特許第5705124号(P5705124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ HOYA株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5705124-診断補助装置及び診断補助方法 図000013
  • 特許5705124-診断補助装置及び診断補助方法 図000014
  • 特許5705124-診断補助装置及び診断補助方法 図000015
  • 特許5705124-診断補助装置及び診断補助方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705124
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】診断補助装置及び診断補助方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20150402BHJP
【FI】
   A61B1/00 300D
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-538390(P2011-538390)
(86)(22)【出願日】2010年10月22日
(86)【国際出願番号】JP2010068663
(87)【国際公開番号】WO2011052491
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2009-248660(P2009-248660)
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100169856
【弁理士】
【氏名又は名称】尾山 栄啓
(72)【発明者】
【氏名】千葉 亨
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−504561(JP,A)
【文献】 特表2002−535023(JP,A)
【文献】 国際公開第03/079900(WO,A1)
【文献】 特開2007−285922(JP,A)
【文献】 松山悦啓 他,DEXA法による腰椎骨密度値の基準値と骨粗鬆症の判定について,中部日本整形外科災害外科学会雑誌,1994年 1月 1日,第37巻、第1号,pp.199-200
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
A61B 5/00−5/22
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/64
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象となる生体組織の分光特性のベクトルである被検ベクトルを読み込むベクトル入力手段と、
前記診断対象となる生体組織と同一部位で且つ病変部が含まれていない多数の生体組織サンプルの分光特性のベクトルから、独立成分分析により、特定の物質の分光特性のベクトルである複数の独立成分ベクトルを算出する独立成分ベクトル算出手段と、
前記算出された独立成分ベクトルにて、前記被検ベクトルを重回帰分析し、残差成分のベクトルであるエラーベクトルを得る重回帰分析手段と、
前記エラーベクトルの特徴を抽出し、抽出されたエラーベクトルの特徴から前記診断対象となる生体組織に病変部が含まれるかどうか、及びどのような病変部が含まれる可能性があるかを示す指標値を演算する指標値演算手段と
を有する
診断補助装置。
【請求項2】
前記指標値演算手段は、
特定の病変部が含まれる多数の生体組織サンプルの分光特性のベクトルを前記複数の独立成分ベクトルにて重回帰分析して得られる残差成分のベクトルである病変部サンプルエラーベクトルから独立分分析によって求められる病変部物質ベクトルに基づいて前記指標値を演算する
請求項1に記載の診断補助装置。
【請求項3】
前記指標値演算手段は、
前記エラーベクトルをE=[Eλ1,Eλ2,・・・,EλM]、前記病変部物質ベクトルをE=[Edλ1,Edλ2,・・・,EdλM]として、重回帰分析により下式(a)を満たす係数sを演算し、
重み付け係数wλmを用いて下式(b)によってベクトルE/sとEとの類似度Dを演算し、
前記類似度Dに基づいて前記指標値を求める
請求項に記載の診断補助装置。
【請求項4】
前記指標値演算手段は、
前記多数の病変部サンプルエラーベクトルをEdk=[Edkλ1,Edkλ2,・・・,EdkλM](k=1,2,・・・,K)として、重回帰分析により求められる下式(c)を満たす係数sdkと、下式(d)によって求められるベクトルEdk/sdkの夫々とEとの類似度の群Ddkに基づいて、検定によって前記類似度Dが前記類似度の群Ddkに含まれる確率の演算を行い、
前記類似度Dが前記類似度の群Ddkに含まれる確率を前記指標値とする
請求項に記載の診断補助装置。
【請求項5】
診断対象となる生体組織の分光特性のベクトルである被検ベクトルを読み込むベクトル入力ステップと、
前記診断対象となる生体組織と同一部位で且つ病変部が含まれていない多数の生体組織サンプルの分光特性のベクトルから、独立成分分析により、特定の物質の分光特性のベクトルである複数の独立成分ベクトルを算出する独立成分ベクトル算出ステップと、
前記算出された独立成分ベクトルにて、前記被検ベクトルを重回帰分析し、残差成分のベクトルであるエラーベクトルを得る重回帰分析ステップと、
前記エラーベクトルの特徴を抽出し、抽出されたエラーベクトルの特徴から前記診断対象となる生体組織に病変部が含まれるかどうか、及びどのような病変部が含まれる可能性があるかを示す指標値を演算する指標値演算ステップと
含む、
診断補助方法。
【請求項6】
前記指標値演算ステップにおいて
特定の病変部が含まれる多数の生体組織サンプルの分光特性のベクトルを前記複数の独立成分ベクトルにて重回帰分析して得られる残差成分のベクトルである病変部サンプルエラーベクトルから独立分分析によって求められる病変部物質ベクトルに基づいて前記指標値を演算する
請求項に記載の診断補助方法。
【請求項7】
前記指標値演算ステップにおいて
前記エラーベクトルをE=[Eλ1,Eλ2,・・・,EλM]、前記病変部物質ベクトルをE=[Edλ1,Edλ2,・・・,EdλM]として、重回帰分析により下式(a)を満たす係数sを演算し、
重み付け係数wλmを用いて下式(b)によってベクトルE/sとEとの類似度Dを演算し、
前記類似度Dに基づいて前記指標値を求める
請求項に記載の診断補助方法。
【請求項8】
前記指標値演算ステップにおいて
前記多数の病変部サンプルエラーベクトルをEdk=[Edkλ1,Edkλ2,・・・,EdkλM](k=1,2,・・・,K)として、重回帰分析により求められる下式(c)を満たす係数sdkと、下式(d)によって求められるベクトルEdk/sdkの夫々とEとの類似度の群Ddkに基づいて、検定によって前記類似度Dが前記類似度の群Ddkに含まれる確率の演算を行い、
前記類似度Dが前記類似度の群Ddkに含まれる確率を前記指標値とする
請求項に記載の診断補助方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘膜などの生体組織の分光特性から、生体組織に病変部があるかどうか及び、生体組織にどのような形態の病変部が含まれるのかに関する指標を得るための診断補助装置及び診断補助方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本特許出願公開公報JP2007−135989Aに記載されているもののような、分光計としての機能を備えた電子内視鏡が提案されている。このような電子内視鏡によれば、胃や直腸などの消化器の粘膜等の生体組織の分光特性(光の吸収率の周波数ごとの分布)を得ることができる。分光特性は、分光特性の測定対象となる生体組織の表層部に含まれる物質の種類によって決まるものである(Beer−Lambertの法則)。すなわち、生体組織の分光特性は、その生体組織を構成する主要な複数の物質の分光特性を重畳したものである。
【0003】
病変部の生体組織においては、健常部の生体組織には殆ど含まれていない物質が多く含まれる場合がある。そのため、病変部を含む生体組織の分光特性は、健常部のみの生体組織の分光特性とは異なったものとなる。従って、生体組織の分光特性を、病変部を含まない既知の生体組織の分光特性と比較することによって、生体組織に病変部が含まれているかどうかを診断可能である。
【発明の概要】
【0004】
従来は、分光計によって計測される生体組織の分光特性のグラフを医師が目視することによって、生体組織に病変部が含まれているかどうかの診断を行っていた。上記の分光特性の目視による診断は、専ら医師の経験によるものであり、分光特性を用いた診断において定量的な判断材料となる指標が得られる診断補助装置及び診断補助方法が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決する、すなわち分光特性を用いた診断において定量的な指標が得られる診断補助装置及び診断補助方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の診断補助装置は、診断対象となる生体組織の分光特性のベクトルである被検ベクトルを読み込むベクトル入力手段と、特定の物質の分光特性のベクトルである複数の独立成分ベクトルにて、被検ベクトルを重回帰分析し、残差成分のベクトルであるエラーベクトルを得る重回帰分析手段と、エラーベクトルの特徴を抽出し、抽出されたエラーベクトルの特徴から診断対象となる生体組織に病変部が含まれるかどうか、及びどのような病変部が含まれる可能性があるかを示す指標値を演算する指標値演算手段とを有する。
【0007】
このような構成とすると、健常な組織には含まれていない分光特性の成分であるエラーベクトルに基づいて演算される指標値という、診断において定量的な判断材料となる指標を得ることができるようになる。
【0008】
好ましくは、独立成分ベクトルは、診断対象となる生体組織と同一部位で且つ病変部が含まれていない多数の生体組織サンプルの分光特性のベクトルから、独立成分分析によって算出される。
【0009】
また、好ましくは、指標値演算手段は、特定の病変部が含まれる多数の生体組織サンプルの分光特性のベクトルを複数の独立成分ベクトルにて重回帰分析して得られる残差成分のベクトルである病変部サンプルエラーベクトルから独立分分析によって求められる病変部物質ベクトルに基づいて指標値を演算する。
【0010】
また、指標値演算手段は、エラーベクトルをE=[Eλ1,Eλ2,・・・,EλM]、病変部物質ベクトルをE=[Edλ1,Edλ2,・・・,EdλM]として、重回帰分析により下式(a)を満たす係数sを演算し、重み付け係数wλmを用いて下式(b)によってベクトルE/sとEとの類似度Dを演算し、類似度Dに基づいて指標値を求める構成としてもよい。
【0011】
さらに、指標値演算手段は、多数の病変部サンプルエラーベクトルをEdk=[Edkλ1,Edkλ2,・・・,EdkλM](k=1,2,・・・,K)として、重回帰分析により求められる下式(c)を満たす係数sdkと、下式(d)によって求められるベクトルEdk/sdkの夫々とEとの類似度の群Ddkに基づいて、検定によって類似度Dが類似度の群Ddkに含まれる確率の演算を行い、類似度Dが類似度の群Ddkに含まれる確率を指標値とする構成としてもよい。
【0012】
以上のように、本発明によれば、分光特性を用いた診断において定量的な指標が得られる診断補助装置及び診断補助方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態の診断補助システムのブロック図である。
図2図2は、健常な胃の粘膜の分光特性の一例を示すグラフである。
図3図3は、図2に示される胃の粘膜の分光特性の独立成分の分析結果のグラフである。
図4図4は、本実施形態の解析プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の診断補助システムのブロック図である。本実施形態の診断補助システム1は、電子内視鏡110、電子内視鏡用プロセッサ120及び内視鏡画像用モニタ130とからなる電子内視鏡装置100と、分光プローブ210及び分光計220からなる分光装置200と、解析用コンピュータ310と解析結果表示用モニタ320からなる解析装置300とを有する。
【0015】
電子内視鏡110は、挿入管111、操作部112及びコネクタ113を有する。挿入管111の先端部111aには、対物光学系114a及び固体撮像素子114bが内蔵されている。挿入管先端部111a周囲の体腔表面Bの像は、対物光学系114aによって固体撮像素子114bの受光部に結像するようになっている。固体撮像素子114bは、光電変換により、受光面に結像した像に対応する映像信号を生成する。生成された映像信号は、挿入管111の内部、操作部112の内部及びコネクタ113の内部に亙って配された固体撮像素子用信号ケーブル114cを介して電子内視鏡用プロセッサ120に送られる。なお、固体撮像素子としては、CCDを使用したものでもよく、また、CMOSを使用したものでもよい。
【0016】
固体撮像素子用信号ケーブル114cは、電子内視鏡用プロセッサ120に内蔵されている信号処理回路121に接続される。信号処理回路121は、固体撮像素子114bによって生成される映像信号を処理して所定の形式のビデオ信号(NTSC信号など)を生成し、これを電子内視鏡用プロセッサ200に接続された内視鏡画像用モニタ130に送信する。この結果、固体撮像素子114bによって撮像された挿入管先端部111a周囲の体腔表面Bの映像が、内視鏡画像用モニタ130に表示される。
【0017】
また、挿入管111の内部、操作部112の内部及びコネクタ113の内部に亙って、光ファイババンドル等のライトガイド115が配されている。ライトガイド115の先端115aは、挿入管先端部111aに設けられたカバーガラス(図示せず)に臨んでいる。また、ライトガイド115の基端115bは、コネクタ113から突出しており、コネクタ113を電子内視鏡用プロセッサ120に取り付けたときに、基端115bが電子内視鏡用プロセッサ120の内部に入り込むようになっている。
【0018】
電子内視鏡用プロセッサ120には、ランプ122aと集光レンズ122bを備えた光源部122が内蔵されている。電子内視鏡110のコネクタ113が電子内視鏡用プロセッサ120に接続されている状態では、ランプ122aによって生成される照明光が集光レンズ122bによってライトガイド115の基端115bに入射するようになっている。基端115bに入射した照明光は、ライトガイド115を通って先端115aからカバーガラスを介して放射され、挿入管先端部111a周囲の体腔表面Bを照明する。
【0019】
電子内視鏡110の挿入管111には、鉗子チャンネル116が内蔵されている。鉗子チャンネル116の先端116aは、挿入管先端部111aに開口しており、また、鉗子チャンネル116の基端は、挿入管111の中途に設けられた鉗子口116bとなっている。
【0020】
本実施形態においては、分光プローブ210は、鉗子口116bから鉗子チャンネル116に挿通されている。分光プローブ210の先端211は、鉗子チャンネル116の先端116aに配置されている。また、分光プローブ210の基端212は、分光計220に接続されている。分光プローブ210は、先端に集光レンズを有する一種のライトガイドであり、体腔表面B(または体腔内部)で反射した反射光の一部が集光レンズを介して分光プローブ210に入射され、分光計220に送られる。
【0021】
分光計220は、分光プローブ210から送られた光の分光特性を計測する。計測された分光特性のデータは、解析用コンピュータ310に送られる。
【0022】
解析用コンピュータ310は、CPU311、I/Oコントローラ312、ストレージ313及びビデオ回路314を有する。なお、解析用コンピュータ310は、例えばパーソナルコンピュータ又はワークステーションである。
【0023】
解析用コンピュータ310のCPU311は、分光計220による分光特性のデータをI/Oコントローラ312を介して、取得する。そして、後述する解析プログラムを実行することによって、体腔表面Bに何らかの病変がありうるかどうか、また、どのような種類の病変が発生している可能性が高いといえるのかを示す解析結果データを得る。CPU311はさらに、ビデオ回路314を制御して、解析結果データを解析結果表示用モニタ320に表示させる。
【0024】
解析用コンピュータ310のCPU311によって実行される解析プログラムについて以下に説明する。
【0025】
図2は、健常な胃の粘膜の分光特性(すなわち、波長に対する光の吸収率)の一例を示すグラフである。図2に示されるように、健常な胃の粘膜は、個人差や観察位置によって多少の変動はあるが、480nm以下、550〜560nm、580〜590nmにピークを持っている。生体組織の分光特性は、分光特性の計測対象となる部位の表層部を構成する物質によって決まるものといわれている。例えば、酸素と結合したヘモグロビンの分光特性(すなわち動脈の分光特性)は540nm前後及び570〜580nmにピークを持ち、一方、酸素と結合していないヘモグロビンの分光特性(すなわち静脈の分光特性)は、550〜560nmにピークを持つ。
【0026】
生体組織は、赤血球等の体液の成分や細胞を構成する物質など、様々な物質で構成されている。健常な組織においては、特定の生体組織を構成する主要な物質の種類には、個人差や観察位置による差は殆どなく、個人差等による分光特性の差異は、構成する物質の比率によるものである。すなわち、生体組織を構成する主要な物質の種類がNであり、各物質(独立成分)の分光特性ベクトル(特定の周波数帯(例えば、470nm〜700nm)において、特定の周波数(例えば5nm)毎に計測した光の吸収率のベクトル)をε(n=1,2,・・・,N)とすると、特定の健常な生体組織の分光特性ベクトルxは、以下に示す数1によって近似される。
【0027】
【数1】
【0028】
上記の数1において、係数sは、個人差等によってサンプル毎に変動する値である。
【0029】
一方、病変部の生体組織は、健常な生体組織には含まれない物質が含まれており、その種類は病変の種類の状態によって異なる。すなわち、病変部の分光特性ベクトルxは、以下に示す数2によって近似される。
【0030】
【数2】
【0031】
従って、特定の生体組織の分光特性ベクトルAに対して、数1を満たす係数sを定めることが可能であれば、その生体組織は健常部である可能性が高いものといえる。一方、分光特性ベクトルAに対して、係数sを定めることができず、残差であるエラー成分Eが残る場合は、その生体組織は病変部である可能性が高い。また、エラー成分Eの特徴(ピーク波長等)は、病変部の種類によって決まるものである。そのため、エラー成分Eの特徴から病変部の種類を推定することが可能となる。
【0032】
独立成分ベクトルεは、互いに無相関と見なせるため、特定の健常な生体組織のサンプルの分光特性を多数計測することによって推定可能である(独立成分分析)。図2に示される胃の粘膜の分光特性の独立成分の分析結果(N=3)のグラフを図3に示す。
【0033】
本実施形態の解析プログラムのフローチャートを図4に示す。本解析プログラムが実行されると、ステップS1が実行される。ステップS1では、CPU311は、分光計220によって計測された分光特性ベクトルAを読み込む。なお、分光特性ベクトルAは、解析プログラムを実行する際に分光計220から取得されてもよく、或いは、あらかじめ分光計220によって計測されてストレージ313等に保存された分光特性ベクトルを読み出すことによって取得されてもよい。
【0034】
次いで、ステップS2に進む。ステップS2では、CPU311は、独立成分分析によってあらかじめ求められた独立成分ベクトルεを用いて、特定の生体組織の分光特性ベクトルに対して重回帰分析を行い、係数s及びエラー成分Eの演算を行う。重回帰分析の手法としては、共役勾配法、最小自乗法、減衰最小自乗法、ニュートン法、準ニュートン法などの既知の手法が使用可能である。
【0035】
次いで、ステップS3に進む。ステップS3では、CPU311は、求められたエラー成分Eの分類を行う。具体的には、特定の病変部があることが判明している多数の生体組織の分光特性ベクトルに対して重回帰分析を行い、特定の病変部における典型的なエラー成分Eをあらかじめ求める。次いで、エラー成分Eを、エラー成分Eを用いて、下記の数3を満たす係数sを求める。
【0036】
【数3】
【0037】
そして、CPU311は、下記の数4を用いて、エラー成分のベクトルEをsで割ったベクトルE/s=[Eλ1/s,Eλ2/s,・・・,EλM/s]と、ベクトルE=[Edλ1,Edλ2,・・・,EdλM]の類似度Dを求める。
【0038】
【数4】
【0039】
係数wλmは、経験則によって定められる重み付け係数であり、特定の周波数域でのベクトルEとEの形状の類似度を強調することを目的とするものである。
【0040】
求められた類似度Dが0に近い程、エラー成分Eが示す生体組織が、エラー成分Eが示す特定の病変部を有している確率が高いものといえる。解析プログラムは、エラー成分Eに対応する生体組織がエラー成分Eに対応する特定の病変部を有しているといえるかの判定を、エラー成分Eを求める際に使用したサンプルのエラー成分Edkを、Eに対するEdkの比sdkで割ったベクトルEdk/sdk=[Edkλ1/sdk,Edkλ2/sdk,・・・,EdkλM/sdk](k=1,2,・・・,K)のエラー成分Eに対する類似度Ddkに基づいて行う。類似度Ddkは、数5に基づいてあらかじめ求められている。
【0041】
【数5】
【0042】
解析プログラムは、多数のサンプルのエラー成分Edkから求められる類似度の集合Ddkに、エラー成分Eから求められる類似度Dが含まれるといえるかどうかの検定を行う。例えば、集合Ddkに類似度Dが含まれる確率の演算を行う。或いは、集合Ddkの信頼区間を求め、求められた信頼区間に類似度Dが含まれるかどうかにより、エラー成分Eに対応する生体組織が特定の病変部を含むといえるかどうかの判定を行う。例えば、類似度Dが99.8%信頼区間に含まれる時は、エラー成分Eに対応する生体組織が特定の病変部を含む可能性があるものと判定する。また、類似度Dが66.2%信頼区間に含まれ且つ99.8%信頼区間に含まれない時は、再検査の必要ありと判定する。
【0043】
次いで、ステップS4に進む。ステップS4では、CPU311は、上記の検定による解析結果データ(集合Ddkに類似度Dが含まれる確率、或いは、信頼区間に基づく判定結果)を、前述のように解析結果表示用モニタ320(図1)に表示する。次いで、CPU311は、解析プログラムを終了させる。診断補助システム1の使用者である医師は、解析結果表示用モニタ320に表示される解析結果を参照して、診断を行う。
【0044】
なお、本実施形態の電子内視鏡用プロセッサ120は、電子内視鏡用プロセッサ120に内蔵される信号処理回路121、光源部122等の各構成要素を統括的に制御するCPU、及び、電子内視鏡110の操作部112からの入力を受け付けて解析用コンピュータ310のI/Oコントローラ312と通信するI/Oコントローラを有しており、本実施形態の解析プログラムは、操作部112からの入力に基づいて実行されるように構成されている。
図1
図2
図3
図4