特許第5705451号(P5705451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705451
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】コンビネーションスクリーンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41N 1/24 20060101AFI20150402BHJP
   B41F 15/36 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   B41N1/24
   B41F15/36 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-89662(P2010-89662)
(22)【出願日】2010年4月8日
(65)【公開番号】特開2011-218654(P2011-218654A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2013年1月23日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390030373
【氏名又は名称】株式会社ムラカミ
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】村 上 泰 蔵
(72)【発明者】
【氏名】増 利 賢 治
(72)【発明者】
【氏名】中 間 和 浩
(72)【発明者】
【氏名】石 垣 泰 明
(72)【発明者】
【氏名】川 延 淳 一
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−035056(JP,A)
【文献】 特開2003−011537(JP,A)
【文献】 特開2003−011541(JP,A)
【文献】 特開2007−090718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 1/24
B41F 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部用スクリーンと、この画像形成部用スクリーンを版枠に支持する支持スクリーンとを有するコンビネーションスクリーン(但し、ダブルフレームコンビネーションマスクを除く)を製造する方法であって、
工程(イ):前記画像形成部用スクリーンとこれを粘着した0.05N/cm以上、10.0N/cm以下の粘着強度を有する厚さ10〜250μmの介添えシートとからなる接合体を、前記支持スクリーンに重ね合わせる工程、
工程(ロ):前記画像形成部用スクリーンの外周部と前記支持スクリーンとを接合する工程、
工程(ハ):前記工程(ロ)で形成された接合部より内側の前記支持スクリーンを切断除去する工程、および
工程(ニ):前記介添えシートを前記画像形成部用スクリーンから剥離する工程
を含んでなることを特徴とする、スクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法。
【請求項2】
前記画像形成部用スクリーンを、そのメッシュの糸方向と版枠とのバイアス角度が5〜85度となるように前記支持スクリーンに接合する、請求項1に記載のスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法に用いられる、画像形成部用スクリーンとこれを粘着した介添えシートとからなる接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビネーションスクリーンの製造方法およびこの製造方法に用いられる接合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、所望の画像ないしパターンを大量かつ効率的に形成する方法として、スクリーン印刷法があって、例えば各種の電子部品の配線パターンや電極等の形成に広く用いられている。近年、電子部品等の小型化、高性能化等の要求に応じて、スクリーン印刷にも更なる高精度化が求められている。
【0003】
このことから、高精度な印刷を長期間安定して行うために、スクリーン印刷版には優れた寸法安定性および耐久性等が求められている。
【0004】
一般に、スクリーン印刷は、版枠にメッシュ状のスクリーンを張設し、このスクリーンに、インクないしペーストを透過しない部分と透過する部分とを設けて被印刷体に所望の画像ないしパターンが形成させるような版を作製し、これにインクないしペーストをスキージして被印刷体にインクないしペーストを付着させることによって行なわれる。高精度な印刷を安定的に実現するために、スクリーンには、印刷面の優れた寸法安定性と、適度な弾性的、剛性等を具備していることが重要になる。
【0005】
そこで、複数の異なるスクリーンをスクリーン枠内に張設したコンビネーションスクリーンが提案されている。例えば、スクリーン中央部の画像が形成される部分のスクリーン(即ち、画像形成部用スクリーン)には、寸法安定性が高いスクリーン(例えば、金属製スクリーン)を用い、その外側には、画像形成部用スクリーンを支持するスクリーン(即ち、支持スクリーン)を設け、この支持スクリーンとして、ある程度の伸縮性を有するスクリーン(例えば、樹脂製スクリーン)を用いてなるコンビネーションスクリーンが提案されている(特許文献1)。
【0006】
そのようなコンビネーションスクリーンの製造方法としては、版枠に、支持スクリーン形成用のスクリーンを張設し、これに画像形成部用スクリーンを重ね合わせ、この画像形成部用スクリーンの外周部と支持スクリーンとを接合した後、この接合部より内側の支持スクリーンを切断除去する方法(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−177262号公報
【特許文献2】特開2001−18549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、より高精度な印刷を実現するために、画像形成部用スクリーンは細線化および狭ピッチ化される傾向があり、それに伴って、スクリーンの形状安定性が低下したり、メッシュの歪み、弛み等による印刷精度への影響が顕在化しがちであった。
【0009】
しかしながら、従来の製造方法では、スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み等がなく、スクリーンが均等に張られたコンビネーションスクリーンを得ることが困難になってきている。
【0010】
一般に、コンビネーションスクリーンを製造する際には、画像形成部用スクリーンを切断して所定の形状および大きさに整えた後に、これを支持スクリーンに重ね合わせることが行われる。しかし、従来のコンビネーションスクリーンの製造方法においては、画像形成部用スクリーンを切断するときに、スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等が発生しがちであった。特に、スクリーンのメッシュの糸の方向と切断方向とが一致しない場合、これらの発生を避けることは困難であった。とりわけ、細線化および狭ピッチ化されたスクリーンでは、一度発生したスクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み等をその後の作業で矯正、修正することは非常に困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等がなく、シワなく均等にスクリーンが張られたコンビネーションスクリーンを、極めて容易にかつ効率的に製造する方法を提供するものである。
【0012】
したがって、本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法は、画像形成部用スクリーンと、この画像形成部用スクリーンを版枠に支持する支持スクリーンとを有するコンビネーションスクリーンを製造する方法であって、
工程(イ):前記画像形成部用スクリーンとこれを粘着した介添えシートとからなる接合体を、前記支持スクリーンに重ね合わせる工程、
工程(ロ):前記画像形成部用スクリーンの外周部と前記支持スクリーンとを接合する工程、
工程(ハ):前記工程(ロ)で形成された接合部より内側の前記支持スクリーンを切断除去する工程、および
工程(ニ):前記介添えシートを前記画像形成部用スクリーンから剥離する工程
を含んでなること、を特徴とするものである。
【0013】
このような本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法は、好ましくは、前記介添えシートが0.05N/cm以上、10.0N/cm以下の粘着強度を有する粘着シートであるもの、を包含する。
【0014】
このような本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法は、好ましくは、前記画像形成部用スクリーンを、そのメッシュの糸方向と版枠とのバイアス角度が5〜85度となるように前記支持スクリーンに接合するもの、を包含する。
【0015】
このような本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法は、好ましくは、前記介添えシートが、厚さ10〜250μmのものであるもの、を包含する。
【0016】
そして、本発明は、前記のスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法の実施に用いられる、画像形成部用スクリーンとこれを粘着した介添えシートとからなる接合体を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等がなく、シワなく均等にスクリーンが張られたコンビネーションスクリーンを、極めて容易にかつ効率的に製造することができる。
【0018】
すなわち、本発明では、画像形成部用スクリーンが介添えシートと一体化した状態で、支持スクリーンとの重ね合わせ、支持スクリーンとの接合、および支持スクリーンの切断除去が行なわれるので、画像形成部用スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、反り等が効果的に防止される。
【0019】
本発明で採用された介添えシートは、画像形成部用スクリーンのメッシュの目を確実に保持し、かつ画像形成部用スクリーンの一方の面を保護している。このことから、画像形成部用スクリーンを切断する際も、画像形成部用スクリーンを支持スクリーンに重ね合わせる工程においても、画像形成部用スクリーンと支持スクリーンとを接合する工程および支持スクリーンを切断除去する工程のいずれの段階においても、スクリーンに変形や伸び、歪み等の発生が防止されている。
【0020】
このことから、高精度の印刷が可能なスクリーン印刷版を容易にかつ効率的に製造することができる。
【0021】
なお、スクリーンの変形や歪み等は、外部からスクリーンに与えられた力だけでなく、例えば温度や湿度等の変化によって生じるスクリーンの収縮、伸び等のようスクリーンに由来する力も関与することがある。本発明の介添えシートは、これらの外部から加えられた力およびスクリーンに由来する力の如何に関わらす、スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等が効果的に防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によるコンビネーションスクリーンの製造方法の好ましい一具体例の概要を示す工程図。
図2】本発明によって製造されたコンビネーションスクリーンの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法は、画像形成部用スクリーンと、この画像形成部用スクリーンを版枠に支持する支持スクリーンとを有するコンビネーションスクリーンを製造する方法であって、
工程(イ):前記画像形成部用スクリーンとこれを粘着した介添えシートとからなる接合体を、前記支持スクリーンに重ね合わせる工程、
工程(ロ):前記画像形成部用スクリーンの外周部と前記支持スクリーンとを接合する工程、
工程(ハ):前記工程(ロ)で形成された接合部より内側の前記支持スクリーンを切断除去する工程、および
工程(ニ):前記介添えシートを前記画像形成部用スクリーンから剥離する工程
を含んでなること、を特徴とする。
【実施例】
【0024】
以下、本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法の好ましい具体例を、必要に応じて図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明によるコンビネーションスクリーンの製造方法の特に好ましい一具体例の概要を示すものである。図2は、本発明によって製造されたコンビネーションスクリーン1の上面図である。
【0026】
本発明においては、図1Bに示されるように、工程(イ)、即ち、画像形成部用スクリーン2とこれを粘着した介添えシート3とからなる接合体X’を、支持スクリーン4に重ね合わせる工程、が行なわれる。
【0027】
なお、図1Bにおいては、支持スクリーン4が版枠5の上方の面が張設されているが、支持スクリーン4は版枠5の下方の面に張設されていてもよい(図示せず)。また、図1においては、接合体X’を、版枠5に張設された状態の支持スクリーン4に対して重ね合わせているが、本発明では、版枠5に張設されていない状態の支持スクリーン4に対して接合体X’を重ね合わせ、その後に版枠5に張設することもできる(図示せず)。
【0028】
この接合体X’は、図1Bに示されるように、その画像形成部用スクリーン2の面と支持スクリーン4とが接触するように、支持スクリーン4と重ね合わされる。この接合体X’は、画像形成部用スクリーン2のメッシュの糸方向と版枠5とが平行になるように重ね合わせることもできるし、図2に示されるように、画像形成部用スクリーン2のメッシュの糸方向と版枠5とが所定のバイアス角度Bとなるよう重ね合わせることもができる。
【0029】
この際、バイアス角度Bの大きさは適宜定めることができる。バイアス角度Bは、主としてスクリーン印刷によって形成させる画像ないしパターンに応じて、最適範囲が異なるが、好ましくは5〜85度、特に好ましくは15〜75度、である。なお、バイアス角が不適切である場合、スクリーン印刷時に、印刷される画像ないしパターンとメッシュの糸との間に干渉が生じて、良好な印刷が難しくなる場合がある。
【0030】
画像形成部用スクリーン2としては、従来の画像形成部用スクリーン、特にコンビネーションスクリーンにおいて採用されてきたものを、本発明でも用いることができる。本発明において特に好ましい画像形成部用スクリーン2としては、例えばスクリーンの開口率が45%以上を挙げることができる。
【0031】
介添えシート3は、画像形成部用スクリーン2を粘着して、画像形成部用スクリーンのメッシュを粘着して保持し、かつ画像形成部用スクリーンの一方の面を保護している。この介添えシート3としては、画像形成部用スクリーン2と接触する面側に粘着性を有する粘着シートが好ましい。この介添えシート3は、本発明の製造方法の実施過程においては、画像形成部用スクリーン2を確実に粘着している必要があるが、目的とするコンビネーションスクリーン1においては最終的には不要な物なので、画像形成部用スクリーン2から剥離除去されるものである。したがって、この介添えシート3は、これらを考慮して、適当な粘着強度を有していることが好ましい。好ましい粘着強度は、0.05N/cm以上、10.0N/cm以下、特に好ましい粘着強度は、0.10N/cm以上、5.00N/cm以下、である。粘着強度が0.05N/cm未満である場合には、本発明の製造方法の実施中(図1A図1D参照。詳細後記)に、画像形成部用スクリーン2を確実に粘着できないことがあるので、本発明の目的を達成しにくくなる。一方、粘着強度が10.0N/cmを超過する場合、介添えシート3を剥離する際(図1E参照)に過度の力が必要になる場合があり、剥離後も介添えシート3あるいはその粘着剤の一部が画像形成部用スクリーン2に残存しやすくなるので、好ましくない。本発明における粘着強度は、「JIS Z 0237:2000の中の180°引きはがし粘着力(常温)」準拠するものである。
【0032】
なお、粘着強度は、介添えシート3と画像形成部用スクリーン2との接触面の全面において均等であることが好ましいが、部分的に異なっていてもよい。また粘着性を有していない部分が存在していてもよい。
【0033】
介添えシート3は、厚さが10〜250μmのものが適当である。厚さが10μm未満のものでは、画像形成部用スクリーン2の変形や伸び、メッシュの歪み、反り等を確実に防止することが困難になる場合がある。また、厚さが過度に厚い場合には、介添えシート3の剥離(図1E)が困難になる場合がある。
【0034】
接合体X’において、介添えシート3は、画像形成部用スクリーン2の全面を粘着できるように、画像形成部用スクリーン2と同一の形状および面積の物であることが好ましいが、これに限定されない。例えば、画像形成部用スクリーン2より大きな形状または面積の物でもよく、また小さいものであってもよい。1枚の画像形成部用スクリーン2に複数枚の介添えシート3が、部分的にあるいは全面に粘着されていても、あるいは部分的に重ね合わされて粘着されていてもよい。
【0035】
介添えシート3としては、基材となるシートの片面に粘着剤層を有するものを用いることができる。本発明において特に好ましい介添えシート3としては、樹脂製のシート、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン(PO)、例えばポリエチレン(PE)のシートに、粘着剤として、例えばアクリル系合成樹脂、合成ゴム、ウレタン系合成樹脂などを用いたものを挙げることができる。
上記の画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とからなる接合体X’は、図1Aに示されるように、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とを予め接合して両者を一体化させた接合体Xから得ることができる。この接合体Xは、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3の両者をニップロールを用いて粘着させて得ることが好ましいが、これに限定されない。他の好ましい方法としては、例えば、長尺用フィルムのラミネート機を挙げることができる。
【0036】
上記の画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とからなる接合体Xは、最終的に目的とするコンビネーションスクリーン1において所望の形状、大きさ、バイアス角の画像形成部用スクリーン2が形成されるように、切断され、接合体X’として、支持スクリーン4に重ね合わされる。本発明では、この切断の際に画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とが粘着していることから、画像形成部用スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み、反り、傷等の発生が防止されている。
【0037】
次いで、本発明においては、図1Cに示されるように、工程(ロ)、即ち、画像形成部用スクリーン2の外周部6と支持スクリーン4とを接合する工程、が行われる。
【0038】
この接合は、接着剤によって行うことが好ましいが、従来からコンビネーションスクリーンにおいて採用されてきたものを、本発明でも用いることができる。本発明において特に好ましい接着剤としては、例えば二液硬化型接着剤や紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。
【0039】
本発明では、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とが粘着していることから、工程(ロ)の接合作業において、画像形成部用スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み、反り、傷等の発生が防止されている。このことによって、画像形成部用スクリーン2を、変形や伸び、メッシュの歪み、弛み、シワなく接合するのが非常に簡単である。従って、熟練の作業者でなくても接合作業を容易に行うことができる。そして、接着剤の塗布、乾燥、硬化によって所定の接着力が得られるまで、その外周部6の接合部の位置ずれが防止されていることから、優れた接合強度を得ることができる。
【0040】
次に、本発明においては、図1Dに示されるように、工程(ハ)、即ち、工程(ロ)で形成された接合部より内側の前記支持スクリーン4’を切断除去する工程、が行われる。この切断は、従来から採用されてきた方法と同様に、例えば鋭利な刃物、例えばカッター、ヒートナイフ、超音波カッター等を用いて行うことができる。刃物を用いる場合、支持スクリーン4の切断に際し、画像形成部用スクリーン2をも切断あるいは傷つけてしまわないように、刃物の刃先を支持スクリーン4のメッシュを構成している糸の側面にあて、糸の側面方向から押圧して、各糸を順次切断していくのが普通である。このような切断方法による場合、従来のコンビネーションスクリーンの製造方法では、支持スクリーンおよび画像形成部用スクリーンが過度に撓んで、その結果、切断位置にずれが生じて正確に切断することができなかったり、支持スクリーンおよび画像形成部用スクリーンに変形や歪み等が発生しがちであった。しかし、本発明では、画像形成部用スクリーン2に介添えシート3とが粘着していることから、画像形成部用スクリーン2の変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等が確実に防止されていると共に、支持スクリーン4および画像形成部用スクリーン2の撓み、ならびに支持スクリーン4の切断位置のずれが防止されている。よって、本発明では、画像形成部用スクリーン2の変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等を発生させることなく、支持スクリーン4の切断を正確に、しかも容易に行うことができる。特に、画像形成部用スクリーンおよび支持スクリーンのいずれか片方あるいは双方が版枠に対してバイアス角をもっている場合、従来法では、支持スクリーンの切断を正確に行うことが困難であったが、本発明によれば、バイアス角の有無その角度の大きさに実質的に影響を受けることなく、支持スクリーン4の切断を正確に行うことができ、支持スクリーン4’の除去を確実にしかも容易に行うことができる。
【0041】
次に、本発明においては、図1Eに示されるように、工程(ニ)、即ち、介添えシート3を画像形成部用スクリーン2から剥離する工程、が行われる。
【0042】
この介添えシート3の剥離は、作業者の指や、適用な剥離用具等を用いることによって行うことができる。また、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3との間の粘着力よりも高い粘着力を有する他の粘着テープ(図示せず)を、介添えシート3に粘着させて、この他の粘着テープを利用して介添えシート3を剥離することもできる。
【0043】
以上の工程(イ)〜工程(ニ)を行うことによって、図2に示されるような、本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーン1を製造することができる。
【0044】
このようにして製造された本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーン1は、その画像形成部用スクリーン2に、スクリーン印刷によって所望の画像ないしパターンが形成できるようにマスクパターンを形成した後、スクリーン印刷に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 コンビネーションスクリーン
2 画像形成部用スクリーン
3 介添えシート
X、X’ 画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とからなる接合体
4 支持スクリーン
5 版枠
4’切断除去された支持スクリーン
B バイアス角
図1
図2