(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるガスタービン燃料制御装置によって燃料制御される、ガスタービン発電プラントの燃料ガス供給系統の概略構成例を示す構成図である。同図に示す燃料ガス供給系統700では、燃料ガス1供給源701の供給する燃料ガス1(第1の燃料)と、燃料ガス2供給源702の供給する燃料ガス2(第2の燃料)とを、混合器703が混合して混合燃料ガスを生成する。ここで、燃料ガス1と燃料ガス2とは、組成の異なるガスであり、燃料ガス1と燃料ガス2と混合率に応じて、混合燃料ガスのカロリーや密度が変化する。燃料ガス1と燃料ガス2とは、例えばBFG(Blast Furnace Gas、高炉ガス)と、COG(Coke Oven Gas、コークス炉ガス)とである。なお、以下では燃料ガスを単に燃料とも称する。
混合器703が生成した混合燃料ガスは、ガスコンプレッサーや燃料ガスヒータ(FGH)等を経由した後、メイン燃料系統と、パイロット燃料系統と、トップハット燃料系統とに分岐される。
【0017】
ここで、メイン燃料は、燃焼ガスを生成するために燃焼器751に供給される燃料であり、パイロット燃料やトップハット燃料と区別してメイン燃料と称される。パイロット燃料は、ガスタービン752の起動時に、メイン燃料に先立って燃焼器751に供給される燃料である。トップハット燃料は、燃料混合気における燃料濃度の均一化を図るために燃焼器751に供給される燃料である。
【0018】
メイン燃料系統では、メイン圧力調節弁711が圧力を調整した混合燃料ガスが、メイン弁間配管712を経由してメイン流量調節弁713に入力される。メイン流量調節弁713は、入力される混合燃料ガスの流量を調節して出力する。メイン流量調節弁713が出力した混合燃料ガスは、メインマニホールド714で分岐されて、メインノズル715の有する複数のノズルから、燃焼器751の燃焼室内に供給される。
なお、点P111は、メイン流量調節弁713の上流(入口側)の点であり、点112は、メイン流量調節弁713の下流(出口側)の点である。これらの点は、後述する燃料ガス圧力等の測定箇所を示す。
【0019】
また、パイロット燃料系統では、パイロット圧力調節弁721が圧力を調整した混合燃料ガスが、パイロット弁間配管722を経由してパイロット流量調節弁723に入力される。パイロット流量調節弁723は、入力される混合燃料ガスの流量を調節して出力する。パイロット流量調節弁723が出力した混合燃料ガスは、パイロットマニホールド724で分岐されて、パイロットノズル725の有する複数のノズルから、燃焼器751の燃焼室内に供給される。
なお、点P121は、パイロット流量調節弁723の上流(入口側)の点であり、点122は、パイロット流量調節弁723の下流(出口側)の点である。これらの点は、後述する燃料ガス圧力等の測定箇所を示す。
【0020】
また、トップハット燃料系統では、トップハット圧力調節弁731が圧力を調整した混合燃料ガスがトップハット弁間配管732を経由してトップハット流量調節弁733に入力される。トップハット流量調節弁733は、入力される混合燃料ガスの流量を調節して出力する。トップハット流量調節弁733が出力した混合燃料ガスは、トップハットマニホールド734で分岐されて、トップハットノズル735の有する複数のノズルから、燃焼器751の燃焼室内に供給される。
なお、点P131はトップハット流量調節弁733の上流(入口側)の点であり、点132は、トップハット流量調節弁733の下流(出口側)の点である。これらの点は、後述する燃料ガス圧力等の測定箇所を示す。
【0021】
燃焼器751とタービン752は、ガスタービンの一部を構成する。燃焼器751は、メインノズル715、パイロットノズル725、およびトップハットノズル735から供給される混合燃料ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成し、タービン752に出力する。タービン752は、燃焼器751から出力される燃焼ガスを作動ガスとして回転駆動する。
【0022】
図2は、同実施形態におけるガスタービン燃料制御装置の概略構成を示す構成図である。同図において、ガスタービン燃料制御装置100は、圧力取得部101と、燃料温度取得部102と、燃焼特性取得部103と、流量指令値設定部104と、弁容量取得部111と、弁開度特性記憶部121と、弁開度決定部122と、流量調節弁制御部131とを具備する。
ガスタービン燃料制御装置100は、例えばガスタービンを制御するガスタービン制御装置の一部分を構成し、燃料ガスの流量調節弁の開度を調節することによってガスタービンに供給される燃料流量を調節する。
圧力取得部101は、点P111および点P112(
図1)に設置される圧力計を有し、メイン流量調節弁713(
図1)を通過する前の混合燃料ガスの圧力である上流圧と、メイン流量調節弁713を通過した後の混合燃料ガスの圧力である下流圧とを測定する。そして、圧力取得部101は、測定した上流圧と下流圧とを弁容量取得部111に出力する。
なお、メイン圧力調節弁711が、メイン流量調節弁713における上流圧と下流圧との差圧(以下、上流圧と下流圧との差圧を、単に「差圧」と称する)を一定に制御している場合、圧力取得部101は、この差圧の設計値を予め記憶しておき、下流圧測定値に差圧を加算して上流圧を算出するようにしてもよい。これにより、上流圧を測定する必要が無くなり、圧力計の数を削減できる。
【0023】
燃料温度取得部102は、点P111に設置される温度計を有し、メイン流量調節弁713の入口における燃料ガス温度を測定する。そして、燃料温度取得部102は、測定した燃料ガス温度を弁容量取得部111に出力する。
燃焼特性取得部103は、点P111に設置されるガス密度計を有し、メイン流量調節弁713に入力される混合燃料ガス密度を測定する。また、燃焼特性取得部103は、点P111に設置されるガスカロリー計を有し、メイン流量調節弁713に入力される混合燃料ガスカロリーを測定する。そして、燃焼特性取得部103は、測定したガス密度とガスカロリーとを、弁容量取得部111に出力する。なお、このガス密度とガスカロリーとは、燃料成分に係わる燃焼特性の具体例である。ここでいう、燃料成分に係わる燃焼特性とは、燃料を構成する成分によって変化し、かつ、ガスタービン出力に影響する特性である。
流量指令値設定部104は、ガスタービン発電プラント運転員による出力設定値や外気温度等の諸条件に基づいてメイン燃料系統から燃焼器751への燃料流量指令値を算出し設定する。
【0024】
弁容量取得部111は、弁容量と上流圧及び下流圧及び燃料温度等との関係を示す式(2)を予め記憶している。
【0026】
ここで、C
vは燃料ガスカロリーおよび密度補正後の弁容量、G
ref_baseは設計基準での燃料流量指令値(kg/s、キログラム毎秒)、γ
0_baseはガス密度設計基準値(kg/Nm3、キログラム/ニュートン・立方メートル)、γ
0_measはガス密度測定値(kg/Nm3)、tはガス温度(℃、摂氏度)、P
1は上流圧(kg/cm2a、キログラム毎平方センチメートルの絶対圧)、P
2は下流圧(kg/cm2a)、ΔPは上流圧と下流圧との差圧(kg/cm2、キログラム毎平方センチメートル)、LHV
_baseは燃料ガスカロリー設計基準値(kcal、キロカロリー)LHV
_measは燃料ガスカロリー測定値(kcal)を、それぞれ示す。
【0027】
そして、弁容量取得部111は、圧力取得部101から出力される上流圧および下流圧と、燃料温度取得部102から出力される燃料ガス温度と、燃焼特性取得部103から出力されるガス密度と、流量指令値設定部104の設定する燃料流量指令値とを式(2)に代入して、メイン流量調節弁713の弁容量を算出する。
そして、弁容量取得部111は、算出したメイン流量調節弁713の弁容量を、弁開度決定部122に出力する。
【0028】
ここで、式(2)は、式(1)に相当する、燃料ガス密度設計値および燃料ガスカロリー設計値の下での弁容量を示す右辺第1項から第3項「(G
ref_base/289)√(γ
0_base(t+273)/(1.2928ΔP(P
1+P
2)))×1.057×(3600/γ
0_base)」と、燃料ガス密度測定値に基づいて弁容量を補正する第4項「√(γ
0_base/γ
0_meas)」と、燃料ガスカロリー測定値に基づいて弁容量を補正する第5項「LHV
_base/LHV
_meas」とから成る。
従って、弁容量取得部111は、式(2)を用いて弁容量を算出することにより、メイン流量調節弁713の弁容量を算出する弁容量算出工程と、弁容量算出工程で算出した前記弁容量を、燃焼特性に基づいて補正する弁容量補正工程とを実行する。
【0029】
弁開度特性記憶部121は、メイン流量調節弁713の弁開度特性として、メイン流量調節弁713の弁容量と弁開度との関係を予め記憶している。
図3は、弁開度特性記憶部121が記憶する、メイン流量調節弁713の弁容量と弁開度との関係の例を示す図である。弁開度特性記憶部121は、この関係を、弁容量を入力とし弁開度を出力とする関数にて記憶する。あるいは、弁開度特性記憶部121が、弁容量と弁開度との関係を示すテーブルを記憶するなど、他の方法で関係を記憶するようにしてもよい。
【0030】
弁開度決定部122は、弁容量取得部111から出力される弁容量と、弁開度特性記憶部121の記憶するメイン流量調節弁713の弁容量と弁開度との関係とに基づいて、弁開度を決定する。例えば、弁開度決定部122は、弁開度特性記憶部121の記憶する弁容量と弁開度との関係を示す関数に、弁容量取得部111から出力される弁容量を代入して弁開度を算出し、メイン流量調節弁713の弁開度を算出した弁開度に決定する。
そして、弁開度決定部122は、決定した弁開度を流量調節弁制御部131に出力する。
流量調節弁制御部131は、弁開度決定部122から出力される弁開度に従って、メイン流量調節弁713の弁開度を制御する。
【0031】
また、ガスタービン燃料制御装置100は、パイロット流量調節弁723およびトップハット流量調節弁733(
図1)に対しても、同様に弁開度制御を行う。
すなわち、パイロット流量調節弁723に対して、圧力取得部101は、点P121に設置される圧力計で上流圧を測定し、点P122に設置される圧力計で下流圧を測定する。また、燃料温度取得部102は、点P121に設置される温度計で燃料ガス温度を測定する。また、燃焼特性取得部103は、点P121に設置されるガス密度計で燃料ガス密度を測定し、点P121に設置されるガスカロリー計で燃料ガスカロリーを測定する。また、流量指令値設定部104は、パイロット燃料系統から燃焼器751への燃料流量指令値を算出し設定する。
【0032】
そして、弁容量取得部111は、これら測定値および設定値を式(2)に代入してパイロット流量調節弁723の弁容量を算出する。また、弁開度特性記憶部121は、パイロット流量調節弁723の弁容量と弁開度との関係を予め記憶している。そして、弁開度決定部122は、弁容量取得部111が算出する弁容量と、弁開度特性記憶部121の記憶する、パイロット流量調節弁723の弁容量と弁開度との関係とに基づいて、弁開度を決定する。そして、流量調節弁制御部131は、弁開度決定部122が決定した弁開度に従って、パイロット流量調節弁723の弁開度を制御する。
【0033】
同様に、トップハット流量調節弁733に対して、圧力取得部101は、点P131に設置される圧力計で上流圧を測定し、点P132に設置される圧力計で下流圧を測定する。また、燃料温度取得部102は、点P131に設置される温度計で燃料ガス温度を測定する。また、燃焼特性取得部103は、点P131に設置されるガス密度計で燃料ガス密度を測定し、点P131に設置されるガスカロリー計で燃料ガスカロリーを測定する。また、流量指令値設定部104は、トップハット燃料系統から燃焼器751への燃料流量指令値を算出し設定する。
【0034】
そして、弁容量取得部111は、これら測定値および設定値を式(2)に代入してトップハット流量調節弁733の弁容量を算出する。また、弁開度特性記憶部121は、トップハット流量調節弁733の弁容量と弁開度との関係を予め記憶している。そして、弁開度決定部122は、弁容量取得部111が算出する弁容量と、弁開度特性記憶部121の記憶する、トップハット流量調節弁733の弁容量と弁開度との関係とに基づいて、弁開度を決定する。そして、流量調節弁制御部131は、弁開度決定部122が決定した弁開度に従って、トップハット流量調節弁733の弁開度を制御する。
【0035】
以上のように、弁容量取得部111は、メイン流量調節弁713等の上流圧や下流圧や燃料ガス温度や流量指令値に基づいて、メイン流量調節弁713等の弁容量を算出し、燃料ガス密度および燃料ガスカロリーに基づいて、算出した弁容量を補正する。そして、流量調節弁制御部131は、弁容量取得部111が補正した弁容量に基づく弁開度に従って、メイン流量調節弁713等の弁開度を制御する。
このように弁容量取得部111が燃料ガス密度や燃料ガスカロリーなどの燃料ガス特性に基づいて弁容量を補正するので、燃料ガス特性が設計値から変化した場合に、より適切に流量調節弁を制御することができる。
【0036】
なお、ガスタービン燃料制御装置100が制御対象とする燃料ガス供給系統は、
図1に示すものに限らない。例えば、
図1の例とは異なり単一種類の燃料ガスを用いるガスタービン発電プラントにおいても、ガスタンクに蓄えられた燃料ガスの成分が重量の違いによって分離し、燃料ガスの使用状況に応じて燃料ガスカロリーや燃料ガス密度が変化することが考えられる。このようなガスタービン発電プラントにおいても、ガスタービン燃料制御装置100が燃料ガスカロリーや燃料ガス密度に応じて燃料ガスの流量調節弁を制御することで、より適切に流量調節弁を制御することができる。
【0037】
あるいは、ガスタービン燃料制御装置100は、
図4や
図5に示す燃料ガス供給系統など、燃料ガスカロリーや燃料ガス密度の変化し得る様々な燃料ガス供給系統に適用し得る。
図4は、ガスタービン燃料制御装置100によって燃料制御される、他の燃料ガス供給系統の概略構成例を示す構成図である。同図に示す燃料ガス供給系統800において、燃料ガス供給源801は、例えば、BFGと、COG等の増熱ガスあるいは窒素(N
2)ガス等の減熱ガスが混合された混合燃料ガスを供給する。この混合燃料ガスは、ガスコンプレッサー等を経由した後、メイン系統とバイパス系統とに分岐される。
メイン系統は、ガスタービンに燃料を供給する系統であり、メイン系統に流入した混合燃料ガスは、遮断弁891を経由した後、マニホールド815で分岐されて、ノズル815の有する複数のノズルから、燃焼器851の燃焼室内に供給される。
【0038】
また、燃焼器851とタービン852は、ガスタービンの一部を構成し、燃焼器851は、ノズル815から供給される混合燃料ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成し、タービン852に出力する。タービン852は、燃焼器751から出力される燃焼ガスを作動ガスとして回転駆動する。
【0039】
一方、バイパス系統は、ガスタービンに供給する燃料ガス流量を調節するために、余分な燃料ガスを上流(燃料ガス供給源801側)へ戻す。このバイパス系統には、バイパスする燃料ガス流量を調節する2系統のバイパス流量調節弁861および862と、燃料ガス流量の微調整を行う小弁863とが設けられている。
バイパス系統に流入した混合燃料ガスは、バイパス流量調節弁861および862と、小弁863とのいずれかを通り、ガスクーラで冷却された後、燃料ガス供給系統の上流側に戻される。
【0040】
この燃料ガス供給系統800において、ガスタービン燃料制御装置100が、燃料ガスカロリーや燃料ガス密度に応じて、バイパス流量調節弁861および862や小弁863を制御することで、より適切に流量調節弁を制御することができる。
この場合、燃料ガス供給系統800では、ガスタービンの出力設定値等に基づいてメイン系統に供給すべき燃料ガス流量を決定し、残りの燃料ガスをバイパスさせる必要がある。
そこで、ガスタービン燃料制御装置100は、燃料ガスカロリーおよび燃料ガス密度に応じて、まず、メイン系統に対するガス流量指令値を補正する。例えば、ガスタービン燃料制御装置100は、式(3)を用いて、補正後のガス流量指令値を算出する。
【0042】
ここで、G
main(kg/s)はメイン系統への燃料流量指令値(すなわちガスタービンへの燃料供給流量指令値)、G
main_col(kg/s)は補正後のメイン系統への燃料流量指令値、γ
0_baseはガス密度設計基準値(kg/Nm3)、γ
0_measはガス密度測定値(kg/Nm3)、LHV
_baseは燃料ガスカロリー設計基準値(kcal)LHV
_measは燃料ガスカロリー測定値(kcal)を、それぞれ示す。
【0043】
そして、ガスタービン燃料制御装置100は、燃料ガス供給源801から供給されるガス流量から補正後のガス流量指令値G
main_colを減算してバイパス系統への燃料流量値を算出する。このバイパス系統への燃料流量値は、カロリーおよび密度について補正後の燃料流量に相当する。そして、ガスタービン燃料制御装置100はこのバイパス系統への燃料流量値に基づいて、バイパス流量調節弁861および862や小弁863の弁開度を制御する。
【0044】
このように、ガスタービン燃料制御装置100が燃料ガスカロリーや燃料ガス密度に応じて燃料流量の補正を行うことで、バイパス系統に流量調節弁を有する燃料ガス供給系統においても、より適切に流量調節弁を制御することができる。
【0045】
図5は、ガスタービン燃料制御装置100によって燃料制御される、さらに他の燃料ガス供給系統の概略構成例を示す構成図である。同図において、
図1の各部に対応し、同様の機能を有する部分には、同一の符号(701〜703、713〜715、723〜725、733〜735、751、752)を付して説明を省略する。
図5に示す燃料ガス供給系統900は、メイン燃料系統とパイロット燃料系統とトップハット燃料系統とに対して共通化された圧力調節弁911(親弁)および912(子弁)を備える点で
図1の燃料ガス供給系統700と異なるが、流量調節弁713と、723と、733とを用いてそれぞれメイン燃料系統と、パイロット燃料系統と、トップハット燃料系統とにおける混合ガス流量を調節する点において燃料ガス供給系統700と同様である。
【0046】
従って、ガスタービン燃料制御装置100が、燃料ガス供給系統700について説明したのと同様に流量調節弁713と、723と、733とを制御することにより、燃料ガス特性が設計値から変化した場合に、より適切に流量調節弁を制御することができる。
例えば、メイン燃料系統に対しては、弁容量取得部111は、点P121における上流圧や燃料ガス温度や燃料ガス密度や燃料ガスカロリーと、点P122における下流圧と、流量指令値設定部104の設定するメイン燃料系統から燃焼器751への燃料流量指令値とを式(2)に代入してメイン流量調節弁713の弁容量を算出する。そして、この弁容量から得られる弁開度に基づいて、流量調節弁制御部131がメイン流量調節弁713の弁開度を制御する。
【0047】
なお、燃焼特性取得部103が取得する燃料ガス特性は、上述した燃料ガスカロリーおよび燃料ガス密度に限らない。例えば、燃料ガス供給系統700(
図1)のメイン流量調節弁713の弁開度制御において、燃焼特性取得部103が、燃料ガスカロリーに代えて、燃料ガス特性として、燃料ガス1の流量G
in1と、燃料ガス2の流量G
in2とを取得するようにしてもよい。
この場合、燃焼特性取得部103は、燃料ガス1のカロリーLHV
in1と、燃料ガス2のカロリーLHV
in2とを予め記憶しておく。そして、燃焼特性取得部103は、例えば、燃料ガス1供給源の出口にガス流量計を有し、燃料ガス1の流量G
in1を測定する。また、燃料ガス2供給源の出口にガス流量計を有し、燃料ガス2の流量G
in2を測定する。そして、燃焼特性取得部103は、式(4)に基づいて、燃料ガスカロリー推定値LHV
_estを算出する。
【0049】
そして、燃焼特性取得部103は、算出した燃料ガスカロリー推定値LHV
_estを弁容量取得部111に出力する。そして、弁容量取得部111は、燃料ガスカロリー測定値LHV
measに代えて燃料ガスカロリー推定値LHV
_estを用いて、上記と同様に、式(2)に基づいてメイン流量調節弁713の弁容量を算出する。以下、上記と同様に、弁開度決定部122が弁開度を決定し、流量調節弁制御部131がメイン流量調節弁713の弁開度を制御する。
【0050】
このように、燃焼特性取得部103が、燃料ガスカロリーを推定することにより、必要なガスカロリー計の数を削減し得る。一般にガスカロリー計は高価であり、必要数を削減することによりガスタービン燃料制御装置100の製造コストを低減し得る。
【0051】
なお、燃焼特性取得部103が、燃料ガス密度に代えて、燃料ガス特性として、燃料ガス1の流量G
in1と、燃料ガス2の流量G
in2とを取得するようにしてもよい。
この場合、燃焼特性取得部103は、燃料ガス1の密度γ
0_in1と、燃料ガス2の密度γ
0_in2とを予め記憶しておく。そして、燃焼特性取得部103は、例えば、燃料ガス1供給源の出口にガス流量計を有し、燃料ガス1の流量G
in1を測定する。また、燃料ガス2供給源の出口にガス流量計を有し、燃料ガス2の流量G
in2を測定する。そして、燃焼特性取得部103は、式(5)に基づいて、燃料ガス密度推定値γ
0_estを算出する。
【0053】
そして、燃焼特性取得部103は、算出した燃料ガス密度推定値γ
0_estを弁容量取得部111に出力する。そして、弁容量取得部111は、燃料ガス密度測定値γ
0_measに代えて燃料ガス密度推定値γ
0_estを用いて、上記と同様に、式(2)に基づいてメイン流量調節弁713の弁容量を算出する。以下、上記と同様に、弁開度決定部122が弁容量に基づいて弁開度を決定し、流量調節弁制御部131が弁開度に基づいてメイン流量調節弁713の弁開度を制御する。
【0054】
このように、燃焼特性取得部103が、燃料ガス密度を推定することにより、必要なガス密度計の数を削減し得る。これによりガスタービン燃料制御装置100の製造コストを低減し得る。
【0055】
なお、燃料温度取得部102が、燃料ガス温度の測定に代えて、燃料温度を推定するようにしてもよい。例えば、燃料温度取得部102は、燃料ガス1の定圧比熱C
p1と燃料ガス2の定圧比熱C
p2とを予め記憶しておく。そして、燃料温度取得部102は、例えば、燃料ガス1供給源の出口にガス流量計と温度計とを有し、燃料ガス1の流量G
in1と温度T
in1とを測定する。また、燃料ガス2供給源の出口にガス流量計と温度計とを有し、燃料ガス2の流量G
in2と温度T
in2とを測定する。そして、燃料温度取得部102は、式(6)に基づいて、燃料ガス温度推定値T
mixを算出する。
【0057】
そして、燃料温度取得部102は、算出した燃料ガス温度推定値T
mixを弁容量取得部111に出力する。そして、弁容量取得部111は、燃料ガス温度測定値tに代えて燃料ガス温度推定値T
mixを用いて、上記と同様に、式(2)に基づいてメイン流量調節弁713の弁容量を算出する。以下、上記と同様に、弁開度決定部122が弁容量に基づいて弁開度を決定し、流量調節弁制御部131が弁開度に基づいてメイン流量調節弁713の弁開度を制御する。
【0058】
このように、燃料温度取得部102が、燃料ガス温度を推定することにより、燃料ガス1の温度を測定する温度計と、燃料ガス2の温度を測定する温度計とが既に設置されている場合に、混合燃料ガスの温度を測定する温度計を設ける必要が無く、温度計の数を削減し得る。これによりガスタービン燃料制御装置100の製造コストを低減し得る。
【0059】
なお、上述した燃料ガスカロリーの推定と、燃料ガス密度の推定と、燃料ガス温度の推定とは、独立して行われる必要は無い。従って、ガスタービン燃料制御装置100が、上述した燃料ガスカロリーの推定と、燃料ガス密度の推定と、燃料ガス温度の推定の全て、あるいは、いずれか複数を行うようにしてもよい。
例えば、燃焼特性取得部103は、燃料ガス1のカロリーLHV
in1および密度γ
0_in1と、燃料ガス2のカロリーLHV
in2および密度γ
0_in2とを予め記憶しておく。そして、燃焼特性取得部103は、例えば、燃料ガス1供給源の出口にガス流量計を有し、燃料ガス1の流量G
in1を測定する。また、燃料ガス2供給源の出口にガス流量計を有し、燃料ガス2の流量G
in2を測定する。そして、燃焼特性取得部103は、式(4)に基づいて、燃料ガスカロリー推定値LHV
_estを算出し、式(5)に基づいて、燃料ガス密度推定値γ
0_estを算出する。
そして、燃焼特性取得部103は、算出した燃料ガスカロリー推定値LHV
_estと燃料ガス密度推定値γ
0_estとを弁容量取得部111に出力する。
【0060】
また、燃料温度取得部102は、燃料ガス1の定圧比熱C
p1と燃料ガス2の定圧比熱C
p2とを予め記憶しておく。そして、燃料温度取得部102は、例えば、燃料ガス1供給源の出口にガス流量計と温度計とを有し、燃料ガス1の流量G
in1と温度T
in1とを測定する。また、燃料ガス2供給源の出口にガス流量計と温度計とを有し、燃料ガス2の流量G
in2と温度T
in2とを測定する。これらのガス流量計は、燃焼特性取得部103と共用としてもよい。
そして、燃料温度取得部102は、式(6)に基づいて、燃料ガス温度推定値T
mixを算出し、算出した燃料ガス温度推定値T
mixを弁容量取得部111に出力する。
【0061】
弁容量取得部111は、燃料ガスカロリー測定値LHV
measに代えて燃料ガスカロリー推定値LHV
_estを用い、燃料ガス密度測定値γ
0_measに代えて燃料ガス密度推定値γ
0_estを用い、燃料ガス温度測定値tに代えて燃料ガス温度推定値T
mixを用いて、上記と同様に、式(2)に基づいてメイン流量調節弁713の弁容量を算出する。以下、上記と同様に、弁開度決定部122が弁容量に基づいて弁開度を決定し、流量調節弁制御部131が弁開度に基づいてメイン流量調節弁713の弁開度を制御する。
【0062】
このように、燃焼特性取得部103が、燃料ガスカロリーや燃料ガス密度を推定し、また、燃料温度取得部102が、燃料ガス温度を推定することにより、これらのセンサを設ける必要が無く、センサ数を削減し得る。これによりガスタービン燃料制御装置100の製造コストを低減し得る。特に、燃料ガス1の流量計および燃料ガス2の流量計を、燃料ガスカロリー推定と、燃料ガス密度推定と、燃料ガス温度推定とに共通して用いることができ、より大きなセンサ数削減効果を得られる。
【0063】
なお、流量調節弁への燃料流量が臨界流に達しているか否かに応じて、弁容量取得部111が算出する弁容量を変えるようにしてもよい。ここで、流量調節弁の上流圧P
1と、上流圧と下流圧との差圧ΔPとの間に、ΔP≧0.5P
1の関係が成立するときに、燃料流量が臨界点に達し、燃料ガス流量に対する下流圧の影響を無視し得ることが知られている。
【0064】
そこで、例えば、燃料ガス供給系統700(
図1)のメイン流量調節弁713の弁開度制御において、弁容量取得部111は、圧力取得部101から出力されるメイン流量調節弁713の上流圧P
1と、メイン流量調節弁713の下流圧P
2とに基づいて、差圧ΔPを算出し、ΔP≧0.5P
1が成立するか否かを判定する。そして、ΔP≧0.5P
1が成立しないと判定したとき、すなわち臨界流に達していないと判定したときは、上記のとおり、式(2)に基づいて弁容量を算出する。
一方、ΔP≧0.5P
1が成立すると判定したとき、すなわち臨界流に達していると判定したときは、式(2)に代えて式(7)に基づいて弁容量を算出する。
【0066】
ここで、式(7)は、式(2)で説明したのと同様、燃料ガス密度設計値および燃料ガスカロリー設計値の下での弁容量を示す右辺第1項から第3項「(G
ref_base/250P
1)√(γ
0_base(t+273)/1.2928)×1.057×(3600/γ
0_base)」と、燃料ガス密度測定値に基づいて弁容量を補正する第4項「√(γ
0_base/γ
0_meas)」と、燃料ガスカロリー測定値に基づいて弁容量を補正する第5項「LHV
_base/LHV
_meas」とから成る。
従って、弁容量取得部111は、式(7)を用いて弁容量を算出することにより、メイン流量調節弁713の弁容量を算出する弁容量算出工程と、弁容量算出工程で算出した前記弁容量を、燃焼特性に基づいて補正する弁容量補正工程とを実行する。
以下、上記と同様に、弁開度決定部122が弁容量に基づいて弁開度を決定し、流量調節弁制御部131が弁開度に基づいてメイン流量調節弁713の弁開度を制御する。
【0067】
以上のように、弁容量取得部111が、燃料流量が臨界流に達しているか否かに応じて弁容量の算出式を選択することで、より流量指令値に近い燃料流量を得ることができる、すなわち、より適切に流量調節弁を制御できる。
【0068】
なお、弁容量取得部111が、燃料流量が臨界流に達しているか否かに応じて弁容量の算出式を選択する場合も、上記のように、燃料ガスカロリーの推定や、燃料ガス密度の推定や、燃料ガス温度の推定を行うようにしてもよい。
【0069】
なお、ガスタービン燃料制御装置100の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。