特許第5705336号(P5705336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5705336リチウムイオン蓄電池およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705336
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】リチウムイオン蓄電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20150402BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20150402BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M10/052
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-553814(P2013-553814)
(86)(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公表番号】特表2014-505986(P2014-505986A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】EP2011073013
(87)【国際公開番号】WO2012110141
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2013年9月12日
(31)【優先権主張番号】102011004092.7
(32)【優先日】2011年2月15日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011005681.5
(32)【優先日】2011年3月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シューマン
(72)【発明者】
【氏名】ニリューファー バーバ
【審査官】 竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−008598(JP,A)
【文献】 特開2000−077039(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/094311(WO,A1)
【文献】 特表2012−518869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587、10/36−10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン蓄電池(100)であって、
ケーシング(110)と、該ケーシング(110)内に配置された巻線(120a)または巻線層体(120b)とを備え、
前記巻線(120a)または前記巻線層体(120b)は、少なくとも1つのカソード(130)と、少なくとも1つのアノード(140)と、少なくとも1つのセパレータ(150)と、前記カソード(130)と前記アノード(140)との間に配置された非水溶性の少なくとも1つの電解質(160)とを含み、
前記カソード(130)と前記アノード(140)と前記セパレータ(150)と、前記カソード(130)と前記アノード(140)との間に配置された前記電解質(160)とは層状に配置されている、
リチウムイオン蓄電池(100)において、
前記蓄電池(100)がばねエレメント(200)を備えており、
前記ばねエレメント(200)のばね力により、前記カソード(130)と前記アノード(140)と前記セパレータ(150)と前記電解質(160)とが、通常動作状態で、前記蓄電池(100)の少なくとも一部の領域において互いに押し合わされており、
前記ばねエレメント(200)は、目標破断位置(300)を介し、材料による結合によって前記ケーシング(110)に対して支持されており、
前記目標破断位置(300)は、所定の力および/または所定の温度が上方超過された場合に、前記ケーシング(110)と前記ばねエレメント(200)との材料による結合を開放して、前記ばねエレメント(200)が前記巻線(120a)または前記巻線層体(120b)へ作用させていたばね力を解消する
ことを特徴とするリチウムイオン蓄電池。
【請求項2】
前記ばねエレメント(200)は前記ケーシング(110)の組込要素である、請求項記載のリチウムイオン蓄電池。
【請求項3】
前記ケーシング(110)は目標破断位置(300)を有しており、該目標破断位置(300)により、所定の力および/または所定の温度が上方超過された場合に、前記ケーシング(110)が開放されて、前記ケーシング(110)を通して前記巻線(120a)または前記巻線層体(120b)へ作用していたばね力が解消される、請求項記載のリチウムイオン蓄電池。
【請求項4】
前記蓄電池(100)は、少なくとも1つの巻線層体(120b)と上方ばねエレメント(210)と下方ばねエレメント(220)とを備えており、前記少なくとも1つの巻線層体(120b)と前記上方ばねエレメント(210)と前記下方ばねエレメント(220)とはそれぞれ材料による結合部である目標破断位置(300)によって前記ケーシング(110)に固定可能であり、前記目標破断位置(300)での前記ケーシング(110)と前記上方ばねエレメント(210)および前記下方ばねエレメント(220)との材料による結合は、所定の力および/または所定の温度が上方超過された場合に分離可能である、請求項1からまでのいずれか1項記載のリチウムイオン蓄電池。
【請求項5】
前記カソード(130)および前記アノード(140)および前記セパレータ(150)および前記電解質(160)を相互に接続可能な第2のばねエレメント(400)が設けられており、前記第2のばねエレメント(400)のばね力は前記上方ばねエレメントおよび前記下方ばねエレメント(210,220)のばね力に対して反対に作用する、請求項記載のリチウムイオン蓄電池。
【請求項6】
リチウムイオン蓄電池(100)の巻線(120a)または巻線層体(120b)をケーシング(110)内に配置する方法であって、
前記巻線(120a)または前記巻線層体(120b)を、少なくとも1つのカソード(130)と、少なくとも1つのアノード(140)と、少なくとも1つのセパレータ(150)と、前記カソード(130)と前記アノード(140)との間に配置された非水溶性の少なくとも1つの電解質(160)とを含むように構成し、
前記カソード(130)と前記アノード(140)と前記セパレータ(150)と、前記カソード(130)と前記アノード(140)との間に配置された前記電解質(160)とを層状に配置し、
前記カソード(130)と前記アノード(140)と前記セパレータ(150)と前記電解質(160)とを、前記蓄電池(100)の通常動作状態で、ばねエレメント(200)によって、前記巻線(120a)または前記巻線層体(120b)の少なくとも一部の領域において互いに押し合わせ
前記ばねエレメント(200)を、目標破断位置(300)を介して材料による結合によって前記ケーシング(110)に対して支持し、前記目標破断位置(300)を、所定の力および/または所定の温度が上方超過された場合に、前記ケーシング(110)と前記ばねエレメント(200)との材料による結合を開放して、前記ばねエレメント(200)が前記巻線(120a)または前記巻線層体(120b)へ作用させていたばね力を解消するように構成する
ことを特徴とする
リチウムイオン蓄電池の巻線または巻線層体をケーシング内に配置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン蓄電池、ならびに、リチウムイオン蓄電池の巻線または巻線層体をケーシング内に配置する方法に関する。特に、本発明は、ケーシングと、ケーシング内に配置された巻線または巻線層体とを備え、巻線または巻線層体は、主として、少なくとも1つのカソードと、少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのセパレータと、カソード‐アノード間に配置された非水溶性の少なくとも1つの電解質とから形成されており、カソードとアノードとセパレータと電解質とが層状に配置されている、リチウムイオン蓄電池に関する。本発明のリチウムイオン蓄電池は、ばねエレメントを備えており、そのばね力により、カソードとアノードとセパレータと電解質とが通常動作状態で蓄電池の少なくとも一部の領域において互いに押し合わされていることを特徴とする。
【0002】
従来技術
リチウムイオンバッテリないしリチウムイオン蓄電池は、今日、エネルギ蓄積器として多数の製品が使用されている。こうしたエネルギ蓄積器を例えばポータブルコンピュータシステムもしくは通信の分野で使用することが公知である。自動車分野では自動車の駆動バッテリとしての利用も現在集中的に論じられている。特にこの分野で、また他の適用分野においてもそうであるが、リチウムイオン蓄電池の安全性は中心的意義を有している。メディアの関心を呼ぶ損傷の事例、例えばラップトップアキュムレータの燃焼などによる、リチウムイオン蓄電池の安全性というテーマは、当該技術を他の技術分野に大規模に適用する際にクリティカルな要因となる。
【0003】
リチウムイオンセルの熱暴走は実用上絶対に回避しなければならない。ゆえに、リチウムイオン技術を基礎とした現在および将来のエネルギ蓄積器には既に一連の安全機構が用意されている。特に、セル内が過圧となったときにこうした過圧を外部へ放出するための安全弁が設けられる。安全弁は例えば膨張ディスクもしくは圧力解放弁の形態で構成される。ポータブルコンピュータシステムもしくは通信の分野では、蓄電池は相互接続された1個ないし数個のリチウムイオンセルから成っていればよいが、高電流、高電圧および/または高電荷が要求される分野では、著しく多数のセルをまとめて接続しなければならない。このため、例えば、自動車分野における適用では、数100個のリチウムイオンセルが1つのバッテリとなるように接続され、全体で相応にハイパワーの蓄電池を形成する。この場合、安全性コンセプトを適用状態に合わせて調整ないし改善するには、補完的な安全措置が必要となる。
【0004】
発明の開示
上述のことがらに鑑みて、本発明の課題は、熱負荷がかかった場合に特に改善された保護機能が得られるリチウムイオン蓄電池を提供することである。さらに、本発明の課題は、こうした改善されたリチウムイオン蓄電池の製造方法を提供することである。
【0005】
この課題は、ケーシングと、ケーシング内に配置された巻線または巻線層体とを備え、巻線または巻線層体が、主として、少なくとも1つのカソードと、少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのセパレータと、カソード‐アノード間に配置された非水溶性の少なくとも1つの電解質とから形成されており、カソードとアノードとセパレータと電解質とが層状に配置されている、リチウムイオン蓄電池において、蓄電池がばねエレメントを備えており、このばねエレメントのばね力により、カソードとアノードとセパレータと電解質とが通常動作状態で蓄電池の少なくとも一部の領域において互いに押し合わされていることにより、解決される。
【0006】
本発明のリチウムイオン蓄電池の或る実施形態によれば、巻線または巻線層体のデラミネーションを抑圧する作用が得られる。この場合、ばねエレメントは個々の巻線要素(カソード、アノード、セパレータ、電解質)に均等に圧力をかけている。同時に、ばねエレメントによって、蓄電池の動作時に通常の加熱または電気化学反応で発生するのと同程度の、巻線または巻線層体の体積膨張は可能となる。ばねエレメントのばね力によって、冷却後または充電レベルが変化した後の体積収縮による巻線または巻線層体のデラミネーションは防止される。ばねエレメントは、有利には、セルないし蓄電池の通常動作中、いずれの時点でも、蓄電池の各要素に対して同等の押圧力を作用させる。これにより、蓄電池の早期の劣化を回避することができる。
【0007】
本発明のリチウムイオン蓄電池の別の実施形態では、ばねエレメントはケーシングに支持されている。これにより各セルをコンパクトに構成でき、ばねエレメントに対して、ばね力を活用するための充分な応力部が提供される。
【0008】
本発明の蓄電池の別の実施形態では、ばねエレメントは、目標破断位置での材料による結合によってケーシングに支持されている。有利には、目標破断位置は、所定の力および/または温度が上方超過された場合に、ケーシングとばねエレメントとの材料による結合を開放して、ばねエレメントが巻線または巻線層体へ作用させていたばね力を解消する。
【0009】
これにより、臨界動作状態に達したときには、巻線または巻線層体の意図的な剥離が引き起こされ、これにより個々のセルの遮断が起こる。特に、電解質の熱腐食または化学腐食などに起因して、巻線または巻線層体が所定のガス圧のもとで短絡するケースにおいて、目標破断位置でのばねエレメントとケーシングとの材料による結合の支持力が超過されたときには、巻線または巻線層体の膨張が生じる。これにより、一方では、臨界動作状態に陥った蓄電池セルの冷却の改善が達成され、他方では、場合により生じているガスの放出が達成される。ここで、リチウムイオン蓄電池の熱焼の際に形成されたガスは、それ自体が他の化学反応にも関与して、その結果、蓄電池セル内のガス圧をさらに上昇させることが判明している。標準電解質での断熱熱量の実験によれば、蓄電池セルの熱暴走時の全圧力上昇分の大部分は、上述した電解質反応に帰せられることがわかっている。本発明で反応ガスを放出できることにより、反応ガスのさらなる反応によるガス圧のいっそうの上昇が回避される。こうして、臨界動作状態に達した場合の蓄電池セルの熱暴走は低減されるかまたは完全に防止される。これにより、蓄電池の安全性が著しく向上する。
【0010】
本発明の蓄電池の別の実施形態では、ばねエレメントはケーシングの組込要素である。このために、例えば、ケーシングの一部をばね状もしくは波状に構成して、ケーシング全体にかかるばね力が均等に巻線または巻線層体へ作用するようにできる。こうした構成により、いっそうコンパクトな構造が達成される。本発明の別の実施形態では、ケーシングは、全体的に波状に構成されてその全体がばねエレメントとして用いられる。このばねエレメントは、一方では巻線または巻線層体の個々の要素を押し合わせるための充分なばね力を有しており、他方では電気化学反応もしくは熱に起因する巻線または巻線層体の体積膨張を吸収するのに充分な弾性を有している。
【0011】
本発明の別の実施形態では、蓄電池は、少なくとも1つの巻線層体と上方ばねエレメントと下方ばねエレメントとを備えており、これらはそれぞれ目標破断位置での材料による結合によってケーシングに固定可能であり、ケーシングと各ばねエレメントとの材料による結合が、所定の力および/または所定の温度が上方超過された場合に目標破断位置で分離されうる。これにより、本発明のアイデアを積層体として構成された蓄電池セルに最適に適合化することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態では、巻線層体は上下方向でばねエレメントに接続可能な複数の層を含み、ばねエレメントのばね力は主として上方ばねエレメントおよび下方ばねエレメントのばね力に対して反対に作用する。ばねエレメントとケーシングとの間の目標破断位置で目標破断力が上方超過されると、各層を相互接続しているばねエレメントのばね力が解消され、各層が相互に引き離される。これにより、層間の放熱性が改善され、各層を臨界的でない温度まで迅速に冷却することができる。
【0013】
方法に関して云えば、本発明の課題は、リチウムイオン蓄電池の巻線または巻線層体をケーシング内に配置する方法において、巻線または巻線層体を、主として、少なくとも1つのカソードと、少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのセパレータと、カソード‐アノード間に配置された非水溶性の少なくとも1つの電解質とから形成し、カソードとアノードとセパレータと電解質とを層状に配置し、カソードとアノードとセパレータと電解質とを、蓄電池の通常動作状態で、ばねエレメントによって、巻線または巻線層体の少なくとも一部の領域に互いに押し合わせることにより、解決される。
【0014】
本発明の方法の有利な実施形態では、ばねエレメントが目標破断位置で材料による結合によってケーシングに対して支持され、目標破断位置は、所定の力および/または所定の温度が上方超過された場合に、ケーシングとばねエレメントとの材料による結合を開放して、ばねエレメントが巻線または巻線層体へ作用させていたばね力を解消するように構成される。
【0015】
本発明を以下に図示の実施例に則して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のリチウムイオン蓄電池の概略図である。
図2】複数の巻線を並べて配置した、本発明の蓄電池の構成を示す図である。
図3】複数の巻線を並べて配置し、共通のケーシングに収容した、本発明の蓄電池の構成を示す図である。
図4】本発明の蓄電池の別の実施例を示す図である。
図5】積層体状に構成された本発明のリチウムイオン蓄電池の通常動作状態を示す図である。
図6図5のリチウムイオン蓄電池が臨界動作状態に達した様子を示す図である。
【0017】
図1には、ケーシング110とこのケーシング110内に配置されている巻線120aとを有する本発明のリチウムイオン蓄電池100の概略図が示されている。巻線120aは、主として、少なくとも1つのカソード130と、少なくとも1つのアノード140と、少なくとも1つのセパレータ150と、カソード‐アノード間に配置された非水溶性の少なくとも1つの電解質160とから形成されており、巻線120aの中央に配置される引き出し線として構成されたセル突起部180を中心として巻き回されている。さらに、巻線120aとケーシング110との間には、ケーシング110の内壁と巻線120aとの摩擦を最小化するための平滑化層170が配置されている。平滑化層170はここでは例えばプラスティックシートとして形成される。なお、カソード130とアノード140とセパレータ150と電解質160とは、層状に配置されている。
【0018】
さらに、蓄電池100はばねエレメント200を備えており、このばねエレメント200のばね力は、通常動作状態で、カソード130とアノード140とセパレータ150と電解質160とを、蓄電池100の少なくとも一部の領域で互いに押し合わせている。このために、ばねエレメント200はケーシング110に接合されており、金属クリップのようにケーシング110が巻線120aを収容している。ここで、ケーシング110は被覆外套部材としてだけでなく、蓄電池ケーシングもしくはセルケーシングとしても機能するが、後者の場合、蓄電池ケーシングもしくはセルケーシングの密閉性を保証するには、底部および蓋部が相応に弾性ないしばね性を有さなければならない。こうした包囲体は、巻線120aに対して所定の圧力を作用させ、巻線120aの個々の層130,140,150,160の良好な載置機能が支援される。いわば、このように形成されたばね弾性を有する被覆外套部材により、巻線120aが、その電気化学的機能にしたがい、充放電を行うセルの寸法変化に応じて膨張ないし収縮する。このため、予測されない力もしくは望ましくない大きさの力が発生して巻線120aに局所的に大きな力がかかることおよび/または層接合体に機械的応力がかかることがなくなる。
【0019】
ばねエレメント200はケーシング110に支持されている。有利には、この支持は、ばねエレメント200とケーシング110との、目標破断位置300としての材料による結合部によって行われている。目標破断位置300は、所定の力および/または所定の温度が上方超過された場合に、ケーシング110とばねエレメント200との材料による結合が開放され、これにより、ばねエレメント200から巻線120aに作用するばね力が解消されるように構成される。ばねエレメント200とケーシング110との材料による結合部には、例えば、所定の温度が上方超過されたときおよび所定の力が上方超過されたときに破断して結合を解消する熱はんだもしくは熱溶融コンタクトが適している。蓄電池100の安全臨界状態では、発生する高温もしくは大きな力のために、ばねエレメント200とケーシング110との接触が分離する。この場合、ばねエレメント200は脱力し、このばねエレメント200の脱力によって、少なくとも部分的に、巻線120aの分離が生じ、個々の層130,140,150,160が互いに分離する。こうして、巻線120aが迅速に冷却され、セルが安全な終端状態にいたる。これにより、反応ガスないし電解質蒸気も容易に放出されるので、さらなる反応はもはや生じない。
【0020】
図2には、複数の巻線120aを共通のケーシング500に収容した本発明のリチウムイオン蓄電池が示されている。個々の巻線120aは構造の点で図1の巻線に対応する。巻線120aは、有利には、それぞれの間に充分な間隔600を有するように共通のケーシング500内に配置されている。ケーシング500内で、臨界動作パラメータが上方超過されると、目標破断位置300が分離し、個々の巻線120aが膨張する。
【0021】
図3には、複数の個別の巻線120aを共通のケーシング110に収容した本発明のリチウムイオン蓄電池の構成が示されている。共通のケーシング110には共通のばねエレメント200が接合されており、このばねエレメント200は上述したように材料によってケーシング110に結合されている。臨界動作パラメータが上方超過されると、目標破断位置300が分離し、共通のケーシング110に収容されている巻線120aが膨張して、セル接合体が安全な終端状態へ移行する。
【0022】
図4には、本発明の蓄電池の種々の形態が示されている。図4の左方には、螺旋状に構成され、全体としてばねエレメント200として作用するケーシング110が示されている。ばねエレメント200は、この形態では、ケーシング110の組込要素である。また、図4の中央には、同様にばねエレメント200がケーシングの組込要素であるが、ケーシングが蓄電池ケーシングないしセルケーシングとしても機能する形態が示されている(ただし、わかりやすくするために、カバーのない状態で示されている)。このために、ばねエレメント200は、ケーシング110の波状構造として構成されており、この波状構造によってケーシング110は相応に膨張ないし収縮可能である。波状構造によって形成される複数のばねエレメント200の配置によってばね力を累積的に蓄えられるので、個々のエレメントのばね力は小さくてよい。同時に、ケーシングの径全体にわたって、ばね力の均等な分配が達成される。さらに、図4の右方には、ばねエレメント200がはんだ点として構成された目標破断位置300を介してケーシング110に接続されている別の形態が示されている。
【0023】
図5には、複数のセルコンポーネントが1つの積層体120bとしてまとめられた、本発明の蓄電池の実施例が示されている。積層体120bには、通常動作状態で、上方ばねエレメント210および下方ばねエレメント220が作用している。ばねエレメント210,220は目標破断位置300によってケーシング110に支持されている。積層体120bの個々の層は接続部材として用いられる別のばねエレメント400を介して相互に接続される。ばねエレメント400のばね力はばねエレメント210,220のばね力に対して反対に作用する。通常動作状態では、ばねエレメント210,220のばね力は積層体120bの各層を均等に押圧する。
【0024】
図6には、図5の実施例の蓄電池が臨界動作状態に達した後、目標破断位置300でばねエレメント210,220とケーシング110との材料による結合が分離した様子が示されている。こうした臨界動作状態では、ばねエレメント400のばね力がばねエレメント210,220のばね力を上回るので、積層体120bの各層は相互に引き離される。これにより積層体120bは迅速に冷却され、ガス放出が生じて、安全状態へ移行する。したがって、さらなる熱暴走の危険はもはや生じない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6