特許第5706307号(P5706307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5706307
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】貯湯式風呂装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20150402BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   F24H1/00 602G
   F24H1/00 602U
   F24H1/18 503Q
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-279793(P2011-279793)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-130333(P2013-130333A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大桃 正己
(72)【発明者】
【氏名】村山 成樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠
(72)【発明者】
【氏名】長澤 義彦
(72)【発明者】
【氏名】石橋 泰弘
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−069990(JP,A)
【文献】 特開2009−030903(JP,A)
【文献】 特開2003−050048(JP,A)
【文献】 特開2003−65600(JP,A)
【文献】 特開2004−257575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内に備えられ湯水と熱交換する風呂熱交換器と、前記風呂熱交換器と浴槽とを連通する風呂循環回路と、前記風呂循環回路に備えられ浴水を風呂熱交換器に循環させて追い焚きを行う風呂循環ポンプと、前記風呂循環ポンプと風呂熱交換器との間の風呂循環回路で、風呂熱交換器をバイパスするバイパス管と、前記風呂循環回路でバイパス管を循環させるか風呂熱交換器を循環させるかを切替る風呂三方弁と、外気温度を検知する外気温センサと、該外気温センサが凍結危険温度を検知すると凍結防止運転を行わせる制御手段とを備えたものに於いて、前記風呂循環ポンプの入口側或いは出口側のどちらかと風呂三方弁を接続し、前記制御手段は凍結防止運転時には、前記風呂循環ポンプを所定時間ONと所定時間OFFの間欠運転を行わせると共に、風呂循環ポンプの所定時間ON時に所定時間該風呂循環ポンプをバイパス管と連通させるように風呂三方弁を開成する事を特徴とする貯湯式風呂装置。
【請求項2】
前記風呂循環ポンプの所定時間ONの所定時間を外気温度に応じて可変する事を特徴とする請求項1記載の貯湯式風呂装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風呂循環回路及び風呂循環ポンプ自体の凍結を防止する貯湯式風呂装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置に於いて、凍結危険温度では風呂循環ポンプを最低駆動させて風呂循環回路内の浴水を循環させることで、凍結防止を行うものであるが、貯湯式の為、循環水が貯湯タンク内の風呂熱交換器まで循環するので、貯湯タンクの貯湯水温度が徐々に低下してしまうと言う不具合を有するものであり、これを防止する為に、風呂循環回路に風呂熱交換器をバイパスするバイパス管と、流路切替する風呂三方弁とを備えて、凍結防止運転時は流路を切替て循環水が、風呂熱交換器ではなくバイパス管を循環するようにすることで、貯湯水の温度を低下させることなく、凍結防止が出来るものであった。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、風呂循環回路に残水がない状態で風呂循環ポンプ内の残水の凍結を防止する為に、凍結防止運転した場合、風呂循環ポンプ自体が温度上昇して破損する危険を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、請求項1では特にその構成を、湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内に備えられ湯水と熱交換する風呂熱交換器と、前記風呂熱交換器と浴槽とを連通する風呂循環回路と、前記風呂循環回路に備えられ浴水を風呂熱交換器に循環させて追い焚きを行う風呂循環ポンプと、前記風呂循環ポンプと風呂熱交換器との間の風呂循環回路で、風呂熱交換器をバイパスするバイパス管と、前記風呂循環回路でバイパス管を循環させるか風呂熱交換器を循環させるかを切替る風呂三方弁と、外気温度を検知する外気温センサと、該外気温センサが凍結危険温度を検知すると凍結防止運転を行わせる制御手段とを備えたものに於いて、前記風呂循環ポンプの入口側或いは出口側のどちらかと風呂三方弁を接続し、前記制御手段は凍結防止運転時には、前記風呂循環ポンプを所定時間ONと所定時間OFFの間欠運転を行わせると共に、風呂循環ポンプの所定時間ON時に所定時間該風呂循環ポンプをバイパス管と連通させるように風呂三方弁を開成するものである。
【0006】
又請求項2では、前記風呂循環ポンプの所定時間ONの所定時間を外気温度に応じて可変するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、凍結防止時に風呂循環ポンプは間欠運転するが、この間欠運転の所定時間ON時に所定時間該風呂循環ポンプをバイパス管と連通させるように風呂三方弁を開成させるので、この連通時には風呂循環ポンプ内で温度上昇した残水の熱気がバイパス管側に抜けることで、温度上昇が抑制されるものであり、風呂循環ポンプ内の温度調節が可能となって、該風呂循環ポンプの過熱による破損を確実に防止することが出来、又浴槽への注水があり、浴槽よりの風呂循環回路にこの注水が入り込んだ場合には、この注水を循環させての凍結防止を行うことも出来るものである。
【0008】
又請求項2によれば、外気温度に応じて風呂循環ポンプの駆動時間を可変することで、風呂循環ポンプ内の残水の温度をきめ細かく調節することが出来、より確実に風呂循環ポンプの凍結及び破損を防止することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態の概略構成図。
図2】同風呂三方弁のバイパス管側開での凍結防止運転状態を示す説明図。
図3】同風呂三方弁閉での凍結防止運転状態を示す説明図。
図4】同浴槽に残水なし状態での凍結防止運転のフローチャート。
図5】同凍結防止運転時の風呂循環ポンプと風呂三方弁のシーケンス。
図6】他の実施形態の風呂循環ポンプと風呂三方弁のシーケンス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態を図示した貯湯式風呂装置に基づいて説明する。
1は円筒状の貯湯タンクで、二酸化炭素冷媒を用いたヒーポンユニットから成る加熱手段2を利用し、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯するものであり、下部には給水を補給する給水管3が接続し、上部には貯湯した高温水を給湯栓(図示せず)等に出湯する出湯管4が接続されている。
【0011】
5は一方に出湯管4を、他方には給水管3から分岐した第1給水バイパス管6を、中央には給湯管7が接続したSAM方式(形状記憶合金内蔵方式)の電動三方弁から成る給湯混合弁で、出湯管4からの高温水と第1給水バイパス管6からの給水とを混合して、台所リモコン8で設定された給湯設定温度となるようにして供給するものであり、給湯管7に備えた給湯サーミスタ9による給湯温度と給水温度と給湯設定温度から、出湯管4の湯側開度と第1給水バイパス管6の水側開度をフィードフォワード制御で調整するものである。
【0012】
10は一方には出湯管4から分岐した風呂出湯管11を接続し、他方には第1給水バイパス管6から分岐した第2給水バイパス管12を、中央には湯張り回路13を接続した電動三方弁から成る風呂混合弁で、風呂出湯管11からの高温水と第2給水バイパス管12からの給水とを混合して、浴室リモコン14で設定された設定温度となるようにして湯張り等の風呂給湯するものであり、出湯温度と給水温度と風呂設定温度とから、風呂出湯管11の湯側開度と第2給水バイパス管12の水側開度を、フィードフォワード制御で調整して湯張り回路13に風呂設定温度の湯水を供給し、この湯張り回路13が連通した風呂循環回路15を介して浴槽16に設定温度で設定量の湯張りや足し湯を行うものである。
【0013】
17は湯張り回路13に備えられ湯張りされる流量をカウントする湯張りフローセンサで、下流に備えられた湯張り電磁弁18の開成による流水開始でカウントを開始するものであり、又この湯張り回路13の更に下流には、湯張り方向の流通は許容するが逆の流通を阻止する2つの逆止弁19、20が設けられ、この2つの逆止弁19、20の間と、風呂混合弁10と湯張りフローセンサ17との間に連通し排水弁21を有した排水管22が備えられている。
【0014】
前記浴槽16と貯湯タンク1内上部に備えられた風呂熱交換器23とを結ぶ風呂循環回路15には、湯張り回路13が接続している近傍に浴槽水温度を検知する風呂サーミスタ24と、残水の有無を検知する風呂フローセンサ25が備えられている。26は浴水を浴槽16と風呂熱交換器23間を循環させて加熱する自吸式の風呂循環ポンプ、27は浴槽16内の水位を検知する水位センサ、28は風呂熱交換器23をバイパスするバイパス管29に備えられた風呂三方弁で、浴水を風呂熱交換器23側を通すか、通さずにバイパス管29側を通すかを切替るようにしたものであり、浴槽16からの浴水が風呂循環ポンプ26の駆動で吸引されて、風呂熱交換器23の上側から該風呂熱交換器23内に流入し、風呂熱交換器23の下側から流出して風呂三方弁28及び風呂循環ポンプ26を介して浴槽16に戻る循環を行い、特に風呂熱交換器23内を上から下へと流通することにより、温度降下した貯湯水と接することが避けられ、常に高温の貯湯水とのみ熱交換出来、極めて効率が良くなるものであり、風呂循環ポンプ26の入口側には風呂三方弁28が接続し、出口側には浴槽16が接続しているものである。
【0015】
30は台所リモコン8や浴室リモコン14と接続し給湯や風呂の湯張り、足し湯等の制御を行うカウント機能を有したマイコンから成る制御手段で、入力側には各種センサ類が接続されると共に、外気温を検知する外気温センサ31が接続され、外気温が0℃以下に低下すると凍結防止運転を開始し、風呂循環ポンプ26を最低回転数で駆動させ、風呂フローセンサ25が残水なしを検知することで、風呂循環ポンプ26の駆動を所定時間ここでは10分間ONし10分OFFの20分周期を外気温が2℃になるまで繰り返すものであり、そしてこの10分間ON時に所定時間ここでは5分間風呂三方弁28のバイパス管29側開として、風呂循環ポンプ26の入口側を開放して熱気を放出することで、該風呂循環ポンプ26内の残水の温度上昇を抑制するものである。
【0016】
32は給水管3に備えられ給水温度を検知する給水サーミスタ、33は給水圧を減圧するための減圧弁である。
34は貯湯タンク1と加熱手段2とを湯水が循環可能に接続する往き管35と戻り管36と加熱循環ポンプ37とで構成された加熱循環回路である。
38、39、40、41、42は貯湯タンク1外周面の上下に備えられた貯湯温度センサであり、43は出湯管4に備えられた圧力逃がし弁である。
【0017】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今契約電力の深夜時間帯では、加熱循環回路34によって貯湯タンク1下部の低温水を加熱手段2で沸き上げて、高温水を貯湯タンク1上部に戻し、順次この循環を繰り返して午後23時から翌朝7時迄に貯湯タンク1内全体に高温水を貯湯するようにするものである。
【0018】
そして、この貯湯タンク1内の高温水を、給湯混合弁5で出湯管4からの高温水と第1給水バイパス管6からの給水とを混合して、給湯設定温度の温水として給湯に利用するものである。
【0019】
次に湯張り等の風呂給湯を行う場合、台所リモコン8や浴室リモコン14で湯張りを指示することで、制御手段30が湯張り電磁弁18を開成させると共に、風呂混合弁10を駆動させて閉成状態の風呂出湯管11を徐々に開成することで、貯湯タンク1上部からの高温水が風呂出湯管11を介して供給され、一方第2給水バイパス管12からは給水が供給され、そしてこの高温水と給水とは風呂混合弁10で、制御手段30により出湯温度と給水温度と風呂設定温度とから、風呂出湯管11の湯側開度と第2給水バイパス管12の水側開度をフィードフォワード制御で調整され、風呂設定温度の混合水となって、湯張り回路13及び風呂循環回路15を介して浴槽16に、設定温度で設定量の湯張りが行われるものである。
【0020】
次に浴槽16に残水なしの状態での凍結防止運転を図4のフローチャートに従って説明すれば、ステップS1で外気温センサ31により検知される外気温が0℃以下かを判断して、YESでステップS2に進んで凍結防止運転が開始され、ステップS3に進んで風呂循環ポンプ26を最低回転数で、静音、省電力を得ながら駆動させると共にこの駆動時間のカウントを開始し、そしてステップS4で風呂フローセンサ25が残水なしを検知しているかを判断し、NOの残水ありではステップS5で別の凍結防止運転へ移行するものであり、YESでは風呂循環ポンプ26の駆動を継続しながらステップS6に進み風呂三方弁28のバイパス管29側開成すると共にこの開成時間のカウントを開始し、ステップS7でこの風呂三方弁28の開成が5分経過したかを判断し、YESでステップS8に進んで風呂三方弁28を一旦閉止させるものである。
【0021】
更につづいてステップS9では風呂循環ポンプ26のON状態が10分間継続したかを判断し、YESでステップS10に進み風呂循環ポンプ26をOFFすると共に、このOFFのカウントを開始するものであり、そしてステップS11で風呂循環ポンプ26のOFF時間が10分経過したかを判断し、YESでステップS12に進んで外気温センサ31により検知される外気温が2℃以上かを判断して、YESではステップS13に進みこの凍結防止運転を終了するものであり、NOではステップS3に戻り再び風呂循環ポンプ26をONして、20分周期で順次これを繰り返して凍結防止を行うものである。
【0022】
このように浴槽16に残水なしの状態で、風呂循環ポンプ26内に残る残水を、該風呂循環ポンプ26自体の駆動と停止及び駆動時の風呂三方弁28の所定時間の開成とによって、過熱状態となることなく、凍結の危険がなく最適な温度に保持出来、確実な凍結防止が出来るものである。
【0023】
次に他の実施形態を図5の説明図を基に説明すれば、これは外気温に応じて風呂循環ポンプ26のON時間を可変するもので、外気温が−3℃以上0℃未満では、風呂循環ポンプ26のON時間5分、OFF時間15分とし、風呂三方弁28は風呂循環ポンプ26と同期して5分間開成、15分間閉成とするもので、外気温がそれ程低くない時には、風呂循環ポンプ26の駆動と風呂三方弁28の開成とは同時で、熱の発生も少なく放熱も良好に蓄熱がないようにしているものである。
【0024】
又外気温が−5℃以上−3℃未満では、風呂循環ポンプ26のON時間7分、OFF時間13分とし、風呂三方弁28は風呂循環ポンプ26と同期して5分間開成、15分間閉成とするもので、風呂三方弁28の閉成後、風呂循環ポンプ26が2分間駆動を継続するので、この間に残水に駆動時の熱がある程度蓄熱されて、低温度でも凍結が防止されるものである。
【0025】
更に外気温が−5℃未満では、風呂循環ポンプ26のON時間10分、OFF時間10分とし、風呂三方弁28は風呂循環ポンプ26と同期して5分間開成、15分間閉成とするもので、風呂三方弁28の閉成後、風呂循環ポンプ26が5分間駆動を継続するので、この間に残水に駆動時の熱が多量に蓄熱されて、極低温度でも凍結が確実に防止されるものである。
【0026】
このように外気温に応じて風呂循環ポンプ26のON時間を可変することにより、よりきめ細かな残水の温度調節が可能で、確実に風呂循環ポンプの凍結及び破損を防止することが出来るものである。
【符号の説明】
【0027】
1 貯湯タンク
2 加熱手段
15 風呂循環回路
16 浴槽
23 風呂熱交換器
26 風呂循環ポンプ
28 風呂三方弁
29 バイパス管
30 制御手段
31 外気温センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6