【実施例】
【0024】
以下、本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーンの製造方法の好ましい具体例を、必要に応じて図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明によるコンビネーションスクリーンの製造方法の特に好ましい一具体例の概要を示すものである。
図2は、本発明によって製造されたコンビネーションスクリーン1の上面図である。
【0026】
本発明においては、
図1Bに示されるように、工程(イ)、即ち、画像形成部用スクリーン2とこれを粘着した介添えシート3とからなる接合体X’を、支持スクリーン4に重ね合わせる工程、が行なわれる。
【0027】
なお、
図1Bにおいては、支持スクリーン4が版枠5の上方の面が張設されているが、支持スクリーン4は版枠5の下方の面に張設されていてもよい(図示せず)。また、
図1においては、接合体X’を、版枠5に張設された状態の支持スクリーン4に対して重ね合わせているが、本発明では、版枠5に張設されていない状態の支持スクリーン4に対して接合体X’を重ね合わせ、その後に版枠5に張設することもできる(図示せず)。
【0028】
この接合体X’は、
図1Bに示されるように、その画像形成部用スクリーン2の面と支持スクリーン4とが接触するように、支持スクリーン4と重ね合わされる。この接合体X’は、画像形成部用スクリーン2のメッシュの糸方向と版枠5とが平行になるように重ね合わせることもできるし、
図2に示されるように、画像形成部用スクリーン2のメッシュの糸方向と版枠5とが所定のバイアス角度Bとなるよう重ね合わせることもができる。
【0029】
この際、バイアス角度Bの大きさは適宜定めることができる。バイアス角度Bは、主としてスクリーン印刷によって形成させる画像ないしパターンに応じて、最適範囲が異なるが、好ましくは5〜85度、特に好ましくは15〜75度、である。なお、バイアス角が不適切である場合、スクリーン印刷時に、印刷される画像ないしパターンとメッシュの糸との間に干渉が生じて、良好な印刷が難しくなる場合がある。
【0030】
画像形成部用スクリーン2としては、従来の画像形成部用スクリーン、特にコンビネーションスクリーンにおいて採用されてきたものを、本発明でも用いることができる。本発明において特に好ましい画像形成部用スクリーン2としては、例えばスクリーンの開口率が45%以上を挙げることができる。
【0031】
介添えシート3は、画像形成部用スクリーン2を粘着して、画像形成部用スクリーンのメッシュを粘着して保持し、かつ画像形成部用スクリーンの一方の面を保護している。この介添えシート3としては、画像形成部用スクリーン2と接触する面側に粘着性を有する粘着シートが好ましい。この介添えシート3は、本発明の製造方法の実施過程においては、画像形成部用スクリーン2を確実に粘着している必要があるが、目的とするコンビネーションスクリーン1においては最終的には不要な物なので、画像形成部用スクリーン2から剥離除去されるものである。したがって、この介添えシート3は、これらを考慮して、適当な粘着強度を有していることが好ましい。好ましい粘着強度は、0.05N/cm以上、10.0N/cm以下、特に好ましい粘着強度は、0.10N/cm以上、5.00N/cm以下、である。粘着強度が0.05N/cm未満である場合には、本発明の製造方法の実施中(
図1A〜
図1D参照。詳細後記)に、画像形成部用スクリーン2を確実に粘着できないことがあるので、本発明の目的を達成しにくくなる。一方、粘着強度が10.0N/cmを超過する場合、介添えシート3を剥離する際(
図1E参照)に過度の力が必要になる場合があり、剥離後も介添えシート3あるいはその粘着剤の一部が画像形成部用スクリーン2に残存しやすくなるので、好ましくない。本発明における粘着強度は、「JIS Z 0237:2000の中の180°引きはがし粘着力(常温)」準拠するものである。
【0032】
なお、粘着強度は、介添えシート3と画像形成部用スクリーン2との接触面の全面において均等であることが好ましいが、部分的に異なっていてもよい。また粘着性を有していない部分が存在していてもよい。
【0033】
介添えシート3は、厚さが10〜250μmのものが適当である。厚さが10μm未満のものでは、画像形成部用スクリーン2の変形や伸び、メッシュの歪み、反り等を確実に防止することが困難になる場合がある。また、厚さが過度に厚い場合には、介添えシート3の剥離(
図1E)が困難になる場合がある。
【0034】
接合体X’において、介添えシート3は、画像形成部用スクリーン2の全面を粘着できるように、画像形成部用スクリーン2と同一の形状および面積の物であることが好ましいが、これに限定されない。例えば、画像形成部用スクリーン2より大きな形状または面積の物でもよく、また小さいものであってもよい。1枚の画像形成部用スクリーン2に複数枚の介添えシート3が、部分的にあるいは全面に粘着されていても、あるいは部分的に重ね合わされて粘着されていてもよい。
【0035】
介添えシート3としては、基材となるシートの片面に粘着剤層を有するものを用いることができる。本発明において特に好ましい介添えシート3としては、樹脂製のシート、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン(PO)、例えばポリエチレン(PE)のシートに、粘着剤として、例えばアクリル系合成樹脂、合成ゴム、ウレタン系合成樹脂などを用いたものを挙げることができる。
上記の画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とからなる接合体X’は、
図1Aに示されるように、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とを予め接合して両者を一体化させた接合体Xから得ることができる。この接合体Xは、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3の両者をニップロールを用いて粘着させて得ることが好ましいが、これに限定されない。他の好ましい方法としては、例えば、長尺用フィルムのラミネート機を挙げることができる。
【0036】
上記の画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とからなる接合体Xは、最終的に目的とするコンビネーションスクリーン1において所望の形状、大きさ、バイアス角の画像形成部用スクリーン2が形成されるように、切断され、接合体X’として、支持スクリーン4に重ね合わされる。本発明では、この切断の際に画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とが粘着していることから、画像形成部用スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み、反り、傷等の発生が防止されている。
【0037】
次いで、本発明においては、
図1Cに示されるように、工程(ロ)、即ち、画像形成部用スクリーン2の外周部6と支持スクリーン4とを接合する工程、が行われる。
【0038】
この接合は、接着剤によって行うことが好ましいが、従来からコンビネーションスクリーンにおいて採用されてきたものを、本発明でも用いることができる。本発明において特に好ましい接着剤としては、例えば二液硬化型接着剤や紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。
【0039】
本発明では、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3とが粘着していることから、工程(ロ)の接合作業において、画像形成部用スクリーンの変形や伸び、メッシュの歪み、弛み、反り、傷等の発生が防止されている。このことによって、画像形成部用スクリーン2を、変形や伸び、メッシュの歪み、弛み、シワなく接合するのが非常に簡単である。従って、熟練の作業者でなくても接合作業を容易に行うことができる。そして、接着剤の塗布、乾燥、硬化によって所定の接着力が得られるまで、その外周部6の接合部の位置ずれが防止されていることから、優れた接合強度を得ることができる。
【0040】
次に、本発明においては、
図1Dに示されるように、工程(ハ)、即ち、工程(ロ)で形成された接合部より内側の前記支持スクリーン4’を切断除去する工程、が行われる。この切断は、従来から採用されてきた方法と同様に、例えば鋭利な刃物、例えばカッター、ヒートナイフ、超音波カッター等を用いて行うことができる。刃物を用いる場合、支持スクリーン4の切断に際し、画像形成部用スクリーン2をも切断あるいは傷つけてしまわないように、刃物の刃先を支持スクリーン4のメッシュを構成している糸の側面にあて、糸の側面方向から押圧して、各糸を順次切断していくのが普通である。このような切断方法による場合、従来のコンビネーションスクリーンの製造方法では、支持スクリーンおよび画像形成部用スクリーンが過度に撓んで、その結果、切断位置にずれが生じて正確に切断することができなかったり、支持スクリーンおよび画像形成部用スクリーンに変形や歪み等が発生しがちであった。しかし、本発明では、画像形成部用スクリーン2に介添えシート3とが粘着していることから、画像形成部用スクリーン2の変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等が確実に防止されていると共に、支持スクリーン4および画像形成部用スクリーン2の撓み、ならびに支持スクリーン4の切断位置のずれが防止されている。よって、本発明では、画像形成部用スクリーン2の変形や伸び、メッシュの歪み、弛み等を発生させることなく、支持スクリーン4の切断を正確に、しかも容易に行うことができる。特に、画像形成部用スクリーンおよび支持スクリーンのいずれか片方あるいは双方が版枠に対してバイアス角をもっている場合、従来法では、支持スクリーンの切断を正確に行うことが困難であったが、本発明によれば、バイアス角の有無その角度の大きさに実質的に影響を受けることなく、支持スクリーン4の切断を正確に行うことができ、支持スクリーン4’の除去を確実にしかも容易に行うことができる。
【0041】
次に、本発明においては、
図1Eに示されるように、工程(ニ)、即ち、介添えシート3を画像形成部用スクリーン2から剥離する工程、が行われる。
【0042】
この介添えシート3の剥離は、作業者の指や、適用な剥離用具等を用いることによって行うことができる。また、画像形成部用スクリーン2と介添えシート3との間の粘着力よりも高い粘着力を有する他の粘着テープ(図示せず)を、介添えシート3に粘着させて、この他の粘着テープを利用して介添えシート3を剥離することもできる。
【0043】
以上の工程(イ)〜工程(ニ)を行うことによって、
図2に示されるような、本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーン1を製造することができる。
【0044】
このようにして製造された本発明によるスクリーン印刷用のコンビネーションスクリーン1は、その画像形成部用スクリーン2に、スクリーン印刷によって所望の画像ないしパターンが形成できるようにマスクパターンを形成した後、スクリーン印刷に用いることができる。