【文献】
松本 光弘 外4名,U−MartにおけるQ学習エージェントの設計と評価,2006年度人工知能学会全国大会(第20回)論文集 [CD−ROM],日本,2006年 6月,pp.1−4
【文献】
今 斎 外1名,カルマンフィルタによる波形予測,電子情報通信学会1998年基礎・境界ソサイエティ大会講演論文集,日本,1998年 9月 7日,p.73
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御部は、注文データの売買区分に従って変動幅の下限又は上限となる第1の発注電文と前記変動幅の上限又は下限となる第2の発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときにおいて、前記第1の発注電文を送信し、前記第1の発注電文が約定した場合に前記第2の発注電文を送信し、前記第1の発注電文が約定しない場合には前記第1の発注電文に対する取消電文を送信することを特徴とする請求項1記載の注文システム。
制御部は、第2の発注電文を送信した場合に、現在時刻が未来予測の期間になったときにおいて、前記第2の発注電文が約定しない場合には前記第2の発注電文に対する取消電文を送信することを特徴とする請求項2又は3記載の注文システム。
制御部は、注文データの変動トレンドの種類と売買区分に従って変動幅の下限又は上限となる発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときにおいて、前記発注電文を送信し、前記発注電文が約定しない場合には当該発注電文に対する取消電文を送信することを特徴とする請求項5記載の注文システム。
サーバの制御部は、未来予測の期間において将来値を予測するアルゴリズムとして、カルマンフィルタを用いた方法、指数平滑法、移動平均法、加重移動平均法、NN選点法を用いたことを特徴とする請求項1又は5記載の注文システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の注文方法では、注文内容が個人の判断に委ねられることが多く、様々な予測のパターンを判断している間に、取引の機会を失う場合があるという問題点があった。
【0008】
また、現在、複雑なアルゴリズムを用いた注文は、一部の専門家のみの利用となり、一般投資家としては不平等な情報格差による注文条件しか選べないのではないかという不公平感があった。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、投資家の要望に応じた未来予測パターンに従い瞬時に発注電文を作成し、自動発注を行うことができる注文システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、接続する端末からの操作により注文データから発注電文を作成し、取引を行うシステムに前記発注電文を送信する発注処理を行うサーバを有する注文システムであって、サーバが、発注処理を実行する制御部と、将来値を予測するために過去の特定期間の相場情報を記憶する記憶部とを備え、端末から取引対象の銘柄、未来予測の期間、
希望する利幅となる変動幅、取引数量、売買の順番を示す売買区分の情報が注文データとしてサーバに入力されると、制御部が、記憶部に記憶された銘柄の相場情報を用いて未来予測の期間について将来値を予測し、未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートから売買区分に
よる売買の順番に従って変動幅が得られるか否かを判定し、変動幅が得られない場合にはエラーを出力し、変動幅が得られる場合には、端末から入力された注文データに基づいて発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときに発注電文を送信することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記注文システムにおいて、制御部が、注文データの売買区分に従って変動幅の下限又は上限となる第1の発注電文と変動幅の上限又は下限となる第2の発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときにおいて、第1の発注電文を送信し、第1の発注電文が約定した場合に第2の発注電文を送信し、第1の発注電文が約定しない場合には第1の発注電文に対する取消電文を送信することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記注文システムにおいて、端末からは指値がサーバに入力可能であり、サーバの制御部が、注文データの売買区分に従って指値を変動幅の上限又は下限として第1の発注電文を送信することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記注文システムにおいて、制御部が、第2の発注電文を送信した場合に、現在時刻が未来予測の期間になったときにおいて、第2の発注電文が約定しない場合には第2の発注電文に対する取消電文を送信することを特徴とする。
【0014】
本発明は、接続する端末からの操作によりから発注電文を作成し、取引を行うシステムに前記発注電文を送信する注文データの発注処理を行うサーバを有する注文システムであって、サーバが、発注処理を実行する制御部と、将来値を予測するために過去の特定期間の相場情報を記憶する記憶部とを備え、端末から取引対象の銘柄、未来予測の期間、
希望する利幅となる変動幅、取引数量、売買のいずれかを示す売買区分、値動きの上昇又は下降の予測条件を示す変動トレンドの種類の情報が注文データとしてサーバに入力されると、制御部は、記憶部に記憶された銘柄の相場情報を用いて未来予測の期間について将来値を予測し、未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートから変動トレンドの種類と売買区分に
よる売買の順番に従って変動幅が得られるか否かを判定し、変動幅が得られない場合にはエラーを出力し、変動幅が得られる場合には、端末から入力された注文データに基づいて発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときに発注電文を送信することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記注文システムにおいて、制御部が、注文データの変動トレンドの種類と売買区分に従って変動幅の下限又は上限となる発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときにおいて、発注電文を送信し、発注電文が約定しない場合には当該発注電文に対する取消電文を送信することを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記注文システムにおいて、端末からは指値がサーバに入力可能であり、サーバの制御部が、注文データの変動トレンドの種類と売買区分に従って指値を変動幅の上限又は下限として発注電文を作成することを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記注文システムにおいて、制御部が、エラーを出力する場合、変動幅を小さくするよう促すメッセージを出力することを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記注文システムにおいて、端末からは未来予測の期間においてユーザが銘柄の将来値段を指示する自己予測値がサーバに入力可能であり、サーバの制御部が、将来値の予測に自己予測値を利用することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記注文システムにおいて、サーバの制御部が、未来予測の期間において将来値を予測するアルゴリズムとして、カルマンフィルタを用いた方法、指数平滑法、移動平均法、加重移動平均法、NN選点法を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、サーバの制御部が、記憶部に記憶された銘柄の相場情報を用いて未来予測の期間について将来値を予測し、未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートから売買区分に
よる売買の順番に従って
利幅となる変動幅が得られるか否かを判定し、変動幅が得られない場合にはエラーを出力し、変動幅が得られる場合には、端末から入力された注文データに基づいて発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときに発注電文を送信する注文システムとしているので、投資家の要望に応じた未来予測パターンに従い瞬時に発注電文を作成し、自動発注を行うことができる効果がある。
【0021】
本発明によれば、サーバの制御部が、記憶部に記憶された銘柄の相場情報を用いて未来予測の期間について将来値を予測し、未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートから変動トレンドの種類と売買区分に
よる売買の順番に従って
利幅となる変動幅が得られるか否かを判定し、変動幅が得られない場合にはエラーを出力し、変動幅が得られる場合には、端末から入力された注文データに基づいて発注電文を作成し、現在時刻が未来予測の期間になったときに発注電文を送信する注文システムとしているので、投資家の要望に応じた未来予測パターンに従い瞬時に発注電文を作成し、自動発注を行うことができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[(1)実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る第1の注文システムは、注文設定画面で設定した注文データを基に、蓄積された時系列の株価データから将来値を予測する方法を用いて未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートで変動幅が確保できると予測できれば、注文設定画面で設定した注文データに基づいて売買の両方に関する発注電文(第1の発注電文、第2の発注電文)を作成し、第1の発注電文が約定した時に、第2の発注電文を発注するものであり、これにより、注文データと未来予測チャートから発注電文を瞬時に作成して、実際の値動きに合わせて変動幅に応じた売買の双方を実現する発注電文を発注できるものである。
【0024】
また、本発明の実施の形態に係る第2の注文システムは、注文設定画面で設定した注文データを基に、蓄積された時系列の株価データから将来値を予測する方法を用いて未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートで変動幅が確保できると予測できれば、注文設定画面で設定した注文データに基づいて売買の一方の発注電文を作成し、変動幅の条件を満たした場合に発注電文を発注するものであり、これにより、注文データと未来予測チャートから発注電文を瞬時に作成して、実際の値動きに合わせて変動幅に応じた売買の一方を実現する発注電文を発注できるものである。
【0025】
[(2)本システム:
図1]
本発明の実施の形態に係る証券取引の注文システム(本システム)について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る証券取引の注文システムの概略図である。
本システムは、
図1に示すように、受発注サーバ1と、取引所システム2と、ネットワーク3と、投資家端末4とを基本的に有している。
尚、
図1では、投資家端末4は、1台しか描いていないが、実際は複数の端末がネットワーク3を介して受発注サーバ1に接続するようになっている。
【0026】
[本システムの各部]
本システムの各部を具体的に説明する。
[受発注サーバ1]
受発注サーバ1は、取引所システム2に接続すると共に、ネットワーク3を介して投資家端末4に接続する。
受発注サーバ1は、コンピュータ装置で構成され、基本的には制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備えている。
【0027】
受発注サーバ1の制御部11は、記憶部12に記憶されている処理プログラムを読み込み、受発注の処理を実現する。特に、注文の発注処理において特徴的な処理を実行する。発注処理については後述する。
記憶部12は、処理プログラムを記憶すると共に、将来値を予測するために過去の特定期間(例えば5日間)の相場情報を記憶している。
インタフェース部13は、受発注サーバ1をネットワーク3に接続し、また、取引所システム2に接続するためのインタフェース部である。
【0028】
[取引所システム2]
取引所システム2は、証券取引所で運用されているコンピュータ装置であり、株価情報等の相場情報を提供する相場システム21と、注文の発注電文を入力し、取引を実現する取引システム22とを備えている。通常、相場システム21と取引システム22は、別々のコンピュータ装置で実現される。
【0029】
[ネットワーク3]
ネットワーク3は、通常、インターネットであるが、専用線を用いたネットワークであってもよい。
また、受発注サーバ1と取引所システム2との間を、ネットワークで接続するようにしてもよい。
【0030】
[投資家端末4]
投資家端末4は、投資家(利用者)が注文の発注等を行うコンピュータ装置であり、制御部と、記憶部と、インタフェース部と、表示部と、入力部とを備えている。尚、投資家端末4は、有線又は無線でネットワーク3に接続してもよく、無線接続の場合には、タブレット端末(タブレットコンピュータ)、スマートフォンであってもよい。
投資家端末4は、ネットワーク3を介して受発注サーバ1にアクセスし、注文設定画面を表示させ、必要な情報を注文データとして入力し、発注電文を作成させて発注処理を指示する。
投資家端末4の表示画面に、時系列データの将来値を予測して発注の条件等を設定するための注文設定画面が表示される。
【0031】
[(3)第1の実施の形態に係る処理内容]
[第1の実施の形態に係る処理の概要]
次に、本システムを用いて実現される第1の実施の形態に係る処理について説明する。尚、第1の実施の形態に係る処理を実行する本システムを「第1の注文システム」と呼ぶ。
第1の実施の形態に係る処理の概要は、時系列データから将来値を予測する方法を用いて未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートから利用者が希望する変動幅(利幅)が得られると予測できる場合には、注文設定画面で設定した注文データに基づいて変動幅の上限と下限となる第1の発注電文と第2の発注電文を作成し、実際の値動きに従って第1の発注電文を発注し、約定すると第2の発注電文を発注する注文システムとしているので、注文設定された値と未来予測チャートから発注電文を作成して、実際の値動きに合わせて発注電文を発注でき、発注電文の作成を瞬時に行い、変動幅に応じた取引を実現できるものである。
【0032】
[第1の注文設定画面:
図2]
図2は、第1の注文設定画面を示す図である。
第1の注文設定画面は、
図2に示すように、利用者が入力する項目は、「銘柄」「自己予測値」「予測時間範囲」「変動幅」「株数」「売買区分」「成行/指値」「株価」がある。
「銘柄」「自己予測値」「予測時間範囲」は、時系列データから将来値を予測するために必要な項目であり、「銘柄」「変動幅」「株数」「売買区分」「成行/指値」「株価」は、発注を行うための取引の項目である。
【0033】
ここで、「自己予測値」は、現在時刻より時間ステップをひとつ進めた場合の予測株価であり、予測時間範囲(未来予測の期間)においてユーザが銘柄の将来値段を指示するものである。このファクタによって未来予測チャートの内容(パターン)が異なるものとなる。
ここで、現在時刻とは、カルマンフィルタ等の方法により未来予測チャートを作成して株価を予測する場合の現在時刻である。尚、自己予測値は、リミッタとしてストップ安、ストップ高を設定しておき、その範囲を超えた場合にはエラーメッセージを表示出力する。
【0034】
「予測時間範囲」は、未来予測チャートを作成する時間範囲であり、当日の時間帯を設定するようになっているが、日を指定できるようにしてもよい。尚、予測時間範囲を短くし、現在時刻に近く設定した方が好ましい。
取引の「売買区分」は、取引の順番を示すもので、「買→売」(買ってから売る)と「売→買」(売ってから買う)がある。「買→売」は、第1の発注電文が買注文であり、第2の発注電文が売注文である。また、「売→買」は、第1の発注電文が売注文であり、第2の発注電文が買注文である。
【0035】
[変動幅について]
「変動幅」は、予測時間範囲における株価の変動幅を設定するものである。
例えば、指値で株価を指定しない場合、未来予測チャートにおける株価の最小値と最大値の差が設定した変動幅以上あれば、エラーなく発注電文が作成され、変動幅未満であれば、エラーとなり発注電文は作成されない。この場合、システムは、変動幅を小さくすることを促すメッセージ等を表示出力する。具体例は
図4で説明する。
【0036】
「売買区分」に買→売、「成行/指値」に指値、「株価」に特定値が設定された場合、当該特定値を変動幅の下限値とし、「売→買」の場合は、当該特定値が変動幅の上限値となる。また、「株価」が未入力の場合は、未来予測チャートにおける株価の最小値又は最大値が自動で設定される。
【0037】
[将来値を予測する方法]
時系列データから将来値を予測する方法として、カルマンフィルタを用いた方法、指数平滑法、移動平均法、加重移動平均法、NN選点法等がある。本実施の形態では、これら将来値を予測する方法を用いたアルゴリズムにより、未来予測チャートが作成される。
尚、カルマンフィルタを用いた方法、指数平滑法、NN選点法では、自己予測値の入力が必要であるが、その他の方法では自己予測値の入力が必要ではない。上記には、時系列データから将来値を予測する方法を例示したが、上記以外の予測方法であってもよい。
【0038】
[未来予測チャート作成:
図3]
時系列データから将来値を予測するために必要な項目を入力し、カルマンフィルタ等を用いて将来値を予測し、
図3に示すような未来予測チャートを作成する。
図3は、未来予測チャートを示す図である。
図3に示した未来予測チャートは実際に表示するものではなく、発注電文を適正に作成するために内部的に作成するものである。但し、未来予測チャートを投資家端末4に表示するようにしてもよい。
【0039】
[注文データ:
図4]
発注電文の作成について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図4は、注文データを示す図である。
例えば、利用者が注文設定画面にて、
図2のように入力し(銘柄「AA」、自己予測値「54」、予測時間範囲「13:00〜15:00」、変動幅「8」、株数「1000」、売買区分「買→売」、成行/指値「指値」(株価は未入力))、「注文設定」ボタンをクリックしたとする。
【0040】
すると、
図4に示す、銘柄「AA」、予測時間範囲「13:00〜15:00」、変動幅「8」、株数「1000」、売買区分「買→売」、成行/指値「指値」、株価(未入力)の注文データとなる。
図3の未来予測チャートによれば、最小値は「52円」、最大値は「60円(52+8)」であり、変動幅8円が得られるので、最小値「52円」は変動幅の下限値であり、最大値「60円」は変動幅の上限値となる。注文設定が正常に為される。
【0041】
また、
図2の注文設定画面において、変動幅「8」、売買区分「買→売」、指値で取引の株価に「55円」が設定されている場合には、未来予測チャートで株価「55円」(変動幅の下限値)があり、その後に株価「63円」(変動幅の上限値)以上があれば、注文設定はエラーにならないが、
図3のように「63円」以上にならないと未来予測チャートから予測される場合には、注文設定がエラーとなる。
【0042】
[発注電文:
図5]
図4の注文データに基づいて、買注文と売注文の発注電文が生成される。
図5は、発注電文1を示す図である。
図4の注文データと
図3の未来予測チャートに従って、予測時間範囲13:00〜15:00において、AA銘柄の1000株について「買」で、指値52円となる発注電文(第1の発注電文)と、第1の発注電文が約定した場合に約定したAA銘柄の1000株について売で、指値60円となる発注電文(第2の発注電文)を作成し、記憶部12に記憶する。
図5では、発注電文を発注ID(識別子)毎に「銘柄・株数・売買の別等」が設定される。
【0043】
[管理情報1-1:
図6]
そして、
図5の発注電文に対して、その電文の管理情報を発注ID毎に記憶部12に記憶している。
図6は、管理情報1-1を示す図である。
図5では、管理情報は、発注ID毎に「発注条件」「Status」(状態)が設定されるようになっている。
例えば、発注ID「xxx01」では、発注条件「13:00〜15:00」の時間範囲でStatus「約定」となっている。これは、発注電文1における発注ID「xxx01」が発注条件「13:00〜15:00」の時間範囲で約定されたことを示している。ここで、発注条件の「13:00〜15:00」の時間範囲は、注文データの予測時間範囲に相当している。
また、発注ID「xxx02」では、発注条件「xxx01(発注ID)の約定通知の受信かつ13:00〜15:00」でStatus「市場への発注」となっている。これは、この発注IDの発注電文が市場へ発注されて約定前であることを示している。
ここで、発注電文1が発注ID「xxx01」の銘柄を買ってから発注ID「xxx02」の銘柄を売るものであるため、発注ID「xxx01」の約定を条件とし、更に発注ID「xxx02」の発注期間内にあることが発注条件となる。従って、発注ID「xxx02」の発注条件が、「xxx01(発注ID)の約定通知の受信かつ13:00〜15:00」と決定される。
【0044】
[実際の株価チャート(1):
図7]
実際の株価の値動きに対比して注文データの変遷について説明する。
図7は、実際の株価チャート(1)を示す図である。
図7に実際の株価チャートを示すように、発注期間になると第1の発注電文が発注(送信)され、株価が最初に「52円」(変動幅の下限値)となった時点で第1の発注電文が約定し、その後、第2の発注電文が、市場へ発注される。
ここで、実際の株価チャートは、現在時刻が未来予測の期間になったときにおいて、実際に値動きした株価に基づいて作成されるものである。
【0045】
[管理情報1-2:
図8]
そして、
図7では、その後、株価「60円」(変動幅の上限値)以上となっており、その時点で、第2の発注電文(売注文の発注電文)が約定することになる。
図8に示す管理情報1-2では、発注ID「xxx02」に対する「発注条件」が「xxx01(発注ID)の約定通知の受信かつ13:00〜15:00」、「Status」が「約定」となる。
図8は、管理情報1-2を示す図である。
【0046】
[第1の注文設定・発注処理:
図9〜11]
次に、第1の注文設定・発注処理について
図9〜11を参照しながら説明する。
図9は、第1の注文設定・発注処理を示すフローチャートであり、
図10は、第1の発注処理の具体的な内容(1)を示すフローチャートであり、
図11は、第1の発注処理の具体的な内容(2)を示すフローチャートである。尚、これら処理は、受発注サーバ1の制御部11が記憶部12から処理プログラムを読み込んで実行し、表示出力は投資家端末4の表示画面に為されるものである。
【0047】
[第1の注文設定処理:
図9]
第1の注文設定・発注処理は、
図9に示すように、注文設定画面に銘柄、自己予測値、予測時間範囲、変動幅、株数、売買区分、成行/指値等の入力が為される(S1)と、「注文設定」のボタンがクリックされたか否かを判定し(S2)、クリックされなければ(Noの場合)、その動作を待つ。
【0048】
「注文設定」のボタンがクリックされた場合(Yesの場合)、注文設定画面で設定された数値に基づいて未来予測チャートを作成する(S3)。そして、未来予測チャートにおいて、入力された変動幅の値があるか否かを判定し(S4)、変動幅の値がなければ(Noの場合)、エラー表示を行い(S5)、処理S1に戻る。ここで、エラー表示は、変動幅を小さくして入力し直すことを促すメッセージとなる。
【0049】
ここで、未来予測チャートにおいて、入力された変動幅の値があるということは、変動幅の値が確保できると未来予測チャートにより予測されたことを意味する。
未来予測チャートに変動幅の値があれば(Yesの場合)、注文設定画面から入力された注文データに基づき発注電文と管理情報を作成し、記憶部12に記憶する(S6)。そして、発注処理(S7)に移行して処理を終了する。
【0050】
[第1の発注処理(1):
図10]
図10では、売買区分が「買→売」の例を示しており、売買区分が「売→買」の例では、第1の発注電文が売注文で、第2の発注電文が買注文で作成され、先に売注文を発注することになる。
発注処理S7は、
図10に示すように、買注文に対応する管理情報における発注条件の時間範囲か否かを判定し(S11)、時間範囲内であれば(Yesの場合)、発注電文が指値か成行かを判定し(S12)、成行であれば、株価が変動幅の下限値になったか否かを判定し(S13)、株価が変動幅の下限値になっていなければ(Noの場合)、判定処理S11に戻る。
【0051】
また、判定処理S13で、株価が変動幅の下限値になったならば(Yesの場合)、若しくは、判定処理S12で、指値であるときに、買注文の発注電文を送信し(S14)、取引所システム2から約定通知を時間範囲内に受信したか否かを判定し(S15)、約定通知を時間範囲内に受信したら(Yesの場合)、(A)に移行する。
判定処理S15で、約定通知を時間範囲内に受信していない場合(Noの場合)、買注文の取消電文を送信する(S16)。尚、成行の場合、発注電文送信後に約定通知を受信するが、指値の場合、すぐに約定しない場合があるので、時間範囲を経過してしまうと、処理S16に移行する。
【0052】
また、判定処理S11で、時間範囲でなければ(Noの場合)、時間範囲の前か否かを判定し(S17)、時間範囲の前であれば(Yesの場合)、判定処理S11に戻る。
判定処理S17で、時間範囲の前でなければ(Noの場合)、つまり、時間範囲を経過した場合は、処理を終了する。
【0053】
[第1の発注処理(2):
図11]
図11に示すように、(A)から続いて売注文に対応する管理情報における発注条件の時間範囲か否かを判定し(S21)、時間範囲内であれば(Yesの場合)、発注電文が指値か成行かを判定し(S22)、成行であれば、株価が変動幅の上限値になったか否かを判定し(S23)、株価が変動幅の上限値になっていなければ(Noの場合)、判定処理S21に戻る。
【0054】
また、判定処理S23で、株価が変動幅の下限値になったならば(Yesの場合)、若しくは、判定処理S22で、指値であるときに、売注文の発注電文を送信し(S24)、取引所システム2から約定通知を時間範囲内に受信したか否かを判定し(S25)、約定通知を時間範囲内に受信したら(Yesの場合)、処理を終了する。
判定処理S25で、約定通知を時間範囲内に受信していない場合(Noの場合)、売注文の取消電文を送信し(S26)、処理を終了する。尚、成行の場合、発注電文送信後に約定通知を受信するが、指値の場合、すぐに約定しない場合があるので、時間範囲を経過してしまうと、処理S26に移行する。
【0055】
また、判定処理S21で、時間範囲でなければ(Noの場合)、時間範囲の前か否かを判定し(S27)、時間範囲の前であれば(Yesの場合)、判定処理S21に戻る。
判定処理S27で、時間範囲の前でなければ(Noの場合)、つまり、時間範囲を経過した場合は、処理を終了する。
【0056】
[(4)第2の実施の形態に係る処理の内容]
[第2の実施の形態に係る処理の概要]
次に、本システムを用いて実現される第2の実施の形態に係る処理について説明する。尚、第2の実施の形態に係る処理を実行する本システムを「第2の注文システム」と呼ぶ。
第2の実施の形態に係る処理の概要は、時系列データから将来値を予測する方法を用いて未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートから利用者が希望する変動幅が得られる場合には、注文設定画面で設定した注文データに基づいて変動幅の上限又は下限となる発注電文を作成し、実際の値動きに従って変動幅の条件を満たす場合に発注電文を発注する注文システムとしているので、注文設定された値と未来予測チャートから発注電文を作成して、実際の値動きに合わせて変動幅の条件を満たす発注電文を発注でき、発注電文の作成を瞬時に行い、変動幅に応じた取引を実現できるものである。
【0057】
[第2の注文設定画面:
図12]
図12は、第2の注文設定画面を示す図である。
第2の注文設定画面は、
図12に示すように、
図2に示した画面とほぼ同様であり、相違するのは、「変動トレンドの種類(自己予測)」が設けられ、売買区分が「売」又は「買」の売買のいずれかを示す情報が設定される点である。
「変動トレンドの種類」は、値動きの上昇又は下降の予測条件を示すもので、「上昇」又は「下降」のトレンドが設定される。具体的には、変動幅「8」、売買区分「売」で「変動トレンドの種類」が「上昇」の場合、株価が上昇に転じてから変動幅「8」となったら売注文を発注することになる。
【0058】
尚、
図12の注文設定画面で、「注文設定」のボタンがクリックされると、
図3に示したような未来予測チャートを作成し、「上昇」トレンドで変動幅「8」が確保できるか否かを検証し、「上昇」トレンドで変動幅「8」が確保できると予測できれば注文設定を正常に受け付け、予測できなければ注文設定についてエラー表示を行う。
【0059】
[注文データ:
図13]
注文データは、
図13に示すように、自己予測値「55」、トレンド「上昇」、変動幅「8」、銘柄「AA」、株数「1000」、売買区分「売」で、指値/成行等「指値」、株価「(未入力)」、予測時間範囲「X月2日 13:00〜X月2日 15:00」が設定されている。
図13は、注文データを示す図である。
未来予測チャートで、「上昇」トレンドで変動幅「8」が確保できると予測できた場合に、注文設定をエラーなく受け付けることになる。
【0060】
[実際の株価チャート(2):
図14]
実際の株価の値動きに対比して注文データの変遷について説明する。
図14は、実際の株価チャート(2)を示す図である。
図14に実際の株価チャートを示すように、下限52となってその後に上昇して上限60以上となった場合に、発注の条件を満たした(変動幅8が確保できた)として、注文データに基づく発注電文が作成され、発注される。
【0061】
[発注電文2:
図15]
図15は、発注電文2を示す図である。発注電文2は、発注ID毎に、「銘柄・株数・売買の別等」が設定される。
【0062】
[管理情報2-1:
図16]
図16は、管理情報2-1を示す図である。管理情報2-1は、発注ID毎に、「発注条件」と「Status」(状況)が設定される。
図16では、発注IDに対応する発注電文が発注された状態を示している。つまり、
図14で注文データが発注条件「X月2日 13:00〜X月2日 15:00」を満たしたので、発注電文の管理情報のStatusが「発注」になる。ここで、発注条件「X月2日 13:00〜X月2日 15:00」は、予測時間範囲に相当する時間範囲である。
【0063】
[実際の株価チャート(3):
図17]
しかしながら、未来予測チャートとは異なり、実際の株価チャートが
図17に示す内容となった場合には、つまり、発注期間内に下限52にはなって、その後上昇したものの、上限60に届かなかった場合には、発注電文に対して取消電文を送信して発注電文を失効させる。
図17は、実際の株価チャート(3)を示す図である。
【0064】
[取消電文2:
図18]
実際の株価チャートが
図17のように、発注の条件を満たさなかった(変動幅8が確保できなかった)ときは、
図18に示すように、発注電文を取り消す取消電文2を作成し、取引所システム2に送信する。
図18は、取消電文2を示す図である。取消電文は、取消IDが付与され、「銘柄・株数・売買の別等」が設定される。
【0065】
[管理情報2-2:
図19]
取消電文2に対して、発注ID毎に管理情報が作成される。管理情報2-2は、発注ID毎に、取消ID、発注条件、Statusが設定される。ここで、発注条件は「X月2日 13:00〜X月2日 15:00」、Statusは「取消完了」となる。
図19は、管理情報2-2を示す図である。
【0066】
[(5)応用例]
第1及び第2の実施の形態に係る処理では、いずれも株式の発注に関するものであるが、これは一例であり、FX(外国為替証拠金取引:margin Foreign eXchange trading)取引、日経225先物、オプション取引等、証券以外の他の金融商品にも応用可能である。
【0067】
[(6)実施の形態の効果]
本システムにおいて第1の実施の形態に係る処理によれば、注文設定画面で設定した情報を基に、蓄積された時系列の株価データから将来値を予測する方法を用いて未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートで変動幅が確保できると予測できれば、注文設定画面で設定した注文データに基づいて売買の両方に関する発注電文(第1,2の発注電文)を作成し、第1の発注電文が約定した時に、第2の発注電文を発注するようにしているので、注文設定された情報と未来予測チャートから発注電文を瞬時に作成して、実際の値動きに合わせて変動幅に応じた売買を実現する発注電文を発注できる効果がある。
【0068】
また、本システムにおいて第2の実施の形態に係る処理によれば、注文設定画面で設定した情報を基に、蓄積された時系列の株価データから将来値を予測する方法を用いて未来予測チャートを作成し、当該未来予測チャートで変動幅が確保できると予測できれば、注文設定画面で設定した注文データに基づいて売買の一方の発注電文を作成し、変動幅の条件を満たした場合に発注電文を発注するようにしているので、注文設定された情報と未来予測チャートから発注電文を瞬時に作成して、実際の値動きに合わせて変動幅に応じた売買を実現する発注電文を発注できる効果がある。