(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5706341
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】組織標本を位置付けするためのミクロトーム薄片化生検支持体
(51)【国際特許分類】
G01N 1/36 20060101AFI20150402BHJP
G01N 1/06 20060101ALI20150402BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
G01N1/28 R
G01N1/06 H
G01N33/48 R
【請求項の数】23
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2011-548127(P2011-548127)
(86)(22)【出願日】2010年1月22日
(65)【公表番号】特表2012-515926(P2012-515926A)
(43)【公表日】2012年7月12日
(86)【国際出願番号】US2010021773
(87)【国際公開番号】WO2010085626
(87)【国際公開日】20100729
【審査請求日】2013年1月8日
(31)【優先権主張番号】61/238,913
(32)【優先日】2009年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/146,444
(32)【優先日】2009年1月22日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505077404
【氏名又は名称】バイオパス・オートメーション・エル・エル・シー
(73)【特許権者】
【識別番号】504462571
【氏名又は名称】サクラ ファインテック ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン・ピー・ウィリアムソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ピー・ウィットラッチ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・エー・サエス
【審査官】
土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/074769(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0138854(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0166834(US,A1)
【文献】
特表2007−508569(JP,A)
【文献】
特表2005−505776(JP,A)
【文献】
特開2006−105839(JP,A)
【文献】
特開2001−228063(JP,A)
【文献】
特表2003−527569(JP,A)
【文献】
英国特許第02189596(GB,B)
【文献】
特開平08−189883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00〜1/44,33/48〜33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理、包埋及びミクロトーム内での薄片化の間に、組織標本を位置付け、保持するための組織学的組織標本支持デバイスであって、
組織カセットと、
組織標本バイアス構造体と、
を備え、
前記組織カセットが、組織標本受容空間を画定するための穿孔された底壁及び少なくとも一つの穿孔された側壁を備え、
前記組織カセットが、ミクロトーム内で薄片化される材料から形成され、
前記組織カセットが、組織を固定し、処理し及び染色するために使用される溶媒及び化学物質による劣化に耐性を有し、
前記組織カセットが、一つの組織標本を受容するための細長い第一及び第二チャンネルを備え、
前記第一及び第二チャンネルが、分離構造体によって互いに分離されており、
前記分離構造体が、前記底壁と結合され上方へ延び、前記底壁に面した表面を含む固定素子を含み、ミクロトーム薄片化プロセスの間に包埋材料内に前記分離構造体を固定し、
前記組織標本バイアス構造体が、前記第一及び第二チャンネル内に延びるように構成され、処理及び包埋の間に前記底壁に対して前記組織標本を保持し、
前記組織標本バイアス構造体が、さらに、ミクロトーム内で薄片化されることを特徴とする組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項2】
前記組織標本バイアス構造体が、前記組織標本をはめ込み、前記組織標本を基準表面に対して平らに維持するように構成された弾性多孔質材料をさらに備え、
前記弾性多孔質材料が、組織を固定、処理及び染色するために使用される溶媒及び化学物質の浸入、及び前記組織標本が前記弾性多孔質材料によって保持される間に前記組織を包埋するために使用される包埋材料の浸入を可能にするように多孔性であることを特徴とする請求項1に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項3】
前記弾性多孔質材料が、オープンセル型発泡材料をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項4】
前記オープンセル型発泡材料が、ポリエーテルまたはポリウレタンの少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項5】
前記オープンセル型発泡材料が、全体的に網状の発泡体であることを特徴とする請求項3に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項6】
所望の位置付けに前記組織標本を保持するように、前記第一及び第二チャンネルの両側上にフィンガーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項7】
前記組織カセットが、ポリマーから形成されたことを特徴とする請求項6に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項8】
前記ポリマーが、フッ素化ポリマーであることを特徴とする請求項7に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項9】
前記ポリマーが、フッ素重合体であることを特徴とする請求項7に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項10】
前記組織カセットが、蓋を備え、
前記組織標本バイアス構造体が、前記蓋と結合され、前記第一及び第二チャンネル内に前記蓋から下向きに延びる複数の相隔たるタブをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項11】
前記分離構造体が、穿孔されていることを特徴とする請求項1に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項12】
前記組織標本が、前記第一チャンネルから、前記第二チャンネルに延びることを可能にするように、前記分離構造体が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項13】
フレームと、
組織カセットと、
組織標本バイアス構造体と、
を備えた組織学的組織標本支持デバイスであって、
前記組織カセットが、解放可能に前記フレーム上に保持され、
前記組織カセットが、組織標本受容空間を画定するための穿孔された底壁及び少なくとも一つの穿孔された側壁を備え、
前記組織カセットが、ミクロトーム内で薄片化される材料から形成され、
前記組織カセットが、組織を固定し、処理し及び染色するために使用される溶媒及び化学物質による劣化に耐性を有し、
前記組織カセットが、一つの組織標本を受容するための細長い第一及び第二チャンネルを備え、
前記第一及び第二チャンネルが、分離構造体によって互いに分離されており、
前記分離構造体が、前記底壁と結合され上方へ延び、前記底壁に面した表面を含む固定素子を含み、ミクロトーム薄片化プロセスの間に包埋材料内に前記分離構造体を固定し、
前記組織標本バイアス構造体が、前記第一及び第二チャンネル内に延びるように構成され、処理及び包埋の間に適切な位置に組織標本を保持し、
前記組織標本バイアス構造体が、さらに、ミクロトーム内で薄片化されることを特徴とする組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項14】
前記組織カセットが、前記フレームと解放可能に結合されるように構成され、
前記フレームが、さらに、ミクロトームチャック内で解放可能に固定されるように構成されることを特徴とする請求項13に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項15】
前記フレームが、内部を有し、
前記組織カセットが、少なくとも第一位置と第二位置との間の前記内部内で固定及び移動するような大きさであり、
前記組織標本の処理の間に前記第一位置が使用され、
ミクロトーム内で、前記組織標本が薄片化されることを可能にする位置で、前記フレームの外側に前記組織を露出させるために、前記第二位置が使用されることを特徴とする請求項14に記載の組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項16】
処理、包埋及びミクロトーム内での薄片化の間に、組織標本を位置付け、保持するための組織学的組織標本支持デバイスであって、
組織カセットと、
組織標本バイアス構造体と、
を備え、
前記組織カセットが、組織標本受容空間を画定するための穿孔された底壁及び少なくとも一つの穿孔された側壁を備え、
前記組織カセットが、ミクロトーム内で薄片化される材料から形成され、
前記組織カセットが、組織を固定し、処理し及び染色するために使用される溶媒及び化学物質による劣化に耐性を有し、
前記組織カセットが、少なくとも一つの組織標本を受容するための細長い第一及び第二チャンネルを備え、
前記第一及び第二チャンネルが、分離構造体によって互いに分離されており、
前記分離構造体が、前記底壁と結合され上方へ延び、
前記組織標本が、前記第一チャンネルから、前記第二チャンネルに延びることを可能にするように、前記分離構造体が構成され、
前記組織標本バイアス構造体が、前記第一及び第二チャンネル内に延びるように構成され、処理及び包埋の間に前記底壁に対して前記組織標本を保持し、
前記組織標本バイアス構造体が、さらに、ミクロトーム内で薄片化されることを特徴とする組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項17】
フレームと、
組織カセットと、
組織標本バイアス構造体と、
を備えた組織学的組織標本支持デバイスであって、
前記組織カセットが、解放可能に前記フレーム上に保持され、
前記組織カセットが、組織標本受容空間を画定するための穿孔された底壁及び少なくとも一つの穿孔された側壁を備え、
前記組織カセットが、ミクロトーム内で薄片化される材料から形成され、
前記組織カセットが、組織を固定し、処理し及び染色するために使用される溶媒及び化学物質による劣化に耐性を有し、
前記組織カセットが、少なくとも一つの組織標本を受容するための細長い第一及び第二チャンネルを備え、
前記第一及び第二チャンネルが、分離構造体によって互いに分離されており、
前記分離構造体が、前記底壁と結合され上方へ延び、
前記組織標本が、前記第一チャンネルから、前記第二チャンネルに延びることを可能にするように、前記分離構造体が構成され、
前記組織標本バイアス構造体が、前記第一及び第二チャンネル内に延びるように構成され、処理及び包埋の間に適切な位置に組織標本を保持し、
前記組織標本バイアス構造体が、さらに、ミクロトーム内で薄片化されることを特徴とする組織学的組織標本支持デバイス。
【請求項18】
組織学的検査用の一つ以上の細長い生検組織標本を準備する方法であって、
穿孔されたミクロトーム薄片化支持体の細長い第一チャンネル内に、細長い組織標本を配置するステップと、
細長い第一チャンネルから、分離構造体によって細長い前記第一チャンネルから分離された細長い第二チャンネルに、前記細長い組織標本を延ばすステップと、
バイアス構造体を使用し、前記チャンネルの底表面に対して前記組織標本を保持するステップと、
前記ミクロトーム薄片化支持体及び前記組織標本を、前記組織標本内の流体を硬化性材料で置換するプロセスにさらすステップと、
前記ミクロトーム薄片化支持体及び前記組織標本を、包埋材料内に包埋するステップと、
前記包埋材料をブロックに硬化するステップと、
ミクロトームを用いて、前記ブロックを、前記包埋材料、前記ミクロトーム薄片化支持体及び前記組織標本の薄片にスライスするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記チャンネルの両側上に弾性フィンガーを使用して所望の位置付けに前記組織標本を保持するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ミクロトーム薄片化支持体が、弾性多孔質材料をさらに備え、
前記底表面に対して前記組織標本を保持するステップが、蓋と前記組織標本との間に前記弾性多孔質材料を配置し、前記弾性多孔質材料と前記底表面との間に前記組織標本を捕らえるステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記弾性多孔質材料が、固定ステップの間に変形し、前記組織標本を受容する3次元空間を形成することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組織標本内の流体を硬化性材料で置換するプロセスにさらすステップの前に、前記ミクロトーム薄片化支持体が、フレームに結合され、
前記ブロックをスライスするステップの前に、前記ミクロトーム内に前記フレームを固定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記ミクロトーム薄片化支持体、弾性多孔質材料及び組織標本を、包埋材料内に包埋するステップの前に、前記ミクロトーム薄片化支持体が、前記フレーム内の第一位置から、前記ミクロトーム薄片化支持体、弾性多孔質材料及び組織標本が、前記ミクロトーム内で同時に薄片化されるように露出される第二位置に移動されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、病理解析のための組織標本を処理し及び包埋するための支持体に係り、さらに具体的には、1つ以上の組織標本を受容し、包埋し、その後、1つの組織標本または複数の標本とともにミクロトーム処理(microtomed)されることが可能な薄片化支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な組織病及び条件を正確に診断するために、医療関係者は、1つ以上の組織の標本を患者の体から取り出さなければならない。体から組織を採取するこのプロセスが、生検として知られている。一旦1つの組織標本または複数の標本が取り出され、病理検査室に送られると、組織と関連する1つ以上の条件を診断するために、組織が、ヒストテクニシャン(histotechnician)及び、最終的には、病理学者によって実施される一連の処理を経ることになる。本発明は、概して、1つの組織標本または複数の標本をスライド内に準備するための、通常はヒストテクニシャンによって実施されるそれらの処理と関連し、このスライドが、病理学者によって顕微鏡下で分析されうる。
【0003】
単数形の用語“標本”が、この明細書を通して使用されるが、この用語は、同様に、複数形の“標本”も含むものであると理解されるべきである。一旦、組織標本が、患者の体から取り出されると、典型的には、これが、ホルマリンのような組織固定液を含む標本容器内に配置され、次に、容器が、病理検査室に移される。ヒストテクニシャンが、容器から組織を回収する間、組織が、病理検査室内で “グロスイン(grossing−in)”として知られているプロセスにさらされ、典型的には、組織を、組織処理に適した大きさに切断し、個々の標本を適した大きさの小さなプラスチック組織カセット内に配置し、追跡番号を各カセットに割り当てる。これらの追跡番号が、次に、検査室内で使用される追跡システムに記録される。剥離物のみでありうる最小の組織標本に対して、処理流体内の標本を失わないように、カセットが、側部及び底部上に細かなメッシュ開口を有する。極めて小さな組織標本を含む他の状況において、標本が、ティーバッグと似たバッグ内に配置され、該バッグは、最少の組織標本が漏れることを防ぐ。大きな組織標本が、いくらか大きな穴のある開口を有するカセット内に配置され、該開口は、それでもなお、カセットの内側の組織標本よりも小さい。
【0004】
次に、カセットが、ステンレス鋼の穴のあいたバスケット内に配置され、しばしば一晩中、組織処理機器にかけられる。組織内の間質液を除去するために、この機器が、真空、熱、及び化学薬品の組み合わせを使用する。一旦、流体が、組織標本から除去されると、処理機器が、組織標本を、溶融パラフィン(すなわち、ワックス状)のような硬化性材料の浴内に浸し、組織内の間質が、パラフィンで置換される。次に、ヒストテクニシャンが、機器からバスケットを取り出し、個々の組織カセットを取り出す。何年にもわたって行われてきた従来型の方法において、ヒストテクニシャンが、個々に、各カセットから組織標本を取り出す。ヒストテクニシャンは、組織のタイプに基づき、注意深く、組織標本を、ステンレス鋼ベースのモールド内に位置付けしなければならず、該モールドは、おおよそ組織カセットの大きさであり、部分的に、溶融パラフィンで充填される。組織標本が、典型的には、鉗子を使用して、モールドの底部に対して手動で平らに保持されなければならない。組織標本が、モールドの底部に対して平らに保持されない場合、これが、ミクロトームの後半で組織標本の適当な薄片を製造する能力に支障を来す。長く薄い組織標本が、特有の課題を示し、それらの全体の縦方向の表面にわたって平らに保持されなければならず、得られたスライドが、全体の標本を示す情報を含む。次に、溶融パラフィンが、熱電クーラー(TEC)でありうる冷凍プレート上で、急速に冷却され、パラフィンが部分的に硬化され、これによって、組織標本を、モールドの底部に対して適切な位置に保持する。次に、カセットが、ベースモールドの上端上に配置され、典型的にはまたパラフィンワックスである包埋材料が、ベースモールド内のカセットの開口された上端を通して注がれる。本工程におけるこの点において、カセットが、その機能を、組織を保持する部品としての機能から、ミクロトーム内に組み込み、硬化パラフィンから削ったものまたは薄片を形成し、ミクロトームを使用して包埋組織を形成するための固定タイプのデバイスの機能に変化させる。全ての溶融パラフィンが硬化されるまでベースモールドが冷却され、ヒストテクニシャンが、包埋パラフィンのブロックからステンレス鋼ベースモールドを取り出す。この結果、反対側上においてプラスチックの組織カセットを用いて、組織標本が、固形パラフィンの長方形のブロック内に包埋される。上記のように、次に、ミクロトームのチャック内で、カセットが、ホルダーまたは固定具として使用されてよい。組織処理機器と同様に、平均的なヒストテクニシャンが一時間あたり約40から60のカセットを包埋しうる間、包埋プロセスがバッチ方式で実現される。
【0005】
包埋組織標本を含む硬化パラフィンのブロックが、次に、顕微鏡スライド上への配置用の極端に薄い部分にスライスされる準備がなされる。ヒストテクニシャンが、包埋プラスチックカセットを有するブロックの側部を受容するような大きさとされたミクロトーム上のチャック内に包埋組織ブロックを備え付ける。次に、ヒストテクニシャンが、プラスチックカセット表面と反対側に包埋された組織標本を有するパラフィンブロックのスライスを開始することが可能である。これが、硬化パラフィン内に包埋された組織の個々の薄片のリボンを生じる。適切に行われた場合、ミクロトームの動作により、個々の薄片が、くっつき、その後、これらの極めて薄い薄片のリボンが、水浴内に浮かべられ、ガラススライドが、注意深く、薄片の下部に配置される。その中に包埋された薄い薄片化された組織標本を含む薄片が、次に、スライドの上端に付着される。
【0006】
ヒストテクニシャンが、組織標本から十分なスライドを得た場合、スライドが、自動染色機器内に配置される。染色機器が、一連の湿潤性のステップを経て、スライドの異なる組織及び細胞が、異なる色に染色される。これが、病理学者が異なる構造を識別することを助け、組織内の任意の異常なものを見つけることを容易にする。染色処理が完了した後で、スライドは、カバーガラスがかけられ(cover slipped)、病理学者のために準備され、分析のために顕微鏡の下に配置される。
【0007】
上述の手順の概要に従い、従来型の組織標本の操作及び処理が、ヒストテクニシャンによって実施される様々な手動のステップを含む極めて大きな労働力を要するものであることが理解されるだろう。従って、手根管症候群のような反復運動損傷が、流行する。これが、組織標本包埋プロセスに特に当てはまる。これらの多数の手動操作及び繰り返される組織の操作が、人為的エラーの可能性を増大させ、さらには、最終的には病理学者による分析のためのスライドに付着される組織標本が、正確に診断するための最適な条件及び位置にあることを確保するために、高度に訓練を受けた熟練したヒストテクニシャンを必要とする。
【0008】
特許文献1〜5は、グロスインの間において組織標本を保持し、包埋し、及びミクロトームまたはスライスする方法の新たな手法を含むこの分野の技術に対する様々な改善点を開示している。特許文献1及び特許文献3〜5の開示が、これによって、参照により本願明細書に全体的に組み込まれる。例えば、特許文献1は、組織捕集及び支持デバイスに関連し、該デバイスが、カセットであってよく、ミクロトームを使用してうまく薄片化されてよい。このような薄片化カセットが使用される場合、組織標本が、カセット内に固定化され、組織液をパラフィンで置換するプロセスにさらされる。次に、後に顕微鏡スライド上に備え付けられるように、組織標本及びカセットが、同時にスライスされる。組織処理機器内でこれが処理される時から、これがミクロトームを用いて切断またはスライスされるまで、組織標本が、カセットから決して取り除かれないため、かなりの量の操作時間が、節約される。さらに、組織操作ステップの分離が除外されるため、人為的エラーまたは組織損失が生じる可能性が、かなり軽減される。特許文献1及び上記の組み込まれた公開された出願も、概して、新規な組織支持体(例えば、カセット)とともに、全体のプロセスを自動化するために役立ち、全体の手続きの間の操作ステップをさらにいっそう減らし、手続をさらに信頼性のあるものにすることが可能であるさらなる改善点を開示している。
【0009】
上記のような組織病理学のための薄片化カセットが、多くの異なるタイプの組織に適応する必要がある。処理された組織の部分から作られた結果として生じる顕微鏡スライドからの最適な診断情報の可用性を保障するように、処理用の組織を位置付けし、包埋をパラフィンで処理するかどうかは組織病理学の専門家次第である。いくつかの場合において、組織標本が、薄片化のためのいずれの細かなまたは特異な位置付けを必要としない。他の組織タイプが、包埋プロセスの間、極めて特異な位置付けを必要とする。
【0010】
組織の位置付け及び包埋技術に対する標準的技法が、当業界において周知であり、理解されている。薄片化カセットの使用が、これらの標準的技法のいくつかを不可欠なものに変え、プロセスを確かなものに支援するためにさらなる道具及びデバイスの必要性を生じさせる。薄片化カセットに対して先に開示されたようなこのプロセスにおいて、カセットの蓋を閉じ、それを、プロセッサーを通して送る前に、パラフィンブロック内の組織の最終的な位置付け及び整列が決定される。パラフィン包埋の前に、再度位置付けする機会はない。これは、自動化プロセスに対する最も重要な利点の一つであり、組織が、一度だけ操作され、さらなる下流の人間の介入なく、これがカセット内に配置される。カセット内の初期の組織の位置付け及び配置が、正確であり、プロセスの間に変更されにくいことを、これが必要とする。多くの標本が、組織の位置付けの正確性に対して適度な注意のみを必要とする一方、皮膚科学の治療の間に形成されるそれらのような数少ない生検に対しては、反対のことが当てはまる。病理検査室は、多忙な環境であり、組織標本のスループットが、取扱件数に遅れずについて行くように維持されなければならない。組織病理検査室の自動化が、定期的に実施されている。自動化が採用される一方、自動化ステップまたはデバイスの導入によって、スライドの質が落ちないことを保証するために、この技術の発明者は、改善及び革新を絶えず行わなければならない。導入された任意のステップが、費用効率が良く及び時間効率の良いものでなければならない。従って、プロセル内のステップ及び時間を減らす必要性が必須であり、一方、組織標本の準備及び診断スライドの質が、極めて高いままでなければならない。
【0011】
広く受け入れられるような組織病理検査室における自動化のために、全てのタイプの組織が、セクション内に正確に包埋されることが出来ることが必須である。適切に位置付けされ包埋される最も困難なタイプの組織の一つが、皮膚標本の組織である。全世界で、皮膚がんの増加とともに、皮膚損傷除去により形成された生検標本に実施されなければならない対応する診断法の数も増加している。一旦、除去において皮膚損傷が確認されると、多くの異なるタイプの外科的介入に着手することが可能である。最も単純で早い除去の一つが、薄片生検である。薄片生検を実施するために、損傷部が、第一に、外科医によって親指と人さし指との間で、挟まれる。次に、外科医が、損傷部を取り出すために、皮膚に沿って浅く薄片切断する。これが、通常、直径6mm未満である損傷部上で行われ、多くの場合、皮膚の上端層のみを取り出す。多くの医者は、全ての生検を、病理検査室に送り、取り出された組織内にがんの細胞が存在しないかを確認する。薄片生検が、薄くかつ小さいため、これらが、特に、組織切片をパラフィン内に適切に位置付けることは困難である。手動で包埋された場合、パラフィンが冷却されるまで、適切な位置付けで、金属パラフィンモールドの底部に対して薄い組織標本を保持するために、小さな鉗子が使用されなければならない。その後、組織標本を除去せず、及びその位置付けを変えることなく、鉗子を取り出すことは困難である。この方法から生じた全ての組織標本が、同じブロック中に適切に包埋されるように、この方法が、繰り返されなければならない。パラフィンが、第一標本を保持するために十分なだけ硬化された場合、これが、硬化されすぎて、第二標本を受容することが出来ないものとなりうる。これが、パラフィンが、熱過ぎるかまたは冷た過ぎるかのいずれかである間における争いを引き起こし、組織病理学専門家は、ここで不透明で急速に硬化するパラフィンを必死で見ようとし、第二標本が適切に位置付けされたことを確認することを試みる。この方法が、繊細であり、退屈であり、しばしば、最適に満たない結果を生じる。
【0012】
薄片生検法が、良性病変に対して、効果的であり、迅速な損傷除去となりうる一方、がんの細胞の存在を疑う場合には適切ではない。これらの場合、全体の皮膚を通して、脂肪層まで損傷部を取り出すために、生検パンチまたは手術用メスを使用するさらに侵襲的方法が必要とされる。適切な診断に用いるスライドを形成するために、これが、包埋プロセスの間、再度適切に位置付けられなければならない厚い組織標本を生成する。診断検査のために適切に位置付けされる皮膚生検に対し、プロセス及び包埋方法の全体は、典型的には、以下のとおりである。組織標本が、生検輸送及び固定容器から取り出される。通常、生検容器内のホルマリン溶液により、生検標本が丸まり、ゆがむ。組織病理学専門家が、第一に、組織を、標本容器から取り出し、切断ボード上で、それを優しく平らにしようと試み、患者にみられるような損傷部が検査されることが可能である。次に、組織標本が、損傷部を通して切断されるべきである。次に、2つの露出された新たな切り口が、最終的なミクロトーム薄片表面に沿って位置付けられる必要がある。これが、病理学者に、任意の病気を段階分けするための、損傷部の正しい診断断面を与える。皮膚病を診断する場合、その侵襲性の指標が、皮膚の表面上の直径であるため、病気の侵入の深さが、特に重要であることを理解することが重要である。そのため、がん細胞が、どれだけ皮膚層内に侵入したかを評価することを可能にする各損傷部の適切な断面図を有することがとても重要である。従って、有用なものとするためには、自動化された包埋に対し、組織の位置付けプロセスを可能にするまたはさらによくすることを目的としている任意のデバイスが、これらの極めて特異な位置付けの要求を守らなければならない。
【0013】
本発明者によって設計された具体的な従来技術のデバイスに関し、新規な改善が、特許文献2の開示からなされており、この特許文献が、組織操作及び位置付け、組織処理、パラフィン包埋、ミクロトーム薄片化、スライド準備及び最終的には診断実用性の場合において、さらに優れた結果を与える。
【0014】
ここで留意すべきは、本開示における実施形態が、第一に、薄片化組織包埋カセット及び自動化システムと共に使用するための組織位置付け及び保持整列デバイスを対象とすることであり、位置付けデバイス自体が、自動化包埋機器またはプロセスを使用することなく、パラフィンブロック内に手動で包埋され、組織に沿って薄片化されることが可能である。従って、薄片化カセットのみと共に使用するための位置付けデバイスに、制限がないと解釈されるべきでる。
【0015】
皮膚薄片生検または針生検から得られたそれらのような小さく薄い標本が、極めて薄く、単一のペンチポイントによって適切な位置で支えられるように引き延ばされる。組織が、その長軸にそって支持される必要があり、それが丸まり、薄片化プレートから離れることを防ぐ。従来技術において、標本全てを、同じ薄片化プレート上に位置付け、維持することは極めて困難であった。
【0016】
特許文献2における、
図78a−80に開示されているそれらのようなデバイスに直面した試みの1つが、カセット内へのそれの配置の前に、組織をつかむための方法である。特許文献2の開示が、端部上における組織の保持及びその上端上への位置付けデバイスの配置を教示している。これには、組織がそれ自体の形状を維持するための固有強度を有さない状況において問題があることが分かった。これは、組織標本が極端に小さく、人の器用さが、それらの大きさでの作業が課題のある場合にも問題である。克服するための他の重要なハードルが、診断を妨げる組織内での人為的な圧壊(crush artifact)の可能性、及び高品質のリボン薄片を妨げる包埋材料内での気泡の可能性を含む。従来、これらの懸念が、処理及び包埋を通した、正確な位置付け及び組織試料の当初の提供及び位置付けの維持の目標と競い合ってきた。明らかに、さらにユーザーフレンドリーな解決策が必要とされる。
【0017】
この分野で達成される様々な利点にかかわらず、増大した生産能力、及び包埋された組織標本のより一貫性のある品質、及び診断されやすい包埋された組織の得られた薄片またはリボンに関連するさらなる改善に対する必要性が高まっている。コアリングまたは針生検装置によって製造された極めて小さな細長い組織標本等の小さな組織標本サイズを操作する場合に、これは、特に重要である。さらに、皮膚損傷生検のようないくつかの組織標本が、組織処理及び包埋ステップを通して特定の位置付けを維持しなければならない。本明細書において開示される改善が、任意の組織標本の大きさに適用可能であるが、診断上の正確な一片が、顕微鏡スライドの形成のために得られることを可能にするために、それらの大きさにかかわらず、適切な位置付けまたは極端な平坦性のいずれかを維持しなければならない特定の生検標本がある。コア生検組織標本が、組織支持構造におけるその全体の長さに沿って全体のコア標本を平坦に保つ特定の試みを提示する。この試みが、実際のコア標本採取プロセスによって悪影響を受ける。現在、ほとんどの場合放射線科医である専門家は、針を用いたコア生検法を行っている。採取した後、コア標本が、針から、緩衝ホルムアルデヒドまたはホルマリンの溶液を含むボトル内に直接的に取り出される。この解決策が、組織を“固定する(fixes)”。この固定プロセスが、組織を保存し、劣化及び汚染を防ぐが、また、組織を硬化し、ホルマリンとの相互作用により、それが収縮するにつれて、組織の丸まりを引き起こす。組織が、パラフィン内に包埋される間、平坦に維持される必要があるため、この人為的な丸まりが、極めて好ましくない。包埋プロセスの間、コア標本をまっすぐにし、平坦に保つように設計された改善に対する大きな必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5817032号明細書
【特許文献2】米国特許第7156814号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0226770号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0147538号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0084425号公報
【特許文献6】米国特許出願第11/954112号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
通常の一実施形態において、組織学的組織標本支持デバイスが、提供され、通常、保持タブ、及び/または弾性多孔質材料のような他のタイプの組織標本バイアス構造体を組み込んだ組織バイアス蓋と結合された組織カセットを備える。具体的には、組織カセットが、極めて小さく、細長い組織標本を位置付け、処理を通してしっかりとこれらの標本を保持するように設計される。さらに具体的には、組織標本支持デバイスが、ミクロトーム内で上手く薄片化されることが可能であり、組織を固定し、処理し、染色するために使用される化学物質及び溶媒により生じる劣化に耐性がある材料から形成された組織カセットを備える。上記の組み込まれた開示において開示された任意の特徴が、本願明細書において開示された実施形態に含まれてよい。
【0020】
好ましい実施形態において、組織カセットの底部内側表面に向かって下がって組織標本をバイアスするために、調節可能な蓋が、使用される。蓋上のバイアスタブまたは蓋内にさもなければカセット内に組み込まれた他のバイアス構造体が、底表面に対してしっかりと組織を保持し、組織の全体の縦方向の範囲が、単一の薄片化面内に保持される。さらに、このタイプのカセット内に挿入された全ての標本が、同じ面上に保持される。典型的には、コア標本が、異なる物質的な四半部または疑わしい損傷部または臓器の標本領域から得られ、その初めの位置と各々関連することが可能であることが重要となることが可能である。カセットが、標本の分離を維持するように標本を保持するチャンネルまたは谷と、初めの情報との間に、物理的バリアまたは分離構造体を含む。処理及びパラフィン包埋ステップの間に、標本が、場所を変える、または移動しないことを確実にするために、この組織カセットの基部内の分離構造体が、別個のチャンネルまたは谷を形成する。この分離構造体が、穿孔され、処理流体及び包埋材料の浸入を可能にする。処理、包埋及びスライド準備を通して、分離構造体が、同じ組織配置を維持する。関連のある診断情報が生検から得られることが可能となるように、異常が、臓器の一領域内に見られうるが、他では見られず、この結果、各標本に対する初めの情報が、必要とされるため、これは重要である。好ましい実施形態が、4つの細長い組織標本を分離させたまま保つ4つの別個のチャンネルまたは谷を有する。一実施形態において、一つ以上の固定素子が、分離構造体と関連し、カセットの底壁に面した少なくとも一つの表面を含む。この表面が、包埋材料をはめ込み、薄片化の間における分離構造体のけん引またはチップアウトに耐える。他の実施形態において、弾性フィンガーが、チャンネルの両側に設けられる。正確に位置付けされ、しっかりと保持される方法で、様々な大きさの組織標本を受容するために、フィンガーが、互いに向き合い、互いから離れて外側へバイアスされてよい。フィンガーが、一方向にかかりのついたタイプの方法で形成されてよく、組織標本が、チャンネルから外に戻るように動くことを防ぐ。分離構造体が、一つ以上の位置で遮られてよく、さもなければ、さらに細長い標本が、包まれるまたは一つのチャンネルから次の隣接するチャンネルに引き延ばされることが可能となるように構成される。
【0021】
ミクロトーム薄片化組織カセット内において各標本に対する初めの情報を保持することが重要なだけでなく、顕微鏡分析及び診断のための標本を提供するために、最終的なパラフィンブロックが、ミクロトーム内で容易に薄片化されなければならない。適切に実施される場合、各薄片が、ミクロトームを用いて形成され、顕微鏡スライド上で各薄片を容易に捕らえるために、これが、次の薄片に結合し、水上で浮かばせることが可能なリボンを形成する。組織を支持するプラスチックの自由な本体が、ミクロトームの動作によって、ブロックから除去または“チップ”アウトされることが許容される場合、リボンが、適切に形成されない。この好ましい実施形態の内部の分離構造体が、リボンの破壊なしで、組織が、分離及び薄片化されることを可能にする改善点である。同じ課題が、パラフィン薄片のチップアウトが可能である極めて小さなコア標本に存在する。好ましい実施形態において4つのチャンネルの相互接続によって設けられる内部構造が、これらの小さなコア標本の取扱いの改善を提案する。パラフィンブロック内に組織標本をしっかりと保持するようになる固定構造を含むこの相互接続構造によって囲まれた場合に、これらは、リボンを破壊及びチップアウトしにくい。
【0022】
他の実施形態において、弾性多孔質材料が、単独で、またはカセットの蓋上のバイアスタブに加えて使用され、組織処理及び包埋を通して、組織の小片、及び異なる大きさ及び/または形状の組織が、チャンネル内に固定されることが出来ることを確実にする。コア生検標本が、極めて小さい直径を有する、または抽出プロセスの結果として分裂されるいくつかの場合において、カセットの蓋と組織標本との間に弾性多孔質材料を配置することによって、組織の移動に対するさらなる保護手段を提供する必要がある。この弾性多孔質材料が、カセットの底表面に対する組織標本のバイアスされた位置付けを維持しながら、処理流体及びパラフィンの標本への自由な流れを可能にする。弾性多孔質材料の多孔性により、組織が、弾性多孔質材料によって保持される間において、組織を固定、処理及び染色するために使用される化学物質及び溶媒の浸入、及び組織を包埋するために使用される包埋材料の浸入が可能になる。弾性多孔質材料が、圧縮性であり、処理及び包埋の間に適当な位置に組織をはめ込み及び保持するように構成され、その隙間または細孔を、その後硬化される液化した包埋材料(例えば、パラフィン)で充填した後に、ミクロトーム内において上手く薄片化することも可能である。弾性多孔質材料が、ポリエーテルまたはポリウレタンの少なくとも一つを含む発泡体のようなかいさいぼうオープンセル型の発泡材料をさらに含んでよい。さらに、オープンセル型の発泡体が、全体的に網状の発泡体であってよい。これが、処理及び包埋方法の間に使用される流体の全体的な浸入を確保するために役立つ。他の人工の及び天然材料が、使用されてよく、包埋材料及び組織の結果として得られるリボンに悪影響を及ぼすことなく、ポリエステル、アルギン酸塩または他の材料などが、包埋材料により浸入されてよく、ミクロトームを用いて上手く薄片化されてよい。
【0023】
組織カセットの内部領域が、カセットの製造のいずれかの間に、少なくとも部分的に、弾性多孔質材料を含むように構成されてよく、または、処理及び包埋方法の間に適当な位置に組織標本を保持するために、ユーザによってくぼみまたは内部領域内に、多孔質材料が挿入されてよい。一実施形態において、蓋を、閉じ込め部に結合させると、弾性多孔質材料が蓋に結合され、少なくとも部分的に、閉じ込め部内に挿入される。
【0024】
上記のように、皮膚損傷部のような組織標本を、直立状態で、または、他には、適切な位置付けにおいて保持するために、実施形態が、各チャンネルの長さに沿って両側上に薄片化フィンガーを備えたチャンネルを提供する。これらのフィンガーが、好ましくは、通常、各チャンネルの中心に向かって弾性的にバイアスされ、その間にしっかりと標本を保持する。一実施例において、皮膚損傷部が、切除され、次に、長手方向に、半分にスライスされる。切り口が、チャンネル内において薄片化面に平行に位置付けされ、損傷部の深さが、診断用の単一のスライド内で測定されることが可能である。弾性多孔質構造または蓋から突き出したタブのような上述のバイアス構造体が、チャンネル内に標本を押し下げる。チャンネルまたは谷を形成する構造が、処理及び包埋を通してずっと所望の位置付けに組織を保持するフィンガーを使用等して、両側上に組織用の支持体を提供する。
【0025】
組織分析の間に目をそらさせないように、カセットを形成する材料が、透明ではないにせよ、少なくとも半透明であってよい。例えば、ミクロトーム薄片化組織標本カセットが、フッ素化ポリマーまたはフッ素重合体(例えば、PFAまたはFEP)を含むポリマーのような、上記の組み込まれた特許及び特許出願において開示された任意の材料のような、任意の適切な薄片化材料から形成されてよい。
【0026】
アセンブリが、カセット及び分離フレームを備えて構成されてよい。このようなアセンブリにおいて、組織カセットが、フレーム上に解放可能に保持され、フレームが、さらに、ミクロトームチャック内の解放可能な固定のために構成される。フレームが、内部をさらに有することが可能であり、組織カセットが、少なくとも第一位置と第二位置との間の内部内で固定及び移動するような大きさにされてよい。組織標本の処理の間に第一位置が使用され、ミクロトーム内で、組織支持体、組織標本及びパラフィンのような材料の硬化ブロックが、薄片化されることを可能にする位置でフレームの外側に組織を露出させるために、第二位置が使用される。
【0027】
様々な方法が開示され、開示された実施形態及び特徴の説明に基づいて明らかになる。例えば、組織学的検査のための一つ以上の生検組織標本を準備する方法が、通常、:
近接して組織標本をミクロトーム薄片化支持体に配置するステップと;
組織支持体の内側底表面に向かって組織標本をバイアスするステップと;
組織標本を、弾性多孔質材料を含みうるミクロトーム薄片化バイアス構造体と接触させることによって、支持体上で組織標本を固定するステップと;
ミクロトーム薄片化支持体、標本バイアス構造体及び組織標本を、組織標本内の流体を硬化性材料で置換するプロセスにさらすステップと;
ミクロトーム薄片化支持体、バイアス構造体及び組織標本を、包埋材料内に包埋するステップと;
包埋材料を、ブロックに硬化するステップと;
ミクロトームを用いて、ブロックを、包埋材料、ミクロトーム薄片化支持体、バイアス構造体及び組織標本の薄片にスライスするステップと;
を含んでよい。
【0028】
硬化性材料及び包埋材料が、ワックス(例えば、パラフィン)のような同じ材料であってよい。支持体が、組織標本及びバイアス素子を備えた蓋を保持するように構成された、及びあるいは弾性多孔質材料を含む、底部をさらに備えてよい。バイアス構造体と底部との間に組織標本を捕らえるように、組織標本を固定するステップが、組織標本の上端上で蓋を閉じるステップをさらに含むことが可能である。底部が、少なくとも一つの側壁によって囲まれた内部空間を含むことが可能であり、配置するステップ及び固定するステップが、組織標本を、内部空間内に配置するステップ、及び弾性多孔質材料を少なくとも部分的に内部空間内に挿入し、組織標本と接触させるステップをさらに含むことが可能である。弾性多孔質材料が、固定するステップの間に変形されてよく、組織標本を受容する3次元空間を形成する。これが、組織標本を、カセットまたは支持体の底に対して平らである所望の形状に固定するために役立つことが可能である。組織に対する弾性多孔質材料の力が、組織を固定及び/または平らにするために十分であるべきであるが、標本内に人為的な結果を引き起こすほど十分ではないべきである。組織標本内の流体を硬化性材料で置換するプロセスにさらされる前に、ミクロトーム薄片化支持体またはカセットが、フレームに結合されてよい。この方法が、次に、ブロックをスライスする前に、ミクロトーム内にフレームを固定するステップをさらに含むことが可能である。包埋材料内に、ミクロトーム薄片化カセットまたは支持体、弾性多孔質材料及び組織標本を包埋するステップの前に、ミクロトーム薄片化支持体が、フレーム内で第一位置から、支持体、弾性多孔質材料及び組織標本が、ミクロトーム内の同時に薄片化にさらされる第二位置に移動されてよい。
【0029】
また、ミクロトーム薄片化組織位置付けデバイスが提供され、該デバイスは、スナップ式またはフリクション適合を備えた薄片化カセットの閉じ込め部またはウェル内にそれを固定するという特徴を有し、それがカセットウェル内にある間に、組織が、位置付けデバイス内に配置されることが可能である。これが、デバイス及び標本の取扱いを助ける。小さな組織標本の適切な包埋が、精密かつ大変な努力が必要な方法である。カセットウェルの内側に組織位置付けまたは整列デバイスを配置することによって、全体のカセットが、固定または保持されることが可能であり、一方、その後、ヒストテクニシャンまたは他のユーザの両手が、組織を、位置付けデバイスの保持脚部の間に位置付け及び配置するのに役立つ。本開示において想定されるような、皮膚損傷部のような薄い組織標本の正確な位置付けを確実にする一つの効果的な方法は、それらを、薄片化保持脚部に近接して配置することである。組織標本を固定する前に、薄片化カセット内に配置されしっかりと保持された組織位置付けまたは整列デバイスの形で薄片化挿入を使用することは、位置付けデバイスをカセット内に装着する前に組織を組織位置付けデバイスに結合させることを試みる従来の方法よりも容易である。
【0030】
説明に役立つ実施形態において、組織位置付けデバイスが、カセット側壁内に閉じ込められ、全ての軸においてその固定位置を守る。好ましくは、デバイスは、組織がカセット壁の端部から離れるように位置付けされる。位置付けデバイスが、側壁から離れていない場合、空気の閉じ込めの可能性があり、パラフィンブロックの端部が、主なブロックから壊れて外れ、結果的に、薄片リボンを破壊する。内部カセット壁に対してプレーロードを提供し、組織処理及びパラフィン包埋の間にカセット壁から離れてカセットの内側にそれを十分に固定して保持するように、位置付けデバイスが構成される。次に、蓋を閉じることで、位置付けデバイスをカセットの底に対してしっかりと保持する。蓋を閉じる付加的なステップにより、位置付けされた組織が、カセットウェルの底内側表面に対して平らに保持されることを確実にする。一旦、カセットの底が、ミクロトームによってスライスされると、これが、第一薄片化面となるため、これは重要である。
【0031】
一実施形態において、組織位置付けデバイスが、保持脚部上に組織はめ込み歯を有する。これらの歯が、脚部の間に組織を保持し、組織が、保持脚部の間に押し込まれた後で、専門家が、鉗子から組織をさらに容易に離すことを可能にする。また、組織が、処理ステップにおいて乾燥されるようになる。ほぼ全ての場合において、これは、組織の大きさが縮むことを意味する。組織はめ込み歯が、それが縮むとともに、保持脚部の間の適切な位置に組織を保持し、組織が、自由に動くことを防ぐ。位置付けデバイスが、本発明のカセットと同じ材料から形成されてよい。
【0032】
様々な付加的な詳細、特徴、利点、及び発明の態様が、以下の説明に役立つ、さらに詳細な説明を検討した上で、当業者により容易に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】開放位置で示されたカセットの蓋を含む、フレーム内に受容されたミクロトーム薄片化組織カセットから成るアセンブリの斜視図である。
【
図2】概して
図1の線2−2に沿った断面、斜視図である。
【
図3】概して
図1の線2−2に垂直な線に沿った概略的な断面、斜視図であり、包埋及び薄片化のためのフレームに対する、第二の、露出位置におけるカセットを示す。
【
図4】概して
図3と同じ方向に沿った概略断面図であり、組織標本バイアス構造体を示さず、組織支持体またはカセットの底部上に配置された細長い組織標本を示す。
【
図5】
図4に同様な概略断面図であるが、閉じられたカセット蓋を示し、さらに、細長い組織標本に対してバイアスするその突出タブを示す。
【
図6】
図5に同様な概略断面図であるが、組織標本に対してもたれる、弾性のある、発泡材のような、オープンセル材料(open celled material)を図示する。
【
図7】
図2の支持体が、処理され、パラフィン内に包埋され、ミクロトーム薄片化された場合に生成された得られたパラフィンブロックの断面を示す診断スライドの上面図である。
【
図8】組織標本の小さな破片を有する
図6の支持体が、処理され、パラフィン内に包埋され、ミクロトーム薄片化された場合に生成された得られたパラフィンブロックの断面を示す顕微鏡スライドの上面図である。
【
図9】細長いコア標本が得られる前立腺の断面図である。
【
図10】図示しない蓋及び組織処理及び包埋を通した皮膚標本を位置付けし支持する4つのチャンネルまたは谷を備えた組織カセットの上面斜視図である。
【
図11】遠近法によって示された皮膚生検組織標本の定型化された概略図である。
【
図12】概して、組織カセット内のチャンネルの底表面に平行な切断面を有する
図11の皮膚標本及び切断された損傷部の半分を図示する。
【
図13】断面及び皮膚組織標本を示す
図12の端面図を図示する。
【
図14】カセットが、処理され、パラフィン内に包埋され、ミクロトーム薄片化された後の、
図13に示されるような皮膚組織標本を薄片化することにより生成される顕微鏡スライドを図示する。
【
図15】適当な位置に示された蓋を有する
図16の一部の拡大された断面斜視図である。
【
図16】概して、
図10の線16−16に沿った断面斜視図である。
【
図17】カセット内の各組織受容チャンネル内に配置された組織標本を示す、組織カセット及びフレームアセンブリの他の実施形態の斜視図である。
【
図18】概して、
図17の線18−18に沿った断面図である。
【
図19】
図17及び18に示されたカセットの、断面における、端面図である。
【
図20】一実施形態による、ミクロトーム薄片化カセット内にスナップ式で適用される、組織位置付けデバイスの斜視図である。
【
図20A】
図20に示された組織位置付けデバイスの一部の上面図である。
【
図20B】
図20及び20Aの組織保持脚部用の代替設計の概略的な断面図である。
【
図20D】その間に組織標本を保持する2つの組織保持脚部の拡大された断面図である。
【
図23】半分に切断された
図22の皮膚組織標本の斜視図である。
【
図24】切断面上に位置付けされた2つの切断された組織標本の半分の立体図である。
【
図25】ミクロトーム薄片化の後の、
図24に示された組織標本の半分を用いて準備された顕微鏡スライドの上面図である。
【
図26】組織位置付けデバイスと及びその中に組織標本を保持するミクロトーム薄片化カセットの断面図である。
【
図27】他の実施形態により構成された組織位置付けデバイスを保持するミクロトーム薄片化カセットの上面斜視図である。
【
図27A】組織標本を保持する
図27の組織位置付けデバイスの上面図である。
【
図28】他の実施形態により構成された組織位置付けデバイスを保持するミクロトーム薄片化カセットの上面斜視図である。
【
図29】他の実施形態により構成された組織位置付けデバイスを保持するミクロトーム薄片化カセットの上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ヒストテクニシャンが、組織病理プロセスの間に、正確に位置付けることが重要な、特に、小さく、繊細な標本を用いて作業する場合、組織カセット、支持体または位置付けデバイスの様々な実施形態が特に役立つ。このような懸念を持つ一つのタイプの生検が、針生検である。針生検が、外科手術を通して得られたそれらよりもはるかに侵襲的でなく、これらが、病気の早期の診断を提供し、これらが、現在の医学において特に人気がある。診断的生検の大部分が、針生検デバイスを使用して実施される。針が、長くかつ薄く形成されることが可能であるため、体の臓器または病変部の多くは、経皮のX線写真上のガイド付き法を通して達することが可能である。針コア生検が、通常、前立腺、頸部、肝臓、及び甲状腺のような診断法において得られる。このようなデバイスが、コア標本を切断し、中空金属針の内部ボア内に保持するように構成される。コア標本が、その後、取り出され、検査室に輸送するためにホルマリン中に配置される。標本が、極めて長く薄いため、ホルマリン溶液内に備えられた場合、これらが、丸まり、ねじれる傾向がある。薄片化の前に、これらの長い蛇のような生検が、組織支持体の底面に対して適切に平らにされない場合、これらが、区分された領域上でパラフィンブロック内に存在することが可能であるため、ごく一部の生検が、最終的な診断スライド内で検査されない場合がある。
【0035】
通常、コア生検デバイスが、約16ゲージ針に設計される。超薄壁、ステンレス皮下注射チューブ、規格16ゲージの内径を使用することで、直径.055インチに切断された標本を生じる。標本の直径が、小さい及び大きいことが十分に予測される一方、これが、最も広く使用されるコア生検標本サイズの平均のものである。カセットの底の区分された平面に対して、組織標本を保持するために、.020インチ以下のそれらのような極端に小さなコア生検が、弾性多孔質材料の特別な操作及び利用を必要としうる。
【0036】
概して、
図1及び2が、フレーム14内に運ばれた組織標本カセット12で構成されたアセンブリ10を図示する。組織カセット12の、フレーム14への接続が、上記の組み込まれた特許及び特許出願内に記載された任意の方法のような、多くの異なる方法で実現されてよい。また、当然のことながら、カセット12が、組織支持体のような任意の適切な方法で構成されてよく、フレーム14が、任意の適切な方法で構成されてよい。上記の組み込まれた特許及び特許出願内のフレーム及び組織支持体(例えば、カセット)に対して開示された任意の構造、特徴、特性及び材料が、カセット12及びフレーム14に利用されてよい。図示された実施形態において、カセット12が、多孔性または穿孔されており、フレーム14内に解放可能なように保持され、さらに、フレーム14が、ミクロトームチャック内(図示しない)に解放可能なように固定されるように構成される。一般的に、フレーム14が、周りを囲む外壁14a,14b,14c,14dの間に画定された内部を含み、また、上記の組み込まれた特許及び特許出願内において一般的に議論されたような、及び同じ目的で、カセット12が、擦られるようにまたは“スナップ式”で適合し、少なくとも第一及び第二位置の間の内部を移動するような大きさに構成される。
【0037】
カセット12の第一位置が、
図1に示され、一方、第二位置は、
図3において見られるように、カセット12の低い位置またはウェルが、フレーム14の底の下に露出される位置であり、フレーム14が、ミクロトームチャック内に保持される間、カセット12、組織標本及びパラフィンブロック11が、ミクロトーム内において薄片化されることを可能にする。処理し、包埋し及び薄片化するための一般的な方法が、上記の組み込まれた特許及び特許出願内において議論される。上記の組み込まれた特許及び特許出願に従い、本願明細書に記載されたカセット12及び他のミクロトーム薄片化可能構造が、ペルフルオロアルコキシエチレン(PFA)から形成されてよい。
【0038】
カセット12の蓋12aが、ヒンジ16によって、カセット12の本体部12bに結合されてよい。
図2に示されるように、蓋12aの各4つの側部上に蓋12aの外側フランジ15を備えたカセット本体12b上で、フィンガーまたは突出コネクタ13のはめ込みを通して、蓋12aが、閉鎖位置内に、スナップ式で適合してもよい。蓋12aが、柔軟性のある、バイアスタブ18及び弾性多孔質材料20(
図6)を支え、該多孔質材料20は、例えば、ポリエーテルまたはポリウレタンの少なくとも1つを含む発泡体のようなオープンセル型の発泡材料であってよく、及び全体的に網状の発泡体であってよい。ここで、“全体的に網状の”とは、少なくとも実質的には発泡体の全ての細胞が、オープンであることを意味する。このような発泡体が、2007年12月11日に出願された特許文献6に開示されており、その開示が、本願明細書において参照することによって完全に組み込まれる。
図2及び3に示されているように、1つ以上の細長い組織標本40a,40b,40c,40dが、多孔性または穿孔された組織チャンネルまたは谷30a,30b,30c,30d内に配置されてよく、側壁32の形状の各側壁上の構造を分離し、底壁34を備えることによって、くぼみまたは内部領域境界を画定しうる。
図2にさらに示されているように、各側壁32が、上壁33と結合される。ミクロトーム薄片化プロセスの間、これらの上壁33が、包埋材料(例えば、パラフィン)の硬化ブロック11内に、素子を支えることを提供する。すなわち、ミクロトームブレードが、底壁34に平行に移動する
図3に示されたアセンブリ10のミクロトーム−準備条件から理解されるように、これらの底壁34が、最初にスライスされ、または“フェース(faced)”オフされ、硬化パラフィン11のリボン薄片とともに、側壁32及び標本40a−dが、次にスライスされる。各側壁32と一体的に接続された、さらに深く包埋された上壁33によって提供された固定機能の結果として、側壁が、パラフィンのブロック内にしっかりと維持される。上壁33の下側または表面が、硬化パラフィンをはめ込み、薄片化の間、上壁33及び側壁32が、パラフィンから引き抜かれることを防ぐ。薄片化の間、カセットの部分が、引き抜かれるまたは外に出される場合、カセット材料のこれらの部分が、組織標本を、激しく損傷するまたはさらには破壊することが出来る。固定素子(この実施例では壁34)は、側壁32が、“チップアウト(chipping out)”されることを防ぎ、または、さもなければ、カセット12、硬化パラフィン11及び標本40a−dから得られる薄いリボン薄片の質の劣化を防ぐ。当然のことながら、底壁34が、各チャンネルと関連する
図3に示されるような離散した断面を有してよく、または、後で図示し説明するように連続的であってもよい。
【0039】
使用時、1つ以上の組織標本40a,40b,40c,40dが、内部チャンネル30a−d内に配置される。次に、カセット蓋12aが、閉じられ、タブ18、及び任意的にまたは代わりに、弾性多孔質材料(例えば、発泡体)20(
図6)が、
図2に図示されるような底壁34に対して支え、組織標本40a−dを閉じ込めるような位置に、カセット蓋12aが、はめ込まれる。ここで、閉じ込められた組織標本40a−dを備えたアセンブリ10が、従来型の組織処理操作にさらされてよく、該組織処理操作は、真空、加熱及び化学物質を使用し、組織標本40a−d内の間質液を除去し、これらの流体を、溶融パラフィンのような硬化可能な材料で置換する。上記のように、これらの処理ステップの間、使用されるならば、発泡体または他の弾性多孔質材料20(
図6)の多孔質の特性により、流体が、組織標本40a−d内に達し、完全に侵入することが可能になる。さらに、発泡体20が、その後の顕微鏡下での分析を妨げうる組織上における人為的な影響またはマークを残すことなく、底面34に対して平らに組織標本40a−dを閉じ込める。当然のことながら、異なるタイプの弾性多孔質材料が、例えば、処理され分析される組織のタイプに基づき選択されてよい。例えば、小さな粘膜組織標本が、保持され、上記の組み込まれた特許文献6において議論されたT−50発泡体を首尾よく使用して処理されてよく、一方、脂肪組織のような他のタイプの組織が、他のタイプの弾性多孔質材料によって上手く供給されてよい。
【0040】
また、当然のことながら、組織カセット12にフレーム14を組み合わせる前に、処理ステップが、行われてよい。組織処理が完了した後で、組織カセット12が、
図3に図示されるような第二位置に移動されてよく、フレーム14の底表面14eの下に閉じ込め部を露出させる。次に、カセット12及びフレーム14が、適切なモールド(図示しない)内に配置され、パラフィン内に包埋され、下部の露出された閉じ込め部30を有する全体のアセンブリが、パラフィンワックスの硬化ブロック内に包埋される。閉じ込め部30を囲むモールドの部分が、好ましくは、円形とは対照的に正方形であるが、通常、モールド(図示しない)が、カセット12の底の外形に従ってもよい。これが、リボン薄片のその後の生成を助ける。従って、この方法の部分が、上記の組み込まれた開示物に開示されたそれと同様であってよい。本願明細書で議論されるように、次に、フレーム14が、ミクロトームチャック内に包埋アセンブリ10を組み込むための固定具として使用され、十分な片が、標本40a−dに届くまで、必要な数の薄片が、ブロック11の露出された下側11a(
図3)からとられる。組織標本を含むミクロトーム薄片またはリボンが、適切に、顕微鏡スライド上に設置され、着色され、カバースリップされる。
【0041】
図4が、カセット12のチャンネルまたは谷30bに配置された細長い組織標本40bを図示する概略的な断面図である。チャンネル30bの内部底表面に対して水平に保持または維持される前の組織標本40bが図示される。
【0042】
図5及び6が、各々、カセット12及び12’の2つの異なる実施形態を図示する。カセット12が、チャンネル30bの底内部表面に対して組織標本40bをはめ込み、保持するためのタブ18のみを含む。カセット12’が、オープンセル型の全体的に網状の発泡体20のような、弾性多孔質材料をはめ込むいくらか短いタブ18を含み、発泡体が、次に、チャンネル30b内に含まれた細長い組織標本42bをはめ込み、接触する。任意に、タブが、完全に除外され、組織標本をバイアス及び保持するために使用される弾性多孔質材料のみが、カセットの底壁34に対して平らにされる。
【0043】
図7及び8が、各々、
図5及び6に図示されたカセット12及び12’から得られた薄片化された組織標本40a−d及び42a−dを用いて準備された顕微鏡スライドを示す。注目すべきは、
図6の断面図が、標本42bを通して得られ、一方、ミクロトーム薄片化が、これに垂直な、すなわち、底壁34の面に平行な面で生じる。
【0044】
図9が、前立腺の概略的な断面図であり、これから、細長い組織標本40a−dが、
図9における小さな円形領域によって描かれたような4つの別個の四半部から得られる。これらの四半部及び対応する標本40a−dが、診断目的のためにアセンブリ10上にマークされてよい。
【0045】
図10が、カセット12の外壁と平行するチャンネル30a−dの2つに描かれた4つの半分の錐体形状の組織標本100を備えたカセット12を図示する。
【0046】
図11が、皮膚生検組織標本102の定型化された概要図を描き、
図10の半分の錐体形状の組織標本100が得られる方法を示す。具体的には、
図11に示された損傷部または組織標本102が、中心面104に沿って切断される。損傷部106が、皮膚の表皮または外側層108内に位置されて中心に図示される。皮膚または脂肪110の深い層が、反転した錐体形状の1点に集まる端部または先のとがった端部にある。
図10に示されるように、組織標本100を、組織支持チャンネル30aまたは30d内に挿入する前に、グロス−インプロセスの間に、損傷部106が、切断される。
【0047】
図12は、組織支持チャンネル30aの底壁34に対して平らに位置する切断面104に沿って形成された表面104aを有する切断された組織標本100の拡大図である。
【0048】
図13は、組織標本100及び、具体的には、チャンネル30aの内部底表面に対してしっかりとその断面を保持するための、柔軟性のあるタブ部材120及び柔軟性のある反対側のフィンガー122によってはめ込まれた組織標本100を示す
図12の端面図を図示する。
【0049】
図14は、上記議論に従い、カセット及び組織標本100が、処理され、包埋され、及びミクロトーム処理された後の、
図13に図示されたカセットのミクロトーム処理薄片または薄片から形成された顕微鏡スライドを図示する。薄片化標本100が、損傷部“l”のマージン“m”、及び深さ“d”を示す方法で図示される。
【0050】
図15及び16が、チャンネル130a内に配置された
図13の組織標本100、及び片持ちの、好ましくは、チャンネル130aの両側上で互いに向ってバイアスされた弾性フィンガー140,142の代替使用を図示する斜視断面図である。これらのフィンガー140,142が、様々な機能を果たす。鉗子を使用したチャンネル130aの中への組織標本100の挿入の間、フィンガー140,142が、組織標本100をつかみ、ユーザがそれを配置及び位置づけるにつれて、それがチャンネルから戻るように動くことを防ぐ。この目的のため及び残りの処理及び包埋操作を通して、配置の間、ユーザによって達成されるような、組織標本100の最初の提示及び位置付けを正確かつ確実に維持するために、フィンガー140,142が、一方向のかかりのついた構造で図示される。弾性フィンガー140,142が、この方法において様々な大きさの組織標本に適合することが可能である。フィンガー140,142に加え、蓋タブ150及び/または他のバイス構造が、チャンネル130aの下部または底部内部表面に対してバイアスされた標本100の表面104aを保持する。
図15が、組織標本100を保持するチャンネル130aの1つの拡大図を図示し、一方、
図16が、先に議論されたような包埋及びミクロトーム薄片化目的でカセット160を露出するフレーム170に関してカセット160の下部または外側位置で、フレーム170内に保持された全体のカセット160を示す同様な図を図示する。
【0051】
図17−19が、組織処理、包埋及びミクロトーム薄片化を通して適切な位置付けにおける細長い組織標本181,182を保持するためのミクロトーム薄片化カセット180の他の実施形態を図示する。ここで留意すべきは、以下において議論するように、組織標本182が、標本181よりも長いことである。この実施形態が、
図1に関連して議論された実施形態と多くの点で同様である。特に
図18及び19に図示されているように、カセット180が、第一実施形態(
図2)に関連して図示された底壁部34とは対照的に、単一の連続した底壁184を有する。各組織分離部材185が、上方へ延び、底壁184と一体的に形成され、その間に組織受容チャンネルまたは谷186を画定する。カセットの組織含有部187が、
図2に示されたような組織含有部の対応する幅よりも小さい幅“w”を有する。従って、カセット180を保持するモールド(図示しない)の側部と、組織含有部187の側部と、の間の距離d
1及びd
2が、
図17−19の実施形態において大きい。従って、パラフィン11内へのカセット180の固定が、さらに安定である。
【0052】
各支持部材またはバー190が、設けられ、直立した、交互の分離部材185と一緒に結合される。これが、特に、
図17及び18に示されている。従って、バー190が、パラフィン内において、深い固定素子を提供する。すなわち、分離部材185の部分が、ミクロトームブレードによって薄くスライスされるので、底壁184が、ブレードによって“フェース”オフされた後、部材185の残りの部分が、バー190によって、パラフィンブロック内にしっかりと保持され、リボンが切断されるにつれて“チップアウト”されない。部材185が、チャンネル186に沿って間隙を介し、バー190の下側または下表面とのはめ込み内への包埋材料の浸入を可能にする。さらに、中央支持構造が、その長さに沿って、1つ以上の空間または遮断部191を有し、細長い組織標本182が、巻かれ、図示されたように各隣接するチャンネル186内に延びることを可能にする。この実施形態において、第一実施形態におけるような各谷またはチャンネルのための2つの側壁を有することとは対照的に、単一の直立した分離構造体185,190が、隣接する谷またはチャンネル186の間に配置される。この実施形態が、
図19に図示されたようなカセット180の底壁184に対して組織標本181,182を保持し、支えるための、図示されたような、蓋193上に配置されたタブ192を,各チャンネル186と一直線に残す(register)各タブ192をさらに含む。他の実施形態のように、ミクロトーム薄片化発泡体(図示しない)のような弾性材料が、タブ192と、組織標本181,182との間に配置されてよい。この発泡体が、不規則な形状の標本、または様々なサイズの標本を捕え、または適合し、各組織標本181,182が、カセット180の底184に対してしっかりと安定化されることを確保する。発泡体が、平らな柔軟性のある発泡体のシート、または、発泡体のリブが、カセット180内においてチャンネルまたは谷186と並ぶリボンシートの発泡体のような任意の他の適切な形状であってよい。
【0053】
ミクロトーム薄片化組織位置付けデバイス200が、
図20及び20Aに図示されている。好ましくは、全体のデバイスが、ミクロトーム内でうまく薄片化されうる材料から形成される。選択された材料が、カセット12の製造と関連して上述されたようなものであってよい。第一実施形態が、対称的な突起脚部204,206,208,210を有する中心スパイン202を有する。組織はめ込み歯212及び214が、各脚部204,206,208,210に沿って、薄片化可能な、組織接触表面を有する。留意すべきは、歯214が、歯212よりも短く、これが、
図20Aに図示されたような通路において組織220を中心に置くために役立つ。長い及び短い歯212,214が、各脚部204,206,208,210に沿って、交互に存在し、各脚部の長さに沿った起伏と対応する。歯212,214が、交互に存在し、脚部204,206,208,210の波状のまたは起伏のある特性にかかわらず、異なる脚部204,206,208,210上の歯212,214間に適度な一貫性のある全体の距離を提供する。
【0054】
各保持脚部204,206,208,210が、軸230に沿って起伏し、起伏形状が、通常、正弦曲線である。これは、組織標本に対して、パラフィンが密接に浸入することを可能にする。保持脚部204,206,208,210の波状のまたは起伏のある設計も、気泡が、支持脚部と組織との間またはこれに対して捕えられるようになることを防ぐことを助ける。気泡が、ミクロトーム薄片化及び得られるリボンの質に干渉することが出来る。
【0055】
図20Bに図示されるように、各保持脚部の基部が、テーパー232を有することが可能である。泡233をそらし、それらが、
図20Bにおいて234において図示されたようなほかのどのような平らな表面においても捕えられることを防ぐ。
【0056】
各脚部204,206,208,210間の距離が、特定の範囲の組織厚さを保持するように設計される。
図20Cに図示されるように、脚部208と210との間の距離が、脚部206と208との間の空間242よりも小さな空間240を表す。これが、脚部208と210との間の薄い組織及び脚部206と208との間の厚い組織に適合する。
【0057】
図20Dに図示されたように、歯212,214が、上から下にテーパーを有し、それらを一方向にする。これは、組織220が、容易に挿入され、後退して出やすくなりにくいことを保証にする。
【0058】
図20において、さらなる設計詳細が、いくらか柔軟である脚部250,252を示し、上記の組み込まれた特許または出願の1つに開示されたような、または本願明細書において図示され説明されるようなカセット等の、薄片化カセットの側壁間に位置付けデバイス200を設置する場合に、少量のあらかじめ加えられた負荷、跳ね返り、または弾力を許容する。カセット壁内の開口を通して突き出すことにより、タブ256,258が、組織位置付けデバイス200を、カセット壁内に閉じ込める。これは、組織処理及び包埋の間に、組織位置付けデバイス200が、カセット内で動かず、任意の処理包埋及び薄片化方法を通して、組織標本220の所望の位置付けを維持することを確実にする。
【0059】
図21が、
図20に図示された位置付けデバイス200の底部斜視図を図示する。保持脚部204,206,208,210の底表面上のスタンドオフフット(standoff feet)260及び262は、位置付けデバイス200がカセット壁(図示しない)の底面から空隙を有するように維持する。これが、位置付けデバイス200の保持脚部204,206,208,210と、カセット壁または内側底部との間の全体的なパラフィンの浸入を可能にする。全体的なパラフィンの浸入は、パラフィンブロックの薄片化の間に、スタンドオフフット260,262及び組織220のみが、ミクロトームブレードにさらされるミクロトームを使用することを確保する。位置付けデバイス200が、薄片化材料から形成される一方、全体の位置付けデバイス200を通して切断する場合に、高品質な薄片を得ることが困難となり得る。従って、薄片化面から離れた保持脚部204,206,208,210を有することが最適である。また、これは、組織220が、脚部204,206,208,210の間に配置され、スタンドオフフット260,262の底に隣接するカセット壁(図示しない)の底に位置される理由である。2つの異なるタイプの図示されたスタンドオフフット、さらに台形の形状であるフット(262)と、さらに円筒形のフット(260)がある。射出成形モールドからプラスチック成形品を取り出すために円形のピンが使用されるので、円筒形形状フット260の、製造が容易である。他の構造のスタンドオフフットは、これらにより、パラフィンが、組織の周りに浸入することを可能にし、泡を捕えず、その中に含まれ包埋材料の硬化ブロック内に包埋される組織の高品質のミクロトーム薄片化を妨げるほど十分に大きくない限り、許容可能である。
【0060】
例として、
図22が、皮膚損傷部272を含む薄片生検270を示す。
図23が、ブレード274を使用し、生検270を、半分270a,270bに、及び損傷部272を、2つの部分272a,272bにした横断面を描く。
図24が、ミクロトーム薄片化面280に関した、皮膚生検270a,270bの適切な位置付けを描く側面図を示す。
図25に示されるように、一旦、包埋され、スライスされ、ガラススライド290上に配置されると、着色部が、病理学者によって検査される。留意すべきは、組織標本270a,270bと、薄片化面280との間の位置付けが、全体のプロセスを通して維持される。IDナンバー292が、スライド290及び組織標本270a,270bを識別するために使用されてよい。
【0061】
位置付けデバイス200を保持する薄片化組織処理カセット280を通した断面である
図26が、皮膚損傷生検270a,270bの位置付けを示す。標本270a,270bが、
図5に図示されたように、直立で薄片化面280に垂直に保持される。さらに図示されるように、組織位置付けデバイス200が、カセット280内にスナップ式で適合され、デバイス200の両側上に位置されたタブ256,258によって適当な位置に保持され、固定される。上述のとおり、これらのタブ256,258が、カセット280内の開口のような、カセットの適当な構造内に固定されることが可能である。カセットが、上記のカセットと同様な蓋282を含む。蓋282が、組織位置付けデバイス200の上側に対して、固定位置内に下向きにスナップ式で適合されてよく、位置付けデバイス200のフット262及び組織標本270a,270bが、薄片化面284内においてカセット280の底壁280aに対して保持されることを確保する。この方法において、位置付けデバイス200及び組織標本270a,270bと組み合わされたカセット含有部286が、上記の組み込まれた特許及び特許出願に記載されたようにパラフィンのような材料のブロック内に包埋された後で、薄片が、薄片化面284と平行にミクロトームによってとられてよいことが理解される。
【0062】
位置付けデバイスの多くの異なる構造が、想定され、異なるタイプの組織向けの位置付けの論点を解決する。
図20及び21に図示された位置付けデバイスが、極めて薄い、細長い皮膚生検を対象とする一方、生検が、厚くなりすぎて、保持脚部の間にうまく配置されない場合、これは有用ではない。広い空間及び異なる整列構造が、大きな組織標本に対して開示される。
【0063】
図27が、
図20及び21に示されたそれらと同じ特徴の多くを備えて構成され、ミクロトーム薄片化カセット280内に保持される組織位置付けデバイス300を示す。組織を受容することが可能な3つの細長い中心通路がある。これらの通路302が、長い、通常、平行な保持脚部304によって形成される。脚部304が、
図20の中心スパインよりもむしろ側壁306によって互いに結合される。また、各保持脚部304が、組織はめ込み歯を有する蛇行または起伏構造を有し、組織が、しっかりと保持され、処理の間に動かないことを保証する。この設計により、専門家が、
図20に図示された位置付けデバイス200内に使用されたそれらよりも厚くてよい組織用の中心領域を使用することが可能になる。これらの保持脚部304が、非常に長いため、それらを、端部よりもさらに中心にそらすことが可能である。いくつかの組織標本が、くさび形である。くさびの厚い部分が、保持脚部304の中心部に配置されることが可能である。くさびの薄い部分は、脚304が側壁306に取り付けられる通路302の周囲に向かってきつく保持される。固定素子309を備えた外側固定脚部308が、カセット280の閉じ込め部286内に、デバイス300を保持する。
図27Aが、
図27に図示された組織位置付けデバイスの中心領域内に設置されたくさび形状の組織310及び312を含む位置付けデバイス300の上面図を図示する。
【0064】
図28が、組織位置付けデバイス320の他の実施形態を示し、これによって、外側脚部322と中心脚部324との間の2つの細長い空間の各々が、組織整列のために提供される。ここで図示されたような組織要素330及び332が、端部上に位置付けられなければならない胆嚢組織を表す。針生検ツールから生成されたこれらのような細長い生検が、
図28に描かれた整列デバイス320内で使用されることも可能である。この設計が、
図20及び27のデバイスにおけるよりも、いくらか、さらに堅い保持脚部322,324を有し、さらに狭い通路を有し、長く、狭い組織標本330,332と適合する。デバイス320が、弾性脚部334,336を含み、例えば、上記の組み込まれた特許及び/または特許出願内に開示されたようなヒンジで連結された蓋342を有する薄片化カセット340のウェルまたは閉じ込め空間内に留められる。
【0065】
図29が、保持脚部352,354との間のいっそう長い通路を有する他の組織位置付けデバイス350を示す。これらの組織通路が、使用されることが可能であり、組織が、別個の半分に分離するために望ましい。小さな臓器の特定の領域における病気の診断の理由で、これがしばしば実施される。例えば、前立腺が除去される場合、左半分が、右半分から分離されてよく、病理学者が、2つの半分の間の明らかな組織のマージンを区別することが出来ることを確かめる。先の実施形態におけるように、カセット280の閉じ込め部またはウェル286内にデバイス350をスナップ式で適合するまたはフリクションフィット(friction fit)するために、固定脚部360,362が、提供される。
【0066】
要約すると、組織デバイスの起伏のある、波状のまたは蛇行の脚部により、組織が、位置付けされた方法でやさしく保持されることが可能となるが、また、包埋プロセス及び処理化学物質及びパラフィンの浸入の間に、気泡を除去することが可能になる。弾性のある外側の脚部のような位置付けデバイスの周辺の特徴部が、処理及び包埋の間における、位置付けデバイス及び組織標本の損傷を防ぐために、薄片化カセットをはめ込む。適切な薄片化及び顕微鏡スライドレイアウトのために、他の特徴部が、組織と、カセットの側壁との間において最小の距離を実現する。位置付けデバイスのスタンドオフフットが、保持脚部に沿って組織を支持するように配置され、組織が、脚部の下に移動出来ず、除去されまたは位置異常となる。細長い組織保持脚部が、柔軟であり、処理及び包埋の間に組織の適切な位置付けを保持するための支持体を提供する。保持脚部の柔軟性が、位置付けデバイス内に組織を組み込むことを助ける。保持脚部上の組織はめ込み歯が、一方向の構造を有することが可能であり、該構造により、組織が、一方向に挿入されることが可能になるが、挿入段階の間及びまた水圧の(hydraulic)組織処理ステップの間における組織のいずれの後退して出ることに耐える。また、歯が、脚部から組織を引き離すために役立ち、処理流体及びパラフィンの完全な浸入を可能にする。
【0067】
本発明が、様々な説明に役立つ実施形態の記載によって説明され、これらの実施形態が、少し詳しく説明されたが、本出願人に意思は、添付の特許請求の範囲の範囲を、詳細のように制限するまたは多少なりとも限定するものではない。さらなる利点及び修正が、当業者には容易に理解される。本願明細書に開示された様々な特徴が、ユーザのニーズ及び好みに従い、単独で、または任意の組み合わせで使用されてよい。しかしながら、本発明自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0068】
10 アセンブリ
12 カセット
12a 蓋
12b カセット本体
13 突出コネクタ
14 フレーム
14a,14b,14c,14d 外壁
14e 底表面
15 外側フランジ
16 ヒンジ
18 タブ
30 閉じ込め部
30a,30b,30c,30d チャンネルまたは谷
32 側壁
33 上壁
34 底壁
40a,40b,40c,40d 組織標本