特許第5705373号(P5705373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5705373腎疾患を有する患者のための、液量をモニターする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705373
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】腎疾患を有する患者のための、液量をモニターする方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20150402BHJP
【FI】
   A61M1/14 557
   A61M1/14 553
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-508433(P2014-508433)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-518687(P2014-518687A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】US2012034327
(87)【国際公開番号】WO2013101292
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】61/480,528
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/480,541
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/480,535
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/480,532
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/480,530
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/480,544
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/480,539
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/424,454
(32)【優先日】2012年3月20日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー,マーティン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,ジョン・イー
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,スーピン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテシュ,マンダ・アール
(72)【発明者】
【氏名】プディル,ブライアント・ジェイ
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−288625(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0175827(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/112154(WO,A1)
【文献】 特開2004−049492(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/055075(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00− 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)患者から血液を受け取るための注入口、
(ii)前記患者からの血液を戻すための第一の排出口
(iii)前記注入口及び前記第一の排出口の間に位置する、前記血液から液体及び汚染物質を除去するための媒体
(iv)液体除去速度制御装置、及び
(v)前記除去された液体及び汚染物質を流すための、第二の排出口
を含む、血液の液体除去デバイス、
組織液の量のインジケータをモニタリングするための第一のセンサー、
血液の液体の量のインジケータをモニタリングするための第二のセンサー、
組織液の量のインジケータをモニタリングするための前記センサー、血液の液体の量のインジケータをモニタリングするための前記センサー、及び前記液体除去速度制御装置と作動可能に通信する制御電気機器、を含み、
前記制御電子機器が、前記患者の組織液の量のインジケータをモニタリングするよう構成された前記第一のセンサー及び前記患者の血液の液体の量のインジケータをモニタリングするよう構成された前記第二のセンサーから得られたデータの比に基づいて液体を除去する前記速度を調整するように構成されている、
システム。
【請求項2】
非一時的であるコンピュータ可読媒体を更に含み、前記コンピュータ可読媒体が、前記制御電子機器に(i)それぞれ前記第一のセンサー及び前記第二のセンサーから得られたデータに基づいて、前記血液の液体の量のインジケータに対する、前記組織液のインジケータの比を計算させ、(ii)前記計算した比が所定の範囲外であるか否かを判断させ、及び(iii)前記比が前記所定の範囲外であると判断された場合、前記液体除去速度を変更させる命令を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
非一時的であるコンピュータ可読媒体を更に含み、前記コンピュータ可読媒体が、前記制御電子機器に(i)前記第一のセンサーから得られたデータに基づいて、組織液の量を示す値を計算させ、(ii)前記第二のセンサーから得られたデータに基づいて、血液の液体の量を示す値を計算させ、(iii)前記血液の液体の量を示す値に対する、前記組織液の量を示す値の比が、所定の範囲外であるか否かを判断させ、及び(iv)前記比が前記所定の範囲外であると判断された場合、前記液体除去速度を変更させる命令を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記液体除去速度制御装置が、血液の液体制御部、負圧制御部、透析液流量制御部、及び、新鮮な液体流量制御部の内の一つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記血液からの液体及び汚染物質の除去のための前記媒体が、濾過膜を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第一のセンサー、前記第二のセンサー及び前記制御電子機器の内の一つ以上の構成要素が、前記血液の液体除去デバイス内に収容されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年3月20日に出願された米国実用出願第13/424,454号明細書の利益を主張し、これは、米国仮出願番号第61/480,539号明細書、米国仮出願番号第61/480,544号明細書、米国仮出願番号第61/480,541号明細書、米国仮出願番号第61/480,535号明細書、米国仮出願番号第61/480,532号明細書、米国仮出願番号第61/480,530号明細書、及び米国仮出願番号第61/480,528号明細書の利益を主張し、各優先仮出願は、2011年4月29日に出願され、各優先仮出願は、本明細書中に提示された開示と矛盾しない程度に、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般的に、血液透析及び限界濾過を受ける患者などの、腎疾患を有する患者における液量モニターのためのデバイス、システム及び使用、並びに、血液中の液体量及び組織液量の間のバランスのモニターにおけるデバイス、システム及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
第一の目標として、血液透析及び限界濾過は、余分な液体の除去を共有する。除去されるべき液体の量は、治療セッションの前に決定され、且つ、患者の治療前の体重、治療の間の液体の添加量及びその理論的な乾燥重量に関連している。除去する液体の量及び、除去速度は、透析又は濾過機械において設定され、重量測定により確認する。
【0004】
しかしながら、患者の腎臓が正常に機能していた場合のその人の重量である、患者の乾燥重量を、正確に測定するのは困難である可能性がある。患者の腎臓が正常に機能していた場合の与えられた患者の重量は、しばしば未知の変数であり、時間の経過とともに変化する可能性がある。それにもかかわらず、患者の乾燥重量の正確な測定は、液体除去セッションの結果の成功のために重要である。
【0005】
残念なことに、患者の乾燥重量は、通常、計算されていないし、頻繁には再評価されていない。液体除去セッションの開始前及び終了後に測定される患者の実際の重量とは異なり、乾燥重量は多くの場合、例えば、毎月など、あまり頻繁に測定されず、且つ、乾燥重量の測定及び通常週に三回生じる所定の液体除去セッションの間の時間に、多くが変化し得る。液体の除去の考慮において重要な変数でありながら、乾燥重量は、多くの場合計算することが困難であり、且つ、セッションの間で変化し得る。
【0006】
液量の除去における間違いは、重症低血圧をもたらす可能性があり、血液透析治療後又は治療中に、患者が意識を失ってしまう可能性もある。突然心臓死(うっ血性心不全、心筋梗塞及び突然死による死亡を含む)は、血液透析患者において一般的である。Bleyer et al,“Sudden and cardiac death rated in hemodialysis patients,” Kidney International,(1999),55:1552−1559を参照されたい。
【0007】
そのような突然死を回避するために部分的には、速すぎる除去を防ぐため、又は、特定の除去プロファイルを達成するために、血液透析セッション中に、液体の除去速度を調整することができる。除去速度は、ポンプパラメータを調整することによって制御され、除去される液体の量は、重量測定により(即ち、計量することにより)確認される。しかしながら、現在の標準治療血液透析は、実際の液体状態の正確な測定値を取得するための、組織内における液体量のモニターを全く含んでいない。液体不均衡の恐ろしい結果を潜在的に回避するための試みにおいて血液量をモニターするために、透析中にヘマトクリットレベルをモニターするいくつかの提案がされている。しかしながら、血液中の液体量のみのモニターは、患者の安全の目的のために、血液透析中における組織液量に対する血液量の比をモニターし、所定のパラメータの範囲内にその比を必ず留めておくのと同じほどの正確な状態が示されない可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、とりわけ、血液透析、限界濾過などの液体除去セッションの間の、患者の血液及び組織区画内の液体量をモニターするため、及び、前記モニターした液体量に基づいて、その液体が血液から除去される際の速度を制御するための、デバイス、システム及び使用を説明する。組織液量及び血液中の液体量をモニターすることにより、血液浄化セッションの間の血液からの液体除去速度を、患者の安全性を促進し、血液浄化の効果を増加させるために、血液及び組織の間の液体の許容可能なバランスを維持するように調整することができる。
【0009】
本明細書に記載の様々な実施形態において、使用は、(i)患者の血液中の液体除去セッションを開始すること;(ii)前記血液中の液体除去セッションの間に、前記患者の組織液量、又は、その一部のインジケータをモニターすること;(iii)前記血液中の液体除去セッションの間に、前記患者の血液中の液体のインジケータをモニターすること;(iv)血液中の液体量のインジケータに対する組織液量のインジケータの比が所定の範囲外であるか否かを決定すること;及び(v)前記比が所定の範囲外であると決定された場合、前記血液中の液体除去セッションの間に、前記液体除去速度を変更すること、を含む。
【0010】
本明細書に記載の多数の実施形態において、システムは、(i)患者からの血液を受け取るための注入口、(ii)前記患者へ還元した液体血液を返すための第一の排出口、(iii)前記血液からの液体を除去するための媒体であって、前記媒体が前記注入口及び前記第一の排出口の間に位置する、媒体、(iv)液体除去速度制御装置;(v)前記除去した液体及び汚染物質を流すための第二の排出口を有する、血液中の液体除去デバイスを含む。前記システムはまた、(i)組織液量のインジケータをモニターするための第一のセンサー;(ii)血液中の液体量のインジケータをモニターするための第二のセンサー;及び(iii)組織液量のインジケータをモニターするためのセンサー、血液中の液体量のインジケータをモニターするためのセンサー、及び、液体除去速度制御装置と作動可能に通信するプロセッサを含む。プロセッサは、第一のセンサー及び第二のセンサーから得られたデータに基づいて液体が除去される速度を調整するように構成される。
【0011】
本明細書に記載のシステム、デバイス及び使用の一つ以上の実施形態は、患者における血液中の液体除去のための従来のシステム、デバイス、及び使用に対して、一つ以上の利点を提供し得る。そのような利点は、以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかであろう。
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成している添付の図面は本開示のいくつかの実施形態を例示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。図面は、本開示の実施形態を例示する目的のみのためであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、血液の流れ(点線矢印)及び液体の流れ(実線矢印)を示す、血液中の液体除去デバイスと患者との相互作用を示す概略ブロック図であり、この血液中の液体除去デバイスは、本明細書に記載の様々な実施形態で使用することができる。
図2図2は、血液の流れ(点線矢印)及び液体の流れ(実線矢印)を示す、血液中の液体除去デバイスと患者との相互作用を示す概略ブロック図であり、この血液中の液体除去デバイスは、本明細書に記載の様々な実施形態で使用することができる。
図3図3は、血液の流れ(点線矢印)及び液体の流れ(実線矢印)を示す、血液中の液体除去デバイスと患者との相互作用を示す概略ブロック図であり、この血液中の液体除去デバイスは、本明細書に記載の様々な実施形態で使用することができる。
図4図4は、血液の流れ(点線矢印)及び液体の流れ(実線矢印)を示す、血液中の液体除去デバイスと患者との相互作用を示す概略ブロック図であり、この血液中の液体除去デバイスは、本明細書に記載の様々な実施形態で使用することができる。
図5図5は、本明細書に記載される特定の原理の理解を容易にするために提示される、患者の血液区画及び組織区画の間の、液体の流れの概略ブロック図である。
図6図6は、本明細書に記載される特定の原理の理解を容易にするために提示される、患者の血液区画及び組織区画の間の、液体の流れの概略ブロック図である。
図7図7は、本明細書に記載される特定の原理の理解を容易にするために提示される、患者の血液区画及び組織区画の間の、液体の流れの概略ブロック図である。
図8図8は、患者の組織区画及び血液区画の間の、血液(点線の矢印)及び、液体(実線の矢印)の流れ、並びに、血液中の液体除去デバイスを示すのみならず、本明細書において提示した様々な実施形態による、液体のモニターの可能性のある配置を示す概略ブロック図である。
図9図9は、管に対する血液中の液体量のインジケータをモニターするための、センサーの選択された構成要素の概略ブロック図である。
図10図10は、患者の外部のインピーダンスセンサーの選択された構成要素の概略ブロック図である。
図11図11は、患者の体内に移植したインピーダンスセンサーの選択された構成要素の概略ブロック図である。
図12図12は、本明細書に記載の様々な実施形態による、使用の概要を示すフロー図である。
図13図13は、本明細書に記載の様々な実施形態による、使用の概要を示すフロー図である。
図14図14は、本明細書に記載の様々な実施形態による、使用の概要を示すフロー図である。
図15図15は、本明細書に記載の様々な実施形態による、使用の概要を示すフロー図である。
図16図16は、本明細書に記載の様々な実施形態による、使用の概要を示すフロー図である。
図17図17は、本明細書に提示された様々な実施形態により用いることができる血液中の液体除去デバイス又はシステムの選択された構成要素の、概略ブロック図である。
図18図18は、本明細書に提示された様々な実施形態により用いることができる血液中の液体除去デバイス又はシステムの選択された構成要素の、概略ブロック図である。
図19図19は、様々なセンサー及び制御電子装置の相互作用を示す概略ブロック図である。
図20図20は、センサーの選択された構成要素を示す、概略ブロック図である。
【0014】
本明細書に提示した模式図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用される同じ数字は、同じ構成要素、ステップなどを指す。しかしながら、所定の図における構成要素を指す数字の使用は、同じ番号が付けられた別の図面における構成要素を限定することを意図するものではないことを理解するべきである。更に、構成要素を指す異なる数字の使用は、異なる数字を付けた構成要素が同じでも、類似でもないことを示すことを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
以下の詳細な説明において、参照は、その一部を形成する添付の図面について成され、その中において、デバイス、システム及び使用の様々な実施形態を例示する方法により示される。他の実施形態も企図され、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく成され得ることを理解するべきである。以下の詳細な説明は、従って、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0016】
本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、特に断らない限り、当該分野で使用される一般的な意味を有する。本明細書中で提供される定義は、本明細書中で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするものであり、且つ、本開示の範囲を限定するものではない。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」「an」及び「the」は、内容が別段に明確に指示しない限り、複数の表現を有する実施形態を包含する。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、用語「又は(or)」は、一般的に、内容が別段に明確に指示しない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で使用される。
【0019】
本明細書で使用される、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「具備する(comprise)」、「具備する(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、一般的に「〜を含むが、限定されない(including but not limited to)」を意味する。
【0020】
本明細書で使用される、「組織液量」は、患者の組織又は領域中の液体(細胞としてでも固体物としてでもない)の体積を意味し、これは患者全体中の液体であり得る。組織「液体」は、しばしば、間質液と呼ばれる。様々な実施形態において、組織液量、組織液量の変化速度などの内の一つ以上は、本明細書に提示された教示に従ってモニターされる。
【0021】
本明細書で使用される、「血液中の液体量」は、血液中において、細胞としてでも固体物としてでもなく、液体によって占められる血液量の体積又は割合を意味する。様々な実施形態において、血液中の液体量、血液中の液体量の変化速度などの内の一つ以上は、本明細書に提示された教示に従ってモニターされる。
【0022】
本明細書で使用される「血液中の液体除去プロセス」などは、液体が患者の血液から除去され、血液が患者へ戻されるプロセスを指す。ほとんどの場合、血液は浄化もされる;即ち、老廃物が血液から除去され、浄化された血液が患者へ戻される。血液中の液体除去プロセスの例は、限界濾過、血液濾過、血液透析、血液透析濾過、腹膜透析などを含む。血液中の液体除去が示された任意の患者は、本明細書に記載のデバイス、システム及び使用から利益を受けることができる。
【0023】
本明細書で使用される「血液中の液体除去セッションが示された患者」は、少なくとも一回の血液中の液体除去セッションを受けた、受けている、又は受けようとしている患者である。一般的に、そのような患者は、心不全、慢性腎疾患、又は急性腎不全を患う患者などの、液体が過剰の患者である。しばしば、そのような患者は、ステージ3からステージ5の慢性腎臓病患者であり、利尿薬などに無反応又は反応不足である。
【0024】
本開示は、とりわけ、血液中の液体除去セッション中の、血液区画及び組織区画の間の適切な液体バランスを維持するための、システム及び使用に関する。センサーは、組織液量及び血液中の液体量をモニターするために使用され、取得したデータに基づいて、血液中の液体除去手順の間の液体除去速度を、二つの区画の間の適切な液体バランスを確保し、処理時間を最適化するように調整する。
【0025】
血液から、液体又は、液体及び汚染物質を除去するための任意の適切なデバイス又はシステムを、本明細書に提示した教示に従って、使用することができる。デバイス又はその構成要素は、伝統的な大きなカウンセル型(counsel−type)、ウェアラブル型又はインプラント型とすることができる。
【0026】
いくつかの例示的なデバイス及びシステムのブロック図を、図1〜4に示す。図1に示すように、血液を患者10から除去することができ、液体を血液中の液体除去デバイス10を介して除去し、患者10へ戻すことができる。除去された液体を、迂回することができる。血液中の液体除去デバイス100又はシステム又はそれらの構成要素が、インプラントされているいくつかの実施形態において、除去した液体を、患者の膀胱へ迂回させることができる。図1に示すように操作することができる血液中の液体除去デバイス100の例は、限界濾過及び血液濾過デバイスである。本明細書に提示した教示に従って用いることができるそのようなデバイス及びその構成要素の例は、当該技術分野において周知である。透析液を腹腔内に導入する腹膜透析も用いることができることは、理解されるであろう。図1中の点線は、いくつかの実施形態において、(i)除去した液体を、低血圧の発症を回避、軽減又は修正するために、患者の血液中へ再導入又は、収集及び再導入することができるか、又は、(ii)血液浄化デバイス100を介して、逆濾過することができることを示す。
【0027】
そのようなデバイスの内のいくつかでは、液体が、非常に大きな速度で除去されることがある。従って、図2を参照すると、補液を患者の血液中へ導入することができる。図2に示すように、補液を、液体除去の前に元の血液へ加えることができるか、又は、最初の液体除去の後及び患者の心臓血管系へ戻す前に血液へ加えることができる。好ましくは、補液を、最初の液体除去の後に加える。補液又は除去した液体を、例えば、本明細書に記載のシステムによって検出することができるように、低血圧の発症を回避、軽減又は修正するために、患者の血液中へ導入することができる。もちろん、図1に関して上述し、図2に示されるように、除去した液体を、血液浄化デバイス100を介して逆濾過することができる。
【0028】
図3に示される実施形態中に示されるように、血液中の液体除去デバイス100は、患者の血液からの汚染物質の除去、及び、適切なpH及び電解質バランスの維持を補助するために、透析液を用いることができる。使用した透析液及び血液から除去した液体を、迂回させることができる。特に、血液中の液体除去デバイス100又はシステム又はそれらの構成要素がウェアラブル型又はインプラント型である、いくつかの実施形態において、使用した透析液及び除去した液体又はそれらの一部を、血液中の液体除去プロセスにおいて再使用するために、新鮮な透析液を生成するために、再生することができる。透析液の再生のための一システムは、Roberts,M,“The regenerative dialysis(REDY)sorbent system,” Nephrology 4:275−278,1998において記載されるような、REDYシステムであり、このシステムを、本明細書において記載の実施形態において用いるか、使用のために容易に変更することができる。図3の実施形態に示される方法で操作するシステム及びデバイスは、血液透析及び血液透析濾過システムを含む。本明細書に提示された教示に従って用いることができる、そのようなデバイス及びその構成要素の例は、当該技術分野において周知である。新鮮な透析液、使用した透析液又は除去した液体を、例えば、低血圧の発症を回避、軽減又は修正するために、必要又は所望に応じて、血液中へ導入することができる。この場合も、除去した液体を、血液浄化デバイス100を介して逆濾過することができる。
【0029】
図4に示すように、図3の血液中の液体除去デバイス100が、非常に高い速度で血液から液体を除去する場合において、補液を、液体除去の上流又は下流で、患者の血液中へ導入することができる。
【0030】
用いたデバイス又は血液中の液体除去プロセスにかかわらず、血液中の液体を除去した患者における重度の低血圧、心不全又は心臓突然死を避けるために、液体除去量及び速度を制御することが重要である。また、効率の目的のために、液体除去量及び速度を制御することが重要である。つまり、非常にゆっくり液体を除去するのは一般的に安全であっても、そのような低速の除去は、かなりの時間の期間が続く、血液中の液体除去セッションをもたらし得る。そのような低速の除去は、ウェアラブル型又はインプラント型の血液中の液体除去システムについて、許容可能である一方、診療所への患者の訪問を必要とする、大きな独立型システムについては許容されないかもしれない。一般的には既に低い患者の生活の質は、血液から液体をゆっくりと除去するシステムについて必要となる、診療所での長期滞在に苦しむことになり得る。理想的には、血液中の液体除去デバイス又はシステムは、液体除去速度の制御における効果の問題と健康問題とのバランスをとる。
【0031】
もちろん、除去した液体の量もまた、患者の健康維持に重要な変数である。少なすぎる液体が除去された場合、患者が次の血液中の液体除去セッションまで、又は、患者の液体除去処方が変更されるまで、心不全、高血圧、又は他の疾患につながる可能性がある、余分な液体を抱えている。多すぎる液体が除去された場合、患者は、低血圧、意識の喪失、心臓突然死などに苦しみ得る。従って、許容速度のみならず許容量で、血液から液体を除去することが望ましいであろう。
【0032】
図5〜7を参照すると、患者10における組織区画14中及び血液区画12中の液体量の間の関係を示している。図5に示されるように、各区画からの液体除去は存在せず、液体の流れ及び量の平衡(矢印で示す)が、組織区画14及び組織区画12の間で達成される。図6〜7に示すように、血液透析又は限界濾過などの血液中の液体除去プロセスを介した血液区画12からの液体の除去は、組織区画14から血液区画12への液体の流れの変化を引き起こす。しかしながら、血液区画12からの液体除去速度が大きすぎる場合(図6中の矢印の厚さを参照)、組織区画からの液体流の速度(図6中の矢印の厚さを参照)は、血液区画12からの液体損失速度に追いつくのに十分ではないかもしれず、患者の健康状態を危険に晒しかねない。区画間の液体損失のより穏やかな変化(例えば、図7を参照)は、患者の健康の観点からは望ましい場合がある。もちろん、上述のように、血液中の液体除去プロセスの効率を向上させ、患者が液体除去手順へ供される時間を短縮するためには、安全である限りは、血液からの液体除去速度を最大にすることが望ましいかもしれない。
【0033】
実施形態において、透析液(使用する場合)の及び、従って血液の重量オスモル濃度を増加させる薬剤を、液体を患者の組織区画から血液区画へ運ぶ速度を増加させるために、使用することができる。つまり、透析液中の重量オスモル濃度増強剤の濃度を増加させることにより、液体を高い速度で血液から除去することができる。しかしながら、重量オスモル濃度増強剤はまた、透析膜を通過することができ、血液中の濃度が増加する場合、患者に戻される血液は、患者から除去した血液よりも高い重量オスモル濃度を有し得る。そして、より高い重量オスモル濃度を有する血液が、組織から血液中へのより迅速な液体除去をもたらす傾向がある。透析液中で使用される重量オスモル濃度増強剤の濃度は、例えば、開始時に高濃度で、終了時に低濃度など、セッションの過程で変更することができる。用いることができる重量オスモル濃度増強剤の例は、ナトリウム及びブドウ糖を含む。もちろん、他の重量オスモル濃度増強剤も使用することができる。
【0034】
患者の安全性又は効速度を高めるために、組織区画14及び血液区画12の両方からの液体損失又は両方の区画中の液体量をモニターし、相対的な損失又は量が安全な範囲にあるかどうかを判断することが望ましい。血液中の液体量に対する組織液量の適切な比は、患者ごとの基準に基づいて決定することができるか、又は、集団の統計に基づいて最初に設定することができる。一般的なルールとして、時間当たり8%〜10%の割合での血液量の減少は、切迫した血液量減少を引き起こす可能性がある。従って、ほとんどの患者について、血液からの液体除去速度は、時間当たり、8%〜10%未満に設定するべきである。もちろん、より高い速度も、ナトリウムなどの重量オスモル濃度増強剤を、組織から血液への液体輸送速度を向上するために使用する場合に、用いることができる。
【0035】
適切な組織液量を、正常血液及び正常全体積、又は乾燥重量に基づいて、最初に考慮に入れることができる。乾燥重量は、患者の身長、体重、性別、身体組成又は血圧に基づき得る。乾燥重量はまた、血圧及び、痙攣などの不快感を発生した時をモニターすることにより液体除去セッションの間に決定することができる。組織液量のモニターしたインジケータの値は、決定した乾燥重量で、モニターした液体除去値を超えないように、設定することができる。これらの初期の決定及びモニターしたインジケータに基づいて、適切な液体量比は、組織から血液への液体移送速度及び方向に基づき得る。いずれにしても、一旦液体除去の適切な速度が決定されると、モニターした組織液量(又はそのインジケータ)を、確かに適切な比を維持するように、モニターした血液中の液体量(又はそのインジケータ)と組み合わせて、使用することができる。
【0036】
図8を参照すると、組織区画14、血液区画12の液体流損失又は液体量、又は、血液中の液体除去デバイスを100介した液体損失を、確かに適切な流体の比を、血液中の液体除去セッションの間における、血液区画12及び組織区画14中で維持するように、モニターすることができる。一つ以上のセンサー200、210、220等を、一つ以上のこれらの位置において、液体流又は量をモニターするために用いることができる。例えば、センサー200を、組織液量をモニターするために使用でき、センサー210を、血液中の液体量をモニターするために使用でき、センサー220を、血液から迂回された液体流又は量をモニターするために使用できる。
【0037】
血液から除去された液体を補償するために、補液が血液中へ導入される状況において(例えば、図2及び図4及びそれに関した上記の議論を参照)、そのような液体が加えられた後の時点での、血液中の液体量をモニターすることが望ましい場合がある。点線で示されたセンサー210により示されるように、患者10へ戻される血液の液量を、モニターすることができる。もちろん、患者10から出る際と、患者へ戻る際に、血液中の液体量をモニターすることが望ましい可能性がある。血液中の液体量の差は、血液区画12からの実質的な液体損失を決定する。つまり、血液中の液体除去プロセスの間に血液から除去された液体は、いくらかの液体が、患者へ戻る前に血液へ加えられ得るために、血液区画12の全体的な液体損失よりも大きくなり得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、センサー220を、血液区画12からの液体損失を決定するために用いることができる。血液から抽出された液体が、使用された透析液を用いて迂回される状況において(例えば、図3〜4及び上記の関連する議論を参照)、(i)使用された透析液及び除去された血液中の液体、及び、(ii)導入された新鮮な透析液の間の、液体量の差を、抽出された液体の量を決定するために使用することができる。また、血液が患者へ戻される前の血液への液体の添加(例えば、図2及び4及び関連する上記の議論を参照)を、どの位の液体が血液区画12から除去されたのかを、決定するために考慮することができる。
【0039】
液体損失、液体損失速度、又は液体量をモニターするために、任意の適切なセンサーを使用することができる。典型的に、センサーは、間接的に流体量を測定し、従って、直接的に、流体量のインジケータをモニターする。例えば、いくつかの実施形態において、センサー210は、間接的にヘマトクリット(赤血球によって専有される血液量の部分)をモニターする。HEMA METRICS社のCRIT−LINEモニターなどの(HEMA METRICS, CRIT−LINE hematocrit accuracy, Vol. 1, Techn Note No. 11 (Rev. D) February 24, 2003を参照)、任意の適切なヘマトクリットセンサーを使用することができる。健康な成人男性についての典型的なヘマトクリットレベルは、約40%〜54%又は約48%であり、健康な成人女性についての典型的なヘマトクリットレベルは、約37%〜約47%又は約42%である。血液中の液体除去セッションの前に、腎臓病患者の血液の液体量は増加することがあり、従って、ヘマトクリットレベルは所望のものよりも低い可能性がある。血液中の液体除去セッションの終了時に、ヘマトクリットレベルが、健康な個人のヘマトクリットレベルの10%又は5%以内であることが望ましい。従って、血液中の液体量は、典型的な健康な個人のものの、約10%又は約5%以内となるであろう。
【0040】
従って、ヘマトクリットレベル又は、ヘマトクリットレベルの近似値又はインジケータを、血液中の液体量をモニターするために使用することができる。いくつかの実施形態において、ヘモグロビン濃度は、典型的には、赤血球濃度に比例するため、ヘモグロビンレベルを、ヘマトクリットレベル及び血液中の液体量のインジケータとしてモニターする。それぞれ、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの濃度を決定するために、赤色光及び赤外光の吸収度を測定する、パルスオキシメータにおいて使用されるセンサーなどの、任意の適切なセンサーを、ヘモグロビン濃度を測定するために使用することができる。センサー(関連光源(単数又は複数)を含むことができる)は、患者から血液中の液体除去デバイスへ、又は、血液中の液体除去デバイスから患者へ血液を運ぶ管の周りなどの、血液中の液体除去デバイス内などで、任意の適切な位置に配置することができる。いくつかの実施形態において、センサー210を、患者に移植し、ヘモグロビンレベル、従って、ヘマトクリット及び血液中の液体レベルを測定するために、血管の周りに配置する。
【0041】
一例として、図9を参照すると、センサー210及び、血管であってもよい管300の概略図が示されている。光が管300を通過し、検出器215に衝突するように、管300の片側に、適切な波長(赤色又は赤外線)の光源213を配置する。より高いヘモグロビン濃度が管300中に存在する場合、より多くの光が吸収される(そして、検出器215への衝突が少なくなる)。必要な場合には、リード212は、電力及び他の電気信号をセンサーデバイス本体211から光源213へ運ぶ。この本体には、電源及び他の制御電子機器又は検出電子機器を含むことができる。リード217は、センサーデバイス本体211内に収容された構成要素への検出器215からの電気信号を運ぶ。
【0042】
センサー210の配置にかかわらず、管300(血管又は、血液中の液体除去デバイスで使用するための管を問わず)を通過する、既知のヘマトクリットレベルを有する血液の流れをモニターすることにより、センサーを較正することができる。得られた値は、血液中の液体除去セッション中、又はそうでなければ、センサーの使用中に必要とされる、参照のために、参照用テーブルへ格納することができる。いくつかの実施形態において、例えば、液体が血液から除去されるために、吸光度の変化率を比較することによって、血液中の液体量の変化速度を決定することができる。
【0043】
ヘモグロビン検出に関する上記の説明は、血液中の液体量モニターに関して本明細書で提示した教示に従って、どのように既知の検出技術及び構成要素を使用することができるかの例として提供する。他の技術及び構成要素を、血液の液体量をモニターするために使用することができることが、理解されるであろう。例えば、全血中タンパク質又はアルブミン濃度及び血圧を、単独又は組み合わせて、血液量を評価するために使用することができる。一例として、低ヘマトクリット又は低血中タンパク質と組み合わせた高血圧は、血液中の液体の過剰の可能性が高いことを示す。或いは又は更に、血液粘性を、血液中の液体量のインジケータとして使用することができ、圧力又は流量によって測定することができる。
【0044】
再び図8を参照すると、患者10の組織区画14における液体量のモニターに関して、任意の適切なセンサー200を用いることができる。一例として、患者の組織を通る電流の流れのインピーダンスを、組織中の液体量のインジケータとしてモニターすることができる。図10〜11を参照すると、インピーダンスセンサー200を、外部型(図10)又はインプラント型(図11)にすることができる。液量が組織中において上昇するに連れて、インピーダンスが減少する。静電容量、誘電率及びその他の同様の測定値を、これらはインピーダンスに相関しているため、用いることができることを理解するであろう。本開示において、インピーダンスに相関している組織の電気特性のモニターは、「インピーダンス」モニターの定義下に包含されていると考えられる。
【0045】
図10に示すように、インピーダンスを、電極203及び205の間でモニターすることができる。電極203、205は、リードを介して制御及び処理電子機器201に作動可能に結合されている。電子機器201は、電極203、205の間の電圧差を生成するように設定されており、電流を測定し、インピーダンスを算出する。測定は、DC又はACモードのいずれかで行うことができる。インピーダンス又は位相角は、組織液量に相関し得る。本明細書に記載の教示に従って使用することができる適切な外部インピーダンスモニター200及び構成要素が、当該技術分野で知られており、記載されている。
【0046】
図11に示す例において、制御電子機器201を含む導電性筐体は、電極205への参照電極として機能する。インピーダンスを、筐体及び電極205の間で組織内においてモニターする。電極205は、リード207を介して制御電子機器210へ結合されている。図11に示すように、制御電子機器201は、モニターしたインピーダンスに関するデータを送信する目的のために、患者の外側のデバイスへ無線で通信されるように構成されている。そのような無線通信を、任意の他の種類のインプラント型センサーと共に使用することができる。
【0047】
組織液量をモニターする目的のための組織インピーダンス検知は、十分に文書化されている。本明細書中で使用することができるか、又は使用のために修正することができる、よく研究されたシステムの一例は、Medtronic社のOptiVol(登録商標)液体状況モニターシステムである。そのようなシステム又は他の類似のシステムは、組織インピーダンス及び、従って流体量の許容範囲を決定するための、よく文書化された手順を有する。例えば、(i)Siegenthalar, et al. Journal of Clinical Monitoring and Computing (2010): 24:449−451、及び(ii)Wang, Am. J. Cardiology, 99(Suppl):3G−l−G, May 21, 2007を参照。或いは又は更に、適切なベースラインとして確立するため、適切な時間、組織インピーダンスをモニターすることができ、患者の液体が過剰又は不足であるかどうかを指示するために、患者のマーカー又は臨床医の入力を使用することができる。インピーダンスセンサーにより取得されたデータ及びセンサーデータを取得した時点での患者の液体状態に関する入力データを、インピーダンス値についての適切な範囲を確立するために使用することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、二つ以上のOptiVol(登録商標)液体状態モニターシステムなどの、二つ以上のインプラントされたインピーダンスセンサーを用いることができる。センサーを、異なる組織、同じ組織の異なる領域などのインピーダンスをモニターするように、構成又は配置することができる。センサーの二重化により、センサーが故障した場合に、又は、他のセンサーから得られた測定値のチェックとして、冗長性を提供することができる。いくつかの場合において、センサーにより検出される組織液変化は、慢性心不全又は腎疾患以外の症状に起因し得る。例えば、肺液の増加は、肺炎に起因し得る。そのような液体は、血液中の液体除去セッションの必要性を示さないかもしれない。例えば腹腔液などをモニターするために第二のインピーダンスセンサーを配置することにより、チェックを、配置されたセンサー上に配置することができ、肺液量をモニターするように構成することができる。センサーを、センサーの測定値が顕著に異なっているかどうかを判断するために、互いに又は別のデバイスと通信するように構成してもよい。
【0049】
インピーダンスモニターに関する上記の説明は、組織液量モニターに関して本明細書に記載した教示に従って、どのように既知のセンシング技術及び構成要素を用いることができるかの例として提供する。組織液量をモニターするために、他の技術及び構成要素を使用することができることは、理解されるであろう。例えば、ナトリウム、カリウム又はカルシウム等の電解質の濃度を、イオン選択性電極を用いて、組織中で測定することができ、濃度が高い程、組織液の量は少ない。更なる例として、液量の変化に伴う組織の拡張又は収縮を測定するために、圧力センサーを組織内に配置することができ、組織についての弾性率又は応力−ひずみ曲線を測定するために、応力及びひずみセンサーを用いることができ、且つ、異なる組織液量へ関連付けるために使用することができ、組織の応力緩和又はクリーププロファイルを、測定し、異なる流量などに関連付けることができる。間接的な組織液モニターの別の例は、肺雑音の測定であり、これは、空気流のインピーダンスに起因する、流体の過剰時に大きくなる傾向がある。
【0050】
図8を再び参照すると、センサー220は、流量センサー、重量センサー又は液量又はそのインジケータをモニターすることができる、任意の他の適切なセンサーであり得る。一つ以上のそのようなセンサー220を、血液中の液体除去セッション中に、どの位の液体が血液から除去されるのかを決定するのを補助するために、用いることができる。液量を決定するための他の適切な方法は、計量ポンプを用いること、又は、圧力センサーを用いること、及び、管の直径を知ること、体積を計算することを含む。
【0051】
図8において独立したものとして示されているが、一つ以上のセンサー200、210、220又はそれらの構成要素を、センサー電子機器を含む筐体又は血液中の液体除去デバイスの筐体などの、単一の筐体内に収容することができることを理解されたい。
【0052】
図12〜16を参照すると、血液中の液体量及び組織液量のモニターに関して本明細書中で用いることができるいくつかの代表的な使用を、フロー図として示している。様々なフロー図が、本明細書に記載の使用の特定の適切な態様を強調するために示され、たとえそれらが別個のフロー図で示されていても、一つのフロー図に示されている使用のステップは、容易に交換可能であるか、又は、別のフロー図に示されたステップへ加えられてもよいことが理解されるであろう。
【0053】
図12に示した実施形態において、血液中の液体除去セッションを開始し(500)、組織液量(510)及び血液中の液体量(520)のインジケータをモニターする。もちろん、血液中の液体除去セッションは、特にインプラント型の血液中の液体除去デバイスでは、本質的に連続的であってよい。血液中の流体除去セッションが設定された期間又は無制限に持続するかどうかにかかわらず、組織液量に対する血液中の液体量の比を比較し、その比が所定の許容範囲外であるか否かの判断をする(520)。比が所定の範囲外ではないと判断された場合、血液中の液体除去セッションは、血液からの液体除去についての予め設定されたパラメータを用いて継続する。比が所定の範囲外であると判断された場合、血液からの液体除去速度を、変更する(540)。
【0054】
例えば、血液中の液体量に対する組織液量の比が所定の閾値を超える場合、流体除去速度を減少させることができる。つまり、多すぎる液体が血液から取り出されている場合、又は、組織からの流体が血液量を満たすことができる速度よりも速い速度で、液体が除去された場合、血液中の液体量に対する組織液量の比が増加する。比が所定の許容レベルを超える程度まで増加した場合、流体除去速度を減少させ、組織からの液体が血液へ流入するためのより多くの時間を与えて血液区画及び組織区画中の液体を適切なバランスへしむけ、患者の健康に悪影響を有する可能性がある望ましくない流体の不均衡を避ける。
【0055】
対照的に、血液中の液体量に対する組織液量の比が所定の閾値未満である場合、血液からの液体除去速度を増加させることができる。例えば、効率の目的のために、安全且つ効率的な速さで余分な液体を追い出すために、血液区画及び組織区画の間の、僅かであるが安全な液体不均衡を維持することが望ましい。血液中の液体量に対する組織液量の低い比が、患者への健康上のリスクをもたらさないかもしれないが(液体の十分な量が最終的に除去されている場合)、患者が血液中の液体除去プロセスを施される時間を、不必要に延長しかねない。従って、血液中の液体除去セッションの間の組織液量及び血液中の液体量をモニターすることにより、液体除去速度を、患者の安全性を高め、血液中の液体除去プロセスの効率を向上させるために、モニターされたインジケータに基づいて、細かく制御することができる。
【0056】
血液中の液体量に対する組織液量の比が低すぎることはまた、患者へ血液を戻す前に、非常に多くの補液が血液へ加えられることを示す。従って、補液が加えられた速度を、減少させ得る(効果的に、本開示の目的のために、除去速度を増加させる)。
【0057】
血液中の液体量に対する組織液量の適正範囲は、任意の適切な方法で決定することができる。例えば、患者の乾燥重量での比を、基準として画定することができる。一般に、血液は体重の約7%であり、総組織液は体重(血液、細胞外液及び細胞内液を含む)の約60%である。従って、健康な個人の血液中の液体量に対する組織液量の比は、53/7、又は7.6である(例えば、6〜9の範囲)。これを、達成すべき血液中の液体量に対する組織液量の適切な比についての、開始点として使用することができる。或いは、又は更に、参照比は、治療過程全体に渡る学習プロセスで得られ、患者に依存し得る。血液量に対する組織量の比率の変化パターンは(又は、そのインジケータ)を、学習プロセスを通して最適化することができる。最適化されたパターンが学習されると、患者ごとに優れた効果を達成するために、個人かされた治療を導くために使用することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、血液及び組織の両方の変化率を調べる、学習アルゴリズム又は進化アルゴリズムを使用する。変化率の差を、組織及び血液区分間の液体交換の一定の時間を決定するために使用することができる。組織及び血液区画の間の遅い移行を考慮に入れながら、この情報を、最終的な状態についてのヘマトクリット値(又は、血液中の液体量の他のインジケータ)についての標的を確立するために使用することができる。これは、液体除去速度を動的に調整するために、使用することができる。制限を、患者又は臨床医の入力により確立することができる。初期キャリブレーションを学習し得るし、又は、体重若しくは他の実験室外の入力などの他の情報を利用することができる。
【0059】
図13を参照すると、図12に示したのと同様の使用が示されている。図13において、使用は、モニターしたインジケータ(510)に基づいて組織液量を示す値を計算(515)すること、及び、モニターしたインジケータ(520)に基づいて血液量を示す値を計算(525)することを含む。血液中の液体量に対する組織液量の比を、図12に示すように、モニターしたインジケータ自身について得られた値よりもむしろ、これらの計算した値に基づいて決定(530)することができる。いずれの場合も、組織液量及び血液中の液体量のインジケータが量を予測する方法の違いを考慮に入れれば、結果は本質的に同じである。
【0060】
例えば、組織液量を、インピーダンスにより決定する場合、組織液量中の増加は、インピーダンスの増加をもたらし得る。しかしながら、ヘマトクリットレベルが、血液中の液体量を決定するために使用された場合は、血液中の液体量の増加は、ヘマトクリットレベルの減少をもたらす。従って、図12中の実施例における比に関する決定が、ヘマトクリットの増加が血液中の液体量の減少を示すことを考慮する場合、最終結果が、図13の使用において得られるのと本質的に同じである。別の言い方をすれば、ヘマトクリットに対するインピーダンスの比は、血液中の液体量に対する組織液量の比から異なって変化することが理解され、考慮された場合、図12及び図13の使用は、血液から液体が除去される速度を変更することに関して、同様の結果を生成する。
【0061】
図14に示すように、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の使用は、患者の安全性の目的のために、そのような値の比に加えて、モニターした組織液量(510)又は血液中の液体量(520)のみのインジケータを使用する。図14に示すように、個々にモニターされた、組織液量又は血液中の液体量の指標が、所定の許容範囲内であるか否かを判定することができる(590)。例えば、組織液量又は血液中の液体量が、容認できないほど低い(比が許容範囲内であっても)又は高すぎる場合、血液からの液体除去速度を変更することができる(540)。例示として、組織液量のインジケータの値が、近似乾燥重量体積を示す場合、乾燥重量体積に達する前に、血液中の液体量に対する組織液量の適切な比を到達させることを可能にするために、血液からの液体の除去速度を減少させることができる。従って、いくつかの実施形態において、組織液量の血液のモニターされたインジケータの値が所定の範囲外であるか否かを判定するための閾値を、血液中の液体量に対する組織液量の比に基づいて変更することができる。例えば、血液中の液体量に対する組織の比が高い場合(血液からの液体除去が速いことを示す)、組織液量の低閾値(例えば、乾燥重量に近づく)は、乾燥重量組織液量を超過することを避けるために、血液中の液体量に対する組織の比が低い(血液からの除去速度があまり速くないことを示す)場合よりも、より高い可能性がある。
【0062】
また、図14に示すように、組織又は血液中の高すぎる又は低すぎる液体量に関する、潜在的に危険な患者の健康状態が存在していることを患者又は医療提供者に警告するための、音声又は視覚警報などの警告を提供することができる(496)。
【0063】
ここで図15を参照すると、図12に示したのと同様の使用を示している。図15中の使用は、血液中の液体除去セッションの開始(500)前に、組織液量のインジケータについてのベースライン値を得ること(498)又は、血液中の液体量のインジケータについてのベースライン値を得ること(499)を含む。ベースライン値の内の一つ又は両方を、血液中の液体除去セッションについての液体除去のための初期用量又は処方を決定するために、使用することができる(490)。血液からの液体除去速度を、セッション中に生じるモニタリング(510、520)に基づいて、血液中の液体除去セッションの間に調整することができる(540)。
【0064】
ここで図16を参照すると、図12に示したのと同様の使用を示している。図16中の使用は、図15に示した使用と同様に、血液中の液体除去セッションの開始(500)前に、組織液量のインジケータについてのベースライン値を得ること(498)又は、血液中の液体量のインジケータについてのベースライン値を得ること(499)を含む。値が、所定の許容範囲外であると決定された場合(497)、血液中の液体除去セッションを開始(500)することができる。そのような使用は、血液中の液体除去セッションが自動的に開始されるため、血液中の液体除去デバイス及びモニターセンサーが移植されるか、又は連続運転又は操作が可能である状況において、有利に用いることができる。或いは又は更に、図16に示す使用は、血液中の液体除去セッションが勧められていることを示す、患者又は医療提供者へ警告を提供すること(496)を含むことができる。
【0065】
低血圧は、透析の間の主な合併症である(25〜60%)。リアルタイム血圧センサー又は他の血液量センサーを含むことができる、本明細書に記載の使用を用いて、例えば、フィードフォワード基準で、差し迫った血圧の変化又はレベルを予測することができる。従って、人が問題があると見る時にだけ、液体除去速度を調整し始めるという現在の標準的な治療とは対照的に、液体除去速度を、低血圧の状況を避けるために、液体除去セッション中に収集されたデータに基づいて調整することができる。乾燥重量及び患者の治療コースから例えば上述したように学習した、最適化された血液中の液体に対する組織液の比は、予測したプロセスが、効果的且つ実用的であるのに役立ち得る。必要又は所望であれば、例えば図1〜4について上述したように、低血圧の発症を回避するため、軽減するため又は修正するために、患者へ戻される前に、補液、透析液又は除去した液体を血液中へ導入することができる。
【0066】
図12〜16について記載し、示した使用などの上述した使用を、上述の図1〜4に示し、記載したものなどの、任意の適切な血液中の液体除去デバイス又はシステムに適用することができる。更に、任意の適切なセンサー、センサー構成、配置又は向きを、本明細書に記載した使用を実施する場合に、図8〜11について上記で示し、記載したものなどのように、用いることができる。以下の図17〜20中に提供した図において、血液中の液体除去デバイス100又はシステム及びセンサー200、210、220の様々な特定の構成を示す。しかしながら、特定のデバイス100及びセンサー200、210、220の相互作用を説明の目的のために示したこと、及び、他のデバイス及び構成を用いることができることは、理解されるであろう。
【0067】
図17を参照すると、血液中の液体除去デバイス100の選択された構成要素の概略ブロック図を示す。図示の実施形態において、デバイスは、患者から血液を受け取るための注入口110と、注入口110と連通し、血液から液体及び汚染物質を除去するための媒体130を介して血液が流れる速度を制御するように構成された血流制御要素120を有する。デバイスはまた、患者へ血液を戻すための、媒体130と連通する排出口140を含む。図示した実施形態において、媒体130は、血液透析又は血液透析濾過フィルターなどの半透膜135を含む。膜は、媒体130の透析流区画から血流区画を分離する。デバイス100は、新鮮な透析液を受け取るための注入口160を有する。注入口160は、媒体130の透析流区画へ透析液を導入する速度を制御するための、透析流制御要素170と連通する。デバイスはまた、使用した透析液及び血液から除去された液体をデバイスから迂回するための、媒体130と連通している排出口180を有する。図示した実施形態において、デバイスはまた、必要又は所望により、媒体構成要素130の透析液区画と連通する負圧制御要素190を含む。デバイス100はまた、プロセッサ等を含むことができる、血流制御要素120、透析流制御要素170、及び負圧制御要素190に作動可能に連結され、これらを制御するように構成されている制御要素150を含む。
【0068】
血液中の液体量又は組織液量をモニターするセンサーから受信した情報に基づいて、患者の血液から液体を除去する速度を調整するために、制御電子機器150は、血流制御要素120、透析液流制御要素170、及び負圧制御要素190の内の一つ又は複数を制御することができる。例えば、媒体構成要素130を介する血液の流速を変更すること(血流制御要素120を介して)は、膜を横切る流体の浄化値を変更し得る。媒体構成要素130を介する透析液の流れを変更すること(透析液流制御要素170を介して)は、同様に、膜を横切る流体の浄化値を変更し得る。負圧(負圧制御要素190を介して)を膜135の透析液区画側へ印加することができ、対流力による、膜を横切る流体のより大きい浄化値をもたらし得る。デバイス100は、組織液量及び血液中の液量のインジケータをモニターするセンサーからのデータに基づいて、効果的に血液からの液体除去速度を制御するための、図17に示された制御可能な要素(120、170、190)の全てを有する必要はないことが理解されるであろう。
【0069】
任意の適切な血流制御要素120を、膜構成要素130を介する血流を制御するために使用することができる。例えば、可変又は調整可能な速度のポンプを用いることができる。或いは又は更に、流れに対する異なる抵抗を有する連通流路における一連の電子制御可能弁を、用いることができる(そのような場合において、流量制限器は、好ましくは、媒体構成要素130の下流側となる)。透析流制御要素170は、血流制御要素120と同様の構成要素を含むか、又は、同様に構成することができる。負圧制御要素120は、ポンプなどを含み得る。
【0070】
ここで、図17におけるものと同じ番号が付けられている構成要素が同一又は類似の構成要素を指す図18を参照すると、デバイス100は、患者に戻される前に、血液へ補液を追加するための液体経路を含み得る。デバイス100は、補液を受け取るための注入口197、及び、注入口と連通し、補液を血液へ加える速度を制御するように構成された補液流制御要素195を含む。制御電子機器150は、作動可能に補液流制御要素195と結合し、血液中の液体量又は組織液量をモニターするセンサーから受信したデータに基づいて、補液流制御要素195が血液へ液体を加える速度を制御するように構成される。流体が血液へ導入される速度を制御することにより、血液からの効果的な液体除去速度を制御する。
【0071】
任意の適切な補液流制御要素195を、患者へ戻す前の、血液への補液の流れを制御するために使用することができる。補液流制御要素195は、図18に関して上述したような、血流制御要素120と同様の構成要素を含み得、又は、同様に構成することができる。
【0072】
上述し、図19に示したように、一つ以上の検知デバイス200、210、220又は検知構成要素は、血液中の液体除去デバイス100又はシステムの制御電子機器150と通信することができる。通信は、直接的又は間接的であり得る。つまり、検出器及びフィルター、アナログ−デジタル変換器などの適切な電子機器を、リードを介して、デバイス100の検知電子機器150と、直接的に結合することができる。或いは、検知デバイスは、モニターしたデータを取得し、データを、デバイスの検知電子機器150へ送信することができる。いずれにしても、検知電子機器を、例えば、上述のような検知した情報に基づいて、血液からの液体の除去速度を制御するように構成されている。
【0073】
いくつかの実施形態において、コンピュータ可読媒体は、例えば、図12〜16について示され、上述された使用などの上述の使用を、制御電子機器のプロセッサへ実施させる命令を含む。コンピュータ可読媒体は、非一時的であり得る(例えば、メモリに格納されている等)。
【0074】
例示の目的のために、独立した検知デバイス200のブロック図を図20に示す。図示した検知デバイスは、インピーダンスセンサーであるが、このセンサーに関する議論は、他の種類のセンサーへ容易に適用可能である。図示したセンサーは、インプラント型であり、電極205に対しての対極として機能する、密封された伝導性筐体299を有する。電極205は、フィードスルー(図示せず)を介して筐体へ入るリード207を介して、インピーダンス検出及び電圧発生回路296へ、作動可能に連結されている。回路296は、作動可能に、電源297及び制御電子機器295へ結合されており、制御電子機器は、プロセッサ294及び検知されたデータ及びプロセッサ命令を格納するためのメモリ293を含む。制御電子機器はまた、作動可能に、バッテリ等であり得る電源297及び、特許外のデバイスと無線的に通信するために、テレメトリ回路289へ結合されている。いくつかの実施形態において、テレメトリ回路は、検知デバイス200が、液体量のモニターしたインジケータに関するデータを、直接的に、適切なテレメトリ回路を備える血液中の液体除去デバイス又はシステムへ送信することを可能にする(図17〜18には示していない)。
【0075】
もちろん、検知デバイスは、本明細書で提示される教示に従って、血液からの液体の除去速度を制御するためのデータを使用するために、データを血液中の液体除去デバイス又はシステムへ送る前に、一つ以上の中間デバイスと通信することができる。
【0076】
使用、システム、デバイス、コンピュータ可読媒体などの様々な態様を、本明細書中に記載する。本明細書に記載のいくつかの態様の概要を以下に提示する。
【0077】
第一の態様において、血液中の液体除去デバイスにより実施される使用を記載する。使用は、(i)患者の血液中の液体除去セッションを開始すること;(ii)血液中の液体除去セッションの間に、患者の組織液量又はその一部のインジケータをモニターすること;(iii)血液中の液体除去セッションの間に、患者の血液中の液体量のインジケータをモニターすること;(iv)血液中の液体量のインジケータに対する組織液量のインジケータの比が、所定の範囲外であるか否かを決定すること;(v)その比が所定の範囲外であると決定された場合、血液中の液体除去セッションの間に、液体除去速度を変更すること、を含む。
【0078】
第二の態様は、第一の態様の使用であり、ここで前記所定の範囲は、血液中の液体除去セッションを開始する前に得られた、組織液量のインジケータ及び血液中の液体量のインジケータの測定値に基づく。
【0079】
第三の態様は、第一又は第二の態様の使用であり、血液中の液体量のインジケータに対する組織液量のインジケータの比が、所定の範囲外であり、血液中の液体量に対する組織液量の閾値を超えていることを示す場合、液体除去の速度を減少させる。
【0080】
第四の態様は、第一の態様〜第三の態様の内の任意の一つの使用であり、血液中の液体量のインジケータに対する組織液量のインジケータの比が所定の範囲外であり、血液中の液体量に対する組織液量の閾値を下回ったことを示す場合、液体除去の速度を増加させる。
【0081】
第五の態様は、第一の態様〜第四の態様の内の任意の一つの使用であり、更に、血液中の液体除去セッションの開始前に患者の組織液量のインジケータをモニターすること、又は、血液中の液体除去セッションの開始前に患者の血液中の液体量のインジケータをモニターすること;及び、血液中の液体除去セッションを開始する前にモニターされた組織液量のインジケータ、又は、血液中の液体除去セッションを開始する前にモニターされた血液中の液体量のインジケータに基づいて、血液中の液体除去セッションのための初期流体量除去処方を設定することを含む。
【0082】
第六の態様は、請求項5の使用であり、血液中の液体除去セッションの開始前の患者の組織液量のインジケータのモニター又は、血液中の液体除去セッションの開始前の患者の血液中の液体量のインジケータのモニターは、慢性的に、組織液量のインジケータをモニターすることを含む。
【0083】
第七の態様は、第六の態様の使用であり、更に、(i)血液中の液体除去セッションの開始前にモニターされた、組織液量のインジケータ又は血液中の液体量のインジケータが、所定の閾値を超えるか否かを決定すること、及び、(ii)インジケータが閾値を超えた場合、血液中の液体除去センションをスケジューリングすること、又は警告を提供すること、を含む。
【0084】
第八の態様は、第一の態様〜第七の態様の内の任意のものの使用であり、更に、(i)組織液量のインジケータが所定の範囲外であるか否かを決定すること、又は、血液中の液体量のインジケータが所定の範囲外であるか否かを決定すること;及び、(ii)組織液量のインジケータが所定の範囲外であると決定された場合、又は、血液中の液体量のインジケータが所定の範囲外であると決定された場合に、液体除去速度を変更すること、を含む。
【0085】
第九の態様は、第八の態様の使用であり、ここで、組織液量のインジケータの所定の範囲又は、血液中の液体量の所定の範囲が、血液中の液体量に対する組織液量のインジケータの比に基づいて決定される。
【0086】
第十の態様は、第八の態様又は第九の態様の使用であり、組織液量のインジケータが、所定の範囲外であるか否かについての決定が成される。
【0087】
第十一の態様は、第一の態様〜第十の態様の内の任意のものの使用であり、組織液量のインジケータは、患者の組織を通過する電気の流れのインピーダンスである。
【0088】
第十二の態様は、請求項11の使用であり、インピーダンスは、患者の皮膚に接触して配置された二つの電極の間で測定される。
【0089】
第十三の態様は、第一の態様〜第十二の態様の内の任意のものの使用であり、血液中の液体量のインジケータのモニターは、ヘマトクリットレベル又はそのインジケータの測定を含む。
【0090】
第十四の態様は、第十三の態様の使用であり、ヘマトクリットレベル又はそのインジケータの測定は、酸素化ヘモグロビン濃度の測定を含む。
【0091】
第十五の態様は、(i)患者の血液中の液体除去セッションを開始すること;(ii)血液中の液体除去セッション中の、患者の組織液量又はその一部のインジケータをモニターすること;(iii)モニターした組織液量のインジケータに基づいて、組織液量を示す値を計算すること;(iv)血液中の液体除去セッション中に、患者の血液中の液体量のインジケータをモニターすること;(v)血液中の液体量のモニターしたインジケータに基づいて、血液中の液体量を示す値を計算すること;(vi)血液中の液体量を示す値に対する組織液量を示す値の比が、所定の範囲外であるか否かを決定すること;及び、(vii)比が所定の範囲外であることが決定された場合、血液中の液体除去セッション中の液体除去速度を変更すること、を含む使用である。
【0092】
第十六の態様は、(a)(i)患者からの血液を受け取るための注入口、(ii)患者からの血液を戻すための第一の排出口、(iii)注入口及び第一の排出口の間に配置された、血液から液体及び汚染物質を除去するための媒体、(iv)液体除去速度制御装置;及び(v)除去した液体及び汚染物質の流れのための第二の排出口、を含む血液中の液体除去デバイス;(b)組織液量のインジケータをモニターするための第一のセンサー;(c)血液中の液体量のインジケータをモニターするための第二のセンサー;(d)組織液量のインジケータをモニターするためのセンサー、血液中の液体量のインジケータをモニターするためのセンサー;及び、流体除去速度制御機器と作動可能に通信する制御電子機器を含み、前記制御電子機器は、第一のセンサー及び第二のセンサーから得られたデータに基づいて液体が除去される速度を調整するように構成されている、システム。
【0093】
第十七の態様は、第十六の態様のシステムであり、更に、コンピュータ可読媒体を含み、コンピュータ可読媒体は、制御電子機器に、第一のセンサー及び第二のセンサーから得られたデータに基づいて液体を除去する速度を調整させる命令を含む。
【0094】
第十八の態様は、第十六の態様のシステムであり、コンピュータ可読媒体は、制御電子機器に、(i)それぞれ、第一及び第二のセンサーから得られたデータに基づいて、血液中の液体量のインジケータに対する、組織液量のインジケータの比を計算させ、(ii)計算した比が所定の範囲外であるか否かを決定させ、(iii)比が所定の範囲外であると決定された場合に、液体除去速度を変更させる、命令を含む。
【0095】
第十九の態様は、第十六の態様のシステムであり、コンピュータ可読媒体は、制御電子機器に、(i)第一のセンサーから得られたデータに基づいて、組織液量を示す値を計算させ、(ii)第二のセンサーから得られたデータに基づいて、血液中の液体量を示す値を計算させ、(iii)血液中の液体量を示す値に対する組織液量を示す値の比が、所定の範囲外であるか否かを決定させ;及び、(iv)比が所定の範囲外であると決定された場合、液体除去速度を変更させる、命令を含む。
【0096】
第二十の態様は、第十六〜第十九の態様の内の任意のシステムであり、液体除去速度制御装置は、血液中の液体制御部、負圧制御部、透析液流量制御部、及び、新鮮な液体流量制御部の内の一つ以上を含む。
【0097】
第二十一の態様は、第十六〜第二十の態様の内の任意のシステムであり、血液からの液体及び汚染物質の除去のための媒体は、濾過膜を含む。
【0098】
第二十三の態様は、第十六〜第二十一の態様の内の任意のシステムであり、第一のセンサー、第二のセンサー及び制御電子機器の内の一つ以上の構成要素は、血液中の液体除去デバイス内に収容されている。
【0099】
このようにして、腎疾患を有する患者のための、液量モニターについての、システム、デバイス及び使用を記載する。当業者は、本明細書に記載の好ましい実施形態は、添付の特許請求の範囲に画定された、本開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、変更又は修正することができることを理解するであろう。
【0100】
以下の特許請求の範囲において、指定子「第一の」「第二の」「第三の」などが、構成要素を区別する目的のために用いられるが、構成要素を列挙する目的のためでも、構成要素の並びを画定するためのものでもない。例えば、「第三の」センサーは、必ずしも三つセンサーがあることを意味するものではなく、むしろ、「第三の」センサーは、「第一の」センサーから異なっていることを意味するものである。更なる例として、「第三の」センサーは、必ずしも「第一の」センサーよりも時間的に後に来る必要はない。
図1
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