(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
従って、本発明の一部の実施例は、基部又は床部及び少なくとも2組のそれぞれ対向する側壁を備え、前記側壁のうちの第1の側壁は、ケースに収められた製品が取り出せるように実現される。また、第1の側壁は、少なくともその一部が、残りの側壁のうちの1つ又は複数の側壁の高さよりも低い、より低い取り出し又は荷下ろし用高さだけ垂直方向に前記底部又は床部から上部へ延びる。この取り出し高さは、第1の側壁において、そこを通ってケースに収納された製品に手が届くサイズの横方向の開口が画定されるように決定される。
【0005】
第1の局面によると、本発明の実施例は、上述の実現例のケースであって、前記第1の側壁に当接する2つの対向する側壁間に延び、第1の位置と第2の位置との間で動くことができる閉じ込め要素を更に備えるものを提供し、前記閉じ込め要素は、第1の位置において、対向する側壁間で第1の側壁から間隔を空けて配置され、前記閉じ込め要素は、第2の位置において、第1の側壁と重なるように配置される。
【0006】
実施例によると、前記閉じ込め要素は、対向する側壁間に延びるブラケットと、前記ブラケットの2つの対向する端部に配置された2つの突っ張り部材とを含み、前記突っ張り部材の第1の端部は前記ブラケットの対向する端部に配置され、前記突っ張り部材の第2の端部は対応する側壁に回動可能に配置される。前記対向する側壁及び前記第1の側壁は、前記ブラケット及び前記突っ張り部材を受ける凹部を含んでいても良く、前記凹部は、前記突っ張り部材及び前記ブラケットが、前記閉じ込め要素の第1の位置又は第2の位置において、対向する各側壁の前記第1の側壁側の表面又はこの1つの側壁の外側表面と面一となるように構成することができる。更に、閉じ込め要素と協働して、閉じ込め要素を第1の位置又は第2の位置に安定的に保持する係止要素を設けても良い。係止要素を形成するために、前記閉じ込め要素の突っ張り部材及び/又はブラケットは、前記対向する側壁又は第1の側壁の一部と係合するように実現することができ、実施例によると、その観点から、前記突っ張り部材及び/又はブラケットは、前記側壁の対応するスナップイン要素受け部と協働する1つ又は複数のスナップイン要素を含む。前記閉じ込め要素は、前記第2の位置において、底部又は床部から、対向する側壁の高さの約1/3、1/2又は2/3に対応する距離を置いて配置することができる。更に、前記閉じ込め要素は、第1の側壁から間隔を空けた更なる位置に配置されるように実現しても良く、その場合、前記突っ張り部材は、閉じ込め要素を前記第2の位置又は前記更なる位置に選択的に配置できるように入れ子式に実現しても良い。
【0007】
更なる局面によると、本発明の実施例は、上述の種類のケースであって、前記ケースの床部上に配置される挿入部材を更に含むものを提供し、前記挿入部材は、ケースに受けられる製品に応じて実現される。
【0008】
実施例によると、前記挿入部材は、好ましくは特定の工具を用いてのみ、床部及び/又は側部表面と着脱可能に接続できるように構成しても良い。前記挿入部材は板状に形成することができ、挿入部材のうち床部側の第1の表面は、床部の構造に適合するように形成することができる。板状の挿入部材のうち前記第1の表面とは反対側の表面は、入れられる製品に応じて構成することができる。前記挿入部材は、軸部材、縦方向の突っ張り部材、横方向の突っ張り部材及び/又は凹部を含むように構成することができる。実施例は更に、本発明の実施例によるケースと、異なる製品向けに構成された複数の挿入部材とを含むシステムを提供し、前記挿入部材のうちの1つはケース内で選択的に配置することができる。
【0009】
従って、本局面によって提供されるシステムは、自由に組み立てることができ、例えば顧客の望む構成に応じたケースを提供し、対応する挿入部材を提供し、これに応じて挿入部材のないケースを組み立てるサービス提供者によって、ケースに入れる異なる製品に対して容易に適合させることができる。その場合、このシステムは、ケース提供者のみが所有する特定の工具を用いてのみ挿入部材が交換可能となるように構成される。
【0010】
本発明の実施例によると、前記ケースは、底部から上部へと延び、より低い取り出し高さを有する第1の側壁領域(完全な側壁とすることもできる)によって上方への垂直方向において制限される。即ち、この第1の側壁領域より上方では、隣接する側壁間にそれ以上の固着部が存在しない。換言すると、第1の側壁は、少なくともその一部が、周囲の側壁又は周囲の側壁の一部よりも低い高さを有するため、ケースの側部からでも中に手が届き、ケースが積み重ねられている場合でも下方のケースに配置された製品に容易に手が届くようになっている。
【0011】
ここで、一部の実施例においては、第1の側壁の高さは、ケースに入れて運搬する特定の製品が運搬中にケースから落下することがないような寸法とする。一部の実施例においては、前記ケースは、瓶又は小型の容器に予め包装された瓶の運搬用に定められており、このため第1の側壁は、ケースからの個々の瓶の落下を防止するのに十分な高さを有している。実施例によっては、前記高さは1〜10cmである。一部の更なる実施例では、前記高さは2〜5cmであり、一般的には2cm超である。
【0012】
一部の実施例では、第1の側壁は、ケースの安定性を向上させる観点から、隣の側壁に隣接し、隣接する側壁の高さまで延びる2つの側壁部分を端縁に含む。
【0013】
本発明の更なる実施例においては、前記ケースは、4つの側壁を備えており、少なくとも第1の側壁に隣接する側壁にグリップ開口が配置されている。このグリップ開口は、底部に対して平行に走る領域と、底部に対して垂直に走る領域とを含む。一部の実施例においては、床部に垂直に走る領域は、第1の側壁側に配置される。これに加えて、実施例によっては、底部に平行に走る第1の水平開口部は、アールを伴って垂直開口部へと移行し、このアールは、ケースをそこで掴むのに十分な大きさを有する。従って、本発明のこの実施例においては、アール又は垂直開口部でもケースを掴んで持ち上げることが可能であり、ケースは掴んでいるときには後方に傾くことになる。これにより、運搬中に、例えば瓶などの商品が第1の側壁の開口を通ってケースから落下する可能性が減少する。
【0014】
本発明の一部の実施例によると、前記ケースは更に、第1の側壁に隣接した床部領域において、運搬する製品のための、床部の残りの面積の平均よりも大きい支持面積を含む。換言すると、床部が完全面によって実現されておらず、例えば個々の突っ張り部材から構成される場合、単位面積当たりの突っ張り部材の本数、即ち第1の側壁に隣接する領域における突っ張り部材の密度は増大する。このため、側壁近傍でケース内に入れられた、例えば飲料瓶又は缶といった商品は、大きな面積又は支持面積で床部と接触する。これにより、瓶又は飲料缶が滑ったり傾いたりして床部の突っ張り部材間の凹部に入り込むことが防止できるため、運搬中に缶又は瓶が望まない態様で落下することを防止することができる。
【0015】
一部の実施例においては更に、第1の側壁に隣接する側壁は、第1の側壁に当接する側において、この側壁とは逆の側よりも低い高さを有する。即ち、開口側において、開口に隣接する側壁はより低くなっているため、一方では取り出しの際に利用できる空間は増大し、他方ではケースの内部への光の入射又は覗き角度が増大し、例えば瓶などケースに入れて運搬する物体が視認しやすくなっている。
【0016】
一部の更なる実施例においては、第1の側壁に対応しない残りの側壁は、床部に対して折り畳み可能又は蝶番式になっているため、ケースを折り畳んだ状態にすることができる。この状態では、残りの側壁は床部と略平行になるようにこれに重なり、又は床部の上方に位置する。これにより、ケースが空の状態では、より効率的且つ低コストで運搬することが可能である。
【0017】
一部の実施例は、第1の側壁の上方に垂直方向に延び、着脱可能又は折り畳み可能な追加の可動側壁領域を備える。これには、跳ね上げた状態で、可動側壁領域により追加的に安定性又は安全性を向上させ、商品又は製品がケースから落下しないようにするという利点があり得る。更に、この跳ね上げた状態又は下方へ折り畳んだ状態において、可動側壁領域を用いて製品情報などを呈示することができる。
【0018】
一部の実施例においては、前記可動側壁領域は、格子状に実現され、又は複数の突っ張り部材から形成されており、可動側壁領域とケースとを分離することなく圧力噴射によってケースを洗浄することが可能であり、この高い圧力のためにケースから可動側壁領域が望まない態様で外れてしまうこともない。
【0019】
一部の実施例においては、更に、残りの側壁に対し、外側から読むことができる製品情報を含む箔がコーティング又は積層される。
【0020】
一部の更なる実施例においては、明色の箔を設けることで、ケースに入れて運搬する物体又は瓶を光の反射によってより視認しやすくしても良い。
【0021】
一部の更なる実施例においては、より低くなった側壁に対応しない残りの3つの側壁は等しい高さを有しており、1つのケースの床部をその下のケースの残りの3つの側壁の上に重ねて複数のケースを積み重ねることができる。この目的のために、前記残りの側壁の床部及び上端部の両方に特別の凹部又は輪郭部を設け、前記床部又は前記残りの側壁における対応する凹部又は輪郭部が前記特別の凹部又は輪郭部と係合することでケースを積み重ねやすくし、確実に安定した状態でケースを立たせることができる。
【0022】
また、飲料瓶又は缶の保管又は運搬及び陳列に好適な本発明のケースの一部の実施例においては、前記床部は、床部から上方へ垂直方向に延びる複数の軸部材を含む。軸部材は、床部の上に配置された立体の物体であって、瓶が軸部材の外側境界面によって保持又は固定されるような形状になっており、瓶の落下を効果的に防止することができる。一部の実施例においては、軸部材は、垂直方向における高さは低いものに過ぎず、軸部材断端と称することもできる。いくつかの軸部材の高さ及び外形は、第1の側壁に関連して、横方向の開口からの瓶の落下を防止するように選択される。その際でも取り出しやすさを確保するために、一部の実施例では、軸部材はその最も高い位置においても第1の側壁以下の高さで形成する。一部の実施例では、軸部材の外側境界面は、諸要件に対して可能な限り最も良好に適合するように高さが変化している。瓶が第1の側壁側に傾く又は落下することを可能にしつつ良好な安定性を確保するために、軸部材は側壁に対して平行方向において、第1の側壁への方向よりも低い高さを有するため、第1の側壁に平行な傾きが可能であり、その際第1の側壁に対して垂直方向の傾きは防止され、瓶は安定的に保持される。
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、飲料用ケース10の本発明の実施例を示す。例示する実施例における床部12は、連続した完全面によって実現されるものではなく、格子状の構造から構成される。
図3のケースの下面図に示すように、床部12は複数のバー又は突っ張り部材で形成される。運搬する商品、例えば瓶がケースの床部を通って落下しないように、又は瓶の端部が傾いて突っ張り部材間の凹部に入り込んで思い通りにならなくならないように、突っ張り部材は十分な密度で配置する。
【0026】
更に、ケースは、床部12から上方へ、即ち垂直方向18に延びる2組の互いに対向する側壁14a,14b,16a,16bを備える。4つの側壁のうち第1の側壁、この例では側壁16bは、低い取り出し高さ20の分だけ垂直方向18に延びている。
【0027】
取り出し高さ20は、残りの側壁14a,14b,16aの高さよりも低いため、横方向の開口が形成される。このため、ケースに収めて運搬する瓶又は製品に対して横方向の開口を通して手が届く、又はこれを取り出すことができる。第1の側壁16bより上方には、ケースの更なる構造物は配置されない。更に、
図1に示す実施例の床部12上には、複数の軸部材が配置されており、これらのうち、例えば軸部材22a及び軸部材22bを強調して示す。このように、製品を取り出すための横方向の開口は、第1の側壁16bが隣接する又は残りの側壁よりも低い高さを有することによって形成される。ここで、また以下の図面において、高さとは正の垂直方向18における寸法とする。「上部」という用語は、正の垂直方向18における位置を指し、「底部」という用語は、垂直方向18におけるより小さな座標の位置を指すものとする。側部とは、底部12の表面に対して平行方向でケースを制限する任意の方向とする。
【0028】
第1の側壁16aによって、ケースに入れて運搬する瓶に手が届いてこれを取り出せるようにする横方向の開口が画定又は形成される。他の実施例においては、他の製品をケースに入れて運搬しても良いことは言うまでもない。
図1のケースにおいては、いわゆる「6本入りパック」、即ち各々6本の瓶からなる予め包装された容器を運搬できるようにしても良い。
【0029】
ここでは示さない代替的な実施例では、側壁はその長さ全体に沿ってより低い取り出し高さ20を有するのではなく、隣接する側壁14a,14bから固定の側壁部分が横方向の開口内へと延びるが、横方向の開口の大きさは、製品,瓶の取り出しを確保できるようなものとする。上述のようなケースであれば、安定性を向上させることができる。
【0030】
更に、
図1に示すケース10の実施例は、ヒンジ24a〜24cを通じて固定の第1の側壁16bに対して蝶番式に固定された可動側壁領域23を含む。
図1では、可動側壁領域23が下方に折り畳んだ位置にある状態を示しており、この状態では可動側壁領域は第1の側壁16bに対して下方に折り畳まれる。本発明の他の一部の実施例に関して後述する跳ね上げた位置においては、可動側壁領域23は、垂直方向18に上方へと延びる。これにより、ケース10内に配置された瓶が外側へ傾かないため、安定性を更に向上させることができる。更に、この可動部分を用いて製品情報などを呈示することができる。
【0031】
第1の側壁16bに隣接する側壁14a,14bの各々はグリップ開口28a,28bを含み、これを用いてケースを持ち上げて運ぶことができる。ここで、両方のグリップ開口はそれぞれ、床部に対して平行に延びる第1の開口領域と、略垂直方向に延びる第2の開口領域とを含む。これらの開口領域の機能の詳細な説明は、
図3を参照して後述する。
【0032】
更に、第1の側壁16bに隣接する側壁14a,14bは、第1の側壁側の端部において傾斜した端縁領域30a,30bを含む。このため、複数のケースが積み重ねられていても、これら端縁領域を通じて光がケース内に差し込むことができる。このため、
図1に示す実施例においては、側壁14a,14bの第1の側壁16bに隣接する端部は、その逆の端部よりも低い高さを有する。
図1に示す実施例では、側壁における凹部は略三角形であるが、代替的な実施例において他の形状の凹部を採用しても良いことは明らかである。実施例によっては、第1の側壁16bに隣接する側壁14a,14bの高さは、最大高さまで連続的に増加する。代替的な実施例においては、高さの増加は段状でも良いことは言うまでもない。
【0033】
図1に示すケースは積み重ね可能となっている。即ち、側壁14a,14b,16aの上端の輪郭は、積み重ねた際に別のケースの床部の輪郭又は構造と係合(例えば
図3を参照)させることで、ケースを互いに積み重ねることができるように実現される。その際、第1の側壁16bにより画定される横方向の開口によって、ケースを積み重ねた時でも瓶又は6本入りパックといった瓶の容器をケースの内部から取り出すことができる。
【0034】
本発明の一部の実施例においては、側壁14a,14b,16aの内側の表面には明色が施されている。このため、開口30a,30bの引き起こす光入射によりケース内の瓶が外側から観察者にとって視認しやすくなっている。代替的な実施例においては、表面には製品情報又は広告が貼り付けられる。
【0035】
図1に示す本発明の実施例は更に、少なくとも1つの側壁(ここに示す例では側壁14b)において、垂直方向に走り且つ側部表面の1つから内側へ突出する複数のバー32a〜32dを含む。これによって、軸部材によりケース内に保持された瓶がその側部表面全体で側壁と接触してこれを広範囲に汚すことを防止する。
図1に示す実施例においては、バー32a〜32dの各々は、瓶がその径方向外側の部分でバー32a〜32dの位置において外壁に接するように配置される。これにより、汚れがバーに限定されるため、側壁の内部表面が広範囲に亘って汚れることを防止することができる。
【0036】
図2は、
図1のケース10の実施例に3つの6本入りパックを詰めた状態を示す。
【0037】
6本入りパック40a,40b,40cは、各々が6本の個々の瓶を含むが、ここでは明瞭にするために図示を省略する。
【0038】
ここでは、軸部材と係合するように底部に開口を設けた6本入りパックと下方から係合する軸部材に加えて、6本入りパックは、
図1に示すようにケース10の床部12に配置されたバー40a、40bによって保持される。
【0039】
図3は、上下に積み重ねた状態の2つのケース10,10aを示す。
図3に示すように、製品又は瓶は、積み重ねた状態でも下方のケース10から取り出すことができる。個々の瓶の代わりに6本入りパック40a,40b,40cをケースに入れて運搬又は陳列した場合にも上記が当てはまることは明らかである。
図2,3に示すように、
図1に示すケースの特定の実現例は、このケースで6本入りパックを運搬したり、個々の瓶を運搬したりできるという点で、運搬する瓶に対して高い柔軟性を有する。このことは、
図1の構成に示す軸部材22a,22b及びバー42a,42bの構成からもたらされたものである。
【0040】
ケース10の他の実施例では、軸部材の構成は異なっていても良いことは明らかである。例えば、一部の実施例では、バーは完全に省略しても良く、その代わりに軸部材のみを用いても良い。しかし、
図1に示す実施例では、その両方が可能である。即ち、軸部材及び/又はバー間の自由な空間のうちの一つに挿入される個々の瓶の各々は、バーの側壁、軸部材又はケースの側壁14a,14b,16a,16bのうちの一つによって4方向から支持され、運搬のために安定的に支持されるためである。
【0041】
図3に示すように、ケースを積み重ねることが可能であるため、また、第1の側壁16bによって横方向から取り出すことが可能となっているため、柱状にケースを積み重ねて様々に異なる製品を販売に供することが可能となる。ここで、側壁16bは、軸部材と協働して、瓶が運搬中にケース10から落下することを防止する。そこで、側壁16bの寸法は、運搬中にケースから傾いたり落下したりすることを防止するようなものとする。ただし、このケース10の上に更なるケース10aが配置されていても瓶をケースから前方に取り出すことができる程度に低いものとする。これに関して、一部の実施例によると、まず瓶を僅かに持ち上げてから傾け、前方へ取り出す。このことは、一部の実施例では、
図12を参照して詳細に説明するように、軸部材の特定の実現形態によって可能となる。
【0042】
図3は、本発明の一部の実施例の更なる特徴、即ちグリップ開口28a,28bの特定の実現形態を示している。グリップ開口は曲がった形状となっており、水平方向と垂直方向の両方に延びている。換言すると、グリップ開口28aは、床部12に平行に延びる第1の開口領域50aと、略垂直方向18に走る第2の開口領域50bとを含む。ここで、
図3の垂直方向及び水平方向の開口領域の範囲は一例に過ぎない。また、グリップ開口28aは、垂直方向に相当の長さに亘って延びるため、グリップ開口28aは人が垂直方向の開口領域でも使用することができる。本発明の代替的な実施例では、グリップ開口28aは、
図3に示す実施例とは異なる形状としても良いことは言うまでもない。例えば、その断面を正方形又は長方形として、水平方向の開口領域50aによって上方から、また垂直方向の開口領域50bによって側方から、ケースを持ち上げることができるようにしても良い。
【0043】
図3に示す実施例では、垂直方向の開口領域は、第1の側壁16b側に位置しており、外側の輪郭(即ち、第1の側壁側の輪郭)において、大きなアールで水平方向の開口領域50aに移行する。このため、ケースを持ち上げた際にこのアール部分で掴むことができ、垂直方向の開口領域が第1の側壁16b側に位置する場合、ケースは後方(側壁16aの方向)に傾くため、運搬中にケースが傾くことによって個々の瓶が落下することを追加的に防止することができる。
【0044】
本発明の一部の実施例においては、
図1のケースの底面図を示す
図4及び本発明の更なる実施例の底面図を示す
図11を参照して説明するように、第1の側壁16bに隣接する領域50における床部12の特定の実現形態によって安定性を追加的に向上させることができる。
【0045】
本発明の一部の実施例においては、床部12は完全面によって実現されるものではなく、重量を軽減し洗浄を容易にする観点から複数のリブの構成によって形成される。リブは床部12の表面を覆い、個々の瓶が瓶底において床部12に対して安定的に支持されるようになっている。前縁の領域50、即ち第1の側壁16bに隣接する領域50において、リブの本数又は単位面積当りの密度は、残りの領域と比較して大きくなっている。このため、ここに位置する瓶は、外部からの影響により静止位置から第1の側壁16b側に僅かに傾いた時でも外部に出てしまうことがない。そのような状態を防止するために、第1の側壁16bに隣接する領域50にリブを密集させることで、瓶の端縁が傾いて2本の隣接するリブ間の空間に入り込まないようにしている。換言すると、第1の側壁16bに隣接する領域50において、床部12は、床部全体で平均して単位面積当たりで利用可能となっている瓶支持面積よりも大きい瓶支持面積を含んでおり、瓶を安定的に保持することが可能となっている。
【0046】
また、
図4に示すように、側壁14a,14b,16aに隣接する領域において、床部12は、数本のリブからなる持ち上がった部分を含んでいる。この持ち上がった部分の輪郭は、別のケースの上に置かれた時に、側壁の内側においてこの別のケースの側壁の輪郭と係合するように実現されている。このため、ケースが確実に積み重ねられるようになっており、且つ積み重ねた状態でケースが安定して立つようになっている。
【0047】
更に、ケースの床部は、その中央部において、側壁16aから第1の側壁16bへ延びる突っ張り部材52を含んでいる。この突っ張り部材52のバーは、床部における残りのバーよりも垂直方向に大きい長さを有している。この突っ張り部材52は、高さを低くした第1の側壁16bを追加的に支持するように働いてケースの安定性を向上させる。突っ張り部材52は、残りの床部よりも下方へ延びる突っ張り部材が、積み重ねた状態において瓶を下方のケースから持ち上げる際に邪魔にならないように中央部に配置される。
【0048】
図5は、本発明の更なる実施例を示す。この実施例は、基本的に、
図5に示す実施例を用いて様々に異なるサイズの瓶を運搬できる点で、上述の図を参照して述べた実施例と異なっている。
図1に示す実施例は、0.5lの容量の瓶に適合したものであるのに対し、
図5に示すケースの実施例は、0.33lの容量の瓶に適合したものである。このため、
図5の実施例は、基本的に、軸部材の構成及び側壁14a,14b,16aの強度に関して
図1の実施例と異なっており、この強度は、ケースの外体積を同一に維持しつつ瓶をケースの内部に配置した状態で保持するように変更されている。従って、例えば、
図5に示すケースは、第1の側壁16bに隣接して最前列に0.33lの容量の瓶を計6本保持する5本の軸部材54a,54b,54c,54d,54eを含む。更に、
図5のケースは、ケースの中央部に連続したバー56を1本だけ含むため、このケースで代替的に6本入りパックを4つ運搬することができる。
【0049】
更に、
図5の実施例は、
図1〜4の実施例とは異なり、第1の側壁16bにおいて跳ね上げられた可動の側壁領域23を有するケースを示す。それ以外では、
図5のケースの実現形態の特徴は
図1のそれに対応しており、各々が同一の機能を有するため、
図1のケースの構成要素に対応する構成要素の再度の説明は省略する。なお、
図5に示すケースは、
図1に示すケースと同様に、第1の側壁16bに対向する側壁16aにおいて、少なくとも1つの開口58を有している。この開口は、側壁16aを貫通しているため、この開口によってケースを壁又は棚などに設置又は懸架することが可能となっている。
【0050】
さらに、設置する際の安定性を向上させるために、
図1,5に示す実施例は、第2の設置開口60を追加的に含んでいるが、これを含めるか否かは任意である。
【0051】
図6に示す実施例もまた、0.33lの容量の瓶24本の運搬用に構成されており、基本的に
図5に示す実施例に相当する。しかし、
図5の実施例では、側壁14a,14b,16a又は少なくとも側壁14a,14b,16aの一部は、ヒンジを用いて床部に対して折り畳み可能に構成されている。ここでは、側壁又はその一部は、床部の方向に折り畳むことができ、折り畳んだ状態では、側壁又はその一部が、
図7で示すように基本的に床部に平行に位置するように折り畳み可能となっている。
図7では、側壁16aが折り畳んだ状態で床部12の表面に平行になっている。
図8は、側壁14a,14b,16aの全てを下方に折り畳んだ状態を示す。この折り畳んだ状態において、ケースをビール工場又は瓶詰め工場に返還する際に容易に運搬することができ、大きな貯蔵スペースを取ることもない。これにより運搬コストが大幅に削減できる。
【0052】
なお、
図6〜8を参照して0.33l瓶24本の運搬用に構成されたケースについて折り畳み可能な側壁14a,14b,16aを説明したが、
図1に示す0.5l瓶用のケースに折り畳み可能な側壁を設けても良いことは明らかである。個々の実施例に関して記載又は図示した特徴を任意に組み合わせて本発明のケースの更なる代替的な実施例を得ることができる点は、本願明細書に開示する実施例のいずれについても概ね該当する。
【0053】
図9は、
図5の実施例であって、24本の瓶がケース内に配置されている詰め込み状態を示す。
【0054】
図5と同様、ここでも可動側壁領域23は跳ね上げた位置にあり、最前列の瓶を追加的に固定したり、又は商品の陳列に関係のない運搬用の製品標示を可動部23の外側に貼付したりできる。
【0055】
図10は、
図5の実施例であって、代替的な積荷の形態、即ち4つの6本入りパック70a,70b,70c,70dを伴うものを示す。
【0056】
図11は、
図5の実施例の上面図を示す。ここでは、軸部材54cは、6本入りパックを内部に配置することができるように、軸部材54a,54b,54d,54eとは異なる幾何学的形状を有することが示されている。しかし、代替的な実施例では、中央の軸部材54cが、残りの軸部材、例えば軸部材54aと同じ設計又は形状を有していても良いことは言うまでもない。同様に、他の軸部材のいずれかが軸部材54cの形状を有していても良い。
【0057】
図11の上面図に示すように、飲料瓶24本入りのケースの場合でも、床部12は、第1の側壁16に隣接した領域50において、床部全体の平均支持面積よりも大きな支持面積を有するように構成され、これによって瓶がケースから望まない態様で落下することを防止している。
【0058】
図12は、軸部材54a〜54cの拡大図を示す。ここに示すこれらの特定の形状は、第1の側壁16bと協働して、瓶を安定的に且つ前方へ取り出し可能な態様で保持することを可能にしている。これを達成するために、一部の実施例の軸部材の外側表面は、垂直方向で一定でない高さを有する。以下の記載においては、斜線を付した領域70、即ち軸部材を横方向、即ち縦方向18に直交する任意の方向で制限する領域又は領域要素を、軸部材54aの外側境界面とする。
【0059】
外側境界面70は、上述のように高さが異なっている。ここでは、第1の側壁16bに平行であって背面に対して(第1の側壁16bとは逆の方向72で)瓶を固定する第1の側部表面領域75における軸部材の高さは、瓶が第1の側壁16bに対して平行方向74に傾かないように固定する第2の側部表面領域76における高さよりも低いものとなっている。
【0060】
図12に示す軸部材54aは、基本的に、その一先端が第1の側壁16bの方向を向いた菱形の断面を有し、後方への傾きを防止する機能は、基本的に、第1の側壁16bに対して平行方向における軸部材の端部を形成する第1の境界面領域75によって実現される。第1の側壁16bの方向で軸部材54bを制限する第2の境界面領域76によって、第1の側壁16bに対して平行方向に瓶が傾くことを防止する。
【0061】
第1の側部表面領域75の高さは、第2の側部表面領域76よりも低くなっているため、瓶を前方に倒して取り出す際に傾けることが可能となっており、当該ケース上に積み上げられた更なるケースの床部に瓶が当たってしまうほど瓶を持ち上げる必要がない。
【0062】
これに対し、第2の境界面領域76は、第1の側壁16bに対して平行方向に傾くことを防止しており、場合によっては安定性を向上させるためにより高いものとしても良い。一般的に、軸部材54a,54b及び軸部材54cは、前方への傾きを可能にすると同時に最大の安定性を確保する。即ち、側壁に対して平行方向における軸部材高さは、側壁に対して垂直方向における高さよりも低くなっているからである。
【0063】
更に、
図12の軸部材は、基本的に菱形の基本形状の先端同士の間に窪んだ外側境界部分表面が設けられている。この窪みの半径は、瓶を安定的に保持できるように瓶の半径とほぼ一致している。
【0064】
図13,14を参照して、本発明の更なる局面を以下に記載する。この局面によると、例えば
図1〜12を参照して説明したケースに、更なる要素として、例えば運搬時の安全を確保するように働く閉じ込め要素を設けている。
図13は、基本的に
図1のケースに対応するケースを示すものであり、
図1を参照して既に説明した種々の要素の再度の説明は省略する。図示するように、
図13(a)によるケースは、2つの対向する端部を含むブラケット102を含む閉じ込め要素100を更に備えている。ブラケット102の第1の端部102aには第1の突っ張り部材104が配置されており、ブラケット102の第2の端部102bには第2の突っ張り部材106が配置されている。突っ張り部材104,106のブラケット102とは反対側の端部104a,106aは、互いに対向する側部表面又は端部表面14a,14bに回動可能に配置される。
図13(a)に示す状態では、閉じ込め要素又は運搬時安全確保要素100は、第1の位置と第2の位置との間に位置している。
図13(b)を参照して、
図13(a)に示すケースを再び示すが、この図では閉じ込め要素100は第1の位置に位置する。第1の位置においては、ブラケット102は側壁14a,14b間に延びるように配置され、閉じ込め要素は下側の側壁16bから間隔を空けて配置される。
図13(b)に示す実施例においては、ブラケット102は、側壁14a,14bに沿って途中の高さに位置しているが、本発明はこの構成に限定されない。即ち、ブラケット102は、状況に応じてより低く配置しても、又はより高く配置しても良い。突っ張り部材104,106は、ブラケット102を
図13(a)に示す位置から
図13(b)に示す位置へと跳ね上げた又は回転させたときにブラケット102が底部の低側壁116bから一定の距離を取るように実現され、そのような状態で支持される。
図13(b)に示すように、側壁14a,14b、又はこれら2つの端壁の低側壁16b側の表面は、突っ張り部材104,106と、ブラケット102が突っ張り部材104,106に接続される領域、即ちブラケット102の対向する端部102a,102bとを凹部又は切欠きで受けることで面一の前面を形成するように構成される。
【0065】
図14は、
図1のケースの上に
図13のケースを配置した積み重ね構成を示す。ただし、ブラケット102が低側壁14bに重なるように配置される第2の位置に配置されている状態を示す。図示するように、低側壁16bもまた、
図14に示す第2の位置においてブラケット102を受けることで側壁16bの面一の前面を形成する凹部又は切欠きを有する構成となっている。
【0066】
また、
図13(b),14に示すように、ブラケット102の互いに対向する端部102a,102bは、
図13(b)に示す第1の位置において対応する側壁14a,14bを把持することによってブラケット102の係止及び安定的な位置付けを確保するように実現される。同様に、
図14に示す位置においては、ブラケット102の安定的な位置付けは、低壁に形成された対応する係合要素がブラケット102と係合することによって達成される。
【0067】
本発明のこの局面の利点として、追加の運搬時安全確保要素が設けられ、これが運搬中に
図13(b)に示す位置に配置されることでケース内に配置された製品が開口の方向へ動くことを防止する、換言すると製品の落下に対する更なる遮断物となるように働くことができるという点が挙げられる。ブラケットはケースの側面又は端面に回転可能に接続され、
図13(b)に示す閉じた位置から開いた位置へ容易に動かすことできるため、ケース内に配置された製品に自由に手が届くようになっている。
【0068】
本発明は、
図13,14を参照して説明した例には限定されず、ブラケット102が端壁に沿って途中の高さに位置する構成の代わりに、他の位置付けを選択しても良く、例えば、低壁16bからの距離を、側壁の高さの1/3又は側壁の高さの2/3に選択しても良い。更に、一実施例によると、突っ張り部材104,106を入れ子式に実現することによって、
図14の状態に基づくブラケット102の位置付けを、側壁の高さに沿って異なる高さに配置し、閉じ込め要素102の高さをケース内に配置された製品に応じて柔軟に設定できるようにしても良い。
【0069】
以下に
図15,16を参照して、本発明の更なる局面を説明する。
図15は、
図1を参照して既に説明したケースであって、床部12の実現に関して異なっているものを示す。
図15に示すケースには、ケースの床部に着脱可能に設置された挿入部材112が設けられている。
図16に示す挿入部材112は、上側に第1の突っ張り部材114が示される上側表面112aを含む。この突っ張り部材は、ケースの底全体に亘って背面壁16aに至るまで、対向する端壁14a,14bに平行に延びる。更なる突っ張り部材として横方向の突っ張り部材116が設けられており、これは側壁14aからケースの底の途中の第1の突っ張り部材114まで延びる。挿入部材112は、例えば挿入部材112内に形成される各区画に対応する寸法を有するボール箱に包装された製品を受けるように形成することができる。このような製品の他に、任意の製品を
図16のケースに受け入れられるようにすることができる。本発明によると、異なる製品に対して異なる挿入部材112をケース内に着脱可能に配置することができる。
【0070】
図16を参照して、挿入部材112の実現に関するいくつかの実施例を示す。例えば、
図16(a)の表面112aは、対応するフットプリントを有する製品を同時に受け入れるための複数の正方形又は円形の凹部を伴って形成することができる。
図16(b)は、
図15と同様に、挿入部材112の上側表面112a上に突っ張り部材が配置されたものを示す。
図16(c)によると、軸部材は、
図1〜12を参照して説明したものと同様に上部表面112a上に設けることができる。
図16(d)は、挿入部材112の下側表面112bを示し、ここに示す四隅に配置された要素118a〜118dは、ケースの床部12に設けられた対応する要素又は凹部に係合するように働く。好ましくは、要素118は、例えばケース床部に係止した後、ケース床部からの取り外しが特別の工具を用いてのみ可能となるように実現される。このため、ケース提供者は、顧客の要求に応じて様々に異なる態様でケースを組み立てることができ、ケースを用いる顧客は、他の製品にケースを用いるために挿入部材を交換することはできない。このように、ケースは顧客の要求に応じて組み立てることができ、特に特定の挿入部材を有するケースに対する需要が増加した場合、他の製品用のケースに対して現在需要が少なければそれに対応することができる。
【0071】
以上、基本的に飲料ケースという文脈において各実施例を説明したが、本発明の更なる実施例は他の製品の種類に対して採用され得ることは言うまでもない。例えば、本発明のケースを用いて、飲料缶及び他の円筒形の物体、例えば、ヘアスプレーやデオドラントの缶などを運搬しても良い。更に、横方向の開口を有するケースは、円筒形ベースの形状から逸脱し得る全く異なる種類の製品に使用しても良い。このケースは、積み重ねられた状態でケースから製品を横方向に取り出すことが可能であるため、任意の製品に対して広範囲に使用することができる。この大きな利点は、運搬する商品の種類には制限されない。