(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5704913
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】リステリア属菌検出用簡易培地
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/04 20060101AFI20150402BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20150402BHJP
C12R 1/01 20060101ALN20150402BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12N1/20 A
C12N1/20 A
C12R1:01
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-284132(P2010-284132)
(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公開番号】特開2012-130274(P2012-130274A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226862
【氏名又は名称】日水製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】寺村 哉
(72)【発明者】
【氏名】内田 将文
【審査官】
一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−510054(JP,A)
【文献】
International Journal of Food Microbiology,1999年 9月25日,Vol. 50, No. 3,pp. 221-226
【文献】
Letters in Applied Microbiology,1993年 6月,Vol. 16, No. 6,pp. 311-314
【文献】
Journal of Food Protection,1995年11月,Vol. 58, No. 11,pp. 1268-1270
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00−3/00
C12N 1/00−7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/AGRICOLA/SCISEARCH(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キサンタンガム、(b)検出可能な遊離性基を有するβ−グルコシダーゼ基質、(c)硫酸リチウム、(d)コリスチン硫酸塩、(e)モクサラクタム及び(f)菌体栄養成分を含有する培地組成物を、繊維質吸水性シートに担持又は積層させたリステリア属菌検出用簡易培地。
【請求項2】
さらに、無機塩類及び/又は糖類を含有するものである請求項1記載のリステリア属菌検出用簡易培地。
【請求項3】
(b)検出可能な遊離性基を有するβ−グルコシダーゼ基質が、色原体化合物又は蛍光性化合物を遊離し得るβ−グルコピラノシド又はその塩である請求項1又は2記載のリステリア属菌検出用簡易培地。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の培地に、検体を接種して培養した後、当該培地上の検出可能なコロニーの有無を検出することを特徴とするリステリア属菌の検出法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易かつ特異的にリステリア属菌を検出できる培地及びこれを用いたリステリア属菌の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リステリア(Listeria)属菌はグラム陽性、通性嫌気性の無芽胞桿菌であり、6菌種が認められている。人に病原性を示す菌としてL.monocytogenesが知られており、初期症状として発熱、頭痛、筋肉痛などのインフルエンザ様症状を示す。特に、乳幼児、高齢者、免疫不全者及び基礎疾患のある人では髄膜炎や敗血症を引き起こす場合があり致死率が高い。L.monocytogenesは乳製品や食肉製品及びready to eat食品に由来する食中毒事例が多く、通常食品を対象とした場合には本菌の制御が重要である。また、食品製造環境等におけるL.monocytogenesによる汚染指標としてリステリア属菌を指標として取り扱うことも重要であり、本細菌属の制御は食品衛生及び安全の点からも重要である(非特許文献1)。
【0003】
一般的にリステリア属菌の検出に用いられている培地としてはOxford寒天培地、PALCAM寒天培地及びALOA寒天培地などが知られており、特にALOA寒天培地はリステリア属菌株に対して特異的に保有する酵素であるβ−グルコシダーゼに対する発色酵素基質を含む、世界中で広く使用されている培地である。
これらの培地を調製する際には、予め基礎となる培地成分を滅菌、保温し、これに抗生物質等からなる選択剤を添加後、分注、固化させ平板として使用することが一般的である。この場合、培地の調製及び検査のための検体の接種及び塗抹操作が非常に煩雑となっていた(非特許文献2〜4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】食品衛生検査指針 微生物編 厚生労働省監修 社団法人 日本食品衛生協会 249-265頁。
【非特許文献2】Difco & BBL Manual, Manual of Microbiological Culture Media 2003, Becton Dickinson and Company 416-418、420-422頁。
【非特許文献3】U.S. Food and Drug Administration, Detection and Enumeration of Listeria monocytogenesホームページ。http://www.fda.gov/Food/ScienceResearch/LaboratoryMethods/BacteriologicalAnalyticalManualBAM/UCM071400
【非特許文献4】U.S. Food and Drug Administration, Media Index for BAM, M10aホームページ。http://www.fda.gov/Food/ScienceResearch/LaboratoryMethods/BacteriologicalAnalyticalManualBAM/UCM062997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、操作が簡便で、かつ特異的にリステリア属菌を検出できる培地及び検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、従来のALOA寒天培地成分をそのまま繊維質吸水性シートに担持させて簡易培地とした。しかし得られた簡易培地では、ALOA寒天培地に含まれている選択剤である抗生物質ポリミキシンBの作用が不活化されるため、正確な検出ができないことが判明した。そこで本発明者は、シートに担持させるゲル化剤としてキサンタンガムを選択し、これにβ−グルコシダーゼ基質、硫酸リチウム、コリスチン硫酸塩及びモクサラクタムを組み合わせてシートに担持させれば、リステリア属菌が簡便かつ選択的に検出できる培地が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、(a)キサンタンガム、(b)検出可能な遊離性基を有するβ−グルコシダーゼ基質、(c)硫酸リチウム、(d)コリスチン硫酸塩、(e)モクサラクタム及び(f)菌体栄養成分を含有する培地組成物を、繊維質吸水性シートに担持又は積層させたリステリア属菌検出用簡易培地を提供するものである。
【0008】
また本発明は、上記の培地に、検体を接種して培養した後、当該培地上の検出可能なコロニーの有無を検出することを特徴とするリステリア属菌の検出法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の培地によれば、検体を培地上に滴下し、24〜48時間静置培養するだけで簡便にリステリア属菌が検出できる。また、培地の調製も、各成分をシートに添加した後乾燥させるだけであることから、容易である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のリステリア属菌検出用簡易培地は、繊維質吸水性シートに、(a)キサンタンガム、(b)検出可能な遊離性基を有するβ−グルコシダーゼ基質、(c)硫酸リチウム、(d)コリスチン硫酸塩、(e)モクサラクタム及び(f)菌体栄養成分を含有する培地組成物を、担持又は積層させたものである。
【0011】
本発明で用いる繊維質吸水性シートは、接種された被検液が毛細管現象により容易に拡散することが必要であり、例えばレーヨン不織布に代表される合成繊維不織布、コットン不織布に代表される天然繊維不織布等が挙げられる。これらのシートの形状は特に制限されず、正方形、長方形、円形等の何れであってもよい。またその大きさも特に制限されないが、簡易検出用であることから、長径1〜15cmのものが好ましい。また、網目の大きさが15〜100メッシュ、特に20〜50メッシュで、厚さが10〜1000μm、特に50〜600μmのものが好ましい。
【0012】
このような繊維質吸水性シートは防水性平板に載置されているのが好ましく、かかる防水性平板としては、プラスチック、ガラス等の防水性の材質のものであれば何れでもかまわないが、外部からの観察のため透明のものが好ましい。
【0013】
本発明で用いる(a)キサンタンガムは、培地組成物においてゲル化剤として機能する。ゲル化剤としてキサンタンガムを用い、選択剤としてポリミキシンBを用いた場合には、ポリミキシンBの不活化が生じるが、キサンタンガムをゲル化剤として用い、コリスチン硫酸塩とモクサラクタムを選択剤として採用した場合には不活化が生じない。キサンタンガムは、平均粒径500μm以下、特に0.5〜50μmの粉体を用いるのが好ましい。
【0014】
(b)検出可能な遊離性基を有するβ−グルコシダーゼ基質は、リステリア属菌の有するβ−グルコシダーゼの作用により検出可能な遊離性基を遊離することにより発色させ、リステリア属菌のコロニーを検出するためのものである。該遊離性基としては、色原体化合物、蛍光性化合物が挙げられる。具体的なβ−グルコシダーゼ基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−グルコピラノシド(X−β−グルコシド、青色)、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−D−グルコピラノシド(MAGENTA−β−グルコピラノシド、赤紫)、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド(赤紫)、6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド(ピンク)、5−ブロモ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチル−ウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、o−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド、フェニル−β−D−グルコピラノシド、3−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド、4−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド、3−インドキシル−β−グルコピラノシドトリハイドレート、n−ヘプティル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド等が挙げられ、このうち鑑別性の点から5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−グルコピラノシド(X−β−グルコシド)が好ましい。検出可能な青色の遊離性基を有するα−グルコシダーゼ基質の濃度は、(培地中又は検出時)0.001g/L〜5g/Lが好ましく、特に0.01g/L〜0.25g/L、更に0.05g/L〜0.15g/Lが好ましい。
【0015】
(c)硫酸リチウムは、腸球菌を抑制し、本発明の培地におけるリステリア属菌の選択性を高めるための成分である。
【0016】
(d)コリスチン硫酸塩及び(e)モクサラクタムは、リステリア属菌以外の細菌を抑制し、本発明の培地におけるリステリア属菌の選択性を確保するための成分である。従来、リステリア属菌の選択培地に用いられているポリミキシンBは、本発明の簡易培地では十分な選択性が得られない。
【0017】
(f)成分の菌体栄養成分としては、リステリア属菌の生育に適したもので、例えばペプトン、酵母エキス、ピルビン酸ナトリウム、トリプトファン、N−2−アセトアミド−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノエタンスルホン酸等が挙げられる。特に、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の無機塩類;グルコース、α−メチル−D−マンノシド、でんぷん、ラムノース、キシロース等の糖類を用いるのが特に好ましい。
【0018】
これらの培地成分の終濃度(検体添加時の濃度)は、成分(a)が1〜10質量%(特に1〜5質量%)、成分(b)が0.0001〜0.5質量%(特に0.001〜0.0025質量%、更に0.005〜0.015質量%)、成分(c)が0.1〜5質量%(特に0.5〜2質量%)、成分(d)が0.0001〜0.01質量%(特に0.0005〜0.005質量%)、成分(e)が0.0002〜0.02質量%(特に0.0005〜0.005質量%)、成分(f)が2.5〜10質量%(特に4〜8質量%)が好ましい。
【0019】
本発明の簡易検出培地は、まず成分(a)〜(f)をアルコールに添加してアルコール懸濁液を調製する。ここでアルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等のC
2-4アルコールが挙げられる。
【0020】
次いで、このアルコール懸濁液を、防水性平板上に載置した繊維質吸水性シートに注下、噴霧、塗布等によって含浸させる。含浸させるアルコール懸濁液は、シート1cm
3当り0.5〜2mLとするのが好ましい。その後乾燥してアルコールを蒸発除去することにより、培地成分が担持された繊維質吸水性シートが防水性平板に積層固着されるが、この乾燥に際しては、アルコールの急速な蒸発を抑制しつつ行うのが好ましい。このようにアルコールの急速な蒸発を抑制しつつ乾燥を行うための手段としては特に限定されるものではないが、例えばアルコールの蒸気圧の高い雰囲気中で乾燥を行う、低温で乾燥を行う等の方法が挙げられる。
【0021】
また、本発明の簡易培地は、例えば前記成分(a)〜(f)を含有する培地成分を、防水性平板の表面の少なくとも一部に被覆し、その被覆表面の少なくとも一部に繊維状吸水性シートを積層させることによっても製造することができる。すなわち、まず、前記と同様に培地組成物を調製し、これを防水性平板に均一に塗沫した後、乾燥して被覆を形成し、次いで、この被覆表面に繊維状吸水性シートを積層することにより、本発明の簡易培地を得ることができる。
【0022】
本発明の簡易培地は、汚染及び乾燥を防止するために、その表面をフィルムで覆うか、容器に収納するのが好ましく、特に、防水性平板として容器一体型の防水性容器を用い、これに培地成分を担持させた繊維質吸水性シートを積層固着させるのが好ましい。
【0023】
このようにして製造された本発明の簡易培地は、エチレンオキサイドガス、γ線、電子線等によって滅菌するのが好ましい。好ましい滅菌方法としては、アルミ包材等、ガスバリヤー性と遮光性を兼ね備えた包材で包装した後、γ線、電子線等の放射線照射を行う方法が挙げられ、特にこの包装の際に簡易培地と共に乾燥剤を封入しておくことが最も好ましい。このような方法で滅菌処理を行うことにより、簡易培地の製造の全行程を無菌状態に管理する必要がなくなり、かつ滅菌後の微生物の混入や光及び湿気による培地の経時変化を抑制することが可能となる。
【0024】
本発明の簡易培地を用いてリステリア属菌を検出するには、当該培地表面に被検液を接種する。そうすると、被検液がメッシュ間の立体的な空洞部の毛細管現象によって容易に拡散し、それに続いて膨潤ゲル化が起こって、被検液中のリステリア属菌は捕捉され、自由移動が抑制され、培養によってコロニーが形成される。従って、培地形成面を観察すれば、形成したコロニーが容易に観察できる。試料を定量的に簡易培地へ接種すれば、培養後出現したコロニーを計測することにより、容易に菌数を算定することができる。
【0025】
なお、菌体液の接種は通常ピペット等により一定量を接種する方法が採用されるが、水分の多い個体へスタンプする方法や試料液へ浸す方法でもよい。また、被検液接種後の培養は、静置して行っても、また輸送期間中に行ってもよい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
実施例1
(1)培地の作製
表1に記載の成分を本発明の培地組成物とした。この培地組成物のエタノール溶液1000mLに加え、懸濁液とした。このエタノール懸濁液を1mLずつ繊維質吸水性シート(コットン不織布、50φmm)を収納した容器(50φmm)に分注した後、これらが重ならないように、非開放空間内で一夜静置して乾燥した後、蓋をして本発明の簡易培地を作製した。本培地を乾燥剤と共にアルミ包材に密封包装した後、表面線量10〜20kGyのγ線照射を行って滅菌した。
【0028】
【表1】
【0029】
Oxford寒天培地及びALOA寒天培地は定法に従い作製し、プラスチックシャーレに20mLずつ分注して培地が固まるまで静置した。
トリプトソイ寒天(TSA)は1リットル使用量を1リットルの精製水に加え、121℃、15分間高圧蒸気滅菌し良く撹拌後、予め検体を接種したプラスチックシャーレ(90φmm)に15mLずつ分注した。その後、速やかに検体と培地を混合し、培地が固まるまで静置した。
【0030】
(2)菌株の供試
供試菌株はトリプトソイブイヨンで24時間前培養したものを用い、これを滅菌生理食塩水で10倍段階希釈し、簡易培地及び空の滅菌プラスチックシャーレにはそれぞれ1mL、Oxford寒天培地及びALOA寒天培地平板には0.1mLをそれぞれ接種後、滅菌コンラージ棒を使用して塗抹を行った。
【0031】
(3)結果
実際に本発明培地を使用し、リステリア属菌の検出を試みた結果、従来の培地を使用するよりも簡便に同等の結果を得ることができた(表2)。
また、リステリア属菌以外の菌株についてはそのほとんどが発育を抑えられる事を認めた(表2)。
【0032】
【表2】
【0033】
比較例1
(1)培地の作製
培地組成を表3に示した。
ALOA寒天培地に選択剤として使用されているポリミキシンBのみを選択剤として含むメッシュを有する繊維状吸水シートに担持させた構造を利用した簡易培地(実施例1と同様)をポリミキシンB含有量を変えてそれぞれ作製した。
【0034】
【表3】
【0035】
トリプトソイ寒天(TSA)は1リットル使用量を1リットルの精製水に加え、121℃、15分間高圧蒸気滅菌し良く撹拌後、予め検体を接種したプラスチックシャーレ(90φmm)に15mLずつ分注した。その後、速やかに検体と培地を混合し、培地が固まるまで静置した。
【0036】
(2)菌株の供試
供試菌株にはPseudomonas aeruginosa ATCC9027を使用し、トリプトソイブイヨンで24時間前培養したものを用いた。これを滅菌生理食塩水で10倍段階希釈し、簡易培地及び空の滅菌プラスチックシャーレにはそれぞれ1mL接種した。
【0037】
(3)結果
ポリミキシンBを含有する簡易培地を作製した場合、通常寒天培地にて使用される濃度においては、その効力を発揮できず不活化していることを認め、寒天培地を同様の効果をもたらす為には少なくとも寒天培地に適用している濃度の10倍量が必要であることを認めた(表4)
従って、ポリミキシンBを選択剤に使用することは環境に対し、また安価に提供する点として適当でないことを認めた(表4)。
【0038】
【表4】