信号を生成する方法である。
【0096】
図6は、シミュレーションしたベースバンド信号のPAPRのCCDF特性を示す図である。横軸はPAPR(単位:dB)、縦軸はPAPRのCCDFである。本実施の形態においては正の閾値および負の閾値の絶対値をτとし、τの値を変化させた。従来技術のPAPRのCCDF特性が太い実線のグラフであり、本実施の形態においてτ=0.05とした場合が細い実線のグラフであり、τ=0.1の場合が点線のグラフであり、τ=0.5の場合が一点鎖線のグラフであり、τ=1の場合が二点鎖線のグラフである。図に示す範囲において、本実施の形態に係る発明のPAPRはいずれの場合も従来技術と比べて低減されており、τを大きくすることで、PAPRがより低減されることがわかる。
【0097】
BERについて同様にシミュレーションを行った。
図7は、シミュレーションしたBER特性を示す図である。横軸はEb/No(Energy per Bit to NOise power spectral density ratio:ビットエネルギー対雑音電力密度比)、縦軸はBERである。Eb/Noの単位はdBである。従来技術のBERはプロット点を四角で表した実線のグラフであり、本実施の形態においてτ=0.05とした場合がプロット点を三角で表した実線のグラフであり、τ=0.1の場合がプロット点を丸で表した実線のグラフであり、τ=0.5の場合がプロット点を菱形で表した実線のグラフであり、τ=1の場合がプロット点を四角で表した点線のグラフである。
【0098】
本実施の形態ではτを大きくするにつれて、BERが劣化している。τを大きくすることで、小さい値が雑音に埋もれてしまうためである。また伝送路における雑音の影響により振分後サブデータの要素の大小関係が変わってしまった場合、受信側で入力信号を正しく復元することができない。しかしBERは、送信電力を上げることで、改善することが可能である。
【0099】
図8は、シミュレーションしたPAPR特性と閾値との関係を示す図である。横軸は正の閾値および負の閾値の絶対値であるτ、縦軸はPAPR(単位:dB)である。閾値を0.001から1まで変化させ、入力信号としてランダム信号および同一信号をそれぞれ用いて同様のシミュレーションを行った。同一信号とは、サブキャリア変調信号の各要素の位相が同一である信号である。入力信号としてランダム信号を用いた場合が太い実線のグラフであり、同一信号を用いた場合が細い実線のグラフである。
【0100】
入力信号にランダム信号を用いた場合、同一信号を用いた場合のいずれにおいても、閾値を大きくするにつれて、PAPRが低減されていることがわかる。
【0101】
上述のシミュレーションにより、本実施の形態においては、実部データと虚部データに所定の演算を施し、該演算結果に基づき生成した振分後サブデータに所定の振分後の演算を施して合成し、ベースバンド信号を生成することでPAPRを低減できることがわかった。また正の閾値および負の閾値を変更することでPAPRの低減の程度を制御できることがわかった。
【0102】
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。変調部11の変調方式は、QPSKに限られず、QPSK以外のPSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調)などを用いることができる。変調部11と直並列変換部12の順序を変えて、入力信号を直並列変換してサブキャリア信号に割り当て、並列信号の各データを所定の変調方式で変調するよう構成してもよい。その場合、受信側では復調部31と並直列変換部32の順序を変えて、復調処理を行う。
【0103】
IFFT部13は、IFFTの代わりにIDFTを行うよう構成してもよいし、FFT部33は、FFTの代わりにDFTを行うよう構成してもよい。実部演算部151および虚部演算部152の演算処理は上述の実施の形態に限られず、例えば4つの要素を含む振分後サブデータを生成するよう構成してもよい。