(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線通信ネットワークを介して触覚タイミング信号を選択的に分配するように構成されるマスタ装着可能触覚デバイスであって、該マスタ装着可能触覚デバイスは、該マスタ装着可能触覚デバイスの動作を検知するように構成されるセンサを備え、該センサは、前記動作に応答して前記触覚タイミング信号を生成するように構成され、前記触覚タイミング信号は、1つ又は複数のテンポを含む、マスタ装着可能触覚デバイスと、
複数のスレーブ装着可能触覚デバイスであって、該複数のスレーブ装着可能触覚デバイスは、複数のスレーブ装着可能触覚デバイス群に分割され、前記マスタ装着可能触覚デバイスから離れており、且つ前記マスタ装着可能触覚デバイスに論理的に結合されており、該複数のスレーブ装着可能触覚デバイスは、前記マスタ装着可能触覚デバイスから前記触覚タイミング信号を選択的に受信し、該触覚タイミング信号に応答してリズムを有する一連の触覚フィードバックを生成するように構成され、該複数のスレーブ装着可能触覚デバイス群の各群は、異なるテンポを有する前記触覚タイミング信号を受信するように構成される、複数のスレーブ装着可能触覚デバイスと、
を備える、触覚タイミング分配システム。
前記触覚タイミング信号を選択的に分配するように構成される前記マスタ装着可能触覚デバイスは、複数の触覚信号セットを生成することができる信号ジェネレータをさらに含み、前記複数の触覚信号セットの各セットは、選択されたスレーブ装着可能触覚デバイスへ分配されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
無線通信ネットワークを介して1つ又は複数の触覚連係信号セットを分配するように構成されるマスタ装着可能触覚デバイスであって、該マスタ装着可能触覚デバイスは、該マスタ装着可能触覚デバイスの動作を検知するように構成されるセンサを備え、該センサは、前記検出された動作に従って前記触覚連係信号を生成するように構成され、該マスタ装着可能触覚デバイスは、物体に取り付けることができる、マスタ装着可能触覚デバイス、及び
前記マスタ装着可能触覚デバイスから離れて、且つ前記マスタ装着可能触覚デバイスに論理的に結合されており、前記マスタ装着可能触覚デバイスから少なくとも1つの触覚連係信号セットを選択的に受信することができると共に、前記触覚連係信号に応答して触覚フィードバックを生成することができる、複数のスレーブ装着可能触覚デバイスであって、該複数のスレーブ装着可能触覚デバイスは、複数の群に分割され、該複数のスレーブ装着可能触覚デバイス群の各群は、異なる触覚連係信号セットを受信するように構成される、複数のスレーブ装着可能触覚デバイス、
を備える触覚連係システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の例示の実施形態は、本明細書では、マスタ触覚デバイスと1つ又は複数のスレーブ触覚デバイス群との間で同期触覚信号を分配するための方法、システム、及び装置のコンテキストで説明される。
【0010】
当業者は、例示の実施形態の以下の詳細な説明が例示にすぎず、限定的であることを決して意図していないことを了解するであろう。この開示の利益を有するこのような当業者には、他の実施形態が容易に浮かぶであろう。次に、添付図面に示すような例示の実施形態の実施態様を詳細に参照することにする。図面及び以下の詳細な説明の全体を通じて、同じ部分又は同様の部分を参照するのに、同じ参照符号が使用される。
【0011】
明瞭にするために、本明細書で説明する実施態様の決まりきった特徴のすべてが図示及び説明されるとは限らない。もちろん、このような実際の実施態様の開発はいずれにおいても、アプリケーションに関連した制約及びビジネスに関連した制約の順守等、開発者の特有の目標を達成するために、多数の実施態様特有の決定を行わなければならないこと、並びにこれら特有の目標は実施態様ごとに且つ開発者ごとに変化することが認識されよう。その上、このような開発努力は、複雑であり且つ多くの時間を要する場合があるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとって、決まりきった工学技術の取り組みになることも認識されよう。
【0012】
触覚同期信号を分配できる触覚信号分配システムは、マスタ触覚デバイス及びスレーブ触覚デバイス群を備える。一実施形態では、マスタ触覚デバイスは、リモートの装着可能又は取り付け可能なデバイスであり、触覚同期信号をスレーブ触覚デバイスへ分配するように構成される。触覚同期信号は、例えば、或る音楽のテンポに関する情報を含むことができる。触覚信号分配システムは、例えば、マスタ装着可能触覚デバイスが、無線通信ネットワークを介して1つ又は複数のスレーブ装着可能触覚デバイス群へ触覚同期信号を選択的に分配することを可能にする。各スレーブ装着可能触覚デバイスは、触覚同期信号を受信すると、その触覚同期信号に応答して、ビートリズムを有する一連の触覚フィードバックを生成する。各スレーブ触覚デバイス群は、1つ又は複数の装着可能又は取り付け可能触覚デバイスを含むことに留意すべきである。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態によるリモート触覚デバイスを使用する触覚タイミング分配システム100を示すブロック図である。システム100は、マスタリモート触覚デバイス102、6つのスレーブリモート触覚デバイス群104乃至114、及び中継局116を備える。マスタリモート触覚デバイス102及びスレーブリモート触覚デバイス104乃至114は、無線通信チャネル130乃至146を介して論理的に接続されている。リモート触覚デバイスには、マスタリモート触覚デバイス及びスレーブリモート触覚デバイスが含まれることに留意すべきである。各スレーブリモート触覚デバイス群は、1つ又は複数のリモート触覚デバイスを含む。本発明の例示の実施形態の基礎と成る概念は、1つ又は複数のブロック(回路又は機械的デバイス)がシステム100に追加されても又はシステム100から除去されても変化しないことに留意すべきである。
【0014】
マスタリモート触覚デバイス102は、手等の身体又は指揮棒等の器具に取り付けることができる。マスタリモート触覚デバイス102の機能は、同期触覚信号セットを生成し、その後、その同期触覚信号セットを1つ又は複数のスレーブリモート触覚デバイス104乃至114へ送信することである。スレーブリモート触覚デバイス104乃至114の各デバイスは、同期触覚信号セットを選択的に受信すると、該同期触覚信号セットに従って一連の触覚フィードバックを生成する。
【0015】
代替的に、マスタリモート触覚デバイス102は、異なるスレーブリモート触覚デバイス群に対して異なる同期触覚信号セットを生成するように構成することができる。例えば、群104用に生成された触覚信号は、群106用に生成された触覚信号とは異なるテンポを含むことができる。マスタリモート触覚デバイス102は、周波数変化又は署名付きデジタルデータパケット等のさまざまなアドレス指定メカニズムを使用して、特定の1つ又は複数のスレーブリモート触覚デバイス群を選択的にアドレス指定するか又はターゲットにする。各スレーブリモート触覚デバイス群は、触覚信号の受信後、該触覚信号に従って一連の触覚フィードバックを生成する。
【0016】
一実施形態では、同期触覚信号は、所定の触覚データに従って生成される。この所定の触覚データは、マスタリモート触覚デバイス102に記憶することができる。代替的に、同期触覚信号は、マスタリモート触覚デバイス102の動作又は動きに応答して生成することができる。マスタリモート触覚デバイス102は、この実施形態では、加速度計等の1つ又は複数のセンサを含む。これらのセンサは、マスタリモート触覚デバイス102の動作を検出する。検出された動作は、その後、同期触覚信号を生成するのに使用される。例えば、指揮者がマスタリモート触覚デバイス102を装着し、或るテンポでバイオリン群を指し示した場合、マスタリモート触覚デバイス102内のセンサは、指揮者の動きを検出し、検出した動きに従って触覚信号セットを生成する。その触覚信号セットは、その後、無線通信ネットワークを介してバイオリン群へ送信される。
【0017】
無線通信ネットワークは、ブルートゥース(Bluetooth)、セルラー(GPRS、CDMA、GSM、CDPD、2.5G、3G等)、超広帯域(UWB)、WiMax、ZigBee、及び/又は他のアドホック/メッシュネットワーク技術のうちの1つ又は複数を含むことができる。電力消費を削減するために、システム100は、中継局116を使用して、マスタリモート触覚デバイス102からの信号強度を増幅することができる。例えば、中継局116は、無線チャネル140を介してマスタリモート触覚デバイス102から触覚信号を受信し、その後、受信した触覚信号を増幅後、無線チャネル142を介して1つ又は複数のスレーブリモート触覚デバイス群114へ中継する。
【0018】
別の実施形態では、システム100は、地域メッシュネットワークを用いて、マスタ触覚デバイスのための電力消費を節約する。マスタ触覚デバイス102は、バッテリー電源又は再充電可能な電源を使用できることに留意すべきである。バッテリー電源又は再充電可能な電源は、限られた電力供給を有する。地域メッシュネットワークによって、スレーブ触覚デバイスは、信号分配タスクを分担することが可能になる。地域メッシュネットワークのシナリオでは、或る群において、例えば1つのスレーブリモート触覚デバイス又は筆頭スレーブリモート触覚デバイスが、マスタリモート触覚デバイスから同期触覚信号を受信するように設計され、そのスレーブリモート触覚デバイスは、受信した触覚信号をその群の残りのスレーブリモート触覚デバイスへポピュレートすることを担当する。例えば、スレーブリモート触覚デバイス120がマスタリモート触覚デバイス102から無線チャネル138を介して触覚信号を受信すると、そのスレーブリモート触覚デバイス120は、受信した触覚信号を、群112の残りのスレーブリモート触覚デバイスへ転送することを担当する。代替的に、群内の所定のスレーブ順で触覚信号をポピュレートすることもできる。例えば、スレーブリモート触覚デバイス120は、マスタリモート触覚デバイス102から触覚信号を受信すると、受信した触覚信号をスレーブリモート触覚デバイス122へ転送し、次に、スレーブリモート触覚デバイス122は、受信した触覚信号をスレーブリモート触覚デバイス124へ転送し、群112におけるあらゆるスレーブリモート触覚デバイスが触覚信号を受信するまで、同様の転送が行われる。
【0019】
本発明の例示の実施形態の機能は、触覚フィードバックを、ユーザ非可聴時間同期列(user inaudible temporal synchronization queue)に提供することである。例えば、システム100は、触覚メトロノームとなるように構成することができ、触覚フィードバックを時間列として提供して、音楽家が使用する従来の可聴/可視メトロノームを模倣することができる。触覚メトロノームの概念は、1人又は複数の個人(又は物体)の時間同期が決定的に重要である多くのシナリオで使用することができる。個人が自身の視覚及び聴覚を手元の作業にすでに向けているとき、触覚フィードバックを使用してテンポを作成することが有利である。例えば、音楽家がシンフォニーオーケストラ又は音楽バンドで演奏しているとき、音楽家の視覚及び聴覚が演奏、音符、及び楽器ですでに占有されているので、所望のテンポを模倣する一連の触覚フィードバックは、それら音楽家に役立つことができる。
【0020】
システム100は、歌唱、シンフォニーオーケストラ、バンド、オペラ、演劇、曲芸等のような演芸のシナリオに適用可能である。チームスポーツは、システム100を用いることができる別の分野とすることができる。例えば、システム100は、ローイングチームのアスリート、スイマ、サイクリスト、シンクロナイズドスイマ等を同期させるのに役立つことができる。上記で議論したように、システム100は、軍事演習(兵士、チーム、車両の連係、機動演習、戦闘のタイミング設定等)、言語/発話療法トレーニング(例えば、発話中の一貫したテンポ)、組み立て/生産担当者の時間スケジュール用のトレーニングデバイス、スピードが重視される調達(メッキ、硬化等)の待ち行列トレーニング等のようなトレーニング設定においても役立つ。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態によるリモート触覚インターフェースデバイスを使用するシンフォニーオーケストラ200を示すブロック図である。シンフォニーオーケストラ200は、第1バイオリン群204、第2バイオリン群208、チェロ群212、ダブルベース群214、楽器群210、及び指揮者202を含む。楽器210は、ヴィオラ、ハープ、オーボエ、トランペット等を含む。指揮者202は、マスタリモート触覚デバイスを装着し、さまざまな群の音楽家は、同期用のスレーブリモート触覚デバイスを装着する。本発明の例示の実施形態の基礎と成る概念は、1つ又は複数のブロック(回路又は機械的デバイス)がシンフォニーオーケストラ200に追加されても又はシンフォニーオーケストラ200から除去されても変化しないことに留意すべきである。
【0022】
一実施形態では、無線通信ネットワーク216を使用して、指揮者202が装着したマスタリモート触覚デバイスと音楽家又は演奏者が装着したスレーブリモート触覚デバイス群との間の接続が論理的に提供される。テンポ情報又は時間同期情報は、有線触覚信号又は無線触覚信号のいずれかを通じて、スレーブ触覚デバイス又はスレーブ触覚メトロノームの装着者へ選択的に分配することができる。シンフォニーオーケストラ200(又はバンド)の音楽家は、例えば、ネットワーク化された触覚メトロノームを個別に装着することができ、指揮者への遮るもののない視界を有するか否かに関わらず又は指揮テンポ列(lead tempo queue)が聞こえるか否かに関わらず、所望のテンポを感知することができる。
【0023】
再び
図2を参照して、触覚メトロノーム装着者に分配される基準テンポを模倣する触覚フィードバックである触覚基準テンポは、指揮者の指揮棒に組み込まれた加速度計又は指揮者の手に装着された加速度計等のセンサから自動的に導出することができる。装着可能リモート触覚デバイスが正しく較正されると、オーケストラは、正確な共通のテンポを保つことができると同時に、指揮者によって伝えられるテンポのニュアンスにこれまで通り従うことができる。指揮者202が装着したマスタリモート触覚デバイスは、一意のアドレスを有する様々な1つ又は複数のスレーブリモート触覚デバイス群へ同期触覚信号を送信できることに留意すべきである。異なるアドレス指定メカニズムが使用されるので、例えば、第1バイオリン群204のための同期触覚信号は、チェロ群212のための同期触覚信号と干渉しないことになっている。
【0024】
群の間の干渉を削減するために、異なる周波数を使用して、異なる群を別々にアドレス指定することができる。アドレス指定方式が周波数変化を使用するとき、スレーブリモート触覚デバイス群は、近傍の群の一連の触覚信号を見ることもなければその一連の触覚信号に気付くこともない。例えば、周波数変化アドレス指定方式は、連係された軍事作戦等の状況で特に役立つことができる。特定の群への他の形態のアドレス指定触覚情報も可能である。一例は、TCP/IPインターネットトラフィックを特定のターゲットに向けるのに使用される方式と同様の方式でアドレス署名付きデジタル情報パケットを使用することである。連係用の触覚フィードバックは、大きな建設現場でのクレーン作業のようなシナリオにも役立つことができることに留意すべきである。
【0025】
図3Aは、本発明の一実施形態による同期触覚信号を分配するための装着可能触覚デバイスを示す
図300である。
図300は、装着可能触覚リング302及び手306を含む。装着可能触覚リング302は、手306の動作から入力を検知することができる。本発明の例示の実施形態の基礎と成る概念は、1つ又は複数のブロック(回路又は機械的デバイス)が
図300に追加されても又は
図300から除去されても変化しないことに留意すべきである。
【0026】
装着可能触覚リング302は、マスタリモート触覚デバイス又は装着可能リモートインターフェースデバイス等としても知られており、
図3Aに示すように、指に装着し且つ/又ははめ込むことができるリング形状に設計して構築することができる。人間の指の様々なサイズ及び形状に対応するように、装着可能触覚リング302のさまざまな物理設計を使用して、親指、人差し指、中指、薬指、及び/又は小指をフィットさせることができる。マスタリモート触覚デバイスは、ブレスレット又は時計バンドのような形状で構築することもできることに留意すべきである。指揮者の手のような手306が、音楽演奏を指揮するように空中で動くと、装着可能触覚リング302は、加速度計又は同様のセンサを使用して手306の動き又は動作を検知する。装着可能触覚リング302は、動き及び/又は動作を検出すると、上昇、下降等の動作、動きの速度等に応答して一連の触覚信号308を生成する。
【0027】
一実施形態では、装着可能触覚リング302はアクチュエータを備える。このアクチュエータは、どの1つ又は複数のスレーブ装着可能触覚デバイス群が触覚信号を受信するように選ばれたのかを肯定応答又は確認するための触覚フィードバックを生成することができる。圧電アクチュエータ、形状記憶合金(SMA)アクチュエータ、偏心回転質量体(ERM)アクチュエータ、又はリニア共振アクチュエータ(LRA)等のようなアクチュエータを通じて、触覚フィードバック又は振動触知フィードバックを提供することができる。「動き」及び「動作」という用語は、本明細書では交換可能に使用されることに留意すべきである。また、「検出」及び「検知」という用語も、本明細書では交換可能に使用される。
【0028】
図3Aに図示しない装着可能スレーブ触覚デバイスは、リング、ブレスレット、ネックレス等のような形状に設計して構築することができる。一実施形態では、装着可能スレーブ触覚デバイスを使用して、同期触覚信号が受信され、同期触覚信号に従って振動触知フィードバック又は触覚フィードバックが生成される。装着可能スレーブ触覚デバイスの機能は、同期触覚情報を受信することである。代替的に、装着可能又は取り付け可能スレーブ触覚デバイスは、信号又は触覚信号を他のスレーブ触覚デバイス及び/又はマスタ触覚デバイスへ送信することもできる。
【0029】
代替的に、触覚メトロノームは、スタンドアロンデバイスとすることもできるし、触覚メトロノームのうちのいくつかから成るネットワークにおけるノードとすることもできる。スタンドアロンバージョンでは、設定された間隔で作成された触覚フィードバック(振動等)をユーザが感知できるように、デバイスを身体に装着することもできるし、ユーザに近接して実装することもできる。
【0030】
図3Bは、本発明の一実施形態による同期触覚信号を分配するための取り付け可能触覚デバイスを示す
図310である。
図310は、触覚指揮棒304及び手306を含む。取り付け可能触覚デバイス320は、触覚指揮棒304に設置されるか又は取り付けられる。取り付け可能触覚デバイス320は、装着可能触覚リング302と同様に、触覚指揮棒304の動きを介して手306の動作を検知することができる。本発明の例示の実施形態の基礎と成る概念は、1つ又は複数のブロック(回路又は機械的デバイス)が
図310に追加されても又は
図310から除去されても変化しないことに留意すべきである。
【0031】
図3Bを再び参照して、手306は、触覚指揮棒304を握る。取り付け可能触覚デバイス320を有する触覚指揮棒304は、指揮者の手306の動作に従って1つ又は複数の楽器群にアドレス指定された1つ又は複数の同期触覚信号セット318を送出する。例えば、指揮者は、加速度計を備え、手/指揮棒の動きを捕捉できるテンポ検知指揮棒304を手に持つ。検出した動きに基づいて、取り付け可能触覚デバイス320内のマイクロプロセッサは、所望のテンポを、検知したデータから抽出する。取り付け可能触覚デバイス320又は指揮棒304内の送信機は、テンポ情報318を1つ又は複数のスレーブ触覚メトロノーム又はデバイスへブロードキャストする。触覚指揮棒304は、マスタリモート触覚デバイスとも呼ぶことができることに留意すべきである。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態による同期触覚信号又は連係触覚信号を分配できるリモート触覚デバイスを示すブロック
図400である。
図400は、装着可能又は取り付け可能触覚デバイス402、第1の人々の群404、第2の人々の群406、第3の人々の群408、第4の人々の群410、及び中継局412を含む。中継局412は、触覚信号を増幅及び中継することができる。本発明の例示の実施形態の基礎と成る概念は、電源等の追加のブロックが
図400に追加されても又は
図400から除去されても変化しないことに留意すべきである。
【0033】
人々の各群は、独特の特性を包含することができ、人々の各群は、特定の同期触覚信号セットを受信することができる。例えば、第1の群404は、男性442及び女性440の群を含む一方、第2の群406は、男性の群を含む。第3の群408は、女性の群を含む一方、第4の群410は、1人の男性を含む。代替的に、第1の群404は、シンフォニーオーケストラで第1バイオリンを演奏する音楽家とすることができる一方、第2の群406はヴィオラを演奏する。また、第3の群408は、チェロ奏者とすることができる一方、第4の群はピアニストである。また、第1の群、第2の群、第3の群、及び第4の群は、連係した任務を実行する準備ができている特殊軍事部隊である。チームスポーツ及び現場作業等の他の用途も可能であることに留意すべきである。
【0034】
装着可能触覚デバイス402は、センサ420、内部フィルタ422、セレクタ424、ジェネレータ426、及び触覚出力デバイス428をさらに含む。センサ420は、装着可能触覚デバイス402の位置及び動きを検出するように構成される。フィルタ422は、無関係な動作又は動きを除去するのに使用される。これら無関係な動作又は動きは、手の動作の自然な部分とみなされる。セレクタ424は、メモリに記憶された触覚効果群から1つの触覚効果を選択する。例えば、人々の各群は、その群を選択することを示す特有の触覚効果を有することができる。触覚出力デバイス428は、セレクタ424から受信した情報に従って触覚フィードバックを生成できるアクチュエータである。
【0035】
ジェネレータ426は、フィルタリングされた動作に応答して同期触覚信号を生成し、その後、さまざまな通信チャネル432乃至438を介して、群404乃至410等の1つ又は複数の群へ同期触覚信号を送信する。さまざまな通信チャネル432乃至438は、有線通信又は無線通信とすることができる。例えば、ジェネレータ426は、第1の群404及び第2の群406等の1つ又は複数の人々の群について1つ又は複数の一意の同期触覚信号を生成することができる。例えば、群404はバイオリンを演奏する一方、群408はバスドラムを演奏するので、群404のための同期触覚信号は、群408のための同期触覚信号と異なる場合がある。
【0036】
一実施形態では、触覚メトロノームは、装着可能触覚デバイス402の必須の論理ブロックに従って構築される。例えば、触覚メトロノームは、触覚フィードバックを生成するための機械的手段及びデータ処理用のプログラマブルロジックデバイスを備えるべきである。機械的手段には、DCモータに取り付けられた振動偏心質量体等のさまざまなタイプの触覚アクチュエータが含まれる。触覚メトロノームは、モータのオン(触覚フィードバック)状態とモータのオフ(触覚フィードバックなし)状態とを切り替える規則的な時間間隔の設定等、動作に応答してアクチュエータを制御するための1つ又は複数のプログラマブルロジックデバイスも使用する。代替的に、触覚メトロノームは、スタンドアロンデバイスとして使用することもでき、このスタンドアロンデバイスは、触覚フィードバックレート(すなわち、メトロノームテンポ)の調整を可能にするインターフェースをさらに備えることができる。
【0037】
1つ又は複数の有線通信ネットワーク又は無線通信ネットワークを使用して、マスタ触覚メトロノームとスレーブ触覚メトロノーム群との間で同期触覚信号を円滑にし且つ分配することができる。マスタ触覚メトロノームは、装着可能マスタリモート触覚デバイスと同様の機能を実行すべきであり、スレーブ触覚メトロノームは、装着可能スレーブリモート触覚デバイスと同様の機能を実行すべきである。例えば、ネットワーク化された触覚メトロノームは、通信回路機構を使用して、マスタデバイスから、指揮されたテンポを受信し、その後、テンポに関するフィードバック情報及び時間データを、さらに分配するためにネットワークの集中ロケーション又は他のノードへ転送する。中継局412又は中央分配ネットワークを使用することによって、通信エリアのカバレッジを拡大することができる。無線ネットワーク化された触覚メトロノームの概念の場合、無線ネットワーク化された触覚メトロノームは、すべてのノードに対する中央分配点と共に動作することもできるし、各触覚メトロノームが受信機として働くだけでなく、すべてのノードへカバレッジを拡張する送信機としても働くメッシュネットワーク形式で動作することもできる。
【0038】
本発明の例示の実施形態は、以下で説明するさまざまな処理ステップを含む。実施形態のこれらのステップは、マシン実行可能命令又はコンピュータ実行可能命令に具現化することができる。これらの命令は、当該命令でプログラミングされる汎用システム又は専用システムに本発明のステップを実行させるのに使用することができる。代替的に、本発明のステップは、当該ステップを実行するためのハードワイヤードロジックを含む特定のハードウェアコンポーネントが実行することもできるし、プログラミングされたコンピュータコンポーネントとカスタムハードウェアコンポーネントとの任意の組み合わせが実行することもできる。本発明の実施形態は、インターネットに関して説明されるが、本明細書で説明する方法及び装置は、他のネットワークインフラストラクチャ又は他のデータ通信環境にも等しく適用可能である。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態によるリモート触覚デバイスを使用して同期触覚信号を分配するプロセスを示すフローチャート500である。ブロック502において、このプロセスは、触覚データに従って第1の触覚信号セットを生成する。一実施形態では、第1の触覚信号セットは、非可聴時間同期列に関する情報を含む。一態様では、触覚データは、マスタ装着可能触覚デバイス内の記憶位置からフェッチ又は取りだされる(retrieve)。代替的に、触覚データは、マスタリモート触覚デバイスの動作及び動作速度に従って生成することができる。一実施形態では、このプロセスは、マスタ装着可能触覚デバイスの動作を検知することができ、マスタ装着可能触覚デバイスの動作に応答して触覚データを作成することができる。ブロック502の後、このプロセスは次のブロックに移動する。
【0040】
ブロック504において、このプロセスは、触覚データに従って第2の触覚信号セットを生成する。第1の触覚信号セットは、第2の触覚信号セットとは異なる宛先アドレスを含むことに留意すべきである。本発明の例示の実施形態の用途に応じて、さまざまなアドレス指定メカニズムを使用することができる。例えば、第1の触覚信号セットは、第2の触覚信号セットとは異なる無線周波数で送信することができる。ブロック504の後、このプロセスは、次のブロックに進む。
【0041】
ブロック506において、このプロセスは、第1の一連の触覚フィードバックを生成するための第1のスレーブ装着可能触覚デバイスへ第1の触覚信号セットを送信する。一実施形態では、第1の触覚信号セットは、どの1つ又は複数のスレーブ装着可能触覚デバイス群が第1の触覚信号セットを受信すべきかを示す宛先アドレスを含む。第1のスレーブ装着可能触覚デバイスは或る群に属する場合があることに留意すべきである。ブロック506の後、このプロセスは次のブロックに進む。
【0042】
ブロック508において、このプロセスは、第2の一連の触覚フィードバックを生成するための第2のスレーブ装着可能触覚デバイスへ第2の触覚信号セットを送信する。一実施形態では、このプロセスは、時計信号又は全地球測位システム(GPS)を使用して、マスタ装着可能触覚デバイス内のマスタ時計をスレーブ装着可能触覚デバイス内のスレーブ時計と同期させることができる。スレーブ装着可能触覚デバイスは、触覚信号又は同期触覚信号を受信すると、触覚信号に従って音楽テンポを模倣する触覚フィードバックを生成することに留意すべきである。一実施形態では、スレーブ装着可能触覚デバイスも、無線信号を介してマスタ装着可能触覚デバイスと通信できることに留意すべきである。例えば、スレーブ装着可能触覚デバイスは、休止状態から目覚めたことをマスタ装着可能触覚デバイスに知らせることができる。
【0043】
本発明の特定の実施形態を図示及び説明してきたが、本発明及びそのより幅広い態様から逸脱することなく、本明細書の教示に基づいて、変更及び修正を行えることが当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の例示の実施形態の真の精神及び範囲内に入るすべての変更及び修正を、当該特許請求の範囲の範囲内に包含することを目的としている。