(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705231
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20150402BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20150402BHJP
【FI】
H01L33/00 410
H01L33/00 J
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-539253(P2012-539253)
(86)(22)【出願日】2010年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-511828(P2013-511828A)
(43)【公表日】2013年4月4日
(86)【国際出願番号】EP2010065806
(87)【国際公開番号】WO2011061035
(87)【国際公開日】20110526
【審査請求日】2013年6月4日
(31)【優先権主張番号】102009054067.9
(32)【優先日】2009年11月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン カイザー
(72)【発明者】
【氏名】トアステン クンツ
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス ムシャヴェック
【審査官】
高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−318050(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/011006(WO,A1)
【文献】
特表2009−516894(JP,A)
【文献】
特開2005−157316(JP,A)
【文献】
特開2005−310751(JP,A)
【文献】
特開2002−208308(JP,A)
【文献】
特開2006−172785(JP,A)
【文献】
特開2009−177095(JP,A)
【文献】
特開2009−177101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイス(100)であって、
電磁放射を形成する半導体ボディ(11)を含む、少なくとも1つの第1のタイプの発光ダイオード(1)と、
該第1のタイプの発光ダイオード(1)に後置されて、前記電磁放射の少なくとも一部を第1の色(33A)の光へ変換する変換素子(3)と、
前記第1の色(33A)の光を形成する半導体ボディ(22)を含む、少なくとも1つの第2のタイプの発光ダイオード(2)と、
前記第1の色(33A)の光を出射する放射出射面(4)と、
前記第2のタイプの発光ダイオード(2)を駆動する駆動回路(5)と、
を備え、
前記変換素子(3)は、前記第1の色(33A)の光を放出するために設けられた、少なくとも1つのルミネセンス変換材料(300)を含んでおり、
前記第1のタイプの発光ダイオード(1)の駆動時間が長くなるにつれて、前記変換素子(3)から放出される前記第1の色(33A)の光の強度が低下し、
前記駆動回路(5)は、複数の測定値(700,701)、すなわち、前記変換素子(3)から放出される前記第1の色(33A)の光の強度、及び、前記変換素子(3)の温度のうち少なくとも1つに基づいて、前記第2のタイプの発光ダイオード(2)に対する通電量及び/又は通電時間及び/又は電圧を、前記放射出射面(4)での色座標のずれが抑圧されるように制御及び設定する
ことを特徴とする発光デバイス(100)。
【請求項2】
前記駆動回路(5)は、測定値(700,701)、すなわち、前記第1のタイプの発光ダイオード(1)の駆動時間、及び、前記放射出射面(4)から出射される光の色座標のうち少なくとも1つに基づいて、前記第2のタイプの発光ダイオード(2)を制御する、請求項1記載の発光デバイス(100)。
【請求項3】
前記駆動回路(5)は、前記第2のタイプの発光ダイオード(2)から放出される前記第1の色(33A)の光の強度を前記複数の測定値のうち少なくとも1つに基づいて増減する、請求項1又は2記載の発光デバイス(100)。
【請求項4】
前記放射出射面(4)から出射される光の強度および/または色座標を測定し、前記測定値(700)に基づいて前記第2のタイプの発光ダイオード(2)を制御する前記駆動回路(5)へ前記測定値(700)を伝送する検出器(200)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の発光デバイス(100)。
【請求項5】
前記変換素子(3)の温度を測定し、当該温度の測定値(701)に基づいて前記第2のタイプの発光ダイオード(2)を制御する前記駆動回路(5)へ当該温度の測定値(701)を伝送する温度センサ(1000)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の発光デバイス(100)。
【請求項6】
駆動中、前記変換素子(3)から放出される光の強度の最大値の最大10%の偏差から、前記第2のタイプの発光ダイオード(2)をオンにする、請求項4または5記載の発光デバイス(100)。
【請求項7】
駆動中、前記検出器(200)で測定される色座標の、当該発光デバイスの製造後に求められた基準色座標に対する最大10%の偏差から、前記第2のタイプの発光ダイオード(2)をオンにする、請求項4から6までのいずれか1項記載の発光デバイス(100)。
【請求項8】
前記第1のタイプの発光ダイオード(1)から放出された放射と前記変換素子(3)から放出された光とを第1の光導体(400)へ入力し、前記第2のタイプの発光ダイオード(2)の光を第2の光導体(500)へ入力する、請求項1から7までのいずれか1項記載の発光デバイス(100)。
【請求項9】
前記第1の光導体(400)の垂直方向の厚さは前記第2の光導体(500)の垂直方向の厚さの少なくとも2倍である、請求項8記載の発光デバイス(100)。
【請求項10】
前記第1の光導体および前記第2の光導体(400,500)は相互に懸隔して配置されており、前記第1の光導体と前記第2の光導体とのあいだに透光層(320)が配置されている、請求項8または9記載の発光デバイス(100)。
【請求項11】
前記第1の光導体および前記第2の光導体(400,500)は相互に直接に接触して配置されており、前記第1の光導体(400)と前記第2の光導体(500)とのあいだには空隙も中断部も存在しない、請求項8または9記載の発光デバイス(100)。
【請求項12】
前記第1のタイプの発光ダイオード(1)から放出された放射と、前記変換素子(3)から放出された光と、前記第2のタイプの発光ダイオード(2)の光とを、唯一の光導体(600)へ入力する、請求項1から7までのいずれか1項記載の発光デバイス(100)。
【請求項13】
前記第2のタイプの発光ダイオード(2)は前記光導体(600)の側面(610)に沿って配置されている、請求項12記載の発光デバイス(100)。
【請求項14】
前記第2のタイプの発光ダイオード(2)は前記光導体(600)の角(611)の領域に配置されている、請求項12または13記載の発光デバイス(100)。
【請求項15】
前記変換素子(3)に、少なくとも一部の放射を第2の色(33B)の光へ変換する第2のルミネセンス変換材料(310)が含まれており、
前記第2の色(33B)の光を形成する半導体ボディ(12)を含む、少なくとも1つの第3のタイプの発光ダイオード(10)をさらに備え、
前記第1のタイプの発光ダイオード(1)の駆動時間が長くなるにつれて、前記変換素子(3)によって前記第2の色(33B)の光へ変換される放射の強度が低下し、
前記駆動回路(5)は、さらに、前記第3のタイプの発光ダイオード(10)を駆動し、前記駆動回路(5)は、前記複数の測定値に基づいて、前記少なくとも1つの第3のタイプの発光ダイオード(10)を制御する
請求項1から14までのいずれか1項記載の発光デバイス(100)。
【請求項16】
前記第1のタイプの発光ダイオード(1)から放出される光は青色光であり、該青色光が前記変換素子(3)によって少なくとも部分的に緑色光へ変換される、請求項1から15までのいずれか1項記載の発光デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスに関する。
【0002】
本願は、独国出願第102009054067.9号の優先権を主張する出願であり、当該出願の開示内容は引用により本願に含まれるものとする。
【0003】
本発明の解決すべき課題は、経時劣化に対して特に安定でありかつ低コストに製造可能な発光デバイスを提供することである。
【0004】
本発明の発光デバイスは、電磁放射を形成する半導体ボディを含む、少なくとも1つの第1のタイプの発光ダイオードを備えている。本発明における「第1のタイプの発光ダイオード」とは、発光ダイオードを、そこから放出される電磁放射のスペクトル内の放出波長領域の点で特徴づけることを意味する。有利には、当該発光ダイオードは電磁放射のスペクトルの紫外領域および/または青色光領域の光を放出する。
【0005】
本発明の発光デバイスでは、第1のタイプの発光ダイオードに後置されて、電磁放射の少なくとも一部を第1の色の光へ変換する変換素子が設けられている。この変換素子は所定の波長領域の光を他の波長領域の光へ変換する。例えば、変換素子は、第1のタイプの発光ダイオードから放出された1次青色光を少なくとも部分的に緑色光へ変換する。
【0006】
本発明の発光デバイスは、また、第1の色の光を形成する半導体ボディを含む、少なくとも1つの第2のタイプの発光ダイオードを備えている。言い換えれば、第2のタイプの発光ダイオードと変換素子との双方が同じ色の光を放出する。変換素子の光および第2のタイプの発光ダイオードの光は、観察者にとっての色印象が等しい場合、同色の光と称される。
【0007】
本発明の発光デバイスは、さらに、第1の色の光を出射する放射出射面を有する。ここでは、変換素子から放出された第1の色の光も、第2のタイプの発光ダイオードから放出された第1の色の光も、同じ放射出射面から放出される。
【0008】
本発明の発光デバイスは、さらに、第2のタイプの発光ダイオードを駆動する駆動回路を備えている。本発明において「駆動する」とは、駆動回路が例えば、第2のタイプの発光ダイオードに対する通電量、通電時間および/または電圧を制御ないし設定することを意味する。また、駆動回路は付加的に第1のタイプの発光ダイオードを駆動してもよい。
【0009】
本発明の発光デバイスの変換素子は、第1の色の光を放出するために設けられた、少なくとも1つのルミネセンス変換材料を含んでいる。また、変換素子が、別の色の光を放出する別のルミネセンス変換材料を含んでいてもよい。例えば、ルミネセンス変換材料は緑色光を放出するための蛍光物質である。
【0010】
第1のタイプの発光ダイオードの駆動時間が長くなるにつれて、変換素子から放出される第1の色の光の強度が低下する。これは、主として、変換素子に含まれるルミネセンス変換材料が、駆動時間および/または電磁放射の放射時間が短くても劣化しやすい傾向にあることに起因している。ルミネセンス変換材料の経時劣化安定性が小さいため、変換素子は駆動時間が長くなると第1の色の光を僅かしか放出しなくなり、このため変換素子から放出される第1の色の光の強度が低下するのである。言い換えれば、変換素子は、変換素子に含まれるルミネセンス変換材料の経時劣化現象のために、安定な色変換を行えないのである。
【0011】
ここで、本発明の発光デバイスの駆動回路は、種々の測定値、すなわち、変換素子から放出される第1の色の光の強度、変換素子の温度、第1のタイプの発光ダイオードの駆動時間、放射出射面から出射される光の色座標のうち、少なくとも1つの測定値に基づいて、第2のタイプの発光ダイオードを制御する。
【0012】
つまり、本発明の発光デバイスは、電磁放射を形成する半導体ボディを含む、少なくとも1つの第1のタイプの発光ダイオードと、第1のタイプの発光ダイオードに後置されて電磁放射の少なくとも一部を第1の色の光へ変換する変換素子と、第1の色の光を形成する半導体ボディを含む、少なくとも1つの第2のタイプの発光ダイオードと、第1の色の光を出射する放射出射面と、第2のタイプの発光ダイオードを駆動する駆動回路とを備え、変換素子は、第1の色の光を放出するために設けられた、少なくとも1つのルミネセンス変換材料を含んでおり、第1のタイプの発光ダイオードの駆動時間が長くなるにつれて、変換素子から放出される第1の色の光の強度が低下し、駆動回路は、各測定値、すなわち、変換素子から放出される第1の色の光の強度、変換素子の温度、第1のタイプの発光ダイオードの駆動時間、放射出射面から出射される光の色座標のうち少なくとも1つに基づいて、第2のタイプの発光ダイオードを制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の発光デバイスは、変換素子に含まれるルミネセンス変換材料が短時間しか駆動しなくても経時劣化を起こしやすいという認識を基にしている。経時劣化特性は、たいていの場合、高い駆動温度、湿分影響もしくは電磁放射の照射に起因する。第1のタイプの発光ダイオードで形成される電磁放射は、第1のタイプの発光ダイオードに後置される変換素子によって少なくとも部分的に第1の色の光へ変換される。この変換素子が第1のタイプの発光ダイオードの寿命に比べて短い駆動時間の後に(つまり電磁放射が短時間しか放射されていないのに)既に経時劣化現象を呈するため、変換素子からの変換光の放出は僅かとなる。すなわち、変換光の強度が低下するのである。例えば、変換素子から放出される光が第1の発光ダイオードの光と混合される場合、光を出射する放射出射面は、駆動時間に応じて種々の色調を有することになる。言い換えれば、駆動時間にしたがって、放射出射面での色座標がずれてしまうのである。
【0014】
こうした色座標のずれを抑え、しかも低コストの発光デバイスを調製するために、本発明の発光デバイスでは、特に、第1の色の光を形成する半導体ボディを含む少なくとも1つの第2のタイプの発光ダイオードを設け、駆動回路により、測定値にしたがって第2のタイプの発光ダイオードを制御するというアイデアを利用している。
【0015】
駆動回路により第2のタイプの発光ダイオードが追従制御され、これにより、ルミネセンス変換材料の経時劣化不安定性に起因する色損失が補償される。例えば、駆動時間が長くなるにつれて第2のタイプの発光ダイオードへの通電が増大され、これにより、第2のタイプの発光ダイオードが変換素子のルミネセンス変換材料の経時劣化によって引きおこされた強度成分および色成分の損失を置換する。つまり、第2のタイプの発光ダイオードの追従制御により、放射出射面での強度、色座標および/または輝度が可能なかぎり一定に保持されるのである。最も簡単な実施形態では、第2のタイプの発光ダイオードは発光デバイスで設定された全駆動時間が経過した後にオンにされる。設定される全駆動時間として、実験により、変換光の強度が低下した時点から第2のタイプの発光ダイオードによる増幅が必要であるかぎりの駆動時間が選定される。こうした発光デバイスは、例えば、TV用もしくはディスプレイ用のバックライトに特に適している。
【0016】
本発明の発光デバイスの或る有利な実施形態では、駆動回路は、第2のタイプの発光ダイオードから放出される光の強度を前述した測定値のうち少なくとも1つに基づいて増減する。また、駆動回路は前述した測定値のうち複数もしくはすべてに基づいて強度を増減することができる。有利には、駆動時間に基づいて、第2のタイプの発光ダイオードが駆動回路により特に正確に追従制御される。
【0017】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、放射出射面から出射される光の強度および/または色座標を求め、測定値に基づいて第2のタイプの発光ダイオードを制御する駆動回路へ当該測定値を伝送する検出器が設けられている。例えば、検出器は放射出射面から放出される光の第1の色の強度を検出する。検出後、検出器は、強度に相応する値を駆動回路へ伝達し、これに応じて、第2のタイプの発光ダイオードをオンにし、例えば強度低下を補償する。
【0018】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、変換素子の温度を測定し、測定値に基づいて第2のタイプの発光ダイオードを制御する駆動回路へ当該測定値を伝送する温度センサが設けられている。特に、変換素子に含まれるルミネセンス変換材料は、駆動温度が上昇するにつれて電磁放射の変換効率を低下させる傾向、および/または、駆動温度に差があれば種々異なる色座標の光を放出する傾向にあるので、有利には、温度センサは変換素子の駆動温度を求め、これにより、第2のタイプの発光ダイオードを"温度に依存して"オンにすることができる。つまり、駆動回路により、変換素子の温度が増大するにつれて、第2のタイプの発光ダイオードに強い通電が行われる一方、変換素子の加熱の増大を補償するために、第1のタイプの発光ダイオードが"調光"されるのである。
【0019】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、駆動中、変換素子から放出される光の最大強度の、最大10%の偏差から、第2のタイプの発光ダイオードがオンにされる。言い換えれば、外部の観察者にとっての輝度は、放射出射面に沿って、駆動中に最大輝度から最大で10%偏差する。
【0020】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、駆動中、検出器で測定される色座標の、当該発光デバイスの製造後に求められた基準色座標に対する最大10%の偏差、有利には最大5%の偏差から、第2のタイプの発光ダイオードがオンにされる。例えば、この偏差に依存して、第2のタイプの発光ダイオードに種々の強さの通電が行われる。「色座標」とはここではCIE標準表色系の色座標におけるX座標C
XとY座標C
Yとによって定められる。
【0021】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、第1のタイプの発光ダイオードから放出された放射と変換素子から放出された光とが第1の光導体へ入力され、第2のタイプの発光ダイオードの光が第2の光導体へ入力される。つまり、第1の光導体と第2の光導体とは相互に分離されている。例えば、第1の光導体と第2の光導体とは相互に直接に接触するように上下に積層され、これにより、第1の光導体と第2の光導体とのあいだには空隙も中断部も形成されない。第2のタイプの発光ダイオードの第1の色の光を第1の光導体から別個の第2の光導体へ入力することにより、第2の光導体内で光が混合され、均質化される。2つの光導体での光混合が行われた後ではじめて、光が2つの光導体から再び1つの光出射方向で出力される。第1の光導体から出力された光は第2の光導体から出力された光と少なくとも部分的に放射出射面で混合され、そこで発光デバイスから出力される。この実施形態では、放射出射面は第2の光導体のうち第1の光導体とは反対側の外面によって形成することができる。
【0022】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、第1の光導体の垂直方向の厚さは第2の光導体の垂直方向の厚さの少なくとも2倍である。「垂直」とは、ここでは、第1の光導体および第2の光導体の主延在方向に対する垂直方向である。有利には、第1の光導体は2mmから6mmまでの厚さを有し、第2の光導体は0.5mmから1mmまでの厚さを有する。有利には、特に第2の光導体のこうした小さな厚さにより、発光デバイスを外部の観察者に対して特に平坦にすることができる。さらに、2つの光導体の厚さが小さいことにより、光導体の材料コストを特に小さくできる。
【0023】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、第1の光導体および第2の光導体は相互に懸隔して配置されており、第1の光導体と第2の光導体とのあいだに透光層が配置されている。「透光」とは、少なくとも80%、有利には少なくとも90%の電磁放射を透過させることを意味する。例えば、透光層は、シリコーンによって形成された層である。有利には、透光層は、第1の光導体および第2の光導体の互いに向き合った外面に直接に接している。有利には、透光層は、第1の光導体の屈折率と第2の光導体の屈折率との中間の屈折率を有する。透光層の屈折率を適合化することにより、最大レベルの光成分が第1の光導体および第2の光導体から出力され、これにより、障害となる光導体への後方反射および/または全反射が低減される。
【0024】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、第1のタイプの発光ダイオードから放出された放射と、変換素子から放出された光と、第2のタイプの発光ダイオードの光とが、唯一の光導体へ入力される。すなわち、発光デバイスは、入力のための光導体を1つだけ有する。有利には、発光デバイス内部で形成された光の全体が唯一の光導体内で混合されるので、放射出射面で光導体から出力される光は外部の観察者に対して特に均一な色印象を形成する。
【0025】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、第2のタイプの発光ダイオードは光導体の所定の側面に配置されている。各側面によって光導体の側方が画定されている。例えば、複数の側面が光導体の主延在平面に対して横断方向または垂直方向に延在している。第2のタイプの発光ダイオードが側面に配置されていることにより、第2のタイプの発光ダイオードから放出された光を、側面を介して光導体へ入力させることができる。例えば、第1のタイプの発光ダイオードは光導体の側面に配置されている。こうした"側方配置"により、有利には、特に平坦で厚さの小さいデバイスを実現することができる。
【0026】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、第2のタイプの発光ダイオードが光導体の角の領域に配置されている。有利には、第2のタイプの発光ダイオードが光導体の角から入力される光を特に均質に例えば平面状に伝搬させ、第1のタイプの発光ダイオードから光導体へ入力される光と混合させる。発光デバイスが複数の第2のタイプの発光ダイオードを含む場合、有利には、光導体のすべての角が第2のタイプの発光ダイオードによって覆われる。光導体が例えば4つの角を有するのであれば、4つの角にすべて対応する少なくとも1つの第2のタイプの発光ダイオードによって覆われる。この場合、発光デバイスは、少なくとも4つの第2のタイプの発光ダイオードを有する。
【0027】
また、本発明において、第2のタイプの発光ダイオードと光導体とのあいだに、光学素子、例えばレンズを配置することもできる。例えば、この場合、光学素子は第2のタイプの発光ダイオード上に被着される。有利には、光学素子が第2のタイプの発光ダイオードのコーン状放射を増大させるので、これにより、光導体への大面積での入力が行われる。
【0028】
本発明の発光デバイスの別の有利な実施形態では、変換素子に、少なくとも一部の放射を第2の色の光へ変換する少なくとも1つの第2のルミネセンス変換材料が含まれている。例えば、第2の色の光とは赤色光である。言い換えれば、第1のタイプの発光ダイオードから放出される青色光が変換素子において部分的に赤色光および緑色光へ変換され、第1のタイプの発光ダイオードから放出された青色光と混合されて白色光が形成される。また、変換素子は、第1のタイプの発光ダイオードから放出された電磁放射を部分的にさらに別の色の光へ変換する第3のルミネセンス変換材料を含んでいてもよい。
【0029】
さらに、発光デバイスは、第2の色の光を形成する半導体ボディを含む少なくとも1つの第3のタイプの発光ダイオードをさらに備える。当該第2の色が赤色光である場合、有利には、第3のタイプの発光ダイオードは赤色光を放出する。同様に、発光デバイスが、種々異なる色を形成するさらに別のタイプの発光ダイオードを備えていてもよい。
【0030】
第1のタイプの発光ダイオードの駆動時間が長くなるにつれて、変換素子によって第2の色の光へ変換される放射の強度も低下する。
【0031】
駆動回路は、さらに、少なくとも1つの第3のタイプの発光ダイオードを駆動し、これを、前述した測定値に基づいて制御する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の発光デバイスの第1の実施例の概略図である。
【
図2】本発明の発光デバイスの第2の実施例の概略図である。
【
図3】本発明の発光デバイスの第3の実施例の概略図である。
【0033】
以下に本発明の発光デバイスを図示の実施例に則して詳細に説明する。
【0034】
図では、同じ素子ないし同様の機能を有する素子には同じ参照番号を付してある。ただし、図は縮尺通りには描かれておらず、むしろ理解しやすくするために意図的に拡大して描かれていることもある点に注意されたい。
【0035】
図1には、第1の光導体400および第2の光導体500を含む本発明の発光デバイス100が示されている。例えば、2つの光導体400,500はポリメチルメタクリレートPMMAもしくはガラスによって形成されている。また、第2の光導体500を第1の色33Aの光、例えば緑色光を特に良好に伝導する材料によって形成することもできる。側方で、つまり、第1の光導体400の側面610および第2の光導体500の側面618の近傍に、第1のタイプの発光ダイオード1および第2のタイプの発光ダイオード2が配置されている。第1のタイプの発光ダイオード1上には、この第1のタイプの発光ダイオード1から放出された電磁放射を変換する変換素子3が被着されている。変換素子3は、第1のタイプの発光ダイオード1から放出された電磁放射の一部を別の波長の光へ変換する。ここでの第1のタイプの発光ダイオード1は、青色光を形成する半導体ボディ11を含む発光ダイオードである。変換素子3内に含まれるルミネセンス変換材料300により、第1のタイプの発光ダイオード1から変換素子3へ入力される青色光の一部が緑色光へ変換される。緑色光と青色光とが混合されて白色光のための混合光Mが形成される。続いて、第1の光導体400の側面610を介して混合光Mが第1の光導体400へ入力され、有利には均等に分散される。
【0036】
第2のタイプの発光ダイオード2は、第1の色33Aの光を形成する半導体ボディ22を含む発光ダイオードである。ここでも第1の色33Aの光は緑色光である。第2のタイプの発光ダイオード2から放出された第1の色33Aの光は、第2の光導体500の側面618を介して第2の光導体500へ入力される。第1の光導体400の外面450と第2の光導体500の外面550とのあいだに、例えばシリコーンによって形成された透光層320が配置されている。第1の光導体400および第2の光導体500は透光層320を介して相互に接続されている。2つの光導体400,500へ光が入力された後、2つの光導体400,500からの光が光出射方向2000へ出力される。放射出射面4では、第1の光導体400から出力された混合光Mと第2の光導体500から出力された第1の色33Aの光とが重畳され、例えば白色光が形成されている。
【0037】
また、発光デバイス100は、第1のタイプの発光ダイオード1および第2のタイプの発光ダイオード2を駆動する駆動回路5を含む。さらに、発光デバイス100は、温度センサ1000と検出器200とを備える。温度センサ1000は変換素子3の温度を測定し、測定値に相応する値701を駆動回路5へ伝送する。検出器200は、放射出射面4において、この放射出射面4から出射される光の強度および色座標の双方を測定する。この場合、検出器200は測定値に相応する値700を駆動回路5へ伝送する。駆動回路5は、第1のタイプの発光ダイオード1および第2のタイプの発光ダイオード2を、変換素子3から放出された第1の色33Aの光の強度、変換素子3の温度、第1のタイプの発光ダイオード1の駆動時間、および、放射出射面4から出射される光の色座標に基づいて、制御する。同様に、駆動回路5が、第1のタイプの発光ダイオード1および/または第2のタイプの発光ダイオード2を、唯一の測定値のみに基づいて、つまり、例えば第2のタイプの発光ダイオード2の駆動時間のみに基づいて制御することも考えられる。この場合、検出器200および温度センサ1000は必要なく、例えば、発光デバイス100は相応の時間値を駆動回路5へ伝送する駆動時間カウンタのみを備えていればよい。
【0038】
図2には、唯一の光導体600を有する発光デバイス100の平面図が示されている。例えば、光導体600はポリメチルメタクリレートもしくはガラスによって形成されている。同様に、光導体600は向かい合わせになった2つのシートと、そのあいだに存在する光伝搬媒体としての空気(エアガイドとも称する)とによって形成されている。シートの一方は反射性シートとして構成されており、他方は部分反射性および/または部分吸収性シートとして発光デバイス100の放射出射面4を形成しており、後者のシートを介して、光導体600から光が出力される。言い換えれば、反射性シートと放射出射面4とが向き合っている。
【0039】
第1のタイプの発光ダイオード1と第2のタイプの発光ダイオード2との双方が、側面610に沿って、配置されている。また、第2の色33Bの光を形成する半導体ボディ12を含む第3のタイプの発光ダイオード10も側面610に沿って配置されている。なお、発光ダイオード1,2,10が、側面610に沿って、設定されたパターンで相互に別個にもしくはグループごとに、例えば周期的に配置されていてもよい。また、変換素子3は前述したルミネセンス変換材料300のほか、付加的なルミネセンス変換材料310を含んでもよい。ルミネセンス変換材料310は第1のタイプの発光ダイオード1から放出された電磁放射(この実施例では青色光)の一部を第2の色33Bの光(例えば赤色光)へ変換する。光の3原色、すなわち青・赤・緑のすべての色を混合した混合光Mが白色光となる。放出された混合光Mと第1の色33Aの光と第2の色33Bの光とが、唯一の光導体600へ入力され、光導体600内で再びできるかぎり均等に混合される。
【0040】
さらに、光導体そのものが光入力構造体619を備えていてもよい。例えば、側面610がこうした光入力構造体619を有する形態で構成される。光入力構造体619は、この場合、粗面部を含むかまたはレンズ状に構成されている。さらに、こうした光入力構造体619を、例えば、側面610上に被着することができる。入力構造体619は発光ダイオードおよび変換素子3から放出された光の入力効率を大幅に増大させる。本発明における「入力効率」とは、光導体600内へ入力される実際の放射と光導体600へ当たる放射との比を意味する。入力構造体619が第2のタイプの発光ダイオード2および/または第3のタイプの発光ダイオード10のみを上昇させるように構成してもよい。入力構造体619は、この場合、波長選択性を有するように、および/または、発光ダイオード2,10の放出波長領域に合うように調整される。
【0041】
これに代えてまたはこれに加えて、1つまたは複数の第2のタイプの発光ダイオード2および/または第3のタイプの発光ダイオード10と光導体600とのあいだに光学素子620を配置することもできる。光学素子620により、有利には、第2のタイプの発光ダイオード2および/または第3のタイプの発光ダイオード10のコーン状放射が増大される。例えば、光学素子620は、第2のタイプの発光ダイオード2および/または第3のタイプの発光ダイオード10上に被着された光拡散レンズである。光拡散レンズ620により、各発光ダイオードから放出された光は、大面積で、例えば側面600上に位置する入力構造体619を介して光導体600へ入力される。
【0042】
有利には、入力効率が向上するため、第2のタイプの発光ダイオード2の個数および/または第3のタイプの発光ダイオード10の個数を可能なかぎり小さく維持することができる。これにより、発光デバイス100を製造するための費用が大幅に節約される。
【0043】
図3には、
図2の実施例と異なり、第2のタイプの発光ダイオード2が角611のみに配置され、第1のタイプの発光ダイオード1が側面610に配置される実施例が示されている。有利には、第2のタイプの発光ダイオード2によって形成された光の大部分が光導体600へ入力され、例えば角611から平面状に光導体600内で拡大される。
図3の平面図では光導体600は長方形である。よって、発光デバイス100は、それぞれの角611に配置された、少なくとも4つの第2のタイプの発光ダイオード2を含む。第2のタイプの発光ダイオード2の光を"角で入力する"ことによって、第2のタイプの発光ダイオード2の個数が僅かしか必要でなくなり、コストの点で特に有利であると判明している。
【0044】
これに関連して、選択的に、第2のタイプの発光ダイオード2を角611に配置するほか、付加的に、光導体600の側面610に沿って配置してもよいことに注意されたい。
【0045】
本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の新規な特徴は、発明の詳細な説明ないし特許請求の範囲ないし図面に明示的にことわりがなくとも、それぞれ単独でまたは任意に組み合わせて本発明に含まれうる。特に、特許請求の範囲に挙げられている各特徴の組み合わせは本発明の対象となる。