(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持ユニットの鉛直保持面には保持された標識板の周囲を覆うシール材付の周壁部が設けられ、前記剥離ユニットが該前後移動機構により前進して該周壁部が該剥離ユニットに密着した状態で該周壁部内に縦型保持室が形成され、該縦型保持室内に該標識板が保持されることを特徴とする請求項1記載の標識板剥離装置。
前記剥離ユニットには、ユニット本体の鉛直面に縦型剥離室が前面を開口して形成され、該縦型剥離室の開口周縁部にシール材が取り付けられ、前記保持ユニットが前記回動機構により回動し、該剥離ユニットが前記前後移動機構によって前進移動したとき、該シール材が該保持ユニットの前記縦型保持室の周縁部に密着して、該縦型剥離室が密閉されることを特徴とする請求項2記載の標識板剥離装置。
前記保持ユニットの吸着機構は、複数のバキュームパッドが鉛直面上で移動可能に設けられ、該各バキュームバッドには真空発生装置がチューブを介して接続され、該標識板の大きさに合わせて複数の該バキュームパッド間の距離を調整するパッド位置調整機構が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の標識板剥離装置。
前記保持ユニットの底部に複数のキャスターが設けられ、架台床面上を該キャスターが転動して該保持ユニットが回動支持され、該保持ユニットの回動位置が定位置に達したとき、該保持ユニットの回動をロックするストッパが設けられたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の標識板剥離装置。
前記高圧水噴射装置には、ヘッドカバーの内側に、1個または複数の高圧水噴射ノズルを有した回転ノズルヘッドが回転可能に軸支され、該回転ノズルヘッドはエアモータにより高速で回転駆動されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の標識板剥離装置。
前記高圧水噴射装置の2軸移動機構は、垂直レール上を移動する垂直移動フレームと水平レール上を移動する水平移動フレームを有し、該垂直移動フレームまたは該水平移動フレームに前記高圧水噴射装置を取り付けて構成されたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の標識板剥離装置。
前記剥離ユニットの縦型剥離室内に、水洗水を噴出する水洗ノズルが設けられ、高圧水を前記標識板に噴射した後、該水洗ノズルから水洗水を該標識板に噴出して、樹脂シート剥離後の該標識板を水洗することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の標識板剥離装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、高圧水の噴射により塗装膜や樹脂シートを剥離する場合、多量の水を噴出するため、多くの水が必要となり、さらに、噴射された水は塗装膜片や樹脂シート片が混入して汚濁水となって排出されるため、排水の処理が環境上の課題となっていた。
【0007】
そこで、本出願人は、上記特許文献2において、処理水タンクの水を噴射ノズルに向けて圧送する高圧ポンプ装置と、標識板の樹脂シートに対し噴射ノズルから高圧水を噴射して樹脂シートを剥離除去する高圧水噴射剥離装置と、高圧水噴射剥離装置で噴射され回収された排水を原水タンクに導入し、排水を複数の濾過体に通して樹脂シート片の懸濁物質を除去し、濾過した後の処理水を処理水タンクに送る水処理装置と、を備え、処理水タンクの処理水を高圧水噴射剥離装置の噴射ノズルに供給し、処理水を循環して使用する処理水循環型標識板剥離装置を提案した。
【0008】
この処理水循環型標識板剥離装置の高圧水噴射剥離装置は、標識板を載置するテーブルと、テーブル上の標識板の上方から移動しながら高圧水を噴射する噴射ノズルと、噴射された水を回収する回収槽とを備えると共に、高圧水噴射剥離装置の回収槽から導入した原水タンクの排水をメッシュ膜に通して濾過するメッシュ膜濾過装置と、メッシュ膜濾過装置を通過した排水を限外濾過膜に通して濾過する限外濾過膜装置と、メッシュ膜濾過装置と限外濾過膜装置の間に接続され排水を溜める中間タンクとを備え、メッシュ膜濾過装置にはメッシュ膜に沈積した懸濁物質を落とすために、メッシュ膜に中間タンク内の水を供給して逆洗させるポンプと、メッシュ膜に対し曝気を行うエアーブロワとが設けられ、限外濾過膜装置は、中間タンク内の水を循環させながらろ過を行い、ろ過した後の処理水を処理水タンクに溜め、処理水タンクの処理水を噴射ノズルに供給して、処理水を循環使用できるようになっている。
【0009】
ところで、この標識板剥離装置は、その高圧水噴射剥離装置が、テーブル上に標識板を水平に載置した状態で、テーブル上の標識板の上方から、高圧噴射ノズルを標識板に向けて高圧水を噴射し、標識板上の樹脂シートを高圧水で破砕して剥離するように動作する。このため、標識板の上面に対し、高圧噴射ノズルを下向きにした状態で高圧水を噴射し、標識板の上面の樹脂シートを下向きの高圧水により剥離するので、剥離作業後、剥離屑が標識板上に残留しやすく、剥離屑が残留した場合には、作業者が手作業で残留物を除去することになり、剥離作業性の向上が望まれていた。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、剥離屑を標識板上に残留させずに、効率よく標識板上の樹脂シートの剥離を行って、剥離作業性を向上させことができる標識板剥離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の標識板剥離装置は、
標識板の表面の樹脂シートに対し高圧水噴射装置の噴射ノズルから高圧水を噴射して該樹脂シートを剥離除去する標識板剥離装置において、
該標識板を吸着機構により吸着して鉛直状態に保持する保持ユニットと、
該保持ユニットに保持された該標識板の表面と平行な2軸方向に該高圧水噴射装置を移動させる2軸移動機構を有し、且つ該保持ユニットに対し前進及び後退移動する前後移動機構を有した剥離ユニットと、を備え、
前記保持ユニットは、架台上に鉛直な回動軸上で回動可能に配設され、該保持ユニットには複数の鉛直保持面が設けられると共に該鉛直保持面に各々吸着機構が設けられ、該鉛直保持面に該標識板を保持させ、該回動軸上の該保持ユニットを所定角度回動させ、該鉛直保持面の該吸着機構に吸着保持された標識板を、順に該剥離ユニットの該噴射ノズルに対向させるように構成され、
該前後移動機構により該剥離ユニットを前進移動させて、該保持ユニットに鉛直状態に保持された該標識板に該噴射ノズルを対向接近させ、該2軸移動機構によって該噴射ノズルを該保持ユニットに保持された該標識板の表面と平行に移動させながら、該噴射ノズルから高圧水を噴射して該標識板の該樹脂シートを剥離除去することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、前後移動機構により剥離ユニットを前進移動させ、高圧水噴射装置の噴射ノズルを、保持ユニットにより鉛直状態に保持された標識板に対向接近させ、その状態で、2軸移動機構により噴射ノズルを、鉛直面と平行な標識板の表面と平行に移動させながら、噴射ノズルから高圧水を噴射して樹脂シートを剥離除去するので、剥離した樹脂シートを残留させずに下方に落としながら、効率良く樹脂シートの剥離を行うことができる。
【0013】
またこの発明によれば、樹脂シートの剥離動作中に別の鉛直保持面に別の標識板を保持させることにより、樹脂シートの剥離作業の作業効率を向上させることができる。
【0014】
また、上記保持ユニットの鉛直保持面には保持された標識板の周囲を覆うシール材付の周壁部が設けられ、上記剥離ユニットが該前後移動機構により前進して該周壁部が該剥離ユニットに密着した状態で該周壁部内に縦型保持室が形成され、該縦型保持室内に該標識板が保持される構成とすることができる。これによれば、縦型保持室内に標識板を作業効率良く保持させることができる。
【0015】
また、上記剥離ユニットには、ユニット本体の鉛直面に縦型剥離室が前面を開口して形成され、該縦型剥離室の開口周縁部にシール材が取り付けられ、前記保持ユニットが前記回動機構により回動し、該剥離ユニットが前記前後移動機構によって前進移動したとき、該シール材が該保持ユニットの前記縦型保持室の周縁部に密着して、該縦型剥離室が密閉される構成とすることができる。
【0016】
この発明によれば、密閉された縦型剥離室内で高圧水の噴射による剥離除去が行われるので、高圧水の飛散の影響が少なく、作業環境の悪化を防止することができる。
【0017】
また、上記保持ユニットの吸着機構は、複数のバキュームパッドを鉛直面上で移動調整可能に設け、バキュームバッドには真空発生装置がチューブを介して接続され、標識板の大きさに合わせて複数のバキュームパッド間の位置を調整パッド位置調整機構が設けられる構成とすることができる。
【0018】
この発明によれば、異なった大きさや形状の標識板を、複数のバキュームパッドに吸着させ、安定して鉛直状態に保持した状態で高圧水を噴射し、樹脂シートを剥離することができる。
【0019】
さらに、上記保持ユニットの底部に、複数のキャスターを設け、架台床面上を該キャスターが転動して該保持ユニットを回動支持させ、該保持ユニットの回動位置が定位置に達したとき、該保持ユニットの回動をロックするストッパを設けることができる。これによれば、標識板を保持した保持ユニットを安定して回動させ、剥離ユニットの噴射ノズルの位置で正確に停止させロックした状態で、高圧水の噴射を行うことができる。
【0020】
さらに、上記高圧水噴射装置には、ヘッドカバーの内側に、高圧水噴射ノズルを有した回転ノズルヘッドが回転駆動可能に配設され、該回転ノズルヘッドが回転駆動されながら1個または複数の噴射ノズルから高圧水を噴出する構成とすることができる。これによれば、標識板の樹脂シートを高圧水で効率良く剥離することができる。
【0021】
さらに、上記高圧水噴射装置の2軸移動機構は、垂直レール上を移動する垂直移動フレームと水平レール上を移動する水平移動フレームを有し、該垂直移動フレームまたは該水平移動フレームに前記高圧水噴射装置を取り付けて構成することができる。これによれば、2軸移動機構により高圧水噴射装置を、標識板の大きさや形状に合わせて蛇行移動させ、噴射ノズルからの高圧水を標識板の表面全体に印加して、樹脂シートを残さず剥離することができる。
【0022】
さらに、上記剥離ユニットの縦型剥離室内には、水洗水を噴出する水洗ノズルを設け、高圧水を標識板に噴射して樹脂シートを剥離した後、水洗水を標識板に噴出して、樹脂シート剥離後の標識板を水洗するように構成することができる。これによれば、標識板を水洗して樹脂シートの破砕片などを良好に除去することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の標識板剥離装置によれば、剥離屑を標識板上に残留させずに、効率よく標識板上の樹脂シートの剥離を行って、標識板の剥離作業性を向上させことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は標識板剥離装置の正面図を示し、
図2はその平面図を示している。標識板剥離装置は、保持ユニット1の鉛直保持面10aに吸着保持した標識板Wの表面の樹脂シートに対し、高圧水噴射装置22の回転ノズルヘッド23から高圧水を噴射して樹脂シートを剥離除去する装置である。
【0026】
標識板剥離装置は、概略的には、標識板Wを吸着機構11により吸着して鉛直状態に保持する保持ユニット1と、保持ユニット1に保持された標識板Wの表面と平行な2軸方向に高圧水噴射装置22を移動させる2軸移動機構30(
図4)を有し、保持ユニット1に対し前進及び後退移動する前後移動機構4を有した剥離ユニット2と(ここで前後方向とは
図1の左右方向である)、を備えて構成される。
【0027】
この標識板剥離装置は、前後移動機構4により剥離ユニット2を前進移動させて、保持ユニット1に鉛直状態に保持された標識板Wに、
図4、7のように、高圧水噴射装置22の回転ノズルヘッド23を対向接近させ、回転ノズルヘッド23を高速回転させながら、2軸移動機構30によって保持ユニット1に保持された標識板Wの表面と平行に高圧水噴射装置22を移動させながら、回転ノズルヘッド23の噴口23cから高圧水を噴射して標識板Wの樹脂シートを剥離除去する。
【0028】
保持ユニット1は、
図1に示すように立方体状の箱形に形成され、架台1上の左側に鉛直な回動軸6を介して回動可能に支持される。
図1に示すように、保持ユニット1は架台9上に鉛直に立設された回動軸6上に、回動自在に支持され、保持ユニット1のユニット本体10の底部には大径の円形部が設けられ、その円形部の外周に歯車部(ここではチェーン)6aが設けられる。
【0029】
一方、架台9上の保持ユニット1の下側には減速機付きの回動モータ7がその回転軸にピニオン(ここではチェーンスプロケット)7aを設けて取り付けられ、回動モータ7のピニオン7aが歯車部6aに噛合することにより、保持ユニット1は回動モータ7の駆動により例えば180°の角度範囲で一方向に或いは反転して回転駆動される。つまり、
図1に示すように、保持ユニット1のユニット本体10の左右両面(前後の面)に、標識板Wの鉛直保持面10aが形成されるので、その鉛直保持面10aを左側の標識板取付位置から剥離ユニット2側に向けるように、或いは剥離ユニット2側から鉛直保持面10aを左側の取付位置に戻すように、保持ユニット1のユニット本体10は、1剥離動作毎に180°回転駆動されるようになっている。
【0030】
また、保持ユニット1のユニット本体10の底部には4個のキャスター18が取り付けられ、架台9上をユニット本体10が安定して回動するように支持する構造としている。さらに、所定位置(180°の回転位置)で停止した保持ユニット1のユニット本体10を架台9に対しロックするために、流体圧シリンダなどを用いたストッパ40が架台9上に設けられている。
【0031】
上述のように、保持ユニット1のユニット本体10の前後の面(
図1の左右両側面)に、標識板Wの鉛直保持面10aが形成されるが、この鉛直保持面10aは凹状に形成され、その板状空間が縦型保持室19として形成されている。つまり、
図1、3に示すように、保持ユニット1の鉛直保持面10aの周辺部には、保持された標識板Wの周囲を覆うシール材19b付の周壁部19aが設けられ、剥離ユニット2が前後移動機構4により前進して、周壁部19aが剥離ユニット2に密着したとき、周壁部19aの内側に縦型保持室19が形成されるようになっている。
【0032】
さらに、保持ユニット1のユニット本体10の両側に設けられた縦型保持室19の鉛直保持面10aには、各々、標識板Wを吸着保持するための吸着機構11が設けられる。吸着機構11は、
図3に示すように、2対のバキュームパッド12を有して構成され、2対のバキュームパッド12は鉛直保持面10aに設けた縦長孔10bから突出させるように、吸気孔を有する吸着面を正面(鉛直面)に向けて配置される。
【0033】
バキュームパッド12は、図示しない真空吸引装置にチューブを介して接続され、吸気孔から空気を吸引することにより、その正面の吸着面に標識板Wの裏面を吸着させて保持する。また、バキュームパッド12の真空吸引装置は、作業者が操作するフットスイッチにより吸引動作するようになっており、作業者が標識板Wを保持ユニット1の鉛直保持面10aに押し当てながら、フットスイッチをオンすると、真空吸引装置が動作して、バキュームパッド12が標識板Wを吸着するようになっている。
【0034】
さらに、
図3に示すように、鉛直保持面10aの内側には、2対のバキュームパッド12を保持する上移動体16a,下移動体16bが上下に移動可能に設けられ、2対のバキュームパッド12の上下幅を調整可能している。すなわち、
図3bに示すように、鉛直保持面10aの内側には、2対のバキュームパッド12の上下幅を調整するためのパッド位置調整機構13が設けられる。
【0035】
パッド位置調整機構13は、上移動体16aと下移動体16bに1対のバキュームパッド12を取り付け、鉛直保持面10aに設けた縦長孔10bを通して、2対のバキュームパッド12を前方に突き出すように設けている。この2対のバキュームパッド12は、長円形に形成され、その長軸方向を水平方向として横方向に長い状態で配置される。これにより、裏面水平方向に複数のリブが溶接された標識板であっても、そのリブを外した位置で、広い吸着面を持って吸着することができ、長円形のバキュームパッド12により、標識板の裏面を確実に吸着保持できるようにしている。
【0036】
また、
図3に示すように、上移動体16aと下移動体16bは、縦方向に配設された2本のガイドシャフト15にガイドされて上下に摺動可能に取り付けられ、上移動体16aと下移動体16bの中央には、縦にねじ孔が設けられる。そのねじ孔にスクリューシャフト14が螺合して縦に挿通され、スクリューシャフト14を減速機付きのモータ17により回転駆動することにより、上移動体16aと下移動体16bを相反方向に上昇または下降させる構造である。
【0037】
つまり、スクリューシャフト14の上部と下部には、おねじが相反方向に形成され、上移動体16aと下移動体16bのねじ孔には、めねじが相反方向に形成される。モータ17によりスクリューシャフト14を回転させると、上移動体16aと下移動体16bの上下間隔が狭くなるように若しくは広くなるように、上移動体16aと下移動体16bが上下に移動し、2対のバキュームパッド12の上下幅を調整する。これにより、標識板Wの大きさに応じて、スクリューシャフト14を回転させ、2対のバキュームパッド12を上下に移動させて、その上下間隔(上下幅)を調整することができるようになっている。
【0038】
上記構成の吸着機構11及びパッド位置調整機構13は、保持ユニット1のユニット本体10の両側(
図1の左右両側面)に、標識板Wを吸着保持する鉛直保持面10a及び縦型保持室19が形成されるので、作業者は、一方の鉛直保持面10aに吸着保持された標識板Wの剥離処理を行う間、他方の鉛直保持面10aのバキュームパッド12から剥離処理後の標識板Wを取り外し、次の標識板Wを他方の鉛直保持面10aに吸着させ、これにより、効率良く剥離作業を行うことができる。
【0039】
なお、バキュームパッド12を増設して、4対(8個)のバキュームパッド12を吸着機構11に設けることができ、4対(8個)のバキュームパッド12を設けることにより、吸着機構11には小型の標識板(補助板)を2枚吸着させ、2枚の補助板を同時に剥離することもできる。
【0040】
一方、
図1,2に示すように、架台9上の保持ユニット1の右側には、剥離ユニット2が、架台9上に取り付けられた2本の移動レール5上を、前後移動機構4の動作により、
図1,2の左右方向(前後方向)つまり保持ユニット1に対し接近しまたは離れる方向に移動可能に配設される。剥離ユニット2は、直方体状の箱形のユニット本体20を備え、ユニット本体20の前面(
図1、2の左側の面)には、縦型剥離室21が形成され、縦型剥離室21の内部に高圧水噴射装置22が2軸移動機構30により鉛直面に沿って移動可能に配設される。
【0041】
図2に示すように、ユニット本体20の底部には、2対のスライドガイド5aが取り付けられ、スライドガイド5aが架台9上の2本の移動レール5に摺動自在に係合し、剥離ユニット2のユニット本体20は左右方向(前後方向)に円滑に移動可能である。また、架台9上には、移動方向に沿って流体圧シリンダ4aが水平に設けられ、流体圧シリンダ4aのピストンロッド4bの先端がユニット本体20の底部に連結され、流体圧シリンダ4aの押し出しまたは引き戻し作動により剥離ユニット2のユニット本体20は移動レール5上を前後に移動する。
【0042】
図4に示すように、剥離ユニット2の縦型剥離室21は、ユニット本体20の前側つまり保持ユニット1側の鉛直面に設けられ、その周囲をシール材21b付きの周壁部21aにより囲い、前面を開口して形成される。剥離ユニット2は、前後移動機構4の作動により移動レール5上を前進端まで
図7のように前進したとき、縦型剥離室21の周壁部21aのシール材21bが上記保持ユニット1の縦型保持室19の鉛直保持面10aまたは周壁部19aに密着し、縦型剥離室21が密閉される構成となっている。
【0043】
この剥離ユニット2の縦型剥離室21には、
図4,5に示すように、高圧水噴射装置22が2軸移動機構30により鉛直面に沿った2軸方向つまり縦軸と横軸方向に移動可能に配設される。2軸移動機構30は、
図4に示すように、ユニット本体20内の上部と下部に水平に取り付けられた1対の水平レール29と、この水平レール29に摺動可能に嵌合されるスライドガイド33を内側の上下に有し水平方向に移動可能な縦長の水平移動フレーム27と、水平レール29の上側に水平に配設された水平移動ラック35と、水平移動フレーム27の内側に取り付けられて水平移動ラック35に噛合するピニオン36を回転軸に設けた水平移動モータ(油圧モータ)31と、を備える。
【0044】
さらに、2軸移動機構30は、
図4に示すように、縦長の水平移動フレーム27の左右両側に縦方向に取り付けられた1対の垂直レール28と、この垂直レール28に摺動可能に嵌合される2対のスライドガイド34を内側の上下左右に有し垂直方向に移動可能な垂直移動フレーム26と、垂直移動フレーム26の縦方向つまり垂直レール28に沿って取り付けられた垂直移動ラック37と、垂直移動フレーム26に取り付けられて垂直移動ラック37に噛合するピニオン38を回転軸に設けた垂直移動モータ(油圧モータ)32と、を備える。
【0045】
上記垂直移動フレーム26上に高圧水噴射装置22が取り付けられ、上記2軸移動機構30の作動により、垂直移動フレーム26つまり高圧水噴射装置22が縦型剥離室21内の鉛直面上を任意の位置に移動可能である。高圧水噴射装置22は、
図4,5に示すように、略円筒状のヘッドカバー24内に、回転ノズルヘッド23を回転駆動すると共に高圧水を噴射するように構成される。ヘッドカバー24の前縁部には、ブラシ部が設けられ、保持ユニット1の吸着機構11に吸着された標識板Wの樹脂シートに、このブラシ部が接触し、高圧水噴射装置22が縦横に移動する。
【0046】
回転ノズルヘッド23は、例えば五角の星型に形成され、中央に回転軸23aが設けられ、回転軸23aがエアーモータ23bにより高速回転される構造である。回転ノズルヘッド23の各片部の前面には、複数の噴口23cが間隔をおいて並設され、噴口23cに連通する回転ノズルヘッド23の内部は、高圧ホースを介して図示しない高圧水ポンプの吐出側に接続される。回転ノズルヘッド23の回転軸23aは、内部に取り付けられたエアーモータ23bの回転軸に連結され、エアーモータ23bの駆動により、回転ノズルヘッド23は高速(例えば約2000rpm)で回転駆動される。これにより、回転ノズルヘッド23は、エアーモータ23bによって高速回転しながら、その噴口23cから例えば約280MPaの圧力の高圧水を噴射するようになっている。なお、回転ノズルヘッドの形状は、上記星型の他、六角、四角など任意の形状とすることができる。また、複数の噴口つまり噴射ノズルは1個とすることもできる。
【0047】
また、
図4、5のように、縦型剥離室21内の上部には水洗用の水洗ノズル41が配置され、高圧水噴射による剥離処理を終えた標識板Wに水洗用の水を噴射して、樹脂シートの破片を落とすようになっている。水洗用の水の噴射と共にエアーを標識板Wに吹き付け、樹脂シートの破片を落とすように構成することもできる。
【0048】
さらに、図示は省略されているが、上記標識板剥離装置は、シーケンスコントローラ等の制御機器により制御動作するように構成され、作業者が標識板Wを保持ユニット1の吸着機構11に吸着させた状態で、始動スイッチをオンしたとき、装置の一連の動作がスタートし、保持ユニット1が180°回転してその鉛直保持面10aが剥離ユニット2の縦型剥離室21側を向き、その状態で、剥離ユニット2が前進して縦型剥離室21が閉じられ、高圧水噴射装置22が動作して、標識板Wの樹脂シートを高圧水で剥離する一連の動作を行うようになっている。
【0049】
また、上記標識板剥離装置には隣接して、図示しない水処理装置が設けられ、標識板の剥離処理によって上記水受け槽8に回収した排水は、水処理装置の原水タンクに送られ、そこでメッシュ膜に排水を通して粗濾過し、さらにろ過した水を中間ランクに溜め、その水を限外ろ過装置に通すことにより懸濁物質を除去し、懸濁物質を除去した水を処理水タンクに回収し、処理水タンクに回収された水を、再び高圧水ポンプに供給して、水を循環使用するようになっている。
【0050】
次に、上記構成の標識板剥離装置の動作を説明する。先ず、剥離する標識板Wの大きさに応じて、吸着機構11のバキュームパッド12の位置を調整する。吸着機構11のバキュームパッド12の位置の調整は、パッド位置調整機構13のモータ17を起動して行われ、
図3に示す如く、モータ17によりスクリューシャフト14が回転駆動され、それに応じて上下の移動体16a、16bが上または下に移動し、バキュームパッド12の上下位置が、標識板Wの大きさに応じて、調整される。
【0051】
次に、
図1の状態において、作業者は保持ユニット1の前方に立ち、図示しないフットスイッチをオンして、吸着機構11に吸着動作を開始させ、剥離しようとする標識板Wを縦型保持室19の吸着機構11に当て、その2対のバキュームパッド12に標識板Wを吸着させる。このとき、バキュームパッド12が標識板Wを吸着したことが圧力センサなどによって検知されたとき、起動OKのランプが点灯し、作業者は、制御盤のスタートスイッチをオンする。
【0052】
このとき、剥離工程のシーケンス制御動作が開始され、先ず、保持ユニット1の回動モータ7が起動し、保持ユニット1が
図2に示すように回動軸6上で180°回転する。これにより、保持ユニット1の一方の縦型保持室19の吸着機構11に吸着された標識板Wは、剥離ユニット2の前面の縦型剥離室21側を向き、所定の対向位置で停止したとき、ストッパ40がそのピストンロッドを上昇させ、保持ユニット1のユニット本体10がロックされる。
【0053】
次に、剥離ユニット2の前後移動機構4が起動して、流体圧シリンダ4aがそのピストンロッドを引き戻し作動し、これにより、剥離ユニット2は、移動レール5上を
図1の左側つまり保持ユニット1側に移動し、所定の前進端に達したとき、
図7に示すように、縦型剥離室21の周壁部21aのシール材21bが保持ユニット1の縦型保持室19の鉛直保持面10aまたは周壁部19aに密着し、縦型剥離室21が密閉される。
【0054】
そして、2軸移動機構30の水平移動モータ31及び垂直移動モータ32が起動し、水平移動フレーム27及び垂直移動フレーム26が水平及び垂直方向に移動し、これにより、高圧水噴射装置22が原点位置(例えば正面の右下位置)から、保持ユニット1内に鉛直に保持された標識板Wの対向位置に移動し、ヘッドカバー24のブラシ部を標識板Wの表面に接する位置に移動する。
【0055】
次に、剥離ユニット2の高圧水噴射装置22が起動し、回転ノズルヘッド23の噴口23cから高圧水が標識板Wの表面に噴射されると共に、回転ノズルヘッド23がエアーモータ23bの駆動により高速回転する。同時に、2軸移動機構30の水平移動モータ31及び垂直移動モータ32が動作し、水平移動フレーム27及び垂直移動フレーム26が水平及び垂直方向に移動し、これにより、高圧水噴射装置22が、保持された標識板Wの輪郭に沿って、蛇行するように移動する。これにより、保持ユニット1内に保持された標識板Wの表面の樹脂シートが破砕されながら剥離されていく。
【0056】
このとき、標識板Wは保持ユニット1によって鉛直に保持された状態で、高圧水噴射装置22の回転ノズルヘッド23がその鉛直面と平行な標識板Wの表面と平行に移動しながら、回転ノズルヘッド23の噴口23cから高圧水を、標識板Wの表面全体に噴射して樹脂シートが剥離除去されることとなる。そして、高圧水の噴射が終了すると、次に、縦型剥離室21内上部の水洗ノズル41(
図5)から水洗用の水が標識板Wに向けて噴射され、剥離処理後の樹脂シートの破砕片などが標識板Wから落とされ、1回の剥離処理工程を終了する。
【0057】
なお、剥離処理中に除去された樹脂シートの破砕片は噴射された排水と共に水受け槽8に回収され、その排水は、水処理装置の原水タンクに送られ、そこでメッシュ膜に排水を通して粗濾過される。さらにろ過した水は中間ランクに溜められ、その水は限外ろ過装置に通すことにより懸濁物質が除去され、懸濁物質を除去した水は処理水タンクに回収し、処理水タンクに回収された水は、再び高圧水ポンプに供給され、循環使用される。
【0058】
このように、高圧水噴射装置22の噴射ノズルの回転ノズルヘッド23を、保持ユニット1により鉛直状態に保持された標識板Wに対向接近させ、その状態で、2軸移動機構30により高圧水噴射装置22を、鉛直面と平行な標識板Wの表面と平行に移動させながら、回転ノズルヘッド23の噴口23cから高圧水を噴射して樹脂シートを剥離除去するので、剥離した樹脂シートを残留させずに下方に落としながら、効率良く樹脂シートの剥離を行うことができる。
【0059】
また、このような剥離動作中、保持ユニット1の他方の側の縦型保持室19は、
図1の左側の作業者の側に開口して位置しているため、作業者は上記と同様に、次の標識板Wを他方の縦型保持室19内の吸着機構11のバキュームパッド12に吸着させておくことができる。このため、作業者が標識板Wを吸着機構11に吸着させてセットする時間中に剥離動作を行うことができ、剥離の作業効率を大幅に向上させることができる。
【0060】
なお、上記では標識板の表面に貼着された樹脂シートを剥離したが、保持ユニット1の吸着機構11に対し標識板の裏面(標識板のリブを溶接した側の面)を正面に向けて吸着させ、上記の剥離工程を実施すれば、標識板の裏面に貼着されたステッカーの剥離を行なうこともできる。