(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5704435
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】車両のアンダーランプロテクタ取付構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/56 20060101AFI20150402BHJP
【FI】
B60R19/56
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-250633(P2010-250633)
(22)【出願日】2010年11月9日
(65)【公開番号】特開2012-101631(P2012-101631A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】上原 律
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−115254(JP,U)
【文献】
特開2000−280841(JP,A)
【文献】
特開平08−324363(JP,A)
【文献】
実開昭59−091973(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/56
B60R 19/24
B60R 19/04
B62D 21/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームの前部下方又は後部下方に配置されて車幅方向に延びるアンダーランプロテクタと、
前記アンダーランプロテクタとは異なる構造物を取り付けるために前記車体フレームに対して固定される構造物取付ブラケットと、
車幅方向に延びる回転軸を介して前記構造物取付ブラケットに連結され、前記回転軸を中心として前記車体フレームに対して揺動自在に支持されるとともに、前記アンダーランプロテクタが取り付けられるプロテクタ取付部と、前記車体フレームに対する揺動可能範囲を制限する揺動範囲制限部とを有するプロテクタ取付ブラケットと、
前記車体フレームと前記揺動範囲制限部との間に介在し、前記プロテクタ取付ブラケットの揺動に応じて弾性変形する弾性部材と、を備え、
前記プロテクタ取付ブラケットの揺動範囲制限部は、前記車体フレームの上面の上方に配置される上板部を有し、
前記回転軸は、前記車体フレームの下面の下方に配置される
ことを特徴とする車両のアンダーランプロテクタ取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両のアンダーランプロテクタ取付構造であって、
前記プロテクタ取付ブラケットの揺動範囲制限部は、前記車体フレームの下面の下方に配置される下板部を有し、
前記弾性部材は、前記車体フレームの上面と前記上板部との間に配置される第1ラバーマウントと、前記車体フレームの下面と前記下板部との間に配置される第2ラバーマウントと、を有し、
前記車体フレームは、前記プロテクタ取付ブラケットの上板部と下板部との間に、前記第1ラバーマウントと前記第2ラバーマウントとを介して挟まれる
ことを特徴とする車両のアンダーランプロテクタ取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両のアンダーランプロテクタ取付構造であって、
前記回転軸は、前記プロテクタ取付ブラケットのプロテクタ取付部の後方又は前方に配置され、該プロテクタ取付ブラケットを前記車体フレームに対して上下方向に揺動自在に連結する
ことを特徴とする車両のアンダーランプロテクタ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームの前方又は後方に配置されるアンダーランプロテクタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック等の車高の高い車両(以下、大型車両と称する)に乗用自動車等の車高の低い車両(以下、小型車両と称する)が前面衝突又は追突した際、小型車両が大型車両の下側に潜り込む恐れがある。かかる不都合を防止するために、大型車両では、車両の前部又は後部にアンダーランプロテクタを配設することが知られている。このようなアンダーランプロテクタは、ブラケット等の支持部材を介して車体フレームに強固に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−263196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブレーキジャダー等の駆動系・制動系からの振動が発生すると、キャブが共振したり、車体フレームが低い周波数帯で弾性共振したりする。アンダーランプロテクタは、車体フレームに固定されているため、車体フレームが低い周波数で弾性共振した場合、車体フレームに追従して動く。かかる不都合に対し、アンダーランプロテクタとブラケットとの間にラバーマウントを介在させて、アンダーランプロテクタをダイナミックダンパとして利用して、車体フレームが弾性共振することを防止することが考えられる。
【0005】
しかしながら、ラバーマウントとして市販品を用いる場合、柔らかいものを選択して用いたときであっても、アンダーランプロテクタの最も低い共振周波数は45Hz程度であり、一般的に6Hz程度である車体フレームの共振周波数に比べて遥かに高く、アンダーランプロテクタをダイナミックダンパとして機能させることは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、アンダーランプロテクタの本来の機能を損なわずにダイナミックダンパとしての機能を持たせた車両のアンダーランプロテクタ取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明に係る車両のアンダーランプロテクタ取付構造は、車体フレームと、アンダーランプロテクタと、構造物取付ブラケットと、プロテクタ取付ブラケットと、弾性部材とを備える。
【0008】
アンダーランプロテクタは、車体フレームの前部下方又は後部下方に配置されて車幅方向に延びる。構造物取付ブラケットは、アンダーランプロテクタとは異なる構造物を取り付けるために車体フレームに対して固定される。プロテクタ取付ブラケットは、車幅方向に延びる回転軸を介して構造物取付ブラケットに連結され、回転軸を中心として車体フレームに対して揺動自在に支持される。プロテクタ取付ブラケットは、アンダーランプロテクタが取り付けられるプロテクタ取付部と、車体フレームに対する揺動可能範囲を制限する揺動範囲制限部とを有する。弾性部材は、車体フレームと揺動範囲制限部との間に介在し、プロテクタ取付ブラケットの揺動に応じて弾性変形する。
プロテクタ取付ブラケットの揺動範囲制限部は、車体フレームの上面の上方に配置される上板部を有する。回転軸は、車体フレームの下面の下方に配置される。
【0009】
上記構成では、車体フレームが低い周波数帯で弾性共振すると、アンダーランプロテクタとプロテクタ取付ブラケットとは、弾性部材の弾性変形によって、車体フレームに対して振り子運動のように一体的に揺動する。アンダーランプロテクタは、プロテクタ取付ブラケットと共に揺動することによって、車体フレームの弾性共振による振動を吸収する。すなわち、アンダーランプロテクタは、車体フレームに対して振り子運動のように揺動するので、アンダーランプロテクタとプロテクタ取付ブラケットとの間に弾性部材を介在させる場合に比べて、共振周波数を低く設定することができる。従って、アンダーランプロテクタの共振周波数を、車体フレームの共振周波数に一致または近づくように設定することが可能となり、アンダーランプロテクタをダイナミックダンパとして機能させることができる。
【0010】
また、車両の衝突時にアンダーランプロテクタに荷重が入力し、プロテクタ取付ブラケットが弾性部材の弾性域を超えて回転軸を中心として揺動(回転移動)した場合、揺動範囲制限部によってプロテクタ取付ブラケットの回転移動が制限され、アンダーランプロテクタの移動が阻止される。従って、アンダーランプロテクタによる潜り込み防止機能が損なわれることがなく、アンダーランプロテクタの本来の機能を確保することができる。
【0011】
さらに、プロテクタ取付ブラケットは、アンダーランプロテクタとは異なる構造物を取り付けるために車体フレームに対して固定される構造物取付ブラケットによって支持されるので、プロテクタ取付ブラケットを支持するための構造物を車体フレームに新たに設ける必要がない。従って、車体フレームの構造や他の部品のレイアウトを変更することなく、アンダーランプロテクタを取り付けることができる。
【0012】
また、プロテクタ取付ブラケットの揺動範囲制限部は、車体フレームの下面の下方に配置される下板部を有してもよい。弾性部材は、車体フレームの上面とプロテクタ取付ブラケットの上板部との間に配置される第1ラバーマウントと、車体フレームの下面とプロテクタ取付ブラケットの下板部との間に配置される第2ラバーマウントと、を有してもよい。車体フレームは、プロテクタ取付ブラケットの上板部と下板部との間に、第1ラバーマウントと第2ラバーマウントとを介して挟まれる。
【0013】
上記構成では、車体フレームがプロテクタ取付ブラケットの上板部と下板部との間に第1ラバーマウントと第2ラバーマウントとを介して挟まれた状態となり、車体フレームによるプロテクタ取付ブラケットの弾性支持状態が安定する。従って、アンダーランプロテクタのダイナミックダンパとしての性能を向上させることができる。
【0014】
また、プロテクタブラケットの上板部と下板部との間に車体フレームが挟まれた状態となるので、アンダーランプロテクタへの荷重入力時のプロテクタ取付ブラケットの回転移動は、車体フレームによって確実に規制される。従って、アンダーランプロテクタの潜り込み防止機能を十分に確保することができる。
【0015】
また、回転軸は、プロテクタ取付ブラケットのプロテクタ取付部の後方又は前方に配置され、プロテクタ取付ブラケットを車体フレームに対して上下方向に揺動自在に連結してもよい。
【0016】
上記構成では、アンダーランプロテクタの揺動中心がプロテクタ取付部の後方又は前方に位置するため、アンダーランプロテクタの揺動中心をプロテクタ取付部の上方又は下方に設定した場合に比べて、回転軸とアンダーランプロテクタの質量中心との距離や回転軸と弾性部材との距離を長く設定することが可能となり、結果として、アンダーランプロテクタがダイナミックダンパとしての機能を良好に発揮する周波数を、車体フレームの共振周波数に一致または近づく周波数域(例えば6Hz程度)に設定し易くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンダーランプロテクタの本来の機能を損なうことなく、アンダーランプロテクタにダイナミックダンパとしての機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るアンダーランプロテクタ取付構造を備えたキャブオーバートラックの模式側面図である。
【
図2】アンダーランプロテクタ取付構造の要部拡大斜視図である。
【
図5】本発明をリアアンダーランプロテクタに適用した場合のキャブオーバートラックの模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方を、図中INは車幅方向内側をそれぞれ示している。また、以下の説明における前後方向は、車両の前後方向を意味し、左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、キャブ2が概ねエンジン(図示省略)より前方に位置するキャブオーバー型の車両であり、車両1の前部には、アンダーランプロテクタ取付構造3を備えている。このアンダーランプロテクタ取付構造3は、車両1の左右に対称的に設けられて、共通のフロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)5を左右で支持する。なお、左右のアンダーランプロテクタ取付構造3はほぼ同様の構成を有するため、以下では右側について説明し、左側の説明を省略する。
【0021】
図2〜
図4に示すように、アンダーランプロテクタ取付構造3は、車幅方向両側で前後方向に延設されたシャシフレーム(車体フレーム)4と、シャシフレーム4の前部下方に配置されて車幅方向に延びるフロントアンダーランプロテクタ5と、フロントアンダーランプロテクタ5をシャシフレーム4によって支持するためのプロテクタ取付ブラケット6と、リーフサスペンション(他の構造物)9をシャシフレーム4に対して固定するためのサスペンション取付ブラケット(構造物取付ブラケット)15と、シャシフレーム4とプロテクタ取付ブラケット6との間に介在する第1ラバーマウント(弾性部材)7及び第2ラバーマウント(弾性部材)8とを備えている。
【0022】
シャシフレーム4は、起立する側壁部10と、側壁部10の上下方向の両端から車幅方向内側へ向かって相対向して延びる上壁部11及び底壁部12とを備えた断面略U形状を有する。
【0023】
シャシフレーム4の底壁部12の下面の所定位置には、サスペンション取付ブラケット15が固定されている。サスペンション取付ブラケット15は、底壁部12の下面に溶着等によって固定される上壁部40と、上壁部40の左右の両端から下方へ延びる左右1対の側壁部41とを有する。側壁部41には、回転軸13が挿通可能な回転軸支持孔43が形成されている。
【0024】
回転軸13は、中央部分のリーフサスペンション支持部44と、リーフサスペンション支持部の両側(外側)に形成された第1雄ネジ部(図示省略)と、その外側に形成された軸受支持部45と、その外側の外端部に形成された第2雄ネジ部46とを一体的に有する。リーフサスペンション支持部44と第1雄ネジ部と軸受支持部45と第2雄ネジ部46とは、同一の軸心(回転軸13の軸心)を有し、軸受支持部45及び第2雄ネジ部46は、リーフサスペンション支持部44及び第1雄ネジ部よりも細く形成されている。
【0025】
リーフサスペンション9の前端部には、回転軸挿通孔47が形成されている。リーフサスペンション9の前端部をサスペンション取付ブラケット15の側壁部41の間に挿入し、側壁部41の回転軸支持孔43とリーフサスペンション9の回転軸支持孔43とに回転軸13を挿通し、側壁部41から突出する左右の第1雄ネジ部に左右からそれぞれナット48を螺合して締め付けることによって、回転軸13がサスペンション取付ブラケット15に固定的に支持されるとともに、リーフサスペンション9の前端部が回転軸13のサスペンション支持部44によって支持される。リーフサスペンション9の前端部とサスペンション取付ブラケット15の側壁部41との間には、リーフサスペンション9の左右方向の移動を規制するスペーサ49が設けられている。
【0026】
フロントアンダーランプロテクタ5は、薄肉の鋼板からなり、前壁部17と後壁部20と上壁部18と下壁部19とを有する矩形閉断面状に形成されている。後壁部20の所定位置には、ボルト(図示省略)が挿通可能なボルト挿通孔(図示省略)が形成され、後壁部20の前面(内面)には、ボルトと螺合するナット(図示省略)が溶接等により固着されている。フロントアンダーランプロテクタ5の両端部には、キャップ25が装着される。
【0027】
プロテクタ取付ブラケット6は、左右1対の側板部29と左右のプロテクタ取付部30と上板部(揺動範囲制限部)32と下板部(揺動範囲制限部)33とを有し、シャシフレーム4によって所定位置に支持される。なお、以下では、所定位置に支持された状態のプロテクタ取付ブラケット6について説明する。
【0028】
左右の側
板部29は、シャシフレーム4の車幅方向内側と外側とにそれぞれ配置され、前後方向に沿って起立する。側壁部29は、シャシフレーム4よりも下方からシャシフレーム4よりも上方まで延びる前側の弾性支持部34と、シャシフレーム4よりも下方で弾性支持部34から後方へ延びる後側の連結支持部35とを一体的に有する。
【0029】
左右のプロテクタ取付部30は、左右の弾性支持部34の前下部からそれぞれ左右に曲折して車幅方向へ延びる。プロテクタ取付部30には、ボルト挿通用孔(図示省略)が形成されている。フロントアンダーランプロテクタ5の後壁部20の後面をプロテクタ取付部30の前面に当接し、後壁部20及びプロテクタ取付部34のボルト挿通用孔にボルトを挿通し、このボルトを後壁部20の内面に固着されたナットと螺合することによって、フロントアンダーランプロテクタ5にプロテクタ取付ブラケット6が締結固定される。
【0030】
上板部32は、その車幅方向の両端縁が左右の弾性支持部34の上端縁に接合されて、左右の弾性支持部34を連結する。下板部33は、その車幅方向の両端縁が左右の弾性支持部34の内側面の中間部分に接合されて、左右の弾性支持部34を連結する。上板部32と下板部33とは、上下で対向し、上板部32の下面と下板部33の上面との高さ方向の距離は、シャシフレーム4の高さ(上壁部11の上面と底壁部12の下面との高さ方向の距離)よりも大きく設定されている。
【0031】
連結支持部35の後端部には、軸受50が装着される軸受収容孔51が形成されている。軸受50は、連結支持部35に溶着等によって固定される外リング体(図示省略)と、外リングの内径部に配置されて外リングと相対回転する内リング体(図示省略)とを有する。左右の連結支持部35の内リング体の内径部52に回転軸13の左右の軸受支持部45をそれぞれ挿通した状態で、軸受50から突出する左右の第2雄ネジ部46に左右からそれぞれナット53を螺合して締め付けることによって、外リング体との相対回転が許容されたまま内リング体が回転軸13に締結固定される。これにより、プロテクタ取付ブラケット6は、回転軸13を中心として上下方向に揺動自在にシャシフレーム4に対して連結される。
【0032】
この連結状態で、プロテクタ取付ブラケット6の上板部32は、シャシフレーム4の上面(上壁部11の上面)の上方に配置されて上壁部11の上面と対向し、下板部33は、シャシフレーム4の下面(下壁部12の下面)の下方に配置されて下壁部12の下面と対向する。上板部32と下板部33とは、シャシフレーム4に対するプロテクタ取付ブラケット6の揺動可能範囲を制限する。第1ラバーマウント7は、上板部32の下面とシャシフレーム4の上壁部11の上面との間の隙間を埋めるように上板部32と上壁部11との間に介在し、プロテクタ取付ブラケット6の揺動に応じて弾性変形する。第2ラバーマウント8は、下板部33の上面とシャシフレーム4の底壁部12の下面との間の隙間を埋めるように下板部33と底壁部12との間に介在し、プロテクタ取付ブラケット6の揺動に応じて弾性変形する。
【0033】
本実施形態によれば、シャシフレーム4が低い周波数帯(例えば6Hz程度)で弾性共振(主に縦曲げ共振)すると、アンダーランプロテクタ5とプロテクタ取付ブラケット6とは、第1ラバーマウント7及び第2ラバーマウント8の弾性変形によって、シャシフレーム4に対して振り子運動のように一体的に上下方向に揺動する。アンダーランプロテクタ5は、プロテクタ取付ブラケット6と共に揺動することによって、シャシフレーム4の弾性共振による振動を吸収する。
【0034】
このように、アンダーランプロテクタ5は、シャシフレーム4に対して振り子運動のように揺動するので、フロントアンダーランプロテクタ5とプロテクタ取付ブラケット6との間に弾性部材を介在させる場合に比べて、共振周波数を低く設定することができる。従って、アンダーランプロテクタ5の共振周波数を、シャシフレーム4の共振周波数に一致または近づくように設定することが可能となり、アンダーランプロテクタ5をダイナミックダンパとして機能させることができる。
【0035】
また、プロテクタ取付ブラケット6の上板部32と下板部33との間にシャシフレーム4が挟まれた状態となるので、車両1の衝突時にフロントアンダーランプロテクタ5に後方への荷重が入力し、プロテクタ取付ブラケット6が第1ラバーマウント7や第2ラバーマウント8の弾性域を超えて回転軸13を中心として回転移動した場合、上板部32がシャシフレーム4に上方から当接し、または下板部33がシャシフレーム4に下方から当接して、プロテクタ取付ブラケット6の回転移動を制限する。これにより、フロントアンダーランプロテクタ5の後方への移動が確実に阻止される。従って、フロントアンダーランプロテクタ5による潜り込み防止機能が損なわれることがなく、フロントアンダーランプロテクタ5の本来の機能を十分に確保することができる。
【0036】
また、シャシフレーム4がプロテクタ取付ブラケット6の上板部32と下板部33との間に第1ラバーマウント7と第2ラバーマウント8とを介して挟まれた状態となり、シャシフレーム4によるプロテクタ取付ブラケット6の弾性支持状態が安定する。従って、フロントアンダーランプロテクタ5のダイナミックダンパとしての性能を向上させることができる。
【0037】
また、プロテクタ取付ブラケット6は、リーフサスペンション9を取り付けるためにシャシフレーム4に固定されたサスペンション取付ブラケット15によって支持され、且つリーフサスペンション9とプロテクタ取付ブラケット6とは、共通の回転軸13によって支持されるので、プロテクタ取付ブラケットを連結するための構造物や回転軸をシャシフレーム4に新たに設ける必要がない。従って、シャシフレーム4の構造や他の部品のレイアウトを変更することなく、アンダーランプロテクタ5を取り付けることができる。
【0038】
また、フロントアンダーランプロテクタ5の揺動中心をプロテクタ取付部30の後方に配置しているので、フロントアンダーランプロテクタ5の揺動中心をプロテクタ取付部30の上方又は下方に設定した場合に比べて、回転軸13とフロントアンダーランプロテクタ5の質量中心との距離や回転軸13と弾性部材(第1ラバーマウント7及び第2ラバーマウント8)との距離を長く設定することが可能となり、結果として、フロントアンダーランプロテクタ5がダイナミックダンパとしての機能を良好に発揮する周波数を、シャシフレーム4の共振周波数に一致または近づく周波数域(例えば6Hz程度)に設定し易くなる。
【0039】
また、プロテクタ取付ブラケット6と回転軸13との連結部分に軸受50を介在させているので、プロテクタ取付ブラケット6の揺動に起因したナット48,53の緩みを確実の抑制することができる。
【0040】
さらに、シャシフレーム4とフロントアンダーランプロテクタ5とサスペンション取付ブラケット15との相対位置が共通する車両間において、部品の共通化が可能である。
【0041】
なお、本実施形態では、アンダーランプロテクタ取付構造3を、車両1の前方に配置されるフロントアンダーランプロテクタ5に適用したが、
図5に示すように、車両の後方(車体フレームの後部下方)に配置されるリアアンダーランプロテクタ60に適用することも可能である。また、プロテクタ取付ブラケット6を揺動自在に支持する回転軸を、リーフサスペンション9以外の他の構造物を取り付けるためにシャシフレーム4に固定されたブラケットによって支持してもよい。さらに、揺動範囲制限部は、上板部32及び下板部33に限定されず、シャシフレーム4に対するプロテクタ取付ブラケット6の揺動範囲を制限するものであればよい。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 車両
3 アンダーランプロテクタ取付構造
4 シャシフレーム(車体フレーム)
5 フロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)
6 プロテクタ取付ブラケット
7 第1ラバーマウント(弾性部材)
8 第2ラバーマウント(弾性部材)
9 リーフサスペンション(他の構造物)
13 回転軸
15 サスペンション取付ブラケット(構造物取付ブラケット)
26 第1ブラケット
27 第2ブラケット
30 プロテクタ取付部
32 上板部(揺動範囲制限部)
33 上板部(揺動範囲制限部)
50 軸受
60 リアアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)