特許第5705285号(P5705285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705285
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】パラキシレンの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/86 20060101AFI20150402BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20150402BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150402BHJP
【FI】
   C07C2/86
   C07C15/08
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-189519(P2013-189519)
(22)【出願日】2013年9月12日
(62)【分割の表示】特願2012-503783(P2012-503783)の分割
【原出願日】2010年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-31376(P2014-31376A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2013年9月13日
(31)【優先権主張番号】61/169,070
(32)【優先日】2009年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599134676
【氏名又は名称】エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】ハゲメイスター マーク ポール
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン デヴィッド リー
(72)【発明者】
【氏名】モンソン ジョン ジョセフ
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−522810(JP,A)
【文献】 特表2002−544247(JP,A)
【文献】 特開昭47−007369(JP,A)
【文献】 特公昭59−020648(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 2/86
C07C 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) トルエンをパラ-キシレン及び酸素化物を含む生成物の製造に適した触媒の存在下でアルキル化条件下でメタノールと反応させ、
(ii) 工程(i)からのパラ-キシレン及び酸素化物を含む前記生成物を回収し、
(iii) 工程(ii)からの前記生成物から酸素化物を除去し、
(iv) 工程(iii)からパラキシレンフラクションを吸着により回収することを含むことを特徴とするパラ-キシレンの製造方法。
【請求項2】
前記触媒が120℃の温度及び60トル(8kPa)の2,2-ジメチルブタン圧力で測定された場合に0.1-15秒-1の2,2-ジメチルブタンについての拡散パラメーターを有する多孔性結晶性物質を含み、前記多孔性結晶性物質が少なくとも950℃の温度でスチームによる前処理を受けて前記物質の拡散パラメーターを0.1-15秒-1に調節する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記多孔性結晶性物質の前記拡散パラメーターが0.5-10秒-1である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記多孔性結晶性物質が10分〜100時間にわたって少なくとも1000℃の温度でスチームによる前処理を受けている、請求項1記載の方法。
【請求項5】
スチームによる前記処理が触媒の孔体積をスチームによる前記処理の前の触媒の孔体積の50%以上に減少する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
触媒が周期律表のIIA族、IIIA族、IIIB族、IVA族、IVB族、VA族及びVIA族の元素の酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物改質剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
触媒がホウ素、マグネシウム、カルシウム、ランタン及びリンの酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物改質剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
触媒が元素改質剤を基準として0.1質量%〜10質量%の酸化物改質剤を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
触媒が20ミクロン〜200ミクロンの平均粒子サイズを有する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
工程(i)と(iii)の間にクレー処理工程がない、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2009年4月14日に出願された米国仮特許出願第61/169,070号(その開示が参考として本明細書にそのまま含まれる)の利益を主張する。
本発明は結晶化によるパラキシレンの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キシレン異性体の、パラ-キシレン(しばしばPXと略記される)はそれが合成繊維の製造における中間体であるテレフタル酸の製造に有益であるので特に重要である。キシレン異性体単独又はエチルベンゼンと更に混合しての平衡混合物は一般にほんの約24質量%のパラ-キシレンを含み、このような混合物からのp-キシレンの分離は典型的には超分別工程及び多段階冷凍工程を必要としていた。このような方法は高い運転コストを伴ない、ほんの限られた収率をもたらしていた。
結晶化技術がパラキシレンを商業的に精製するのに使用されていた。結晶化を使用して現在精製されるパラキシレン流はメタノールによるトルエンのアルキル化によりつくられず、こうして有意な濃度の酸素化物を含まない。
過去十年以上の間に、トルエンアルキル化の改良された方法が、好ましくは特別かつ厳密に特定された拡散特性を有する、或る種の多孔性結晶性物質、例えば、酸化物改質剤を含むZSM-5 の格別に苛酷なスチーム処理により得られるような物質を触媒として開発されていた。適当な条件下で、これらの触媒はメタノールによるトルエンのアルキル化について改良された選択率を示し、その結果、キシレン生成物が少なくとも約15%の1回通過あたりのトルエン転化率で少なくとも約90%のパラ異性体を含む。この重要な開発が多くの特許及び刊行物、例えば、米国特許第4,002,698号、同第4,356,338号、同第4,423,266号、同第5,675,047号、同第5,804,690号、同第5,939,597号、同第6,028,238号、同第6,046,372号、同第6,048,816号、同第6,156,949号、同第6,423,879号、同第6,504,072号、同第6,506,954号、同第6,538,167号、及び同第6,642,426号に記載されていた。
【0003】
上記スチーム処理された多孔性結晶性物質を使用するメタノールによるトルエンのアルキル化により製造されたパラキシレンに富む流れは高濃度のC8芳香族化合物(o-キシレン、m-キシレン、スチレン、エチルベンゼン等)及び低いが、有意な濃度の酸素化された種(酢酸、フェノール、クレゾール等)の両方を有する。アルキル化による従来のパラキシレンの製造方法は有意な量の酸素化物を有しておらず、それ故、この問題及びその大きさが予期されていなかった。
不純物が一旦同定されると、これらの供給原料を精製することに留意するようになる幾つかの可能性がある。
例えば、最初に低濃度の酸素化物を除去する方法(例えば、抽出、吸着等)次いで高濃度のC8芳香族化合物を除去する第二の方法(例えば、模擬向流吸着)の組み合わせを使用することができた。しかしながら、これはエネルギー及び時間の点で非効率である。
一層有効な方法がパラキシレンを精製してその後の化学方法(例えば、テレフタル酸の製造)における使用のための要件を満足するのに必要とされる。
本発明者らは、驚くことに、結晶化技術を使用して、パラキシレンが或る濃度のその他のC8芳香族化合物そしてまた小濃度の酸素化された種の両方からパラキシレンを分離することにより精製し得る方法を発見した。
結晶化技術それ自体は公知であり、この技術の多くの変更がある。例えば、米国特許第7,439,412号を参照のこと。また、多くのライセンスされた商用の結晶化装置技術、例えば、アモコ方法、丸善方法、エッソ方法、サルザー・ケムテク方法等がある。
結晶化装置中の分別結晶化は異なる温度におけるC8芳香族成分の凍結点及び溶解性の相違を利用する。一層高い凍結点のために、PXはこのような方法で通常固体として分離され、一方、その他の成分はPX減少濾液中に回収される。殆どのプラントで無水テレフタル酸(PTA)及び/又はジメチルテレフタレート(DMT)へのPXの満足な商用の転化に必要とされる主要な性質である、高PX純度が、このタイプの分別結晶化により得られる。米国特許第4,120,911号はこの方法の記載を提示している。この様式で運転し得る結晶化装置が米国特許第3,662,013号に記載されている。
本発明者らは驚くことに結晶化技術を使用して少ないが、有意な量の酸素化された種を有するパラキシレンを精製する方法を発見した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は結晶化技術を使用してパラキシレンを大濃度のC8芳香族化合物そしてまた小濃度の酸素化された種の混合物から精製する方法に関する。また、本発明は大濃度のC8芳香族化合物そしてまた小濃度の酸素化された種の前記混合物を製造し、次いで前記混合物を処理して精製されたパラキシレンを製造する方法に関する。
実施態様において、クレー処理が結晶化によるキシレン流の精製の前に必要とされず、また実施態様において、このような精製が30未満、好ましくは25未満、更に好ましくは21未満のBIを有するパラキシレンを提供し得る。
実施態様において、下記の工程の一つ以上がアルキル化工程と結晶化工程の間に存在し得る:(a) 脱水、(b) 固体除去、(c) キシレンスプリッター、及び(d) 苛性スクラバー。
これらの、そしてその他の目的、特徴、及び利点が以下の詳細な説明、好ましい実施態様、実施例及び特許請求の範囲を参照して明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0005】
メタノールによるトルエンのアルキル化により製造されたパラキシレンに富む流れは高濃度のその他のC8芳香族化合物(o-キシレン、m-キシレン、スチレン、エチルベンゼン等)及び低濃度の酸素化された種(酢酸、フェノール、クレゾール等)を生じる。本発明の方法は一層少ない量の非パラキシレンC8不純物及び一層少ない量の酸素化物を有する、一層高い純度のパラキシレン流を提供し、実施態様において、その後の化学方法、例えば、テレフタル酸(TPA)の製造への改良された供給原料を提供する。
本発明者らは酸素化物及びその他のC8芳香族化合物を同時に除去する方法として結晶化を同定していた。この単一工程方法は別々の2工程方法よりもコスト上有効である。
結晶化技術はパラキシレンを商業的に精製するのに使用されていた。結晶化を使用して現在精製されるパラキシレン流はメタノールによるトルエンのアルキル化によりつくられておらず、こうして有意な濃度の酸素化物を含まない。あらゆる既知の結晶化技術、特にあらゆる商業上利用できる技術は、メタノールによるアルキル化工程の下流で使用されるかもしれない。
本発明のアルキル化方法はまたそれ自体知られており、メタノールを含む供給原料を多孔性結晶性物質、特に特別かつ厳密に特定された拡散特性を有する或る種の多孔性結晶性物質、例えば、酸化物改質剤を含むZSM-5の格別苛酷なスチーム処理により得られるものと接触させることを含む方法であり、このような物質はメタノールによるトルエンのアルキル化につき改良された選択率を有し、特に好ましい実施態様において、キシレン生成物が少なくとも約15%の1回通過あたりのトルエン転化率で少なくとも約90%のパラ-異性体を含むような選択率を有する。
一局面において、本発明はトルエンを触媒(120℃の温度及び60トル(8kPa)の2,2-ジメチルブタン圧力で測定された場合に約0.1-15秒-1の2,2-ジメチルブタンについての拡散パラメーターを有する多孔性結晶性物質を含む)の存在下でアルキル化条件下でメタノールと反応させることを含むパラ-キシレンの選択的製造方法にある。その多孔性結晶性物質は約0.5-10秒-1の拡散パラメーターを有することが好ましい。
【0006】
触媒は好ましくは少なくとも一種の酸化物改質剤、更に好ましくは周期律表のIIA族、IIIA族、IIIB族、IVA族、VA族、VB族及びVIA族の元素の酸化物から選ばれた少なくとも一種の酸化物改質剤を含む。酸化物改質剤がホウ素、マグネシウム、カルシウム、ランタンそして最も好ましくはリンの酸化物から選ばれることが最も好ましい。
触媒が元素改質剤(例えば、酸化物改質剤がP2O5である場合のリン)を基準として好ましくは約0.05質量%〜約20質量%、更に好ましくは約0.1質量%〜約10質量%、最も好ましくは約0.1質量%〜約5.0質量%の酸化物改質剤を含む。
触媒が50未満、好ましくは10未満のアルファ値を有することが好ましい。アルファ値試験は触媒のクラッキング活性の目安であり、米国特許第3,354,078号及びJournal of Catalysis, 第4巻, 527頁(1965年)、第6巻, 278頁(1966年)、及び第61巻, 395頁(1980年)に記載されており、夫々がその記載についての参考として本明細書に含まれる。ここに使用された試験の実験条件は538℃の一定温度及びJournal of Catalysis, 第61巻, 395頁に詳しく記載された可変流量を含む。
更なる局面において、本発明はトルエンをメタノールと反応させることによるパラ-キシレンの選択的製造における使用のための触媒の製造方法にあり、前記方法は(a) 120℃の温度及び60トル(8kPa)の2,2-ジメチルブタン圧力で測定された場合に15秒-1を越える2,2-ジメチルブタンについての拡散パラメーターを有する多孔性結晶性物質で開始する工程、及び(b) 工程(a) の物質を少なくとも約950℃の温度でスチームと接触させて120℃の温度及び60トル(8kPa)の2,2-ジメチルブタン圧力で測定された場合に約0.1-15秒-1に2,2-ジメチルブタンについてのその拡散パラメーターを低下する工程を含み、そのスチーム処理された物質の微小孔体積がスチーム処理されない物質の少なくとも50%である。
【0007】
工程(a) で使用される前記多孔性結晶性物質は少なくとも250のシリカ対アルミナモル比を有するアルミノシリケートゼオライトを含むことが好ましい。本発明はトルエンをメタノールでアルキル化してp-キシレンを高収率かつトルエンの高い1回通過当りの転化率で選択的に製造する方法を提供する。その方法は120℃の温度及び60トル(8kPa)の2,2-ジメチルブタン圧力で測定された場合に約0.1-15秒-1、好ましくは0.5-10秒-1の2,2-ジメチルブタンについての拡散パラメーターを有する多孔性結晶性物質を含む触媒を使用する。
本明細書に使用される、特別な多孔性結晶性物質の拡散パラメーターはD/r2x106(式中、Dは拡散係数(cm2/秒)であり、かつrは結晶半径(cm)である)と定義される。必要とされる拡散パラメーターは平面シートモデルが拡散プロセスを記載するという仮定がなされることを条件として収着測定から誘導し得る。こうして所定の収着物ローディングQについて、値Q/Q∞(式中、Q∞は平衡収着物ローディングである)は、(Dt/r21/2(式中、tは収着物ローディングQに達するのに必要とされる時間(秒)である)に数学的に関係する。平面シートモデルについてのグラフ的解決策がJ.Crankにより“拡散の数学”, Oxford University Press, Ely House, London, 1967に示されている。
本発明の方法に使用される多孔性結晶性物質は中間孔サイズのアルミノシリケートゼオライトであることが好ましい。中間孔ゼオライトは一般に約5Å〜約7Åの孔サイズを有するものと定義され、その結果、そのゼオライトはn-ヘキサン、3-メチルペンタン、ベンゼン及びp-キシレンの如き分子を自由に収着する。中間孔ゼオライトについての別の普通の特定は米国特許第4,016,218号(これは参考として本明細書に含まれる)に記載されている拘束インデックス試験を伴なう。この場合、中間孔ゼオライトは酸化物改質剤を導入しないで、かつ触媒の拡散性を調節するためのスチーム処理の前にゼオライト単独について測定して、約1-12の拘束インデックスを有する。中間孔サイズのアルミノシリケートゼオライトに加えて、シリコアルミノホスフェート(SAPO)の如き、その他の中間孔酸性メタロシリケートが、本発明の方法に使用し得る。
好適な中間孔ゼオライトの特別な例として、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-48、及びMCM-22が挙げられ、ZSM-5及びZSM-11が特に好ましい。
【0008】
ゼオライトZSM-5及びその通常の調製が米国特許第3,702,886号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されている。ゼオライトZSM-11及びその通常の調製が米国特許第3,709,979号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されている。ゼオライトZSM-12及びその通常の調製が米国特許第3,832,449号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されている。ゼオライトZSM-23及びその通常の調製が米国特許第4,076,842号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されている。ゼオライトZSM-35及びその通常の調製が米国特許第4,016,245号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されている。ZSM-48及びその通常の調製が米国特許第4,375,573号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に教示されている。MCM-22がHusainの米国特許第5,304,698号、Kresgeらの米国特許第5,250,277号、Christensenの米国特許第5,095,167号、及びDel Rossiらの米国特許第5,043,503号に開示されており、これらの特許の開示が参考として本明細書に含まれる。
本発明の方法に使用されるゼオライトはその拡散性を調節するためのゼオライトの処理の前に測定して、少なくとも250のシリカ対アルミナモル比を有するZSM-5であることが好ましい。
上記中間孔ゼオライトが本発明の方法に好ましい。何とならば、それらの孔のサイズ及び形状がその他のキシレン異性体よりもp-キシレンの製造に有利であるからである。しかしながら、これらのゼオライトの通常の形態が本発明の方法に必要とされる0.1-15秒-1範囲を超える拡散パラメーター値を有する。本触媒に必要とされる拡散性は触媒の微小孔体積の制御された低下をスチーム処理されない触媒のそれの50%以上、好ましくは50-90%へと行なうように触媒を苛酷にスチーム処理することにより得られる。微小孔体積の低下はスチーム処理の前後に、触媒のn-ヘキサン吸着能を90℃及び75トルのn-ヘキサン圧力で測定することにより誘導される。
多孔性結晶性物質のスチーム処理は約10分〜約10時間、好ましくは30分から5時間までにわたって少なくとも約950℃、好ましくは約950℃〜約1075℃、最も好ましくは約1000℃〜約1050℃の温度で行なわれる。
【0009】
拡散性及び微小孔体積の所望の制御された低下を行なうために、多孔性結晶性物質を、スチーム処理の前に、好ましくは周期律表(IUPACバージョン)のIIA族、IIIA族、IIIB族、IVA族、VA族、VB族及びVIA族の元素の酸化物から選ばれた、少なくとも一種の酸化物改質剤と合わせることが望ましいかもしれない。前記少なくとも一種の酸化物改質剤はホウ素、マグネシウム、カルシウム、ランタンそして最も好ましくはリンの酸化物から選ばれることが最も好ましい。或る場合には、多孔性結晶性化合物を一種より多い酸化物改質剤、例えば、リンとカルシウム及び/又はマグネシウムの組み合わせと合わせることが望ましいかもしれない。何とならば、この方法で目標拡散性値を得るのに必要とされるスチーム処理苛酷性を低下することが可能であり得るからである。元素基準で測定して、触媒中に存在する酸化物改質剤の合計量は約0.05質量%〜約20質量%であってもよく、最終触媒の質量を基準として、約0.1質量%〜約10質量%であることが好ましい。
改質剤がリンを含む場合、本発明の触媒中の改質剤の混入は米国特許第4,356,338号、同第5,110,776号、同第5,231,064号及び同第5,348,643号(これらの全開示が参考として本明細書に含まれる)に記載された方法により都合良く達成される。リン含有化合物による処理は多孔性結晶性物質単独又はバインダーもしくはマトリックス物質との組み合わせを、適当なリン化合物の溶液と接触させ、続いて乾燥させ、焼成してリンをその酸化物形態に変換することにより直ぐに達成し得る。リン含有化合物との接触は一般に約15分間〜約20時間の時間にわたって約25℃〜約125℃の温度で行なわれる。接触混合物中のリンの濃度は約0.01質量%〜約30質量%であってもよい。
リン含有化合物との接触後に、多孔性結晶性物質が乾燥され、焼成されてリンを酸化物形態に変換し得る。焼成は不活性雰囲気中で、又は酸素の存在下で、例えば、空気中で少なくとも1時間、好ましくは3-5時間にわたって約150〜750℃、好ましくは約300〜500℃の温度で行ない得る。
【0010】
当業界で知られている同様の技術がその他の改質酸化物を本発明の触媒に混入するのに使用し得る。
リン酸化物改質剤を本発明の触媒に混入するのに使用し得る代表的なリン含有化合物としてPX3、RPX2、R2PX、R3P、X3PO、(XO)3PO、(XO)3P、R3P=O、R3P=S、RPO2、RPS2、RP(O)(OX)2、RP(S)(SX)2、R2P(O)OX、R2P(S)SX、RP(OX)2、RP(SX)2、ROP(OX)2、RSP(SX)2、(RS)2PSP(SR)2、及び(RO)2POP(OR)2(式中、Rはアルキル又はアリール、例えば、フェニル基であり、かつXは水素、R、又はハライドである)により表されるグループの誘導体が挙げられる。これらの化合物として、一級の、RPH2、二級の、R2PH、及び三級の、R3P、ホスフィン、例えば、ブチルホスフィン、三級ホスフィンオキサイド、R3PO、例えば、トリブチルホスフィンオキサイド、三級ホスフィンスルフィド、R3PS、一級の、RP(O)(OX)2、及び二級の、R2P(O)OX、ホスホン酸、例えば、ベンゼンホスホン酸、相当する硫黄誘導体、例えば、RP(S)(SX)2及びR2P(S)SX、ホスホン酸のエステル、例えば、ジアルキルホスホネート、(RO)2P(O)H、ジアルキルアルキルホスホネート、(RO)2P(O)R、及びアルキルジアルキルホスフィネート、(RO)P(O)R2、亜ホスフィン酸、R2POX、例えば、ジエチル亜ホスフィン酸、一級の、(RO)P(OX)2、二級の、(RO)2POX、及び三級の、(RO)3P、ホスファイト、並びにこれらのエステル、例えば、モノプロピルエステル、アルキルジアルキルホスフィナイト、(RO)PR2、及びジアルキルアルキルホスフィナイト、(RO)2PR、エステルが挙げられる。相当する硫黄誘導体、例えば、(RS)2P(S)H、(RS)2P(S)R、(RS)P(S)R2、R2PSX、(RS)P(SX)2、(RS)2PSX、(RS)3P、(RS)PR2、及び(RS)2PRがまた使用されてもよい。ホスファイトエステルの例として、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ブチルホスファイト、及びピロホスファイト、例えば、テトラエチルピロホスファイトが挙げられる。上記化合物中のアルキル基は1〜4個の炭素原子を含むことが好ましい。
その他の好適なリン含有化合物として、リン酸水素アンモニウム、リンハライド、例えば、三塩化リン、三臭化リン、及び三ヨウ化リン、アルキルホスホロジクロリダイト、(RO)PCl2、ジアルキルホスホロクロリダイト、(RO)2PCl、ジアルキルホスフィノクロリダイト、R2PCl、アルキルアルキルホスホノクロリデート、(RP)(R)P(O)Cl、ジアルキルホスフィノクロリデート、R2P(O)Cl、及びRP(O)Cl2が挙げられる。適用可能な相当する硫黄誘導体として、(RS)PCl2、(RS)2PCl、(RS)(R)P(S)Cl、及びR2P(S)Clが挙げられる。
【0011】
特別なリン含有化合物として、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、ジフェニルホスフィンクロリド、トリメチルホスファイト、三塩化リン、リン酸、フェニルホスフィンオキシクロリド、トリメチルホスフェート、ジフェニル亜ホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジエチルクロロチオホスフェート、メチル酸ホスフェート、及びその他のアルコール-P2O5反応生成物が挙げられる。
ホウ素酸化物改質剤を本発明の触媒に混入するのに使用し得る代表的なホウ素含有化合物として、ホウ酸、ホウ酸トリメチル、ホウ素酸化物、ホウ素硫化物、ホウ素水素化物、ブチルホウ素ジメトキシド、ブチルホウ酸、ジメチルホウ酸無水物、ヘキサメチルボラジン、フェニルホウ酸、トリエチルボラン、ジボラン及びトリフェニルホウ素が挙げられる。
代表的なマグネシウム含有化合物として、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、臭化マグネシウム、水素化マグネシウム、乳酸マグネシウム、ラウリル酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム及び硫化マグネシウムが挙げられる。
代表的なカルシウム含有化合物として、酢酸カルシウム、カルシウムアセチルアセトネート、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムメトキシド、カルシウムナフテネート、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム及び硫酸カルシウムが挙げられる。
代表的なランタン含有化合物として、酢酸ランタン、ランタンアセチルアセトネート、炭酸ランタン、塩化ランタン、水酸化ランタン、硝酸ランタン、リン酸ランタン及び硫酸ランタンが挙げられる。
【0012】
本発明の方法に使用される多孔性結晶性物質はその方法に使用される温度及びその他の条件に耐性の種々のバインダー物質又はマトリックス物質と合わされてもよい。このような物質として、活性物質及び不活性物質、例えば、クレー、シリカ及び/又は金属酸化物、例えば、アルミナが挙げられる。後者は天然産であってもよく、又はシリカと金属酸化物の混合物を含むゼラチン質沈殿もしくはゲルの形態であってもよい。活性である物質の使用は、触媒の転化率及び/又は選択率を変化する傾向があり、それ故、一般に好ましくない。不活性物質が所定の方法における転化の量を調節するための希釈剤として好適に利用でき、その結果、生成物が反応の速度を調節するためのその他の手段を使用しないで経済的かつ規則的に得られる。これらの物質が天然産クレー、例えば、ベントナイト及びカオリンに混入されて、商用の操作条件下で触媒の圧潰強さを改良してもよい。前記物質、即ち、クレー、酸化物等が触媒のバインダーとして機能する。良好な圧潰強さを有する触媒を提供することが望ましい。何とならば、商業上の使用では、触媒が粉末状物質に分解することから防止することが望ましいからである。これらのクレー及び/又は酸化物バインダーが触媒の圧潰強さを改良する目的のみに通常使用されていた。
多孔性結晶性物質と合わせ得る天然産クレーとして、モンモリロナイトファミリー及びカオリンファミリーが挙げられ、これらのファミリーとして、サブベントナイト、及びディキシイクレー、マクナミイクレー、ジョージアクレー及びフロリダクレーその他として普通知られているカオリン(その主鉱物成分はハロイサイト、カオリナイト、ジッカイト、ナクライト、又はアナウキサイトである)が挙げられる。このようなクレーは最初に採掘された生の状態で使用でき、又は初期に焼成、酸処理もしくは化学変性にかけられる。
【0013】
以上の物質に加えて、多孔性結晶性物質は多孔性マトリックス物質、例えば、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニアだけでなく、3成分組成物、例えば、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア及びシリカ-マグネシア-ジルコニアと混合し得る。
多孔性結晶性物質と無機酸化物マトリックスの相対比率は広く変化し、前者の含量はその複合体の約1質量%から約90質量%までの範囲であり、更に通常、特にその複合体がビーズの形態で調製される場合には、約2質量%〜約80質量%の範囲である。
バインダー物質はシリカ又はカオリンクレーを含むことが好ましい。
シリカ結合ゼオライト、例えば、ZSM-5の調製操作が米国特許第4,582,815号、同第5,053,374号及び同第5,182,242号に記載されている。ZSM-5をシリカバインダーで結合するための特別な操作は押出方法を伴なう。
多孔性結晶性物質は流動床触媒の形態でバインダーと合わされてもよい。この流動床触媒はそのバインダー中にクレーを含んでもよく、噴霧乾燥方法により成形されて20-200ミクロンの粒子サイズを有する触媒粒子を生成してもよい。
本発明の触媒は必要によりプレコーキングされてもよい。そのプレコーキング工程は初期にコーキングされていない触媒をトルエンメチル化反応に利用することにより行なわれることが好ましく、その間にコークスが触媒表面に付着され、その後に高温で酸素含有雰囲気への暴露による周期的再生により、典型的には約1質量%から約20質量%まで、好ましくは約1質量%から約5質量%までの所望の範囲内に調節される。
本明細書に記載された触媒の利点の一つはその再生可能性の容易なことである。こうして、触媒がトルエンメチル化反応を触媒作用する際にそれがコークスを蓄積した後に、それが制御された量のコークスを約400℃から約700℃までの範囲の温度で再生装置中で部分燃焼雰囲気中で燃焼することにより容易に再生し得る。触媒上のコークス付着量がそれにより再生装置中で減少され、又は実質的に排除し得る。コークス付着量の所定の程度を維持することが所望される場合、再生工程はトルエンメチル化反応ゾーンに戻る再生触媒が所望のレベルでコークス付着されるように調節されてもよい。
【0014】
本方法は固定床、移動床、又は流動触媒床中で好適に行なわれてもよい。コークス付着量の程度を連続的に制御することが所望される場合、移動床形態又は流動床形態が好ましい。移動床形態又は流動床形態により、コークス付着量の程度が触媒再生装置中の連続酸化的再生の苛酷性及び/又は頻度を変化することにより制御し得る。
本発明の方法は一般に約500℃〜約700℃、好ましくは約500℃〜約600℃の温度、約1気圧〜1000psig(100〜7000kPa)の圧力、約0.5〜1000の毎時の質量空間速度、及び少なくとも約0.2、例えば、約0.2から約20までのトルエン対メタノールのモル比(反応器仕込み中の)で行なわれる。その方法は供給原料中の水素及び/又は水対トルエン+メタノールのモル比が約0.01〜約10であるように添加された水素及び/又は添加された水の存在下で行なわれることが好ましい。
本発明の方法を使用して、トルエンが少なくとも約15質量%の1回通過当りのトルエン転化率及び1質量%未満のトリメチルベンゼン生成レベルで少なくとも約90質量%(全C8芳香族生成物を基準とする)の選択率でパラ-キシレンを生じるようにメタノールでアルキル化し得る。
本発明の方法の利点の一つは、実施態様において、製造されたキシレンが結晶化装置処理の前にクレー処理を必要としないことであり、これは大きな経済上の利点である。その他の方法により製造されたパラキシレンに典型的な製品仕様は200より下のBIを必要とする。本発明の方法(結晶化の前のクレー処理のない好ましい実施態様を含む)において、結晶化のパラキシレン生成物はBI=20の製品仕様を満足し得る。
多くの異なる結晶化装置スキームが実施されていた。殆ど全てのスキームが以下のようにp-キシレンを回収する際に同じ概念を使用する:(a) p-キシレン供給原料が冷却され、結晶化され、最大回収のために非常に低温で分離され、次いで(b) 結晶が融解され、再結晶され、最大p-キシレン純度のために一層温かい温度で分離される。
【0015】
好ましい結晶化装置プロセスは下記の工程を含む。
直接接触冷却:供給原料が冷媒、例えば、C2=又はCO2をスラリーに直接注入することにより結晶化容器中で冷却される。
間接接触冷却:供給原料がジャケット付き結晶化容器中で冷却される。冷媒、例えば、C2=又はC3がジャケットに供給される。また、供給原料がスクレーパ付き冷却器(そこで結晶が冷却器の内部で生成する)中で冷却し得る。生成された結晶が保圧ドラム中に集まる。間接接触冷却は直接冷却よりもわずかに低いエネルギー効率であるが、冷媒/供給原料分離装置が必要とされない。
固体/液体分離のための遠心分離又は濾過:遠心分離又はフィルターが使用される。遠心分離はフィルターよりも高価であるが、フィルター中で得られるよりも乾燥した結晶ケーキを生じる。
遠心分離洗浄:一層温かい結晶化はp-キシレン純度を最大にする。プロセススキームの幾つかは最も温かい結晶化段階の遠心分離とともに洗浄工程を使用して結晶ケーキ中に閉じ込められた母液を置換する。この洗浄はp-キシレン又は別の成分、例えば、トルエン、ペンタン、もしくはその他の軽質炭化水素であってもよい。p-キシレン洗浄は洗浄成分を除去するための下流の分離システムが必要とされないという利点を有する。
融解段階:結晶化段階の間で、p-キシレン結晶が新しいキシレン流(これは供給原料よりも極めて高いp-キシレン含量である)に融解される。
これらのスキームの一つ以上が本発明の一つ以上の結晶化工程の一部として使用されてもよい。
アルキル化後かつ結晶化の前に、下記の工程から選ばれた一つ以上の工程がまたあってもよい:(a) 脱水、(b) 固体除去、(c) キシレンスプリッター、及び(d) 苛性スクラバー。
結晶化後に、精製されたパラキシレンフラクションが分離され、残っている濾液が苛性スクラバーに送られてアップグレードされてもよい。
本発明が今下記の実施例に更に特別に記載され、これらは本発明の代表であることを目的とし、その限定ではない。
【実施例1】
【0016】
メタノールによるトルエンのアルキル化により製造されたキシレン流を2段階バッチ結晶化により精製した。供給原料流及びこの方法からの生成物流の分析は、その流れのパラキシレン含量が増大されただけでなく、UOP 624 方法により測定される流れの酸素化物含量がまた有意に減少されることを示した。そのUOP 624 方法は、例えば、IHS(登録商標)からの支払いにより利用でき、化学分析によるカルボニル数の方法である。重要なことは得られる正確な値ではないが、相対的な値であることである。カルボニル分析は、当業者により知られているような、公に利用できる多くの方法により得られてもよい。
結晶化装置 第二段階
供給原料 融解物
キシレン、質量% 95.0 99.4
PX選択率、% 89.1 98.7
臭素インデックス 218 20
スチレン、ppm 708 78
UOP 624、C=O mg/L 6.2 1.1
酢酸、ppm 0.44 0.1
本明細書に使用された商品名はTM記号又は登録商標記号により示され、その名称が或る種のトレードマーク権利により保護され得ること、例えば、それらが種々の管轄権のもとに登録されたトレードマークであり得ることを示す。
全ての特許及び特許出願、試験操作(例えば、ASTM方法、UL方法等)、並びに本明細書で引用されたその他の書類はこのような開示が本発明と不一致ではない程度に、またこのような組み入れが許される全ての管轄権につき参考として完全に含まれる。数的下限及び数的上限が本明細書にリストされる場合、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図される。
本発明が多くの実施態様及び特別な実施例を参照して上記された。多くの変化が上記詳細な説明に鑑みてそれら自体を当業者に示唆するであろう。全てのこのような変化は特許請求の範囲内にある。
【0017】
次に本発明の態様を示す。
1. (i) トルエンをパラ-キシレン及び酸素化物を含む生成物の製造に適した触媒の存在下でアルキル化条件下でメタノールと反応させ、
(ii) 工程(i)からのパラ-キシレン及び酸素化物を含む前記生成物を回収し、
(iii) 工程(ii)からの前記生成物を結晶化による精製にかけ、
(iv) 工程(iii)からのパラキシレンフラクションを回収することを含み、ここで、前記フラクションは30以下のBIを特徴とし、かつ工程(ii)から回収された前記生成物よりも少ない量の酸素化物不純物を有することを特徴とするパラ-キシレンの製造方法。
2. 前記触媒が120℃の温度及び60トル(8kPa)の2,2-ジメチルブタン圧力で測定された場合に約0.1-15秒-1の2,2-ジメチルブタンについての拡散パラメーターを有する多孔性結晶性物質を含み、前記多孔性結晶性物質が少なくとも950℃の温度でスチームによる前処理を受けて前記物質の拡散パラメーターを約0.1-15秒-1に調節する、上記1記載の方法。
3. 前記多孔性結晶性物質の前記拡散パラメーターが約0.5-10秒-1である、上記2記載の方法。
4. 前記多孔性結晶性物質が約10分〜約100時間にわたって少なくとも1000℃の温度でスチームによる前処理を受けている、上記1記載の方法。
【0018】
5. スチームによる前記処理が触媒の孔体積をスチームによる前記処理の前の触媒の孔体積の50%以上に減少する、上記4記載の方法。
6. 触媒が周期律表のIIA族、IIIA族、IIIB族、IVA族、IVB族、VA族及びVIA族の元素の酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物改質剤を含む、上記1記載の方法。
7. 触媒がホウ素、マグネシウム、カルシウム、ランタン及びリンの酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物改質剤を含む、上記1記載の方法。
8. 触媒が元素改質剤を基準として約0.1質量%〜約10質量%の酸化物改質剤を含む、上記7記載の方法。
9. 触媒が約20ミクロン〜200ミクロンの平均粒子サイズを有する、上記1記載の方法。
10. 工程(i) と(iii) の間にクレー処理工程がない、上記1記載の方法。