(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5706304
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】貯湯式風呂装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20060101AFI20150402BHJP
F24H 9/16 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
F24H1/00 602U
F24H9/16 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-272949(P2011-272949)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-124795(P2013-124795A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大桃 正己
(72)【発明者】
【氏名】村山 成樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠
(72)【発明者】
【氏名】長澤 義彦
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−147153(JP,A)
【文献】
特開2010−054175(JP,A)
【文献】
特開平05−302752(JP,A)
【文献】
特開2004−257575(JP,A)
【文献】
特開2003−65600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18
F24H 9/00
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内に備えられ湯水と熱交換する風呂熱交換器と、前記風呂熱交換器と浴槽とを連通する風呂循環回路と、前記風呂循環回路に備えられ浴水を風呂熱交換器に循環させて追い焚きを行う風呂循環ポンプと、前記風呂循環ポンプと風呂熱交換器との間の風呂循環回路で、風呂熱交換器をバイパスするバイパス管と、前記風呂循環回路でバイパス管を循環させるか風呂熱交換器を循環させるかを切替る風呂三方弁とを備えたものに於いて、前記風呂循環回路の凍結防止では、浴槽に残湯なしの場合、風呂三方弁をバイパス管側開で風呂熱交換器側閉とし風呂循環ポンプを駆動して、バイパス管から浴槽までの配管内の残水を排水した後、風呂三方弁を風呂熱交換器側開として所定時間保持し該風呂熱交換器内の残水を排水するようにした事を特徴とする貯湯式風呂装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯タンク内に備えられた風呂熱交換器の中の残水の凍結を防止する貯湯式風呂装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置に於いて、凍結危険温度では風呂循環ポンプを最低駆動させて風呂循環回路内の浴水を循環させることで、凍結防止を行うものであるが、貯湯式の為、循環水が貯湯タンク内の風呂熱交換器まで循環するので、貯湯タンクの貯湯水温度が徐々に低下してしまうと言う不具合を有するものであり、これを防止する為に、風呂循環回路に風呂熱交換器をバイパスするバイパス管と、流路切替する風呂三方弁とを備えて、凍結防止運転時は流路を切替て循環水が、風呂熱交換器ではなくバイパス管を循環するようにすることで、貯湯水の温度を低下させることなく、凍結防止が出来るものであった。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、浴槽に残水がない状態で凍結防止運転した場合、バイパス管から浴槽までの風呂循環回路内の残水は排水されるが、風呂熱交換器内の残水は排水されずそのまま残ってしまうので、旅行等で貯湯タンクの沸き上げを停止すると、風呂熱交換器内の残水が凍結してしまうと言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を、湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内に備えられ湯水と熱交換する風呂熱交換器と、前記風呂熱交換器と浴槽とを連通する風呂循環回路と、前記風呂循環回路に備えられ浴水を風呂熱交換器に循環させて追い焚きを行う風呂循環ポンプと、前記風呂循環ポンプと風呂熱交換器との間の風呂循環回路で、風呂熱交換器をバイパスするバイパス管と、前記風呂循環回路でバイパス管を循環させるか風呂熱交換器を循環させるかを切替る風呂三方弁とを備えたものに於いて、前記風呂循環回路の凍結防止では、浴槽に残湯なしの場合、風呂三方弁をバイパス管側開で風呂熱交換器側閉とし風呂循環ポンプを駆動して、バイパス管から浴槽までの配管内の残水を排水した後、風呂三方弁を風呂熱交換器側開として所定時間保持し該風呂熱交換器内の残水を排水するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、凍結の危険状態で浴槽に残湯がない場合は、先ずバイパス管側を開として風呂循環ポンプを駆動させることで、バイパス管から浴槽までの配管内の残水を排水し、その後、風呂三方弁の風呂熱交換器側開として所定時間保持し該風呂熱交換器内の残水を排水するようにしたことで、風呂循環回路内には残水がなくなり凍結の心配がなく、電力消費もなく経済的であり、安心して使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】同風呂三方弁のバイパス管側開での排水状態を示す説明図。
【
図3】同風呂三方弁の風呂熱交換器側開での排水状態を示す説明図。
【
図4】同浴槽に残水なし状態での凍結防止運転のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を図示した貯湯式風呂装置に基づいて説明する。
1は円筒状の貯湯タンクで、二酸化炭素冷媒を用いたヒーポンユニットから成る加熱手段2を利用し、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯するものであり、下部には給水を補給する給水管3が接続し、上部には貯湯した高温水を給湯栓(図示せず)等に出湯する出湯管4が接続されている。
【0009】
5は一方に出湯管4を、他方には給水管3から分岐した第1給水バイパス管6を、中央には給湯管7が接続したSAM方式(形状記憶合金内蔵方式)の電動三方弁から成る給湯混合弁で、出湯管4からの高温水と第1給水バイパス管6からの給水とを混合して、台所リモコン8で設定された給湯設定温度となるようにして供給するものであり、給湯管7に備えた給湯サーミスタ9による給湯温度と給水温度と給湯設定温度から、出湯管4の湯側開度と第1給水バイパス管6の水側開度をフィードフォワード制御で調整するものである。
【0010】
10は一方には出湯管4から分岐した風呂出湯管11を接続し、他方には第1給水バイパス管6から分岐した第2給水バイパス管12を、中央には湯張り回路13を接続した電動三方弁から成る風呂混合弁で、風呂出湯管11からの高温水と第2給水バイパス管12からの給水とを混合して、浴室リモコン14で設定された設定温度となるようにして湯張り等の風呂給湯するものであり、出湯温度と給水温度と風呂設定温度とから、風呂出湯管11の湯側開度と第2給水バイパス管12の水側開度を、フィードフォワード制御で調整して湯張り回路13に風呂設定温度の湯水を供給し、この湯張り回路13が連通した風呂循環回路15を介して浴槽16に設定温度で設定量の湯張りや足し湯を行うものである。
【0011】
17は湯張り回路13に備えられ湯張りされる流量をカウントする湯張りフローセンサで、下流に備えられた湯張り電磁弁18の開成でカウントを開始するものであり、又この湯張り回路13の更に下流には、湯張り方向の流通は許容するが逆の流通を阻止する2つの逆止弁19、20が設けられ、この2つの逆止弁19、20の間と、風呂混合弁10と湯張りフローセンサ17との間に連通し排水弁21を有した排水管22が備えられている。
【0012】
前記浴槽16と貯湯タンク1内上部に備えられた風呂熱交換器23とを結ぶ風呂循環回路15には、湯張り回路13が接続している近傍に浴槽水温度を検知する風呂サーミスタ24と、残水の有無を検知する風呂フローセンサ25が備えられている。26は浴水を浴槽16と風呂熱交換器23間を循環させて加熱する自吸式の風呂循環ポンプ、27は浴槽16内の水位を検知する水位センサ、28は風呂熱交換器23をバイパスするバイパス管29に備えられた風呂三方弁で、浴水を風呂熱交換器23側を通すか、通さずにバイパス管29側を通すかを切替るようにしたものであり、浴槽16からの浴水が風呂循環ポンプ26の駆動で吸引されて、風呂熱交換器23の上側から該風呂熱交換器23内に流入し、風呂熱交換器23の下側から流出して風呂三方弁28及び風呂循環ポンプ26を介して浴槽16に戻る循環を行い、特に風呂熱交換器23内を上から下へと流通することにより、温度降下した貯湯水と接することが避けられ、常に高温の貯湯水とのみ熱交換出来、極めて効率が良くなるものである。
【0013】
30は台所リモコン8や浴室リモコン14と接続し給湯や風呂の湯張り、足し湯等の制御を行うマイコンから成る制御手段で、入力側には各種センサ類が接続されると共に、外気温を検知する外気温センサ31が接続され、外気温が0℃以下に低下すると凍結防止運転を開始し、風呂三方弁28をバイパス管29側開として風呂循環ポンプ26を最低回転数で10分間駆動して停止し、風呂フローセンサ25が残水検知していたかどうかをみて、残水なしで風呂三方弁28を風呂熱交換器23側開として、10分間放置してこの間に風呂熱交換器23内の残水を排水して凍結を防止するものであり、又風呂フローセンサ25が残水ありでは更に10分間バイパス管29側を開とする制御を行うものである。
【0014】
32は給水管3に備えられ給水温度を検知する給水サーミスタ、33は給水圧を減圧するための減圧弁である。
34は貯湯タンク1と加熱手段2とを湯水が循環可能に接続する往き管35と戻り管36と加熱循環ポンプ37とで構成された加熱循環回路である。
38、39、40、41、42は貯湯タンク1外周面の上下に備えられた貯湯温度センサであり、43は出湯管4に備えられた圧力逃がし弁である。
【0015】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今契約電力の深夜時間帯では、加熱循環回路34によって貯湯タンク1下部の低温水を加熱手段2で沸き上げて、高温水を貯湯タンク1上部に戻し、順次この循環を繰り返して午後23時から翌朝7時迄に貯湯タンク1内全体に高温水を貯湯するようにするものである。
【0016】
そして、この貯湯タンク1内の高温水を、給湯混合弁5で出湯管4からの高温水と第1給水バイパス管6からの給水とを混合して、給湯設定温度の温水として給湯に利用するものである。
【0017】
次に湯張り等の風呂給湯を行う場合、台所リモコン8や浴室リモコン14で湯張りを指示することで、制御手段30が湯張り電磁弁18を開成させると共に、風呂混合弁10を駆動させて閉成状態の風呂出湯管11を徐々に開成することで、貯湯タンク1上部からの高温水が風呂出湯管11を介して供給され、一方第2給水バイパス管12からは給水が供給され、そしてこの高温水と給水とは風呂混合弁10で、制御手段30により出湯温度と給水温度と風呂設定温度とから、風呂出湯管11の湯側開度と第2給水バイパス管12の水側開度をフィードフォワード制御で調整され、高温水及び給水共に十分な流量で、湯張り回路13及び風呂循環回路15を介して浴槽16に、設定温度で設定量の湯張りが行われるものである。
【0018】
次に浴槽16に残水なしの状態での凍結防止運転を
図4のフローチャートに従って説明すれば、ステップS1で外気温センサ31により検知される外気温が0℃以下かを判断して、YESでステップS2に進んで凍結防止運転が開始され、ステップS3に進んで風呂三方弁28をバイパス管29側開、風呂熱交換器23側閉とし、ステップS4で風呂循環ポンプ26を最低回転数で、静音、省電力を得ながら駆動させることで、
図2に示すようにバイパス管29から浴槽16までの風呂循環回路15内の残水を、浴槽16を介して排水するものである。
【0019】
そしてステップS5でこの駆動が10分経過したかを判断し、YESでステップS6に進み風呂循環ポンプ26の駆動を停止した後、ステップS7に進んで風呂循環ポンプ26の駆動停止直前に風呂フローセンサ25が残水検知していたかどうかをみて、残水なしのNOでステップS8に進んで風呂三方弁28を風呂熱交換器23側開、バイパス管29側閉とし、この状態で10分間経過したかをステップS9で判断することで、
図3に示すように風呂熱交換器23内の残水が風呂三方弁28及び浴槽16を介して排水されるものである。
【0020】
更にステップS7で残水ありでは、YESでステップS10に進んで再び風呂三方弁28をバイパス管29側開、風呂熱交換器23側閉とし、ステップS11に進んでこの状態が10分経過したかを判断し、即ち浴槽16の残湯ありの通常時では風呂熱交換器23の残水を抜くことなく元に戻り、これを順次繰り返すものである。
【0021】
このように浴槽16に残湯なしの場合には、凍結防止運転することにより風呂循環回路15及び風呂熱交換器23内の残水を排水して、貯湯タンク1が沸き上げられなかった時でも、凍結することを確実に防止することが出来るものであり、特に通常の凍結防止運転では残水が排水されず残る風呂熱交換器23内の残水を、風呂三方弁28の切替のみで排水する点が大きな特徴である。
【符号の説明】
【0022】
1 貯湯タンク
2 加熱手段
15 風呂循環回路
16 浴槽
23 風呂熱交換器
26 風呂循環ポンプ
28 風呂三方弁
29 バイパス管
30 制御手段