【実施例1】
【0022】
フユボダイジュ抽出物を摂取することによる作用機序をマウス試験により確認する。本試験では、フユボダイジュ抽出物含有高脂肪食の長期摂取がマウスの脂質代謝に及ぼす影響について試験した。
上記した抽出法と同様の方法により得られたフユボダイジュ抽出物としてボダイジュエキスパウダーMF(丸善製薬製)(以下、BE)を用いた。本試薬はin vitro試験にて、膵リパーゼ活性阻害作用が強く確認され、in vivoでの単回強制経口投与試験においてもコーン油投与(8ml/kg BW)後の血漿脂質濃度を大きく抑制することが確認されている。(500mg/kg BW投与時)。試験結果を[0032]以降に後述する。
【0023】
1−1実験動物の処置
4週齢のC57BL/6J系の雄性マウス32匹(搬入時の体重13〜18g)を日本エスエルシー株式会社より搬入し、室温約22℃、湿度約40%、明期12時間(8:00〜20:00)に設定した動物飼育室(鶴見リーディングベンチャープラザ内)で飼育を行った。搬入後10日間は馴化期間として、固形飼料CRF−1(オリエンタル酵母株式会社)、水を自由に摂取させた。
馴化期間終了時、体重を測定後、健康状態が良好なマウスを本実験に用いた。
上記マウスを各群の匹数、体重が等しくなるように3群(HF、B1.0、B3.0)に分け、表1に示した組成の高脂肪食(HF食)、1.0%、および3.0%のBEを添加した高脂肪食(それぞれB1.0食、B3.0食)を49日間自由に摂取させた。試験期間中、2日あるいは3日置きに摂餌量、および体重を測定し、食餌を交換した。
【0024】
【表1】
【0025】
試験最終日の18:00より解剖まで絶食状態とし、体重推移の経過より、HF群、B1.0群、B3.0群を以後の実験に用いることとした。
解剖日10:00より1.5gの2.2.2−トリブロモエタノール(和光純薬(株))を1mlのイソプロパノール(和光純薬(株))に溶解させ、生理食塩水で80mlにメスアップした溶液を適量(B.W.×0.02+0.05ml)腹腔内投与し、麻酔後、開腹し、心臓より採血した。3,000r.p.m.で10分間遠心分離を行い、血漿を分離した後、分析まで−80℃で保存した。その後、肝臓、精巣周囲脂肪組織を摘出し、肝臓については0.9%(w/v)生理食塩水を用いて灌流脱血後、重量を測定し、血漿と同様に分析まで−80℃で保存した。また、試験終了3日前より糞を全量採取し、−20℃で分析まで保存した。
【0026】
[血漿生化学検査]
解剖時に得られた血漿を実験に使用した。血漿グルコース濃度はグルコースC−IIテストワコー、血漿TG濃度はトリグリセリドEテストワコー(以上、和光純薬(株))を用いて測定した。
【0027】
[糞便脂質濃度の測定]
解剖時に得られた血漿を実験に使用した。血漿グルコース濃度はグルコースC−IIテストワコー、血漿TG濃度はトリグリセリドEテストワコー(以上、和光純薬(株))を用いて測定した。
試験終了前3日間の糞便の湿重量、および凍結乾燥後の湿重量を測定後、フードミル(形式:TML17 TESCOM(株))にて粉砕した。粉砕した糞便約100mgからFolch法により脂質を抽出し、窒素ガスにて乾固した後、イソプロパノールにて溶解し、試料溶液とした。糞TG含量はトリグリセリドEテストワコー、糞TC含量はコレステロールEテストワコーを用いて測定した(
図1)。
【0028】
統計処理
結果は、平均値±標準誤差で表した。統計処理にはStatView Ver. 5.0(SAS Institute Inc., Cary, NC, USA)を用いて分散分析を実施後、Fisher-PLSD法にて有意差検定を行い、p値が0.05未満で有意であると判定した。
精巣周囲脂肪組織の湿重量、および体重1gあたりの相対重量を
図2に示した。
【0029】
[血漿生化学分析]
血漿のグルコース濃度を
図3、血漿のTG濃度を
図4に示した。
図3より、血漿TG濃度はHF群と比較し、BE1.0%、3.0%添加群にて有意に低下したことが明らかとなった。また、
図4より血漿グルコース濃度においてはHF群と
比較し、BE1.0%添加群にて有意に低下したことが明らかとなった。
【0030】
[糞便脂質分析]
本飼育最終3日間の糞便中のTG含量を
図5に示し、TC濃度を
図6に示した。
図5、6より、糞便中のTG、TC含量はLF群と比較してHF群で有意に高値となり、BE3.0%添加群ではHF群、およびB1.0群と比較して有意に高値となった。TC含量において同様の結果が明らかとなった。
【0031】
[結果のまとめと考察]
本実験では、膵リパーゼ阻害作用に伴う食事脂質吸収抑制作用において強い効果が見られたBEを精製高脂肪食に1.0、3.0%混合させた混合飼料をC57BL/6Jマウスに49日間摂取させた場合の内臓脂肪蓄積、血漿生化学パラメーターへの影響について検討を行った。
BE添加により、内臓脂肪組織の一つである精巣周囲脂肪組織の重量は用量依存性が確認され、体重1gあたりのB3.0群の精巣周囲脂肪組織重量はHF群と比較して有意に低値を示した。(
図2(a)(b))。
先行試験より、BEには強い膵リパーゼ阻害作用がin vitro試験にて確認されており、in vivoでの油脂単回投与試験においてもコーン油(8ml/kgBW)投与後の血中TG濃度の上昇をBE(500mg/kgBW)が有意に抑制することが確認でき、糞便中に脂質が排出されていることが推測されている。本実験においても、試験最終3日間に排泄された糞を回収し、糞量、糞中脂質含量を測定した。糞便中のTG、およびTC含量において、B3.0群はHF群と比較して有意に糞中TG含量、およびTC濃度が増加しており(
図5、6)、BEが膵リパーゼ活性を阻害し、腸管からの脂質の吸収を抑制していることが内臓脂肪蓄積抑制効果の一つであると示唆された。
また、血漿生化学分析の結果、血漿TG濃度において、HF群と比較してB3.0群は絶食下での血中TG濃度の低下作用を有することが確認できた(
図3)。また、血漿グルコース濃度において、HF群と比較してB1.0群は絶食下での血中グルコース濃度の低下作用を有することが確認できた(
図4)。
以上より、BEの長期摂取は血中グルコース濃度、およびTG濃度の低下作用、内臓脂肪の蓄積抑制効果、脂肪の糞排泄促進作用を有することが確認された。
【0032】
[フユボダイジュエキス(FB)の脂肪吸収抑制単回投与試験]
<試験方法>
・実験動物 ・・・ 8 weeks ddy系雄性マウス 18匹
・環境 ・・・明期08:00~20:00の12時間明暗周期、4〜5匹/ケージ
温度23±1℃
・ 被験試料
対照群 :コーン油 8ml/kg (Control) + 蒸留水 16.7 ml/kg
フユボダイジュ 500mg/kg 群:コーン油 8ml/kg + フユボダイジュ 500mg/16.7 ml/kg (FB 500 mg/kg)
・ 採血(測定)
血漿を用いて、トリグリセライドE-テストワコー(和光純薬株式会社)で測定した。
Student’s t testにて有意差検定を実施した。(p<0.05にて有意な差があるとみなした。)
<測定結果>
被験試料投与後に採血した血液中の血中中性脂肪値を6時間測定した。その結果を、
図7、
図8に示す。
図7は、被験試料投与後の血中中性脂肪値を示している。コントロールもフユボダイジュ抽出液添加試料も3時間後までは上昇し、その後低下する傾向は同じであるが、フユボダイジュ抽出液添加試料は、全体を通して、血中中性脂肪値が低く推移している。統計値的には、摂取後1時間、2時間が有意に低いことが示されており、摂取直後の上昇が抑制されることが顕著に認められる。
図8は、
図7に示す曲線下の面積を示している。摂取後6時間の血漿中性脂肪の総量を示していると見なすことができ、コントロールに対してフユボダイジュ添加試料では、59%に止まっており、総量としても血中中性脂肪が少なく抑えられていることが示されている。
この結果は、「単回強制経口投与試験においてもコーン油投与(8ml/kg BW)後の血漿脂質濃度を大きく抑制する」と[0022]に前述したとおりである。