(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重ねられた複数の紙葉類に穿孔を行うことにより該紙葉類の一部を切り離して略舌状の切片を形成しつつ、該切片の近傍に切込みを形成し、かつ該切片を該切込みに挿入させて該紙葉類を綴じる紙綴じ具であって、
ベースと、
前記ベースに立設された支持台と、
回動軸を介して前記支持台に接続され、該回動軸を中心として回動可能なハンドルと、
前記ベースから前記ハンドルへ向かって突出され、穿孔を行う一対のパンチ刃と、
前記ベースから前記ハンドルへ向かって突出され、前記切込を形成する一対の切込み刃と、
前記ハンドルの回動にともなって回動され、形成された前記切片に対し押し当たって該切片を該紙葉類の方向に折り曲げる一対の突部と、
前記ベースと前記ハンドルとの間に配置され、前記突部ならびに前記パンチ刃および前記切込み刃における突出方向の端部それぞれが通過可能な貫通孔が設けられ、前記紙葉類が載置される載置台と、
前記ハンドルと前記載置台とに挟まれた位置に配置され、前記貫通孔を通過した前記端部それぞれを収容可能であり、かつ内部において前記突部が回動可能な収容孔を有し、前記ハンドル側から少なくとも該収容孔およびその周囲を透かして前記載置台の前記貫通孔近傍を視認可能に構成され、前記載置台とともに前記紙葉類を挟持する押さえ部と、
前記ハンドルにおいて、少なくとも前記押さえ部の収容孔と重なる領域を含む部分に設けられた窓部と、
前記ハンドルの回動にともなって前記押さえ部と前記載置台との相対的位置を近接させ、さらに該押さえ部とともに該載置台を前記ベース側へ移動させる移動機構と、
を備え、
前記移動機構により前記押さえ部と前記載置台とが近接されることにより前記載置台上の前記紙葉類が挟持され、さらに該押さえ部および該載置台が該紙葉類を挟持したまま該ベース側へ移動することにより、前記パンチ刃および前記切込み刃の前記端部それぞれに該紙葉類を押し付けて、前記切片および前記切込みを形成すること、
を特徴とする紙綴じ具。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態の一例について
図1A〜
図16を参照して説明する。なお、これらの図においては、図の明瞭さの確保のため、綴じられる紙葉類の図示を省略している。
【0019】
本実施形態にかかる紙綴じ具100の全体構成の概略について、
図1A、
図1Bおよび
図2を参照して説明する。
図1Aは、紙綴じ具100の外形を紙葉類の挿入口側から見た概略斜視図である。
図1Bは、
図1Aの反対側から見た紙綴じ具100の概略斜視図である。
図2は、紙綴じ具100における各部の構成および各部の接続関係の概要を示す概略分解斜視図である。紙綴じ具100は、紙葉類の一部を紙葉類と切り離さずに残しつつ、一対のパンチ刃(123c/
図2)によって紙葉類に穿孔を行う。これによって、まず紙葉類につながったままの舌状(または方形状)の切片(以下、単に「舌片(
図11/符号S参照)」という)を形成する。また紙綴じ具100は、穿孔を行うだけでなく一対の切込み刃(、
図2等/符号124参照)によって、舌片Sそれぞれの近傍に切込みC(
図11参照)を入れる。その後、紙綴じ具100は紙葉類から切り離された舌片Sを折り曲げ、切り込み刃を利用して当該切込みにそれぞれ押し込む。これによって、複数の紙葉類を綴じることができる。
【0020】
紙綴じ具100の外形の概略を説明する。
図1Aおよび
図1Bに示すように、紙綴じ具100は、後部ベース101aと前部ベース101cとを一続きに連結し装置全体の土台(基礎)としている。また、後部ベース101aと前部ベース101cとの連結部分には、後部ベース101aと前部ベース101cから離れる方向(略上方)に立設された支持板103が設けられている。また、支持板103の先端側には、回動軸111を介してハンドル110が接続されている。ハンドル110は、支持板103に対し、回動軸111を中心として回動可能となっている。ハンドル110は、平板または屈曲面を有する板状である。またハンドル110は、ベース101に対して鋭角をなすように支持板103に接続される。また、回動軸111は、ベース101に対してほぼ平行に配置される。
【0021】
なお、以下の記載において、後部ベース101aから前部ベース101cへ向かう方向を前方(
図1A、
図1Bにおける方向X3)とし、その反対方向を後方(X4)とする。さらに、この前方、後方の向きを基準として、上方(
図1A、
図1Bにおける方向X1)、下方(X2)、左方、右方と記載することがある。ただし、この前後上下左右の定義は説明の便宜上用いるものであって、紙綴じ具100の使用時の向き等を限定するものではない。
【0022】
また、
図1Aおよび
図1Bに示すように、後部ベース101aおよび前部ベース101cとハンドル110との間には、ハンドル110側から順に、押さえ部120、載置台121が設けられている。載置台121は、紙綴じ具100を用いて綴じようとする紙葉類を載置するための台である。載置台121は、前部ベース101c上に設けられている。また載置台121は、前部ベース101cよりやや小さく形成されている。後述のように、載置台121は、前部ベース101cに重なる位置から、前部ベース101cにガイドされつつ、前部ベース101cの内部に嵌るように移動することができる。すなわち、載置台121の上面が前部ベース101cの下面に対して上下動される。
【0023】
さらに、載置台121の上には押さえ部120が設けられている。押さえ部120についても、載置台121にガイドされつつ、前部ベース101cに対して上下動される。押さえ部120の上下動は、紙押さえ時には載置台121と独立に行われ、穿孔時には載置台121とともに行われる。
【0024】
図1Aに示すように、紙葉類は、紙綴じ具100に対して挿入口104から、すなわち前から後ろに向かって(図中X4方向に)挿入される。挿入された紙葉類は、載置台121上に載置される。
【0025】
各部の接続関係の概要は次の通りである。
図2に示すように、紙綴じ具100全体の基礎となる最下部において前部ベース101c、支持板103、後部ベース101aの順に連結されて組み合わされベース101が形成されている。前部ベース101cには、載置台121等の上下動のガイドを行う第1円筒部107が立設されている。さらに、第1円筒部107には、穿孔荷重の調整を行う第1弾性部材105が設けられている。さらに、前部ベース101cには、保持部108が設けられている。すなわち、保持部108には、略L字形状の舌片処理部123と切込み刃124が、その刃部(パンチ刃123c等)を上方へ向けるようにして設けられている。さらに、舌片処理部123は、回動軸124aを介して回動可能とされている。また、舌片処理部123の先端には、回動方向に突出する突部123eが設けられている。突部123eは、切込み刃124の係合孔124cに舌片Sを押し込むものである。
【0026】
ベース101の上には載置台121が配置され、上方へ向けて立設されたベース101の第1円筒部107に対して第1ガイド孔121cを通して接続されている。第1ガイド孔121cが第1円筒部107に通されているため、前部ベース101cに対する載置台121の上下動がガイドされる。
【0027】
載置台121の上には押さえ部120が配置される。押さえ部120は、下方に延設された第2ガイド支柱120gを有する。第2ガイド支柱120gは、第1ガイド孔121cを通された第1円筒部107の内部に通される。それにより、押さえ部120は、載置台121および前部ベース101cに接続される。載置台121および前部ベース101cに対する押さえ部120の上下動は、第2ガイド支柱120gによってガイドされる。
【0028】
押さえ部120の上にはハンドル110が配置される。ハンドル110は、ハンドルフレーム110eとハンドルカバー110dを有して構成される。ハンドルカバー110dは、ハンドルフレーム110eのカバーである。ハンドルフレーム110eに回動軸111を通すことにより、ハンドル110が支持板103に対して回動可能に接続される。さらに、突出端110aと回動軸111との間の位置において、ハンドルフレーム110eには押圧軸112が通されている。押圧軸112は、押さえ部120の係合部120hにも挿通されている。この押圧軸112によりハンドル110と押さえ部120とが接続される。
【0029】
また、載置台121には貫通孔121aが設けられている。また、押さえ部120には収容孔120aが設けられている。これらの孔を通じて、舌片処理部123のパンチ刃123cや、切込み刃124が通される。
【0030】
なお、支持板103は、この発明の「支持台」の一例に該当する。また、また、開口部110cおよび押さえ部120は、この発明の「窓部」の一例に該当する。また、第1弾性部材105は、この発明の「付勢部」の一例に該当する。また、第1ガイド孔121cは、この発明の「挿通部」の一例に該当する。また、第1円筒部107は、この発明の「支柱」の一例に該当する。また、回動軸挿通孔110fは、この発明の「軸穴」の一例に該当する。
【0031】
また、舌片処理部123のパンチ刃123cおよび切込み刃124の先端の刃部は、この発明の「前記パンチ刃および前記切込み刃における立設方向の端部」の一例に該当する。また、少なくとも第1円筒部107、第2ガイド支柱120gおよび第1ガイド孔121cは、この発明の「移動機構」の一例に該当し、さらに「移動機構」としては、第2弾性部材125、第1弾性部材105の少なくともいずれか一方およびこれらの組み合わせを含んでもよい。さらに「移動機構」としては、係合部120h、押さえ部ガイド120e、第2ガイド孔121eおよび押圧軸112のうち、いずれか1つまたはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0032】
(動作の概要)
次に、この実施形態にかかる紙綴じ具100の動作の概要について、
図2〜
図4Bを参照して説明する。
図3Aは、紙綴じ具100においてハンドル110が押し下げられる前の状態の概要を示す概略上面図である。
図3Bは、紙綴じ具100において、ハンドル110が押し下げられた状態を示す概略上面図である。
図4Aは、
図3AにおけるA−A部分の断面の概要を示す概略A−A断面図である。
図4Bは、
図3BにおけるA´−A´部分の断面であって、かつ紙綴じ具のハンドルが押し下げられ、穿孔、舌片Sの折り曲げおよび、舌片Sの切込みCに対する押し込みが完了した状態における、各部の状態の概要を示す概略A´−A´断面図である。なお、図示されていないが、以下の動作の概要においては、すでに操作者が綴じようとする紙葉類を挿入口104から挿入しており、紙葉類が載置台121上に載置されているものとする。
【0033】
図3Aおよび
図4Aに示すように、操作者によりハンドル110を押し下げる操作がなされる前においては、ハンドル110側に位置する押さえ部120は、載置台121に対して所定間隔を空けて離れた位置にある。ここで
図3Bおよび
図4Bに示すように、操作者がハンドル110の例えば突出端110aを把持してハンドル110を下方に押し下げると、まずハンドル110が回動軸111を中心として回動され、ハンドル110の下面が、後部ベース101aおよび前部ベース101cの上面側に押し下げられ、双方の面が近づく。
【0034】
ハンドル110が回動されはじめると、ハンドル110に加えられた力は、まず押さえ部120の係合部120hに保持された押圧軸112に作用する。その結果、ハンドル110に保持された押圧軸112を介し、押さえ部120がハンドル110の回動にしたがって降下する。ここで、ハンドル110が押し下げられるまでは、押さえ部120は、載置台121から離れる方向、すなわち上方へ付勢されている(
図4A、
図2/符号125)。したがって、ハンドル110が降下しはじめるときは、この付勢力に抗して押さえ部120が降下し、載置台121上の紙葉類に近づく。
【0035】
押さえ部120が降下して載置台121上の紙葉類に当接し、さらにハンドル110が回動されると、押さえ部120は紙葉類と載置台121とを押し下げる。また載置台121についても、押さえ部120を介して押し下げられるまでは、前部ベース101cに対して離れる方向、すなわち上方へ付勢されている(
図4A・
図2/符号105)。したがって、押さえ部120が載置台121を押し下げはじめるときは、押さえ部120の下面と載置台121の上面とが紙葉類を挟んだ状態で、この付勢力に抗して載置台121を押し下げる。
【0036】
図2に示す舌片処理部123および切込み刃124は、それぞれ前部ベース101cの保持部108に固定されている(
図6A参照)。さらに、舌片処理部123および切込み刃124は、それぞれ上端側に刃部が設けられている。載置台121が降下すると、舌片処理部123および切込み刃124の刃部は、貫通孔121aを通って載置台121の上面を通過する。このとき押さえ部120が載置台121上の紙葉類を押さえているので、舌片処理部123が紙葉類に対し穿孔を行って舌片Sを形成し、また切込み刃124が紙葉類に切込みCを形成する。
【0037】
図4Bに示すように、ハンドル110の突出端110aが後部ベース101aと接近する状態まで回動されると、舌片処理部123が回動される。舌片処理部123の突部123eは、穿孔によって形成された舌片Sを、切込み刃124の係合孔124cに押し込む。また、切込み刃124は、ベース101に戻ろうとする際、舌片Sを切込みCに押し込む。紙綴じ具100はこのような工程を経て紙綴じ処理を行う。
【0038】
(全体構成)
次に、本実施形態にかかる紙綴じ具100の各部の構成について、
図1A〜
図10を参照して説明する。
図5Aは、紙綴じ具100においてハンドルの回動前の状態における各部の位置関係の概要を示す概略透視上面図である。この図においてハンドル110のハンドルカバー110dを透視して、押さえ部120、載置台121および前部ベース101c等の内部構造についても、その一部が示されている。
図5Bは、紙綴じ具100においてハンドル110の回動後の状態における各部の位置関係の概要を示す概略透視上面図である。
図6Aは、
図5AにおけるB−B部分の断面であって、ハンドル110の回動前における穿孔部分および切り込み形成部分の状態を示す概略B−B断面図である。
図6Bは、
図5BにおけるB´−B´部分の断面であって、ハンドル110の回動後の状態における穿孔部分および切り込み形成部分の状態を示す概略B´−B´断面図である。
図6Cは、
図5AにおけるC−C部分の断面であって、ハンドル110の回動前における穿孔部分および切り込み形成部分の状態を示す概略C−C断面図である。
図6Dは、
図5BにおけるC´−C´部分の断面であって、穿孔部分および切り込み形成部分の状態を示す概略C´−C´断面図である。
図7は、ハンドル110の回動前における押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係を示す概略斜視図である。
図8Aは、ハンドル110が回動する前の押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係を示す概略右側面図である。
図8Bは、ハンドル110が回動する前の押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係を示す概略上面図である。
図9は、ハンドル110が回動する前の押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係の概略を示す
図8BのD−D断面図である。
図10は、ハンドル110が回動する前の押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係の概略を示す
図8BのE−E断面図である。
【0039】
〈ベースの構成〉
上述のように、紙綴じ具100においてベースとなる構成は、後部ベース101a、前部ベース101c、および支持板103である。
図1A、
図1Bおよび
図2に示すように、後部ベース101aは、その後方側端部が曲線状となっている。後部ベース101aの前方側は、支持板103と前部ベース101cを受け入れるように形成されている。
図2に示すように、後部ベース101aの前方(X3方向)側には支持板103が配置されている。さらに、支持板103が設けられた後部ベース101aには、前部ベース101cが嵌め合わされて固定されている。
【0040】
図2に示すように、支持板103は、ベース101の左右側面からそれぞれ立設された平板状の一対の側板と、これら側板のそれぞれを繋ぐ底板部分を有している。側板は、上方へ向けて立設されている。側板の先端部は、前方に向かって屈曲した略逆L字形状を有している。また、支持板103における側板の先端部は、回動軸111を介してハンドル110に接続されている。このような回動軸111との接続のために、側板それぞれの先端部には、軸受部103aが設けられている。軸受部103aは、回動軸111の軸方向における両端部を支持する。回動軸111は、支持板103により、紙綴じ具100の底面とほぼ平行に支持される。
【0041】
また、
図2、
図4Aおよび
図4Bに示すように、前部ベース101c上面には、前方(X3方向)側に保持部108が設けられ、後方(X4方向)側に第1ガイド支柱106(
図4A参照)が設けられている。これらの間の位置には、左右に並んで一対の第1円筒部107が設けられている。保持部108は、一対の舌片処理部123と一対の切込み刃124とを、それぞれの刃部が上方を向くように保持するものである。また、保持部108は、舌片処理部123それぞれを回動軸124aを介して回動可能に保持する。なお、舌片処理部123は、例えば舌片処理部123の突部123eの突出方向の延長線それぞれが交差するような位置において保持される。また、切込み刃124は、刃部の向きが舌片処理部123の突部123eの突出方向と略直交するような向きで保持される。この構成は、突部123eが切込み刃124の係合孔124cを通過して舌片Sを切込み刃124に押し込む動作のためである(
図6B参照)。
【0042】
第1ガイド支柱106は、前部ベース101cにおける前方(X3方向)側に配置されている。第1ガイド支柱106は、
図4Aに示すように上方に向けて立設されている。後述する載置台121の下保持部121gの内部を通ることができるように(
図4B)、第1ガイド支柱106の径は、下保持部121gの内径よりも小さく形成されている。
【0043】
図2に示すように、前部ベース101cの前後方向における、第1ガイド支柱106と保持部108との間には、上方に向けて立設された一対の第1円筒部107が左右に並んで配置されている。押さえ部120の第2ガイド支柱120gを挿通可能とするように、第1円筒部107の径は、第2ガイド支柱120gより大きい。さらに、載置台121の第1ガイド孔121cの内部を通せるように、第1円筒部107の径は、第1ガイド孔121cより小さく形成されている(
図9参照)。第1ガイド孔121cおよび第2ガイド支柱120gとの係合関係については後述する。
【0044】
前部ベース101cの第1円筒部107の周囲には、第1弾性部材105が巻回されている。第1弾性部材105は、載置台121の載置面の下面まで到達する高さを有している。第1弾性部材105の幅は、第1円筒部107の周囲で伸縮可能なように、第1円筒部107よりも広く形成される。第1弾性部材105としては、例えばコイルバネやゴム部材が用いられる。
【0045】
〈ハンドルの構成〉
図2、
図4Aおよび
図4Bに示すように、ハンドル110は、ハンドルカバー110dおよびハンドルフレーム110eを有している。また、
図5Aおよび
図5Bに示すように、ハンドルフレーム110eは、天板と側板とを有している。天板は、ハンドル110の突出端110aから回動軸111側までを覆うものである。側板は、天板に対して略直交し、下方へ延設され、互いに対向する。ハンドルフレーム110eの側板それぞれは、ベース101と支持板103の側板との間に挟まれた位置に配置される。側板それぞれには、支持板103の軸受部103aに対応する位置に、回動軸111を通す回動軸挿通孔110fが設けられている。回動軸111を回動軸挿通孔110fに通し、さらに回動軸111を支持板103に通すことにより、ハンドルフレーム110eは支持板103に回動可能に支持される。ハンドルフレーム110eの側板には、ハンドル110の突出端110aと回動軸111との間の位置に、押圧軸挿通孔110gが設けられている。押圧軸挿通孔110gに押圧軸112を挿通させることにより、ハンドルフレーム110eが押圧軸112を保持する。なお、押圧軸112は支持板103には接触しない。
【0046】
図2に示すように、ハンドルカバー110dは、ハンドルフレーム110eよりも一回り大きく形成され、かつ支持板103よりも幅広に形成される。また、
図1Aおよび
図1Bに示すように、ハンドルカバー110dは、ハンドルフレーム110eと支持板103とを覆うものである。
【0047】
ここで、ハンドルフレームの側板が、ベースとなる支持板を挟む構成の紙綴じ具においては、ハンドルを押し下げるとハンドルにおけるベース側の面(下面)が支持板の上端に当接する。つまり支持板の高さがあるほど、ハンドルの回動範囲は制約を受ける。すなわち、ハンドルを下げていくと、ハンドルの下面がベースと近づく前に支持板の上端に当接する。さらにそれ以上ハンドルを押し下げようとしても、支持板の上端に妨げられて下がらなくなる。しかし、舌片Sを形成し、切込みCに挿入させて紙葉類を綴じる紙綴じ具においては、紙葉類の穿孔だけでなく舌片Sの挿入も必要となるので、パンチ刃を含む舌片処理部の上下動の距離が穿孔パンチと比較して長くなる。すなわち、舌片処理部のストロークは確保しなければならない。したがって、このような構成においてはベースとハンドルの角度を大きくすることにより、舌片処理部のストローク長を確保することになる。しかしながら、当該角度が大きければ大きいほど紙綴じ処理の操作性は劣化する。
【0048】
この点、本実施形態における紙綴じ具100は、ハンドルフレーム110eが支持板103の間に挟まれる構成である。つまりハンドルフレーム110eが押し下げられていったときに、ハンドル110の下面が支持板103の上端に当接する事態が生じない。すなわち、ハンドルの回動範囲は支持板103の高さによって制約を受けない。したがって、舌片処理部123の上下動のストローク長を確保しつつ、紙綴じ処理の操作性を確保している。
【0049】
また、本実施形態の構成によれば、
図4Bに示すようにハンドル110の突出端110aが後部ベース101aに接近する。このとき、回動軸111近傍においてハンドルフレーム110eの上面が支持板103の上端位置より下がる場合がありうる。このような状態が生じた場合において、ハンドル110の押下げをしている操作者の手が当該回動軸111近傍にある場合、支持板103とハンドルフレーム110eの上面との高さの差が作業の妨げとなり当該押下げ作業を阻害するおそれがある。この点、本実施形態における紙綴じ具100では、ハンドルカバー110dを設け支持板103ごとハンドルフレーム110eを覆っている。したがって、ハンドル110の押下げをしている操作者の手が当該回動軸111近傍にある場合でも、作業の妨げとならず、このようなハンドル110の押下げ作業の妨げとなる事態の発生を防止している。
【0050】
さらに本実施形態におけるハンドルフレーム110eおよびハンドルカバー110dには、回動軸111側において開口部110cが設けられている。開口部110cは、少なくとも押さえ部120の収容孔120aおよび当該収容孔120aの周囲を含む領域の上方に形成される。開口部110cによって、ハンドル110よりベース101側に載置された紙葉類の記載内容、穿孔位置や紙綴じ具100各部の状態を操作者が認識可能となる。この構成に加えて後述するように押さえ部120を透明とするなどの構成を採用すれば、載置台121に載置した紙葉類の上面を視認可能となる。また、開口部110cの形成される位置を収容孔120aおよびその周囲を含む領域としたのは、収容孔120aが紙葉類に対する穿孔部分となるので、操作者がその部分を視認可能とするためである。
【0051】
なお
図1A、
図2等に示される開口部110cは、ハンドル110の前方側が切り取られ略U字型となり、前方が開放されるように形成されている。しかし本発明の「窓部」としては、この実施形態に限られない。すなわち、窓部は必ずしも前方側を切り取り開放するような形状でなくてもよい。例えば
図1Aの開口部110cを一部変更し、ハンドル110の回動軸111上方部分を覆うようにしてもよい。換言すればハンドル110の前端側を左右に架渡すように、ハンドル110上面を切り欠いてもよい。このような窓部であれば、ハンドル110は、方形、円形や多角形等の貫通孔が形成される。
【0052】
〈押さえ部の構成〉
押さえ部120は、載置台121上の紙葉類を押さえるとともに、載置台121を押下げるものである。
図2、
図4A〜
図6B、
図9および
図10に示すように押さえ部120には収容孔120a、目視孔120c、押さえ部ガイド120e、第2ガイド支柱120g、係合部120hおよび上保持部120jが設けられている。
【0053】
図2および
図5Aに示すように押さえ部120は、ベース101側となる下面に、舌片処理部123のパンチ刃123cおよび突部123eをそれぞれ収容可能な収容孔120aが設けられている。この収容孔120aは、前部ベース101cの保持部108(
図2参照)に保持された舌片処理部123の位置に対応して上方に設けられる。また、収容孔120aは、突部123eを回動可能とする大きさに形成される。その上さらに収容孔120aは、切込み刃124も通過可能な大きさとなっている。この収容孔120aの位置をパンチ刃123cに合わせて調整してもよい。この位置合わせによっては収容孔120aに入ってくる舌片処理部123のストローク動作のガイドとなる。なお、この収容孔120aは必ずしも押さえ部120の上面まで貫通させなくてもよい。ただし、本実施形態のように収容孔120aを貫通孔とすれば、操作者の穿孔部分への視認性を確保することが可能となる。
【0054】
同じく
図2および
図5Aに示すように、押さえ部120は下面において、穿孔部分の視認性を確保するためにから上面まで貫通された目視孔120cが設けられている。なお、本実施形態のように目視孔120cも、押さえ部120の上面まで貫通させない構成を採用することも可能である。ただし、操作者の穿孔部分への視認性を向上させるため、本実施形態においては目視孔120cを貫通孔としている。ハンドル110の開口部110cおよび目視孔120cを介して操作者は穿孔しようとする紙葉類の穿孔箇所およびその周囲の領域を視認しやすくなる。
【0055】
また
図2および
図5A、
図5B、
図7、
図8Aおよび
図10に示すように押さえ部120には、下面の前方において一対の押さえ部ガイド120eが左右に並べて設けられている。押さえ部ガイド120eは略柱状をなすとともにそれぞれ下方に伸び、後述する第2ガイド孔121eに挿通される。すなわち、押さえ部ガイド120eは、押さえ部120が載置台121に対して上下動するときのガイドとなるものである。この押さえ部ガイド120eによって、紙葉類の押さえ位置を正確に定めることができる。さらに押さえ部120と載置台121とによって紙葉類が挟持されたまま降下するとき、押さえ部ガイド120eは、押さえ部120を載置台121に対してずれにくくする。その結果、紙葉類を強固に固定してから穿孔することが可能となる。
【0056】
また
図2および
図5A、
図5B、
図8Aに示すように、押さえ部120下面には、押さえ部ガイド120eよりやや前方において、第2ガイド支柱120gが左右に並べて設けられている。その上さらに、第2ガイド支柱120gは、前部ベース101cの第1円筒部107および第1ガイド孔121cに対応する位置に設けられている(
図5A、
図5B参照)。
図6A、
図6C、
図9および
図10に示すように、この第2ガイド支柱120gは略柱状をなすとともにそれぞれ下方に伸びている。また、第2ガイド支柱は、後述する載置台121の第1ガイド孔121cを通された第1円筒部107に挿通される。すなわち、第2ガイド支柱120gは、押さえ部120が載置台121とともに前部ベース101cに対して上下動するときのガイドとなる。この第2ガイド支柱120gによって、さらに押さえ部120と載置台121とによって紙葉類が挟持されたまま降下するとき、第2ガイド支柱120gは、押さえ部120を前部ベース101cに対してずれにくくすることが可能となる。結果として、紙綴じ具100による紙葉類に対する穿孔を正確に行うことができる。
【0057】
図2、
図7および
図8Aに示すように、押さえ部120上面には、その左右側方において上方へ立設する係合部120hが設けられている。この係合部120hには、それぞれ向かい合うように開口が形成されている。係合部120hの開口は、その内部において押圧軸112が前後方向に移動可能である。つまりこの開口には、ハンドルフレーム110eにも通される押圧軸112が挿通される。この係合部120hにより、ハンドル110と押さえ部120とが連動する。
【0058】
後述するように、紙綴じ具によって舌片挿入が完了した後において、紙葉類を綴着させる舌片は綴じる枚数に応じた厚さを有している。この厚さを有する舌片は、載置台121の貫通孔121aや押さえ部120の収容孔120aに引っかかる可能性がある。さらに舌片部分が各孔に引っかかって、各穴に留まったままになることもある。このような状態が生じると、舌片に連なる紙葉類は舌片とともに、押さえ部120と載置台121の間に引っかかったまま留まる。これに対し、他方のハンドル110だけは第2弾性部材125によって付勢されて元の位置に復帰する。しかし、押さえ部120は引っかかった舌片により元の位置に復帰しない。紙押さえに必要な第2弾性部材125の付勢力は、第1弾性部材105の付勢力ほど強くなく、この場合の押さえ部120の引っ掛かりを解消するに至らないためである。
【0059】
したがってこのような事態が生じたとき、紙葉類の引っかかりを解消し、紙綴じ具100を元の状態に戻さなければならない。しかし、その作業は容易でない。例えば、引っかかった紙葉類を無理やり引っ張ることにより、紙葉類が解放され、押さえ部120を元の位置に戻すことが出来る場合もあるが、このような方法では綴じられた紙葉類が破れてしまうおそれがある。この点、本実施形態の紙綴じ具100では、ハンドル110と押さえ部120とが係合部120hおよび押圧軸112を介して連結されている。。したがって、舌片挿入が完了した後、第2弾性部材125の付勢力で押さえ部120が元の位置に復帰しなかった場合でも、ハンドル110を手動で元に戻すことにより、連動して押さえ部120の位置を復帰させることが可能である。すなわち、舌片の先端部などが貫通孔121aや収容孔120aから出てこなくなり、押さえ部120が元の位置に復帰しない状態が生じても、手動により元の位置に戻すことが可能である。さらにその作業は容易である。また押さえ部120が元に戻らなくなったとき、ハンドル110を上方に回動させ舌片の先端を貫通孔121aから外してから、収容孔120aに引っかかった舌片を外すという作業も可能となる。したがって、綴じられた紙葉類の破損を防止することも可能となる。
【0060】
また、
図5Aおよび
図5Bに示すように押さえ部120下面には、押さえ部ガイド120eそれぞれに挟まれた位置に、第2弾性部材125の上端部を保持する上保持部120j(
図2、
図4)が設けられている。なお、第2弾性部材125としては、例えばコイルバネやゴム部材が用いられる。
【0061】
また押さえ部120は、全体が透明部材により構成されている。なお、全体を透明部材として構成せずに、収容孔120aおよび、当該収容孔120aの周囲の領域を透明部材とすることも可能である。すなわち、少なくとも載置台121の貫通孔121aと当該貫通孔121aの周囲の領域の上方が透明であれば、紙葉類に対する穿孔部分およびその周囲の状態を操作者が認識可能となる。また、必ずしも押さえ部120を透明部材で構成しなくてもよく、網の目状、篩状に構成して紙葉類に対する穿孔部分およびその周囲の状態を操作者が認識可能としてもよい。
【0062】
また、本実施形態における紙綴じ具100は、穿孔を行い舌片Sを形成するパンチ刃123c、切込みCを形成する切込み刃124、舌片Sを折り曲げる突部123e等がすべてベース101側に配置されている。このような構成によれば、ハンドル110側の押さえ部120には、最低限、舌片処理部123、切込み刃124の刃部等を受け入れる収容孔120aを形成すればよい。すなわち、この構成により押さえ部120の省スペース化が図られている。この省スペース化により、例えば押圧軸112と回動軸111との距離を近づけることができる。その結果、ハンドル110への手動力を効率よく伝え、穿孔荷重を低減させることが可能となる。
【0063】
また省スペース化により、押さえ部120に対して回動軸111を前方に配置し、押さえ部120上面の高さより、回動軸111を低くすることができる。回動軸111の高さを低くすることによって支持板103の高さを抑制することが可能となる。結果として、紙綴じ具100全体の大型化を抑制することができる。さらに紙綴じ具100を手持ち型にする場合においては、ハンドル110の突出端110aと、後部ベース101aの後端との距離を縮めることができるので、紙綴じ作業の操作性を向上することが可能となる。
【0064】
〈載置台の構成〉
載置台121は、上面を載置面として紙葉類の一端を保持して、押さえ部120との間に紙葉類を挟持する。載置台121が紙葉類を挟持したまま押下げられることにより、パンチ刃123cおよび切込み刃124の刃部に紙葉類が押し付けられる。この一連の動作によって穿孔および切り込みが形成される。載置台121には、貫通孔121a(
図2、
図6A)、第1ガイド孔121c(
図2、
図5A、
図5B、
図9)、第2ガイド孔121e(
図2、
図5A、
図5B)、下保持部121g(
図2、
図9)およびゲージ台121j(
図2、
図4A、
図7)が設けられている。
【0065】
また、
図2、
図6Aに示すように、載置台121の紙葉類の載置面においてパンチ刃123cおよび突部123eそれぞれが通過可能な貫通孔121aが設けられている。この貫通孔121aは、舌片処理部123の位置、つまり、舌片処理部123を保持する前部ベース101cの保持部108の位置に対応して設けられる。また、貫通孔121aは舌片処理部123の突部123eを回動可能とする大きさに形成される。さらに貫通孔121aは、切込み刃124も通過可能な大きさとなっている。この貫通孔121aは、載置面における紙葉類まで舌片処理部123および切込み刃124をガイドするものである。
【0066】
また、
図2、
図5A、
図5Bおよび
図9に示すように、載置台121の載置面には、一対の第1ガイド孔121cが設けられている。この第1ガイド孔121cは前部ベース101cにおける第1円筒部107に対応する位置に設けられる。この第1ガイド孔121cは、
図5Aおよび
図9に示すように第1円筒部107および第2ガイド支柱120gより大径となるように形成されている。つまり第1ガイド孔121cは、第2ガイド支柱120gを挿通させる第1円筒部107にガイドされ、前部ベース101cに対して載置台121を上下動するときの位置合わせに利用される。
【0067】
また、
図2、
図5Aおよび
図5Bに示すように、載置台121の載置面の後方には、一対の第2ガイド孔121eが設けられている。この第2ガイド孔121eは押さえ部120における押さえ部ガイド120eに対応する位置に設けられる。この第2ガイド孔121eは、押さえ部ガイド120eを挿通させ、押さえ部120の載置台121に対する上下動をガイドするものである。
【0068】
また、
図2および
図9に示すように載置台121には、第2ガイド孔121eそれぞれに挟まれた位置に、第2弾性部材125の下端部を保持する下保持部121gが設けられている。
【0069】
また
図6Aおよび
図6Bに示すように載置台121には、舌片処理部123の鉤状部123gに対応する位置に、隆起部121fが左右に並べて設けられている。この隆起部121fはそれぞれ下方に伸びている。このような構成によれば載置台121が降下したときに先端が舌片処理部123の鉤状部123gに当接し、鉤状部123gを押下げる。鉤状部123gが押下げられると、舌片処理部123全体が回動軸124aを中心として回動される。
【0070】
〈舌片処理部および切込み刃の構成〉
次に
図2、
図4A,
図5A,
図6A〜
図6Dおよび
図11を参照して、舌片処理部123の構成、回動方向および保持部108に対する接続方向、ならびに切込み刃124の構成について説明する。
図11は、この実施形態にかかる紙綴じ具100によって紙葉類の角を綴着した状態を示す概略図である。
【0071】
図2および
図6Aに示すように、舌片処理部123は、前部ベース101cに取り付けられる側の下端に回動軸124aを挿通させる回動基部123aが設けられ、上端に紙葉類に穿孔を行うパンチ刃123cが設けられている。さらに舌片処理部123の上端から側方に向かってパンチ刃123cと一連に形成された突部123eが設けられている。また、回動基部123aの側方から舌片処理部123の高さ方向(上方/
図1・X1参照)と直交する鉤状部123gが設けられている。なお、「高さ方向」とは、回動基部123aからパンチ刃123cの先端へ向かう方向を示す。
【0072】
図2に示すように舌片処理部123は、前部ベース101cの保持部108の軸受部108aに回動軸124aを介して支持されている。したがって、舌片処理部123は回動軸124aを中心として回動可能である。上述のように押さえ部120および載置台121に、収容孔120aおよび貫通孔121aが設けられているが、
図2および
図5Aに示すように、これらは舌片処理部123および切込み刃124の紙綴じ具100の前後方向に対する設置角度および大きさに合わせた形状となっている。すなわち舌片処理部123それぞれは、互いに対し所定の角度α(
図11)をつけて保持部108に保持されている。言い換えれば、突部123eそれぞれの突出方向を結ぶ仮想延長線が所定の角度αとなる。
【0073】
また、パンチ刃123cに挟まれるようにして、切込み刃124が設けられている。この切込み刃124は、舌片処理部123と同様に保持部108によって支持されており、刃部は平板状に形成されている。この刃部は幅方向が突部123eの突出方向と略直交する方向となっている。さらに
図4Aに示すように切込み刃124は舌片処理部123の突部123eを通過可能な係合孔124cが設けられている。
【0074】
以上のような構成によれば、パンチ刃123cが互いに向き合う方向に回動し、各舌片Sをそれぞれが折り曲げる。その結果、パンチ刃123cによって形成された舌片Sは、舌片処理部123の回動によって、互いに向き合う方向に折り曲げられる(
図11参照)。また切込み刃124は、その幅方向において突部123eの回動方向と略直交する。さらに切込み刃124には、舌片処理部123の突部123eを通す係合孔124cが形成されている。したがって突部123eが折り曲げた舌片Sは係合孔124cに押し込まれ、さらに切込み刃124が下降したとき、舌片Sは係合孔124cに押し込まれたまま紙葉類を通過し、切込みCに押し込まれる。
【0075】
ただし、舌片Sを切込みCに押し込む手段として、必ずしも切込み刃124、係合孔124cを用いる方法に限定されない。例えば突部123eが切込みCの位置まで回動し、舌片Sを切込みCに押し込む構成であってもよい。また、舌片Sを押し込む突部123eは必ずしもパンチ刃123cと一体に形成されている必要はなく、別部材として構成することも可能である。
【0076】
その結果、
図11に示すように切込みCに押し込まれた舌片S同士は互いに向き合い、舌片Sの突出方向の仮想延長線は正対するかもしくは交差する。さらに上述の通り、この実施形態にかかる舌片処理部123の一方が、他方に対して所定の角度αをつけて軸受部108aに取り付けられている。ここで、本実施形態の紙綴じ具100においては、当該所定の角度αを、およそ90°から150°程度とし、突部123eそれぞれの突出方向の延長線同士が略「V字」を形成するように軸受部108aに取り付けられる。このような構成は紙葉類の角を綴るときに好適である。すなわち、綴じられた紙葉類の角の領域に印刷等がされている場合、その印刷部分に舌片Sや穿孔された穴が重なってしまうと、当該部分の印刷内容が認識できなくなってしまうおそれがある。この点、角度αが例えば90°〜150°程度であればそのような事態を回避することが可能である。なお角度αとは、
図11に示すように、紙綴じ具100に対する紙葉類の差込方向へ向かって見た場合の角度である。
【0077】
このように角度αを定めることにより、綴着が解けやすい捲り方向が生じないようにすることが可能である。舌片Sが一方だけしか存在しなければ、切込みCへの挿入方向と逆の方向に紙葉類を捲る動作がされると舌片Sが切込みCから外れてしまう。また、舌片Sが複数あっても、各舌片Sが切込みCそれぞれに対し逆向きに挿入されていれば同様に切込みCから外れてしまう自体が生じる。しかし、本実施形態の紙綴じ具100によって綴じられた紙葉類は、その綴着部分において、一方の舌片Sにおける切込みCへの挿入方向の延長線と、他方の舌片Sにおける切込みCへの挿入方向の延長線とが交差する。したがって、一方の舌片Sの挿入方向と逆の方向に紙葉類を捲る動作がされた場合でも、その舌片Sが切込みCから外れる動きを他方の舌片Sが妨げる。すなわち、一方の舌片Sが切込みCから外れてしまう紙葉類の動きを、切込みCに押し込まれた他方の舌片Sの存在により抑止、または阻止する。したがって、紙葉類間の綴着強度を確保することが可能である。また、舌片Sによって、紙葉類間を綴着するので、ステープルや糊材のような綴着材を用いずに複数の紙葉類を綴着させるので、シュレッダーやADF(Auto Document Feeder)の破損が生じる事態を回避することが可能である。さらに、綴着材の補充が必要なく、継続的に使用したときにも煩雑な綴着材の交換作業を回避することが可能である。
【0078】
さらに
図2、
図6Cおよび
図6Dに示すように、舌片処理部123は第3弾性部材126を介して保持部108に取り付けられている。第3弾性部材126としては、舌片処理部123の回動方向と逆方向に付勢するものが用いられる。舌片処理部123が一旦回動されても、第3弾性部材126、例えばねじりコイルバネのように変形された後で元の位置に復帰する付勢力を利用して元の位置に復帰するように構成される。
【0079】
(動作)
次に上記構成による舌片処理部123および切込み刃124の動作ならびに、押さえ部120および載置台121の動作について
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A〜
図6D、
図7〜10および
図12〜15を参照して説明する。
図12は、この実施形態にかかる紙綴じ具100において、ハンドル110の回動後の状態における押さえ部120、載置台121および前部ベースの位置関係を示す概略斜視図である。
図13Aは、この実施形態にかかる紙綴じ具100において、ハンドル110が回動した後の押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係を示す概略右側面図である。
図13Bは、この実施形態にかかる紙綴じ具100において、ハンドル110が回動した後の押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係を示す概略上面図である。
図14は、この実施形態にかかる紙綴じ具100において、ハンドル110の回動後の状態における押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係の概略を示す
図13BのD´−D´断面図である。
図15は、この実施形態にかかる紙綴じ具100において、ハンドル110の回動後の状態における押さえ部120、載置台121および前部ベース101cの位置関係の概略を示す
図13BのE´−E´断面図である。
【0080】
〈ハンドル押下前の状態〉
図4Aに示すようにハンドル110が回動される前の状態においては、押さえ部120と載置台121とは間隔を空けて配置されている。この状態は、
図9および
図10に示すように第2弾性部材125が載置台121の載置面から押さえ部120を離すように付勢していることによる。この所定間隔を空けた部分は、紙綴じ具100によって綴じようとする複数の紙葉類の配置領域となる。また
図8Aに示すように押さえ部120および載置台121の間における紙葉類配置領域の前方端部が挿入口104となる。
【0081】
〈ハンドル押下開始時の状態〉
図4Aから
図4Bに移行する状態、すなわちハンドル110が回動され始めると、ハンドル110に保持された押圧軸112が押さえ部120の第2弾性部材125の付勢力に抗して、押さえ部120の上面を押下げる。押さえ部120の係合部120hは、それぞれ押圧軸112の両端を囲うように、押圧軸112を内部に挿通させている。さらに係合部120hは、押圧軸112がその内部をスライド可能となるように遊びを有して形成されている。この係合部120hの構成により、押圧軸112は押さえ部120を押下げるとき、係合部120hの内部を略前方へスライドする。これはハンドル110の回動にともなって押圧軸112が後方(突出端110a側)へ回動しようとする力の向きを、下方への略直線状の押圧力に変えるための動作である。すなわち、第2ガイド支柱120gが、前部ベース101cの第1円筒部107側へ、略直線状に降下するので、押さえ部120および載置台121を押下げる穿孔荷重を効率よく伝えることが可能となる。
【0082】
また、ハンドル110に保持された押圧軸112が押さえ部120を押下げるときは、押さえ部ガイド120eが載置台121の第2ガイド孔121eの内部を通過する。すなわち押さえ部120は、第2ガイド孔121eにガイドされて、その全体が載置台121の前面へ向かって移動する。
【0083】
〈載置台押下開始時の状態〉
押さえ部120が載置台121上の紙葉類の上面(載置面)に到達すると、載置台121の上面と押さえ部120の下面の前方側とで紙葉類を挟持する。さらに押圧軸112が押下げられると、紙葉類が狭持されたまま押さえ部120の下面が載置台121を押下げ始める。このとき、
図9に示すように押さえ部120の第2ガイド支柱120gは、第1ガイド孔121cに挿通された第1円筒部107の内部を通る。したがって、押さえ部120および載置台121が前部ベース101cの第1円筒部107にガイドされ、下方へ向かって第1弾性部材105の付勢力に抗して移動する。
【0084】
さらに押圧軸112は
図5Aおよび
図5Bに示すように、押さえ部120に対し第2ガイド支柱120gの略直上に設けられている。すなわち、第1弾性部材105が設けられた第1円筒部107の立設方向から第2ガイド支柱120gへ向かう方向略延長線上に配置されている。第1弾性部材105は、紙葉類の穿孔に最適となる穿孔荷重の調整をサポートするために載置台121を上方に付勢している。この第1弾性部材105が設けられた第1円筒部107の立設方向の真上から押圧軸112が押さえ部120を押下げる。したがって、さらに押さえ部120および載置台121を押下げる穿孔荷重を効率よく伝えることが可能となる。
【0085】
〈穿孔開始時の状態〉
このように載置台121が押下げられ始めると、保持部108に保持された舌片処理部123のパンチ刃123cと載置台121の載置面における紙葉類の下面とが当接する。さらに載置台121が押し下げられると、紙葉類の下面に押し当たり、先端のパンチ刃123cが当該紙葉類に穿孔を行う。また、切込み刃124にも押し当たり、紙葉類に対し穿孔された穴より内側に切込みCを入れる。ここで「内側」とは、紙綴じ具100の前後方向を結ぶ紙綴じ具100の中心線側を意味する。
【0086】
〈紙綴じ処理時の状態〉
穿孔および舌片Sおよび切り込みの形成が完了しさらに載置台121が降下すると、
図12〜
図15に示すように、押さえ部120の第2ガイド支柱120gの下端が前部ベース101cの上面(底面)に近接する。このとき舌片処理部123の基部側の鉤状部123gの上面(押さえ部120側の面)が載置台121の隆起部121fの先端に当接する。その結果、
図6Bに示すように舌片処理部123が回動する。舌片処理部123が回動すると、穿孔によって形成された舌片Sが突部123eによって下方(切込みC側)に折り曲げられる。突部123eが折り曲げた舌片Sは係合孔124cに押し込まれ、さらに切込み刃124が下降したとき、舌片Sは係合孔124cに押し込まれたまま紙葉類を通過し、切込みCに押し込まれる。このようにして複数の紙葉類間における綴着がなされる。
【0087】
〈紙綴じ処理完了時〜ハンドル解放時の状態〉
図6Cおよび
図6Dに示すように、舌片処理部123は第3弾性部材126によって、パンチ刃123cが上方を向く位置に保持されるように付勢されている。舌片処理部123が回動され、突部123eおよび切込み刃124の係合孔124cにより舌片Sが切込みCに押し込まれた後、ハンドル110の押し下げが解放されると、第1弾性部材105により載置台121が上方へ付勢されて上昇する。隆起部121fにより舌片処理部123の鉤状部123gは下方へ押され第3弾性部材126の付勢力に抗して回動されていたが、ハンドルの押下げが解放されたとき、載置台121の上昇にともなって、鉤状部123gが隆起部121fの押し下げから解放される。さらに舌片処理部123は第3弾性部材126の付勢力により、元の位置に復帰する。
【0088】
(その他の構成)
次に、
図2、
図8Bおよび
図16を参照して紙綴じ具100における付随的な構成部分について説明する。
図16は、この実施形態にかかる紙綴じ具100における切込み刃124と、穿孔によって形成された舌片Sとの幅の差を概念的に示す概略図である。
【0089】
〈ゲージ台〉
図2、
図7および
図8Bを参照して、紙綴じ具100におけるゲージ台121jについて説明する。
図2および
図8Bに示すように載置台121における上面(載置面)の両側端部には、対となるようにゲージ台121jが設けられている。ゲージ台121j、121jは、それぞれ当該上面から隆起している。隆起したそれぞれの上面は例えば平面状に形成される。このゲージ台121j、121jは、紙葉類の角部分に綴着箇所を設ける時に好適な部材である。ゲージ台121j、121jは、
図2に示すように貫通孔121a、121aへ、当該紙葉類の角部分が留め置かれるように案内する。すなわち、ゲージ台121j、121jは、貫通孔121a、121aの交点へ向かって、挿入しようとする紙葉類の角の領域が合致するように形成されている。ユーザーは、紙葉類の角部分に綴着箇所を設ける場合、紙葉類をゲージ台121j、121jの側面に沿って、貫通孔121a、121aへ差し込むことにより、位置合わせが容易となる。
【0090】
さらに、ゲージ台121j、121jそれぞれの高さは、載置台121上面から押さえ部120下面までの高さより低く形成される。したがって、ユーザーがゲージ台121j、121jを利用したくない時は、ユーザーは紙葉類を当該、ゲージ台121j、121j上に乗るように通す。ゲージ台121j、121jを利用する時は、上記位置合わせを行うことができる。すなわち、このゲージ台121j、121jは、必要な時に応じて位置合わせを行いうる構成であり、ユーザーの要求する使用方法を選択することができるものである。
【0091】
〈切込み刃の幅〉
図16に示すように切込みCの幅と舌片Sの幅との関係は例えば次のようになる。ここで説明の便宜上、
図16に示すように、舌片Sの幅をa´b´とし、切込みCの幅を仮に切込み刃124それぞれの幅とし、c´d´とする。まず切込みCの幅と舌片Sの幅の差は、切込みCに舌片Sが押し込まれることから、c´d´>a´b´となる。
【0092】
ここで、切込みCに押し込まれた舌片Sが移動しないように固定させることによって綴着強度を確保しようとした場合、切込みCの幅は舌片Sの幅とほぼ同じとなる(c´d´−a´b´≒0mm)。しかしながら、綴じられた紙葉類は、閲覧者によって1枚1枚、捲り動作を受けることがある。すなわち、切込みCの幅を舌片Sの幅とほぼ同じとし、幅の差を設けない場合、当該切込みCの端部が破けてしまうおそれがある。すなわち当該捲り動作によって、切込みCにおける幅方向端部と舌片Sにおける幅方向端部との接点に負担が大きくかかるためである。したがって、当該切込みCの端部の強度を考慮し、切込みCの幅と舌片Sの幅との差を、例えば2mm以上とする。つまり、舌片Sの幅方向における端部それぞれから、切込みCの幅方向の端部までの長さを1mmほど空けるように、切込み刃124それぞれの幅を形成する。
【0093】
(作用・効果)
次に、実施形態にかかる紙綴じ具100の作用・効果について説明する。
【0094】
本実施形態にかかる紙綴じ具100は、ハンドル110に開口部110cが設けられている。さらに押さえ部120は、全体が透明部材により構成されている。すなわち、当該開口部110cおよび押さえ部120を通じて載置台121に載置した紙葉類の上面を視認可能となる。したがって、紙綴じ処理を行う操作者は、穿孔部分を確認してから紙葉類の穿孔を行うことが可能である。その結果、紙葉類の紙綴じ部分の確認が容易となる。さらに紙葉類の印刷部分を避けて紙綴じ処理を行うことができるので、紙葉類の閲覧に支障をきたすおそれを防止することが可能である。また、舌片Sによって、紙葉類間を綴着するので、ステープルや糊材のような綴着材を用いずに複数の紙葉類を綴着させることができる。したがって、誤ってシュレッダーやADFの破損が生じる事態を回避することが可能である。さらに、紙綴じ処理に使用する綴着材が無いので、綴着材の補充作業自体が必要なくなる。したがって、紙綴じ具を継続的に使用したときにも煩雑な綴着材の交換作業を回避することが可能である。
【0095】
また、本実施形態にかかる紙綴じ具100は、切込みCの幅と舌片Sの幅との差を、例えば2mm以上とする。つまり、舌片Sの幅方向における端部それぞれから、切込みCの幅方向の端部までの長さを1mmほど空けるように、切込み刃124の幅を形成する。したがって、1枚1枚捲り動作を受けることによって、切込みCの幅方向端部と舌片Sの幅方向端部との接点にかかる負担が小さくなる結果、当該切込みC端部が破けてしまうおそれを回避することが可能である。
【0096】
また、本実施形態にかかる紙綴じ具100においては、第1段階として、押さえ部120により紙葉類の保持を行い、第2段階として、保持された紙葉類に対し、穿孔荷重を調整された状態で、穿孔を行う。結果として、綴じられた紙葉類は、1枚1枚のずれが生じにくいので、整然と仕上げられ、かつ綴着強度が確保される。さらに、
図11に示すように本実施形態の紙綴じ具100において、舌片S同士がなす角度αを90°〜150°程度にした場合、紙葉類の角を綴るときに好適である。すなわち、綴じられた紙葉類の角の領域の印刷部分を見づらくしてしまうおそれを回避することが可能である。
【0097】
実施形態にかかる紙綴じ具100の押圧軸112は、第1弾性部材105が設けられた第1円筒部107の立設方向から第2ガイド支柱120gへ向かう方向の略延長線上に配置されている。さらに第1弾性部材105は、紙葉類の穿孔に最適となる穿孔荷重の調整をサポートするために載置台121を上方に付勢している。この第1弾性部材105が設けられた第1円筒部107の立設方向の真上から押圧軸112が押さえ部120を押下げる。したがって、さらに押さえ部120および載置台121を押下げる穿孔荷重を効率よく伝えることが可能となる。
【0098】
本実施形態における紙綴じ具100は、ハンドルフレーム110eが支持板103の間に挟まれているので、ハンドルフレーム110eは押し下げられても支持板103の上端に当接する事態が生じない。すなわち、ハンドルの回動範囲は支持板103の高さによって制約を受けない。したがって、舌片処理部123の上下動のストローク長を確保しつつ、紙綴じ処理の操作性を確保している。さらにハンドルカバー110dを設け支持板103ごとハンドルフレーム110eを覆っている。したがって、ハンドル110の押下げをしている操作者の手が当該回動軸111近傍にある場合でも、作業の妨げとならず、ハンドル110の押下げ作業の妨げとなる事態の発生を防止している。
【0099】
舌片Sの挿入が完了した後、ハンドル110が戻され、第2弾性部材125によって押さえ部120が付勢されても、綴着された紙葉類の舌片Sの引っかかり等により押さえ部120が元の位置に復帰しないことがある。例えば、舌片Sの先端部が貫通孔121aや収容孔120aから出てこなくなり、押さえ部120が元の位置に復帰しない場合がある。この点、本実施形態の紙綴じ具100では、ハンドル110と押さえ部120とが係合部120hおよび押圧軸112を介して連結されている。したがって、押さえ部120が元の位置に復帰しない場合でも、ハンドル110を手動で元に戻すことが可能である。またその作業は容易である。また押さえ部120が元に戻らなくなったとき、ハンドル110を上方に回動させ舌片Sの先端を貫通孔121aから外してから、収容孔120aに引っかかった舌片Sを外すという作業も可能となり、綴じられた紙葉類の破損を防止することも可能となる。
【0100】
また、本実施形態における紙綴じ具100は、穿孔を行うことにより舌片Sを形成するパンチ刃123c、切込みCを形成する切込み刃124、舌片Sを係合孔124cに押し込む突部123e等がすべてベース101側に配置されている。このような構成によれば、ハンドル110側の押さえ部120には、最低限、舌片処理部123、切込み刃124の刃部等を受け入れる収容孔120aを形成すればよい。すなわち、押さえ部120の省スペース化が図られている。この省スペース化により、例えば押圧軸112と回動軸111との距離を近づけることができる。その結果ハンドル110への手動力を効率よく伝え、穿孔荷重を低減させることが可能となる。
【0101】
また省スペース化により、押さえ部120に対して回動軸111を前方に配置し、押さえ部120上面の高さより、回動軸111を低くすることができる。回動軸111の高さを低くすることによって支持板103の高さを抑制することが可能となる。結果として、紙綴じ具100全体の大型化を抑制することができる。さらに手持ち型の紙綴じ具100を手持ち型にする場合においては、ハンドル110の突出端110aと後部ベース101aの後端との距離を縮めることができるので、紙綴じ処理の操作性を向上することが可能となる。
【0102】
また、本実施形態における紙綴じ具100は、舌片処理部123と切込み刃124との刃部(123c等)が上方を向いているため、紙葉類の綴着処理が完了した後に、これらの部材を元の位置に復帰させる必要がある。この点、本実施形態における紙綴じ具100は、舌片処理部123が回動されることによって第3弾性部材126が変形された後、ハンドル110の復帰にしたがって隆起部121fが鉤状部123gを解放したとき、自身の弾性により第3弾性部材126が回動前の状態に戻ろうとする。この付勢力を利用して、舌片処理部123が一旦回動されても、元の位置に復帰させることが可能となる。
【0103】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0104】
(I)前記パンチ刃と前記突部とは一体に形成されており、
前記ハンドルの回動にしたがって前記載置台と前記ベースとが近接すると、前記ベースから立設する前記パンチ刃によって該載置台上に配置された前記紙葉類に穿孔が行われて前記切片が形成され、かつ前記切込み刃によって該穿孔された穴の間に前記各切込みが形成され、
前記切片および前記切込みが形成された後、前記保持部がさらに押し下げられると、該切込み側へ前記突部の先端が回動して、該切片を該切込み方向へ折り曲げること、
を特徴とする請求項1に記載の紙綴じ具。
(II)前記載置台には、前記ベース方向に立設する隆起部が設けられており、
前記突部は前記ベースに回動可能に支持され、
前記切片および前記切込みが形成された後、前記載置台さらに前記ベースに近接すると、前記隆起部が前記突部の一部に押し当たり、該切込み側へ前記突部の先端が回動して、該切片が該切込み方向へ折り曲げられること、
を特徴とする請求項1に記載の紙綴じ具。
(III)前記支柱は円筒状部材であって前記ベースに設けられ、かつ前記挿通部は前記載置台に設けられ、かつ前記押さえ部には該挿通部および該支柱内部に挿通され、かつ該支柱は、押さえ部および載置台のベース方向への移動をガイドすること、
を特徴とする請求項2に記載の紙綴じ具。
(IV)前記載置台上における、前記紙葉類が挿入される側であって該載置台の前記両側方において一対のゲージ台が設けられ、
前記ゲージ台は、前記紙葉類の角部分が前記配置領域における前記パンチ刃の通過箇所へ留め置かれるように案内すること、
を特徴とする請求項1に記載の紙綴じ具。
(V)前記ゲージ台それぞれの高さは、前記基台から前記底面部までの高さより低く形成され、
前記紙葉類が前記ゲージ台の間を通されるときは、前記紙葉類の角部分が前記通過箇所へ留め置かれるように案内され、前記紙葉類が該ゲージ台上に乗るように通されて前記配置領域に挿入されるときは、該紙葉類を該案内しないこと、
を特徴とする上記(IV)に記載の紙綴じ具。
(VI)前記押さえ部は、前記ハンドル側の面において前記押圧軸を内部に挿通させることにより前記ハンドルと連結されており、
前記押圧軸は、前記連結部の内部をスライド可能であること、
を特徴とする請求項2に記載の紙綴じ具。
(VII)前記突部には、前記ハンドルの回動に伴う該突部の回動方向と反対方向へ付勢する付勢手段が設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の紙綴じ具。
(VIII) 重ねられた複数の紙葉類を穿孔することで、一部が前記紙葉類に接続された略舌状の切片を形成しつつ前記切片の近傍に切込みを形成し、かつ、前記切片を前記切込みに押し込んで前記複数の紙葉類を綴じる紙綴じ具であって、
基台と、
前記基台から後方に向けて延設された第1ハンドルと、
前記基台から上方に向けて立設され、上端に刃部が形成された一対のパンチ刃と、
前記基台から上方に向けて立設され、上端に刃部が形成された一対の切り込み刃と、
前記基台から上方に向けて立設された支持部と、
前記支持部の略上端に回動軸を介して接続され、後方に向けて延設され、前記一対のパンチ刃及び前記一対の切込み刃の上方位置並びにその周辺位置に窓部が形成された第2ハンドルと、
前記基台と前記第2ハンドルとの間に前記基台に対して上下方向に移動可能に設けられ、上面における前記一対のパンチ刃及び前記一対の切込み刃のそれぞれの上方位置に貫通孔が形成され、前記上面に前記複数の紙葉類が載置される載置台と、
下面と前記載置台の上面とが対向配置され、前記下面における前記一対のパンチ刃及び前記一対の切込み刃のそれぞれの上方位置に貫通孔が形成され、該上方位置並びにその周辺位置に窓部が形成され、前記載置台に対して上下方向に移動可能に設けられた押さえ部と、
前記切片を前記切込みに挿入するための挿入機構
を備え、
前記ハンドルの回動により前記押さえ部と前記載置台とが近接されることにより前記載置台上の前記紙葉類が挟持され、さらに該押さえ部および該載置台が該紙葉類を挟持したまま該基台側へ移動することにより、前記パンチ刃および前記切込み刃の前記端部それぞれに該紙葉類を押し付けて、前記切片および前記切込みを形成すること、
を特徴とする紙綴じ具。
【0105】
なお、上記の技術的思想(VIII)における「第1ハンドル」、「第2ハンドル」とは、紙綴じ具を操作者が手で持って使用する際を想定し、双方をハンドルとして定義したものである。