(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の1つにおける遠心式ファンについて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける遠心式ファンを示す斜視図である。
図2は、
図1のA−A線における断面図である。
図3は、
図2の部分拡大図である。
【0018】
図1から
図3を参照して、遠心式ファン1は、ケーシング10と、羽根車30と、モータ60とを備えている。遠心式ファン1は、モータ60が取り付けられている部分を除き、全体として、平面視で略正方形の直方体状に構成されている。遠心式ファン1は、上下方向の寸法(高さ)が比較的小さい、薄型のものである。羽根車30は、モータ60のロータ62に取り付けられており、ロータ62の回転とともに回転する。遠心式ファン1は、羽根車30の回転に伴って、その吸い込み口33から導入した空気を、羽根車30の側方に排出させる。すなわち、吸い込み口33から導入された空気は、羽根車30の回転に伴う遠心作用による流体力で、羽根車30の羽根51の間を通過し、羽根車30の径外方に向けて吹き出される。空気は、羽根車30の側方にあるケーシング10の吹き出し口(開口)19から排出される。
【0019】
モータ60は、例えば、アウターロータ型のブラシレスモータである。モータ60は、モータベース(下ケーシングの一例)21の中央部にねじやボルト等の締結部材で装着されている。ロータ62は、下方に向けて開口するカップ状のロータヨーク63、シャフト61、マグネット65から構成されている。ロータヨーク63の側周部の内面には、環状のマグネット65が取り付けられている。ロータヨーク63の中央部には、シャフト61が固定されている。
【0020】
シャフト61は、ベアリングホルダ66に装着された一対のベアリング66aにより回転可能に支持されている。ベアリングホルダ66は、モータベース21に装着されている。ベアリングホルダ66の外周部には、ステータ67が設けられている。ステータ67は、積層されたステータコアや、ステータコアに装着された、コイルを巻回したインシュレータなどで構成されている。ステータコアは、マグネット65に対して半径方向(
図2において左右方向)に所定のギャップを隔てて対向配置されている。ステータ67には、回路基板69が装着されている。回路基板69は、例えばプリント配線基板である。回路基板69には、モータ60を制御するための電子部品等が実装されており、モータ60の駆動回路が搭載され、駆動回路とコイルとは電気的に接続されている。
【0021】
ケーシング10は、上ケーシング11と、モータベース21とが組み合わされて構成されている。具体的には、上ケーシング11とモータベース21とが、平面視で四隅に位置するねじ14を用いて互いに組み付けられ、ケーシング10が構成されている。上ケーシング11とモータベース21とは、例えば、ねじ14が配される部分で略円筒状の支柱14bを挟むようにして互いに組み付けられている。ケーシング10の各側面のうち互いに隣り合う支柱14b同士と、上ケーシング11と、モータベース21とによって囲まれる部分は開口となっており、この開口が吹き出し口19となる。換言すると、吹き出し口19は、支柱14bが配置されている上ケーシング11とモータベース21との締結部分を除いたケーシング10の側部であって、上ケーシング11とモータベース21との間に設けられている。
【0022】
ねじ14は、例えば、モータベース21側から差し込まれるボルトである。なお、ねじ14に代えて、他種のねじや、例えばリベットなどの他種の連結材が用いられてもよい。
【0023】
支柱14bは、上ケーシング11とモータベース21とのどちらか一方と一体に構成されていてもよい。例えば、支柱14bは、上ケーシング11と一体成形により形成されており、支柱14bとモータベース21とをねじ14などで結合した構成であってもよい。また、支柱14bは、モータベース21と共に板金加工などにより形成されており、支柱14bと上ケーシング11とをねじ14などで結合した構成であってもよい。
【0024】
羽根車30は、ケーシング10内に格納されるようにして配置されている。羽根車30の上方に上ケーシング11が位置し、羽根車30の下方にモータベース21が位置している。すなわち、遠心式ファン1は、上ケーシング11とモータベース21とで羽根車30を挟むようにして、上ケーシング11とモータベース21との間に羽根車30が配置されて構成されている。
【0025】
羽根車30は、大まかに、上側の環状シュラウド31と、下側のハブ41と、複数の羽根51とを有している。羽根車30の中央部には、上方に開口する吸い込み口33が形成されている。吸い込み口33は、環状シュラウド31の内側の上端部35に囲まれることで構成されている。複数の羽根51は、適切な間隔で、円周上に配列されている。各羽根51は、環状シュラウド31から下方に突出するように、環状シュラウド31とハブ41との間すなわち環状シュラウド41とモータベース21との間に配置されている。各羽根51は、羽根51の内側の一部において、ハブ41に接合されている。
【0026】
各羽根51は、同一の湾曲した形状を有している。すなわち、羽根51は、回転方向に対して後向きに湾曲傾斜した形状を有している。より具体的には、羽根51は、羽根車30の外側に近づくにつれて羽根車30の回転方向に後側に湾曲しながら傾斜している。
図1から
図3においては、羽根51の形状は、簡略化して示されている。羽根51の具体的な形状については、後述する。環状シュラウド31、ハブ41、及び羽根51は、例えばエンジニアリングプラスチックなどの樹脂を用いて一体成形で形成される。
【0027】
ハブ41の中央部には、円筒部43が設けられており、ロータ62は、円筒部43にはめ込まれて羽根車30を保持している。
【0028】
上ケーシング11は、例えばエンジニアリングプラスチックなどの樹脂を用いて形成されている。上ケーシング11の中央部には、開口部13が形成されている。開口部13は、平面視で円形である。開口部13は、羽根車30に設けられている吸い込み口33に空気が導入されるように形成されている。開口部13は、環状シュラウド31により構成される吸い込み口33よりわずかに大きい内径を有している。開口部13の周縁には、下方に突出する返し部が形成されており、返し部の内面と環状シュラウド31の上端部35近傍の外周面とがわずかな隙間を隔てて配置されている。
【0029】
上ケーシング11の上面には、肉盗み部分となる複数の凹部11bが形成されており、互いに隣り合う凹部11b間にはリブ11aが形成されている。このようにリブ11a及び凹部11bが形成されているので、上ケーシング11は、比較的軽量であって、十分な剛性を有している。
【0030】
モータベース21は、例えば、鉄などの金属板を用いて形成されている。モータベース21は、ケーシング10と同様に四角形形状を有している。モータベース21の中央部には、下方に窪む凹部23が形成されている。凹部23は、椀状に形成されている。
図2に示されるように、本実施の形態において、凹部23には、モータ60と、回路基板69などのモータ60の駆動回路とが装着されている。モータ60は、ねじやボルト等の締結部材でモータベース21に装着されているが、締結部材の代わりにベアリングホルダ66の下部を凹部23にかしめ固定してモータベース21に装着した構成であってもよい。
【0031】
モータベース21の外周部は、軸方向(
図2上下方向)に折り曲げられた側板となっている。側板が設けられていることにより、モータベース21の剛性が高められている。
【0032】
モータベース21の上面のうち、凹部23の周囲の部分は、羽根車30の下面に面する隔壁部29となっている。隔壁部29は、羽根車30の下面に近接するように平面状に形成されている。
【0033】
図2に示されているように、羽根車30のハブ41は、各羽根51のうち少なくとも外周側の部位が隔壁部29に面するように、シャフト(羽根車30の回転軸)61寄りの部分にのみ設けられている。すなわち、羽根車30のうち隔壁部29に対面する部位には、各羽根51が対向している。モータベース21の羽根車30に対向する部分は、吸い込み口33から導入された空気を側方に誘導する壁面の一部となっている。羽根51は、軸方向において、隔壁部29と所定のギャップを隔てて対向配置されている。なお、各羽根51の下部は、その少なくとも一部分が隔壁部29と対向していてもよいし、その全部分が隔壁部29と対向していてもよい。
【0034】
図3に示されるように、ハブ41の上面の一部は、側断面において下に凸の円弧状の曲線となるような曲面49となっている。ハブ41のうち外周端部45は、環状シュラウド31の上端部35の鉛直下方近傍に位置している。また、ハブ41のうち内周端部47は、ロータ63の外周上端部63aの近傍に位置している。曲面49は、外周端部45と内周端部47との間に形成されている。曲面49のうち、最も下方にあるのが外周端部45である。
【0035】
なお、ケーシング10の中に収納される羽根車30の外径寸法は、ケーシング10の一辺の寸法より小さく設定されている。これにより、回転する羽根車30がケーシング10の外縁より突出することがなく、羽根車30の他部材との接触や、接触による破損等が防止されている。
【0036】
モータベース21は、羽根車30において空気をガイドする主板としての機能を兼ねると共に、ケーシング10の基板としての機能も有している。このため、羽根車30と隔壁部29との間に形成されたギャップの設定は重要である。ギャップが大きすぎる場合、吸い込み口33から吸入された空気は、羽根51の間を通過すると共に、ギャップにも流れてしまう。この結果、羽根車30から吹き出された空気の圧力が低減し、送風特性が低下する。一方で、ギャップが小さすぎる場合には、次のような問題がある。すなわち、各部品の寸法精度のバラツキが生じると、羽根51が隔壁部29に接触してしまう可能性がある。このような接触を防止するためには、各部品の寸法精度を高精度に管理する必要が生じ、遠心式ファン1の製造コストが上昇してしまう。羽根車30と隔壁部29との間のギャップは、このような問題点を鑑み、適切に設定されている。
【0037】
次に、羽根車30の構造について、より具体的に説明する。
【0038】
図4は、羽根車30の底面図である。
図5は、羽根車30の側断面図である。
【0039】
図4及び
図5を参照して、羽根車30は、全体として円盤形状を有する、薄型のものである。これにより、遠心式ファン1は、薄型に構成できる。
図4に示されるように、羽根車30には、例えば7つの羽根51が配置されている。なお、環状シュラウド31の上端部35の内径D1は、ハブ41の外径D2よりも大径となっている。このため、羽根車30の製造には、上下に離間する金型を使用することができる。したがって、複数の羽根51と、環状シュラウド31と、ハブ41とは、例えばエンジニアリングプラスチックなどの樹脂を用いた射出成形などによって、一体成形で1つの部品として形成することができる。
【0040】
それぞれの羽根51は、圧力面53と負圧面54とを有している。圧力面53は、羽根車30の回転方向(
図4において、時計回り方向の反対方向:矢印Rで示す方向)の前側に面している。負圧面54は、圧力面53とは逆側に面している。
【0041】
羽根51は、後向き羽根で、いわゆるターボ型である。羽根51は、回転方向に対して後向きに湾曲傾斜した形状を有している。各羽根51の具体的な形状は、例えば次のようである。すなわち、羽根車30の回転軸の伸びる方向から圧力面53を見たとき(底面視で見たとき)、その形は、大まかに、3種類の円弧をつなげた形状を有している。これらの円弧は、隣り合う円弧同士が正接するようにして接続されている。これにより、遠心式ファン1の高流量化、高静圧化、低騒音化を進めることができる。負圧面54は、底面視で、圧力面53との間隔が羽根車30の回転軸から離れるにつれて小さくなるように、大まかに圧力面53に沿うような湾曲形状を有している。なお、羽根51の底面視の形状は、これに限られるものではない。
【0042】
羽根51は、羽根車30の回転軸側すなわち吸い込み口33側が前縁となり、羽根車30の側周面側が後縁となる。
図5に示されるように、各羽根51の前縁は、環状シュラウド31からハブ41に近づくにつれて、羽根車30の回転軸に近づくようなテーパ形状に構成されている。羽根51の後縁は、羽根車30の回転軸と略垂直な形状を有している。
【0043】
図6は、羽根51の断面を模式的に示す図である。
【0044】
図6において示されている断面は、回転軸に対して垂直な水平面に対して垂直であって底面視で圧力面53に対して略垂直な断面におけるものである。すなわち、
図6において示されている断面は、
図4のC−C線におけるものに対応する。
図6においてハッチングは省略されている。矢印Zは、羽根車30の回転軸に平行な方向(上方)を示す。
【0045】
本実施の形態においては、
図6に示されるように、各羽根51の厚みすなわち各羽根51における圧力面53と負圧面54との間隔は、環状シュラウド31から回転軸に平行な方向に離れるに従って、小さくなっている。換言すると、羽根51は、隔壁部29に近づくに従って薄くなるように形成されている。これにより、羽根51の圧力面53と、その羽根51に隣り合う羽根51の負圧面54との距離が、隔壁部29に近づくにつれて大きくなっている。
【0046】
負圧面54は、羽根車30の回転軸に略平行となっている。すなわち、厳密には、負圧面54には抜き勾配が設けられており、回転軸に完全に平行であるわけではないが、この抜き勾配は小さな角度であり、圧力面53の傾斜と比べても小さくなっている。
【0047】
これに対して、圧力面53は、第1の傾斜面53aと、第2の傾斜面53bと、面取り面53cとで構成されている。なお、1つの羽根51の圧力面53は、その全域がこれら3つの面53a,53b,53cとで構成されていてもよいし、さらにこれらの他の面を含んでいてもよい。
【0048】
第1の傾斜面53aは、上部が環状シュラウド31に接合されていて、環状シュラウド31からモータベース21に近づくに従ってその羽根51の負圧面54側に近づくように傾斜する面である。
【0049】
第2の傾斜面53bは、第1の傾斜面53aよりもモータベース21に近い部分に設けられている。本実施の形態では、第2の傾斜面53bは、面取り面53cを介して、第1の傾斜面53aに続けて、圧力面53の下端部すなわち羽根51の下端部まで設けられている。第2の傾斜面53bは、すべての羽根51の、内側から外側まで(ハブ41側から先端部まで)の全域にわたって設けられている。
【0050】
ここで、第2の傾斜面53bは、第1の傾斜面53aよりも急な角度で負圧面54側に近づくように傾斜している。すなわち、
図6の断面において説明すると、第1の傾斜面53aと羽根車30の回転軸との間の角度をαとし、第2の傾斜面53bと羽根車30の回転軸に垂直な平面(すなわち水平面)との間の角度をβとすると、角度βは、90度から角度αを引いた角度よりも小さくなっている。
【0051】
面取り面53cは、第1の傾斜面53aと第2の傾斜面53bとの間に、これらの2つの面53a,53bで形成される稜線を丸めるように形成されている。本実施の形態において、面取り面53cは丸面取り状の曲面(例えば、断面が略楕円弧状や円弧状の曲面が含まれる)であり、例えば、所定の大きさの曲率を有する曲面である。
【0052】
角度αは、4度以上8度以下の範囲で設定されている。これにより、風量特性をそれほど低下させることなく、効率的に騒音を低減させることができる。
【0053】
角度βは、0度より大きく45度より小さく設定されている。より好ましくは、角度βは、25度以上35度以下に設定されている。
【0054】
図7は、角度βの大きさと羽根車30の回転時の騒音レベルとの関係を示すグラフである。
【0055】
図7においては、横軸は角度βの大きさ、縦軸は騒音の大きさにそれぞれ対応する。
図7には、角度αが所定の角度(4度〜8度の範囲内)であって角度βが0度、15度、25度、35度、45度、55度の各場合において、騒音の大きさとして回転音(nz音)の値を測定した結果が示されている。回転音(nz音)は、ファン回転数(羽根車30の回転数)n(rpm)と羽根枚数zの積に依存した異音で、羽根車30の回転数に応じて発生する。そのため、回転音の周波数(nz/60)Hzにおける音圧(dB)を測定し、比較した。なお、各場合の測定時においては、所定の静圧が得られるように羽根車30の回転数を設定した。
【0056】
図7に示されるように、角度βが0度の場合(角度βがなく、角度αのみ形成した場合;すなわち第2の傾斜面53bがなく、第1の傾斜面53aのみである場合)と比較して、角度βを45度未満とすることによって、回転音(nz音)を効果的に低減できることがわかる。また、回転音(nz音)の低減に付随し、その高調波である回転音(knz音、k=2、3、・・・)も低減できる。特に、角度βを25度以上35度以下とした場合には、さらに回転音(nz音)の低減効果が得られることがわかる。
【0057】
なお、角度βを45度よりも大きくした場合、回転音(nz音)の低減効果はほとんどみられない。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態においては、羽根51の圧力面53において、第1の傾斜面53aと共に、角度βが45度未満となるような第2の傾斜面53bを設けることによって、高静圧を確保しつつ、回転音(nz音)の低減に付随し、その高調波も低減することができる。これは、風速が速くなる吹き出し口19付近における圧力面53からの剥離流の発生を防止できるためと考えられる。
【0060】
圧力面には、面取り面が設けられていなくてもよい。例えば、羽根の圧力面側が環状シュラウドからモータベースに向かうに従って次第に羽根の負圧面側に向かって傾斜する第1の傾斜面と、第1の傾斜面の途中から第1の傾斜面よりも大きな角度で負圧面側に向かって傾斜する第2の傾斜面とを有していてもよい。
【0061】
第1の傾斜面と第2の傾斜面との間に、第1の傾斜面の傾斜角や第2の傾斜面の傾斜角とは異なる傾斜角を有する傾斜面が1つ又は複数設けられていてもよい。
【0062】
羽根の内側から外側までの領域のうち、一部分のみにおいて、圧力面が上述のように傾斜面を有するように構成されていてもよい。また、羽根の下端部(隔壁部側の部位)においては圧力面が負圧面と略同様に水平面に略垂直な面となり、圧力面のうち上側シュラウドに近い部位のみがテーパ状となるように構成されていてもよい。また、複数の羽根のうち、いくつかの数の羽根においてのみ、圧力面がテーパ状となるように構成されていてもよい。
【0063】
羽根の圧力面は、上述の
図6のような断面において直線的に示されるようなテーパ状のものに限られない。例えば、第1の傾斜面や第2の傾斜面は、上述のような断面において、わずかに湾曲しながら隔壁部に近づくにつれて負圧面に近づくように形成されていてもよい。
【0064】
底面視における羽根の圧力面の大まかな形状は、上述のような3つの円弧をつなげた形状でなくてもよいし、3点を通る高次関数を組み合わせたものではなくてもよい。適宜、所望の要件を満足するような形状となるように羽根が形成されていればよい。
【0065】
ケーシングの形状は、平面視で略正四角形に限定されるものではない。ケーシングは、多角形、円形、非対称形状を含め、任意のどのような形状であってもよい。上ケーシングとモータベースとの締結箇所は、平面視で上ケーシングの四隅の内側に限られない。例えば、上ケーシングの平面視で略正方形をなす外周縁から外方に突出するように、上ケーシングに連接して設けられた箇所に、上ケーシングとモータベースとを結合するためのねじや支柱等が設けられていてもよい。
【0066】
なお、上ケーシングとモータベースとを締結する箇所において、上ケーシングと下ケーシングとの間に支柱を設ける場合には、支柱の形状は、例えば次のようにすればよい。すなわち、支柱は、上ケーシングとモータベースとを結合するためのねじを貫通させることができる程度の大きさを有する略円筒形状とすればよい。このような形状の支柱を用いることにより、羽根車から吹き出された空気が、ほとんど抵抗を受けることなく、ケーシングの側面から外方に吹き出されるので、遠心式ファンの低騒音化を図ることができる。
【0067】
モータベースは、例えば樹脂材料など、金属板以外を用いて構成されていてもよい。上ケーシングとモータベースとは一体に形成されていてもよい。モータベースに代えて、モータを搭載するスペースを有しない下ケーシングが用いられて、上ケーシングと下ケーシングとでケーシングが構成されていてもよい。すなわち、遠心式ファンは、モータが下ケーシングに取り付けられているものに限られるものではない。
【0068】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】遠心式ファンは、ケーシングに格納された羽根車を有している。羽根車は、環状シュラウド31と、ハブ41と、それらの間に配置された羽根51とを有している。遠心式ファンは、羽根車の回転に伴い、羽根車の上方に開口する吸い込み口から導入した空気を、羽根車の側方に排出させる。羽根51の圧力面53側は、環状シュラウド31から下ケーシングに近づくに従ってその羽根51の負圧面側に近づくように傾斜する第1の傾斜面53aと、第1の傾斜面53aよりも下ケーシングに近い部分に設けられ、第1の傾斜面53aよりも急な角度で負圧面側に近づくように傾斜する第2の傾斜面53bとを有する。吹き出し口付近における圧力面53からの剥離流の発生が防止される。