特許第5705282号(P5705282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705282
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】動力外科用ステープリング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20150402BHJP
【FI】
   A61B17/10 310
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-185969(P2013-185969)
(22)【出願日】2013年9月9日
(62)【分割の表示】特願2008-60311(P2008-60311)の分割
【原出願日】2008年3月10日
(65)【公開番号】特開2014-57855(P2014-57855A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2013年9月9日
(31)【優先権主張番号】11/724,744
(32)【優先日】2007年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラフ マークジク
【審査官】 堀川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−203055(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/032760(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用器具であって、以下:
発射シャフトを有する少なくとも締め具発射アセンブリを含む細長い部材であって、遠位端および近位端を有する細長い部材;
少なくともモータおよび該細長い部材の位端に作動可能に連結された結合部材を含む駆動アセンブリであって、該駆動アセンブリが可動ハンドルおよび固定ハンドルと係合するように構成され、該モータがコントローラによって該発射シャフトを長手方向に動かすように作動るよう構成され、該モータが作動される速度が、ユーザによって該可動ハンドルに対して発揮される力に応答して結合部材に付与される長手方向の動きに応答して可変的に制御される駆動アンブリ;および
該細長い部材の位端に作動可能に連結されたエンドエェクタ、を備える、医療用器具。
【請求項2】
前記駆動アセンブリがさらに、前記モータに作動可能に連結された電源を含む、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項3】
記可動ハンドルが、該固定ハンドルに対して、該固定ハンドルに対して間隔を置かれた関係にある第1の位置から、該固定ハンドルにより近く前記エンドエフェクタによって組織を締め付けることを容易にする第2の位置まで選択的に可動である、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項4】
前記駆動アセンブリがさらに、前記モータに作動可能に付随するスイッチを含み、該スイッチが、前記可動ハンドルが前記第2の位置にあるとき閉じた状態である、請求項3に記載の医療用器具。
【請求項5】
前記モータが、前記締め具発射アセンブリの発射シャフトを進行するために適合された結合部材を作動し、前記エンドエフェクタ内に配置された複数の締め具を配備および変形する、請求項3に記載の医療用器具。
【請求項6】
前記駆動アセンブリがさらに、前記結合部材と係合するように構成され、前記可動ハンドルを前記第1の位置に維持するばねを含む、請求項5に記載の医療用器具。
【請求項7】
前記コントローラが、前記モータに供給される電圧を調節する可変抵抗器を含む、請求項3に記載の医療用器具。
【請求項8】
前記可変抵抗器が、ポテンシオメータおよびレオスタットから成る群から選択される、請求項7に記載の医療用器具。
【請求項9】
前記可変抵抗器が、ポテンシオメータおよび接触を含み、そして該接触が、前記締め具発射アセンブリの発射シャフトに連結され、該発射シャフトが前記結合部材に作動可能に連結され、結合部材の長手方向の動きが該接触に伝達され、該接触を該ポテンシオメータに沿って動かし、そして前記モータに供給された電圧が、該ポテンシオメータに対する該接触の位置に依存して変わる、請求項7に記載の医療用器具。
【請求項10】
前記接触が、前記可動ハンドルが前記第1の位置にあるとき前記ポテンシオメータとの連結がはずれ、そして該可動ハンドルの前記第2の位置に向かう動きが、該接触を該ポテンシオメータと接触するように動かし、前記モータを作動する、請求項9に記載の医療用器具。
【請求項11】
前記エンドエフェクタが、一対の対向する顎部材を含み、第1の顎部材がアンビルアセンブリを含み、そして第2の顎部材が複数の締め具を有するカートリッジアセンブリを含み、該一の対向する顎部材が前記モータによって作動される、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項12】
前記コントローラに信号を伝達するように構成されているセンサをさらに含み、該信号が前記駆動アセンブリに取り付けられた可動ハンドルに付与される力を示し、前記モータが前記エンドエフェクタを作動する速度が、該可動ハンドルに付与される力に応答して制御される、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項13】
医療用器具であって、以下:
発射シャフトを有する締め具発射アセンブリを含む細長い部材であって、該細長い部材はさらにメスアセンブリを含み、遠位端および近位端を有する細長い部材;
電源、モータ、および該細長い部材の位端に作動可能に連結された結合部材を含む駆動アセンブリであって、該駆動アセンブリが可動ハンドルおよび固定ハンドルと係合するように構成され、該モータがコントローラによって該発射シャフトを長手方向に動かすように作動るよう構成され、該モータが作動される速度が、ユーザによって該可動ハンドルに対して発揮される力に応答して結合部材に付与された長手方向の動きに応答して可変的に制御され、該モータが該発射シャフトを進行し、そして複数の締め具を配備かつ変形するように適合されている駆動アセンブリ;および
該細長い部材の位端に作動可能に連結されたエンドエフェクタであって、1対の対向
する顎部材を含み、第1の顎部材がアンビルアセンブリを含み、そして第2の顎部材が該複数の締め具を有するカートリッジアセンブリを含み、該1対の対向する顎部材が該モータによって作動される、エンドエフェクタ、を備える、医療用器具。
【請求項14】
記可動ハンドルが、前記固定ハンドルに対して、該固定ハンドルに対して間隔を置かれた関係にある第1の位置から、該固定ハンドルにより近く前記エンドエフェクタによって組織を締め付けることを容易にする第2の位置まで選択的に可動である、請求項13に記載の医療用器具。
【請求項15】
前記駆動アセンブリがさらに、前記モータに作動可能に付随するスイッチを含み、該スイッチが、前記可動ハンドルが前記第2の位置にあるとき閉じた状態にある、請求項14に記載の医療用器具。
【請求項16】
前記駆動アセンブリがさらに、結合部材と係合し前記可動ハンドルを前記第1の位置に維持するように構成されたばねを含む、請求項14に記載の医療用器具。
【請求項17】
前記コントローラが、前記モータに供給される電圧を調節する可変抵抗器を含む、請求項13に記載の医療用器具。
【請求項18】
前記可変抵抗器が、ポテンシオメータおよびレオスタットから成る群から選択される、請求項17に記載の医療用器具。
【請求項19】
前記可変抵抗器が、ポテンシオメータおよび接触を含み、そして該接触が、前記発射シャフトに連結され、該発射シャフトが前記結合部材に作動可能に連結され、結合部材の長手方向の動きが該接触に伝達され、該接触を該ポテンシオメータに沿って動かし、そして前記モータに供給された電圧が、該ポテンシオメータに対する該接触の位置に依存して変わる、請求項17に記載の医療用器具。
【請求項20】
前記コントローラに信号を伝達するように構成されているセンサをさらに含み、該信号が前記駆動アセンブリに取り付けられた可動ハンドルに付与される力を示し、前記モータが前記エンドエフェクタを作動する速度が、前記可動ハンドルに付与される力に応答して制御される、請求項13に記載の医療用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、患者の組織の中に機械的な外科用締め具を移植するための外科用ステープラに関し、特に、外科用締め具を組織の中に発射するためにモータによって動力が供給される外科用ステープラに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
現在公知の装置は通常、組織を締め付け、組織の中に外科用締め具を配備しかつ形成するには10〜60ポンドの手の力を必要とし、反復される使用により、外科医の手を疲労させる。
【0003】
組織の中に外科用締め具を移植する気体で動くニューマチックステープラは当該分野で公知である。これらの加圧気体を使用する器具のうちの特定のものは、複雑につながるホースおよびアクチュエータを介してトリガメカニズムに接続する。トリガメカニズムは、押し下げられると、加圧された気体を単に放出し組織の中に締め具を移植する。
【0004】
モータで動く外科用ステープラも公知であり、Hoovenへの特許文献1およびWhitmanへの特許文献2に開示されている。特許文献1および特許文献2は、ステープル発射メカニズムを作動させるモータを含む動力外科用ステープラを開示する。特に、特許文献1は、様々なタイプのセンサデータ(例えば組織の厚さ)に基づき、モータの動力が自動的に制御される動力ステープラを開示する。特許文献2は、センサデータの関数として自動的に制御される動力ステープラを教示する。しかし、これらの参考の双方とも、ステープリングプロセスの限定されたユーザ制御を提供するのみである。特許文献1および特許文献2は、動力ステープラを作動させるために単一のスイッチおよび/またはボタンをトグルする選択をユーザに提供し、動力ステープラは、モータを自動的に制御し、ステープラの発射メカニズムに対応するトルクを与える。従って、これらの参考においては、ユーザは単に、装置の作動と、作動の停止を制御するだけであり、装置は、触知可能ないかなるフィードバックも提供しない。
【0005】
器具を発射して、一連の外科用締め具を組織の中にかつ組織を貫いて形成するために必要なエネルギーを提供する低コストのモータ動力ステープラを提供することが望ましい。さらに、反復される使用中、疲労を減らし、かつステープラの作動中、より多くの触知可能なフィードバックを外科医に提供する人間工学的に進歩した外科用ステープラを提供することが望ましい。ステープリングおよび締め付けメカニズムに対してモータによって与えられる力をユーザが変化させることを可能にする触知可能なフィードバックをユーザに提供する動力ステープラを提供することがさらに好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,383,880号明細書
【特許文献2】米国特許第6,716,233号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本開示の一局面に従って、その遠位端にツールアセンブリを有する外科用ステープラが開示される。ツールアセンブリは、組織を貫く複数の外科用締め具を変形し、組織を締め付けるための、一対の相対する組織係合表面を含む。ステープラは、固定ハンドル、および該筐体に取り付けられ、組織の締め付けを作動させるために、該固定ハンドルに対して間隔を設けた関係にある第1の位置から、該固定ハンドルにより近い第2の位置へ該固定ハンドルに対して選択的に移動可能である可動ハンドルを有する筐体も含む。ステープラは、電源および結合部材と係合するモータを有する駆動アセンブリをさらに含み、結合部材は、可動ハンドルに動作可能に結合され、可動ハンドルの第2の位置への運動は、モータを作動させ、それによって結合部材が前進し、それによって今度は発射シャフトが前進して発射ピストンを該ツールアセンブリの中に押し込み、組織を貫く外科用締め具を変形させ、組織を締め付け、その場合、モータが結合部材を前進させる速度は、第2の位置へのその動きの間に可動ハンドルに及ぼされる力に応答して可変的に制御される。
【0008】
本開示の別の局面に従って、外科用ステープラが提供される。外科用ステープラは、筐体、筐体に取り付けられた細長い部材、ならびに細長い部材の遠位端に取り付け可能なツールアセンブリであって、該ツールアセンブリは、相対する組織係合表面をそれぞれが有するアンビルアセンブリおよびカートリッジアセンブリを含み、該カートリッジアセンブリは、複数の外科用締め具を含む、ツールアセンブリを含む。ステープラは、電源および結合部材と係合するモータを含む選択的に作動可能な駆動アセンブリも含み、結合部材は、可動ハンドルに動作可能に結合され、作動すると、モータは、結合部材を前進させ、結合部材は発射シャフトを前進させて発射ピストンを該ツールアセンブリの中に押し込み、組織を貫く外科用締め具を変形させ、組織を締め付け、その場合、モータが結合部材を前進させる速度は、可動ハンドルに及ぼされる力に応答して可変的に制御される。
【0009】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0010】
(項目1)
組織を貫く複数の外科用締め具を変形し、組織を締め付ける一対の相対する組織係合表面を有するツールアセンブリであって、該ツールアセンブリは、外科用ステープラの遠位端に取り付けられた、ツールアセンブリを含む該外科用ステープラであって、該外科用ステープラは、
固定ハンドルを有する筐体と、
該筐体に取り付けられ、組織の該締め付けを作動させるために、該固定ハンドルに対して間隔を設けた関係にある第1の位置から、該固定ハンドルにより近い第2の位置へ該固定ハンドルに対して選択的に移動可能である可動ハンドルと、
電源および結合部材と係合するモータを含む駆動アセンブリであって、該結合部材は、該可動ハンドルに動作可能に結合され、該可動ハンドルの第3の位置への運動は、該モータを作動させ、該モータは、該モータの作動が該結合部材を前進させ、それによって今度は発射シャフトが前進して外科用締め具を配備して変形させるように、該結合部材と共に配列され、該駆動アセンブリは、コントローラを含み、それによって該モータが、該結合部材を前進させる速度は、該第3の位置への該可動ハンドルの運動中に、該可動ハンドルに及ぼされる力に応答して可変的に制御される、駆動アセンブリと
を備えている、外科用ステープラ。
【0011】
(項目2)
上記結合部材は、上記発射シャフトを前進させて上記ツールアセンブリを作動させ、該ツールアセンブリの相対する組織係合表面の間で組織を最初に締め付ける、項目1に記載の外科用ステープラ。
【0012】
(項目3)
上記駆動アセンブリは、上記モータおよび上記電源と直列に結合された可変抵抗器を含む、項目1に記載の外科用ステープラ。
【0013】
(項目4)
上記可変抵抗器は、上記第2の位置への上記可動ハンドルの運動中に、該可動ハンドルに及ぼされる力の関数として、上記モータに供給される電圧の量を調節する、項目3に記載の外科用ステープラ。
【0014】
(項目5)
上記駆動アセンブリは、上記可動ハンドルを上記第1の位置に維持するように上記結合部材を押しつけるばねをさらに含む、項目4に記載の外科用ステープラ。
【0015】
(項目6)
上記可変抵抗器は、ポテンシオメータおよびレオスタットから成る群から選択される、項目3に記載の外科用ステープラ。
【0016】
(項目7)
上記駆動アセンブリは、上記モータおよび上記電源と直列に結合されたスイッチを含み、該スイッチは、該可動ハンドルを該第2の位置に動かすことによって閉じられる、項目1に記載の外科用ステープラ。
【0017】
(項目8)
外科用ステープラであって、該外科用ステープラは、
筐体と、
該筐体に取り付けられた細長い部材と、
該細長い部材の遠位端に取り付け可能なツールアセンブリであって、該ツールアセンブリは、相対する組織係合表面をそれぞれが有するアンビルアセンブリおよびカートリッジアセンブリを含み、該カートリッジアセンブリは、複数の外科用締め具を含む、ツールアセンブリと、
電源および結合部材と係合するモータを含む選択的に作動可能な駆動アセンブリであって、該結合部材は、可動ハンドルに動作可能に結合され、作動すると、該モータは、該結合部材を前進させ、該結合部材は、該外科用締め具を配備しかつ変形させるために発射シャフトを前進させ、該選択的に作動可能な駆動アセンブリは、該モータが、該可動ハンドルに及ぼされた力に応じて該結合部材を前進させる速度を可変的に制御するように構成されたコントローラも含む、選択的に作動可能な駆動アセンブリと
を備えている、外科用ステープラ。
【0018】
(項目9)
上記結合部材は、上記発射シャフトを前進させて上記ツールアセンブリを作動させ、該ツールアセンブリの相対する組織係合表面の間で組織を最初に締め付ける、項目8に記載の外科用ステープラ。
【0019】
(項目10)
上記駆動アセンブリは、上記モータおよび上記電源と直列に結合された可変抵抗器を含む、項目8に記載の外科用ステープラ。
【0020】
(項目11)
上記可変抵抗器は、上記第2の位置への上記可動ハンドルの運動中に、該可動ハンドルに及ぼされる力の関数として、上記モータに供給される電圧の量を調節する、項目10に記載の外科用ステープラ。
【0021】
(項目12)
上記駆動アセンブリは、上記結合部材を押しつけ、十分な力を与えると、該駆動アセンブリの選択的な作動を可能にするばねをさらに含む、項目11に記載の外科用ステープラ。
【0022】
(項目13)
上記可変抵抗器は、ポテンシオメータおよびレオスタットから成る群から選択される、項目11に記載の外科用ステープラ。
【0023】
(項目14)
上記駆動アセンブリは、上記モータおよび上記電源と直列に結合されたスイッチを含み、該スイッチは、該可動ハンドルを該第2の位置に動かすことによって閉じられる、項目8に記載の外科用ステープラ。
【0024】
(摘要)
組織を貫く複数の外科用締め具を変形し、組織を締め付けるための、一対の相対する組織係合表面を有するツールアセンブリを含む外科用ステープラが開示される。外科用ステープラは、固定ハンドル、および筐体に取り付けられ、組織の締め付けを作動させるために第1の位置からの第2の位置へ、該固定ハンドルに対して選択的に可動である可動ハンドルを有する該筐体を含む。ステープラは、モータ、電源、および結合部材を含む駆動アセンブリをさらに含む。モータは結合部材と係合し、可動ハンドルの第2の位置への運動は、モータを作動させ、それによって発射シャフトが前進して発射ピストンを該ツールアセンブリの中に押し込み、組織を貫く外科用締め具を変形させ、かつ組織を締め付ける。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、締め具を形成するためのモータ動力駆動アセンブリを有する、本開示による、外科用ステープラの部分的に切り取られた概略的な側面図である。
図2図2は、図1のステープラと共に使用するためのツールアセンブリの代替の実施形態の部分的に切り取られた概略的な側面図である。
図3図3は、本開示の実施形態による、外科用ステープラの部分的に切り取られた概略的な側面図である。
図4図4は、本開示の別の実施形態による、外科用ステープラの部分が切り取られた概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(詳細な記述)
対象器具の様々な実施形態が、図面を参照して本明細書中に記述されている。
【0027】
図1および図2に開示された実施形態を最初に参照して、駆動アセンブリ20を含むとしてここに示されるモータ動力駆動アセンブリを有する外科用ステープラ10が示されている。今開示される駆動アセンブリ20は、いかなるタイプの公知の外科用ステープラに対しても利用され得ることが想定されている。従って、一般的な外科用ステープラ10が概略図示され、本明細書に記述される。例えば、ステープラ10は、それに取り付けられた細長い部材またはシャフト30を有する筐体12を含む。シャフト30は、筐体12の遠位端21に取り付けられた近位端32、およびツールアセンブリ、例えばエンドエフェクタ100またはツールアセンブリ200に動作可能に結合された遠位端34を含む。図1に記述されたエンドエフェクタ100は、相対する組織接触面110および120を有する従来の長手方向ステープラである。接触面110は、アンビルアセンブリ113として作用し、接触面120は、複数の外科用締め具115を有するカートリッジアセンブリ111を含む。さらに詳細に以下に記述されるように、動作中、接触面110および120が組織の周りで閉じられるとき、外科用締め具115は、カートリッジアセンブリ111から組織を貫いて発射され、外科用締め具は、接触面110のアンビルアセンブリによって変形させられる。
【0028】
図2に示されたツールアセンブリ200は、相対する組織接触面210および220を有する従来の円形ステープラ(図示されず)のそれであり、接触面210は、アンビルアセンブリの上に形成され、接触面220は、カートリッジアセンブリの上に形成される。本明細書における目的のために、ステープラ10は、細長いシャフトの遠位端34に取り付けられたツールアセンブリ100を有するとして記述される。
【0029】
筐体12は、手術中に必要とされるようなステープラ10の操作を高めるために、概略ピストルグリップの形である。ステープラ10は、ツールアセンブリ100の相対する組織接触面110および120を作動させ、組織を操作し、掴んで固定し、かつ切除するために固定ハンドル65に対して(方向「A」に)可動である可動ハンドル60も含む。シャフト30の近位端は、筐体12と一体構造で関連し、取り付けられ、または選択的に取付け可能である。1つ以上の作動アセンブリは、筐体12内に組み込まれ、手動の、ロボットの、またはコンピュータ動作システムを含み得る。作動アセンブリは、公知の開放性の、または内視鏡の外科ステープラのそれを含み得る。ツールアセンブリ100の機能と連動し、かつこれを作動させるように構成可能な、多くのタイプの機械的なアクチュエータおよびハンドルメカニズムが公知である。機械的なアクチュエータおよびハンドルメカニズムが、米国特許第5,318,221号、米国特許第5,762,256号、および米国特許第5,865,361号に開示され、その開示は本明細書中に参考として援用されている。
【0030】
図1に最もよく見られるように、ステープル変形またはステープル発射メカニズム70(例えば発射ピストン)、およびメスアセンブリ75は、シャフト30の遠位端34にも含まれ得、かつ/またはツールアセンブリ100と共に含まれ得る。同じかまたは別個の作動メカニズムが、ステープル発射メカニズム70およびメスアセンブリ75を駆動するために使用され得ることは、考えられている。当該分野で公知のように、可動ハンドル60は、ツールアセンブリ100と協働して組織を掴む。可動ハンドル60は、駆動アセンブリ20も作動させ、駆動アセンブリ20は、組織を貫通してステープル発射メカニズム70、および/またはメスアセンブリ75を駆動する。当該分野で公知のように、ステープル発射メカニズム70は、カートリッジアセンブリ111の中を作動スレッドを押して、アンビルアセンブリ110に対してステープルを配備する長手方向の可動部材またはビームとして構成され得る。そのようなメカニズムが、米国特許出願公開第2004/0232201号に記述され、その開示はその全容が本明細書に参考として援用されている。
【0031】
図1は、ステープラ10の一実施形態を示し、ステープラ10は、発射シャフト55を作動させるために、外科用ステープラ10内に収納された駆動アセンブリ20を含み、発射シャフト55は、ツールアセンブリ100と協働し、組織係合表面110と120との間で組織を締め、かつ複数の外科用締め具115を駆動する。例えば、米国特許出願公開第2004/0232201号に開示されているように、駆動ビームは、部材、例えば、アンビルアセンブリのカム表面と係合し、カートリッジアセンブリとアンビルアセンブリとを近づけ、その間に組織を締めるカムローラを含む。同じ駆動ビームが、カートリッジアセンブリからステープルを配備するためにも使用され得る。米国特許出願公開第2004/0232201号の開示が、本明細書中に参考として援用されている。外科用ステープラ10は好ましくは、示されるように、ユーザによる片手の動作のために設計され、組織を貫通して外科用締め具115を変形させるために、可動ハンドル60を引く最小の力を必要とする。換言すれば、ステープラ10は、駆動アセンブリ20が作動シーケンスの大きな力部分(すなわち、いわゆる「発射ストローク」)を作動させ、かつ制御し、従って、ユーザの疲労を軽減し、かつ手術の間、ステープラの単純で一貫した反復使用を可能にするように、設計されている。
【0032】
駆動アセンブリ20は、シャフトコネクタ92に動作可能に結合された結合部材90を含み、シャフトコネクタ92は、発射シャフト55に結合され、それによって結合部材90の方向「D」における長手方向の動きは、発射シャフト55に伝えられる。結合部材90は、つめ96と噛み合い一方向の動きを可能にする1つ以上の歯を有するラチェットトラック94を含む。つめ96は、ピン98を介して可動ハンドル60に回転可能に結合され、それによって可動ハンドル60がハンドル65の方に引かれるとき、つめ98は、ラチェットトラック94の歯のうちの1つと係合し、遠位方向「D」に結合部材90を押す。ステープル発射メカニズム70は、結合部材90および発射シャフト55の遠位への運動によって進められる。ステープル発射メカニズム70は、その間に組織を締め付けるためのアンビルアセンブリ113およびカートリッジアセンブリ111と係合する。ステープル発射メカニズムのさらなる作動は、ステープルカートリッジアセンブリ111からステープルを配備し、アンビルアセンブリ113に当たるステープルを変形させる。
【0033】
結合部材90は、該結合部材の中に画定され、支持壁130および131を有する管腔を含む。支持壁130は、シャフトコネクタ92と共に、ばねまたは別の圧縮メカニズムを取り囲む。ばね32は、支持壁130に圧力を及ぼし、支持壁130は、近位方向「C」に結合部材90を押す。結合部材90に対する圧力はまた、可動ハンドル60を、固定ハンドル65から離れるように動かし、可動ハンドル60を作動しない位置(例えば第1の位置)に保つ。
【0034】
駆動アセンブリ20は、電源142(例えばバッテリ)に接続された電気DCモータ144を含む。可変抵抗器140およびスイッチ80は、DCモータ144および電源142と直列に接続されている。スイッチ80は、可動ハンドル60が第1の位置にあるときは開いており、可変ハンドル60が、近位方向に第2の位置に引き込まれ、結合部材90を作動させるときは、閉じる。詳しくは、可動ハンドル60に配置された接触82は、固定ハンドル65に配置された接触81と接する。一旦接触81および82が接すると、スイッチ80は閉ざされ、DCモータ144は、作動させられる。スイッチ80は、当業者に公知の様々な実施形態、例えば、固定ハンドル65に配置され、可動ハンドル60が作動させられるとき可動ハンドル60の物理的な接触によって作動させられる押しボタンスイッチにより実装され得る。上に論じられたように、ばね132は固定ハンドル65から離れるように可動ハンドル60を付勢し、スイッチ80を開位置に維持し、それによってDCモータ144のうかつな作動を防ぐ。さらに詳細には、ばね132は、筐体部分12aおよび支持壁130に作用することによって、結合部材90を付勢する。
【0035】
DCモータ144は、一方向のクラッチ146に結合され、一方向のクラッチ146は、ピニオンギア148と噛み合う。DCモータ144が一旦、可動ハンドル60の引きによって作動させられるとき、クラッチ146は、時計周り方向に回転し、ギア148を同じく時計周り方向に回転させる。ギア148は、結合部材90のラック表面95と噛み合い、ギア148の回転の動きは、長手方向の動きで結合部材90に伝えられ、遠位方向「D」に、結合部材90および発射ロッド55を進める。
【0036】
DCモータ144が回転する速度、従って、発射シャフト55が遠位方向に動く速度は、可変抵抗器140を介して制御される。図1において、可変抵抗器140は、それと接触して配置された接触143(例えばワイパー端子)を有するポテンシオメータ141として示されている。接触143は、シャフト134を介して、シャフトコネクタ92に結合されている。結合部材90が、可動ハンドル60の引きによって遠位方向に動かされるとき、接触143は、ポテンシオメータ141の表面に沿ってスライドする。接触143が、ポテンシオメータ141を横切ってスライドするとき、DCモータ144に供給される電圧はそれに従って変化する。特に、接触143の位置をポテンシオメータ141に沿って変えると、DCモータ144の回転速度が調節される。接触143がポテンシオメータ141に沿って動く距離は、可動ハンドル60を引く際にユーザによって発揮される力に比例する。可動ハンドル60が動かされるとき、接触143はある距離を動き、可動ハンドル60に対する引く力は、可動ハンドル60に対するばね132の力によって釣り合わされる。可動ハンドル60に対する引きの作用の下で、接触142が遠くへ動けば動くほど、ばね132によって及ぼされる圧縮力はますます大きくなる。従って、DCモータ144の回転速度、および発射シャフト55が遠位方向に動かされる力は、引く力に比例する。すなわち、ポテンシオメータ141における抵抗が低いとき、DCモータ144からのトルクは高く、ポテンシオメータ141における抵抗が高いとき、DCモータ144からのトルクは低い。
【0037】
スイッチ80は、モータ144が作動させられる前に、組織の締め付けを可能にするように配置される。これは、エンドエフェクタ100で組織を最初に掴むユーザ制御、および次の、外科用締め具115の動力アシスト発射を提供する。当業者は、開示された可変抵抗器140は、レオスタットでもあり得ることを理解する。
【0038】
外科用ステープラ10の使用は、以下のようである。外科用ステープラは、エンドエフェクタ100が手術部位にある状態で配置され、組織係合表面110および120は組織の周囲に置かれる。その後、ユーザは、可動ハンドル60を引き、可動ハンドル60を固定ハンドル65の方に寄せ、組織を締め付けることによって、ステープリングプロセスを開始する。可動ハンドル60のさらなる運動で、スイッチ80は閉じられる。同時に、可動ハンドル60は、結合部材90を方向「C」に沿って遠位方向に動かし、それによって接触143をポテンシオメータ141に沿って動かす。可動ハンドル60を引くことによって発揮される締め付ける力は、掴まれる組織およびばね132によって釣り合わされる。可動ハンドル60が、結合部材90を動かすとき、接触143は、ポテンシオメータ141に沿って動き、DCモータ144に供給される電圧を調節する。DCモータ144は、可変抵抗器140によって変えられる供給電圧に対応した速度で回転する。それに応答して、DCモータ144は、一方向のクラッチ146を介して、ピニオンギア148を作動させる。ピニオンギア148の回転の動きは、ラック表面95と噛み合い、結合部材90および発射シャフト55の長手方向の動きに伝えられる。発射シャフト55は、ステープル発射メカニズム70およびメスアセンブリ75を組織を通して押入れ、組織を逐次締め付け、分離する。従って、相対する組織接触表面110および120が閉じられ、ステープルが発射される速度は、可動ハンドル60に対する引く力に直接比例する。これは、ステープリングプロセス中に、触知可能なフィードバックをユーザに提供する。当業者は、一連のギア、シャフト、ねじ、または他のメカニズムが、駆動アセンブリ20の回転エネルギーを発射シャフト55に変換し、ツールアセンブリ100を作動させるために使用され得ることを理解する。駆動アセンブリ20は望ましくは、ステープル発射メカニズム70を引込め、組織からエンドエフェクタ100を解放するためにモータ144を逆転させるスイッチを含む。ボタンが、筐体12に提供され、スイッチを作動させ得る。
【0039】
図3は、駆動アセンブリ20を作動させるためのスイッチとしてポテンシオメータ141を利用する外科用ステープラ10の別の実施形態を示す。この実施形態において、スイッチ80、従って接触81、82は使用されない。可動ハンドル60が、固定ハンドル65から離れて開いた位置にあるとき、ポテンシオメータ141は、接触143と電気的に接触しない。可動ハンドル60が、固定ハンドル65の方に寄せられて組織を締め付けるとき、ポテンシオメータ141は、接触143と接触させられ、かつ駆動アセンブリ20が作動させられる。ポテンシオメータ141が、接触143を横切ってスライドしているとき、駆動アセンブリ20は、電圧を変えることによって制御され、これは、可動ハンドル60に適用される締め付けの力に対応する。
【0040】
図4は、スイッチアセンブリ200を有する外科用ステープラ10のさらなる実施形態を示す。スイッチアセンブリ200は、ポテンシオメータ141、接触143、およびスイッチ80の代わりに使用される。スイッチアセンブリ200は、固定ハンドル65に旋回的に結合されたハンドル201を含む。ハンドル201は、ばね203によって、固定ハンドル65に対して付勢される。スイッチアセンブリ200は、固定ハンドル65とハンドル201との間に配置された圧力センサ202も含む。圧力センサ201は、ハンドル201によって与えられた圧力を検知するように構成された圧電センサであり得る。締め付けの間、可動ハンドル60が固定ハンドル65の方に引かれるとき、ハンドル201は、固定ハンドル65の方に押される。圧力センサ202は、ハンドル201に与えられた圧力を、締め付けの力を表すセンサ信号として記録し、モータコントローラ204に該信号を送信する。その後、モータコントローラ204は、センサ信号に基づいて駆動アセンブリ20を制御する。相対する組織接触表面110および120が閉じられ、ステープルが発射される速度は、ハンドル201に対する押す力に直接比例する。
【0041】
好ましくは、今開示されたステープラは、内視鏡用に設計され、様々な内視鏡的および腹腔鏡的処置のためのトロカールまたはカニューレを通るために適するような大きさとされる。理解され得るように、ツールアセンブリおよび細長いシャフトの全体的な大きさは当然に、トロカールまたはカニューレを通るために適するような大きさとされる。あるいは、今開示されたステープラは、開放性の外科的処置に対しても設計され、かつ/または使用され得る。開示された外科用ステープラは好ましくは、ユーザによる片手の動作に対して適切である。
【0042】
図1の外科用ステープラは、ステープルカートリッジアセンブリからステープルを配備するステープル発射メカニズム70を有し、カートリッジアセンブリとアンビルアセンブリとを係合させ、その間で組織を締め付けもする。分離した締め付けおよび発射メカニズムが使用され得ることが考えられている。米国特許第5,318,221号に開示され、その開示が参考として本明細書に援用されているように、例として、アンビルアセンブリおよびカートリッジアセンブリは、ステープル発射メカニズムから分離したチューブを使用して近づけられ得る。
【0043】
本明細書中に示された実施形態に、様々な修正がなされ得ることは理解される。従って、上記は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、ここに添付された請求項の範囲および精神内で他の修正を想定する。
【符号の説明】
【0044】
10 外科用ステープラ
12 筐体
20 駆動アセンブリ
55 発射シャフト
60 可動ハンドル
65 固定ハンドル
90 結合部材
100 エンドエフェクタ
115 外科用締め具
144 モータ
200 ツールアセンブリ
204 コントローラ
図2
図1
図3
図4