【課題を解決するための手段】
【0009】
本課題は、請求項1に記載された特徴を有する真空ポンプによって解決される。
【0010】
本発明による真空ポンプは、少なくとも一つのガス入口開口部と少なくとも一つのガス出口開口部を備え、この真空ポンプが、少なくとも一つのロータシャフトを備え、そのロータシャフトには、ポンプ作用を生み出すための静止部品と対向して配置されたポンプ作用を生み出すための回転部品を有する少なくとも一つのロータが、ロータシャフトの中心に配置された軸方向を向いた少なくとも一つの固定部材を用いて固定されており、この少なくとも一つのロータとロータシャフトが、この少なくとも一つの固定部材に追加して、回転阻止部を備えていることを特徴とする。
【0011】
この回転阻止部は、最も簡単な手法で設計、構成することができ、そのため、安価な解決策により、ロータシャフトに対して相対的なロータの回転を防止し、そのため、ロータシャフトの中心に配置された少なくとも一つの固定部材の解放を防止している。
【0012】
本発明の特に有利な実施構成では、この回転阻止部が、ロータのセンタリングスタッドに配置される。何れにせよ、組み立て時に、中心に配置された固定部材をセンタリングスタッドに良好に取り付けることが可能であり、そのため、回転阻止部をセンタリングスタッドに配置することが有効である。
【0013】
基本的には、センタリングスタッドをロータシャフトに配置して、ロータの孔に差し込む手法が有る。
【0014】
センタリングスタッドをロータに配置してから、更に、それに対応するロータシャフトの凹部に差し込む手法も有る。
【0015】
基本的には、スタッドを決してロータ及びシャフトに配置しない手法も有る。この場合、ダウエルピンなどの一つ以上の同心又は偏心形状結合部材、或いは止めボルトなどの形状結合部材と固定部材の組合せによって、センタリングを行なうことができる。
【0016】
本発明の特に有利な実施構成は、回転阻止部が、ロータシャフトとロータの中に差し込まれる少なくとも一つのピンとして構成されるものと規定する。
【0017】
そのようなピンは、非常に安価に構成できる。更に、そのピンがロータシャフトとロータを互いに一定の遊びで一定の位置に保持すれば、ロータシャフトに対して相対的なロータの回転も防止されるので、そのピンには、調整精度に関する高い要件が課されない。
【0018】
この少なくとも一つのピンを軸方向又は半径方向に向けて配置する手法が有る。基本的には、このピンを半径方向に対して斜めに配置する手法も有る。
【0019】
本発明の別の有利な実施構成では、このピンが、ロータのセンタリングスタッドのスリット又は孔の中に配置される。このピンは、その一端をセンタリングスタッドのスリット又は孔に差し込まれ、その他端をロータシャフトのスリット又は孔に差し込まれる。
【0020】
本発明の別の有利な実施構成は、回転阻止部として、摩擦リングを配備するものと規定する。この摩擦リングは、二つのロータ構成部品であるロータとシャフトに関する相応の材料の選択及び/又は相応の表面コーティングによって、それらのロータ構成部品の間で直接実現される摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する。この摩擦リングは、ロータとロータシャフトの間に配置される、有利には、シャフトの正面とシャフトの正面の方向を向いた、ロータのセンタリングスタッドの面との間に配置される。この実施構成によって、ロータとロータシャフトの構成を変更すること無く、ロータとロータシャフトの間の回転を防止することが確保される。
【0021】
本発明の別の有利な実施構成は、ロータとシャフトの間の接合面又は当接面が摩擦係数を増大させるために片側又は両側をコーティングされるものと規定する。この実施構成によって、摩擦リング無しに、ロータとロータシャフトの間に回転阻止部を実現することが可能となる。
【0022】
基本的には、摩擦リングとロータ及びロータシャフトの接合面又は当接面の片側又は両側のコーティング部とを配備する手法も有る。
【0023】
本発明の別の有利な実施構成は、ロータ又はロータシャフトにおいて、ロータとロータシャフトの間の接触面に少なくとも一つの突起を配置して、それが、それと対向する部材に可塑的な変形を引き起こす突起として構成されるものと規定する。そのような突起は、例えば、所謂穿孔点とすることができる。この穿孔点は、例えば、ロータの材料から構成される。固定部材、例えば、固定ボルトの締め付けによって、ロータをロータシャフトに押圧した場合、この穿孔点は、それと接触した面に可塑的な変形を引き起こす。この穿孔点がロータに形成されている場合、ロータシャフトに変形を引き起こすことができる。この穿孔点をロータシャフトに形成することも可能である。その場合、この穿孔点はロータに可塑的な変形を引き起こす。一つ以上の穿孔点を構成する場合、ロータとロータシャフトを異なる材料から構成するのが有利である。その場合、この穿孔点は、より高い強度、即ち、より高い弾性限界R
e を有する材料に設けられる。この場合、この少なくとも一つの穿孔点は、より柔らかい対向する材料に押し付けられる。
【0024】
本発明の別の有利な実施形態は、ロータシャフト又はロータにおいて、軸方向に向かって一つの隆起部を配置するとともに、その逆のロータ又はロータシャフトにおいて、その隆起部と形状結合して受け入れる凹部を配置するものと規定する。
【0025】
例えば、ロータシャフトの正面に、異なる高さを有する、軸方向を向いた巡回する隆起を配備する手法が有る。ロータには、それに対応して逆向き巡回する、ロータシャフトの隆起を受け入れる凹部が配備される。それによって、回転阻止部が確保される。
【0026】
本発明の別の有利な実施構成は、ロータシャフト又はロータにおいて、半径方向に向かって一つの突起を配置するとともに、その逆のロータ又はロータシャフトにおいて、その突起と形状結合して受け入れる凹部を配置するものと規定する。この実施構成では、例えば、ロータのセンタリングスタッドに、突き出たノーズ部を配備して、そのノーズ部をロータシャフトのスリット内に収容することが考えられる。このノーズ部は、このスリットと当接し、そのため、ロータシャフトに対するロータの回転が防止される。
【0027】
本発明の更に別の特徴と利点は、ロータとロータシャフトの連結部に関する複数の実施例を単に例示した添付図面から明らかとなる。