(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5704654
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】半導体装置、半導集積回路の制御方法およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
H03K 5/00 20060101AFI20150402BHJP
H03K 5/13 20140101ALI20150402BHJP
【FI】
H03K5/00 K
H03K5/13
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-47308(P2012-47308)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-183381(P2013-183381A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2013年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390001074
【氏名又は名称】NECネットワークプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】千葉 靖之
【審査官】
栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−181583(JP,A)
【文献】
特開2001−154907(JP,A)
【文献】
特開2010−272688(JP,A)
【文献】
特開2008−029020(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/137330(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 5/00−5/02;5/08−5/12;5/15−5/26
H03K 5/04−5/07;5/13−5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力装置から出力される入力信号を入力装置に伝送する信号線と、
前記信号線上に設けられ、前記入力信号を遅延させるとともにダンピングする調整回路と、
前記入力信号を監視した監視結果に基づき、前記入力信号の遅延時間とダンピング抵抗値とを設定する制御部と、
を備え、
前記調整回路は、
前記信号線上に設けられ、前記出力装置から出力される前記入力信号を前記制御部が設定した前記遅延時間により遅延させて出力する遅延部と、
前記信号線上において前記遅延部の後段に設けられ、前記遅延部から出力された前記入力信号を前記制御部が設定した前記ダンピング抵抗値によりダンピングして前記入力信号の波形を整形し、波形を整形した前記入力信号を前記入力装置に対し出力するダンピング抵抗部と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記ダンピング抵抗部は前記入力装置の直前に設けられている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記遅延部は、
直列に接続された複数のバッファと、
前記制御部の選択信号に基づき、前記複数のバッファから夫々出力される複数の入力信号のうち1を選択する選択回路と、
を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダンピング抵抗部は、
並列に接続された抵抗値の異なる複数の抵抗と、
前記複数の抵抗に夫々接続された複数のスイッチ、とを有し、
前記制御部の切替信号に基づき、前記複数のスイッチのうち1をオンして前記抵抗を切り替える、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
出力装置から送信される入力信号を入力装置に伝送する際に、制御部が、前記入力信号を監視した監視結果に基づき、前記入力信号の遅延時間とダンピング抵抗値とを設定し、
前記出力装置から出力される前記入力信号を前記入力装置に伝送する信号線上において、遅延部が、前記制御部が設定した前記遅延時間、前記入力信号を遅延させ、
前記信号線上において前記遅延部の後段に設けられたダンピング抵抗部が、前記制御部が設定した前記ダンピング抵抗値を用いて、前記遅延部が遅延させた前記入力信号をダンピングして前記入力信号の波形を整形し、波形を整形した前記入力信号を前記入力装置に出力する、
半導体装置の制御方法。
【請求項6】
出力装置から送信される入力信号を入力装置に伝送する際に、制御部が、前記入力信号を監視した監視結果に基づき、前記入力信号の遅延時間とダンピング抵抗値とを設定し、
前記出力装置から出力される前記入力信号を前記入力装置に伝送する信号線上において、遅延部が、前記制御部が設定した前記遅延時間、前記入力信号を遅延させ、
前記信号線上において前記遅延部の後段に設けられたダンピング抵抗部が、前記制御部が設定した前記ダンピング抵抗値を用いて、前記遅延部が遅延させた前記入力信号をダンピングして前記入力信号の波形を整形し、波形を整形した前記入力信号を前記入力装置に出力する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置、半導体装置の制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高速化及び低電圧化が進み、ノイズマージンやタイミングマージンが減少し、より伝送波形の品質確保や、遅延の調整を行うことが求められている。
【0003】
半導体装置において、ノイズ除去やタイミングの適正化の対策をせずに、装置の設計を行うと、動作不良となり、回路が組み込まれた基板全ての再設計が必要となる。基板の再設計の際は、ノイズや伝送波形の品質確保のため、回路へのダンピング抵抗の追加や、配線条件の見直しを行っている。
【0004】
しかしながら、伝送波形の品質確保のために、多量のダンピング抵抗を追加すると、実装密度が増加するという問題がある。また、基板の再設計時には、配線制約条件の増加により、配線パターンの設計が難しくなり、配線パターンの設計期間が長期化したり、更なる再設計が必要となったりする等の問題がある。
【0005】
特許文献1には、入力信号がダンピング抵抗によって遅延するタイミングを補償するよう、クロック信号の遅延量を設定する技術が記載されている。特許文献1には、入力される入力信号をダンピングする抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部と、入力信号の入力タイミングを示すクロック信号に変更可能な遅延を与える可変遅延部を具備する半導体装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−188415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、クロック信号を逓倍させ、位相の異なるサンプリングクロックを生成し、これらのサンプリングクロックの1つを選択して、ダンピング抵抗を通過した入力信号の取り込みタイミングとしている。このため、特許文献1では、クロックの1周期内のわずかな遅延のみしか補償することができず、入力信号自体の数ns単位のタイミングのずれを補償することができない。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、入力信号の遅延時間を調整可能で、かつダンピング抵抗値の調整可能な半導体装置、半導体装置の制御方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる半導体装置は、出力装置から出力される入力信号を入力装置に伝送する信号線と、信号線上に設けられ、入力信号を遅延させるとともにダンピングする調整回路と、入力信号の遅延時間とダンピング抵抗値とを制御する制御部と、を備えるものである。
【0010】
本発明にかかる半導体制御回路の制御方法は、出力装置から送信される入力信号を入力装置に伝送する信号線上において、入力信号の監視結果に基づいて選択された遅延時間、入力信号を遅延させ、信号線上において、入力信号の監視結果に基づいて選択されたダンピング抵抗を用いて遅延された入力信号をダンピングするものである。
【0011】
本発明にかかる半導体制御回路の制御プログラムは、出力装置から送信される入力信号を入力装置に伝送する信号線上において、入力信号の監視結果に基づいて選択された遅延時間、入力信号を遅延させ、信号線上において、入力信号の監視結果に基づいて選択されたダンピング抵抗を用いて、遅延された入力信号をダンピングする処理をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる技術によれば、信号の遅延時間を調整可能で、かつダンピング抵抗値の調整可能な半導体装置、半導体装置の制御方法及びそのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態にかかる半導体装置の概略を示す図である。
【
図2】実施の形態にかかる遅延時間調整回路を示す図である。
【
図3】実施の形態にかかるダンピング抵抗値選択回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。実施の形態にかかる半導体装置は、ダンピング抵抗値及び入力信号の遅延時間の調整機能を有することを特徴とするものである。
【0015】
図1は、実施の形態にかかる半導体装置10の概略を示す図である。調整部としての半導体装置10は、出力装置である送信側半導体装置30から出力される入力信号Iを、入力装置である受信側半導体装置40に伝送する信号線上に設けられている。半導体装置10は、送信側半導体装置30から出力された入力信号Iの伝送波形を、制御部としての制御用半導体装置20の制御に基づいて遅延させ、ダンピングして、受信側半導体装置40に対して出力する。
【0016】
半導体装置10は、遅延部としての遅延時間調整回路11と、ダンピング抵抗部としてのダンピング抵抗値選択回路12と、を有する。
【0017】
遅延時間調整回路11は、入力される入力信号Iを遅延させるものであり、入力信号Iの遅延時間を調整可能である。
【0018】
ダンピング抵抗値選択回路12は、遅延時間調整回路11により遅延された入力信号Iをダンピングするものであり、ダンピングのためのダンピング抵抗値を調整可能である。
【0019】
遅延時間調整回路11は、送信側半導体装置30と受信側半導体装置40との間の信号線上に設けられている。ダンピング抵抗値選択回路12は、信号線上において、遅延時間調整回路11の後段に設けられている。また、ダンピング抵抗値選択回路12は、受信側半導体装置40の直前に設けられる。これにより、ダンピング抵抗値選択回路12により入力信号Iの伝送波形を整形して、受信側半導体装置40に入力することができる。
【0020】
制御用半導体装置20は、遅延時間調整回路11及びダンピング抵抗値選択回路12をそれぞれ制御する選択信号S及び切替信号Tを出力する。制御用半導体装置20は、選択信号Sにより、遅延時間調整回路11の遅延時間を調整し、切替信号Tにより、ダンピング抵抗値選択回路12のダンピング抵抗値を調整する。
【0021】
制御用半導体装置20は、例えば、受信側半導体装置40に入力される入力信号Iを監視し、当該監視結果に基づき、選択信号Sおよび切替信号Tを調整する。なお、本実施の形態においては、制御用半導体装置20と記載しているが、選択信号S及び切替信号Tを変更可能であればよいため、半導体装置ではなく、スイッチのようなもので構成するようにしてもよい。
【0022】
半導体装置10は、遅延時間調整回路11により、入力信号Iの遅延時間を調整し、ダンピング抵抗値選択回路12により、入力信号Iの伝送波形を整形するダンピング抵抗の抵抗値を調整する。これにより、実施の形態にかかる半導体装置10は、入力信号Iの伝送波形を整形するとともに、入力信号Iの遅延時間を調整することができる。よって、例えば、半導体装置の設計の際、送信側半導体装置30と受信側半導体装置40とを接続する配線上に、半導体装置10を設置すれば、入力信号Iの遅延時間の設定、及びダンピング抵抗の調整を、半導体装置の再設計や、素子の交換等をすることなく行うことができる。これにより、より半導体装置の設計を容易にすることが可能となる。
【0023】
また、半導体装置10においては、入力信号Iを入力する受信側半導体装置40のクロック信号を遅延させるのではなく、入力信号Iの遅延時間を調整する。これにより、特許文献1では実現しえない、数nsといった単位で入力信号の遅延時間の調整を行うことができる。また、受信側半導体装置40に入力される入力信号Iを監視することにより遅延時間を設定することができるため、より正確に遅延時間を設定することが可能となる。さらに、例えば入力信号のビット毎等、より微細な単位での遅延の調整をすることが可能である。
【0024】
遅延時間調整回路11についてより詳細に説明する。
図2は、遅延時間調整回路11を示す図である。遅延時間調整回路11は、バッファ111〜113と、セレクタ114とを有する。
【0025】
バッファ111〜113は、縦列接続、つまり多段に接続されている。バッファ111の出力は、セレクタ114の第1の入力とバッファ112の入力とに接続されている。バッファ112の出力は、セレクタ114の第2の入力とバッファ113の入力とに接続されている。バッファ113の出力は、セレクタ114の第3の入力に接続されている。
【0026】
セレクタ114は、バッファ111〜113を介して出力された入力信号I
1〜I
3のうち、選択信号S
1〜S
3に基づいて、いずれか1を選択し、入力信号I
4として出力する。すなわち、入力信号Iが通過するバッファ111〜113の組合せを、セレクタ114に入力する選択信号S
1〜S
3により選択する。
【0027】
例えば入力信号I
1が選択された場合、入力信号I
1は、入力信号Iに比べ、バッファ111の伝搬時間分、遅延している。入力信号I
2は、入力信号Iに比べ、バッファ111及び112の伝搬時間分、遅延している。入力信号I
3は、入力信号Iにくらべ、バッファ111、バッファ112及びバッファ113の伝送時間分、遅延している。
【0028】
遅延時間調整回路11は、バッファ111〜113で遅延時間の異なる入力信号I
1〜I
3を生成し、セレクタ114で、選択信号S
1〜S
3に基づいて入力信号I
1〜I
3のうち1を選択することにより、遅延時間を調整できる。
【0029】
次に、ダンピング抵抗値選択回路12について説明する。
図3は、ダンピング抵抗値選択回路12を示す図である。ダンピング抵抗値選択回路12は、抵抗121〜123と、スイッチ124〜126を有する。
【0030】
抵抗121〜123は並列に接続され、それぞれスイッチ124〜126と接続されている。抵抗121〜123の抵抗値はそれぞれ異なっている。スイッチ124〜126は、制御用半導体装置20からの切替信号T
1〜T
3によりオンオフが制御され、抵抗121〜123のうち1が選択される。すなわち、スイッチ124〜126のうち、いずれか1つがオンとされ、他の2つはオフとされる。
【0031】
ダンピング抵抗値選択回路12から出力された入力信号I
4は、スイッチ124〜126のうち、切替信号T
1〜T
3によりオンになっているスイッチに接続された抵抗121〜123のうち1を伝搬して出力される。
【0032】
切替信号T
1がオンである場合、入力信号I
4は、抵抗121によりダンピングされ、入力信号I
5として出力される。切替信号T
2がオンである場合、入力信号入力信号I
4は、抵抗122によりダンピングされ、入力信号I
6として出力される。切替信号T
3がオンである場合、抵抗123によりダンピングされ、入力信号I
7として出力される。
【0033】
抵抗121〜123の抵抗値は異なるため、切替信号Tにより、抵抗が切り替わることにより、ダンピング抵抗値が調整される。
【0034】
以上のように、入力信号Iが遅延時間調整回路11と、ダンピング抵抗値選択回路12とを通過する事で、受信側半導体装置4へ入力される入力信号Iの遅延時間とダンピング抵抗値の調整が可能となる。
【0035】
また、選択信号S
1〜S
3及び切替信号T
1〜T
3は、制御用半導体装置20による制御で変更が可能である。よって例えば、基板作成後に入力信号Iのタイミング調整が必要となった場合、制御用半導体装置20から出力される選択信号S及び切替信号Tを変更すればよい。これにより、再設計や回路変更が必要なく、半導体装置の修正が可能という効果が得られる。
【0036】
本実施の形態では、遅延時間調整回路11とダンピング抵抗値選択回路12とは、遅延時間調整回路11からダンピング抵抗値選択回路12に対して入力信号Iが出力される順に接続される。すなわち、遅延時間調整回路11の後段にダンピング抵抗値選択回路12が設けられる。このため、ダンピング抵抗値選択回路12が受信側半導体装置40の直前に設けられることとなる。これにより、受信側半導体装置40に対して、適切に整形された波形の入力信号Iを入力することが可能となる。
【0037】
なお、遅延時間調整回路11とダンピング抵抗値選択回路12とを、ダンピング抵抗値選択回路12から遅延時間調整回路11に対して入力信号Iが出力される順に接続してもよい。すなわち、ダンピング抵抗値選択回路12の後段に遅延時間調整回路11を設けてもよい。しかし、遅延時間調整回路11により入力信号の波形が乱れるおそれがあるため、遅延時間調整回路11の後段にダンピング抵抗値選択回路12を設け、受信側半導体装置40の直前にダンピング抵抗値選択回路12を配置することが望ましい。
【0038】
また、上記実施の形態において、遅延時間調整回路11のバッファは3段であるが、段数を増やすことも可能である。これにより、遅延時間の調整範囲を拡大したり、遅延時間をより微細に調整したりすることを可能とする。
【0039】
さらに、実施の形態においては、ダンピング抵抗値選択回路12は、3種類の抵抗を有するが、抵抗の数を増やす事も可能である。これにより、選択可能なダンピング抵抗を増やすことができ、より最適なダンピング抵抗を設定でき、より適切に伝送波形の整形を行うことができる。
【0040】
またさらに、選択信号S及び切替信号Tは、制御用半導体装置20から出力されるものではなく、例えば外部からの入力等により調整するようにしてもよい。
【0041】
また、
図1では、1本の信号線の場合の例となるが、信号線の本数が増えた場合は、各信号線に対し、半導体装置10をそれぞれ用意する事で対応が可能である。
【0042】
従来、入力信号の伝送波形品質の改善は、ダンピング抵抗の追加や配線条件の見直しにより対策していた。その為、基板作成後に修正が必要となった場合、抵抗の追加や、配線方法の変更による基板の改版が必要となっていた。
【0043】
本実施の形態にかかる半導体装置10は、基板作成後でもダンピング抵抗及び遅延時間の調整を可能とすることで、基板改版の必要性を低下させ、より設計を簡易化することができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 半導体装置
11 遅延時間調整回路
12 ダンピング抵抗値選択回路
20 制御用半導体装置
30 送信側半導体装置
40 受信側半導体装置
111 バッファ
112 バッファ
113 バッファ
114 セレクタ
121 抵抗
122 抵抗
123 抵抗
124 スイッチ
125 スイッチ
126 スイッチ
I 入力信号
S 選択信号
T 切替信号