(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエチレンで形成される内管の外周面を外層で被覆した被覆ポリエチレン管どうしを請求項1ないし4のいずれかに記載の被覆ポリエチレン管用電気融着継手を用いて接合した被覆ポリエチレン管路であって、
前記被覆ポリエチレン管の接合に供する部分の前記外層を除去する長さを、前記継手本体の受口が前記被覆ポリエチレン管の管端部を受容したときに前記熱収縮チューブの鍔部によって前記被覆ポリエチレン管の残りの外層までの範囲を被覆可能な所定の長さに設定し、
さらに前記被覆ポリエチレン管と前記被覆ポリエチレン管用電気融着継手とを融着接合した後で、前記継手本体の端子部を除去して、前記熱収縮チューブの挿通孔を密封するようにした、被覆ポリエチレン管路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、継手本体を管部材に融着させるのみならず、各カバー部の鍔部分を管部材に融着させるようにしているので、2度の通電(融着)作業が必要であり、その作業に手間や時間がかかってしまう。つまり、作業性に難点がある。
【0005】
また、これを回避するために、各カバー部の鍔部分を管部材に融着させずに、カバー部どうしの機械的な結合のみで、継手本体にカバー部材を装着することも考えられるが、そうすると、カバー部材が外部からの衝撃に対して非常に弱く、カバー部材が外れて耐候性の劣化につながる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、被覆ポリエチレン管用電気融着継手およびそれを用いた被覆ポリエチレン管路を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、作業性に優れ、しかも被覆層の脱落などが生じにくい、被覆ポリエチレン管用電気融着継手およびそれを用いた被覆ポリエチレン管路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、被覆ポリエチレン管どうしを接続するために用いられる被覆ポリエチレン管用電気融着継手であって、ポリエチレンからなり、被覆ポリエチレン管の管端を受容する受口を有する継手本体、および継手本体の表面に被せられ、受口の開口端から軸方向に突出するかつ内径が被覆ポリエチレン管の外径より大きい鍔部を有する熱収縮チューブを備え
、鍔部は、受口が被覆ポリエチレン管の管端を受容したときに、受口の開口端と被覆ポリエチレン管の外層との間にできる隙間を上方から被覆することが可能な軸方向長さを有し、かつ継手本体の端部の外径よりも小さい内径を有する、被覆ポリエチレン管用電気融着継手である。
【0010】
第1の発明では、電気融着継手(10)は、継手本体(12)、および継手本体の表面に被せられる熱収縮チューブ(14)を備えており、被覆ポリエチレン管(100)どうしを接続するために用いられる。たとえば、継手本体の両端開口部は、被覆ポリエチレン管の管端を受容する受口(16)となる。そして、たとえば、接合に供する部分の外層(104)を除去して融着面(106)を得た被覆ポリエチレン管の管端を受口に挿入し、電熱線(18)に電流を流すことによって、受口の内面と被覆ポリエチレン管の融着面との電気融着接合が行われる。また、熱収縮チューブは、加熱処理を施すことによって収縮するチューブであり、継手本体の表面に紫外線等による劣化を防止するための被覆層を形成する。熱収縮チューブの両端部には、継手本体の受口の開口端からさらに軸方向に突き出す鍔部(32)が形成されており、この鍔部は、継手本体の受口が被覆ポリエチレン管の管端を受容したときに、受口の開口端と被覆ポリエチレン管の外層との間にできる隙間を
上方から被覆することが可能な軸方向長さを有する。
鍔部の内径は、継手本体の端部の外径よりも小さい。
【0011】
第1の発明によれば、継手本体の受口と被覆ポリエチレン管の融着面とを電気融着接合するだけで、管路全体に耐候性を付与することができるので、作業性に優れる。
【0012】
しかも、熱収縮チューブを継手本体の表面に密着させることによって被覆層を形成したため、被覆層が外部からの衝撃に対して強く、被覆層の脱落が生じにくいので、それに起因する耐候性の劣化の可能性が抑制される。
【0013】
第2の発明は、
被覆ポリエチレン管どうしを接続するために用いられる被覆ポリエチレン管用電気融着継手であって、ポリエチレンからなり、被覆ポリエチレン管の管端を受容する受口を有する継手本体、および継手本体の表面に被せられ、受口の開口端から軸方向に突出するかつ内径が被覆ポリエチレン管の外径より大きい鍔部を有する熱収縮チューブを備え、鍔部は、受口が前記被覆ポリエチレン管の管端を受容したときに、受口の開口端と被覆ポリエチレン管の外層との間にできる隙間を上方から被覆することが可能な軸方向長さを有し、受口と被覆ポリエチレン管とを融着接合した後においても鍔部の内径が被覆ポリエチレン管の外径より大きいまま維持された状態で被覆ポリエチレン管路を形成する、被覆ポリエチレン管用電気融着継手である。
【0014】
第2の発明では、
受口(16)と被覆ポリエチレン管(100)とを融着接合した後においても鍔部(32)の内径が被覆ポリエチレン管の外径より大きいまま維持された状態で被覆ポリエチレン管路(200)が形成される。つまり、電気融着継手を用いて被覆ポリエチレン管を接続して管路を構成する際に、継手本体の受口と被覆ポリエチレン管の融着面とを融着接合するだけで、鍔部と被覆ポリエチレン管とは融着接合されない。
【0015】
第3の発明は、
被覆ポリエチレン管どうしを接続するために用いられる被覆ポリエチレン管用電気融着継手であって、ポリエチレンからなり、被覆ポリエチレン管の管端を受容する受口を有する継手本体、および継手本体の表面に被せられ、受口の開口端から軸方向に突出するかつ内径が被覆ポリエチレン管の外径より大きい鍔部を有する熱収縮チューブを備え、継手本体を収縮前の熱収縮チューブ内に収容し、そして受口に収縮防止コアを挿入した状態で加熱することによって、熱収縮チューブを収縮させて継手本体の表面に被せた
、被覆ポリエチレン管用電気融着継手である。
【0016】
第3の発明では、熱収縮チューブ(14)を継手本体(12)の表面に被せるときに、収縮前の熱収縮チューブ内に継手本体を収容し、その継手本体の受口(16)に収縮防止コア(40)を挿入する。そして、それらをたとえば熱収縮チューブが収縮する所定の温度に加熱しておいたギヤーオーブン等の加熱炉の中に入れて、所定の時間加熱することにより、熱収縮チューブを収縮させて継手本体の外表面に密着させる。このとき、継手本体の受口は、加熱炉の加熱によって収縮しようとするが、内面側から収縮防止コアに押さえられることにより、形状および寸法が保持される。
【0017】
第3の発明によれば、継手本体の受口の形状の変形を抑制することができるので、電気融着継手と被覆ポリエチレン管との間での接合不良の発生を防止することができる。
【0018】
第4の発明は、第3の発明に従属し、収縮防止コアと一体化または付属したリング体によって鍔部の内径を設定した。
【0019】
第4の発明では、熱収縮チューブ(14)を継手本体(12)の表面に被せるときに、収縮前の熱収縮チューブ内に継手本体を収容し、その継手本体の受口(16)に収縮防止コア(40)と、収縮防止コアと一体化または付属したリング体(34)とを取り付ける。実施例では、リング体は、収縮防止コアとは別体として形成される。また、リング体は、被覆ポリエチレン管(100)の外径よりも大きい外径を有する中空リング状に形成され、熱収縮チューブの鍔部(32)内に挿入されて、その軸方向端面が受口の開口端に沿うように配置される。そして、熱収縮チューブの鍔部は、加熱炉の加熱によって収縮するものの、内面側からリング体に押さえられることにより、リング体の外形に沿う形状に保持される。
【0020】
第4の発明によれば、熱収縮チューブの鍔部の内径を適切な寸法に設定することができる。
【0021】
第5の発明は、ポリエチレンで形成される内管の外周面を外層で被覆した被覆ポリエチレン管どうしを第1ないし4のいずれかに記載の被覆ポリエチレン管用電気融着継手を用いて接合した被覆ポリエチレン管路であって、被覆ポリエチレン管の接合に供する部分の外層を除去する長さを、継手本体の受口が被覆ポリエチレン管の管端部を受容したときに熱収縮チューブの鍔部によって被覆ポリエチレン管の残りの外層までの範囲を被覆可能な所定の長さに設定し、さらに被覆ポリエチレン管と被覆ポリエチレン管用電気融着継手とを融着接合した後で、継手本体の端子部を除去して、熱収縮チューブの挿通孔を密封するようにした、被覆ポリエチレン管路である。
【0022】
第5の発明では、電気融着継手(10)を用いて被覆ポリエチレン管(100)どうしを接合した被覆ポリエチレン管路を構成するためには、先ず、被覆ポリエチレン管の接合に供する部分の外層(104)を除去して融着面(106)を得て、その管端部を継手本体(12)の受口(16)に挿入する。このとき、熱収縮チューブ(14)の鍔部(32)は、受口の開口端と被覆ポリエチレン管の残りの外層との間にできる隙間を被覆する。そして、電熱線(18)に電流を流すことによって、受口の内面と被覆ポリエチレン管の融着面との電気融着接合を行う。通電後、融着面が冷却固化すると、熱収縮チューブの挿通孔(28)から外部に突き出している継手本体の端子部(22)を除去して、挿通孔を防水テープによって密封する。
【0023】
第5の発明によれば、管路全体に耐候性を付与することができる。
【0024】
この発明によれば、電気融着継手を用いて被覆ポリエチレン管どうしを接続するときに、簡単な作業で管路全体に耐候性を付与することができるので、作業性に優れる。
【0025】
さらに、被覆層が外部からの衝撃に対して強いので、被覆層の脱落などが生じにくい、
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照して、この発明の一実施例である電気融着継手10は、ポリエチレンによって形成される継手本体12を備えており、被覆ポリエチレン管100どうしを接続するために用いられる。
【0028】
ここで、電気融着継手10の具体的な説明に先立って、被覆ポリエチレン管100について説明しておく。
【0029】
被覆ポリエチレン管100は、
図2(a)に示すように、内管(本体層)102、およびこの内管102の外周面を被覆する外層(被覆層)104を含む、ガスや水道のための導管である。
【0030】
内管102は、所定長さ(たとえば5m等)の定尺管であり、ポリエチレンによって形成され、所定の口径および厚みに設定される。外層104は、たとえば軟質ポリエチレン等からなり、内管102の紫外線等による劣化を防止するために、耐候性が付与されている。
【0031】
外層104は、内管102の外周面全体にわたって設けられてこれを被覆しており、その厚みは、たとえば1.5mmである。そして、
図2(b)に示すように、電気融着継手10と融着接合するときに、接合に供する部分の外層104を除去することで、良好な接合のための融着面106を得ることができる。
【0032】
このような被覆ポリエチレン管100は、従来公知の方法によって製造することができるので、その製造方法の詳細な説明は省略する。簡単に言えば、先に単独で押出された内管102に対して、さらに外層104を共押出して内管102の外周面を被覆することによって製造される。
【0033】
電気融着継手10の説明に戻って、電気融着継手10は、2つの被覆ポリエチレン管100を直線状に接続するためのものであり、継手本体12、および継手本体12の表面に被せられる熱収縮チューブ14を備えている。
【0034】
図3および
図4に示すように、継手本体12は、たとえば円筒状に形成される。継手本体12の両端開口部は、被覆ポリエチレン管100の管端を受容する受口16となり、その内面には、電熱線18が埋め込まれている。受口16の内径は、たとえば126mmである。そして、継手本体12の内面における電熱線18より奥側、すなわち継手本体12の中央部内面には、被覆ポリエチレン管100の管端を止めるストッパ20が形成されている。
【0035】
継手本体12の外面に形成されている突起は、電熱線18と接続している端子部22であり、この端子部22よりも中央側には、受口16の内面と被覆ポリエチレン管100の融着面106とが融着したことを示すためのインジケータ24が形成されている。インジケータ24は、電熱線18によって溶融された樹脂の圧力が自身の根元に作用することによって上昇し、受口16の内面と被覆ポリエチレン管100の融着面106とを正しく融着できていることの目安にされる。
【0036】
たとえば、受口16の内面と被覆ポリエチレン管100の融着面106とを融着させるときは、被覆ポリエチレン管100の管端を継手本体12の受口16にストッパ20に当接するまで挿入し、その後、コントローラから端子部22を介して電熱線18に通電する。
【0037】
また、上述したように、継手本体12の表面には、熱収縮チューブ(被覆層)14が被せられている。
【0038】
熱収縮チューブ14は、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマ)等からなる、加熱処理を施すことによって収縮するチューブである。後に詳細を説明するように、継手本体12の表面に被せられる前の熱収縮チューブ14の径は、継手本体12の外径より大きく設定されている。そして、ギヤーオーブン等の加熱炉内で加熱されることによって熱収縮チューブ14は縮径し、継手本体12の表面に密着して、継手本体12の表面に紫外線等による劣化を防止するための被覆層を形成する。
【0039】
熱収縮チューブ14は、継手本体12の表面を被覆する本体26を含み、その厚みは、たとえば1.5mmである。
図5に示すように、本体26には、本体26を厚み方向に貫通する2つの挿通孔28,30が形成されている。一方の挿通孔28は、継手本体12の端子部22に対応する位置に形成され、継手本体12の外面から突き出している端子部22が挿通される。また、他方の挿通孔30は、継手本体12のインジケータ24に対応する位置に形成され、受口16の内面と被覆ポリエチレン管100の融着面106とが正しく融着されたときに上昇したインジケータ24が挿通されることとなる。
【0040】
図3および
図4に戻って、本体26の両端部は、継手本体12の受口16の開口端よりも軸方向外側に突き出しており、そこに環状の鍔部32が形成されている。鍔部32は、継手本体12の受口16が被覆ポリエチレン管100の管端を受容したときに、受口16の開口端と被覆ポリエチレン管100の外層104との間にできる隙間(つまり、被覆ポリエチレン管100に残った外層104までの範囲)を上方から被覆することが可能な長さを有しており、この実施例では、たとえば12mmである。この鍔部32の軸方向の長さは、詳細は後に説明するように、リング体34の軸方向の長さに対応して設定されている。また、鍔部32の内径は、リング体34の外径に対応して、被覆ポリエチレン管100の外径(つまり、外層104の外径)より大きくなるように設定されており、この実施例では、たとえば140mmである。
【0041】
図6−
図10を参照して、継手本体12の表面に熱収縮チューブ14を被せる方法を以下に示す。
【0042】
先ず、収縮前の熱収縮チューブ14の内部に継手本体12を収容する。そして、
図6に示すように、継手本体12の受口16に、リング体34および収縮防止コア40を取り付ける。
【0043】
ここで、
図7を参照して、リング体34の構成について詳細に説明する。
図7に示すように、リング体34は、熱収縮チューブ14の鍔部32を形成するためのものであり、焼き入れ処理を施した鉄などの素材からなり、中空リング状に形成される本体36を含む。本体36の軸方向の長さは、たとえば12mmであり、その外径は、たとえば140mmである。本体36の内周面には、軸方向の一方端に、環状に突き出す凸部38が形成されている。凸部38は、径方向の内側に向けて突出し、その先端面の径(つまり、凸部38の内径)は、加熱冷却後の継手本体12の受口16の内径が規定値になるようにそれに応じた所定の値に設定されている。
【0044】
さらに、
図8を参照して、収縮防止コア40の構成について詳細に説明する。
図8に示すように、収縮防止コア40は、ギヤーオーブン等の加熱炉内で加熱処理を施すときに継手本体12の受口16の形状を保持するためのものであり、たとえばアルミニウム等の金属からなり、一方端が開口した略中空円柱状に形成される本体42を有している。
【0045】
本体42の外径は、加熱冷却後の継手本体12の受口16の内径が規定値になるようにそれに応じた所定の値に設定されており、たとえば126mmである。また、本体42の他方端は、段差状に拡径しており、そこに段差部44が形成されている。段差部44の外径は、リング体34の本体36の内径と略等しく設定され、たとえば130mmである。また、本体40の他方端には、継手本体12の受口16から収縮防止コア40をから取り外すときに、エアシリンダ等で収縮防止コア40を引っ張り出すための把持部46形成されている。把持部46の形状は特に問わないが、この実施例では、本体40の他方端面の中央部に、ねじ孔48が形成されており、そこにねじ棒50が取り付けられる。ねじ棒50には雄ねじが切られていて、この雄ねじが本体40のねじ孔48の雌ねじに螺合され、ナット52で固定されている。また、ねじ棒50の先端には、ナット54が螺合されている。
【0046】
図6に戻って、継手本体12の受口16にリング体34および収縮防止コア40を取り付けるときには、熱収縮チューブ14の鍔部32内にリング体34を挿入して、本体36の一方側(凸部38側)の軸方向端面を受口16の開口端に沿わせるとともに、凸部38の先端面が受口16の内面と面一になるように配置する。そして、収縮防止コア40を、その段差部44がリング体34の凸部38に係止されるまで、リング体34および継手本体12の受口16内に挿入する。
【0047】
継手本体12の受口16へのリング体34および収縮防止コア40の取り付けが終了すると、それらを熱収縮チューブ14が収縮する所定の温度に加熱しておいたギヤーオーブン等の加熱炉の中に入れて、所定の時間、たとえば10〜15分間加熱する。なお、熱収縮チューブ14の本体26には、予め挿通孔28を穿孔しておき、加熱前にその挿通孔28に端子部22を挿通させておく。
【0048】
すると、熱収縮チューブ14が径方向に収縮して(つまり、縮径して)、継手本体12の外表面に密着する。このとき、継手本体12の受口16は、加熱炉の加熱によって収縮しようとするが、その内面側から収縮防止コア40に押さえられることにより、形状および寸法が保持される。また、熱収縮チューブ14の鍔部32は、加熱炉の加熱によって収縮するものの、その内面側からリング体34に押さえられることにより、リング体34の外形に沿う形状に保持される。
【0049】
加熱処理が完了すると、冷却水槽等を通過させて、熱収縮チューブ14を適宜冷却固化させる。
【0050】
それから、
図9に示すように、本体36の他方側の軸方向端面に沿って熱収縮チューブ14の鍔部32をカットし、続いて、リング体34を固定的に押さえつつ、エアシリンダ等で収縮防止コア40の把持部46を引っ張ることによって、
図8に示すように、継手本体12の受口16から収縮防止コア40を取り外す。
【0051】
最後に、鍔部32内に配置したリング体34を取り外し、熱収縮チューブ14の本体26に、インジケータ24を挿通させるための挿通孔30を形成して、作業を終了する。
【0052】
さらに、
図1を参照して、このような電気融着継手10を用いて被覆ポリエチレン管100どうしを接続した被覆ポリエチレン管路200を構成する方法を以下に示す。
【0053】
先ず、被覆ポリエチレン管100の具体的には、カッターナイフや被覆層除去用の専用工具(図示せず)等を用いて、被覆ポリエチレン管100の外層104の表面に切込みを入れ、その部分から外層104を引き裂いて剥ぎ取る。そして、被覆ポリエチレン管100の管端部に
図2(b)に示すような融着面106を得る。そして、融着面106の清掃作業を行い、その管端部を電気融着継手10の一方の受口16に挿入する。
【0054】
続いて、上述と別の被覆ポリエチレン管100の、接合に供する部分の外層104を除去して(つまり、融着面106を得て)、融着面106の清掃作業を行い、その管端部を電気融着継手10の他方の受口16に挿入する。
【0055】
次に、図示しないコントローラの電源ケーブルを電源に接続し、電源のスイッチを入れて起動する。そして、コントローラから延びる出力ケーブルの接続端子を電気融着継手10の端子部22に接続する。そして、電熱線18に電流を流すと熱が発生し、この熱によって受口16の内面と被覆ポリエチレン管100の融着面106とを溶融して電気融着接合を行う。なお、受口16の内面と被覆ポリエチレン管100の融着面106とが正しく融着されたときに、継手本体12のインジケータ24が上昇するが、その上昇したインジケータ24は挿通孔30に挿通される。
【0056】
通電後、融着面が冷却固化すると、熱収縮チューブ14の挿通孔28,30から外部に突き出している電気融着継手10の端子部22およびインジケータ24をカッターなどで除去する。そして、挿通孔28,30をブチルテープ等の防水テープ(図示せず)によって密封し、作業を終了する。ただし、インジケータ24の上昇度合いが小さい場合には、必ずしもインジケータ24を除去する必要はなく、そのまま上昇したインジケータ24ごと挿通孔30を防水テープによって密封するようにしてもよい。
【0057】
この実施例では、継手本体12の受口16の開口端と被覆ポリエチレン管100の外層104との間にできる隙間を熱収縮チューブ14の鍔部32によって覆うことができるので、被覆ポリエチレン管100どうしを電気融着継手10で接続した際に、被覆ポリエチレン管100の融着面106が外部に露出することがなく、この融着面106についても紫外線等による劣化を防止することが可能である。
【0058】
つまり、電気融着継手10を用いて被覆ポリエチレン管100を接続して管路を構成する際に、継手本体12の受口16と被覆ポリエチレン管100の融着面106とを融着接合するだけで、管路全体に耐候性を付与することが可能である。したがって、特許文献1のように、施工現場での2度の通電(融着)作業をする必要がなく、その分だけ作業性が向上される。
【0059】
しかも、熱収縮チューブ14を継手本体12の表面に密着させることによって、継手本体12の表面に被覆層を形成するようにしたため、被覆層が外部からの衝撃に対して強く、被覆層の脱落などが生じにくいので、それに起因する耐候性の劣化の可能性を抑制することができる。
【0060】
また、被覆層の脱落などが生じにくいことにより、たとえば管路が外部に露出するような環境であっても問題なく電気融着継手10を適用することができる。
【0061】
さらに、この実施例では、継手本体12を熱収縮チューブ14に収容し、そして受口16に収縮防止コア40を挿入した状態で加熱炉内で加熱することによって、熱収縮チューブ14を継手本体12の表面に被せるようにした。したがって、加熱炉内での加熱中に、熱収縮しようとする継手本体12の受口16がその内面側から収縮防止コア40で押さえられるので、受口16の形状や寸法を保持することが可能である。
【0062】
ここで、電気融着継手10の受口16の形状が少しでも変形してしまうと、受口16に被覆ポリエチレン管100を挿入できなくなる等の接合不良を生じる危険性がある。
【0063】
しかしながら、この実施例によれば、継手本体12をその受口16に収縮防止コア40を挿入した状態で加熱することにより、受口16の変形が収縮防止コア40によって抑制されるので、電気融着継手10と被覆ポリエチレン管100との間での接合不良の発生を防止することが可能である。
【0064】
さらにまた、この実施例では、鍔部32内にリング体34を挿入した状態で熱収縮チューブ14を加熱炉内で加熱することにより、鍔部32をリング体34の外形に沿った形状に形成するようにしたため、熱収縮チューブ14の鍔部32の内径を適切な寸法に設定することができる。
【0065】
なお、上述の実施例では、ソケット型の継手本体12の表面に熱収縮チューブ14を被せた場合を示したが、これに限定される必要はなく、ベンド型、フランジ型またはエルボ型等のような他のタイプの継手本体12の表面に熱収縮チューブ14を被せるようにしてもよい。ただし、そのような他のタイプの継手本体12の表面の全体を1つの熱収縮チューブ14によって被覆することが困難である場合には、複数の熱収縮チューブ14を用意し、それらを隣接する熱収縮チューブ14の端部どうしが重なるように継手本体12の表面に被せると、継手本体12の表面の全体を確実に被覆することができるので好適である。
【0066】
一例を挙げると、この発明の他の一実施例である電気融着継手10では、継手本体12は曲管部56を含んでおり、2つの被覆ポリエチレン管100を曲線状に接続する。以下、
図1に示す電気融着継手10と共通する部分については同じ番号を付して、重複する説明は省略する。
【0067】
図12および
図13に示すように、曲管部56は、所定の曲げ角度(この実施例では、11.25度)を有する曲管状に形成され、その両端開口部が、被覆ポリエチレン管100の管端を受容する受口16となる。そして、受口16のそれぞれが、電気融着継手部58として形成されている。各受口16の内面には、電熱線18が埋め込まれる。また、各受口18の外面には、電熱線18と接続している2つの端子部22と1つのインジケータ24が突出して形成される。
【0068】
継手本体12の表面には、熱収縮チューブ14が被せられており、熱収縮チューブ14の本体26には、各受口16の端子部22およびインジケータ24に対応する位置に挿通孔28,30が形成されている。また、本体26の両端部は、各受口16の開口端よりも軸方向外側に突き出しており、そこに環状の鍔部32が形成されている。鍔部32は、
図14に示すように、継手本体12の受口16が被覆ポリエチレン管100の管端を受容したときに、受口16の開口端と被覆ポリエチレン管100の外層104との間にできる隙間を上方から覆う。
【0069】
このような継手本体12の表面に被覆層を形成する場合には、図示は省略するが、収縮前の熱収縮チューブ14の内部に継手本体12を収容する。そして、継手本体12の各受口16に、リング体34および収縮防止コア40をそれぞれ取り付ける。
【0070】
続いて、それらをギヤーオーブン等の加熱炉の中に入れて、所定温度で所定時間加熱することにより、熱収縮チューブ14を縮径させて、継手本体12の表面に密着させる。加熱処理が完了すると、冷却水槽等を通過させて、熱収縮チューブ14を適宜冷却固化させる。
【0071】
それから、リング体34の軸方向端面に沿って熱収縮チューブ14の鍔部32をカットして、その後、収縮防止コア40を取り外し、さらに鍔部32内に配置したリング体34を取り外して、作業を終了する。
【0072】
この実施例においても、
図1の実施例と同様に、簡単な作業で管路全体に耐候性を付与することができるので、作業性に優れる。また、継手本体12を外面被覆する被覆層が外部からの衝撃に対して強く、被覆層の脱落などが生じにくいので、それに起因する耐候性の劣化の可能性を抑制することができる。
【0073】
なお、この実施例では、継手本体12は曲げ角度が11.25度の曲管部56を含んでいたが、これに限定される必要はなく、曲げ角度が90度、45度、22.5度の曲管部を含む継手本体12を用いても同様である。
【0074】
さらに、上述の実施例では、継手本体12の受口16にリング体34および収縮防止コア40を取り付けるときに、熱収縮チューブ14の鍔部32内にリング体34を挿入して、本体36の軸方向端面を受口16の開口端に沿わせて、凸部38の先端面が受口16の内面と面一になるように配置したが、これに限定される必要はない。
【0075】
たとえば、加熱炉内での加熱中に、熱収縮する鍔部32を内面側から押さえることによって、鍔部32をその内径が被覆ポリエチレン管100の外径よりも大きくなる形状に保持することができるのであれば、リング体34の形状は特に問わない。
【0076】
また、収縮防止コア40を、その段差部44がリング体34の凸部38に係止されるまで、リング体34および継手本体12の受口16内に挿入したが、これに限定される必要もない。
【0077】
たとえば、加熱炉内での加熱中に、熱収縮しようとする継手本体12の受口16をその内面側から押さえることによって、継手本体12の受口16の形状および寸法を保持することができるのであれば、収縮防止コア40の形状も特に問わない。
【0078】
一例を挙げると、収縮防止コア40の本体42の外周面に、塗料により記載する、または紙等に記載したものを張り付けることによって、収縮防止コア40を挿入する際の位置決めの目安を表示するようにすれば、収縮防止コア40の段差部44をリング体34の凸部38に係止させる必要はない。つまり、収縮防止コア40に段差部44を形成する必要はなく、リング体34の内周面に凸部38を形成する必要もない。
【0079】
さらに、加熱炉内での加熱処理の後で、継手本体12の受口16から収縮防止コア40を取り外すことができるのであれば、収縮防止コア40の本体42の他方端に、必ずしも把持部46を形成する必要はない。
【0080】
さらにまた、リング体34を収縮防止コア40と一体的に形成するようにしてもよい。たとえば、上述の実施例では、継手本体12の受口16から収縮防止コア40を取り外すときに、リング体34を固定的に押さえつつ、エアシリンダ等で収縮防止コア40の把持部46を引っ張るようにしたが、リング体34を収縮防止コア40と一体的に形成した場合には、継手本体12の受口16から収縮防止コア40を取り外す際に、継手本体12をバイス(万力)等で固定した状態で、エアシリンダ等で収縮防止コア40の把持部46を引っ張るようにすると好適である。
【0081】
なお、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。