(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5705709
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】パワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20150402BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
G06F1/00 330A
G06F1/00 331B
H02J3/38 G
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-257278(P2011-257278)
(22)【出願日】2011年11月25日
(62)【分割の表示】特願2005-283329(P2005-283329)の分割
【原出願日】2005年9月29日
(65)【公開番号】特開2012-89145(P2012-89145A)
(43)【公開日】2012年5月10日
【審査請求日】2011年11月28日
【審判番号】不服2013-21820(P2013-21820/J1)
【審判請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120156
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 兼太郎
(72)【発明者】
【氏名】鳶 幸生
(72)【発明者】
【氏名】萬里小路 正樹
【合議体】
【審判長】
小曳 満昭
【審判官】
和田 志郎
【審判官】
白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−259551(JP,A)
【文献】
特開2001−352693(JP,A)
【文献】
特開2004−325195(JP,A)
【文献】
特開平7−322363(JP,A)
【文献】
特開2002−95072(JP,A)
【文献】
特開2002−133570(JP,A)
【文献】
特開2002−238160(JP,A)
【文献】
特開2002−98720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電システムの発電した直流電力を昇圧チョッパで昇圧し、この昇圧された直流
電力をインバータで交流電力に変換して交流電源系統に接続するパワーコンディショナに
おいて、
住宅内の無線による小規模ネットワークに接続を成す通信機能を備え、
この通信機能は、少なくとも売電・買電の電力量を算出するためのデータを前記パワー
コンディショナに接続される配線から有線を介して外部から得る機能を有すると共に、少
なくとも前記太陽光発電システムの発電電力量、及び売電・買電の電力量のデータを表示
することができるモニターに前記小規模ネットワークを介して無線で当該データを送信す
る機能を有し、
前記通信機能は太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整した直流電力、また
は交流電力が直流電力に変換された直流電力の少なくとも一方が供給されて該機能のいく
つかを維持することを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項2】
太陽光発電システムの発電した直流電力を交流電力に変換して交流電源系統に接続する
パワーコンディショナに用いることができるネットワークボードにおいて、
住宅内の無線による小規模ネットワークに接続を成す通信機能を備え、
この通信機能は、少なくとも売電・買電の電力量を算出するためのデータを前記パワー
コンディショナに接続される配線から有線を介して外部から得る機能を有すると共に、少
なくとも前記太陽光発電システムの発電電力量、及び売電・買電の電力量のデータを表示
することができるモニターに前記小規模ネットワークを介して無線で当該データを送信す
る機能を有し、
前記通信機能は太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整した直流電力、また
は交流電力が直流電力に変換された直流電力の少なくとも一方が供給されて該機能のいく
つかを維持することを特徴とするネットワークボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムの発電した直流電力を昇圧チョッパで昇圧し、この昇圧された直流電力をインバータで交流電力に変換して交流電源系統に接続するパワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や事務所などにおいて、クーラーやテレビなどの家電製品などの稼働指示や予約設定などを行ったり、また、インターネットに接続されたパソコンなどの端末などと情報やデータをやり取りするためのネットワーク構築の中心に、サーバを設けることが検討されている。
【特許文献1】特に、無し。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このようなサーバは、建屋内の電力配線に接続され、発電所などからの交流電源系統の電力が供給される。したがって、系統の停電時には、サーバは停止する。
【0004】
解決しようとする問題点は、系統の停電時には、サーバが停止するという点である。USP等の停電対策機器を設置しても、短時間の停電にしか対応することができず、実用上充分なものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のパワーコンディショナ(6)は、太陽光発電システムの発電した直流電力を昇圧チョッパ(7)で昇圧し、この昇圧された直流電力をインバータ(8)で交流電力に変換して交流電源系統(11)に接続する。そして、建屋内の無線によるネットワーク
に接続を成す通信機能(21)を備え、この通信機能は
、売電・買電の電力量などを算出するためのデータを前記パワーコンディショナに接続される配線から有線を介して得る機能を有すると共に、前記太陽光発電システムの発電電力量、売電・買電の電力量などのデータを表示することができるモニターに前記ネットワークを介して無線で当該データを送信する機能を有し、前記
通信機能は太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整した直流電力、または交流電力が直流電力に変換された直流電力の少なくとも一方が供給されて該機能のいくつかを維持する。
【0006】
また、
太陽光発電システムの発電した直流電力を交流電力に変換して交流電源系統に接続するパワーコンディショナに用いることができるネットワークボードにおいて、建屋内の無線によるネットワークに接続を成す通信機能を備え、この通信機能は、売電・買電の電力量などを算出するためのデータを前記パワーコンディショナに接続される配線から有線を介して得る機能を有すると共に、前記太陽光発電システムの発電電力量、売電・買電の電力量などのデータを表示することができるモニターに前記ネットワークを介して無線で当該データを送信する機能を有し、前記通信機能は太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整した直流電力、または交流電力が直流電力に変換された直流電力の少なくとも一方が供給されて該機能のいくつかを維持することを特徴とするネットワークボード。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パワーコンディショナは、小規模ネットワークを成す通信機能が組み込み可能に構成され、この通信機能は少なくとも、太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整した直流電力が供給されて該機能のいくつかを維持するので、昼間は、系統の停電の有無に係わらず、太陽光発電システムの発電した電力で稼働を維持することができる。
【0013】
また、昇圧チョッパで昇圧される前の直流電力を、電圧調整コンバータで電圧調整して前記通信機能の電力源とする場合には、太陽光発電システムの発電電力が昇圧チョッパで昇圧して系統に供給するには小さい際にも、通信機能に電力を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
系統の停電時にも、サーバの停止を極力少なくするという目的を、パワーコンディショナに、小規模ネットワークを成す通信機能が組み込み可能に構成され、この通信機能は少なくとも、太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整した直流電力が供給されて該機能のいくつかを維持することで実現した。
【実施例1】
【0016】
次に、本発明におけるパワーコンディショナの一実施例について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は本発明におけるパワーコンディショナを用いた系統連係システムの概略図である。
図2はLANボードの説明図である。
【0017】
図1において、住宅や事務所などには、直流電力発電手段である太陽光発電システムの太陽電池パネル1が設けられ、この太陽電池パネル1は、逆流防止用のダイオード2などを介して、パワーコンディショナ6に接続される。このパワーコンディショナ6は、太陽電池パネル1から入力された直流電力の電圧を昇圧チョッパ7で昇圧するとともに、インバータ8で所定の周波数(系統11の周波数)と同じ周波数で系統11の電圧より高い擬似正弦波の交流電力に変換して系統11に出力する。なお、この系統11には、電気を消費するエアコン、冷蔵庫やテレビなどの負荷12が接続されている。そして、太陽光発電システムの発電した電力が、負荷12の消費電力よりも大きい際には、太陽光発電システムからの発電電力の一部または全部が系統11に供給(すなわち、売電)される。一方、太陽光発電システムの発電した電力が、負荷12の消費電力よりも小さい際には、系統11から電力が供給(すなわち、買電)される。
【0018】
また、太陽光発電システムの発電電力量を検出する発電電力量計16、および、系統11への売電・買電の電力量を検出する売電・買電用の電力量計17(売電用の電力量計に電子式のものを用いる場合はその出力を売電量として用い、アナログメータを用いる場合は別途電流計と電圧計との値から売電量(電力量)を算出して用いる)が設けられている。
【0019】
さらに、パワーコンディショナ6は、LANボード(この実施例のLANボードの定義:単一の基板上又は単一のパッケージ内に、小規模ネットワークを成す通信機能と、アドレス管理部、メモリー、時計部および演算部を具備している前記ネットワーク上のサーバ機能とを構成したものであり、電力は太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整した直流電力が供給されている)21が組み込み可能に構成されている。LANボード21は、アドレス管理部22、メモリー23、時計部24、キャパシター26、演算部27、無線LAN部28および有線LAN部29を具備し、サーバ機能を備えている。アドレス管理部22はLANボード21に付与された自己のアドレスおよび、負荷12、パワーコンディショナ用モニター46や接続機器48などに付与された他者のアドレスを管理記憶する。また、メモリー23として、揮発性のメモリーとともに、プログラムや負荷12の設定データなどを記憶しておく書換可能な不揮発性のメモリーなどが設けられている。キャパシター26は、時計部24のバックアップ電源であり、時計部24を少なくとも1日稼働させることが可能な容量を有している。
【0020】
また、LANボード21には、太陽電池パネル1からの電力が、逆流防止用のダイオード2を介して供給され、電圧調整コンバータである昇降圧コンバータ(DC/DCコンバータ)31で電圧調整されて、LANボード21の上記各部分22〜29に供給される。さらに、LANボード21には、系統11からの交流電力が、AC/DC(交流/直流)変換器32で直流電力に変換されて、LANボード21の上記各部分22〜29に供給される。昇降圧コンバータ31の出力およびAC/DC変換器32の出力は各々開閉スイッチ36,37でON−OFFされている。この開閉スイッチ36,37は、LANボード21の電源制御部41で、開閉スイッチ36,37の両方が同時にONとならないように制御されている。たとえば、夜間などの太陽電池パネル1の発電が停止している際には、開閉スイッチ36がOFFになるとともに、開閉スイッチ37がONとなる。一方、太陽電池パネル1が発電している際には、開閉スイッチ36がONになるとともに、開閉スイッチ37がOFFとなる。
【0021】
LANボード21の有線LAN部29は、電力量計16,17と有線で通信可能に接続されており、電力量計16,17からその計測データを取得することができる。
【0022】
また、LANボード21の無線LAN部28は、無線LAN機能を有するエアコン、冷蔵庫やテレビなどの負荷12や、パワーコンディショナ用モニター46と無線で通信可能に接続されている。この通信機能により、負荷12はLANボード21と、その設定データ、運転状況データや消費電力データなどを入出力することができる。モニター46は多機能モニターで、操作部、表示画面、メモリー、有線・無線LAN機能などを具備しており、LANボード21から、太陽光発電システムの発電電力量、売電・買電の電力量や自己消費電力量などのデータが入力されて表示画面に表示したりすることができる。
【0023】
さらに、LANボード21は、インターネットへの接続機器(ブローバンドルータなど)48と無線で通信可能であり、この接続機器48を介して、インターネットなどの通信網49に接続可能である。
【0024】
この様に構成されているパワーコンディショナ6のサーバ機能付LANボード21では、電力量計16,17からの検出データに基づいて、太陽光発電システムの発電電力量、系統11への売電・買電の電力量や自己消費電力量など算出・記憶することができる。また、インターネット49に接続された携帯電話、携帯端末やパソコンなどおよび、パワーコンディショナ用モニター46から、LANボード21を介して、エアコン、ビデオ、風呂などへの給湯設備、冷蔵庫やテレビなどの負荷12に予約や稼働の指令などを出力することができる。さらに、LANボード21は、エアコン、ビデオ、風呂などへの給湯設備、冷蔵庫やテレビなどの負荷12から運転状況のデータや設定データなどを適宜入手することができる。
【0025】
パワーコンディショナ6のLANボード21には、開閉スイッチ36,37の切替えにより、昼間は太陽電池パネル1の発電電力が供給され、夜間は系統11からの電力が供給される。したがって、昼間、系統11が停電しても、この停電に関係なく、LANボード21には太陽電池パネル1の発電電力が供給されており、通常に作動している。また、夜間、系統11が停電すると、LANボード21への給電はなくなる。そして、LANボード21の時計部24のみに、キャパシター26が給電し、時計部24は停止することなく稼働を維持する。この給電により、キャパシター26は放電するが、昼間になると、太陽電池パネル1から発電電力が供給され充電される。また、エアコン、ビデオ、風呂などへの給湯設備、冷蔵庫やテレビなどの負荷12は、停電が長時間の場合には、予約情報や設定情報などのデータを失うことがある。この様な場合には、系統11が停電から復帰すると、LANボード21は、エアコン、ビデオ、風呂などへの給湯設備、冷蔵庫やテレビなどの負荷12へ、予約情報や設定情報などのデータを無線で送信し、予約情報や設定情報などのデータを復帰させる。
【0026】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)充電機能を有する補助電源は、必ずしも、キャパシターである必要はなく、蓄電池などを用いても良い。
【0027】
(2)発電電力量検出手段は、発電電力量計16である必要は必ずしもない。そして、太陽光発電システムは、太陽電池パネル1に対して最大発電量が得られるように交流に変換する前の電圧と電流を制御しているので、この電力値を発電電力量として用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
パワーコンディショナに、サーバ機能を具備するLANボードを組み込み可能にし、かつ、太陽光発電システムの発電した直流電力を電圧調整し、調整された直流電力をこのLANボードに供給している。そのため、昼間は、系統の停電の有無に係わらず、サーバ機能は稼働しており、系統の停電による、サーバ機能の停止を極力減少させることができる。したがって、太陽光発電システムの発電した直流電力を昇圧チョッパで昇圧し、この昇圧された直流電力をインバータで交流電力に変換して交流電源系統に接続するパワーコンディショナに適用することが最適である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は本発明におけるパワーコンディショナを用いた系統連係システムの概略図である。
【符号の説明】
【0030】
1 太陽電池パネル
6 パワーコンディショナ
7 昇圧チョッパ
8 インバータ
11 系統
12 負荷
16 電力量計
17 電力量計
21 LANボード(通信機能)
22 アドレス管理部
23 メモリー
24 時計部
26 キャパシター(補助電源)
27 演算部
31 昇降圧コンバータ(電圧調整コンバータ)
32 AC/DC変換器
49 インターネット