(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
扱室から脱穀フィードチェーンによって搬出された脱穀排ワラを前記脱穀フィードチェーンから受継いで脱穀機体後部の排出口に搬送する排ワラ搬送装置、及び脱穀処理物を選別処理する選別部からの塵埃を選別風と共に脱穀機体外に排出する排塵経路を備えたコンバインの脱穀装置であって、
前記排塵経路を開閉する排塵制御体、及び前記排ワラ搬送装置の前記脱穀フィードチェーンからの排ワラ受継ぎを検出するように、前記排ワラ搬送装置の搬送経路の始端部において脱穀排ワラに接触作用する受継ぎ検出体を設け、
前記受継ぎ検出体が検出状態にあると、前記排塵制御体が開き姿勢に切り換わり、前記受継ぎ検出体が非検出状態にあると、前記排塵制御体が閉じ姿勢に切り換わるように、前記受継ぎ検出体と前記排塵制御体とを連係させる連係手段を設け、
前記排ワラ搬送装置を、無端回動搬送チェーンと前記無端回動搬送チェーンに沿って位置する挟持搬送ガイドレールとを備えて構成し、
前記受継ぎ検出体は、前記挟持搬送ガイドレールに対して相対回転して検出作動するように、前記排ワラ搬送装置の搬送始端側において上下揺動自在に支持されているコンバインの脱穀装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
選別部に選別処理するべく存在する処理物が少なくなると、穀粒が選別風によって塵埃と共に排塵経路から脱穀機体外に排出されやすくなる。この穀粒排出を防止するよう上記した従来の技術を採用しても、まだ改良すべき点があった。
つまり、従来の技術を採用した場合、排ワラ搬送装置の搬送終端部に検出センサを設け、排ワラ搬送装置の搬送終端部における脱穀排ワラのボリュームが小になったことを検出すると、排塵制御体を閉じ姿勢に切換え制御し、排ワラ搬送装置の搬送終端部における脱穀排ワラのボリュームが大になったことを検出すると、排塵制御体を開き姿勢に切換え制御することになり、脱穀排ワラが扱室から搬出されてから排ワラ搬送装置の搬送終端部までの搬送時間が経過した後に排塵制御体の開閉切換えが行なわれることになる。そして、刈取りを開始した後において扱室からの脱穀排ワラの搬出が始まると、選別部に脱穀処理物が既に供給されており、刈取りを中断や終了した後において扱室から搬出される脱穀排ワラが無くなると、選別部に残留する処理物が少なくなっていることから、排塵経路における排塵の規制や規制解除が選別部の処理物量の変化が発生した時から遅れて行なわれることになっていた。
【0005】
本発明の目的は、扱室から排出される脱穀排ワラを検出対象として排塵経路における排塵の規制や規制解除を行わせるものでありながら、選別部における処理物量の変化に迅速に対応させて排塵の規制や規制解除を行なわせることができるコンバインの脱穀装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、扱室から脱穀フィードチェーンによって搬出された脱穀排ワラを前記脱穀フィードチェーンから受継いで脱穀機体後部の排出口に搬送する排ワラ搬送装置、及び脱穀処理物を選別処理する選別部からの塵埃を選別風と共に脱穀機体外に排出する排塵経路を備えたコンバインの脱穀装置において、
前記排塵経路を開閉する排塵制御体、及び前記排ワラ搬送装置の前記脱穀フィードチェーンからの排ワラ受継ぎを検出するように、前記排ワラ搬送装置の搬送経路の始端部において脱穀排ワラに接触作用する受継ぎ検出体を設け、
前記受継ぎ検出体が検出状態にあると、前記排塵制御体が開き姿勢に切り換わり、前記受継ぎ検出体が非検出状態にあると、前記排塵制御体が閉じ姿勢に切り換わるように、前記受継ぎ検出体と前記排塵制御体とを連係させる連係手段を設け
、
前記排ワラ搬送装置を、無端回動搬送チェーンと前記無端回動搬送チェーンに沿って位置する挟持搬送ガイドレールとを備えて構成し、
前記受継ぎ検出体は、前記挟持搬送ガイドレールに対して相対回転して検出作動するように、前記排ワラ搬送装置の搬送始端側において上下揺動自在に支持されている。
本第2発明は、扱室から脱穀フィードチェーンによって搬出された脱穀排ワラを前記脱穀フィードチェーンから受継いで脱穀機体後部の排出口に搬送する排ワラ搬送装置、及び脱穀処理物を選別処理する選別部からの塵埃を選別風と共に脱穀機体外に排出する排塵経路を備えたコンバインの脱穀装置において、
前記排塵経路を開閉する排塵制御体、及び前記排ワラ搬送装置の前記脱穀フィードチェーンからの排ワラ受継ぎを検出するように、前記排ワラ搬送装置の搬送経路の始端部において脱穀排ワラに接触作用する受継ぎ検出体を設け、
前記受継ぎ検出体が検出状態にあると、前記排塵制御体が開き姿勢に切り換わり、前記受継ぎ検出体が非検出状態にあると、前記排塵制御体が閉じ姿勢に切り換わるように、前記受継ぎ検出体と前記排塵制御体とを連係させる連係手段を設け、
前記排ワラ搬送装置を、無端回動搬送チェーンと前記無端回動搬送チェーンに沿って位置する挟持搬送ガイドレールとを備えて構成し、
前記受継ぎ検出体を、前記挟持搬送ガイドレールに対して相対移動して検出作動するように、前記挟持搬送ガイドレールと別体に構成して備え、
前記受継ぎ検出体を、前記脱穀フィードチェーンの搬送終端部の横内側箇所に配備された軸芯まわりに上下揺動自在に支持させてある。
【0007】
本第1
、第2発明の構成によると、脱穀フィードチェーンによって扱室から脱穀排ワラが搬出されると、その脱穀排ワラが脱穀フィードチェーンから排ワラ搬送装置の搬送経路の始端部に受継がれてこの受継ぎを受継ぎ検出体が検出し、受継ぎ検出体の検出状態への切り換わりにより、排塵制御体が連係手段の作用によって開き姿勢に切り換わり、排塵経路が開かれて選別風及び塵埃の流出を容易にする。脱穀フィードチェーンによって扱室から搬出される脱穀排ワラが無くなると、排ワラ搬送装置の搬送経路の始端部に受継がれる脱穀排ワラが無くなって受継ぎ検出体が受継ぎを検出しなくなり、受継ぎ検出体の非検出状態への切り換わりにより、排塵制御体が連係手段の作用によって閉じ姿勢に切り換わり、排塵経路が閉じられて選別風及び塵埃を流出しにくくする。
つまり、脱穀排ワラが扱室から搬出されてからの経過時間が、扱室を出た脱穀排ワラが排ワラ搬送装置の搬送始端部まで搬送されるのに掛かる時間であって、排ワラ搬送装置の搬送終端部まで搬送されるのに掛かる時間よりも短い経過時間のうちに受継ぎ検出センサを作用させ、この結果を基に排塵制御体の開閉切換えを行なわせることができる。
【0008】
従って、刈取りが開始されて扱室から選別部に供給される処理物が多くなると、これに迅速に対応する状態で排塵制御体が開き姿勢に切換え操作されて排塵経路が選別風及び塵埃を流出させやすいように開き側になり、選別部に供給される処理物が多くても選別精度のよい選別処理を行わせることができ、畦際での旋回を行なうよう刈取り作業が中断されるとか刈取り作業が終了されるなど、扱室への刈取り穀稈の供給が無くなって選別部に存在する処理物が少なくなると、これに迅速に対応する状態で排塵制御体が閉じ姿勢に切換え操作されて排塵経路が選別風及び塵埃を流出しにくいように閉じ側になり、選別部に存在する処理物が少なくても穀粒が脱穀機体外に排出される穀粒損失を良好に防止できる。
【0009】
【0010】
本
第1、第2発明の構成によると、排ワラ搬送装置によって受継がれた脱穀排ワラの無端回動搬送チェーンと挟持搬送ガイドレールとによって挟持される稈身箇所とは異なる稈身箇所に受継ぎ検出体を作用させることができ、無端回動搬送チェーンと挟持搬送ガイドレールとによる挟持箇所には挟持圧のためにボリューム変化があまり発生せずとも、挟持箇所から外れた稈身箇所であってボリューム変化が発生しやすい稈身箇所に受継ぎ検出体を接触作用させて、受継ぎ検出体を精度よく反応させることができる。
【0011】
従って、稈身が軟質であるなど性状が種々異なる脱穀排ワラの場合でも、受継ぎ検出体を精度よく反応させて排塵制御体の切換えを適切に行なわせることができる。
【0012】
【0013】
受継ぎ検出体は、排ワラ搬送装置の搬送始端部に受継がれた脱穀排ワラに接触作用するものだから、脱穀フィードチェーンの搬送終端部付近に位置することになり、脱穀フィードチェーンによって搬送され、脱穀フィードチェーンの搬送終端部に近づいた脱穀排ワラが受継ぎ検出体に当接しやすくなる。本第
2発明の構成によると、受継ぎ検出体を、脱穀フィードチェーンの搬送終端部の横内側箇所に配備された軸芯まわりに上下揺動自在に支持させてあるから、脱穀フィードチェーンによって搬送される脱穀排ワラが受継ぎ検出体に当接することがあっても、受継ぎ検出体は、当接した脱穀排ワラによる押圧を受けてスムーズに倒伏して当接した脱穀排ワラに対するストッパーになりにくい。
【0014】
従って、受継ぎ検出体が排ワラ搬送装置の搬送始端部に受継がれた脱穀排ワラに接触作用するものでありながら、脱穀排ワラを受継ぎ検出体に起因する詰まりが生じないようにスムーズに搬送させることができる。
【0015】
本第
3発明は、前記受継ぎ検出体を、前記軸芯まわりに上下揺動自在な基端側部と、平面視で前記基端側部から前記排ワラ搬送装置の搬送終端部に向かって延出する先端側部とを備えて構成してある。
【0016】
本第
3発明の構成によると、受継ぎ検出体は、脱穀フィードチェーンによって搬送される脱穀排ワラが当接した場合、当接した脱穀排ワラによる押圧を受けて軸芯まわりにスムーズに倒伏して脱穀排ワラに対するストッパーになりにくいものでありながら、排ワラ搬送装置に受継がれた脱穀排ワラに対しては排ワラ搬送装置の搬送終端部に向かう先端側部によって接触作用し、この先端側部で脱穀排ワラによって受ける押圧によっても軸芯まわりにスムーズに倒伏して検出作用する。
【0017】
従って、受継ぎ検出体の所定の検出作動をスムーズに行なわせて排塵制御体の切換えを応答性よく行なわせることができるのみならず、脱穀フィードチェーンによる脱穀排ワラの搬送も、排ワラ搬送装置による脱穀排ワラの搬送もスムーズに行わせることができる。
【0018】
本第
4発明は、前記受継ぎ検出体の先端側部を、前記脱穀フィードチェーンによって搬送される脱穀排ワラに当接作用する前側作用部と、前記排ワラ搬送装置に受継がれた脱穀排ワラに接触作用する後側作用部とを備えた上向きに凸の逆V字状に形成してある。
【0019】
本第
4発明の構成によると、受継ぎ検出体は、脱穀フィードチェーンによって搬送される脱穀排ワラに対しては前側作用部で当接して、当接した脱穀排ワラによる押圧を受けて軸芯まわりにスムーズに倒伏して脱穀排ワラに対するストッパーになりにくく、排ワラ搬送装置に受継がれた脱穀排ワラに対しては後側作用部で当接して、当接した脱穀排ワラによる押圧を受けて軸芯まわりにスムーズに倒伏して検出作用する。
【0020】
従って、受継ぎ検出体の所定の検出作動をスムーズに行なわせて排塵制御体の切換えを応答性よく行なわせることができるのみならず、脱穀フィードチェーンによる脱穀排ワラの搬送も、排ワラ搬送装置による脱穀排ワラの搬送もスムーズに行わせることができる。
【0021】
本第
5発明は、前記受継ぎ検出体の基端側部と前記排塵制御体とを、後端側ほど機体内側に位置するように斜めに傾斜した連動部材を介して連係してある。
【0022】
本第
5発明の構成によると、受継ぎ検出体が揺動自在に支持される箇所を脱穀フィードチェーンの搬送終端部に対して極力近い箇所に設置して、排ワラ搬送装置による脱穀排ワラの受継ぎが行なわれてから極力早期にその受継ぎの検出を行なえるようにしながら、連動部材の後端側を排塵制御体に対して機体横方向に極力近づけた状態で連係させて連係構造のコンパクト化を図ることができる。
【0023】
従って、排ワラ搬送装置の脱穀排ワラの受継ぎの検出を極力早期に行なわせて排塵制御体の操作を応答性よく行なわせることができ、受継ぎ検出体と排塵制御体の連係をコンパクトに行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。この図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ式走行装置1によって自走するように構成され、かつ搭乗型の運転部2が装備された走行機体と、走行機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部4と、機体フレーム3の後部側に機体横方向に並べて設けられた脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えて構成してあり、稲、麦などの収穫作業を行なう。
【0026】
すなわち、刈取り部4は、機体フレーム3から上下揺動自在に延出する刈取り部フレーム4aを備え、この刈取り部フレーム4aが昇降シリンダ7によって揺動操作されることにより、刈取り部4の前端部に設けられた分草具4bが地面付近に下降した下降作業位置と分草具4bが地面から高く上昇した上昇非作業位置とに昇降する。刈取り部4を下降作業位置に下降させて走行機体を走行させると、刈取り部4は、分草具4bによって刈取対象の植立穀稈を引起し経路に導入し、引起し経路に導入した植立穀稈を引起し装置4cによって引起すとともにバリカン型の刈取装置4dによって刈り取り、刈取り穀稈を供給装置4eによって脱穀装置5に供給する。脱穀装置5は、供給された刈取り穀稈を脱穀処理して脱穀粒を穀粒タンク6に送り込む。
【0027】
脱穀装置5について詳述する。
図2は、脱穀装置5を示す縦断側面図である。この図に示すように、脱穀装置5は、脱穀機体10の上部内に形成された扱室11を有した脱穀部5Aと、扱室11の下方に設けられた揺動選別装置16を有した選別部5Bと、扱室11の後方に設けられた排ワラ搬送装置40とを備えている。
【0028】
脱穀部5Aは、供給装置4eによって供給される刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン12によって挟持して脱穀機体10の後方に向けて搬送し、その刈取り穀稈の穂先側を扱室11に供給して回動する扱胴13と受網14によって脱穀処理し、脱穀粒を受網14から落下させ、脱穀排ワラを脱穀フィードチェーン12によって扱室11の後端部に位置する送塵口15から搬出する。
【0029】
排ワラ搬送装置40は、脱穀フィードチェーン12によって扱室11から搬出された脱穀排ワラを、送塵口15の後方で脱穀フィードチェーン12から受継いで脱穀機体10の後部に位置する排出口17に搬送し、この排出口17から脱穀機体10の後外側に排出する。
【0030】
選別部5Bは、受網14から落下した脱穀粒などの処理物を、揺動選別装置16によって受け止め、この揺動選別装置16による揺動選別と、唐箕18によって脱穀機体後方向きに供給される選別風による風選別とによって穀粒と塵埃とに選別し、一番処理物を一番スクリューコンベヤ19に落下させ、二番処理物を二番スクリューコンベヤ20に落下させ、塵埃を排塵ファン21によって排ワラ細断装置30の細断ケース31を介して脱穀機体10の後方に排出し、また塵埃を選別風と共に排塵ファン21の下方に位置する排塵経路22、及び脱穀機体10の後部に設けられた排塵口23を介して脱穀機体10の後方に排出する。
【0031】
一番スクリューコンベヤ19は、供給された一番処理物を脱穀機体10の横外側に搬出して穀粒タンク6に送り込む。二番スクリューコンベヤ20は、供給された二番処理物を脱穀機体10の横外側に搬出して還元装置(図示せず)に送り込む。
【0032】
送塵口15の後方にほぐし輪体24を駆動回転自在に設けてある。ほぐし輪体24は、送塵口15から排出されたワラ屑をほぐし処理し、ワラ屑に混入している脱穀粒を取り出して落下させる。
【0033】
排ワラ搬送装置40について説明する。
図2,3に示すように、排ワラ搬送装置40は、脱穀機体平面視で搬送始端部が脱穀フィードチェーン12の搬送終端部の付近に位置し、搬送終端側ほど脱穀機体後方側に位置するとともに脱穀フィードチェーン12から離れて位置するよう配置した無端回動搬送チェーン41と、この無端回動搬送チェーン41の下方に無端回動搬送チェーン41に沿わせて設けた挟持搬送ガイドレール42と、無端回動搬送チェーン41に対して脱穀フィードチェーン12が位置する側とは反対側に無端回動搬送チェーン41と平行に設けた穂先側係止搬送部43とを備えて構成され、脱穀フィードチェーン12によって扱室11から搬出された脱穀排ワラを脱穀フィードチェーン12から受継ぎ、受継いだ脱穀排ワラを、搬送経路44に沿わせて横倒れ姿勢で搬送して排出口17から脱穀機体10の後外側に搬出して落下させる。
【0034】
搬送経路44は、脱穀機体平面視で搬送下手側ほど脱穀フィードチェーン12から搬送排ワラの穂先側により離れるように脱穀フィードチェーン12の搬送経路12Aに対して傾斜しており、排ワラ搬送装置40は、搬送する脱穀排ワラを脱穀機体10に対して穂先側に移動させながら搬送する。
【0035】
すなわち、脱穀フィードチェーン12によって扱室11から搬出された脱穀排ワラが脱穀フィードチェーン12の搬送終端部に至ると、その脱穀排ワラの穂先側が穂先側係止搬送部43の始端側に入り、その脱穀排ワラの株元側が無端回動搬送チェーン41と挟持搬送ガイドレール42の搬送始端部どうしの間に入り込む。無端回動搬送チェーン41と挟持搬送ガイドレール42の搬送始端部の間に入り込んだ脱穀排ワラの株元側が無端回動搬送チェーン41と挟持搬送ガイドレール42によって挟持されて搬送終端部に向けて搬送される。無端回動搬送チェーン41と挟持搬送ガイドレール42によって株元側が挟持搬送される脱穀排ワラの穂先側が穂先側係止搬送部43によって支持されて搬送され、搬送される脱穀排ワラは、横倒れ姿勢を維持する。搬送される脱穀排ワラが搬送終端部に至ると、挟持搬送ガイドレール42及び穂先側係止搬送部43から外れて排ワラ細断装置30の細断ケース31の上に落下する。
【0036】
排ワラ細断装置30は、細断ケース31の上部に設けられた排ワラ投入口32を揺動蓋33によって開閉自在に備え、排ワラ投入口32が開かれることにより、排ワラ搬送装置40から落下した脱穀排ワラを細断ケース31の内部に受入れて細断カッター34によって細断処理して排出し、排ワラ投入口32が閉じられることにより、排ワラ搬送装置40から落下した脱穀排ワラを下降閉じ姿勢にある揺動蓋33による落下案内によって脱穀機体10の後方に落下させる。
【0037】
排塵規制の構成について説明する。
排塵経路22に排塵制御体50を設け、排塵制御体50と排ワラ搬送装置40の搬送経路44の搬送始端部に設けた受継ぎ検出体51とを連係手段60(
図5参照)によって連係させて、受継ぎ検出体51による検出情報を基に、連係手段60によって排塵制御体50が自動的に開閉操作されるように構成し、選別部5Bに残留する処理物が少ない場合、排塵経路22における塵埃及び選別風の流出を規制するように、排塵経路22が排塵制御体50によって自動的に閉じ操作され、脱穀部5Aから選別部5Bに供給される脱穀処理物が多い場合、排塵経路22における塵埃及び選別風の流出の規制を解除するように、排塵経路22が排塵制御体50によって自動的に開き操作されるようにしてある。
【0038】
すなわち、
図2,3に示すように、排塵制御体50は、排塵経路22の排塵ファン21の下方の個所に配置され、排塵制御体50の上端側に連結している回転支軸52を介して脱穀機体10の左右の横側壁10aに上下揺動自在に支持されている。
【0039】
図4(a)に示すように、排塵制御体50は、回転支軸52の回転操作によって回転支軸52の軸芯Xまわりに下降揺動操作されることにより、下降閉じ姿勢になり、排塵経路22における選別風及び塵埃の流出を規制するように、排塵口23の近くでかつ揺動選別装置16の終端部の上方において排塵経路22をこれの脱穀機体横方向での全体又はほぼ全体にわたって閉じる。
【0040】
図4(b)に示すように、排塵制御体50は、回転支軸52の回転操作によって
回転支軸52の軸芯Xまわりに上昇揺動操作されることにより、上昇開き姿勢になり、排塵経路22における選別風及び塵埃の流出の規制を解除するように、排塵経路22を開く。
【0041】
図3,4,5に示すように、受継ぎ検出体51は、脱穀フィードチェーン12の搬送終端部と排ワラ搬送装置40の無端回動搬送チェーン41の搬送始端部との間に配置して脱穀機体側に設けた支持部53にボス部51cが回動自在に取り付けられた板金材で成る基端側部51Aと、この基端側部51Aのボス部51cから少し離れた箇所から延出された丸棒材で成る先端側部51Bとを備えて構成してある。支持部53は、脱穀機体10の横側壁10aに脱穀フィードチェーン12に沿わせて固定された排ワラ受け板54の下面側にブラケット55を介して取り付けた支軸によって構成してある。先端側部51Bの延出端側は、排ワラ受け板54の下方から排ワラ受け板54に設けた切り欠き54aを通って排ワラ受け板54の上方に出て、排ワラ受け板54の上方箇所から無端回動搬送チェーン41の付近を無端回動搬送チェーン41の搬送終端部に向かって延出している。受継ぎ検出体51は、脱穀機体側の支持部53に支持されており、挟持搬送ガイドレール42とは別に単独で無端回動搬送チェーン41に対して接近及び離間するよう上下動して検出作用する。受継ぎ検出体51の先端側部51Bは、脱穀フィードチェーン12によって搬送される脱穀排ワラに当接作用する前側作用部Fと、排ワラ搬送装置40に受継がれた脱穀排ワラに接触作用する後側作用部Rとを備えた上向きに凸の逆V字状に形成してある。
【0042】
図4(b)は、検出状態での受継ぎ検出体51を示す説明図である。
図5に二点鎖線で示す受継ぎ検出体51は、検出状態での受継ぎ検出体である。受継ぎ検出体51は、脱穀フィードチェーン12によって扱室11から搬出された脱穀排ワラが排ワラ搬送装置40の無端回動搬送チェーン41の搬送始端部によって受継がれると、先端側部51Bの後側作用部Rが無端回動搬送チェーン41によって受継がれた脱穀排ワラの株元側に接触作用し、接触した脱穀排ワラの株元側による押圧を受けて脱穀機体横向きの軸芯Pまわりに下降揺動して検出状態になる。受継ぎ検出体51の後側作用部Rは、受継ぎ検出体51が検出状態にある場合において無端回動搬送チェーン41から所定距離後方側に離れた位置で無端回動搬送チェーン41に対して平行又はほぼ平行になり、排ワラ搬送装置40によって搬送される脱穀排ワラに移動抵抗をあまり与えず、搬送される脱穀排ワラの姿勢乱れを発生させにくい。
【0043】
図4(a)は、非検出状態での受継ぎ検出体51を示す説明図である。
図5に実線で示す受継ぎ検出体51は、非検出状態での受継ぎ検出体である。受継ぎ検出体51は、脱穀フィードチェーン12によって扱室11から搬出された脱穀排ワラが無くなり、排ワラ搬送装置
40の無端回動搬送チェーン41の搬送始端部によって受継がれた脱穀排ワラが無くなると、先端側部51Bの後側作用部Rが脱穀排ワラの株元側から外れて脱穀排ワラの押圧が解除され、連係手段60を構成するリターンばね61(
図6参照)による上昇操作を受けて軸芯Pまわりに上昇して非検出状態になる。非検出状態になった受継ぎ検出体51は、基端側部51Aの先端側がブラケット55の折り曲げ片で成るストッパ58(
図6,7参照)に当接して位置決めされる。
【0044】
受継ぎ検出体51が揺動する軸芯Pを、脱穀フィードチェーン12の搬送終端部を巻回する輪体56の回転軸芯56aと平行又は略平行に配置してある。受継ぎ検出体51が揺動する軸芯Pは、脱穀フィードチェーン12の搬送終端部の脱穀機体横内側箇所に、脱穀機体10の
横側壁10aの横外側に位置するようにして、かつフィードチェーン駆動ケース57の上方に位置するようにして配備されている。受継ぎ検出体51は、脱穀フィードチェーン12によって搬送され、無端回動搬送チェーン41によって受継がれる前の脱穀排ワラが先端側部51Bの前側作用部Fに当接すると、当接した脱穀排ワラによる押圧を受けてスムーズに倒伏して脱穀排ワラの移動に対する障害にならない。輪体56は、脱穀機体10に取り付けられたフィードチェーン駆動ケース57に駆動自在に支持されている。
【0045】
図4,5,6,7に示すように、連係手段60は、軸芯Pより後側のブラケット55の後部に設けた支持部55aに横向きの支軸62を介してシーソー式に揺動自在に支持される脱穀機体前後向きの検出体側の連動部材63と、この検出体側の連動部材63の後端側に上端側が連結ピン64を介して相対回転自在に連結された脱穀機体上下向きの制御体側の連動部材65と、この制御体側の連動部材65の下端側に連結された連動体66と、制御体側の連動部材65の中間部に一端側が連結されたリターンばね61とを備えて構成してある。
【0046】
検出体側の連動部材63は、受継ぎ検出体51の揺動用の軸芯Pと平行又はほぼ平行な支軸62の軸芯まわりにブラケット55に対して揺動する。
図6,8,9に示すように、検出体側の連動部材63と受継ぎ検出体51とは、受継ぎ検出体51の基端側部51Aを構成する板金部材の縦片部に設けた連動孔67と、この連動孔67に摺動自在に係入するように構成して検出体側の連動部材63に設けた連動ピン68とによって連動している。
図3,5,6に示すように、検出体側の連動部材63は、後側ほど脱穀機体内側に位置するように斜めに傾斜した状態で受継ぎ検出体51の基端側部51Aと制御体側の連動部材65とを連係させている。
【0047】
図6,9に示すように、制御体側の連動部材65の下端側に連結する連動体66の一端側は、制御体側の連動部材65に連結ピン69を介して相対回動自在に連結している。連動体66の他端側は、この他端側に固定された連結ネジ71を備え、排塵制御体50の回転支軸52の一端側に設けた操作アーム70に連結ネジ71によって連結され、操作アーム70に装着された緩み止めネジ
73によって位置ずれ防止されている。
図9(a)、(b)は、連動体66の作用を示す側面図である。これらの図に示すように、連動体66は、連結ネジ71及び緩み止めネジ73の回転調節が行なわれることにより、操作アーム70に対する連結位置が変更され、受継ぎ検出体51が非検出状態にある場合における排塵制御体50の下降閉じ姿勢での角度変更を行なう。
【0048】
リターンばね61は、制御体側の連動部材65と、脱穀機体10の横側壁10aの外面側に固定されたばね受け72とに連結されており、制御体側の連動部材65を下降側に引き付勢することにより、受継ぎ検出体51を非検出状態(上昇姿勢)に揺動付勢し、かつ排塵制御体50を下降閉じ姿勢に揺動付勢する。
【0049】
従って、
図4(b)に示すように、連係手段60は、脱穀フィードチェーン12によって扱室11から搬出された脱穀排ワラが排ワラ搬送装置40の無端回動搬送チェーン41の搬送始端部に受け継がれて受継ぎ検出体51が検出状態に切り換わると、この切り換わりに伴って排塵制御体50を上昇開き姿勢に切換え操作する。すなわち、受継ぎ検出体51が検出状態に切り換わると、受継ぎ検出体51の基端側部51Aが連動ピン68を下向きに押圧操作して検出体側の連動部材63の前端側が
支軸62の軸芯周り下降し、制御体側の連動部材65が検出体側の連動部材63の後端側によってリターンばね61に抗して引き上げ操作され、操作アーム70を上昇操作して排塵制御体50を上昇開き姿勢に操作する。
【0050】
連係手段60は、排ワラ搬送装置40の無端回動搬送チェーン41の搬送始端部における脱穀排ワラの受け継ぎが継続して行なわれて受継ぎ検出体51が検出状態にあると、受継ぎ検出体51が検出状態にある間、排塵制御体
50を上昇開き姿勢に維持する。
【0051】
図4(a)に示すように、連係手段60は、脱穀フィードチェーン12によって扱室11から搬出される脱穀排ワラが無くなり、排ワラ搬送装置40の無端回動搬送チェーン41の搬送始端部に受継がれる脱穀排ワラが無くなって受継ぎ検出体51が非検出状態に切り換わると、この切り換わりに伴って排塵制御体
50を下降閉じ姿勢に切換え操作する。すなわち、受継ぎ検出体51が非検出状態に切り換わると、制御体側の連動部材65がリターンばね61によって下げ操作され、操作アーム70を下降操作して排塵制御体50を下降閉じ姿勢に操作する。
【0053】
(
1)上記した実施例では、受継ぎ検出体51の先端側部51Bを逆V字状に形成した例を示したが、逆V字状でなく、逆U字状や一直線状のものなど種々の形状のものを採用できる。
【0054】
(
2)上記した実施例では、連係手段60を機械式に構成した例を示したが、受継ぎ検出体51による検出結果を検出スイッチやポテンショメータによって電気信号として取り出し、この電気信号を基に電動モータや電磁ソレノイドなどのアクチュエータを作動させることによって排塵制御体50を操作するよう電気式に構成して実施してもよい。
【0055】
(
3)上記した実施例では、受継ぎ検出体51が揺動する軸芯Pを、脱穀フィードチェーン12の搬送終端部が巻回する輪体56の回転軸芯56aと平行又は略平行に配置した例を示したが、脱穀フィードチェーン12の搬送終端部が巻回する輪体56の回転軸芯56aと同一の軸芯になるよう配置して実施してもよい。
【0056】
(
4)上記した実施例では、揺動によって開閉する排塵制御体50を採用した例を示したが、上下スライドによって開閉する排塵制御体を採用して実施してもよい。