(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5704703
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】トンネル用照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20060101AFI20150402BHJP
F21V 14/02 20060101ALI20150402BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20150402BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20150402BHJP
F21V 29/00 20150101ALI20150402BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20150402BHJP
F21W 131/101 20060101ALN20150402BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150402BHJP
F21Y 105/00 20060101ALN20150402BHJP
【FI】
F21S2/00 630
F21V14/02 200
F21V17/10 500
F21V23/00 120
F21V29/00 111
F21V29/00 510
F21V31/00 300
F21W131:101
F21Y101:02
F21Y105:00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-40011(P2011-40011)
(22)【出願日】2011年2月25日
(65)【公開番号】特開2012-185905(P2012-185905A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-33037(P2011-33037)
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501497264
【氏名又は名称】西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591104295
【氏名又は名称】藤崎電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114616
【弁理士】
【氏名又は名称】眞下 晋一
(72)【発明者】
【氏名】木村 正義
(72)【発明者】
【氏名】内野 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】原田 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】庄野 博文
【審査官】
太田 良隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0002120(US,A1)
【文献】
特開2007−328963(JP,A)
【文献】
特開2002−270027(JP,A)
【文献】
特開2005−142116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S2/00
F21V17/00−23/06
F21V29/00
F21V31/00
F21W131/101
F21Y101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が通行するトンネル内を照明するトンネル用照明装置であって、
発光素子が実装された基板を有する照明体と、
前記発光素子に駆動電流を供給する電源回路が収容された電源ボックスと、
トンネル内に固定されて前記電源ボックスが取り付けられるブラケットと、
前記照明体を支持する支持部材とを備え、
前記照明体は、一方面に前記基板が密着し他方面に前記支持部材が取り付けられる放熱板と、前記基板を被覆するように前記放熱板に装着されるカバー部材とを備えており、
前記支持部材は、前記ブラケットに位置調整可能に取り付けられており、
前記支持部材は、一対の支持アームを備えており、
一対の前記支持アームは、前記電源ボックスを挟んだ両側において、前記ブラケットに回動可能に取り付けられており、
前記各支持アームは、前記照明体に取り付けられる第1の板材と、前記ブラケットに取り付けられる第2の板材とを備え、
一方の前記支持アームは、前記第1の板材と前記第2の板材との間に回転部が介在され、
他方の前記支持アームは、前記第1の板材と前記第2の板材とが締結具により締結されており、
前記締結具を取り外して前記照明体を前記回転部において回動させることにより、前記電源ボックスが開閉可能となるトンネル用照明装置。
【請求項2】
前記基板は、厚さが1.0mm以下である請求項1に記載のトンネル用照明装置。
【請求項3】
前記放熱板は、アルミニウムからなる請求項1または2に記載のトンネル用照明装置。
【請求項4】
前記電源ボックスは、アルミニウムからなる請求項1から3のいずれかに記載のトンネル用照明装置。
【請求項5】
前記照明体および前記電源ボックスは、防水構造を有する請求項1から4のいずれかに記載のトンネル用照明装置。
【請求項6】
前記発光素子は、LED(発光ダイオード)である請求項1から5のいずれかに記載のトンネル用照明装置。
【請求項7】
前記回転部は、ヒンジで構成される請求項1から6のいずれかに記載のトンネル用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が通行するトンネル内を照明するトンネル用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトンネル用照明装置として、例えば特許文献1に開示されているように、LED(発光ダイオード)を光源として備える構成が知られている。この照明装置は、LEDが実装された基板が点灯回路と共に器具本体の内部に収容されており、裏面側がトンネル内壁に固定された状態で、表面側の透光性カバーを介してトンネル内を照明することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−142116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の照明装置は、器具本体内にLED実装基板や点灯回路等が一体的に収容されているために重量が重く、トンネル内における照射方向や照射角度の調整が困難であるという問題があった。
【0005】
また、トンネル内であっても車両によって持ち込まれる等した水分が存在するため、トンネル用照明装置には防水機能が求められ、上記従来の照明装置も器具本体が密閉されている。ところが、このような密閉構造によって、LED実装基板や点灯回路の放熱が不十分になり易く、LEDの寿命低下を招くおそれがあった。すなわち、トンネル用照明装置に対しては、防水性と発光素子の放熱性が要求されるが、従来の構成ではこれらの両立が困難であった。
更に、LEDを交換する際には、器具本体内での配線等の作業が必要になるため、作業性の面でも問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、防水性および放熱性に優れ、かつ設置作業およびメンテナンス作業が容易なトンネル用照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、車両が通行するトンネル内を照明するトンネル用照明装置であって、発光素子が実装された基板を有する照明体と、前記発光素子に駆動電流を供給する電源回路が収容された電源ボックスと、トンネル内に固定されて前記電源ボックスが取り付けられるブラケットと、前記照明体を支持する支持部材とを備え、前記照明体は、一方面に前記基板が密着し他方面に前記支持部材が取り付けられる放熱板と、前記基板を被覆するように前記放熱板に装着されるカバー部材とを備えており、前記支持部材は、前記ブラケットに位置調整可能に取り付けられ
ており、前記支持部材は、一対の支持アームを備えており、一対の前記支持アームは、前記電源ボックスを挟んだ両側において、前記ブラケットに回動可能に取り付けられており、前記各支持アームは、前記照明体に取り付けられる第1の板材と、前記ブラケットに取り付けられる第2の板材とを備え、一方の前記支持アームは、前記第1の板材と前記第2の板材との間に回転部が介在され、他方の前記支持アームは、前記第1の板材と前記第2の板材とが締結具により締結されており、前記締結具を取り外して前記照明体を前記回転部において回動させることにより、前記電源ボックスが開閉可能となるトンネル用照明装置により達成される。
このような構成を備えるトンネル用照明装置によれば、発光素子が実装された基板を放熱板に密着させているので、発光素子が発する熱を効率的に放熱することが可能となる。また、前記放熱板の基板側に、基板を被覆するようカバー部材を備えているので、高い放熱特性を維持したままで、防水機能を有する照明装置を実現することが可能であり、かつ放熱板が防水容器の一部を兼ねるため、防水のための素材が低減できるので更に軽量化も図られる。発光素子にLED( 発光ダイオード)を用いることによっても、照明体を小型化、軽量化が可能になるので、発光素子にはLED( 発光ダイオード)を用いることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防水性および放熱性に優れ、かつ設置作業およびメンテナンス作業が容易なトンネル用照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトンネル用照明装置の平面図である。
【
図2】
図1に示すトンネル用照明装置の矢示A方向の正面図である。
【
図3】
図1に示すトンネル用照明装置の矢示B方向の側面図である。
【
図4】
図1に示すトンネル用照明装置の照明体の分解斜視図である。
【
図5】
図1に示すトンネル用照明装置の照明体を回動させた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトンネル用照明装置の平面図である。また、
図2および
図3は、
図1に示すトンネル用照明装置の正面図および側面図であり、それぞれ
図1の矢示A方向およびB方向に見た図である。本実施形態のトンネル用照明装置1は、照明体10、電源ボックス20、ブラケット30および支持部材40を備えている。
【0013】
照明体10は、LED等からなる複数の発光素子11aが実装された基板11と、基板11が貼着された放熱板12と、基板11を覆うように放熱板12に装着されたカバー部材13とを備えている。
放熱板12は、例えば平板状であり、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の熱伝導性が良好な材料から形成されることが好ましい。アルミニウムからなる放熱板12は、高い熱伝導性に加えて、軽量化を実現することができ、機械的強度も確保される。放熱板12に貼着される基板11は、放熱性を高めるためになるべく薄く形成することが好ましく、特に基板11の厚さを1.0mm以下に薄くすることにより、発光素子11aを放熱板12に直接実装したのとほぼ同程度の高い放熱特性が得られる。基板11の厚さの下限値は特に限定されないが、必要な強度を確保するために実用的なものであればよく、例えば50μmである。基板11についても、FR4などの高い熱伝導性材料により形成することが好ましい。
カバー部材13は、
図4に分解斜視図で示すように、縦材14aおよび横材14bからなる枠体14と、強化すりガラス等の透明または半透明の部材からなる透光パネル15と、アルミニウム等の金属パッキン16aがシリコンゴム等のゴムパッキン16b,16cで挟持された枠状パッキン16とを備えている。放熱板12に対するカバー部材13の装着は、放熱板12の周縁に沿って形成された挿入孔12aに組立ボルト17を挿通させて、枠体14の裏面側に形成された溝部14cの適宜の位置にスライド配置した組立ナット14dに螺合させることにより行われる。透光パネル15は、放熱板12との間に枠状パッキン16が介在した状態で、枠体14により押圧保持される。このような構成により、放熱板12とカバー部材13との密着性が確保され、照明体10の優れた防水構造を得ることができる。
また、基板11と放熱板12との貼着は、発光素子11aの発熱が放熱板12を介して効率良く放熱されるように、例えば絶縁性で熱伝導率が高い接着剤を用いる等して高い密着性を確保することが好ましい。なお、直進性が強い発光素子11aの配光特性を生かすために、本実施形態の照明体10は反射板を備えていない。
【0014】
電源ボックス20は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の放熱性および剛性に優れる材料から形成され、
図2に示すように、三相交流等の外部電源からパワーケーブル20aを介して電力が供給される電源回路(図示せず)が収容されている。電源回路は、整流回路、スイッチング素子、トランス等を備えており、外部の制御装置から信号ケーブル20bを介して制御信号が入力されると共に、出力ケーブル20cを介して照明体10の各発光素子11aに接続されて、発光素子11aの明るさ等の制御を行う。電源ボックス20は、開閉可能な蓋体21が前面側に設けられており、蓋体21を開放することにより、内部に収容された電源回路のメンテナンスや電子部品の交換等を行うことができる。電源ボックス20についても、蓋体21との間にパッキンを介在させる等して防水構造を備えることが好ましい。
【0015】
ブラケット30は、薄板状の本体部31を折り曲げて形成されており、本体部31の中央には、電源ボックス20の後面側に設けられた脚部22が締結具32により固定される保持面31aが形成されている。本体部31の両側には取付孔が形成されており、トンネル内の側壁や天井壁、あるいはトンネル内設備などの被取付面Sに埋め込まれたアンカーボルトBを取付孔に挿通させてナットNを締め込むことにより、ブラケット30がトンネル内に固定される。ブラケット30の保持面31aの両側には、本体部31から前方に延びる一対の保持板33,33が設けられている。保持板33は、後述する2つの締結具45,46が取り付けられる2つの取付孔を有している。
【0016】
支持部材40は、照明体10の長手方向両側をそれぞれ支持する一対の支持アーム50,60を備えている。一方の支持アーム50は、
図1および
図3に示すように、照明体10の後面側である放熱板12に取り付けられる第1の板材51と、ブラケット30の保持板33に取り付けられる第2の板材52とを備えており、第1の板材51と第2の板材52との間に介在された回転部53により、第2の板材52に対して第1の板材51が回動可能に構成されている。回転部53は、例えばヒンジや回転金具などから構成される。
第2の板材52は、保持板33に形成された2つの取付孔にそれぞれ合致する2つの取付孔を有しており、締結具45,46を挿通することにより保持板33に固定される。
図3に示すように、第2の板材52に形成された取付孔の一方は円弧状に形成されたスリット52aであり、一方の締結具45を回動軸として他方の締結具46をスリット52aに沿って案内することにより、保持板33に対して第2の板材52を矢示方向に回動させて、所望の回動位置で固定することができる。
【0017】
他方の支持アーム60も、一方の支持アーム50と同様に、照明体10の後面側である放熱板12に取り付けられる第1の板材61と、ブラケット30の保持板33に取り付けられる第2の板材62とを備えており、保持板33に対して第2の板材62が回動可能となるように構成されている。このような支持部材40の構成により、照明体10をブラケット30に対して上下方向に回動させることができ、照射角度を調整することができる。他方の支持アーム60における第1の板材61と第2の板材62とは、一方の支持アーム50とは異なり回転部は介在されておらず、締結具47により直接締結されている。一対の支持アーム50,60は、例えば、アルミニウム等の金属材料から形成される。
【0018】
以上の構成を備えるトンネル用照明装置1によれば、照明体10と電源ボックス20とが分離されており、電源ボックス20がブラケット30に固定されると共に、照明体10を支持する支持部材40がブラケット30に対して位置調整に取り付けられるため、照明体10の軽量化を図ることができ、簡素な構成により照明体10の位置調整を容易且つ確実に行うことができる。したがって、多数のトンネル用照明装置1をトンネル内に設置する場合や、メンテナンスを行う場合の作業性を高めることができる。トンネル用照明装置1を多数設置する場合には、1つの電源ボックス20を複数の照明体10で共用してもよく(すなわち、一部のトンネル用照明装置1が電源ボックス20を備えない構成にしてもよく)、設置作業の更なる迅速化を図ることができる。
【0019】
また、本実施形態のトンネル用照明装置1は、照明体10を電源ボックス20から分離しただけではなく、発光素子11aが実装された基板11を放熱板12の一方面に密着させると共に、放熱板12の他方面を露出させて支持部材40で支持するように構成されているため、発光素子11aの発熱を放熱板12を介して効率良く放熱することができ、発光素子11aの長寿命化を図ることができる。また、発光素子11aを交換する必要が生じた場合には、放熱板12に取り付けられている支持部材40およびカバー部材13を取り外して、新たな基板11付きの放熱板12に取り替えることで、交換作業を迅速に行うことができる。なお、使用後の放熱板12は、発光素子11aや基板11の取り替えにより、リサイクル可能である。
【0020】
また、本実施形態のトンネル用照明装置1は、支持部材40が備える一対の支持アーム50,60が、電源ボックス20を挟んだ両側においてブラケット30に回動可能に取り付けられているため、構成のコンパクト化を図りつつ照明体10の位置調整を容易に行うことができる。ブラケット30に対する支持部材40の位置調整は、本実施形態のように上下方向の回動に限定されるものではなく、例えば、水平方向の回動や、上下または水平方向の直進移動であってもよく、更には、回動自在かつ直進自在であってもよい。支持部材40を位置調整可能な構成としては、締結具を挿通する取付孔を円弧状または直線状のスリットとした構成や、取付孔をブラケット30または支持部材40に多数形成して、締結具を挿通する取付孔を適宜選択可能にした構成等を例示することができる。
【0021】
また、本実施形態のトンネル用照明装置1は、一方の支持アーム50に回転部53が介在されているため、電源ボックス20の点検やメンテナンス時には、他方の支持アーム60の締結具47を取り外して、
図5に示すように照明体10を回転部53において回動させることにより、電源ボックス20の蓋体21を開閉可能にすることができ、点検作業等を迅速容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0022】
1 トンネル用照明装置
10 照明体
11 基板
11a 発光素子
12 放熱板
13 カバー部材
20 電源ボックス
30 ブラケット
40 支持部材
50,60 支持アーム
53 回転部