(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸部と前記軸部の一端部に設けられた頭部とをもつワークのうち前記頭部を前記軸部の上側とし且つ前記軸部を鉛直方向に沿わせるように前記ワークを垂下状態の正姿勢に整列させるワーク整列装置であって、
縦方向に延びる中心線の回りに形成された筒形状の内周壁面をもつ固定壁部を有する基体と、
前記基体の前記固定壁部の内周側に配置され前記基体の前記中心線の回りで水平方向に沿って回転可能に設けられた回転リングと、
前記回転リングを中心線の回りで水平方向に沿って回転させる回転駆動源と、
前記基体に設けられ前記垂下状態の正姿勢に整列された前記ワークを排出させるワーク排出部とを具備しており、
前記基体の前記固定壁部は、前記回転リングの周方向に沿って延設され前記ワークの頭部を接近または載置させて前記頭部の位置を規制させる固定規制面を有し、前記回転リングは、前記回転リングの周方向に沿って延設され前記ワークの前記頭部を接近または載置させて前記頭部の位置を規制させる回転規制面を有しており、
前記回転リングおよび前記基体の前記固定壁部は、前記ワークの前記頭部を軸部の上側とし且つ前記ワークの前記軸部を鉛直方向に沿って下方に向かって垂下させるように複数の前記ワークを垂下状態の正姿勢で整列させる整列溝を形成しており、
前記整列溝は、前記回転リングの周方向に沿って延設されており、上方が開放されるように前記回転リングの外周壁面と前記基体の前記固定壁部の内周壁面との間に配置され、
前記回転リングの前記回転規制面は、垂下状態の正姿勢とされた前記ワークの前記頭部を接近または載置させるように前記回転リングの周方向に沿って延設された第1回転規制面と、垂下状態の正姿勢とされた前記ワークの前記頭部を接近または載置させるように前記第1回転規制面よりもΔhぶん下方に位置しかつ前記回転リングの周方向に沿って延設された第2回転規制面とを有しており、
前記回転リングは、前記第2回転規制面のうち前記回転リングの回転方向の上流側に形成された第1係合面と、前記第2回転規制面のうち前記回転リングの回転方向の下流側に形成された第2係合面とを有することを特徴とするワーク整列装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ワークは、軸部と、軸部の一端部に設けられた頭部とをもつ。頭部は軸部の外径よりも大きい外径を有するものであり、鍔形状も含む。ワークは螺子、ボルト、リベット、ピンでも良く、更には、樹脂等への埋設部材等が挙げられ
る。回転リングの規制面は、垂下状態で正姿勢とされたワークの頭部を接近または載置させるように回転リングの周方向に沿って延設された第1回転規制面と、垂下状態とされたワークの頭部を接近または載置させるように第1回転規制面よりもΔhぶん下方に位置しかつ回転リングの周方向に沿って延設された第2回転規制面とを有する。この場合、回転リングは、第2回転規制面のうち回転リングの回転方向の上流側に形成された第1係合面と、第2回転規制面のうち回転リングの回転方向の下流側に形成された第2係合面とを有する。
【0015】
好ましい形態によれば、第1係合面は、垂下状態の正姿勢に整列させたワークを排出部に向けて前進させるように回転リングが正方向に回転とするとき、第2回転規制面に頭部が載置されたワークのうち頭部をワーク排出部に向けて前進させるように押圧させる押圧面である。押圧面は鉛直方向に形成されていることが好ましい。頭部を効果的に前進させ得るためである。
【0016】
また、好ましい形態によれば、第2係合面は、第2回転規制面から第1回転規制面に向かうにつれて昇り坂となる傾斜面で形成され、回転リングが中心線の回りで逆方向に回転とするとき、第2回転規制面に頭部が載置されたワークのうち頭部を第2回転規制面から第1回転規制面に移し替えて頭部を第1回転規制面において相対滑走可能とさせる。この場合、回転リングが逆方向に回転するときであっても、ワークが逆方向に回転することが抑制される。
【0017】
好ましい形態によれば、中心線に沿って切断した断面において、回転リングは規制面の下方に位置する接触係合部を有する。接触係合部は、頭部が規制面に載置されたワークのうち整列溝に進入した軸部の先端部と係合させ、且つ、ワークが回転リングと共に移動する移動力を前記係合により補助する。回転リングが回転するとき、ワークを排出部に向けて移動させる効率を高めることができる。
【0018】
好ましい形態によれば、中心線に沿って切断した断面において、回転リングの外周壁面と基体の固定壁部の内周壁面のうちの少なくとも一方は、ワークの軸部が当該一方に接触する頻度を低下させることにより、回転リングおよび/またはワークの損傷を抑える逃がし空間を有する。この場合、回転リングおよび/またはワークの損傷が抑制される利点が得られる。
【0019】
好ましい形態によれば、基体は、(i)多数のワークを収容させるホッパー室と、(ii)ホッパー室において上死点と下死点との間において中心線が延びる方向に沿って上昇および下降可能に配置され上昇に伴いワークを回転リングの回転規制面に移動させる昇降部材と、(iii)昇降部材をこれの上死点と下死点との間において昇降させる昇降駆動源とを有する。昇降駆動原が上昇方向に駆動すると、ホッパー室において昇降部材が上昇し、ホッパー室に装入されたワークを回転リングの回転規制面に接近または載置させることができる。この状態で昇降駆動原が下降方向に駆動すると、ワークを載せた昇降部材が下降し、ワークをホッパー室に戻すことができる。
【0020】
好ましい形態によれば、回転リングの外周壁面の一部に当接可能な回転体が回転リングの周方向に沿って複数並設されている。この場合、使用期間が長くなったとしても、回転リングの同軸性が良好に確保される。ひいては回転リングの外周側に形成される整列溝の溝幅寸法を回転リングの周方向に安定化させるのに貢献できる。よって、ワークの軸部を進入させてワークを正姿勢にさせる精度の安定化に貢献できる。
【0021】
(実施形態1)
図1〜
図8は実施形態1のワーク整列装置を示す。
図1に示すように、ワーク整列装置で整列されるワーク1は、軸部10と、軸部10の一端部に設けられた頭部11とをもつ。頭部11の外径は軸部10の外径よりも径大である。頭部11は下面12をもつ。ワーク1は軸線Pwをもつ。このワーク整列装置は、ワーク1のうち頭部11を軸部10の上側とし、且つ、軸部10を鉛直方向に垂下させるように、ワーク1を垂下状態の正姿勢に並設させた状態で整列させる機能をもつ。
【0022】
図1に示すように、ワーク整列装置の主要素である基体2は、縦方向(鉛直方向)に延びる中心線Pを有しており、中心線Pと交差する方向に延設され水平方向に沿って延びる底壁20と、縦方向に延びる中心線Pの回りに巡らされ底壁20の上側に形成された筒状の第1壁部21と、中心線Pの回りに巡らされ第1壁部21の上側に形成された筒状の第2壁部22と、第1壁部21と第2壁部22とを取付具27xで繋ぐ鍔状の固定リング23とを有する。
図1に示すように、第2壁部22の内周側には、筒状の固定壁部24が同軸的に取付具27により一体的に固定されている。固定壁部24の高さをhw(
図1,
図3参照)として示す。固定壁部24は平滑な筒形状の内周壁面24iをもつ。
図1に示すように、基体2は、ワーク1を収容するためのホッパー室30を有する。ホッパー室30は、第1壁部21の内周壁面21iで形成され多数のワーク1を収容する筒状の第1ホッパー室30fと、第1ホッパー室30fの上側に位置するように第2壁部22の内周壁面22iの上側で形成された筒状の第2ホッパー室30sとを有する。第2ホッパー室30sの内径D2は、第1ホッパー室30fの内径D1よりも大きくされている(
図1参照)。
【0023】
図1に示すように、回転リング4は、基体2の中心線Pの回りで1周するリング状をなしており、基体2の固定壁部24の内周側に配置されており、中心線Pの回りで水平方向に沿って回転可能に設けられている。回転リング4は、中心線Pに対して互いに同軸的な内周壁面4iと外周壁面4pとを有する。回転リング4は第1壁部21の外周側において回転可能とされている。回転リング4はリング形状をなしており、上方からの投影面積が同一外径の円板に比較して少ないため、回転リング4に載せられるワーク1の数は制限される。よって、回転リング4を回転させるための回転駆動源(後述する回転モータ90)が過剰に大型化することが抑制される。
【0024】
図2は本装置の平面視を示す。
図2に示すように、基体2のゲート部35からワーク排出部36が延設されており、後述する整列溝5により垂下状態の正姿勢に整列された複数のワーク1を排出方向(矢印M1方向)滑走させることにより順次排出させるものであり、互いに対向する案内部材37を有する。この場合、重力を利用してワーク1を排出方向に滑走させることが好ましい。案内部材37は、ワーク1を垂下状態の正姿勢に整列させたまま、ワーク1の頭部11を支持させつつ重力により滑走させて次工程に移動させる。
図2に示すように、ワーク排出部36はゲート部35から基体2の接線方向に沿って延設されている。場合によっては、ワーク排出部36はコンベヤベルト等でワーク1を搬送させることにしても良い。
【0025】
更に、ゲート部35のやや上流においてガスブロー部38(
図2および
図7参照)が設けられている。ガスブロー部38はガスブローを矢印M2方向に吹き出す。この結果、回転リング4の回転規制面40に載置されているワーク1のうち、垂下状態の正姿勢でないワーク1(異状姿勢のワーク1W)を回転リング4の回転規制面40からガスブローによってホッパー室30に落下させることができる。よってゲート部35において、異状姿勢のワーク1Wが詰まる現象が抑制される。
図1に示すように、基体2の固定壁部24は、中心線Pの回りにおいて回転リング4の周方向に沿ってリング状に同軸的に延設されている。
図3に拡大して示すように、固定壁部24の上端面は、リング状に延びる平坦な固定規制面26とされている。固定規制面26は、正姿勢のワーク1の頭部11を接近または載置させて頭部11の姿勢を規制させ得る平坦な面とされている。固定壁部24のリング状の内周壁面24iは、平滑されている。固定規制面26および内周壁面24iは、中心線Pのまわりでほぼリング状に延設されている(
図2参照)。
図3に示すように、回転リング4は、回転リング4の周方向(矢印A1,A2方向)に沿って延設されており、ワーク1の頭部11を載置させ得るリング状をなす回転規制面40をもつ。回転規制面40は、ワーク1の頭部11を接近または載置させて頭部11の姿勢を規制させ得る。なお、回転リング4および固定壁部24は中心線Pに対して互いに同軸的な配置とされている。
【0026】
図2に示すように、回転リング4の外周側には、周方向に円弧状に延びる複数個の拡大溝43が周方向(矢印A1,A2方向)に間隔を隔てて形成されている。拡大溝43の周長はLC(
図2参照)として示される。
図2に示すように、回転リング4は周長の一端側の第1係合面44と、周長の他端側の第2係合面45ともつ。第1係合面44は、第2回転規制面42のうち回転リング4の正方向(矢印A1方向)の回転の上流側に形成されている。第2係合面45は、第2回転規制面42のうち回転リング4の正方向(矢印A1方向)の回転の下流側に形成されている。
【0027】
拡大溝43を拡大した平面視は
図4に示されている。
図4に示すように平面視において、拡大溝43自体は回転リング4の外周側および上方が開放されており、径方向において溝幅W2をもつ。第1係合面44は、鉛直方向に沿っており、第1回転規制面41に対して例えば80〜100°でほぼ垂直状に形成されている。
【0028】
ところで、ワーク1の頭部11が第2回転規制面42に接近または載置された状態で軸部10が垂下状態となるように整列溝5に進入した状態で、ワーク1が正姿勢に整列溝5内に整列されている場合には、回転リング4が正方向(矢印A1方向)に回転するとき、回転リング4の第1係合面44は、第2回転規制面42に頭部11が載置されたワーク1のうち頭部11に接触する。この結果、第1係合面44は押圧力FA(
図4および
図5参照)で頭部11を前進方向(矢印A1方向)に押圧させ、ワーク排出部36に向けて正方向(矢印A1方向)に前進させることができる。ここで、
図4および
図5から理解できるように、第1係合面44はほぼ鉛直方向に沿って形成されているため、ワーク1の頭部11を前進方向(矢印A1方向)に効果的に押圧できる。
【0029】
図3および
図6に示すように、回転リング4の回転規制面40は、回転リング4の上面となるように周方向に沿って延設された平坦な第1回転規制面41と、第1回転規制面41よりもΔhぶん下方に位置しかつ回転リング4の周方向に沿って延設された平坦な第2回転規制面42とを有する。第1回転規制面41は、垂下状態とされたワーク1の頭部11を接近または載置させて頭部11の姿勢を規制させ得る。第2回転規制面42の高さは、固定規制面26の高さとほぼ同一とされている。従って、第2回転規制面42および固定規制面26は、軸部10が垂下状態とされ正姿勢とされたワーク1の頭部11の下面12を接近または載置させ得、従って、ワーク1の姿勢を良好にできる機能をもつ。
図4から理解できるように、第2回転規制面42は、拡大溝43の溝底面を形成しており、第1回転規制面41よりもΔhぶん下方に位置している。
図4の平面視では、第2回転規制面42は、回転リング4の外周壁面4pに沿って、正回転方向(矢印A1方向)の上流側の一端42e(第1係合面44)から、正回転方向(矢印A1方向)の下流側の他端42f(第2係合面45)に向けて円弧状に延びている。
【0030】
本実施形態によれば、
図3は、基体2の中心線Pに沿って切断した要部の拡大断面を示す。
図3に示すように、回転リング4は、第2回転規制面42および固定規制面26よりも寸法hc(
図3参照)ぶん下方に位置する鍔リング状の接触係合部46を有する。
図3に示すように、ワーク1の軸部10が垂下状態で整列溝5に進入すると、軸部10の先端部10e(下端部)は、接触係合部46の鍔状の接触係合面47に接触して係合するように、接触係合部46は設定されている。従って、接触係合部46の接触係合面47と軸部10の先端部10e(下端部)との間の摩擦係合力FAが期待できる。このため、回転リング4が正方向(矢印A1方向)に回転するとき、ワーク1が回転リング4と共に同方向(矢印A1方向)移動する移動力を摩擦係合力FAにより補助することができる。従って本実施形態によれば、ワーク1を前進させる移動力は、基本的には、ワーク1の頭部11を直接押圧させる第1係合面44と、摩擦係合力FAを発揮させるワーク1の軸部10の先端部10eに係合する接触係合部46の接触係合面47とで実現される。ワーク1は工業製品であるため、ワーク1の軸部10の長さは公差内でばらつくおそれがある。本実施形態によれば、このように軸部10の長さがばらつくときであっても、頭部11の下面12が回転リング4の第2回転規制面42に接触するよりも、軸部10の先端部10e(下端部)は優先的に接触係合部46の接触係合面47に接触して係合するように、接触係合部46および第2回転規制面42の寸法関係が設定されている。このため、ワーク1の頭部11を押圧させる第1係合面44と、接触係合部46の接触係合面47とで、複数のワーク1を効果的に前進させることができる。つまり、頭部11側の押圧力PAと、軸部10の先端部10e側の摩擦係合力FAとにより、ワーク1を前進できる。
【0031】
なお、一般的には、軸部10の先端部10e(下端部)は優先的に接触係合部46の接触係合面47に接触して係合するとき、頭部11の下面12と第2回転規制面42(固定規制面26)との間には微小隙間Δm(
図3,
図5,
図6参照)が形成される。回転リング4の第2回転規制面42と固定壁部24の固定規制面26は、微小隙間Δmを形成するものの、ワーク1の頭部11の下面12に対面し、更には、ワーク1が過剰に傾くと下面12に接触可能であるため、ワーク1の正姿勢状態を良好に維持できる作用をもつといえる。但し、ワーク1の公差精度によっては、軸部10の先端部10e(下端部)が接触係合部46の接触係合面47に接触して係合するとともに、頭部11の下面12と第2回転規制面42(固定規制面26)に接触することもある。この場合においても、ワーク1の正姿勢状態は良好に維持される。
【0032】
図1および
図2に示すように、回転リング4の外周壁面4pと基体2の固定壁部24の内周壁面24iとでリング状をなす整列溝5を区画している。整列溝5は、ワーク1の軸部10を鉛直方向に垂下させつつ正姿勢で整列させるための溝である。正姿勢では、頭部11が上側となり、下側の軸部10が垂直方向に沿う。
図2に示すように、整列溝5は、回転リング4の周方向(A1,A2方向に沿って)に沿って中心線Pの回りをほぼ1周するようにリング状に延設されており、上方が開放されている。
【0033】
図4に示すように、リング状の整列溝5自体は、回転リング4の径方向(基体2の径方向である矢印D1方向に相当)において、溝幅W1をもつ。溝幅W1は、ワーク1の頭部11の最大外径E2よりも小さく、且つ、軸部10の最大外径E1よりも大きい。このため、回転リング4が回転するとき、整列溝5はワーク1の頭部11を進入させないものの、ワーク1の軸部10を落下させて進入させ得る。従って、ワーク1の頭部11の下面12は、回転リング4のうち第1回転規制面41よりもΔhぶん下方に位置する第2回転規制面42と固定壁部24の固定規制面26とに接近または接触可能となる。
【0034】
図4から理解できるように、回転リング4の外周側に拡大溝43が形成されている領域MAによれば、拡大溝43の内周面43iと固定壁部24の内周壁面24iとの間の溝幅W3は、回転リング4の径方向において拡大溝43の溝幅W2ぶん増加し、ワーク1の頭部11の最大外径E2よりも大きい。従って、拡大溝43の溝底面である第2回転規制面42に頭部11の下面12を接近または載置できる(
図4参照)。
【0035】
これに対して回転リング4の外周側に拡大溝43が形成されていない領域MBによれば、
図4に示すように、ワーク1の軸部10は整列溝5に落下して進入できるものの、ワーク1の頭部11は整列溝5および拡大溝43内に進入できない。更に、ワーク1の頭部11は、回転リング4のうち第2回転規制面42よりもΔhぶん上方の第1回転規制面41に接触状態に載置される。この場合、第1回転規制面41とワーク1の頭部11との摩擦が期待される。第1回転規制面41とワーク1の頭部11との摩擦面積および摩擦力が期待できない場合には、回転リング4が回転するとき、第1回転規制面41上の頭部11は第1回転規制面41に対して相対滑走する可能性が高い。この場合、回転リング4が回転するものの、ワーク1は回転リング4の回転方向にあまり移動できない。
【0036】
本実施形態によれば、
図5(A)に示すように、回転リング4に形成されている第2係合面45は、下側の第2回転規制面42から上側の第1回転規制面41に向かうにつれて昇り坂となる傾斜面で形成されている。使用時において回転リング4の正回転などにおいて過剰負荷が作用するときには、これを検知した制御装置200により回転リング4が中心線Pの回りで逆方向(矢印A2方向)に回転されることがある。このように回転リング4が逆方向(矢印A2方向)に回転されるとき、拡大溝43の溝底面である第2回転規制面42に頭部11が載置された正姿勢のワーク1については、
図5(B)に示すように、第2回転規制面42に載置されていた頭部11を第2係合面45により上方(
図5に示す矢印Y4方向)に持ち上げ、第2回転規制面42から第1回転規制面41に移し替えることができる。このときワーク1の軸部10の先端部10eは接触係合面46からΔhk(
図5参照)ぶん浮上し、非接触となる。
【0037】
このように回転リング4が逆方向(矢印A2方向)に回転されるとき、第1係合面44による押圧力はワーク1の頭部11に作用しない。このため、ワーク1の頭部11の下面12と回転リング4の第1回転規制面41とを相対滑走させることが期待できる。従って、回転モータが逆回転(矢印A2方向)して回転リング4が逆方向(矢印A2方向)に回転されるときであっても、ワーク1の頭部11を矢印A2方向に過剰に後退させることが抑制される。
【0038】
本実施形態によれば、
図6に示すように、回転リング4の第1回転規制面41,第1壁部21の上端面21u,固定壁部24の上端面である固定載置面26は、基本的には同一高さとされている。この場合、ワーク1の異常な引っかかりが抑えられる。
【0039】
図6に示すように、回転リング4の外周壁面4pは、内周側に縮径されて退避された縮径壁面48を有する。従って、リング状の逃がし空間49が形成されている。逃がし空間49は、固定壁部24の内周壁面24iからの溝幅寸法EA(
図6参照)を増加させている。このため、整列溝5で正姿勢で整列されたワーク1の軸部10が回転リング4の外周壁面4pに接触する頻度を低下させることができる。よって回転リング4および/またはワーク1の損傷を抑える。なお、逃がし空間49は中心線Pの回りを1周するようにリング状をなす。ワーク1の損傷を抑えるためには、回転リング4の外周壁面4p、固定壁部24を軟質の材料(例えば、樹脂等の高分子材料、硬度が比較的低めの金属材料)で形成することができる。但しこれに限定されるものではない。
【0040】
本実施形態によれば、
図1に示すように、基体2は、多数のワーク1を収容させるホッパー室30と、ホッパー室30の底面を形成する昇降部材60と、昇降部材60を昇降させる昇降シリンダ62(昇降駆動源)とを有する。昇降部材60は、ホッパー室30において上死点と下死点との間において、中心線Pが延びる方向に沿って上昇(矢印Y1方向)および下降(矢印Y2方向)可能に配置されている。
図8は昇降部材60が矢印Y1方向に上昇した状態を示す。このように昇降部材60が上昇すると、昇降部材60のワーク保持面61に載せられている複数のワーク1を回転リング4の第1回転規制面41または第2回転規制面42に移動させることができる。
【0041】
図8に示すように、昇降部材60のワーク保持面61は、基体2の径外方向(矢印DE方向)に向かうにつれて下降傾斜するように形成されている。このため、昇降部材60のワーク保持面61に載せられたワーク1の数が少ないときであっても、ワーク保持面61に載せられているワーク1を回転リング4の第1回転規制面41、第2回転規制面42および整列溝5側に向けて移動させ易いため、ワーク1の軸部10を整列溝5に進入させ易いという利点が得られる。昇降シリンダ62は、昇降部材60をこれの上死点と下死点との間において昇降させる空気圧または油圧などの流体圧シリンダ装置で形成されており、本体部620と、本体部620に対して伸縮可能なロッド部622とを有する。昇降部材60はロッド部622の先端部623に連結されている。場合によっては、昇降シリンダ62に代えて昇降モータを採用しても良い。
【0042】
整列溝5に進入して軸部10が垂下状態とされて整列されたワーク1によれば(
図4および
図5参照)、頭部11は軸部10の上側となり、軸部10は鉛直方向に沿って下方に向かって垂下する。これがワーク1の正姿勢である。このように複数のワーク1は、頭部11を軸部10の上側にしつつ整列溝5に垂下状態で1列に並設された状態で整列される。この状態で、回転リング4が中心線Pの回りで正方向(矢印A1方向)に回転すると、複数のワーク1は軸部10が整列溝5に垂下状態で進入した正姿勢のまま(
図7参照)、ワーク排出部36に向けて正方向(矢印A1方向)に向けて回転され、ゲート部35を通過してワーク排出部36から基体2の外部に向けて矢印M1方向(
図7参照)に排出される。異状姿勢(軸部10が整列溝5に進入されていない姿勢、軸部10が回転リング4の回転載置面40に載置されている姿勢)のワーク1Wが回転リング4の回転載置面40に載置されていることもある。この場合には、ガスブロー部38から矢印M2方向に吹き出されるガスブローによって、正姿勢はでない異状姿勢のワーク1Wはホッパー室30に落下される。このためゲート部35におけるワーク1の詰まりが抑制される。なす
図7では、ストッパ300の図示は省略されている。
【0043】
本実施形態によれば、
図1に示すように、基体2の第2壁部22の上部には、第2ホッパー室30sからのワーク1の脱落を抑えるためのワークセンサ7が設けられている。ワークセンサ7は、光等の電磁波70を第2壁部22の貫通孔を介して発信させる発信部71と、発信部71から発信された電磁波70を第2壁部22の貫通孔を介して受信する受信部72とを有する。昇降部材60の上昇によって持ち上げられたワーク1により光や電波等の電磁波70が遮断されると、その信号は制御装置200に入力され、制御装置200は昇降シリンダ62の駆動量を制限する。このため昇降部材60の過剰上昇が防止され、昇降部材60の過剰上昇に起因して、ワーク1が第2壁部22の上端から過剰に持ち上げられることが抑制され、ひいてはホッパー室30の外方に脱落することが抑制される。
【0044】
すなわち、ホッパー室30に収容されているワーク1の数が増加しているとき、第1ホッパー室30f内のワーク1の集団の高さが高くなる。昇降シリンダ62が上昇作動してワーク1の集団が電磁波70に触れると、制御装置200は、昇降シリンダ62の上昇を停止させるため、昇降シリンダ62の高さ方向の駆動量が制限される。このように昇降部材60の矢印Y1方向への上昇量が減少するため、ワーク1が第2壁部22の上端から第2ホッパー室30sの外方に脱落することが抑制される。これに対して、ホッパー室30に収容されているワーク1の数が減少してワーク1の集団の高さが低くなったとしても、ワーク1が電磁波70に当たるまで制御装置200は昇降シリンダ62を上昇作動させるため、昇降シリンダ62の上昇駆動量が増加し、昇降部材60の上昇量が増加する。このためワーク1の数が減少した場合であっても、ワーク1を回転リング4の外周側の整列溝5に進入させることができる。このように昇降部材60に載せられているワーク1の数に応じて、昇降部材60の上死点の高さは変更され、昇降部材60に載せられているワーク1の数が減少すると、昇降部材60の上死点の高さは高くなる。
【0045】
しかして、本装置の使用方法の代表例について説明を加える。まず、昇降シリンダ62のロッド部622を収縮させることにより、昇降部材60を下始点に配置して初期位置とし、ホッパー室30の収容容積を増加させる。このようにホッパー室30の収容容積を増加させた状態で、手作業または自動機器で、多数のワーク1を第1ホッパー室30fに装入して収容させる。この結果、ワーク1は第1ホッパー室30fで下死点付近に待機している昇降部材60のワーク保持面61に載せられる。この状態では、多数のワーク1は、第1ホッパー室30fのみに存在し、第2ホッパー室30sには存在しないことが好ましい。初期位置では、第2ホッパー室30sにワーク1が収容されていない方が好ましい。その理由としては、第2ホッパー室30sにワーク1が収容される程にワーク1の数が多い場合には、昇降シリンダ62が上昇作動して昇降部材60が矢印Y1方向に上昇すると、ワーク1が上昇し過ぎて基体2の外方に溢れるためである。なお、第1ホッパー室30fにおいては、多数のワーク1はアトランダムに多方向に指向している。
【0046】
次に、制御装置200は、昇降シリンダ62を駆動させて昇降部材60を第1ホッパー室30f内において矢印Y1方向に上昇させ、ワーク1を第1ホッパー室30f内において昇降部材60のワーク保持面61で第2ホッパー室30s側に持ち上げる。持ち上げられたワーク1のうち上端のワーク1が電磁波70に触れると、制御装置200は昇降シリンダ62の上昇を停止させ、速やかに下死点に向けて下降させる。
【0047】
ここで、ワーク1が第1ホッパー室30fから昇降部材60のワーク保持面61で第2ホッパー室30s側に持ち上げられるとき、昇降部材60のワーク保持面61に載せられている外周側のワーク1は、径外方(
図8に示すDP方向)に溢れて移動し、ひいては、昇降部材60の外周側に配置されている回転リング4の回転規制面40に載せられる。この結果、回転リング4が停止しているとき、あるいは、回転リング4の回転に伴い、ワーク1の軸部10が整列溝5に進入すると共に頭部11が第2回転規制面42に設置されるように、ワーク1が垂下状態の正姿勢で整列溝5内で整列される。
【0048】
次に、昇降シリンダ62が前述したように下死点に向けて下降作動すると、昇降部材60が複数のワーク1と共にホッパー室30内で矢印Y2方向に下降する。このとき、回転リング4の回転規制面40に載らなかったワーク1は、昇降部材60のワーク保持面61に載せられた状態で、下降して第1ホッパー室30fに戻る。
【0049】
回転リング4はリング形状をなしており、上方からの投影面積が同一外径の円板に比較して少ない。このため、ホッパー室30内に収容されているワーク1の数が多数であるときであっても、回転リング4に載せられるワーク1の数は制限される。よって、回転リング4を回転させるための回転駆動源(回転モータ90)が過剰に大型化することが抑制され、回転駆動源(回転モータ90)の小型化に貢献できる。
【0050】
昇降シリンダ62が矢印Y2方向への下降を開始すると、制御装置200は、まず、ワーク1を載せた回転リング4を回転モータ90により中心線Pの回りで逆方向(
図2に示す矢印A2方向)に所定角度θ10(例えば20〜100°)ぶん逆回転させる。これによりゲート部35のゲート部35付近に絡んでいるワーク1を落下させる。その後、制御装置200は、回転リング4を回転モータによりホッパー室30の中心線Pの回りで正方向(矢印A1方向)に所定角度(例えば200〜360°,θ20>θ10)ぶん所定速度で回転する。このように回転リング4が回転するとき、回転リング4に載らなかったワーク1は、既に第1ホッパー室30fの底側に戻されて待機しており、回転リング4の内周側には存在していない。このため、回転リング4に載らなかったワーク1が回転リング4の回転に過剰に干渉したり接触したりすることが回避され、回転リング4の円滑な回転が確保される。
【0051】
回転リング4の整列溝5内に軸部10が進入して正姿勢(垂下状態)に整列された複数のワーク1は、回転リング4の正方向(矢印A1方向)の回転によりゲート部35にまで移送される。そして、正姿勢のワーク1は、ゲート部35を通過し、排出部36に移送される。これに対して、回転リング4に載せられているものの整列溝5で整列されていない異状姿勢のワーク1Wは、ゲート部35の手前のガスブロー部38から吹き出されるブローにより、回転リング4の回転規制面40から強制的に除去され、ホッパー室30に落下する。このようにして垂下状態の正姿勢に整列された正姿勢のワーク1のみがゲート部35から排出部36に排出される。
【0052】
その後、制御装置200は、昇降シリンダ62を再び駆動させて昇降部材60をホッパー室30内において矢印Y1方向に再び上昇させ、ワーク1を昇降部材60のワーク保持面61で第2ホッパー室30s側に持ち上げる。持ち上げられたワーク1のうち上端のワーク1が電磁波70に触れると、制御装置200は昇降シリンダ62の上昇を停止させ、再び速やかに下死点に向けて下降させる。
【0053】
ところで、上記したように回転リング4を正方向(矢印A1方向)に回転させているとき、後述の回転モータ90のトルクが過剰になるおそれがある。この場合、ワーク1がゲート部35等に絡んでいるおそれがある。このため回転リング4を所定角度θ3(例えば20〜100°)逆回転させることが好ましい。これによりゲート部35のゲート部35等に絡んでいるワーク1をホッパー室30に落下させ易くなる。
【0054】
また回転モータ90を逆回転させて回転リング4を逆方向(A2方向)させるとき、整列溝5に整列したワーク1等が逆回転(A2方向)してストッパ300(
図2参照)と当たろうとするおそれがある。しかし本実施形態によれば、
図5に示すように整列溝5の第2係合面45が上記したように傾斜している。このため、回転モータ90を逆回転させて回転リング4を逆方向(A2方向)させるとき、ワーク1の頭部11はA2方向に過剰に後退しない。即ち、ワーク1はストッパ300(
図2参照)に向けて逆回転(A2方向)へ過剰に後退しない。すなわち、ストッパ300の手前の領域300X(
図2参照)において、ストッパ300と第2係合面45との間にワーク1が挟まること、回転モータ90のモータトルクが過剰になることが防止できる。つまり、第2係合面45が上記したように傾斜しているため、回転モータ90を逆回転させて回転リング4を逆方向(矢印A2方向)に回転させるとき、ワーク1が詰まること、回転モータ90のモータトルクが過剰になることが防止される。
【0055】
すなわち、前述したように、回転リング4を逆回転(A2方向)させて回転リング4を逆方向(逆方向(矢印A2方向)に回転させるとき、第1係合面44による押圧力はワーク1の頭部11に作用しない。このため
図5に示すように、ワーク1の頭部11を矢印Y4方向に浮上させ、ワーク1の頭部11の下面12と回転リング4の第1回転規制面41とを相対滑走させることが期待できる。従って、回転モータ90が逆回転して回転リング4が逆方向(矢印A2方向)に回転されるときであっても、ワーク1の頭部11を矢印A2方向に過剰に後退させることが抑制される。
【0056】
その後、制御装置200は、回転リング4を回転モータ90により中心線Pの回りで正方向(矢示A1方向)に所定速度で回転する。なお、後述の回転モータ90のトルクが過剰になると、制御装置は、再び、回転モータ90の逆回転、その後の正回転を実施する。
【0057】
上記したように本実施形態によれば、昇降部材60の上昇、回転リング4へのワーク1の載置、昇降部材60の下降、回転リング4の回転によるワーク排出部36への移送が繰り返される。これによりホッパー室30に収容されているワーク1は、整列溝5により整列され、更に排出部36から排出される。
【0058】
以上説明したように本実施形態によれば、回転リング4の回転に伴い、整列溝5に進入したワーク1によれば、頭部11は軸部10の上側となり、軸部10は鉛直方向に沿って下方に向かって垂下して正姿勢で整列する。このように複数のワーク1は回転リング4の回転に伴い整列溝5に垂下状態の正姿勢で整列される。この状態で、回転リング4が中心線Pの回りで正方向(矢印A1方向)に回転すると、ワーク1は整列溝5に垂下状態の正姿勢のまま、排出部36に移動され、ワーク排出部36から基体2の外部に排出される。
【0059】
加えて本実施形態によれば、
図1および
図3に示すように、回転リング4の外周壁面4pに当接可能なローラ外周面81をもつ複数の回転体80が、回転リング4の外周部の周方向において間隔を隔てて分散して空転可能に設けられている。
図3に示すように、回転体80は、直円筒形状またはローラ形状をなしており、鉛直方向に延びる軸線P3の回りで回転可能とされている。回転体80の外径はDX(
図3参照)として示される。回転体80は、固定リング23に軸部10(
図3参照)により軸線P3回りで回転可能に支持されている。
図3に示すように、基体2の径方向(DE方向)において、回転体80は、基体2の直筒形状をなす第2壁部22と回転リング4との間において設けられており、回転リング4の外周壁面4pのうち摺動案内面401に対して摺動する。回転リング4が中心線P回りで回転するとき、回転リング4の外周壁面4pの摺動案内面401との摩擦で複数の回転体80がこれの軸線P3まわりで空転し、軸受け機能を果たす。この場合、回転リング4の円滑回転性が確保される。更に、回転リング4の回転同軸性が確保され、回転リング4の回転が円滑となる利点が得られる。従って整列溝5の溝幅W1の安定化に貢献できる。ひいてはワーク1を正姿勢とさせる精度の安定化に貢献できる。
【0060】
本実施形態によれば、
図3に示すように、回転体80は、回転リング4の外周壁面4pの凹状をなす摺動案内面401に外周側から対面する。摺動案内面401は中心線Pを中心としてリング状に形成されているが、摺動案内面401の外径D5はベルト取付面403の外径D6よりも小さく設定されている(
図3参照)。よって回転体80を摺動案内面401にあてがったとしても、装置全体の径方向の小型化に貢献できる。
【0061】
回転リング4の外周壁面4pのうちのリング状のベルト取付面403には、エンドレス状のタイミングベルト94が嵌合されて取り付けられている。
図3に示すように、ワーク1の軸部10の先端部10eを接触係合させるための接触係合面47を形成するための接触係合部46を有効利用して、タイミングベルト94を取り付けるためのベルトベルト取付面403が形成されている。この場合、回転リング4のコンパクト化を図り得る。また、
図3に示すように、回転モータ90からの駆動トルクを受ける側のベルト取付面403の外径D6は、摺動案内面401の外径D5よりも大きく設定されている。このため、回転モータ90およびタイミングベルト94を介してベルト取付面403を回転させる回転トルクを増加させるのに有利である。
【0062】
更に
図3に示すように、回転リング4を回転させる回転駆動源として機能する回転モータ90が基体2にモータ取付具91により設けられている。
図3に示すように、回転モータ90の縦向きのモータ軸92は駆動ギヤ93をもつ。駆動ギヤ93の外歯状の歯部93aは、タイミングベルト94の外歯状の歯部94aに噛み合う。ここで、回転モータ90が正方向に回転駆動すると、モータ軸92の軸線P6の回りで駆動ギヤ93が回転し、タイミングベルト94がホッパー室30の中心線P回りで回転し、回転リング4が中心線Pの回りで正方向に回転する。なお、モータ90が逆回転すると、回転リング4は逆回転する。ここで、外径が大きな回転リング4の外周面に外歯を切削加工等で形成すると、コスト高となるが、タイミングベルト94を回転リング4の外周壁面4pのベルト取付面403に嵌着させて取り付ければ、コスト低減を図り得る。タイミングベルト94の歯部94aが損傷しても、タイミングベルト94を交換すれば良い。更に、タイミングベルト94は芯帯を埋設した高分子材料で形成されているため、噛合音の低減にも有利である。但し、場合によっては、回転リング4の外周壁面4pに切削加工や転造加工等で外歯を形成することにしても良い。
【0063】
(実施形態2)
図9は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示すため、
図1〜
図3等を準用できる。同一機能を奏する部位には、共通の符号を付する。
図9に示すように、ワーク1は軸部10と軸部10よりも径大な頭部11とを有する。
図9は、ワーク1の頭部11が回転リング4の拡大溝43内に落下して第2回転規制面42に載置され、且つ、軸部10が鉛直方向に垂下して整列溝5に進入している正姿勢で整列されている状態を示す。
図9から理解できるように、本実施形態においても、実施形態1と同様に、回転リング4に形成されている第1係合面44は鉛直方向に延びているため、ワーク1の頭部11を前進方向に押圧できる。従って、本実施形態によれば、第1係合面44は頭部11を前進方向(
図2に示す矢印A1方向)に押圧でき、ワーク移動力が確保される。このため、軸部10の先端部10eは接触係合部46の接触係合面47に接触していない。この場合には、第1係合面44の押圧力に基づいて、ワーク1を矢印A1方向(
図2参照)に前進させることができる。
【0064】
更に
図9に示すように、基体2の第2壁部22の内周側に取付具27により固定されている固定壁部24の内周壁面24iには、凹状の拡径壁面250が径外方向に退避しつつリング状に形成されている。この結果、回転リング4に形成された凹状の縮径壁面48と固定壁部24の凹状の拡径壁面250とにより、逃がし空間49の幅寸法EAが更に増加されている。この場合、ワーク1の軸部10が回転リング4の外周壁面4pや固定壁部24の内周壁面24iに干渉することが更に抑制される。
【0065】
(
参考例)
図10は
参考例を示す。
この形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。
図10に示すように、ワーク1は軸部10と軸部10よりも径大な頭部11とを有する。頭部11の外径E2は軸部10の外径E1よりもかなり大きく設定されている。従って、回転リング4の回転規制面40とワーク1の頭部11の下面12との摩擦面積SAが大きく、摩擦係合力も大きい。このため回転リング4が正方向に回転されるとき、この摩擦係合力によりワーク1の頭部11も同方向に移動される。
【0066】
このため実施形態1で形成されていた鉛直方向に延びる第1係合面44は、回転リング4に設けられていない。同様に、第1係合面44を形成するためにΔhぶん下側に位置する第2回転規制面42は形成されていない。同様に、第2回転規制面42を形成するための拡大溝43も回転リング4には形成されていない。
図10に示す
参考例によれば、ワーク1の軸部10の先端部10eは接触係合部46の接触係合面47に接触していない。但し、ワーク1の軸部10の先端部10eを接触係合部46の接触係合面47に接触させても良い。
【0067】
(その他)
上記した実施形態1によれば、回転リング4を正方向に回転させるにあたり、まず、最初に逆回転させるが、場合によっては逆回転させずとも良い。更に、ワーク1センサを廃止し、昇降シリンダ62の昇降量を一定量にしても良い。回転リング4の回転円滑性が確保されるときには、回転体80を廃止しても良い。回転リング4の外周部にエンドレス状のタイミングベルトを嵌着させているが、回転リング4の外周部に外歯部を直接形成しても良い。昇降部材60のワーク保持面61は、ワーク1を持ち上げ得る限り、平坦状としても良い。
【0068】
ワーク1の形状としては、特に限定されず、要するに、軸部10と、軸部10よりも径大な頭部11とを有していれば良い。ホッパー室30は第1ホッパー室30fと第2ホッパー室30sとに分かれているが、これに限らず、浅い底をもつホッパー室としても良い。この場合、多数のワークを上方に持ち上げる必要がないため、昇降駆動源として機能する昇降シリンダ62を廃止することもできる。この場合、ワーク1を回転リング4の上に適宜供給させることが好ましい。
【0069】
昇降駆動源を使用するときであっても、昇降シリンダ62に限定されず、モータ機構を昇降駆動源として利用しても良い。回転駆動源としてはモータに限定されず、回転方向に駆動させるシリンダ等でも良く、要するに、回転リング4を周方向に回転させ得るものであれば良い。回転リング42は360°1周するような形状が好ましいが、場合によっては、300〜355°程度のCリングでも良い。ワーク1センサは発信部と受信部とを有するが、これに限らず、ワーク1が満杯に近いことを検知するメカニカルなスイッチでも良い。ワーク1の絡みが少ないときには、ガスブロー部38を廃止しても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。