(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グリッド縞方向判別部は、前記画像データに対して高速フーリエ変換処理を行い、グリッド縞周波数レスポンスの値、又は前記グリッド縞周波数レスポンスと前記グリッド縞周波数の近隣の周波数レスポンスとの比、を用いてグリッド縞方向を判別する、
ことを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
前記グリッド縞方向判別部は、前記グリッド縞周波数を、前記X線画像診断装置により前記画像データを取得する際の前記被検体と前記X線管球との間の撮影距離に応じて決定する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のX線画像診断装置。
前記画像回転部は、前記画像において、前記被検体が撮影された被検体領域を抽出して前記被検体の頭足方向を検出し、その検出結果を基に前記画像の回転方向が右回転又は左回転であるかを判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載のX線画像診断装置。
被検体により生じる散乱線成分を除去するグリッドと、X線平面検出器と、を備えたX線画像診断装置により、前記被検体を撮影して得られた画像データを読み込むステップと、
前記画像データに含まれる前記グリッドに起因する縞方向が縦か横かを判別するステップと、
前記判別結果に基づいて、前記画像データに基づく画像に撮影された前記被検体の領域における頭方向が、当該画像が表示される表示画面における上方向と一致するように、前記画像を回転するステップと、
前記回転後の画像を前記表示画面に表示するステップと、
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に放射線を照射し、対象物を透過した放射線の強度分布を検出して対象物の撮影画像を得る装置が工業用の非破壊検査や医療診断の場で広く一般に利用されている。このような撮影の一般的な方法としては、X線に対するフィルム/スクリーン法が挙げられる。近年では、デジタル技術の進歩により、撮影画像を電気信号に変換し、この電気信号を画像処理した後に、可視画像としてCRT等に再生することにより高画質の撮影画像を得る方式が求められている。また、半導体プロセス技術の進歩に伴い、X線平面検出器を使用して同様に撮影画像を撮影する装置が開発されている。これらのシステムは、従来の感光性フィルムを用いる放射線システムと比較して非常に広いダイナミックレンジを有しており、放射線の露光量の変動に影響されない撮影画像を得ることができる実利的な利点を有している。
【0003】
このようなX線平面検出器では、技術の進歩により、従来のアナログカセッテのサイズまで小型化され、いわゆる、電子カセッテと呼ばれる移動型デジタルX線撮影装置が開発されている。
【0004】
このようなX線平面検出器は、既存の撮影台を更新することなく使用するために、従来のアナログカセッテと同様なサイズが一般的であり長方形サイズが多い。長方形サイズの場合、被検体の大きさにより、撮影台に対して縦挿入される場合と、横挿入される場合がある。胸部正面撮影を行う場合の一例を
図1に示す。
図1は、背景技術におけるX線平面検出器の挿入方向と頭足方向との関係を示す説明図であって、(a)は縦挿入を、(b)は横挿入を示す。
図1の(a)のように、縦挿入(立位撮影台100の頭足方向101に対して縦長に平面検出器102を挿入することを意味する)した場合、画像表示装置103に画像が縦方向(画像に撮影された被検体の頭が上)に表示されるが、
図1(b)のように、横挿入した場合、画像表示装置103に画像が横方向(画像に撮影された被検体の頭が右又は左)に表示される。
【0005】
この問題を解決する方法としては、GUI(Graphical User Interface)でユーザが画像を回転したり、X線平面検出器の一種であるFlat Pnnel Detector(以下「FPD」と略記する)の方向を検出するセンサ―や回転機構を設け、その情報を元に回転していた。
【0006】
しかし、ユーザが画像を回転することは検査のワークフローに支障をきたす。また、FPD方向検出センサ―や回転機構を設けると、コストアップとなり、更に構成も大きくなり、被検体に圧迫感を与える恐れがある。
【0007】
この問題を解決するために、特許文献1には、画像の隅にマークを埋め込み、画像の反転・回転を行う手法が提案されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係るX線画像診断装置は、被検体にX線を照射するX線管球と、前記被検体により生じる散乱線成分を除去するグリッドと、前記X線管球に対向配置され、前記被検体の透過X線を検出して画像データを出力するX線平面検出器と、前記画像データに基づく画像を表示する画像表示部と、前記画像データに含まれる前記グリッドに起因する縞方向が縦か横かを判別するグリッド縞方向判別部と、前記グリッド縞方向判別部による判別結果に基づいて、前記画像に撮影された前記被検体の領域(被検体像)における頭方向が、前記画像表示部の表示画面において上方向と一致するように、前記画像を回転する画像回転部と、を備える。そして、前記画像表示部は、前記回転後の画像を表示することを特徴とする。
【0015】
また、前記グリッド縞方向判別部は、前記画像データに対して高速フーリエ変換処理を行い、グリッド縞周波数レスポンスの値、又は前記グリッド縞周波数レスポンスと前記グリッド縞周波数の近隣の周波数レスポンスとの比、を用いてグリッド縞方向を判別してもよい。
【0016】
また、前記グリッド縞方向判別部は、前記画像において直接X線が入射した直接X線領域に対して前記高速フーリエ変換処理を行ってもよい。
【0017】
更に、前記グリッド縞方向判別部は、前記グリッド縞周波数を、前記X線画像診断装置により前記画像データを取得する際の前記被検体と前記X線管球との間の撮影距離に応じて決定してもよい。
【0018】
また、前記グリッド及び前記X線平面検出器を格納する撮影台に対する、前記X線平面検出器の挿入方向を示す挿入方向情報を記憶する検出器挿入方向記憶部を更に備え、前記画像回転部は、前記グリッド縞方向判別部による判別結果及び前記挿入方向情報に基づいて、前記画像の回転方向を決定し、前記画像における前記被検体の頭方向が前記画像表示部における上方向と一致するように前記画像を回転してもよい。
【0019】
また、前記挿入方向情報は、前記撮影台の頭足方向と前記撮影台に対する前記X線平面器の挿入方向とを対応付けたパラメータに、前記画像の回転方向として180度回転、右90度回転、又は左90度回転のいずれかを関連付けた情報であってもよい。
【0020】
前記画像回転部は、前記画像において、前記被検体が撮影された被検体領域を抽出して前記被検体の頭足方向を検出し、その検出結果を基に前記画像の回転方向が右回転又は左回転であるかを判別してもよい。
【0021】
また、前記画像回転部で判別された回転情報を、前記画像データに付帯して記憶する記憶部を更に備えてもよい。
【0022】
また、本実施形態に係る画像表示方法は、被検体により生じる散乱線成分を除去するグリッドと、X線平面検出器と、を備えたX線画像診断装置により、前記被検体を撮影して得られた画像データを読み込むステップと、前記画像データに含まれる前記グリッドに起因する縞方向が縦か横かを判別するステップと、前記判別結果に基づいて、前記画像データに基づく画像に撮影された前記被検体の領域(被検体像)における頭方向が、当該画像が表示される表示画面における上方向と一致するように、前記画像を回転するステップと、前記回転後の画像を前記表示画面に表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を用いてより具体的に説明する。同一機能を有する構成及び同一の処理内容の手順には同一符号を付し、その説明の繰り返しを省略する。
【0024】
図2は、本実施形態に係るX線画像診断装置10の概略構成を示す模式図である。X線画像診断装置10は、被検体20にX線を照射するX線管球1と、被検体20により生じる散乱線成分を除去するグリッド2と、X線管球1に対向配置され、被検体20の透過X線を検出するX線平面検出器3と、グリッド2やX線平面検出器3が格納されている撮影台4と、X線平面検出器3より出力される画像データの記憶及び画像処理を行う画像処理装置5と、画像処理装置5に記憶されている画像データを表示する画像表示装置6と、を備える。
【0025】
画像処理装置5は、画像データを記憶する画像記憶部5aと、X線平面検出器3から出力された画像データ、若しくは画像処理装置5が読みこんだ撮影画像に含まれる散乱光除去グリッド(以下「グリッド」と略記する)2の縞方向が縦か横かを判別するグリッド縞方向判別部5bと、撮影台4におけるX線平面検出器3の挿入方向情報が格納されている検出器挿入方向記憶部5cと、挿入方向情報とグリッド縞方向判別部5bからの情報により、画像記憶部5aに記憶されている画像を回転する画像回転部5dと、を備える。
【0026】
画像記憶部5aと検出器挿入方向記憶部5cとは、画像処理装置5を構成するハードウェアに含まれる不揮発性又は揮発性の記憶装置、例えばメモリ、磁気ディスク、不揮発性メモリを備えて構成される。また、グリッド縞方向判別部5b及び画像回転部5dは、読みこまれた画像データに対し高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;以下「FFT」と略記する。)を施してグリッド縞周波数のレスポンス応答を算出し、これに基づいてグリッド縞方向を判別するステップと、その判別結果を用いて画像回転処理を行うステップと、を含む画像表示方法をコンピュータに実行させるプログラムと、そのプログラムを実行するハードウェアと、が協働することにより構成される。
【0027】
本実施形態では、X線画像診断装置10に備えられたX線平面検出器3から出力された画像データのグリッド縞方向を判別し、画像を回転したが、他のX線画像診断装置が撮影した撮影画像の画像データを画像処理装置5が読込み、これに対して上記同様の画像処理を行ってよい。
【0028】
図3に基づいて、第一実施形態に係るX線画像診断装置の画像表示処理の概要について説明する。
図3は、第一実施形態に係るX線画像診断装置の画像表示処理の流れを示すフローチャートである。以下、
図3のステップ順に沿って説明する。
【0029】
(ステップS1)
X線平面検出器3から画像データを取得し、画像記憶部5aに一旦、記憶する。グリッド縞方向判別部5bは、その画像データに含まれるグリッド縞方向を判別する。縦方向と判別されたら縦方向フラグが格納され、横方向と判別されたら横方向フラグが格納される(S1)。本ステップの詳細は、後述する。
【0030】
(ステップS2)
画像回転部5dは、検出器挿入方向記憶部5cから、X線平面検出器3の撮影台4に対する挿入方向を示す挿入方向情報を読み込む。挿入方向情報は、X線画像診断装置
10又は撮影台4の設置時に、撮影台の右側又は左側どちらから挿入するかを決めて、撮影台4の設置時に設定値として格納しておく。そして、撮影台4の頭足方向を、定めた挿入方向に対応するパラメータとして表し、そのパラメータに対する画像回転方向を対応付けて挿入方向情報として記憶しておく。そして、画像回転部5dが、検出器挿入方向記憶部5cから読み出した挿入方向情報と、ステップS1のグリッド縞方向情報と、に基づいて、画像表示装置6の頭足方向に合わせるために、画像データの頭足方向の回転が不要か必要か判別する(S2)。不要の場合はステップS4へ進む。必要の場合は、ステップS3へ進む。
【0031】
(ステップS3)
画像回転部5dは、頭足回転処理を行う(S3)。グリッド縞方向が縦の場合、180度回転を行い、グリッド縞方向が横方向の場合、90度回転を行う。上記グリッド縞の縦横判別及び頭足判別処理で判別された回転フラグを画像の付帯情報として記憶してもよい。例えば、「IMEGEROTATION:1」のように、画像回転を行った履歴と、その回転方向とを示す情報と、をDICOM(注記:医療画像の通信プロトコルの一種)の付帯情報として保存することで、後でどの方向で撮影されたか分かる。本ステップの詳細は後述する。上記DICOMの付帯情報として保存することは、保存例の一つに過ぎず、他の企画の画像付帯情報に保存しても良いし、画像を識別する情報に画像回転履歴及び回転方向を対応付けて保存してもよい。
【0032】
(ステップS4)
画像処理装置5は、グリッド縞の除去処理等、画像表示処理の前に必要な処理を実行し、回転処理後の画像、若しくは回転不要な画像を画像表示装置6に表示する(S4)。このとき、画像表示装置6の上下方向と、表示された撮影画像に含まれる被検体像の頭足方向とが一致する。
【0033】
必要があれば、画像記憶部5aの画像データを回転処理後の画像データに更新し、処理を終了する。
【0034】
<グリッド縞方向判別処理>
図4及び
図5に基づいてグリッド縞方向判別処理について説明する。
図4は、グリッド縞方向判別処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、グリッド縞方向判別処理の内容を示す説明図であって、(a)はラインの走査方向を示し、(b)はグリッド縞方向が縦の場合の周波数レスポンス応答を示し、(c)はライン方向とグリッド縞方向が縦の場合との関係を示し、(d)はグリッド縞方向が横の場合の周波数レスポンス応答を示し、(e)はライン方向とグリッド縞方向が横の場合との関係を示す。以下、
図4の各ステップ順に沿って説明する。
【0035】
(ステップS11)
グリッド縞方向判別部5bは、画像50内の任意の1ラインを走査する(S11)。ライン走査は、画像50において、絞り領域のようにグリッド縞が検出困難な位置を避けるために、画像の中央部付近を始点とすると好ましい。また、ライン走査において、全ライン処理を行っても良いが、処理時間を短縮させるため所定ライン数毎に処理を行ってもよい。更にノイズ成分を除去するために、FFT処理後に平滑化処理等を施しても良い。
【0036】
本実施形態では、100line間隔でライン走査を進める。更に、ライン走査をする回数の上限値(例えば、n回)を設定しておく。ライン走査回数が上限値以下であれば(「No」に相当)、ステップS12へ進む。上限値回数分ライン走査を行った場合には、ライン走査終了と判断(「Yes」に相当)して、ステップS16へ進む。
【0037】
本実施形態では、
図5の(a)に示すように、まず、画像50の中央ライン50mから100ライン上部にあるライン50tを読出し、次のループで、中央ライン50mから100ライン下にあるライン50uへライン走査を進める。
【0038】
(ステップS12)
グリッド縞方向判別部5bは、ステップS11で読み出した1ラインに対してFFT処理を行う(S12)。
【0039】
(ステップS13)
グリッド縞方向判別部5bは、グリッド縞周波数のレスポンスRgに基づいて、グリッド縞の有無を判定する(S13)。グリッド縞方向判別部5bは、グリッド縞周波数のレスポンスRgと近隣の周波数のレスポンスRaとの比が閾値th以上の場合にグリッドありと判別する。
図5の(c)に示すように、ラインに直交する方向にグリッド縞が存在する場合、FFT処理を行うと
図5の(b)のように、横軸が周波数、縦軸がレスポンスを示すレスポンスの分布
図51において、グリッド縞周波数帯域Rgでピークが存在する。また、レスポンスの分布を輝度に対応させた画像52において、グリッド縞周波数帯域では、その周辺に比べて輝度が高く(白く)描出される。本実施形態では閾値thを2.0とする。
【0040】
X線平面検出器を横方向に挿入した場合(
図5の(e)参照)、
図5の(d)の分布
図53に示すように、全ラインにおいてRg=Raとなりグリッドなしと判別される。
【0041】
グリッド縞がありと判定されるとステップS14へ進み、グリッド縞がなしと判定されると、ステップS15へ進み、ライン走査をする箇所を変更し、ステップS11へ戻る。
【0042】
または、グリッド縞方向判別部5bは、グリッド縞周波数のレスポンスRgが、所定値以上である場合に、グリッド縞有りと判別するように構成してもよい。
【0043】
(ステップS15)
グリッド縞方向判別部5bは、縦方向フラグを付けてグリッド縞方向判別処理を終了する(S15)。
【0044】
(ステップS16)
ステップS11〜ステップS14までの処理を所定回数繰り返しても、グリッド縞が検出されない場合、グリッド縞方向判別部5bは、横方向フラグを付けてグリッド縞方向判別処理を終了する(S16)。
【0045】
<頭足回転処理>
図6及び
図7に基づいて頭足回転処理について説明する。
図6は、頭足回転処理の流れを示すフローチャートである。
図7は、臥位用テーブル撮影台における頭足回転処理の内容を示す説明図である。
【0046】
図7に示す臥位用テーブル撮影台70(以下「撮影台70」と略記する)は、頭方向71hと足方向71lとが予め決まっているものとする。また、X線平面検出器3の画像読み出し開始位置3a及び画像読出し方向3bも既知であるとする。さらに、X線平面検出器3から得られた撮影画像は、画像表示装置6における表示画面の左上隅が画像読出し開始位置3aに対応し、表示画面の左から右に向かう方向と画像読出し方向3bに沿った方向とが一致するように、撮影画像が表示されることが既知である。
【0047】
更に、撮影台70と、X線平面検出器3の挿入方向との関係については、矩形状のX線平面検出器3の長辺が撮影台70の長辺と一致するように挿入する「縦挿入」と、矩形状のX線平面検出器3の長辺が撮影台70の短辺と一致するように挿入する「横挿入」とがあり、「縦挿入」「横挿入」のそれぞれの場合について、撮影台70の天面の右側から挿入する場合と、左側から挿入する場合とが考えられる。よって、以下では、「縦挿入かつ右挿入」、「縦挿入かつ左挿入」、「横挿入かつ右挿入」、「横挿入かつ左挿入」の4通りにおける挿入方向情報について説明する。
【0048】
(縦挿入かつ右挿入の場合)
この場合の撮影台70の頭足方向71h、71lと、X線平面検出器3の挿入方向(縦挿入かつ右挿入)との関係を示すパラメータを「0」とする。パラメータ「0」においては、X線平面検出器3から読み出される撮影画像を、上記の如く、画像表示装置6における表示画面の左上隅が画像読出し開始位置3aに対応し、表示画面の左から右に向かう方向と画像読出し方向3bに沿った方向とが一致するように表示すると、撮影画像の頭方向と
画像表示装置6の表示画面における上方向とが一致する(画像回転前の「状態0’」に相当する)。よって、画像回転処理は不要となるので、パラメータ0に対しては画像回転が不要であることを示す「0:そのまま出力」とする挿入方向情報が格納される。
【0049】
(縦挿入かつ左挿入の場合)
この場合の撮影台70の頭足方向71h、71lと、X線平面検出器3の挿入方向(縦挿入かつ左挿入)との関係を示すパラメータを「1」とする。パラメータ「1」においては、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3aが撮影台70の足側に位置する。よって、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3a側には、被検体20の足側が撮影されることとなる。この状態で、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3aを左上隅として画像表示装置6に撮影画像を表示すると、表示される撮影画像では被検体の足が上(画像回転前の「状態1’」に相当する)となって、すなわち、撮影画像の頭足方向が180度反転して表示される。そこで、X線平面検出器3から読み出される撮影画像を、180度回転してから画像表示装置6に表示すると、撮影画像の頭側が上となって画像表示装置6に表示される。よって、パラメータ「1」に対しては画像の180度回転が必要であることを示す「1:180度回転」とする挿入方向情報が格納される。
【0050】
(横挿入かつ右挿入の場合)
この場合の撮影台70の頭足方向71h、71lと、X線平面検出器3の挿入方向(横挿入かつ右挿入)との関係を示すパラメータを「2」とする。パラメータ「2」においては、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3aが撮影台70の足側に位置する。また、画像読出し方向3bが撮影台70の頭方向71hと一致する。よって、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3a側には、被検体20の足側が撮影され、画像読出し方向3bに沿って被検体20の頭方向が撮影される。この状態で、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3aを左上隅として画像表示装置6に撮影画像を表示すると、表示される撮影画像では被検体20の足側が左、頭側が右となって(画像回転前の「状態2’」に相当する)、すなわち、撮影画像の頭方向が、表示画面の上方向に対して90度右回転して表示される。そこで、X線平面検出器3から読み出される撮影画像を、左90度回転してから画像表示装置6に表示すると、撮影画像の頭方向が上となって画像表示装置6に表示される。よって、パラメータ「2」に対しては画像の左90度回転が必要であることを示す「2:90度左回転」とする挿入方向情報が格納される。
【0051】
(横挿入かつ左挿入の場合)
この場合の撮影台70の頭足方向71h、71lと、X線平面検出器3の挿入方向(横挿入かつ左挿入)との関係を示すパラメータを「3」とする。パラメータ「3」においては、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3aが撮影台70の頭側に位置する。また、画像読出し方向3bが撮影台70の足方向71lと一致する。よって、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3a側には、被検体の頭側が撮影され、画像読出し方向3bに沿って被検体20の足方向71lが撮影される。この状態で、X線平面検出器3の画像読出し開始位置3aを左上隅として画像表示装置6に撮影画像を表示すると、表示される撮影画像では被検体20の頭側が左、足側が右となって(画像回転前の「状態3’」に相当する)、すなわち、撮影画像の頭方向が表示画面の上方向に対して90度左回転して表示される。そこで、X線平面検出器3から読み出される撮影画像を、右90度回転してから画像表示装置6に表示すると、撮影画像の頭方向が上となって画像表示装置6に表示される。よって、パラメータ「3」に対しては画像の右90度回転が必要であることを示す「3:90度右回転」とする挿入方向情報が格納される。
【0052】
本実施形態では、上記4つの場合について説明したが、通常は、ユーザが撮影台70を設置時に、右挿入か左挿入かのどちらか一方を決める。そして決められた挿入方向とX線平面検出器3の挿入向き(縦挿入、横挿入)のそれぞれが対応した2パターンの挿入方向情報を設定値として
検出器挿入方向記憶部5cに予め格納しておく。そして、画像回転部5dが、頭足回転処理を行う際に、検出器挿入方向記憶部5cから、2パターンのいずれの挿入方向情報に該当するかを判断して、頭足回転処理を行う。
【0053】
以下、臥位用テーブル撮影台における頭足回転処理について、
図6の各ステップ順に沿って説明する。
【0054】
(ステップS21)
画像回転部5dは、グリッド縞方向判別処理で格納された縦、横フラグを読みだす。その値が縦の場合、ステップS22へ進み、横の場合は、ステップS24へ進む(S21)。
【0055】
(ステップS22)
画像回転部5dは、検出器挿入方向記憶部5cに記憶されている挿入方向情報を参照し、0か1の分岐へ進む。0の場合はそのまま出力される。1の場合、ステップS23へ進む(S22)。
【0056】
(ステップS23)
画像回転部5dは、画像を180度回転し、出力する(S23)。
【0057】
(ステップS24)
横フラグの場合、画像回転部5dは、検出器挿入方向記憶部5cに記憶されている横方向の場合の挿入方向情報を参照し、2か3の分岐へ進む。2の場合はステップS25へ進み、3の場合はステップS26へ進む(S24)。
【0058】
(ステップS25)
画像回転部5dは、画像を90度左回転して出力し、頭足回転処理を終了する(S25)。
【0059】
(ステップS26)
画像回転部5dは、画像を90度右回転して出力し、頭足回転処理を終了する(S26)。
【0060】
本実施形態によれば、X線平面検出器の挿入方向に関わらず、画像表示装置に頭足方向を正確に表示できる。
【0061】
<第二実施形態>
次に、
図8、
図9に基づいて第二実施形態について説明する。第二実施形態は、グリッド縞方向検出処理の精度向上に資する実施形態である。ここで、
図8は第二実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
図9は、第二実施形態の処理を示す説明図である。以下、
図8の各ステップ順に沿って説明する。
【0062】
(ステップS201)
グリッド縞方向判別部5bは、撮影画像より被検体領域(被検体像)でない領域を抽出する。ここでいう被検体領域(被検体像)でない領域とは、
図9に示すようにX線被曝を低減させる絞り領域及び被検体領域でなく、直接X線が照射されている領域(以下「直接X線領域」という)である。グリッド縞方向判別部5bは、
図9に示すように、撮影画像90のうち、直接X線領域91を抽出する(S201)。
【0063】
(ステップS202〜S204)
グリッド縞方向判別部5bは、抽出した直接X線領域91内において、任意の一ラインを設定する。続いて、そのラインを基に、ステップS1において説明したグリッド縞方向判別処理を実行する。
【0064】
以下、第一実施形態と同様、抽出された直接X線領域に対してグリッド方向を判別する(S202)。縦方向と判別されたら縦方向フラグが格納され、次のステップへ進む。横方向と判別されたら横方向フラグが格納される。次に前記検出器挿入方向記憶部5cの挿入方向情報を用いて、画像回転部5dが頭足方向の回転が不要か必要か判別する(S203)。不要の場合は次のステップへ進む。必要の場合は180度回転或いは右又は左90度回転する(S204)。180度回転の場合は、グリッド方向が縦の場合実施される。90度回転は、グリッド方向が横の場合実施される。
【0065】
本実施形態によれば、被検体が撮像されていない直接X線領域のみを用いてグリッド縞方向を判別することにより、被検体の信号成分等のノイズが入り込まないため、検出精度が向上される。
【0066】
<第三実施形態>
次に、
図10、
図11に基づいて第三実施形態について説明する。第三実施形態は、頭足回転処理の精度に資する実施形態である。ここで、
図10は第三実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
図11は、第三実施形態の処理を示す説明図である。以下、
図10の各ステップ順に沿って説明する。
【0067】
(ステップS301)
撮影画像110に対してグリッド縞方向を判別する(S301)。グリッド縞方向判別処理は、第一、第二実施形態のどちらの処理でもよい。縦方向と判別されたら縦方向フラグが格納され、次のステップへ進む。横方向と判別されたら横方向フラグが格納され、次のステップへ進む。
【0068】
(ステップS302)
画像回転部5dは、撮影画像110のうち、被検体が撮影された被検体領域(被検体像)111を抽出し、その被検体領域の特徴量を基に頭足方向を判別する(S302)。
図11に示すように、画像回転部5dは、胸部正面撮影であれば頭方向に頚椎や鎖骨、肩関節の情報を取得する。また、心臓や横隔膜の情報が足方向として取得できる。更に、肺野の形状等でも頭足方向が推定できる。このように人の臓器や骨の位置を抽出することにより、頭足方向の判定ができる。
【0069】
画像回転部5dの頭足方向の判定処理の一例として、例えば、撮影画像110の一方向を走査して濃度プロファイルを生成する。そして、濃度プロファイルの広がりを上記一方向と直交する方向に沿って順次比較する。胸部撮影画像の場合、
図11の矢印AA’に沿ってライン走査をして、各ライン毎に濃度プロファイルを生成する。そして、各濃度プロファイルの幅を比較する。胸部の濃度プロファイルの幅に対し首部の濃度プロファイルの幅は狭いので、これらを比較することにより、胸部に対する首部の位置が分かり、頭足方向を判別することができる。または、
図11の矢印BB’に沿ってライン走査をして、各ライン毎に濃度プロファイルを生成すると、肩部より頭寄りには、被検体領域(被検体像)が存在しないため、濃度プロファイルの形状は、一方(胸部)に偏った形状となる。よって、濃度プロファイルの形状から、胸部に対する首部の位置が分かり、頭足方向を判別することができる。
【0070】
画像回転部5dは、被検体領域(被検体像)を基に生成した濃度プロファイルから、頭足方向を判別し、頭足回転が不要か必要か判別する。不要の場合は次のステップへ進む。必要の場合はステップS303へ進む。
【0071】
(ステップS303)
画像回転部5dは、グリッド縞方向が縦方向であれば、撮影画像を180度回転する。横方向であれば、右又は左に90度回転する。
【0072】
本実施形態によれば、挿入方向情報によらず頭足方向を判別できるため、挿入方向情報が不明な画像、例えば他のX線画像診断装置が撮影したため、挿入方向が分からない撮影画像を読み込んで、画像表示装置に表示させる場合にも、画像表示装置の上方向に撮影画像の頭方向を一致させて表示させることが出来る。
【0073】
<その他の実施形態>
上記実施形態のほか、間引き画像を使用する場合、グリッド縞周波数は、撮影された被検体−X線管球距離により異なるため、間引き数と撮影距離毎に予めグリッド縞周波数を定めたテーブルを用意しておき、撮影条件や表示条件に含まれる間引き数、被検体−X線管球距離をグリッド縞方向判別部5bが読みこみ、上記テーブルを参照して、各条件にあったグリッド縞周波数を設定してもよい。
【0074】
更に、グリッド密度やX線平面検出器のピクセルサイズに応じて、グリッド縞周波数帯域が変わるが、それに応じたグリッド縞周波数をグリッド縞方向判別部5bが検出してその処理に用いてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、矩形状のX線平面検出器の例に説明したが、正方形のX線平面検出器の場合でも、画像の読出し位置と読み出し方向とを基に、本発明を適用することができる。