(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応容器を1サイクル毎に回転移動した後に停止させる機構、及び前記試料を収容する試料容器から前記試料を吸引して試料吐出位置で停止した前記反応容器内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブを有し、
前記サンプル分注プローブは、前記第1の試薬吸引位置で停止した前記第1試薬容器内の第1試薬の分注が停止されたサイクルに前記第1試薬吐出位置で停止する前記反応容器に対する前記試料の分注を停止することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料と各検査項目の分析用の試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部10と、分析部10の測定に関る各分析ユニットを駆動制御する分析制御部50と、分析部10で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データの生成を行うデータ処理部60とを備えている。
【0014】
また、自動分析装置100は、データ処理部60で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部70と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部80と、分析制御部50、データ処理部60、及び出力部70を統括して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0015】
図2は、分析部10の構成を示した斜視図である。この分析部10は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器11と、この試料容器11を移動可能に保持するサンプルラック12と、各検査項分析用の1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する第1試薬容器13と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する第2試薬容器14とを備えている。
【0016】
図3は、第1及び第2試薬容器13,14の外観を示した図である。この第1及び第2試薬容器13,14は、夫々同じ形状及び寸法を成している。そして、第1試薬容器13外面の一部に、その第1試薬容器13内の第1試薬を識別する第1試薬情報が例えば一次元又は二次元コードが記されたラベル13aが貼付されている。また、第2試薬容器14外面の一部に、その第2試薬容器14内の第2試薬を識別する第2試薬情報が記されたラベル14aが貼付されている。
【0017】
図2の分析部10は、第1及び第2試薬容器13,14内の第1及び第2試薬を保冷するための試薬庫17と、試薬庫17内に格納された第1及び第2試薬容器13,14を混在可能に且つ移動可能に保持する第1試薬ラック15と、試薬庫17内に格納された第2試薬容器14を移動可能に保持する第2試薬ラック16と、第1及び第2試薬ラック15,16に保持された第1及び第2試薬容器13,14に貼付されたラベル13a,14aから第1及び第2試薬情報を読み取るリーダ18と、円周上に配置された複数の反応容器19を回転移動可能に保持する反応ディスク20とを備えている。
【0018】
また、サンプルラック12に保持された試料容器11内の試料を吸引して反応容器19内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ21と、サンプル分注プローブ21を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム22と、第1試薬ラック15に保持された第1試薬容器13内の第1試薬を吸引して各試料が吐出された反応容器19内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ23とを備えている。
【0019】
また、第1試薬分注プローブ23を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム24と、反応容器19内に吐出された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子25と、第1撹拌子25を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム26と、第1又は第2試薬ラック15,16に保持された第2試薬容器14内の第2試薬を吸引して各試料及び第1試薬が吐出された反応容器19内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ27とを備えている。
【0020】
また、第2試薬分注プローブ27を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム28と、反応容器19内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子29と、第2撹拌子29を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム30と、反応容器19内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部31と、測光部31で測定を終了した反応容器19内を洗浄する洗浄ユニット32とを備えている。
【0021】
そして、測光部31は、反応容器19に光を照射し、その反応容器19内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度や吸光度の変化量で表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部60に出力する。
【0022】
分析制御部50は、分析部10の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部51、及びこの機構部51の各機構を制御して分析部10の各分析ユニットを1サイクル毎に所定のタイミングで作動させる機構制御部52を備えている。
【0023】
機構部51は、サンプルラック12を移動する機構、並びに第1試薬ラック15及び第2試薬ラック16を夫々独立して回動する機構を備えている。また、反応ディスク20を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム22、第1試薬分注アーム24、第2試薬分注アーム28、第1撹拌アーム26、及び第2撹拌アーム30を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、洗浄ユニット32を上下移動する機構等を備えている。
【0024】
図1のデータ処理部60は、分析部10の測光部31から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部61と、演算部61で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部62とを備えている。
【0025】
演算部61は、測光部31から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部70に出力すると共にデータ記憶部62に保存する。
【0026】
また、測光部31から出力された吸光度で表される被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部62から読み出し、読み出した検量データを用いて測光部31により生成された被検データから濃度値や酵素の活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部70に出力すると共にデータ記憶部62に保存する。
【0027】
データ記憶部62は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部61から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部61から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0028】
出力部70は、データ処理部60の演算部61から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部71及び表示出力する表示部72を備えている。そして、印刷部71は、プリンタなどを備え、演算部61から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0029】
表示部72は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部61から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能な各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、各検査項目の分析に用いる第1及び第2試薬の試薬情報を設定するための試薬情報設定画面、検査する被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の被検識別情報及び被検識別情報で識別される被検試料の検査項目を選択設定するための被検試料情報設定画面等を表示する。
【0030】
操作部80は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータ、各検査項目の分析に用いる試薬の第1及び第2試薬情報、検査対象の被検試料の被検識別情報及び検査項目等の検査情報の入力を行う。
【0031】
システム制御部90は、CPU及び記憶回路を備え、操作部80からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、第1及び第2試薬情報、被検識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部50、データ処理部60、及び出力部70を統括してシステム全体を制御する。
【0032】
次に、
図2乃至
図5を参照して、試薬庫17並びに第1及び第2試薬ラック15,16の構成の一例を説明する。そして、
図4は、試薬庫17並びに第1及び第2試薬ラック15,16の構成を示す平面図である。また、
図5は、
図4に示した試薬庫17並びに第1及び第2試薬ラック15,16のA−A線矢視断面図である。
【0033】
図4において、試薬庫17は、反応ディスク20の近傍に配置される。そして、
図5に示すように、第1及び第2試薬容器13,14を格納するための上側に開口部を有する試薬ケース40と、試薬ケース40の開口部を覆う着脱自在の試薬カバー41と、試薬ケース40に格納された第1及び第2試薬容器13,14内の第1及び第2試薬を保冷する冷却器42とを備えている。
【0034】
このように、第1及び第2試薬容器13,14の格納が可能な試薬庫17を設けることにより、第1試薬容器13を格納する第1試薬庫及び第2試薬容器14を格納する第2試薬庫を設けるよりも効率よく格納でき、分析部10の小型化を図ることができる。また、試薬ケース40開口部を試薬カバー41で覆うことにより、外気の侵入により試薬ケース40内が温度上昇して第1及び第2試薬容器13,14内の第1及び第2試薬が劣化するのを防ぐことができる。また、試薬ケース40に格納された第1及び第2試薬容器13,14内の第1及び第2試薬成分の蒸発による濃縮を抑えることができる。
【0035】
試薬カバー41は、第1試薬ラック15に保持され、第1の試薬吸引位置T1で停止した第1試薬容器13内の第1試薬を吸引するために第1試薬分注プローブ23が進入する第1の貫通孔43を有する。また、第2試薬ラック16に保持され、第2の試薬吸引位置T2で停止した第2試薬容器14内の第2試薬を吸引するために第2試薬分注プローブ27が進入する第2の貫通孔44を有する。更に、第1試薬ラック15に保持され、第3の試薬吸引位置T3で停止した第2試薬容器14内の第2試薬を吸引するために第2試薬分注プローブ27が進入する第3の貫通孔45を有する。
【0036】
このように、試薬カバー41に第2及び第3の貫通孔44,45を設けることにより、第2試薬容器14が第1試薬ラック15又は第2試薬ラック16に保持された場合でも第2試薬を吸引することができる。
【0037】
なお、第1及び第3の貫通孔43,45に代えて試薬カバー41に第4の貫通孔を設け、第4の貫通孔から第1及び第2試薬分注プローブ23,27が進入可能なように第1及び第2試薬分注アーム24,28を配置換えする。そして、第1試薬ラック15に保持された第1試薬容器13を第4の貫通孔の下方で停止させて第1試薬を吸引させ、また第1試薬ラック15に保持された第2試薬容器14を第4の貫通孔の下方で停止させて第2試薬を吸引させるように実施してもよい。
【0038】
第1試薬ラック15は、合計で所定数となる第1及び第2試薬容器13,14を遊嵌して位置ずれさせることなく保持可能な複数の仕切り板を有し、隣り合う仕切り板間に置くことにより各第1及び第2試薬容器13,14を混在可能に同心円の外円周上に配列保持する。また、第2試薬ラック16は、第1試薬ラック15の内周に配置され、第1試薬ラック15で保持可能な第1及び第2試薬容器13,14の合計数よりも少ない数の第2試薬容器14を遊嵌して位置ずれさせることなく保持可能な複数の仕切り板を有する。そして、隣り合う仕切り板間に置くことにより各第2試薬容器14を前記同心円の内円周上に配列保持する。
【0039】
このように、第1試薬ラック15で第1及び第2試薬容器13,14の混在保持を可能とすることにより、1試薬系に比べて2試薬系の試薬の割合が増加して第2試薬ラック16で第2試薬容器14の保持位置が不足するとき、第2試薬容器14を第1試薬ラック15に回すことができる。また、同じ形状及び寸法の第1及び第2試薬容器13,14を用いることにより、第2試薬容器14を置くだけの簡単な作業で第1試薬ラック15により位置ずれさせることなく保持することができる。
【0040】
そして、第1試薬の分注が行われるとき、第1試薬ラック15は、分注対象の第1試薬を収容する第1試薬容器13を回動移動して第1の試薬吸引位置T1で停止させる。また、第2試薬の分注が行われるとき、第2試薬ラック16は、分注対象の第2試薬を収容する第2試薬容器14を回動移動して第2の試薬吸引位置T2で停止させる。また、第2試薬の分注が行われるとき、第1試薬ラック15は、分注対象の第2試薬を収容する第2試薬容器14を回動移動して第3の試薬吸引位置T3で停止させる。
【0041】
なお、第1試薬容器13と異なるサイズの第3の試薬容器に第2試薬を収容するようにしてもよい。第3の試薬容器を用いる場合、第3の試薬容器を位置ずれさせることなく保持可能な複数の仕切り板を第2試薬ラック16に設ける。そして、第3の試薬容器を固定保持すると共に、第1試薬ラック15で位置ずれすることなく保持可能なアダプタを設けるようにする。
【0042】
次に、
図2乃至
図6を参照して、第1及び第2試薬分注プローブ23,27による第1及び第2試薬の分注動作、並びに第1及び第2試薬ラック15,16の動作を説明する。
図6は、第1及び第2試薬の分注動作に関る第1及び第2試薬ラック15,16、反応ディスク20、第1及び第2試薬分注プローブ23,27、並びに第1及び第2試薬分注アーム24,28の1サイクルにおけるタイミングチャートを示した図である。
【0043】
先ず、第1試薬の分注動作について説明する。
第1試薬分注プローブ23は、分析制御部50による第1試薬分注アーム24の駆動制御により移動して、1サイクル毎に第1試薬を分注する。この第1試薬の分注において、第1試薬分注アーム24の1回目の「回動」により、ホームポジションから試薬庫17の第1の貫通孔43上方を通る円弧状の第1軌道に沿って移動し、第1の試薬吸引位置T1で停止する第1試薬ラック15に保持された第1試薬容器13の上方で停止する。
【0044】
第1試薬容器13の上方で停止した第1試薬分注プローブ23は、第1試薬分注アーム24の「下」方向への移動により、第1の貫通孔43から試薬庫17内へ進入し、更に第1の試薬吸引位置T1の第1試薬容器13内へ進入して第1試薬の吸引が可能な高さで停止する。そして、第1試薬の「吸引」を行う。
【0045】
第1試薬を吸引した第1試薬分注プローブ23は、第1試薬分注アーム24の「上」方向への移動により、上停止位置まで移動した後、第1試薬分注アーム24の2回目の「回動」により、第1軌道に沿って反応容器19の上方まで移動する。そして、反応容器19内へ第1試薬の「吐出」を行う。
【0046】
第1試薬を吐出した第1試薬分注プローブ23は、第1試薬分注アーム24の3回目の「回動」により、ホームポジションまで移動する。
【0047】
なお、同じサイクルにおいて分注対象の第1及び第2試薬を収容する第1及び第2試薬容器13,14が第1試薬ラック15に保持されている場合、第1試薬分注アーム24の「回動」、並びに「上」及び「下」方向への移動の動作を中止し、第1試薬分注プローブ23の「吸引」及び「吐出」を中止する。そして、第1試薬分注プローブ23はホームポジションで停止する。
【0048】
次に、分注対象の第2試薬を収容する第2試薬容器14が第2試薬ラック16に保持されている場合の第2試薬の分注動作について説明する。
第2試薬分注プローブ27は、分析制御部50による第2試薬分注アーム28の駆動制御により移動して、1サイクル毎に第2試薬を分注する。この第2試薬の分注において、第1試薬分注アーム24の1回目の「回動」と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の1回目の「回動」により、ホームポジションから試薬庫17の第2及び第3の貫通孔44,45上方を通る円弧状の第2軌道に沿って移動し、第2の試薬吸引位置T2で停止する第2試薬ラック16に保持された第2試薬容器14の上方で停止する。
【0049】
第2試薬容器14の上方で停止した第2試薬分注プローブ27は、第1試薬分注アーム24の「下」方向への移動と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の「下」方向への移動により、第2の貫通孔44から試薬庫17内へ進入し、更に第2の試薬吸引位置T2の第2試薬容器14内へ進入して第2試薬の吸引が可能な高さで停止する。そして、第1試薬分注プローブ23による「吸引」と同じタイミングで第2試薬の「吸引」を行う。
【0050】
第2試薬を吸引した第2試薬分注プローブ27は、第1試薬分注アーム24の「上」方向への移動と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の「上」方向への移動により、上停止位置まで移動した後、第1試薬分注アーム24の2回目の「回動」と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の2回目の「回動」により、第2軌道に沿って反応容器19の上方まで移動する。そして、第1試薬分注プローブ23による「吐出」と同じタイミングで反応容器19内へ第2試薬の「吐出」を行う。
【0051】
第2試薬を吐出した第2試薬分注プローブ27は、第1試薬分注アーム24の3回目の「回動」と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の3回目の「回動」によりホームポジションまで移動する。
【0052】
次に、分注対象の第2試薬を収容する第2試薬容器14が第1試薬ラック15に保持されている場合の第2試薬の分注動作について説明する。
第2試薬分注プローブ27は、第1試薬分注アーム24の1回目の「回動」と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の1回目の「回動」により、ホームポジションから第2軌道に沿って移動し、第3の試薬吸引位置T3で停止する第1試薬ラック15に保持された第2試薬容器14の上方で停止する。
【0053】
第2試薬容器14の上方で停止した第2試薬分注プローブ27は、第1試薬分注アーム24の「下」方向への移動と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の「下」方向への移動により、第3の貫通孔45から試薬庫17内へ進入し、更に第3の試薬吸引位置T3の第2試薬容器14内へ進入して第2試薬の吸引が可能な高さで停止する。そして、第1試薬分注プローブ23による「吸引」と同じタイミングで第2試薬の「吸引」を行う。
【0054】
第2試薬を吸引した第2試薬分注プローブ27は、第1試薬分注アーム24の「上」方向への移動と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の「上」方向への移動により、上停止位置まで移動した後、第1試薬分注アーム24の2回目の「回動」と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の2回目の「回動」により、第2軌道に沿って反応容器19の上方まで移動する。そして、第1試薬分注プローブ23による「吐出」と同じタイミングで反応容器19内へ第2試薬の「吐出」を行う。
【0055】
第2試薬を吐出した第2試薬分注プローブ27は、第1試薬分注アーム24の3回目の「回動」と同じタイミングで実行される第2試薬分注アーム28の3回目の「回動」によりホームポジションまで移動する。
【0056】
次に、第1試薬が分注される場合の第1試薬ラック15の動作について説明する。
第1試薬ラック15は、第1試薬分注アーム24の1回目の「回動」が実行される前に「回動」を開始し、第1試薬分注アーム24の「下」方向への移動が開始される前に、分注対象の第1試薬を収容する第1試薬容器13が第1の試薬吸引位置T1となる位置で停止する。
【0057】
次に、第2試薬が分注される場合の第1試薬ラック15の動作について説明する。
第1試薬ラック15は、第2試薬分注アーム28の1回目の「回動」が実行される前に「回動」を開始し、第2試薬分注アーム28の「下」方向への移動が開始される前に、分注対象の第2試薬を収容する第2試薬容器14が第3の試薬吸引位置T3となる位置で停止する。
【0058】
次に、第2試薬が分注される場合の第2試薬ラック16の動作について説明する。
第2試薬ラック16は、第2試薬分注アーム28の1回目の「回動」が実行される前に「回動」を開始し、第2試薬分注アーム28の「下」方向への移動が開始される前に、分注対象の第2試薬を収容する第2試薬容器14が第2の試薬吸引位置T2となる位置で停止する。
【0059】
次に、各反応容器19を回転移動する反応ディスク20の回転動作を説明する。
図7は、反応ディスク20に保持された各反応容器19の回転移動の一例を示した図である。反応ディスク20は1サイクル毎に矢印R1方向へ角度θ回転した後に停止する。この回転により、反応ディスク20に保持された各反応容器19は、1サイクル毎にR1方向へ回転移動して、移動前にR1方向とは反対方向に隣接する各反応容器19の位置で停止する。
【0060】
次に、反応ディスク20の回転毎に各反応容器が停止する各停止位置について説明する。
図8は、各反応容器19の各停止位置の一例を示した図である。各反応容器19は、洗浄ユニット32により洗浄が行われる洗浄位置Wで停止する。また、洗浄位置Wで洗浄を終えた例えば1個目の反応容器19は、洗浄を終えたときのサイクルから所定のサイクル経過したaサイクル目において、試料吐出位置Paで停止する。サンプル分注プローブ21は、サンプルラック12に保持された試料容器11から被検試料を吸引して試料吐出位置Paの反応容器19内へ吐出する分注を行う。また、(a+1)サイクル目以降、検査対象の被検試料又は検査項目が複数である場合には1サイクル毎に試料吐出位置Paで停止する反応容器19に対して被検試料の分注を行う。
【0061】
aサイクル目から例えば1サイクル経過したbサイクル目において、aサイクル目に被検試料が吐出された反応容器19は、第1試薬吐出位置Pbで停止する。第1試薬分注プローブ23は、第1試薬ラック15に保持され、第1の試薬吸引位置T1で停止する分注対象の第1試薬容器13から第1試薬を吸引して第1試薬吐出位置Pbの反応容器19内へ吐出する分注を行う。また、(a+1)サイクル目以降、第1試薬吐出位置Pbで停止する被検試料が吐出された反応容器19に対して第1試薬の分注を行う。
【0062】
bサイクル目から所定のサイクル経過したcサイクル目において、bサイクル目に第1試薬が吐出された反応容器19は、第2試薬吐出位置Pcで停止する。第2試薬分注プローブ27は、第1又は第2試薬ラック15,16に保持され、第2又は第3の試薬吸引位置T2,T3で停止する分注対象の第2試薬容器14から第2試薬を吸引して第2試薬吐出位置Pcの反応容器19内へ吐出する分注を行う。また、(c+1)サイクル目以降、第2試薬吐出位置Pcで停止する第1試薬が吐出された反応容器19に対してその第1試薬と対をなす第2試薬の分注を行う。
【0063】
そして、cサイクル目以降の各サイクルにおいて、分注対象の第2試薬容器14が第1試薬ラック15に保持されている場合、且つ、第1試薬の分注が続行されている場合、分注対象の第1及び第2試薬容器13,14を同時に第1及び第3の試薬吸引位置T1,T3で停止させることができない。このため、第1又は第2試薬分注プローブ23,27の一方の試薬分注プローブが第1又は第2試薬の一方の試薬を吸引するために第1試薬ラック15に保持された第1又は第3の試薬吸引位置T1,T3の一方の試薬吸引位置に停止した分注対象の試薬容器内へ進入しているとき、他方の試薬分注プローブを第1試薬ラック15に保持された他方の試薬吸引位置の分注対象外の試薬容器内へ進入させる訳にはいかない。従って、既に第1試薬が吐出された反応容器19に対する第2試薬の分注を優先させる。
【0064】
分析制御部50は、第2試薬分注プローブ27が第2試薬を吸引するために第1試薬ラック15に保持された第3の試薬吸引位置T3の分注対象の第2試薬容器14内へ進入しているとき、第1試薬ラック15に保持された第1の試薬吸引位置T1の第1試薬容器13内への第1試薬分注プローブ23の進入を停止させる。
【0065】
ここでは、第2試薬が分注されるサイクルにおける第1試薬の分注を停止させる。また、cサイクル目に第1試薬吐出位置Pbで停止する第1試薬の分注が行われない反応容器19に対する被検試料の分注も不要となるため、(c−1)サイクル目に試料吐出位置Paで停止する反応容器19に対する被検試料の分注を停止させる。
【0066】
また、分析制御部50は、cサイクル目以降の各サイクルにおいて、分注対象の第1試薬容器13が第1試薬ラック15に保持され、分注対象の第2試薬容器14が第2試薬ラック16に保持されている場合、且つ、第1試薬の分注が続行されている場合、第1試薬分注プローブ23が第1の試薬吸引位置T1で停止する分注対象の第1試薬容器13内に進入している時間と第2試薬分注プローブ27が第2の試薬吸引位置T2で停止する分注対象の第2試薬容器14内に進入している時間の少なくとも一部が重なるタイミングで第1試薬と第2試薬を分注させる。即ち、第1試薬の分注と第2試薬の分注を並行して実行させる。
【0067】
ここでは、
図6に示すように、第1試薬分注プローブ23が第1の試薬吸引位置T1の分注対象の第1試薬容器13内に進入するタイミングと、第2試薬分注プローブ27が第2の試薬吸引位置T2の分注対象の第2試薬容器14内に進入するタイミングが一致するように、同じタイミングで第1及び第2試薬分注アーム24,28を下へ移動させる。
【0068】
このように、同じサイクルで分注対象の第1及び第2試薬を収容する第1及び第2試薬容器13,14が第1及び第2試薬ラック15,16に保持されている場合、第1試薬の分注と第2の分注を並行して行わせることにより、1サイクルに要する時間を短縮することができる。
【0069】
また、分析頻度の低い検査項目の第2試薬を収容する第2試薬容器14を第1試薬ラック15に配置することにより、被検試料及び第1試薬の分注を停止させる頻度を低減することができる。これにより、スループットの向上を図ることができる。
【0070】
なお、第1試薬ラック15で第1及び第2試薬容器13,14を混在可能に保持させ、第1試薬ラック15で保持可能な第1及び第2試薬容器13,14の合計数よりも少ない数の第1試薬容器13を第2試薬ラック16で保持させる。また、試薬カバー41に、第2試薬ラック16に保持される第1試薬容器13内の第1試薬を吸引するために第1試薬分注プローブ23が進入する貫通孔、第1試薬ラック15に保持される第1試薬容器13内の第1試薬を吸引するために第1試薬分注プローブ23が進入する貫通孔、及び第1試薬ラック15に保持される第2試薬容器14内の第2試薬を吸引するために第2試薬分注プローブ27が進入する貫通孔を、第1乃至第3の貫通孔43乃至45の代わりに設ける。そして、分注対象の第1及び第2試薬を収容する第1及び第2試薬容器13,14が第1試薬ラック15に保持されている場合には第1試薬の分注を停止させて第2試薬の分注を行わせ、分注対象の第1及び第2試薬を収容する第1及び第2試薬容器13,14が第1及び第2試薬ラック15,16に保持されている場合には第1試薬の分注と第2の分注を並行して行わせるように実施してもよい。
【0071】
以下、
図1乃至
図10を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。そして、
図9は、自動分析装置100の動作を示すフローチャートである。また、
図10は、各サイクルにおける試料、第1試薬及び第2試薬の分注動作を示す図である。
【0072】
図9において、操作部80から各検査項目の分析パラメータ並びに各検査項目の分析に用いる試薬の第1及び第2試薬情報が入力される。そして、1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する全ての第1試薬容器13を第1試薬ラック15に配置し、2試薬系の検査頻度の高い検査項目の第2試薬を収容する第2試薬容器14から順に第2試薬ラック16に配置する。そして、第2試薬ラック16で保持不可能となった2試薬系の検査頻度の低い検査項目の第2試薬を収容する第2試薬容器14を第1試薬ラック15に配置する。そして、操作部80から検査対象となる各被検試料の被検識別情報及び検査項目等の検査情報の入力が行われた後に分析開始の入力が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0073】
システム制御部90は、操作部80から入力された検査情報に基づいて、分析制御部50、データ処理部60、及び出力部70に各被検試料の各検査項目の分析を指示する。分析制御部50の機構制御部52は、システム制御部90から供給される検査情報に基づいて分析部10の各分析ユニットを作動させる。
【0074】
分析部10の第1及び第2試薬ラック15,16は、試薬庫17に格納された第1及び第2試薬容器13,14を回動する。リーダ18は、第1及び第2試薬ラック15,16の回動中に、第1及び第2試薬ラック15,16に保持された全ての第1及び第2試薬容器13,14に貼付されたラベル13a,14aから第1及び第2試薬情報を読み取って、その第1及び第2試薬情報を機構制御部52に出力する。機構制御部52は、リーダ18から出力された第1及び第2試薬情報を、第1及び第2試薬ラック15,16に保持された各第1及び第2試薬容器13,14の保持位置に関連付けて内部の記憶回路に保存する。
【0075】
洗浄ユニット32は、洗浄位置Wで停止した各反応容器19の洗浄を行う。そして、洗浄位置Wの洗浄を終えた1個目の反応容器19は、aサイクル目において、試料吐出位置Paで停止する。サンプル分注プローブ21は、
図10に示すように、サンプルラック12に保持された試料容器11から被検試料S1を吸引して試料吐出位置Paの反応容器19内に吐出する分注を行う(ステップS2)。
【0076】
以下では、aサイクル目に被検試料S1の吐出された反応容器19に対する第1及び第2試薬の分注工程、並びにこの第2試薬の分注工程に関連する被検試料及び第1試薬の分注工程について説明する。
【0077】
bサイクル目において、aサイクル目に被検試料S1の吐出された反応容器19は、第1試薬吐出位置Pbで停止する。第1試薬分注プローブ23は、
図10に示すように、第1試薬ラック15に保持され、第1の試薬吸引位置T1で停止した第1試薬容器13から第1試薬R11を吸引して第1試薬吐出位置Pbの反応容器19に吐出する分注を行う(ステップS3)。
【0078】
(c−2)サイクル目以前のサイクルにおいて、分析制御部50は、検査情報並びに第1及び第2試薬ラック15,16に保持された各第1及び第2試薬容器13,14の保持位置の情報から、cサイクル目に分注させる第2試薬R21を収容する第2試薬容器14の保持位置を調べる。また、(c−1)サイクル目に被検試料の分注の予定があるか否かを調べる。そして、調査結果に基づいて各分析ユニットを作動させる。ここでは、(c−1)サイクル目に被検試料Snの分注の予定があるとする。
【0079】
そして、cサイクル目に分注する第2試薬R21を収容する第2試薬容器14が第1試薬ラック15に保持されている場合(ステップS4のはい)、(c−1)サイクル目において、サンプル分注プローブ21は、
図10に示すように、試料吐出位置Paで停止する反応容器19に対する被検試料Snの分注を停止する。その後、ステップS5へ移行する。
【0080】
また、cサイクル目に分注する第2試薬R21を収容する第2試薬容器14が第2試薬ラック16に保持されている場合(ステップS4のいいえ)、(c−1)サイクル目において、サンプル分注プローブ21は、サンプルラック12に保持された試料容器11から被検試料Snを吸引して、試料吐出位置Paで停止する反応容器19内へ吐出する分注を行う。その後、ステップS6へ移行する。
【0081】
ステップS4の「はい」の後のcサイクル目において、bサイクル目に第1試薬R11の吐出された反応容器19は、第2試薬吐出位置Pcで停止する。第2試薬分注プローブ27は、
図10に示すように、第1試薬ラック15に保持され、第3の試薬吸引位置T3で停止した第2試薬容器14から第2試薬R21を吸引して第2試薬吐出位置Pcの反応容器19に吐出する分注を行う(ステップS5)。
【0082】
また、ステップS4の「はい」の後のcサイクル目において、第1試薬分注プローブ23は、
図10に示すように、第1試薬吐出位置Pbで停止する(c−1)サイクル目に被検試料Snの分注が停止された反応容器19に対する第1試薬R1nの分注を停止する。
【0083】
更に、ステップS4の「はい」の後のcサイクル目において、(c+1)サイクル目に分注する第2試薬を収容する第2試薬容器14が第2試薬ラック16に保持されている場合、サンプル分注プローブ21は、
図10に示すように、(c−1)サイクル目に分注を止めたサンプルラック12に保持された試料容器11から被検試料Snを吸引して、試料吐出位置Paで停止する反応容器19内へ吐出する分注を行う。
【0084】
ステップS4の「いいえ」後のcサイクル目において、bサイクル目に第1試薬R1の吐出された反応容器19は、第2試薬吐出位置Pcで停止する。第2試薬分注プローブ27は、第2試薬ラック16に保持され、第2の試薬吸引位置T2で停止した分注対象の第2試薬容器14から第2試薬R21を吸引して第1試薬吐出位置Pbの反応容器19に吐出する分注を行う(ステップS6)。
【0085】
また、ステップS4の「いいえ」の後のcサイクル目において、第1試薬分注プローブ23は、第1試薬吐出位置Pbで停止する(c−1)サイクル目に被検試料Snの分注が行われた反応容器19に対する第1試薬R1nの分注を行う。
【0086】
そして、被検試料、第1試薬、及び第2試薬が終了し、測光部31で全ての反応容器19内の混合液の測定が終了した後に出力部70に全ての分析データ出力されたとき、システム制御部90が分析制御部50、データ処理部60、及び出力部70に各被検試料及び各検査項目の分析を停止させることにより、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS7)。
【0087】
以上述べた実施形態によれば、第1及び第2試薬容器13,14の格納が可能な試薬庫17を設けることにより、第1試薬容器13を格納する第1試薬庫及び第2試薬容器14を格納する第2試薬庫を設けるよりも効率よく格納でき、分析部10の小型化を図ることができる。
【0088】
また、試薬庫17内に第2試薬容器14を保持する第2試薬ラック16、及び第2試薬ラック16で保持可能な第2試薬容器14の数よりも多くの数の第1及び第2試薬容器13,14を混在可能に保持することができる第1試薬ラック15を設けることにより、第2試薬容器14の保持位置が第2試薬ラック16で不足するとき、第2試薬容器14を第1試薬ラック15に回すことができる。
【0089】
そして、同じサイクルで分注対象の第1及び第2試薬を収容する第1及び第2試薬容器13,14が第1試薬ラック15に保持されている場合に第1試薬の分注を停止させて第2試薬の分注を行わせ、分注対象の第1試薬を収容する第1試薬容器13が第1試薬ラック15に保持され、分注対象の第2試薬を収容する第2試薬容器14が第2試薬ラック16に保持されている場合に第1試薬と第2試薬の分注を並行させて行わせることができる。これにより、2試薬系の試薬の割合の増加によって制限される検査項数を低減することができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。