【実施例】
【0077】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0078】
下記フッ化ビニリデン系重合体粉末および、実施例、比較例で得られた熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末の物性は、下記方法で測定、評価を行った。
【0079】
〔DSCの測定〕
下記フッ化ビニリデン系重合体粉末のDSC測定を、TAインスツルメント製MDSC(Q100)を用いて行った。
【0080】
アルミ製サンプルパンに試料(下記フッ化ビニリデン系重合体粉末)約2.0mgを精秤した。50mL/minの流量で窒素をフローしながら、30℃から230℃まで5℃/minの速度で昇温し、この間、±0.53℃/40secの温度変調をかけた。Q100付属のソフトウェア(Universal Analysis 2000)を用い、Integrate Peak Linearコマンドを用いて解析を行い、結晶融解温度(Tm)を求めた。
【0081】
〔インヘレント粘度の測定方法〕
1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに、下記フッ化ビニリデン系重合体粉末4gを添加し、80℃で8時間かけて溶解させることにより、フッ化ビニリデン系重合体溶液を調整した。この溶液を30℃に保持してウベローデ粘度計で対数粘度を測定し、下式によってインヘレント粘度を求めた。
【0082】
インヘレント粘度(対数粘度)[η]=ln(ηrel)/C
ここでηrel=試料溶液の落下秒数/溶媒の落下秒数、C=試料溶液の濃度(0.4g/dl)を表す。
【0083】
〔GPCによる分子量の評価〕
下記フッ化ビニリデン系重合体粉末の分子量は、フッ化ビニリデン系重合体粉末を濃度0.1重量%で溶解したN−メチル−2−ピロリドン溶液について、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(日本分光株式会社製;GPC−900、shodex KD−806Mカラム、温度40℃)を用いることにより、ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定した。
【0084】
〔粒子径の測定方法〕
下記フッ化ビニリデン系重合体粉末0.5gをエタノール1gで良く湿潤させた後、水9gを加えて攪拌混合した。その後、サンノプコ株式会社製「SNウェット366」の1%希釈液を0.6g加え、良く混合した。該混合により得られた混合物のメディアン径(dp50)を、島津製作所製の粒度分布測定装置(SALD−3000S)を用いて測定した。
【0085】
〔分散状態の評価〕
内径35mmのサンプル瓶にNMP20gを秤量し、スターラーチップ(長さ30mm、中央部直径8mm、端部直径7mm)を使用して400rpmで攪拌しながら下記実施例、比較例で得られた熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(但し、比較例1、5〜10ではフッ化ビニリデン系重合体粉末)1gを投入し、1分間攪拌した。
【0086】
フッ化ビニリデン系重合体粉末同士が凝集し、数mm程度の大きさの凝集塊を形成した場合を「ママコ」、単一粒子と同程度もしくは数倍程度の粒子サイズに分散されている物を「分散」とした。
【0087】
なお分散状態の評価は、室温(23℃)で行った。
【0088】
〔溶解時間の評価〕
前記分散状態の評価を行った後、下記実施例、比較例で得られた熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(但し、比較例1、5〜10ではフッ化ビニリデン系重合体粉末)およびNMPの入ったサンプル瓶を50℃のウォーターバスにセットし、400rpmで攪拌を続けながら内容物の状態を目視で確認し、フッ化ビニリデン系重合体粉末由来の固形物やゲル状物が無くなった時点で溶解が完了したものとした。
【0089】
なお、フッ化ビニリデン系重合体粉末由来の固形物やゲル状物が無くなった時点とは、透明状態の溶液となった場合だけでなく、固形物やゲル状物が無く半透明状態の溶液となった場合も、溶解が完了したものとした。ウォーターバスにセットした時点から、溶解が完了するまでの時間を溶解時間とした。
【0090】
〔溶液の状態の評価〕
内径35mmのサンプル瓶にNMP20gを秤量し、スターラーチップ(長さ30mm、中央部直径8mm、端部直径7mm)を使用して400rpmで攪拌しながら下記実施例、比較例で得られた熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(但し、比較例1、5〜10ではフッ化ビニリデン系重合体粉末)1gを投入し、1分間攪拌した。次いでフッ化ビニリデン系重合体粉末およびNMPの入ったサンプル瓶を、所定温度(40、50、60、65、70℃)のウォーターバスにセットし、充分な時間を掛けて攪拌・溶解をさせた後、目視で溶液が透明であった物を「透明」、半透明状態であったものを「濁り」、沈降物があったものを「沈殿」とした。
【0091】
〔製造例1〕
(フッ化ビニリデン系重合体粉末(1)の製造)
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1118g、メチルセルロース0.4g、フッ化ビニリデンモノマー421g、クロロトリフロロエチレンモノマー9g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート2.5g、フロン225cbを2.5g、の各量を仕込み、28℃で12時間懸濁重合を行った。
【0092】
重合完了後、得られた重合体スラリーを95℃で30分熱処理した後、脱水、水洗し、更に80℃で20時間乾燥してフッ化ビニリデン系重合体粉末(1)を得た。
【0093】
得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(1)のインヘレント粘度は2.2dl/g、重量平均分子量は77万、メディアン径が195μm、Tmが171℃であった。フッ化ビニリデン系重合体粉末(1)について、JIS K7229に従い塩素含有量を分析し、クロロトリフルオロエチレンモノマー換算で1.1mol%が導入されていること、すなわち、フッ化ビニリデン系重合体粉末(1)がフッ化ビニリデン由来のモノマーユニットを98.9mol%有する事を確認した。
【0094】
〔製造例2〕
(フッ化ビニリデン系重合体粉末(2)の製造)
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1026g、メチルセルロース0.2g、フッ化ビニリデンモノマー400g、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート2.4g、メタノール2.4g、酢酸エチル5.5gの各量を仕込み、重合温度を26℃、後に昇温して40℃で12時間懸濁重合を行った。
【0095】
重合完了後、得られた重合体スラリーを95℃で30分熱処理した後、脱水、水洗し、更に乾燥を行い、フッ化ビニリデン系重合体粉末(2)を得た。乾燥は気流乾燥機を用い、熱風入口温度140℃、熱風出口温度80℃の条件で行った。
【0096】
得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(2)のインヘレント粘度は1.1dl/g、重量平均分子量は30万、メディアン径が210μm、Tmが173℃であった。
【0097】
〔製造例3〕
(フッ化ビニリデン系重合体粉末(3)の製造)
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1026g、メチルセルロース0.2g、フッ化ビニリデンモノマー400g、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート2.4g、メタノール2.4g、酢酸エチル2.0gの各量を仕込み、重合温度を26℃、後に昇温して40℃で11時間懸濁重合を行った。
【0098】
重合完了後、得られた重合体スラリーを95℃で30分熱処理した後、脱水、水洗し、更に乾燥を行い、フッ化ビニリデン系重合体粉末(3)を得た。乾燥は気流乾燥機を用い、熱風入口温度140℃、熱風出口温度80℃の条件で行った。
【0099】
得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(3)のインヘレント粘度は1.3dl/g、重量平均分子量は35万、メディアン径が184μm、Tmが173℃であった。
【0100】
〔製造例4〕
(フッ化ビニリデン系重合体粉末(4)の製造)
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1024g、メチルセルロース0.2g、フッ化ビニリデンモノマー400g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート1.4g、フロン225cbを1.4g、酢酸エチル3.0gの各量を仕込み、26℃で16時間懸濁重合を行った。
【0101】
重合完了後、得られた重合体スラリーを95℃で30分熱処理した後、脱水、水洗し、更に乾燥を行い、フッ化ビニリデン系重合体粉末(4)を得た。乾燥は気流乾燥機を用い、熱風入口温度140℃、熱風出口温度80℃の条件で行った。
【0102】
得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(4)のインヘレント粘度は2.2dl/g、重量平均分子量は77万、メディアン径が215μm、Tmが173℃であった。
【0103】
〔製造例5〕
(フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の製造)
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1024g、メチルセルロース0.2g、フッ化ビニリデンモノマー400g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.6g、フロン225cbを0.6g、酢酸エチル1.9gの各量を仕込み、26℃で20時間懸濁重合を行った。
【0104】
重合完了後、得られた重合体スラリーを95℃で30分熱処理した後、脱水、水洗し、更に乾燥を行い、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)を得た。乾燥は気流乾燥機を用い、熱風入口温度140℃、熱風出口温度80℃の条件で行った。
【0105】
得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(5)のインヘレント粘度は3.1dl/g、重量平均分子量は110万、メディアン径が220μm、Tmが173℃であった。
【0106】
実施例、比較例では、下記の市販されているフッ化ビニリデン系重合体粉末も用いた。
【0107】
(フッ化ビニリデン系重合体粉末(6))
フッ化ビニリデン系重合体粉末(6)として、ソルベイ・ソレクシス社製のPVDF粉末、商品名solef6020を用いた。solef6020のインヘレント粘度は1.85dl/g、重量平均分子量は60万、メディアン径が104μm、Tmが170℃であった。
【0108】
(フッ化ビニリデン系重合体粉末(7))
フッ化ビニリデン系重合体粉末(7)として、アルケマ社製のPVDF粉末、商品名kynar HSV900を用いた。kynar HSV900は、インヘレント粘度が1.0dl/g、重量平均分子量は66万、メディアン径が5μm、Tmが160℃であった。
【0109】
なお、上記フッ化ビニリデン系重合体粉末(1)〜(7)は、フッ化ビニリデン系重合体粉末自体の温度が125℃以上となる熱処理が行われていないため、本発明における未熱処理フッ化ビニリデン系重合体粉末に相当する。
【0110】
〔実施例1〕
幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0111】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度125℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から5時間保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(1)を得た。
【0112】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(1)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0113】
〔実施例2〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0114】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度130℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から5分かけて130℃に昇温し、130℃で55分保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(2)を得た。
【0115】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(2)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0116】
〔実施例3〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0117】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度130℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から5分かけて130℃に昇温し、130℃で19時間55分保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(3)を得た。
【0118】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(3)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0119】
〔実施例4〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0120】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度135℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から1分かけて130℃に昇温し、さらに5分かけて135℃に昇温し、135℃で54分保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(4)を得た。
【0121】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(4)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0122】
〔実施例5〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0123】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度140℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から30秒かけて130℃に昇温し、さらに48秒かけて135℃に昇温し、さらに5分かけて140℃に昇温し、140℃で53分保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)を得た。
【0124】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0125】
〔実施例6〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0126】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度150℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から18秒かけて130℃に昇温し、さらに24秒かけて135℃に昇温し、さらに30秒かけて140℃に昇温し、さらに6分かけて150℃に昇温し、150℃で52分保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(6)を得た。
【0127】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(6)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0128】
〔実施例7〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0129】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度160℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から12秒かけて130℃に昇温し、さらに18秒かけて135℃に昇温し、さらに18秒かけて140℃に昇温し、さらに1分かけて150℃に昇温し、さらに6分かけて160℃に昇温し、160℃で52分保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(7)を得た。
【0130】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(7)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0131】
〔比較例1〕
製造例5で得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0132】
なお、製造例5で得られた熱処理の施されていない、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)を、フッ化ビニリデン系重合体粉末(c1)とも記す。
【0133】
〔比較例2〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0134】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度120℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が120℃となった時点から、120℃で54分間保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(c2)を得た。
【0135】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(c2)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0136】
〔比較例3〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0137】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度120℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が120℃となった時点から、120℃で20時間保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(c3)を得た。
【0138】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(c3)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0139】
〔比較例4〕
実施例1と同様に、幅10cm、長さ15cm、高さ3cmのクラフト紙製の箱の中に、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)10gを入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)の厚さが均一となるように、箱中に広げた。
【0140】
次いで、前記クラフト紙製の箱に、クラフト紙で蓋をし、温度180℃の熱風循環炉(ヤマト科学製、商品名FineOven DH410)の中に蓋をした箱を入れ、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から6秒かけて130℃に昇温し、さらに6秒かけて135℃に昇温し、さらに12秒かけて140℃に昇温し、さらに24秒かけて150℃に昇温し、さらに30秒かけて160℃に昇温し、さらに1分かけて170℃に昇温し、さらに6分かけて180℃に昇温し、180℃で51分保持した後、蓋をした箱を熱風循環炉から取り出し、室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(c4)を得た。
【0141】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(c4)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0142】
なお、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(c4)では、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)が熱処理により融着した。
【0143】
〔実施例8〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)をフッ化ビニリデン系重合体粉末(1)に代えた以外は、実施例5と同様に行い、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(8)を得た。
【0144】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(8)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0145】
〔比較例5〕
製造例1で得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(1)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0146】
なお、製造例1で得られた熱処理の施されていない、フッ化ビニリデン系重合体粉末(1)を、フッ化ビニリデン系重合体粉末(c5)とも記す。
【0147】
〔実施例9〕
ヘンシェルミキサーとしては、三井鉱山社製、商品名FM10B/I型を用いた。
【0148】
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)1kgをヘンシェルミキサーに投入し、ブレードの回転数を1600rpmとし、25℃から、5℃/minの速度で140℃まで昇温した。
【0149】
すなわち、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から1分かけて130℃に昇温し、さらに1分かけて135℃に昇温し、さらに1分かけて140℃に昇温した。
【0150】
140℃に到達した時点でサンプリングを行い、得られたサンプルを室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(9)を得た。
【0151】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(9)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0152】
〔実施例10〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)をフッ化ビニリデン系重合体粉末(2)に代えた以外は、実施例5と同様に行い、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(10)を得た。
【0153】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(10)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0154】
〔比較例6〕
製造例2で得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(2)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0155】
なお、製造例2で得られた熱処理の施されていない、フッ化ビニリデン系重合体粉末(2)を、フッ化ビニリデン系重合体粉末(c6)とも記す。
【0156】
〔実施例11〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)をフッ化ビニリデン系重合体粉末(3)に代えた以外は、実施例5と同様に行い、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(11)を得た。
【0157】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(11)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0158】
〔比較例7〕
製造例3で得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(3)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0159】
なお、製造例3で得られた熱処理の施されていない、フッ化ビニリデン系重合体粉末(3)を、フッ化ビニリデン系重合体粉末(c7)とも記す。
【0160】
〔実施例12〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)をフッ化ビニリデン系重合体粉末(4)に代えた以外は、実施例5と同様に行い、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(12)を得た。
【0161】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(12)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0162】
〔比較例8〕
製造例4で得られたフッ化ビニリデン系重合体粉末(4)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0163】
なお、製造例4で得られた熱処理の施されていない、フッ化ビニリデン系重合体粉末(4)を、フッ化ビニリデン系重合体粉末(c8)とも記す。
【0164】
〔実施例13〕
ヘンシェルミキサーとしては、三井鉱山社製、商品名FM10B/I型を用いた。
【0165】
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)1kgをヘンシェルミキサーに投入し、ブレードの回転数を1600rpmとし、25℃から、5℃/minの速度で130℃まで昇温した。
【0166】
すなわち、フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)自体の温度が125℃となった時点から1分かけて130℃に昇温した。
【0167】
130℃に到達した時点でサンプリングを行い、得られたサンプルを室温下で放冷することにより、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(13)を得た。
【0168】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(13)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0169】
〔実施例14〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)をフッ化ビニリデン系重合体粉末(6)に代えた以外は、実施例2と同様に行い、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(14)を得た。
【0170】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(14)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0171】
〔実施例15〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)をフッ化ビニリデン系重合体粉末(6)に代えた以外は、実施例5と同様に行い、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(15)を得た。
【0172】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(15)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0173】
〔比較例9〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(6)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0174】
なお、熱処理の施されていない、フッ化ビニリデン系重合体粉末(6)を、フッ化ビニリデン系重合体粉末(c9)とも記す。
【0175】
〔実施例16〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(5)をフッ化ビニリデン系重合体粉末(7)に代えた以外は、実施例6と同様に行い、熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(16)を得た。
【0176】
熱処理済フッ化ビニリデン系重合体粉末(16)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0177】
〔比較例10〕
フッ化ビニリデン系重合体粉末(7)の分散性、溶解時間、溶液の状態について前記方法に従って求めた。
【0178】
なお、熱処理の施されていない、フッ化ビニリデン系重合体粉末(7)を、フッ化ビニリデン系重合体粉末(c10)とも記す。
【0179】
実施例、比較例の結果を表1、2に示す。
【0180】
なお、前記実施例、比較例において、フッ化ビニリデン系重合体粉末自体の温度は、熱処理を熱風循環炉を用いて行う場合には、前記クラフト紙製の箱中のフッ化ビニリデン系重合体粉末から形成される層に熱電対を差し込むことにより測定した。また、熱処理をヘンシェルミキサーを用いて行う場合には、ヘンシェルミキサー内部のフッ化ビニリデン系重合体粉末中に熱電対を差込むことにより測定した。
【0181】
【表1】
【0182】
【表2】