特許第5706483号(P5706483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5706483
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20150402BHJP
【FI】
   F04D19/04 D
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-160344(P2013-160344)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2014-51969(P2014-51969A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】10 2012 108 394.0
(32)【優先日】2012年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391043675
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト・ヴァッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・タッツバー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト・シュタムラー
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−205183(JP,A)
【文献】 特開2008−286179(JP,A)
【文献】 特開2012−127326(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/102006(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/028874(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのガス入口開口部と少なくとも一つのガス出口開口部を備えた真空ポンプであって、この真空ポンプが、少なくとも一つのロータシャフトを備え、そのロータシャフトには、ポンプ作用を生み出すための静止部品と対向して配置されたポンプ作用を生み出すための回転部品を有する少なくとも一つのロータが、ロータシャフトの中心に配置された軸方向を向いた少なくとも一つの固定部材を用いて固定されている真空ポンプにおいて、
この少なくとも一つのロータ(201)とロータシャフト(232)が、この少なくとも一つの固定部材(280)に追加して、回転阻止部(281;309;311;313,314;317,318)を備えていることと、
この回転阻止部(281;309;311;313,314;317,318)が、ロータ(201)のセンタリングスタッド(289)又はロータシャフト(232)に配置されており、そのために、ロータシャフト(232)又はロータ(201)において、半径方向又は軸方向に向かって高さを変化させる隆起部分(315a,315b;317)が設けられるとともに、それと逆のロータ(201)又はロータシャフト(232)において、それらの隆起部分(315a,315b;317)と形状結合して受け入れる窪み部分(316a,316b;318)が設けられていることと、
を特徴とする真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術(特許文献1)では、ポンプ作用を生み出すための回転部品を備えて、ロータシャフト上に配置されたロータを真空ポンプ、例えば、ターボ分子ポンプに配備することが知られている。そのようなポンプ作用を生み出すための回転部品は、ポンプ作用を生み出すための静止部品、所謂ステータと対向して配置されている。
【0003】
前記の従来技術により、ボルトを用いて、釣り鐘形状のロータをロータシャフトの正面側と連結することが知られている。そのために、このシャフトは、ロータのスタッド部を差し込むための凹部を有する。
【0004】
そのような従来技術に属する実施構成の欠点は、そこに図示された解決策が専ら摩擦に基づいているので、ロータがシャフトに対して回転する可能性が有ることである。そのため、過負荷時に回転が起こる可能性が有る。それは、連結部を解放させてしまい、その結果ボルト連結部の所要の安全性が得られなくなる。
【0005】
動作中にロータが解放されることは、ポンプを全壊させることとなる。
【0006】
従来技術(特許文献2)では、ロータの回転が防止されている。その従来技術によると、複数のボルトを用いて、ロータをロータシャフトの正面側と固定する形状結合による連結部を配備することが知られている。それによって、ロータの回転が、そのためシャフトからのロータの解放が防止されている。しかし、そのような従来技術に属する実施構成の欠点は、組み立てに比較的負担が掛かること、並びにボルト形状の複数の高価な部品を必要とするので、ポンプの価格が上昇することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ実用新案第202005019644号明細書
【特許文献2】国際特許公開第2012/077411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、前記の欠点が生じない真空ポンプを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本課題は、請求項1に記載された特徴を有する真空ポンプによって解決される。
【0010】
本発明による真空ポンプは、少なくとも一つのガス入口開口部と少なくとも一つのガス出口開口部を備え、この真空ポンプが、少なくとも一つのロータシャフトを備え、そのロータシャフトには、ポンプ作用を生み出すための静止部品と対向して配置されたポンプ作用を生み出すための回転部品を有する少なくとも一つのロータが、ロータシャフトの中心に配置された軸方向を向いた少なくとも一つの固定部材を用いて固定されており、この少なくとも一つのロータとロータシャフトが、この少なくとも一つの固定部材に追加して、回転阻止部を備えていることを特徴とする。
【0011】
この回転阻止部は、最も簡単な手法で設計、構成することができ、そのため、安価な解決策により、ロータシャフトに対して相対的なロータの回転を防止し、そのため、ロータシャフトの中心に配置された少なくとも一つの固定部材の解放を防止している。
【0012】
本発明の特に有利な実施構成では、この回転阻止部が、ロータのセンタリングスタッドに配置される。何れにせよ、組み立て時に、中心に配置された固定部材をセンタリングスタッドに良好に取り付けることが可能であり、そのため、回転阻止部をセンタリングスタッドに配置することが有効である。
【0013】
基本的には、センタリングスタッドをロータシャフトに配置して、ロータの孔に差し込む手法が有る。
【0014】
センタリングスタッドをロータに配置してから、更に、それに対応するロータシャフトの凹部に差し込む手法も有る。
【0015】
基本的には、スタッドを決してロータ及びシャフトに配置しない手法も有る。この場合、ダウエルピンなどの一つ以上の同心又は偏心形状結合部材、或いは止めボルトなどの形状結合部材と固定部材の組合せによって、センタリングを行なうことができる。
【0016】
本発明の特に有利な実施構成は、回転阻止部が、ロータシャフトとロータの中に差し込まれる少なくとも一つのピンとして構成されるものと規定する。
【0017】
そのようなピンは、非常に安価に構成できる。更に、そのピンがロータシャフトとロータを互いに一定の遊びで一定の位置に保持すれば、ロータシャフトに対して相対的なロータの回転も防止されるので、そのピンには、調整精度に関する高い要件が課されない。
【0018】
この少なくとも一つのピンを軸方向又は半径方向に向けて配置する手法が有る。基本的には、このピンを半径方向に対して斜めに配置する手法も有る。
【0019】
本発明の別の有利な実施構成では、このピンが、ロータのセンタリングスタッドのスリット又は孔の中に配置される。このピンは、その一端をセンタリングスタッドのスリット又は孔に差し込まれ、その他端をロータシャフトのスリット又は孔に差し込まれる。
【0020】
本発明の別の有利な実施構成は、回転阻止部として、摩擦リングを配備するものと規定する。この摩擦リングは、二つのロータ構成部品であるロータとシャフトに関する相応の材料の選択及び/又は相応の表面コーティングによって、それらのロータ構成部品の間で直接実現される摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する。この摩擦リングは、ロータとロータシャフトの間に配置される、有利には、シャフトの正面とシャフトの正面の方向を向いた、ロータのセンタリングスタッドの面との間に配置される。この実施構成によって、ロータとロータシャフトの構成を変更すること無く、ロータとロータシャフトの間の回転を防止することが確保される。
【0021】
本発明の別の有利な実施構成は、ロータとシャフトの間の接合面又は当接面が摩擦係数を増大させるために片側又は両側をコーティングされるものと規定する。この実施構成によって、摩擦リング無しに、ロータとロータシャフトの間に回転阻止部を実現することが可能となる。
【0022】
基本的には、摩擦リングとロータ及びロータシャフトの接合面又は当接面の片側又は両側のコーティング部とを配備する手法も有る。
【0023】
本発明の別の有利な実施構成は、ロータ又はロータシャフトにおいて、ロータとロータシャフトの間の接触面に少なくとも一つの突起を配置して、それが、それと対向する部材に可塑的な変形を引き起こす突起として構成されるものと規定する。そのような突起は、例えば、所謂穿孔点とすることができる。この穿孔点は、例えば、ロータの材料から構成される。固定部材、例えば、固定ボルトの締め付けによって、ロータをロータシャフトに押圧した場合、この穿孔点は、それと接触した面に可塑的な変形を引き起こす。この穿孔点がロータに形成されている場合、ロータシャフトに変形を引き起こすことができる。この穿孔点をロータシャフトに形成することも可能である。その場合、この穿孔点はロータに可塑的な変形を引き起こす。一つ以上の穿孔点を構成する場合、ロータとロータシャフトを異なる材料から構成するのが有利である。その場合、この穿孔点は、より高い強度、即ち、より高い弾性限界Rを有する材料に設けられる。この場合、この少なくとも一つの穿孔点は、より柔らかい対向する材料に押し付けられる。
【0024】
本発明の別の有利な実施形態は、ロータシャフト又はロータにおいて、軸方向に向かって一つの隆起部を配置するとともに、その逆のロータ又はロータシャフトにおいて、その隆起部と形状結合して受け入れる凹部を配置するものと規定する。
【0025】
例えば、ロータシャフトの正面に、異なる高さを有する、軸方向を向いた巡回する隆起を配備する手法が有る。ロータには、それに対応して逆向き巡回する、ロータシャフトの隆起を受け入れる凹部が配備される。それによって、回転阻止部が確保される。
【0026】
本発明の別の有利な実施構成は、ロータシャフト又はロータにおいて、半径方向に向かって一つの突起を配置するとともに、その逆のロータ又はロータシャフトにおいて、その突起と形状結合して受け入れる凹部を配置するものと規定する。この実施構成では、例えば、ロータのセンタリングスタッドに、突き出たノーズ部を配備して、そのノーズ部をロータシャフトのスリット内に収容することが考えられる。このノーズ部は、このスリットと当接し、そのため、ロータシャフトに対するロータの回転が防止される。
【0027】
本発明の更に別の特徴と利点は、ロータとロータシャフトの連結部に関する複数の実施例を単に例示した添付図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ターボ分子ポンプのロータとターボ分子ポンプの駆動領域の縦断面図
図2a】ピンを用いたロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図2b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
図3a】変化実施例によるロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図3b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
図4a】半径方向に対して斜めに配置されたピンを用いたロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図4b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
図5a】変化実施例によるロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図5b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
図6a】半径方向に向かって配置されたピンを用いたロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図6b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
図7a】摩擦リングを用いたロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図7b】連結されていない状態のロータ、摩擦リング及びロータシャフトの斜視図
図8a】穿孔点を用いたロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図8b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
図9a】軸方向を向いた幾何学的形状の阻止部を用いたロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図9b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
図10a】半径方向を向いた幾何学的形状の阻止部を用いたロータとロータシャフトの連結部の縦断面図
図10b】連結されていない状態のロータとシャフトの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、ターボ分子ポンプを図示している。筐体部材260内には、シャフト232と、その周囲を取り囲む案内軸受295、半径方向支持コイル291、半径方向センサー293及びモータコイル261が配置されている。このモータコイル261は、シャフト232上に置かれた、スリーブ263によって保持されたモータマグネット262と協力して動作し、そのため、モータコイル261に電流を流した場合、シャフト232は高速回転に移行する。この半径方向センサー293は、シャフト側の半径方向センサーターゲット294と協力して動作する。
【0030】
このターボ分子ポンプは、静止しているポンプ構成部品として、補助真空の方を向いた側に、ホルベック式ステータ228を備えており、そのステータには、ロータに配置されたスリーブ227と協力して動作するとともに、一緒になってホルベック式ステージ226を構成する螺旋状のチャネルが延びている。
【0031】
別の静止しているポンプ構成部品は、ブレードリングを備えたステータディスク212、216、220及び224であり、それらの間に配置されたスペーサリング213、217、221及び225によって、軸方向に対して間隔を開けて配置されている。ステータディスク212、216、220及び224の間の軸方向の中間スペースには、ロータ用ブレードリング211,215,219及び223として構成されたポンプ構成部品が挿入されている。ロータ側の静止しているポンプ構成部品は、対になって協力して動作する。このロータ用ブレードリング211は、ステータディスク212と共に、チェンバーの方を向いた、高真空内で動作する第一のポンプステージ210を構成している。それと同様に、ステータディスク216とロータ用ブレードリング215が、その次の第二のポンプステージ214を構成し、ステータディスク220とロータ用ブレードリング219が、第三のポンプステージ218を構成し、最後のステータディスク224とロータ用ブレードリング223が、送出圧力でホルベック式ステージに対して作用する第四のポンプステージ222を構成している。これらのロータ用ブレードリングは、それぞれ互いに軸方向に対して間隔を開けた面250、251、252及び253内に配置されており、ロータ用スリーブの固定領域が面254を構成している。
【0032】
ロータ用ブレードリング219と223の形のロータ側のポンプ構成部品が第一のロータ部分201に配置されており、それと共に一体的な部材を構成している。ロータ用スリーブ227は、この第一のロータ部分と連結されている。この第一のロータ部分は、その中心に凹部230を有する。この中心から軸方向及び半径方向に延びる中空スペースは、案内軸受295の少なくとも一部を収容している。
【0033】
この第一のロータ部分201は、固定部品、例えば、ボルト280を用いて、ロータシャフト232の正面258と連結されている。このシャフト232は、第一のロータ部分201のスタッド289を差し込むための凹部を有し、それによって、半径方向の位置決めが容易となっている。この実施例では、第一のロータ部分201は、支持区画201aを有する。この支持区画は、第一のロータ部分201から軸方向に関して高真空の方向に、即ち、シャフト232と逆の方向に延びている。この支持区画上には、ロータ用ブレードリング211と連結される支持リング208が配置されている。同様に、別の支持リング209とロータ用ブレードリング215が互いに連結される。支持リングをロータ用ブレードリングと共に有利に製作することが可能である。
【0034】
正面側の支持区画201aには、バランス錘271を差し込むことが可能なバランス孔270が設けられている。ロータ用ブレードリング219と223のバランス孔272には、バランス錘273を配置することができる。
【0035】
シャフト232に対する第一のロータ部分201の回転を防止するために、一端をロータ部分201内に配置し、他端をシャフト232内に配置したピン281が、回転阻止部として配備されている。そのピンは中心に配置されたボルト280から半径方向に間隔を開けて配置されているので、シャフト232に対するロータ部分201の回転を防止している。
【0036】
図2aは、ボルト280を用いて、ロータ部分201と固定されたロータシャフト232を図示している。このピン281は、ロータシャフト232に対するロータ部分201の回転を防止している。
【0037】
図2bでは、軸方向の孔300がセンタリングスタッド289内に設けられている。同様に、このシャフト232内には、孔301が設けられている。図2bに図示されていないピン281の端部が、これらの孔300と301に差し込まれる。
【0038】
図3aと3bは、又もや孔301を設けたロータシャフト232を図示している。しかし、このロータ201のセンタリングスタッド289は、孔の代わりにスリット302を有する。ピン281は、その一端をロータシャフト232の孔301の中に配置され、その他端をセンタリングスタッド289のスリット302内に配置される。
【0039】
このようなスリット302による実施構成は、孔による実施構成と比べて、スリット302の方が、非常に正確な許容差を遵守せずに、スタティック方式による所定の調整システムを構成できるとの利点を有する。センタリングスタッド289が、ロータ201とロータシャフト232を半径方向に関してセンタリングする役割を果たしている。二つの異なる孔をピンに対して一直線に並べなければならない場合、この解決策は、現存する許容差と遊びに応じて、余裕が無くなり、否定的な影響を与えることとなる。
【0040】
スリット302は、ピン281が専ら回転方向の自由度を阻止するとともに、センタリングスタッド289によって阻止されない二つの半径方向の自由度に影響を及ぼさないように作用する。
【0041】
図4aと4bでは、ピン281が、ロータ部分201のセンタリングスタッド289のスリット303及びシャフト232の半径方向に向かって設けられた孔304の中に半径方向に対して斜めに配置されている。
【0042】
この実施構成では、ピン281が、遠心力によって確実に固定される。
【0043】
図5aと5bでは、ピン281が、センタリングスタッド289の領域外において半径方向に対して間隔を開けて設けられたロータ201の孔305の中に配置される。それに対応する対向する孔306は、シャフト232内に設けられている。この孔306は、ロータ201に対するシャフト232の外側の当接面に設けられている。
【0044】
図6aと6bは、別の実施例を図示している。ピン281は、ロータ用センタリングスタッド289内に半径方向に向かって差し込まれ、そのため、センタリングスタッド289の孔307の中に配置される。ピン281の他端は、シャフト232のスリット308に差し込まれる。
【0045】
図7aと7bは、別の実施例を図示している。この実施例では、センタリングスタッド289とシャフト232の正面側258の間に摩擦リング309が配置されている。ロータ部分201は、ボルト280によって、シャフト232に押し付けられる。この摩擦リング309は、シャフト232に対して相対的なロータ部分201の回転を防止している。
【0046】
図8aと8bに図示されている実施例では、シャフト232の当接面310上に穿孔点311が形成されている。この穿孔点311は、ロータ部分201の当接面312と当接する。シャフト232は、ロータ部分201よりも硬い材料から構成されている。ボルト280を用いて、ロータ部分201をシャフト232に締め付けた場合、この穿孔点311によって、ロータ部分201の当接面312の可塑的な変形が起こる。穿孔点311と可塑的な変形部分の間の噛み合いによって、同じくシャフト232に対して相対的なロータ部分201の回転を防止する形状結合部が実現される。
【0047】
図9aと9bでは、シャフト232が、その端部に軸方向に突き出た形状の幾何学的形状による阻止部313を有し、それに対応する部分314がロータ部分201に設けられている。この軸方向に突き出た形状の幾何学的形状による阻止部313は、二つの隆起部分315a,315bを有し、これらの隆起部分は、それらに対応する窪み部分316a,316bに収容される。これらの部分313と314の形状結合によって、ロータ部分201とロータシャフト232の間の回転阻止部が実現されている。
【0048】
本発明の別の実施例が図10a,10bに図示されている。このセンタリングスタッド289は、半径方向に突き出た形状の突起317を有し、その突起は、ロータシャフト232のスリット318内に配置される。ロータシャフト232のスリット318内には、(図示されていない)当接部分が設けられており、そのため、シャフト232に対して相対的なロータ部分201の回転が防止される。
【0049】
図1〜10に図示された実施構成を互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
201 ロータ部分
201a 支持区画
208 支持リング
209 支持リング
210 ポンプステージ
211 ロータ用ブレードリング
212 ステータディスク
213 スペーサリング
214 ポンプステージ
215 ロータ用ブレードリング
216 ステータディスク
217 スペーサリング
218 ポンプステージ
219 ロータ用ブレードリング
220 ステータディスク
221 スペーサリング
222 ポンプステージ
223 ロータ用ブレードリング
224 ステータディスク
225 スペーサリング
226 ホルベック式ステージ
227 スリーブ
228 ホルベック式ステータ
230 凹部
232 ロータシャフト
250 面
251 面
252 面
254 面
258 シャフト232の正面側
260 筐体部材
261 モータコイル
262 モータマグネット
263 スリーブ
270 バランス孔
271 バランス錘
272 バランス孔
273 バランス錘
280 ボルト
281 ピン
289 スタッド
291 半径方向支持コイル
292 半径方向支持ターゲット
293 半径方向センサー
294 半径方向センサーターゲット
295 案内軸受
300 孔
301 孔
302 スリット
303 スリット
304 半径方向の孔
305 孔
306 孔
307 孔
308 スリット
309 摩擦リング
310 ステータの当接面
311 穿孔点
312 ロータ部分201の当接面
313 軸方向の幾何学的形状による阻止部
314 軸方向の幾何学的形状による阻止部の一部分
315a 隆起部分
315b 隆起部分
316a 窪み部分
316b 窪み部分
317 突起
318 スリット
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b