(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705405
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】発光ダイオードディスプレイのためのハイブリッドドライバ
(51)【国際特許分類】
G09G 3/32 20060101AFI20150402BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20150402BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20150402BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 611J
G09G3/20 621F
G09G3/20 623R
G09G3/20 623Y
H01L33/00 J
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2008-150378(P2008-150378)
(22)【出願日】2008年6月9日
(65)【公開番号】特開2009-25806(P2009-25806A)
(43)【公開日】2009年2月5日
【審査請求日】2011年6月8日
【審判番号】不服2014-3444(P2014-3444/J1)
【審判請求日】2014年2月25日
(31)【優先権主張番号】11/759,777
(32)【優先日】2007年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100107696
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 文俊
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エフ・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】カルリ・アール・サーマ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・エイ・ルーシュ
【合議体】
【審判長】
森 竜介
【審判官】
中塚 直樹
【審判官】
武田 知晋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−66908(JP,A)
【文献】
特開2005−346076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)のピクセルの列を備えるディスプレイの輝度を制御するためのドライバであって、
各LEDピクセルのための複数の輝度レベルを表す複数の事前充電電圧値を含む、少なくともピクセル電流のフィードスルー効果を補償するためにプログラム可能なルックアップテーブルと、
事前充電電圧を前記LEDピクセルの列へ供給するよう構成された事前充電回路と、前記事前充電電圧は前記ルックアップテーブルにおける前記複数の事前充電電圧値のひとつに等しく、
電流を前記LEDピクセルの列へ供給するよう構成されたプログラミング回路と、
前記事前充電回路および前記プログラミング回路のうち1つを、前記LEDピクセルの列へ選択的に結合するよう構成されたスイッチと
を備える、装置。
【請求項2】
複数の列に配列された発光ダイオード(LED)のピクセルのアレイと、
事前充電電圧を少なくとも1つのLEDピクセルの列に選択的に供給するよう各々を構成した複数の事前充電回路と、
電流を少なくとも1つのLEDピクセルの列に選択的に供給するよう各々を構成した複数の電流源と、を備え、
各前記事前充電回路は各LEDピクセルのための複数の輝度レベルを表す複数の事前充電電圧値を含む少なくともピクセル電流のフィードスルー効果を補償するためにプログラム可能なルックアップテーブルを含み、前記事前充電電圧は前記ルックアップテーブルにおける前記複数の事前充電電圧値のひとつに等しい、
ディスプレイ。
【請求項3】
複数の輝度レベルによって特性付けられた発光ダイオード(LED)のピクセルの複数の列を含むディスプレイの輝度を制御するための方法であって、前記ディスプレイは、
前記複数の輝度レベルから選択された、目標とする輝度レベルに基づき、前記LEDピクセルの列の各々に対する事前充電電圧を決定するステップと、
前記LEDピクセルの列の各々に各LEDピクセルのための複数の輝度レベルを表す複数の事前充電電圧値を含む少なくともピクセル電流のフィードスルー効果を補償するためにプログラム可能なルックアップテーブルから前記決定した事前充電電圧を供給するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概してディスプレイに関係し、特に発光ダイオード(LED)ディスプレイのためのハイブリッドドライバに関係する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス発光ダイオードディスプレイは、アクティブマトリクス液晶ディスプレイと比較したとき、多くの潜在的利点を提供する。幾つかの利点は、画像の品質が優れていること、薄型であること、低消費電力であることおよび低価格であることを含むが、それらに限定されない。
【0003】
現在は、2つの異なる方法、すなわち、電圧プログラミングおよび電流プログラミング、を使用して、アクティブマトリクス液晶ディスプレイのアドレス指定をしている。電圧プログラミング方法は、電圧プログラミングモードで動作するディスプレイドライバの大きなベースが取り付けられることにより、利益を得る。しかし、電圧プログラムされるピクセル回路は、そのディスプレイの表面を横切るピクセルTFT駆動電流の変動に対して補償をする能力の不足に悩まされており、この能力不足は、このディスプレイの輝度の不均一性を招いている。電流プログラミング方法は、そのディスプレイ表面を横切る駆動TFT性能の変動に対して補償をすることができ、その結果、電圧プログラムされるピクセルよりも良好なディスプレイの輝度および色の均一性を生じさせる。これら理由により、電流プログラムされるピクセルは、電圧プログラムされるピクセル以上に好まれてきた。
【0004】
上述のように好まれるにもかかわらず、電流プログラムされるLEDディスプレイは、特にグレーレベルが低くなると、電圧プログラムされるピクセルよりも長いピクセルプログラミング時間を呈するようになるという1つの欠点を有している。より長いピクセルプログラミング時間が生じるのは、電流プログラムされるディスプレイが、インチあたり80の色グループ(CGPI)解像度をもつ典型的な8ビットディスプレイドライバに対して、小さなプログラミング電流(例えば7.8nAから2μA)を典型的に使用し、またはより高解像度ディスプレイにおけるより小さなピクセルサイズに対して、よりいっそう小さな電流を使用するからである。このプログラミング時間が長くなることに対する1つの理由は、ピクセルが適切にプログラムできる前に、データバス容量を充電する必要があり、そしてこのデータバス容量は、そのピクセル容量よりも有意に大きいため、これら小さな量のプログラミング電流でこのデータバス容量を充電するためには有意の時間量がかかる。電流モードの列ドライバにおいて、遅いピクセルデータプログラミング時間のこの問題を解決するため、米国特許番号7,012,378および7,167,406において説明されているように、電圧事前充電方法が発展してきた。米国特許番号7,012,378は、短い事前充電間隔の間、ディスプレイのデータバスに逐次に(行が走査されるので)固定DC事前充電電圧を印加し、それからピクセルに電流プログラミングを適用することによって、この問題に取り組んでいる。DC電圧の事前充電は、低い輝度(低いプログラミング電流)で電流プログラムされるピクセルの操作を改善する。しかし、極めて低い輝度レベル(グレーレベル)が極めて高い輝度レベルとは異なるDC事前充電電圧を要求するために、この固定DC事前充電電圧は、極めて制限された範囲のディスプレイの輝度レベル(グレーレベル)に対して有用である。一方、米国特許番号7,167,406は、所望のピクセルプログラミング電流に比例した事前充電電圧を提供することにより、この事前充電電圧の有用性を拡張している。しかし、米国特許番号7,167,406に説明された方法に対しては、なお重大な欠点が存在する。1つの欠点は、赤、緑、青(R,G,B)のLEDピクセルに対する駆動要求が異なること、およびピクセル電流のフィードスルー効果により、比例DC事前充電電圧の使用が、十分なディスプレイの色および輝度の均一性にならないことである。このピクセルフィードスルー電流は、そのプログラミング時間終了時のピクセルTFTのスイッチング結果であり、そのLEDを流れる電流を、プログラムされる値からΔIpだけ増加または減少させることがある。この現象は、所望のピクセル輝度より低いピクセル輝度を生成し、このΔIpの値は、そのピクセルのグレーレベルおよびその駆動TFTの寄生容量に従うことになる。
【特許文献1】米国特許番号7,012,378
【特許文献2】米国特許番号7,167,406
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、実質的に先行技術を改良し、先行技術が提供しない操作上の柔軟性を提供し、アクティブマトリクス発光ダイオードディスプレイにおいて均一なカラーおよびグレーレベル輝度を達成する。本発明は、電圧事前充電回路をプログラムされる列ドライバの内部に統合し、電流プログラムされるピクセルの操作を最適化する新規な実際的な手段を提供し、そのディスプレイにおいて、カラーおよびグレーレベル輝度の優れた均一性を達成する。本発明はまた、プログラム可能、非プロポーショナルなルックアップテーブルを提供し、一意で最適な電圧事前充電レベルを確立し、かつ定義し、ならびにR,G,BのLEDピクセルの駆動要求の差、およびピクセルプログラミング時間終了時の電流フィードスルー効果に対する補償を含むことにより、各々所望のピクセルカラーおよび輝度レベル(ピクセルグレーレベル)に対するプログラミング電流を確立し、かつ定義する。
【0006】
したがって、データバス容量の充電に必要な時間量を低減させることによってディスプレイにおけるLEDの輝度を制御するためのドライバ、ディスプレイおよび方法を提供することが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および本発明のこの背景と共に、本発明の後述の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な例示実施形態は、発光ダイオード(LED)ピクセルの列を備えるディスプレイの輝度を制御するためのドライバを提供する。このドライバは、事前充電電圧を前記LEDの列に供給するよう構成された事前充電回路と、電流を前記LEDの列に供給するよう構成されたプログラミング回路とを備える。前記事前充電回路または前記プログラミング回路を、前記LEDの列と選択的に結合するよう構成したスイッチもまた、備えている。
【0008】
また本発明の例示の実施形態は、複数の列に配列されたLEDピクセルのアレイを備えるディスプレイを提供する。前記ディスプレイはまた、ピクセルカラーのグレーレベルに基づいた事前充電電圧およびフィードスルー電流を、少なくとも1つのLEDピクセルの列に選択的に供給するよう各々を構成した複数の事前充電回路と、電流を少なくとも1つのLEDピクセルの列に選択的に供給するよう各々を構成した複数の電流源とを備えている。
【0009】
複数の輝度レベルによって特徴付けられた複数のLEDピクセルの列を備えるディスプレイの輝度を制御するための方法もまた、提供される。一例示実施形態において、本方法は、前記複数の輝度レベルから選択された目標輝度レベルに基づき、前記LEDピクセルの列の各々に対する事前充電電圧を決定するステップと、前記決定した事前充電電圧を前記LEDピクセルの列の各々に供給するステップとを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は以後、後述の添付の図面と共に説明し、同様の数字は同様の要素を示している。
本発明の後述の詳細な説明は、単なる例示に過ぎず、本発明または本発明の用途及び使用を限定するよう意図したものではない。さらに、本発明の前述の背景または本発明の後述する詳細な説明において示される何れの理論によっても、拘束する意図はない。
【0011】
図1は、アクティブマトリクス発光ダイオード(AMLED)ピクセル110のアレイ105を備える、先行技術のディスプレイ100の概略図であり、このAMLEDピクセル110は、複数の列107および行109に配列されている。列107の各々は互いに異なる列ドライバ120と結合し、行109の各々は異なる一対の行ドライバ130と結合している。
【0012】
ディスプレイ100の部分200のより詳細な概略図である
図2で示されるように、列ドライバ120の各々はディスプレイタイミングコントローラ225と結合され、このディスプレイタイミングコントローラ225は、ビデオデータを列ドライバ120へ送信するよう構成している。さらに、列ドライバ120の各々および一対の行ドライバ130の各々は、互いに関連して動作し、電流をAMLEDピクセル110の各々に提供して発光させている。行109は、1サイクル中の時間で発光する1つの行であり、AMLEDピクセルの各々がオフとなるときの時間の期間(すなわち、ブランキング期間)が、連続したサイクルの間に挿入される。
【0013】
図2がまた図示しているように、列ドライバ120は、AMLEDピクセル110の各々と、そのそれぞれの列107においてデータバス235を介して結合されている。データバス235は、複数の抵抗−コンデンサ(RC)回路240を備えており、このRC回路240の各々は、抵抗性素子(例えば1つ以上の抵抗)247と並列に結合された容量性素子(例えば1つ以上のコンデンサ)244を備えている。各RC回路240は、さらにAMLEDピクセル110のスイッチ(例えば半導体スイッチ)1102と(ノード1112を介して)結合されている。
【0014】
スイッチ1102は、一対の行ドライバ130(
図1参照)の(接地された)行ドライバ134と(ノード1115を介して)結合され、行ドライバ134によってON/OFFをスイッチする。スイッチ1102はまた、ノード1114と結合され、ノード1114はコンデンサ1125およびスイッチ1104と結合されている。スイッチ1104は、コンデンサ1125および列ドライバ120から(行ドライバ134およびスイッチ1102を介して)供給される電流によって、ON/OFFをスイッチする。コンデンサ1125はまた、ノード1116と結合され、ノード1116は電圧源1130の正の端子(負の端子は接地されている)とスイッチ1106との間に結合されている。
【0015】
スイッチ1106は、一対の行ドライバ130(
図1参照)の(接地された)行ドライバ138に結合され、行ドライバ138によってON/OFFをスイッチし、またノード1118と結合されている。ノード1118はスイッチ1104、スイッチ1106、およびスイッチ1108と結合されている。スイッチ1108は、行ドライバ134と(ノード1115を介して)結合され、行ドライバ134によってON/OFFをスイッチし、またノード1112と結合されている。
【0016】
AMLEDピクセル110はまた、LED1150を含んでいる。
LED1150はスイッチ1104と結合され、電圧源1160(その正の端子は接地されている)の負の端子と結合されている。
【0017】
図3は、列ドライバ120(
図1参照)のうち、その1つの概略図である。
列ドライバ120はデジタル・アナログ変換器(DAC)1220に結合された電圧源1210を備えており、このDAC1220はデジタル電圧をアナログ電圧に変換するよう構成されている。DAC1220はまた、バッファ1230と結合され、このバッファ1230は電流変換器1240と結合されている。電流変換器1240は、DAC1220によって生成された(およびバッファ1230によって増幅された)そのアナログ電圧から電流を発生させるよう構成される。
【0018】
動作中、電圧源1210はディスプレイタイミングコントローラ225(
図2参照)からビデオデータを受信し、所望のアナログ電圧のデジタル表現を発生し、以後、この所望のアナログ電圧のデジタル表現は、デジタル電圧と呼ぶことにする。この発生したデジタル電圧は、発光すべきAMLEDピクセル110の輝度および/またはカラーに従って変動する。それからDAC1220は、このデジタル電圧をアナログ電圧に変換し、そしてこのアナログ電圧は、増幅のためバッファ1230に供給される。増幅されたアナログ電圧は、電流変換器1230によって電流に変換され、そして電流変換器1230は、一対の行ドライバ130から供給される電流と共に、この電流をデータバス235(
図2参照)へ供給する。
【0019】
図4は、ディスプレイ400の例示実施形態の部分の概略図であり、前述したディスプレイ100と類似する幾つかのコンポーネントを備えている。ディスプレイ400は、列ドライバ420およびスイッチ450と結合されたディスプレイタイミングコントローラ425を備えている。ディスプレイタイミングコントローラ425は、ディスプレイ400上で示されるべき情報に基づいて、列ドライバ420およびスイッチ450へビデオデータを送信するよう構成されている。
【0020】
列ドライバ420は、プログラミング回路430および事前充電回路440を備えており、このプログラミング回路430および事前充電回路440は、スイッチ450を介して、AMLEDピクセル110と各々が選択的に結合されている。プログラミング回路430は、各々の行109それぞれに対する一対の行ドライバ130と共に、AMLED110に(スイッチ450を介して)電流を提供するよう構成されている。事前充電回路440は、事前充電電圧を(スイッチ450を介して)データバス235に提供するよう構成され、AMLEDピクセル110に電流を提供するプログラミング回路ならびに行ドライバ134および138に先行して、各コンデンサ244を事前充電する。
【0021】
図5は、列ドライバ420のプログラミング回路430および事前充電回路440の一例示実施形態の概略図である。プログラミング回路430は、電圧源1210、DAC1220、バッファ1230、および電流変換器1240を備え、前述の列ドライバ120(
図3参照)に類似した構成となっている。この回路の構成および動作はすでに説明したため、そのことは再度説明されていない。
【0022】
事前充電回路440は、DAC4420と結合されたプログラム可能事前充電電圧源4410(例えば、電圧のデジタル・アナログ変換器(VDAC))を備えており、このプログラム可能事前充電電圧源4410は、デジタル電圧をアナログ電圧に変換するよう構成されている。一実施形態において、事前充電電圧源4410はルックアップテーブル4412およびメモリ4414を備えている。ルックアップテーブル4412は、複数の電圧を記憶するよう構成しており、これら複数の電圧は、そのそれぞれの列107における各AMLEDピクセル110に対する複数の輝度レベルに対応している。別の実施形態においては、ルックアップテーブル4412は個別のチップ(図示せず)上に全体的に(すなわち、「オフボード」に)実装されており、そのディスプレイの列ドライバ420の各々と通信している。また別の実施形態においては、ルックアップテーブル4412はグローバルルックアップテーブルであり、このグローバルルックアップテーブルは、列ドライバ420の各々のメモリ4414内へ(例えばパワーアップ時に)ダウンロードする。
【0023】
記載されているように、ルックアップテーブル4412は複数のデジタル電圧値を備え、この複数のデジタル電圧値は、AMLEDピクセル110に対する複数の輝度レベルに対応している。例えば、AMLEDピクセル110は256の輝度レベルで発光することが可能であり、ルックアップテーブル4412は各電圧レベルに対応する個別のデジタル電圧を記憶している。すなわち、レベル0からレベル255の範囲にわたる輝度レベルに対して、ルックアップテーブル4412は、その256の輝度レベルに対応する256のデジタル電圧の値を記憶している。一実施形態において、ルックアップテーブル4412は約0ボルトから約15ボルトまでの電圧値を記憶している。この例では、特に256レベルおよび関連する範囲の電圧を記載しているが、ルックアップテーブル4412は、任意の数の輝度レベルおよび様々な範囲の電圧を含むことができ、この様々な範囲の電圧は、ディスプレイ400の所望の明るさ(輝度)に従って変動することを、本発明は予期している。すなわち本発明は、無限の数の電圧を使用し、無数のカラーおよび/または輝度レベルを生成することを予期している。
【0024】
一例示実施形態に従うと、ルックアップテーブル4412は、非プロポーショナルルックアップテーブルである。すなわちルックアップテーブル4412は、グレーレベルに対して必要な事前充電電圧に加えて、AMLEDピクセル110のカラーおよび回路設計に関係する理想的でないディスプレイ動作特性(例えば、デルタ電流フィードスルー)を補償するための電圧値を含んでいる。特に、AMLEDピクセル110を所望の電流にプログラムするとき、そしてそれから保持モードにて動作を命令するとき、AMLEDピクセル110を流れる電流は、そのプログラムされる電流値からデルタ電流フィードスルーに等しい量だけ変化する。AMLEDピクセル110のトランジスタのゲートと、トランジスタのソースおよびドレインとの間の接続の寄生容量は、このトランジスタが動作可能なときと動作不能なときでバイアス電圧のシフトを生じさせる。これら電圧のシフトは、今度はこのプログラムされる電流値における変化を生じさせる。
【0025】
AMLEDピクセル110が生成するカラーに関して、各カラーはダイオード(例えばダイオード1150)が生成し、その誘電率は任意の所与の発光材料に対して固有にできるため、固有の電気的特性を備える。ダイオード1150の順方向電圧もまた固有にでき、各ダイオード1150の導電特性は変化するであろう。任意の特性がAMLEDピクセル110のプログラミングに有害に影響する程度は特徴付けられ、これら要因に基づき、ルックアップテーブル4412は特定の補償電圧を印加することができる。特に、プログラミング電流および事前充電電圧が決定されそしてディスプレイ400に対して供給されるとき、ルックアップテーブル4412は、グレーレベル、AMLEDピクセル110の回路設計、およびAMLEDピクセル110のカラーに対する補償を提供する。
【0026】
別の実施形態において、この事前充電電圧は、表示すべきイメージの関連するグレーレベルに基づき予め決定された複数の電圧の1つである。すなわち事前充電電圧源4410は、ディスプレイ400上に表示されるべき各個別のイメージのグレーレベルに基づき、DAC4420に供給される事前充電電圧の量を修正するよう構成されている。
【0027】
動作中、ディスプレイタイミングコントローラ425は、事前充電回路440をデータバス235に結合するよう、スイッチ450に命令する。ディスプレイタイミングコントローラ425はまた、ビデオデータを事前充電回路440に提供する。このビデオデータに応じて、事前充電回路440はルックアップテーブル4412を利用し、ディスプレイ400上に表示されるべき特定のイメージのため、容量性素子244を充電するために必要な電圧の量を決定する。適切な事前充電電圧が決定されると、事前充電電圧源4410はその電圧をDAC4420へ供給し、DAC4420はデジタル電圧をアナログ電圧に変換する。アナログ電圧は、バッファ4430によって増幅され、データバス235上の容量性素子244に、スイッチ450を介して印加される。この容量性素子が適正に事前充電されると、ディスプレイタイミングコントローラ425は、データバス235をプログラミング回路430と接続するようスイッチ450に命令する。それからプログラミング回路430ならびに行ドライバ134および138は、電流を各AMLEDピクセル110に提供して、アレイ105における個別のピクセルが適正なカラーおよび/または輝度で照明されるようにする。
【0028】
図6は、ディスプレイ(例えばディスプレイ400)の輝度を制御するための方法600の一例示実施形態のフロー図である。方法600は、1つ以上の列ドライバ(例えば列ドライバ420)が、ディスプレイ400上で表示されるべきビデオデータを、ディスプレイタイミングコントローラ(例えば
図4のディスプレイタイミングコントローラ425)から受信することによって開始する(ステップ605)。このビデオデータは、ディスプレイ400のAMLEDピクセル110の少なくとも1つの列107のカラーおよび/または輝度レベルを含んでいる。
【0029】
それから列ドライバ420は、データバス(例えばデータバス235)上の容量(例えば容量性素子244)に対し必要な事前充電電圧を決定する(ステップ610)。この事前充電電圧は、各AMLEDピクセル110に対して要求されるカラー、デルタフィードスルー電流、および/または輝度に従って変動する。すなわち、ディスプレイ400上で表示されるべき(そのビデオデータによって指定されるような)イメージは、列ドライバ420から(プログラミング回路430を介して)供給される電流に先立ち、容量性素子244を事前充電するために必要な電圧の量を決定する。一実施形態において、列ドライバ420は、このビデオデータにおける各AMLEDピクセル110のカラーおよび/または輝度レベルを、ルックアップテーブル(例えばルックアップテーブル4412)における特定のカラーおよび/または輝度を表している対応する電圧に一致させる。
【0030】
この事前充電電圧が決定されると、列ドライバ420はルックアップテーブル4412から決定された事前充電電圧を、データバス235に提供し、データバス235上の容量性素子244を事前充電する(ステップ615)。容量性素子244が事前充電された後、列ドライバ420は、一対の行ドライバ130の各々と共に、AMLEDピクセル110の各列107に電流(例えば、プログラミング電流)を提供する(ステップ620)。
【0031】
図7は、本発明の様々な実施形態の少なくとも1つの利点の例を図示したグラフ700である。グラフ700は、従来の列ドライバ(例えば列ドライバ120)を利用してのAMLEDピクセル110のプログラミング時間を表す曲線702と、列ドライバ420の様々な実施形態を利用してのAMLEDピクセル110のプログラミング時間を表す曲線704とを示している。
【0032】
図示するように、列ドライバ420を利用するAMLEDピクセル110のプログラミング時間は、著しく小さい。さらに列ドライバ420は、AMLEDピクセル110が非常に小さな量の電流でプログラムされることを可能にし、このことは、AMLEDピクセル110がより大きな範囲のカラーおよび/またはより大きな数の輝度レベルを有することを許容する。
【0033】
本発明の前述の詳細な説明において、少なくとも1つの例示の実施形態を示してきたが、多数の変形が存在することを正しく認識すべきである。また、その1つ以上の例示の実施形態は単に例であり、如何なる方法でも、本発明の範囲、用途、または構成を限定するよう意図したものではないことは正しく認識すべきである。むしろ前述の詳細な説明は、本発明の例示の実施形態を実施するための、便利なロードマップを当業者に提供するだろう。特許請求の範囲において記載したような本発明の範囲を逸脱することなしに、例示の実施形態において説明した機能、および要素の配列における様々な変更をなすことができることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】
図1のディスプレイの、先行技術の列ドライバの概略図である。
【
図4】本発明の一例示実施形態に従うディスプレイの部分の概略図である。
【
図6】本発明の一例示実施形態に従うディスプレイの、輝度を制御するための方法のフロー図である。
【
図7】本発明の様々な実施形態の、少なくとも1つの利益の例を図示するグラフである。
【0035】
105 ピクセル110のアレイ
107 複数の列
109 複数の行
110 AMLEDピクセル
120 列ドライバ
200 ディスプレイ100の部分
235 データバス
240 RC回路
1230 バッファ
1240 電流変換器
420 列ドライバ
430 プログラミング回路
440 事前充電回路
4410 プログラム可能事前充電電圧源
4430 バッファ
450 スイッチ
600 ディスプレイの輝度を制御するための方法
702 従来の列ドライバを利用してのプログラミング時間を表す曲線
704 列ドライバ420の様々な実施形態を利用してのプログラミング時間を表す曲線