特許第5706356号(P5706356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5706356
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】水密扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20150402BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20150402BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
   E06B7/16 C
   E06B7/22 F
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-35802(P2012-35802)
(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公開番号】特開2013-170411(P2013-170411A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 利徳
(72)【発明者】
【氏名】木内 和弘
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−279550(JP,A)
【文献】 実開昭61−150969(JP,U)
【文献】 米国特許第04478001(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00−5/20
E06B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋内での水の浸入を防ぐエリアの枠の開口部に開閉可能に設置されるものであって、
開閉ハンドルと、該開閉ハンドルの回転に連動して移動するカンヌキとを備え、前記ハンドルを閉方向に回転することにより前記カンヌキが移動して前記枠に保持することにより固定され、前記枠の開口部を閉じている状態では、パッキンを前記枠に設けられている扉枠に押し付けることにより水密性を確保している水密扉において、
前記パッキンを前記扉枠に押し付ける方向とは逆方向の水頭圧が掛る水密扉端部側面に、パッキン機能低下防止金具を設置すると共に、該パッキン機能低下防止金具と対向する前記扉枠の面に、前記パッキン機能低下防止金具と噛み合う金具受け枠を設け、かつ、前記パッキン機能低下防止金具は、その先端がL字状に形成されており、前記パッキンを前記扉枠に押し付ける方向とは逆方向の水頭圧が掛った場合に、前記パッキン機能低下防止金具のL字状の先端部と前記金具受け枠とが噛み合うことを特徴とする水密扉。
【請求項2】
請求項1に記載の水密扉において、
前記開閉ハンドルと前記パッキン機能低下防止金具は、金具開閉連動機構を介して運動可能に連結されていることを特徴とする水密扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水密扉に係り、特に、建屋内での水の浸入を防ぐエリアに設置され、かつ、指定方向とは逆方向に水頭圧がかかるものに好適な水密扉に関する。
【背景技術】
【0002】
図4乃至図6に従来の水密扉を示す。該図に示す如く、従来の水密扉1は、建屋内での水の浸入を防ぐエリアのコンクリート枠9の開口部にヒンジ等で開閉可能に設置されている(図4の実線が、コンクリート枠9の開口部を水密扉1で閉じている状態、二点鎖線が、コンクリート枠9の開口部を水密扉1が開放している状態である)。
【0003】
図4及び図6に示す如く、水密扉1がコンクリート枠9の開口部を閉じている状態では、水密扉1の周囲に設けられているパッキン4を、コンクリート枠9に設けられている扉枠3に押し付けることにより水密性を確保している。
【0004】
また、水密扉1は開閉ハンドル2と、この開閉ハンドル2の回転に連動して図4及び図6の左右方向に移動するカンヌキ5とを備えており、ハンドル2を閉方向に回転することにより、カンヌキ5が図4及び図6の左方向に移動し、このカンヌキ5の先端を、コンクリート枠9に設けられたカンヌキ受け10で保持することにより水密扉1が固定され、図6に示す上方向からの水頭圧がかかった場合にも耐えられるようになっている。
【0005】
一方、上記の状態から水密扉1がコンクリート枠9の開口部を開放する場合には、ハンドル2を開方向に回転することにより、ギア等で回転運動が直線運動に変化してカンヌキ5が図4及び図6の右方向に移動し、カンヌキ5の先端がカンヌキ受け10から外れることにより、図4の二点鎖線で示すように回転して、コンクリート枠9の開口部を開放するものである。
【0006】
ところで、上記した水密扉1に、パッキン4を押し付ける方向とは逆方向(図6の水頭圧の方向とは逆方向)の水頭圧がかかった場合には、水密扉1の水密性が低下することが予想され、水密扉1の両方向からの水頭圧に耐えることが必要となる。
【0007】
このような水密扉の両方向から水頭圧がかかった場合を考慮したものとして特許文献1及び2がある。
【0008】
この特許文献1及び2には、水密扉において、パッキンに孤状舌片を設けて、逆水頭圧がかかったときに、この孤状舌片を水密壁に押し付けて水密状態を確保することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−164542号公報
【特許文献2】実用新案登録第3059403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1及び2に開示されている水密扉は、扉の内部及び外部の両方向から水頭圧がかかった場合を考慮したとしても、その水密状態を確保する開閉構成が複雑であり、扉としての利便性を全く考慮していないものである。
【0011】
また、既設の水密扉にあっては、内部及び外部の両方向からの水の浸入を防ぐ要求があり、これを達成するためには、既設の水密扉の改造が必要となる。
【0012】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、指定方向とは逆方向に水頭圧がかかった場合でも水密性を確保できることは勿論、扉としての利便性を損なわず容易に開閉でき、しかも、既設設備に対して大幅な改造を加えることなく、指定方向と、これとは逆方向の両方向からの水頭圧に耐え得る水密性能を付加することができる水密扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の水密扉は、上記目的を達成するために、建屋内での水の浸入を防ぐエリアの枠の開口部に開閉可能に設置されるものであって、開閉ハンドルと、該開閉ハンドルの回転に連動して移動するカンヌキとを備え、前記ハンドルを閉方向に回転することにより前記カンヌキが移動して前記枠に保持することにより固定され、前記枠の開口部を閉じている状態では、パッキンを前記枠に設けられている扉枠に押し付けることにより水密性を確保している水密扉において、前記パッキンを前記扉枠に押し付ける方向とは逆方向の水頭圧が掛る水密扉端部側面に、パッキン機能低下防止金具を設置すると共に、該パッキン機能低下防止金具と対向する前記扉枠の面に、前記パッキン機能低下防止金具と噛み合う金具受け枠を設け、かつ、前記パッキン機能低下防止金具は、その先端がL字状に形成されており、前記パッキンを前記扉枠に押し付ける方向とは逆方向の水頭圧が掛った場合に、前記パッキン機能低下防止金具のL字状の先端部と前記金具受け枠とが噛み合うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、指定方向とは逆方向に水頭圧がかかった場合でも水密性を確保できることは勿論、扉としての利便性を損なわず容易に開閉でき、しかも、既設設備に対して大幅な改造を加えることなく、指定方向と、これとは逆方向の両方向からの水頭圧に耐え得る水密性能を付加することができるので、この種、水密扉には有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の水密扉の実施例1の取付け状態を示す平面図である。
図2】本発明の水密扉の実施例1の概略を示す正面図である。
図3】本発明の水密扉の実施例1を一部拡大して示す閉じた状態の図である。
図4】従来の水密扉の取付け状態を示す平面図である。
図5】従来の水密扉の概略を示す正面図である。
図6】従来の水密扉を一部拡大して示す閉じた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の水密扉を説明する。尚、符号は、従来と同一のものは同符号を使用する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至図3に本発明の水密扉の実施例1を示す。該図に示す如く、本実施例の水密扉1も、建屋内での水の浸入を防ぐエリアのコンクリート枠9の開口部にヒンジ等で開閉可能に設置されている(図1の実線が、コンクリート枠9の開口部を水密扉1で閉じている状態、二点鎖線が、コンクリート枠9の開口部を水密扉1が開放している状態である)。
【0018】
図1及び図3に示す如く、本実施例でも水密扉1がコンクリート枠9の開口部を閉じている状態では、水密扉1の周囲に設けられているパッキン4を、コンクリート枠9に設けられている扉枠3に押し付けることにより水密性を確保している。
【0019】
また、水密扉1は開閉ハンドル2と、この開閉ハンドル2の回転に連動して図1及び図3の左右方向に移動するカンヌキ5とを備えており、ハンドル2を閉方向に回転することにより、ギア等で回転運動が直線運動に変化してカンヌキ5が図1及び図3の左方向に移動し、このカンヌキ5の先端を、コンクリート枠9に設けられたカンヌキ受け10で保持することにより水密扉1が固定され、図3に示す上方向からの水頭圧がかかった場合にも耐えられるようになっている。
【0020】
一方、上記の状態から水密扉1がコンクリート枠9の開口部を開放する場合には、ハンドル2を開方向に回転することにより、カンヌキ5が図1及び図3の右方向に移動し、カンヌキ5の先端がカンヌキ受け10から外れることにより、図2の二点鎖線で示すように回転して、コンクリート枠9の開口部を開放するものである。
【0021】
そして、本実施例では、逆方向の水頭圧が掛る水密扉1の端部側面に、先端がL字状に曲がっているパッキン機能低下防止金具6をボルト或いははめ込み等で複数個(本実施例では、図2に示す如く8箇所)取付け、かつ、パッキン機能低下防止金具6と対向する扉枠3の面に、L字状に曲がっているパッキン機能低下防止金具6の先端と噛み合う構造になっている金具受け枠7をボルト或いは接着剤等で取付けた構成となっている。
【0022】
上述のパッキン機能低下防止金具6のそれぞれは、図2に示す如く、開閉ハンドル2とそれぞれの異なる複数の金具開閉連動機構8を介して連結され、開閉ハンドル2を回転させることにより、それぞれのパッキン機能低下防止金具6のL字状先端部が、金具受け枠7と噛み合ったり、噛み合いが開放したりするようになっている。
【0023】
このような本実施例の構成とすることにより、指定方向(図3に示す上方向)からの水頭圧がかかった場合には、上述したように、カンヌキ5の先端がコンクリート枠9に設けられたカンヌキ受け10で保持されることにより、水密扉1が固定され、指定方向から水頭圧がかかった場合にも耐えられるようになっている。
【0024】
一方、指定方向とは逆方向(図3の下方向)から水頭圧が掛った場合には、それぞれのパッキン機能低下防止金具6のL字状先端部が金具受け枠7と噛み合うことで、水密扉1が開く動きを抑え、パッキン4を押し付ける力が低下することを防止し、指定方向と逆方向から水頭圧がかかった場合にも耐えられるようになっている。
【0025】
それぞれの異なる複数のパッキン機能低下防止金具6のL字状先端部と金具受け枠7との噛み合いを解く場合には、開閉ハンドル2を開方向に回転させることにより、それぞれの金具開閉連動機構8が開方向に動き、これに伴い各パッキン機能低下防止金具6が上述とは逆方向に回転して、それぞれのパッキン機能低下防止金具6のL字状先端部が金具受け枠7との噛み合いを開放するものである。
【0026】
このような本実施例の構成とすることにより、指定方向とは逆方向に水頭圧がかかった場合でも水密性が確保できることは勿論、扉としての利便性を損なわず容易に開閉できる。
【0027】
また、既設の水密扉1に本実施例の構成を布設する場合には、既設の扉枠3に上述した金具受け枠7を追設し、水密扉1に上述したパッキン機能低下防止金具6と金具開閉連動機構8を組込むことにより、既設設備に対して大幅な改造を行うことなく、指定方向と、これとは逆方向の両方向からの水頭圧に耐え得る水密性能を付加することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1…水密扉、2…開閉ハンドル、3…扉枠、4…パッキン、5…カンヌキ、6…パッキン機能低下防止金具、7…金具受け枠、8…金具開閉連動機構、9…コンクリート枠、10…カンヌキ受け。
図1
図2
図3
図4
図5
図6