(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、対象の個体的事象、すなわち、所定の個体に特有の事象に関する迅速かつ単純な注記を提供する。事象は、多様であり、病徴、所定の活動の開始等に及ぶ。本発明に従う個体的事象の注記またはマークは、医療用途および非医療用途を含む多種多様の異なる用途において適用される。
【0009】
本発明は、摂取可能な事象マーカ(すなわち、IEM)およびIEMから発せられる信号を受信するように構成された個体用信号受信機を含む新規なシステムによって可能になる。IEMの実施形態は、識別子を含み、識別子は、生理学的に許容される担体に存在してもよく、または存在しなくてもよい。識別子は、消化管内部標的部位等の、内部標的部位との接触時に作動することを特徴とする。個体用信号受信機は、生理学的位置、例えば、体内または身体に関連付けられ、かつIEMから信号を受信するように構成される。
【0010】
本発明をより詳細にさらに説明すると、本システムの物理的構成要素、例えば、IEM、個体用信号受信機、および任意の外部デバイスの実施形態について、まず詳細に検討する。次いで、本発明のシステムを使用する一般的な方法について説明する。本説明の後、システムおよび方法が使用される種々の用途に関する検討が提供される。また、システム、例えば、IEM、受信機等の構成要素を含むキットについても以下に詳細に検討される。
【0011】
(摂取可能な事象マーカ組成物)
本発明の実施形態は、摂取可能な事象マーカ組成物を含み、この組成物は、それに安定的に関連付けられる識別子を有する。IEM組成物の識別子は、識別子の標的生理学的部位との接触時に、検出可能信号を生成する(すなわち、発信する)ものである。本組成物の識別子は、標的生理学的位置、例えば胃との接触時に作動する(すなわち、電源が入る)限り、特定の実施形態および組成物の目的の用途に応じて異なってもよい。したがって、識別子は、標的身体(すなわち、生理学的)部位に接触する際に、信号を発信する識別子であり得る。識別子は、作動後、例えば、標的部位との接触時に検出可能信号を提供可能である任意の構成要素またはデバイスであってもよい。特定の実施形態では、識別子は、例えば、上記に要約したように、組成物が標的生理学的部位に接触すると信号を発信する。
【0012】
実施形態に応じて、標的生理学的部位または位置は変化してもよく、対象の代表的な標的生理学的部位には、口、食道、胃、小腸、大腸等の消化管における位置が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、識別子は、標的部位の特定の組成物にかかわらず、標的部位の流体との接触時に作動するように構成される。
【0013】
特定の用途の必要性に応じて、識別子から入手した信号は、汎用信号、例えば、組成物が標的部位に接触したことを単に識別する信号であってもよく、または、一意的信号、例えば、バッチになった集合または複数の異なるマーカからの、特定の摂取可能な事象マーカが標的生理学的部位に接触したことを、何らかの方法で一意的に識別する信号であってもよい。したがって、識別子は、単位投与のバッチ、例えば、錠剤のバッチで用いる場合、そのバッチの任意の他の単位投与メンバーの識別子によって発信される信号とは区別できない信号を発信するものであり得る。さらに他の実施形態では、識別子は、その特定の識別子を一意的に識別する信号を発信する。したがって、特定の実施形態では、あるクラスの識別子を他の種類の識別子と区別する一意的信号を発信する。特定の実施形態では、識別子は、その識別子を他の識別子と区別する一意的信号を発信する。特定の実施形態では、識別子は、一意的であり、すなわち、これまでに生成された任意の他の識別子により発信された信号と区別可能である信号を発信し、この場合、このような信号は、普遍的一意的信号として考えられ得る(例えば、任意の他の個体の任意の他の指紋とは異なるヒトの指紋に似て、普遍的レベルで個体を一意的に識別する)。一実施形態では、信号は、所定の事象に関する情報を直接伝達してもよく、または、データベース、すなわち、識別コードを組成物に関連付けるデータベースから、事象に関する情報を読み出すために使用され得る識別コードを提供してもよい。
【0014】
識別子は、多種多様の異なる種類の信号を生成してもよく、この信号には、RF信号、磁気信号、導電性(近接場)信号、音響信号等が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、2006年8月28日に出願された係属PCT出願第PCT/US2006/16370号に記載される特定の信号を対象とし、この出願における種々の種類の信号に関する開示は、参照により本明細書に具体的に援用される。識別子の伝送時間は、変化してもよく、特定の実施形態では、伝送時間は、約0.1μ秒から約48時間以上、例えば、約0.1μ秒から約4時間以上、約1分から約10分までの範囲を含む、約1秒から約4時間等の、約0.1μ秒から約24時間以上までの範囲であってもよい。所定の実施形態に応じて、識別子は、信号を一回伝送してもよく、または、信号が冗長信号として考えられ得るように、信号を2回以上伝送してもよい。
【0015】
特定の実施形態では、識別子は、例えば、単独で、または組成物の生理学的に許容される担体成分と組み合わせて、経口的に摂取可能であるような寸法を有し、それを必要とする被験者に容易に投与可能である組成物を生成するようにする。したがって、特定の実施形態では、識別子要素は、約0.05mmから約2mm以上までの範囲、例えば、約0.1mmから約0.2mm以上までの範囲等の約0.05mmから約1mmまでの範囲の幅と、約0.05から約2mm以上までの範囲、例えば、約0.1mmから約0.2mmまでの範囲等の約0.05mmから約1mmまでの範囲の長さと、約0.05から約2mm以上までの範囲、例えば、約0.05mmから約0.3mmまでの範囲等の約0.1mmから約1mmまでの範囲であって、約0.1mmから約0.2mmまでの範囲を含む高さとを有するような寸法を有する。特定の実施形態では、識別子は、0.1mm
3以下等の1mm
3以下であって、0.2mm
3以下を含む。識別子要素は、チップ構成、円柱形構成、球形構成、円板構成等を含むが、これらに限定されない多種多様の異なる構成を取ってもよく、この場合、特定の構成は、目的の用途、製造方法等に基づいて選択されてもよい。
【0016】
特定の実施形態では、識別子は、製造後にプログラム可能である識別子であり得る。例えば、識別子により生成される信号は、識別子の産生後に決定されてもよく、この場合、識別子は、フィールドプログラマブル、マスプログラマブル、ヒューズプログラマブル、およびリプログラマブルであってもよい。非符号化識別子がまず産生されて、組成物への組み込み後に符号化されて、組成物のための識別信号を発信するこのような実施形態を対象とする。任意の簡便なプログラミング技術を用いてもよい。特定の実施形態では、用いられるプログラミング技術は、RFID技術である。本識別子に用いられ得る対象のRFIDスマートタグ技術は、米国特許第7,035,877号、第7,035,818号、第7,032,822号、第7,031,946号ならびに出願公開第20050131281号、およびその同等物に記載のものを含むが、これらに限定されず、これらの開示は、参照により本明細書に援用される。RFIDまたは他のスマートタグ技術により、製造者/業者は、識別子が組成物に組み込まれた後であっても、一意的なIDコードを所定の識別子に関連付けることができる。特定の実施形態では、使用前の組成物の取り扱いに伴う各個体または組織は、例えば、参照によりその開示が本明細書に援用される米国特許第7,031,946号に記載のように、識別子により発信される信号に関するプログラミングの形式で、情報を識別子に導入することができる。
【0017】
特定の実施形態の識別子は、メモリ要素を含み、この場合、メモリ要素は、その容量に関して異なってもよい。特定の実施形態では、メモリ要素は、1ビットから1メガバイトまでの範囲等の、約1ビットから1キガバイト以上までの範囲であって、約1ビットから約128ビットまでの範囲を含む容量を有する。用いられる特定の容量は、用途、例えば、信号が汎用信号または符号化信号であるか否かに応じて変化してもよく、この場合、信号は、いくつかの追加の情報、例えば、識別子に関連付けられる活性薬剤の名称の注釈を付けられても、付けられなくてもよい。
【0018】
本発明の実施形態の識別子構成要素は、(a)作動構成要素、および(b)信号生成構成要素を有し、この場合、信号生成構成要素は、作動構成要素によって作動されて、例えば上述のように、識別信号を産生する。
【0019】
作動構成要素は、識別子の信号生成要素を作動させて、例えば、組成物の胃等の対象標的生理学的部位との接触後に、発信によって、または問い合わせ時に、信号を産生する構成要素である。同時係属PCT出願第PCT/US2006/016370号において検討するように、識別子の作動は、多数の異なる方式で達成されてもよく、この場合、このような手法には、電池完成、電池接続等が含まれるが、これらに限定されない。該同時係属出願において開示される異なる作動手法は、本明細書に説明される作動を提供するように容易に適合させてもよく、該出願は、参照により全体として本明細書に援用される。
【0020】
電池完成フォーマットに基づく作動要素の実施形態は、完成時に、陰極、陽極、および電解質を含む電池を用い、この場合、電解質は、少なくとも部分的に、標的生理学的部位に存在する流体(胃に存在する胃液であり、この場合、胃は、標的生理学的部位である)によって構成される。例えば、胃液作動型IEMを摂取する場合、それは、食道を通って胃に入るように進む。IEM上に設けられる陰極および陽極は、完全な電池を構成しない。しかしながら、陰極および陽極が胃液に暴露されると、胃液は、電池の電解質成分としての役割を果たし、電池を完成させる。したがって、IEMが標的部位に接触する際、識別子を作動させる電源が提供される。次いで、データ信号が伝送される。
【0021】
特定の実施形態では、用いられる電池は、電池の2つの電極(例えば、陽極および陰極)を構成する2つの異種電気化学的材料を備える電池である。電極材料が暴露されて、胃酸または他の種類の流体等の体液に接触すると、2つの電極材料を生じさせるそれぞれの酸化反応および還元反応の結果として、電位差(すなわち、電圧)が、電極間に生成される。電解質中の2つの異種材料は、異なる電位にある。例として、銅および亜鉛は、電池に導入する際に、異なる電位を有する。同様に、金およびマグネシウムは、異なる電位を有する。
【0022】
対象の材料および対には、以下の表に記載のものを含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
【化1】
特定の実施形態では、金属の片方または両方は、例えば、電池の電圧出力を強化するために、非金属でドープされ得る。特定の実施形態では、ドープ剤として使用され得る非金属には、硫黄、ヨード、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
特定の実施形態では、電極材料は、陰極としてヨウ化第1銅(CuI)または塩化第1銅であり、陽極としてマグネシウム(Mg)金属またはマグネシウム合金である。本発明の実施形態は、人体に無害である電極材料を使用する。
【0025】
これらの実施形態のうちの特定の実施形態では、電池電源は、胃液、血液、または他の体液およびいくつかの組織等のイオン溶液中の電気化学反応を利用する電源として考えられ得る。
図1は、本発明のある実施形態に従う識別子の図表示を提供する。第1および第2の電極材料(32および33)は、イオン溶液39(例えば、胃液)中に存在する。本構成は、電子回路40に印加される低電圧(V-)および高電圧(V+)を生成する。そ
の電子回路40の2つの出力は、信号伝送電極であるE0 41およびE1 42である。代替実施形態では、信号生成要素30は、単一電極を含む。代替実施形態では、通信用のコイルが提供され得る。特定の実施形態では、構造、例えば、電流が移動する経路を画定するチップより大きい膜が提供される。
【0026】
電極32および33は、識別子30が動作する環境に適切な任意の2つの材料から作製可能である。活性材料は、異なる電気化学電位を有する任意の対の材料である。例えば、イオン溶液39が胃酸を含むいくつかの実施形態では、電極32および33は、時期尚早に腐食しないように、貴金属(例えば、金、銀、白金、パラジウム、またはその同等物)から作製され得る。代替として、電極は、アルミニウムまたは任意の他の導電性材料から製作可能であり、適用可能なイオン溶液中におけるその寿命の長さは、識別子30がその目的の機能を実行可能であるのに十分である。適切な材料は、金属に限定されず、特定の実施形態では、対の材料は、金属および非金属から選択され、例えば、金属(Mg等)および塩(Cul等)から構成される対が挙げられる。活性電極材料に関し、適切に異なる電気化学電位(電圧)および低界面抵抗を有する任意の対の物質(金属、塩、または層間化合物)が適切である。
【0027】
特定の実施形態では、IEMは、直列電池構造を含むことを特徴とし、これらの直列電池構造は、直列の異なる電池構造の電極要素間の短絡を、排除しない場合、実質的に低減するように構成され得る。本発明の電池は、直列電池であるため、電池は、2つ以上の個々の電池構造または電池ユニットを含み、この場合、本発明の所定の直列電池に存在し得る電池構造の数は、電池の所定の用途の必要に応じて、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上等であってもよい。各個々の電池構造は、少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極を含み、この場合、陽極および陰極は、固体支持体の表面に存在し、陽極および陰極の各々の支持体は、同一または異なってもよい。
【0028】
直列電池の側面は、所定の直列の2つ以上の電池間の短絡を、排除しない場合、実質的に低減する構成を含む。この短絡の排除は、直列の2つ以上の電池が占有する範囲、例えば、電池ユニットが固体支持体の表面に存在する範囲が小さいにもかかわらず、提供される。本直列電池の実施形態は、直列電池の2つの異なる電池構造の電極間の抵抗性が、所定の電池構造内の電極間の抵抗性よりも大幅に大きい構成を含む。特定の実施形態では、単一の電池構造内の電極(すなわち、陽極および陰極)と比べた2つの異なる電池構造の電極間のイオン抵抗性の比率は、約5倍以上等の約1.5倍以上であって、約10倍以上を含む。
【0029】
特定の直列電池構成に応じて、電池間の短絡は、排除されない場合、多種多様の異なる手法を使用して低減可能である。使用可能な特定の手法は、以下に、より詳しく検討され、以下の手法は、対象の特定の電池構成に応じて、組み合わせて使用してもよく、または使用しなくてもよい。
【0030】
特定の実施形態では、2つ以上の電池構造は、直列で提供され、この場合、各電池構造は、チャンバを含み、陽極および陰極は、チャンバ内部、例えば、同一の内壁または異なる内壁に配置される。チャンバは、異なり得る容積を有し、特定の実施形態では、約10
-11Lから約10
-7Lまでの範囲等の、約10
-12Lから約10
-5Lまでの範囲であって、約10
-10Lから約10
-8Lまでの範囲を含む。特定の実施形態では、チャンバは、例えば、その開示が参照により本明細書に援用されるPCT出願第PCT/US07/82563号に記載されるような、ある量の乾燥導電性媒体を含んでもよい。
【0031】
特定の実施形態では、所定のチャンバは、少なくとも1つの流入ポートおよび少なくとも1つの流出ポートを含み、結果的に、電池がその中に存在する組成物が対象標的部位に到達する際に、液体、例えば、胃液が、チャンバに流入可能になり、また、液体の流入時に、気体が、チャンバを流出可能になる。流入ポートおよび流出ポートの寸法は、異なってもよいが、特定の実施形態では、ポートは、約5μから約500μmまでの範囲等の、約0.01μから約2mmまでの範囲の直径を有する。
【0032】
所定のチャンバのポートは、効果的なチャンバへの流体の流入およびチャンバからの気体の流出を提供するように、他のチャンバのポートとの関係で配置され、また、該当する場合、直列電池の2つ以上の異なるチャンバ間の短絡を実質的に排除するように配置される。したがって、ポートの位置は、電池構造本体と、直列電池の他の電池構造とのその物理的関係との両方を考慮して選択される。構成が、例えば、上述のような所望の抵抗比を提供する限り、任意の構成の流体ポートを選択してもよい。
【0033】
図28は、本発明のある実施形態に従う直列電池の上面図を提供する。
図28において、直列電池150は、固体支持体153の表面152上に存在する2つの異なる電池構造151Aおよび151Bから構成される。電池構造151Aは、陰極154Aおよび陽極155Aを含み、一方、構造151Bは、陰極154Bおよび陽極155Bを含む。図示するように、各電池構造の陰極および陽極は、境界156Aおよび156Bに画定されるチャンバに存在する。構造151Aの壁156Aに、チャンバからの流入出を提供するポート157Aおよび158Aが存在する。構造151Aのポート157Aおよび158Aは、構造151Bのポート157Bおよび158Bとの関係で配置され、結果的に、構造151Aおよび151Bの電極間の短絡の電位が、完全には排除されなくても、実質的に排除される。
図28に示す構成において、ポート157Aおよび158Aは、境界156Aの対向する壁に配置され、ポート157Bおよび158Bは、境界156Bの対向する壁に配置される。さらに、ポート157Aおよび158Aは、境界要素156Bにおけるポート157Bおよび158Bの配置との関係で、その境界要素156Aの対向する壁上に存在する。
【0034】
図29は、本発明の別の実施形態に従う直列電池の上面図を提供する。
図29において、直列電池160は、固体支持体163の表面162上に存在する2つの異なる電池構造161Aおよび161Bから構成される。電池構造161Aは、陰極164Aおよび陽極165Aを含み、一方、構造161Bは、陰極164Bおよび陽極165Bを含む。
図29に示す構造は、電池構造が、相互に隣り合って重なるため、
図28に示す構造とは異なる。図示するように、各電池構造の陰極および陽極は、境界166Aおよび166Bに画定されるチャンバに存在する。構造161Aの壁166Aに、チャンバからの流入出を提供するポート167Aおよび168Aが存在する。構造161Aのポート167Aおよび168Aは、構造161Bのポート167Bおよび168Bとの関係で配置され、結果的に、構造161Aおよび161Bの電極間の短絡の電位が、完全には排除されなくても、実質的に排除される。
【0035】
所望の抵抗比を提供するように流体ポートを配置することに付加的にまたは代替的に、流体ポートは、電池構造間の所望の抵抗性を提供するように修正され得る。例えば、ポートは、選択的半透膜を含んでもよい。任意の簡便な半透膜を用いてもよい。半透膜には、ePTFE、Dacron(登録商標)、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリ(ラクチドコグリコリド)(PLGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、コラーゲン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ナフィオン、または他の生体適合性材料が含まれてもよい。膜の細孔径は、特定の構成に応じて異なってもよく、特定の実施形態では、膜は、細孔径を有する(約500d以下等の約1000d以下のMWカットオフであって、約250d以下、例えば、約50d以下等の約100d以下を含むMWカットオフ)。特定の実施形態では、膜は、水のみが透過性の膜であり、任意の他の流体が標的部位において構成する場合は、少しの水が、膜を通過して、識別子の乾燥導電性媒体前駆体に到達する。
【0036】
特定の実施形態では、固体支持体153、163は、回路支持要素である。回路支持要素は、任意の簡便な構成を取ってもよく、特定の実施形態では、集積回路(integrated circuit;IC)チップである。電極要素が位置する表面は、必要に応じて、上面、底面、または何らかの表面、例えば、側面であってもよく、特定の実施形態では、電極要素が少なくとも部分的に存在する表面は、ICチップの上面である。
【0037】
特定の実施形態では、直列電池は、小さな形状因子を有する。電池は、約20mm
3以下、例えば、1.0mm
3以下等の約10mm
3以下であって、0.1mm
3以下を含み、0.02mm
3以下を含んでもよい。特定の実施形態では、電池要素は、約0.01mmから約100mmまでの範囲、例えば、約0.1mmから約20mmまでの範囲であって、約0.5mmから約2mmまでの範囲を含む範囲の幅と、約0.01mmから約100mmまでの範囲、例えば、約0.1mmから約20mmまでの範囲であって、約0.5mmから約2mmまでの範囲を含む長さと、約0.01mmから約10mmまでの範囲、例えば、約0.05mmから約2mmまでの範囲であって、約0.1mmから約0.5mmまでの範囲を含む高さとを有するような寸法を有する。
【0038】
直列電池の実施形態は、その開示が参照により本明細書に援用される米国仮特許出願第60/889,871号にさらに記載されるものを含む。
【0039】
識別子要素の信号生成構成要素は、作動構成要素による作動時に、検出可能信号を発信する構造であり、例えば、検出可能信号は、例えば、以下により詳しく説明する受信機によって受信可能である。特定の実施形態の信号生成構成要素は、検出可能信号を産生可能であり、および/または作動構成要素による作動時に、変換されたブロードキャスト出力を変調可能である任意の簡便な構成要素または要素であることが可能である。対象の検出可能信号には、導電性信号、音響信号等が含まれるが、これらに限定されない。上記に検討するように、信号発生器から発信された信号は、汎用信号または一意的信号であってもよく、この場合、代表的な種類の対象信号には、周波数偏移符号化信号、振幅変調信号、周波数変調信号等が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
特定の実施形態では、信号生成要素は、以下により詳細に展開されるような回路を含み、この回路は、信号を産生または生成する。選択される回路の種類は、識別子の電源から供給される駆動力に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、駆動力が1.2ボルト以上である場合、標準的なCMOS回路を用いてもよい。駆動力が約0.7Vから約1.2Vまでの範囲である他の実施形態では、閾下の回路設計を用いてもよい。約0.7V以下の駆動力では、ゼロ閾値のトランジスタ設計を用いてもよい。
【0041】
特定の実施形態では、信号生成構成要素は、作動構成要素による作動に応答して、デジタルクロック信号を生成可能である電圧制御型発振器(voltage-control
led oscillator; VCO)を含む。VCOは、アドレスが割り当てられ、かつ制御電圧でVCOを制御することが可能であるデジタル回路により制御可能である。このデジタル制御回路は、作動構成要素および発振器を含むチップに内蔵可能である。アドレスを符号化するために振幅変調または位相偏移変調を使用して、識別信号は伝送される。
【0042】
信号生成構成要素は、生成された信号を遠隔受信機に伝送する役割を果たす特有の送信機構成要素を含んでもよく、この送信機構成要素は、以下により詳細に検討するように、患者の体内または体外にあってもよい。存在する場合、送信機構成要素は、多数の異なる構成を取ってもよく、例えば、生成かつ発信される信号の種類に依存する。特定の実施形態では、送信機構成要素は、1つ以上の電極から構成される。特定の実施形態では、送信機構成要素は、例えば、アンテナ形式の1つ以上のワイヤから構成される。特定の実施形態では、送信機構成要素は、1つ以上のコイルから構成される。したがって、信号送信機は、多種多様の異なる送信機、例えば、電極、アンテナ(例えば、ワイヤ形式)コイル等を含んでもよい。特定の実施形態では、信号は、1つもしくは2つの電極、または1つまたは2つのワイヤのいずれかによって伝送される(2電極式送信機は、双極子であり、単電極式送信機は、単極子を形成する)。特定の実施形態では、送信機は、電力の1つのダイオードドロップのみを必要とする。いくつかの実施形態では、送信機ユニットは、電気双極子または電気単極子アンテナを使用して、信号を伝送する。特定の実施形態では、識別子は、本体自体が導電性媒体として用いられる通信の導電性近接場モードを用いる。このような実施形態では、信号は、磁気信号または高周波(high frequency;RF)信号ではない。
【0043】
図2は、本発明に従う識別子において用いることが可能である電子回路の一実装に関する詳細を示す。左側に、2つの電池電極である金属1および金属2(32および33)が存在する。これらの金属は、電解質に接触すると、図示する本事例において、発振器61に電力を提供する電池を形成する。金属1の32は、低電圧(接地)を発振器61に提供する。金属2の33は、高電圧(V-high)を発振器61に提供する。発振器61が
動作すると、発振器61は、相互に反対であるクロック信号62および反転クロック信号63を生成する。これらの2つのクロック信号は、計数器64に進み、計数器64は、単に、クロック周期の数を単に計算し、その数を多数のレジスタに格納する。ここで示す例において、8ビットの計数器が用いられる。したがって、計数器64の出力は、「00000000」の値で始まり、第1のクロック周期において「00000001」に変化し、「11111111」まで継続する。計数器64の8ビットの出力は、アドレスマルチプレクサ(mux)65の入力部に連結される。一実施形態では、mux65は、回路において配線接続可能であるアドレスインタプリタを含み、制御電圧を生成して発振器61を制御する。Mux65は、計数器64の出力を使用して、シリアルビットストリームでアドレスを再現し、さらに、信号/伝送駆動回路に供給する。また、Mux65を使用して、信号伝送のデューティサイクルを制御することが可能である。一実施形態では、mux65は、計数器64によって生成されたクロック数を使用して、16分の1の時間にのみ信号伝送を作動させる。このような低デューティサイクルは、電力を節約し、また、他のデバイスが、その信号を妨害せずに伝送することを可能にする。所定のチップのアドレスは、8ビット、16ビット、または32ビットであることが可能である。
【0044】
一実施形態によると、mux65は、制御電圧を産生し、この制御電圧は、アドレスを連続的に符号化し、発振器61の出力周波数を変化させるために使用される。例として、制御電圧が低い場合、すなわち、シリアルアドレスビットが0にある場合、1メガヘルツの信号が、発振器によって生成される。制御電圧が高い場合、すなわち、アドレスビットが1である場合、2メガヘルツ信号が、発振器によって生成される。代替として、これは、10メガヘルツおよび20メガヘルツ、またはデバイスが位相を変調することに限定される位相偏移変調手法であってもよい。mux65の目的は、発振器または振動の増幅信号のAC代替実施形態の周波数を制御することである。
【0045】
mux65の出力は、電極駆動部66に連結され、電極駆動部66は、差異電位を溶液に課すように電極を駆動するか、コイルを通る振動電流が磁気信号を生成するように駆動するか、または、単一電極が溶液に電荷プッシュするかまたは溶液から電荷をプルするように駆動することが可能である。
【0046】
このように、デバイスは、mux65に格納されるアドレスを構成する0および1のシーケンスをブロードキャストする。このアドレスは、繰り返しブロードキャストされてもよく、金属1または金属2(32および33)が溶液中で消耗および溶解されて、電池が動作しなくなるまでブロードキャストし続ける。
【0047】
当然ながら、信号生成構成要素の他の構成も可能である。対象の他の構成には、その開示が参照により本明細書に援用される同時係属PCT出願第PCT/US2006/016370号、2006年7月11日に出願された仮出願第60/807,060号に記載される構成が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
特定の実施形態では、作動構成要素は電力貯蔵要素を含む。例えば、電池からの遅いエネルギー産生が、電力貯蔵要素、例えば、コンデンサに貯蔵され、次いで、信号生成構成要素に配置される電力の噴出を提供するデューティサイクル構成を用いてもよい。特定の実施形態では、作動構成要素は、例えば、信号生成要素への電力の遅延、供給を調節するタイミング要素を含み、例えば、実質的に同時に投与される異なる組成物、例えば、異なるIEMからの信号が、異なる時間に産生され、区別可能になる。
【0049】
特定の実施形態では、摂取可能な事象マーカの識別子の構成要素または機能ブロックは、集積回路上に存在し、この場合、集積回路は、多数の特有の機能ブロック、すなわち、モジュールを含む。所定の識別子内において、機能ブロック、例えば、電源、送信機等のうちの全てを含むまでの、例えば、2つ以上のうちの少なくともいくつかは、受信機における単一の集積回路に存在し得る。単一の集積回路は、異なる機能ブロックの全てを含む単一の回路構造を意味する。したがって、集積回路は、半導体材料の薄型基板の表面で製造された小型電子回路(半導体素子ならびに受動部品を含み得る)であるモノリシック集積回路(IC、超小型回路、マイクロチップ、シリコンチップ、コンピュータチップ、またはチップとしても既知である)である。本発明の特定の実施形態の集積回路は、基板または回路基板に接合された個々の半導体素子ならびに受動部品から構成される小型電子回路であるハイブリッド集積回路であってもよい。
【0050】
本発明の実施形態は、患者の体液に接触した後にそれ自身を自動的に作動し、局所的に生成された電力に基づいて所定の信号を伝送し、一定時間後にそれ自身を非作動化する集積回路(IC)を含む、低電力で、小型で、摂取可能なマーカを提供する。これらの実施形態では、上述のように、IEMは、胃酸等の患者の体液を使用してボルタ電池を形成する。さらに、IEMは、ボルタ電池を形成する閉回路のインピーダンスを変化させる特殊回路を使用するため、患者の組織および体液を流れる電流の振幅および波形を変調することによって、外部信号が生成される。以下により詳細に説明するように、このような回路構成によって、回路が低電圧で動作することが可能になるとともに、患者の身体に接触する受信機によって検出するのに十分強力な信号を生成することが可能になる。
【0051】
IEMのICは、IC回路と同じ基板上に製造可能である一体型ボルタ電池とともにパッケージ化可能である。このウエハレベルの一体化は、チップを大幅に減少させ、製造過程を簡略化する。結果として、各IEMの費用を大幅に低下させることが可能である。一実施形態では、陽極および陰極の電極材料は、基板の各側面において製作され、これによって、IC論理は、2つの電極間に位置する。一実施形態では、論理回路は、陽極電極または陰極電極と垂直に重複する範囲を最小限に抑えるように選択される位置に位置する。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態に従うIEMのICの例示的デバイス構成を示す。一実施形態では、ICチップの基板204は、ボルタ電池の陽極(S1)に連結され、陽極(S1)は、基板204の裏側に塗膜されるマグネシウム(Mg)206の層であることが可能である。基板204の反対側面において、本例において塩化銅(CuCl)である陰極(S2)材料202の層が存在する。電極202および206、ならびに電解質液としての役割を果たす体液は、ボルタ電池を形成する。基板204上に製作されるIEMのIC回路は、ボルタ電池の帰路回路を形成する「外部」回路である。本質的に、IEMのICは、この「外部」回路のインピーダンスを変化させ、それによって体液を流れる総電流量が変化する。受信回路、例えば、以下により詳細に説明する体液に接触する個体用健康受信機は、この電流変化を検出し、符号化されたメッセージを受信することが可能である。
【0053】
ボルタ電池の2つの電極S1およびS2も、ICの伝送電極としての役割を果たすことに留意されたい。本構成は、ICチップの複雑性を大幅に低減する。さらに、多くの場合、流体と金属の界面が、高インピーダンスを呈するため、ボルタ電池電極とは異なる別の対の電極を使用することは、追加の高インピーダンスを回路に導入する可能性があり、それによって、伝送効率が低下し、電力消費が増加する。したがって、伝送のためにボルタ電池電極を使用することによって、IC回路の電力効率も向上する。
【0054】
IEMのICは、電源が投入されると、一意的な識別コードを伝送する摂取可能な送信機として機能する。このICは、例えば、上述のように、薬学的に許容される運搬媒体内にパッケージ化可能である。IEMを胃の内部に飲み込むと、一体型ボルタ電池または電池は、胃酸を電池電解質として使用して主要チップに電源を入れ、その後ブロードキャストを開始する。さらに、いくつかのピルを摂取して、同時に伝送することが可能である。動作中、一意的な識別コードは、例えば、BPSK変調を使用してブロードキャストされる。このブロードキャストは、例えば、後述の受信機によって受信および復調可能であり、この受信機は、皮膚下に埋め込まれるか、患者の身体組織に接触している。受信機は、タイムスタンプを有する識別コードを復号および格納することが可能である。
【0055】
一実施形態では、IEMのICは、インピーダンス検出回路を含む。この回路は、陽極電極および陰極電極間のインピーダンスを検出するように構成される。電極が電解質液、例えば、胃酸に浸漬されない場合、電極間のインピーダンスは高く、ICは作動しない。電極が電解質液に接触し、インピーダンス検出回路がインピーダンスの降下を検出する場合、ICは作動する。
【0056】
本発明の実施形態によって、スマートピルは、従来とは異なる低い電圧で動作することが可能になる。一般に、ICは、0.8V〜2Vの電力供給で動作可能である。一実施形態では、ICは、約1.0V〜1.6Vの電力供給で動作するように構成される。加えて、ボルタ電池は、200Ohm〜10KOhmの内部インピーダンスを呈する。一実施形態では、ボルタ電池は、約500Ohm〜5KOhmの内部インピーダンスを呈する。また、ICは、超安定キャリアクロック周波数も提供し、これによって、誤り耐性のある通信が促進される。
【0057】
一実施形態では、ICは、3つの部分の回路を含む。第1の部分は、電池を電力供給として使用するインピーダンス検出回路である。第2の部分は、メッセージをブロードキャストする主回路である。インピーダンス検出回路は、10KOhm未満のインピーダンスを電池が検出する前に、主回路を、実質的にゼロの電力消費に保持することが可能である。インピーダンスが約10KOhmに降下すると、主回路は作動し、インピーダンス検出回路は、電池からそれ自体を分離することが可能である。第3の部分は、危険な状態の発生時に、患者の安全を保護するように設計されるウォッチドッグ回路である。
【0058】
図4は、本発明の一実施形態に従うIEMのICの設計を示す例示的略図を提示する。一般に、IEMチップは、電池区間302およびIC回路304を有する。電池区間302は、電解質液との結合時にボルタ電池を形成するボルタ電池電極を含む。2つの電池電極は、高電圧レール(VCC)に連結され、IC回路のためにそれぞれ接地される。IC回路304は、伝送切り替えトランジスタ306、再充電トランジスタ308、再充電保護ダイオード310、再充電コンデンサ316、局部発振器314、および制御論理312を含む。局部発振器314は、制御論理312により使用される1つ以上の搬送波周波数を産生し、伝送コマンド(「ブロードキャスト」と表示される)を発行し、伝送切り替えトランジスタ306をオンおよびオフする。例えば、発振器316は、20KHz信号を産生することが可能であり、それに基づいて、制御論理312は、2相位相偏移変調(BPSK)による符号化メッセージを生成することが可能である。次いで、制御論理312は、これらのメッセージを伝送するために、トランジスタ306のスイッチを入れるおよびスイッチを切る。
【0059】
トランジスタ312がオンされる、低インピーダンス外部帰路回路が、2つのボルタ電池電極間に提供される。結果として、患者の身体を流れる電流も増加する。トランジスタ312がオフされると、2つのボルタ電池電極間の外部帰路回路は、高インピーダンスを呈する。対応するように、患者の身体を流れる電流は大幅に低下する。残りの回路、例えば、発振器314および制御論理312の電流引き込みが、ブロードキャスト期間と沈黙期間との間の身体電流に大幅な差が存在するように、十分低いことに留意されたい。
【0060】
トランジスタ306がオンされると、2つのボルタ電池電極は、効果的に短絡する。結果として、電極から提供される電圧は、トランジスタ306がオフされている時よりも大幅に低い。制御論理312が引き続き適切に動作することを確実にするために、再充電コンデンサ316が、必要な電圧(VCC)を制御論理312に提供する。ICチップが沈黙期間にある場合、すなわち、トランジスタ306がオフされたままである場合、再充電コンデンサ316が再充電されることに留意されたい。トランジスタ306がオンされると、電池電極間の電圧を降下させ、ダイオード310は、コンデンサ316に貯蔵される電荷が電池電極に戻って流れることを防止する。一実施形態では、ダイオード310は、高速切り替え時間を確実にするショットキーダイオードである。
【0061】
伝送期間中、発振器314および/または制御論理312が、コンデンサ316に貯蔵される電荷を使い果たし、VCCを特定の閾値未満に降下させる可能性がある。例えば、再充電コンデンサ316により提供された電圧は、ボルタ電池に提供された電圧未満に降下し得る。これらの2つの電圧間の差は、ショットキーダイオード310の電源を入れるのに十分な大きさではない場合がある。この場合、制御論理312は、再充電切り替えトランジスタ308をオンするために再充電信号を発行して、電池電圧をコンデンサ316に連結し、コンデンサ316を再充電する。
【0062】
一実施形態では、IEMのICおよび受信機間の通信は、単信である。すなわち、IEMのICのみが信号を送信し、任意の信号を受信しない。通信は、患者の身体組織および体液を介してIC電極および受信機回路間を直接連結して実行される。伝送は、2つの周波数、例えば、一方は10kHzおよび他方は20kHzにおいて実行される。他の数の周波数および周波数値も可能である。一般に、異なるデータパケットフォーマットは、本発明のシステムに使用可能である。一実施形態では、伝送されたデータパケットは、40ビットの長さであり、そのうち16ビットは、同期化/プリアンブルパターンとして使用される。残りの24ビットは、IEMの識別子を符号化するペイロードを搬送する。一実施形態では、ペイロードは、伝送がより強固になるように、順方向誤り訂正(forward error correction;FEC)符号も含むことが可能である。一実施形態では、データビットは、キャリアクロックの16周期を占有する。ビットは、BPSKにより符号化される。また、他の符号化スキームも可能である。さらなる実施形態では、16ビットの同期化/プリアンブルパターンは、同期化用に12ビットを含み、プリアンブルとして4ビットを含む。
【0063】
表1は、本発明の一実施形態に従う16個のIEMチップの例示的パケットフォーマットを示す。
【0064】
【表1】
図5は、本発明の一実施形態に従う「0010」のビットパターンの例示的伝送シーケンスを示す。各ビットは、16のクロック周期によって表される。電池構成に応じて、駆動トランジスタ306のデューティサイクルを、発振器に対する十分な電力を維持するように制限することが望ましい。一実施形態では、駆動トランジスタ306の「オン」状態は、25μ秒に実質的に同等またはそれ未満に維持される。したがって、クロック周期が50μ秒である20kHzの伝送中、ドライバは、25μ秒間オンであり、25μ秒間オフである。10kHzの伝送中、ドライバは、25μ秒間オンであり、75μ秒間オフである。論理的な「0」伝送は、データ-クロック周期の立ち上がりエッジで開始し、16
クロック周期の間続く。対応するように、論理的な「1」伝送は、データ-クロック周期
の立ち下がりエッジで開始し、16クロック周期の間続く。他のデューティサイクル構成および符号化スキームも可能であることに留意されたい。
【0065】
図6は、本発明の一実施形態に従うシーケンス「10101」の20kHz伝送の例示的波形を提示する。図示するために、各論理ビットが、16周期の代わりに3クロック周期を占有することに留意されたい。
図7は、本発明の一実施形態に従うシーケンス「10101」の10kHz伝送の例示的波形を提示する。また、各論理ビットが3クロック周期に縮小されていることに留意されたい。
【0066】
特定の実施形態では、IEMの動作は、貯蔵、待機期間、ブロードキャスト期間、および電源切断の4つの期間に分割可能である。貯蔵期間中、ICがオフにされており、典型的には、5mA未満を消費する。待機期間中、ICがオンにされている。しかしながら、ブロードキャストは、発振器のクロック信号の安定化のために無効である。一実施形態では、ブロードキャスト期間中、パケットは、256回伝送される。各伝送中、伝送駆動トランジスタは、パケットを伝送するように動作し、次いで、ある期間オフされる。送信機駆動トランジスタがオフである場合、残りのIEMのICは、電源が入れられたままである。一実施形態では、ブロードキャスト期間全体中の平均デューティサイクルは、約3.9%に保持される。平均デューティサイクルの他の値も可能である。電源切断期間中、IEMのICは、全く電源が切断される。ブロードキャストは、完全にオフである。
図8は、本発明の一実施形態に従うICの動作を示す例示的状態図を提示する。動作中、システムは、まず、インピーダンス検出回路が2つの電池電極間のインピーダンスを検出するように動作する際に、貯蔵期間702に入る。一方、ICは、パワーゲートオフである。インピーダンス検出回路が低インピーダンス、例えば、約10kOhmのインピーダンスを検出した後、回路は、パワーゲートオフ状態からIEMのICを解放する。対応するように、システムは、待機期間704に入る。待機期間704中、チップのブロードキャスト機能は、クロック信号が安定化する約10秒間無効である。次いで、システムは、ブロードキャスト期間706に入る。この期間中、データパケットは、1周期において2回ブロードキャストされ、1回は10kHzで、1回は20kHzでブロードキャストされ、周期パターンは、32msの間オン(10KHz)−768msの間オフ−64msの間オン(20KHz)−1536msの間オフである。各周期は、約2.4秒であり、システムは、256周期を約10分で完了する。周波数毎に、チップの伝送デューティサイクルが約3.9%に保持されることに留意されたい。残りの96.1%の時間中、再充電コンデンサが再充電される。その後、システムは、発振器が停止し、チップがパワーゲートオフダウンすると、電源切断状態708に入る。何らかの理由で、10分のブロードキャスト期間の終了前に、チップが引き続きブロードキャストする場合、システムは、チップの電力供給をリセットし、ブロードキャストプロセスを再び開始することに留意されたい。このような状況は、例えば、胃の導電性が、発振器およびその生成されたクロックが適切に機能できなくなる程低く急に降下する場合に発生し得る。
【0067】
表2は、発明の一実施形態に従うICの例示的動作パラメータの組を提示する。
【0068】
【表2】
表3は、本発明のある実施形態に従う例示的IEM回路のDCパラメータの組を提示する。
【0069】
【表3】
表4は、本発明のある実施形態に従う例示的IEM回路のACパラメータの組を提示する。実際のチップ設計では、標的値は、温度、電力供給電圧、およびトランジスタの閾値電圧範囲について+/-5%から+/-10%を有することが可能であることに留意されたい。
【0071】
【表4-2】
IEMチップの物理的サイズに関し、チップの寸法は、0.1mm
2から10mm
2の間であることが可能である。特殊なIC構成により、本発明の実施形態は、ほとんどの種類のピルに含まれるのに十分小さいIEMチップを提供することが可能である。例えば、IEMのICチップは、2x2mm
2未満のサイズを有することが可能である。一実施形態では、ICチップは、1x1mm
2以下であることが可能である。一実施形態では、チップは、1mmx1mmである。チップの基板の底部側は、S1電極としての役割を果たし、S2は、基板の上部側に製作されるパッドである。パッドのサイズは2500μm
2から0.25mm
2の間であることが可能である。一実施形態では、パッドは、約85μmx85μmである。
【0072】
先行の説明では、電池および信号伝送のために同一の電極を使用するチップ構成を開示するが、特定の実施形態では、発電および信号伝送のために別々の電極が用いられる。
【0073】
図9は、電池および信号伝送のために2つの別々の電極をそれぞれ使用する一例示的IEMチップ構成を示す。接地電極802は、基板800の底面側に製作される。基板800の上面側上に、電池電極804および伝送電極806が存在する。また、基板800上に、回路領域808が製作される。動作中、電極802および804により形成された電池は、電力供給を領域808内の回路に提供する。回路は、伝送電極806および802を駆動し、患者の身体において電流変化をもたらす。伝送電極806から接地電極802に流れる電流が、回路領域808の下を流れて、回路要素における電位に変化をもたらすことが可能である。このような電位変化は、回路領域808内のトランジスタにおいて望ましくないラッチアップを引き起こし得る。
【0074】
このようなラッチアップを回避する一手法は、回路の下の電位を変化させ得る横方向の電流の流れを最小限に抑えるように、伝送電極領域および回路領域を分離することである。例えば、基板接触は、電流の流れを回路範囲から逸らすことが可能である領域に位置することが可能である。
図10は、本発明の一実施形態に従う回路のラッチアップを最小限に抑える例示的チップ構成を示す。
図10に示すように、基板接触領域を基板の4つの角に配置することが可能である。結果として、基板側に流れる電極電流は、中央に存在する回路領域から離隔して4つの角に逸らされる。同様に、組み合わせ電極チップ構成のために、特殊なレイアウト設計を使用することが可能である。
図11は、IEMチップにおけるラッチアップを最小限に抑える例示的レイアウトを示す。
図11に示すように、基板1000の底面は、Mg電極1002である。基板1000の上面側上に、CuCl電極1006が存在する。電極1002および1006は、電池電極および伝送電極の両方としての役割を果たす。CuCl電極1006の下に多数の伝送ドライバ回路領域1004が存在し、この領域は、レイアウトの周囲に位置する。制御-論理回路領域1008は、チ
ップの中央に位置する。このように、伝送ドライバからMg電極1002に流れる電流は、制御-論理回路領域1008から離隔するように逸らされ、これによって、トランジス
タにおける任意のラッチアップが回避される。
【0075】
図12は、本発明に従うIEMの特定の実施形態の分解図を提供する。
図12において、IEM1200は、例えば、厚さが300μmである2酸化シリコン基板1201を含む。底面上に、例えば、厚さが8μmであるマグネシウム1202の電極層が存在する。Mg電極層1202および基板1201の底面の間に、例えば、厚さが1000オングストロームであるチタン層1203が配置される。基板1201の上面に、例えば、厚さが6μmである電極層(CuCl)1204が配置される。上側電極層1204および基板1201の間に、例えば、厚さが1000オングストロームであるチタン層1205と、例えば、厚さが5μmである金層1206が配置される。
【0076】
上記の信号生成および発信プロトコルは、例えば、標的部位および/または環境との接触後に、実質的に同時に発生する作動および伝送の観点から説明しているが、特定の実施形態では、IEMの作動および信号の伝送は、別々の事象であることが可能であり、すなわち、事象は、ある持続時間によって分離される異なる時刻に発生し得る。例えば、IEMは、摂取前に作動を提供する導電媒体を含んでもよい。特定の実施形態では、IEMは、消化前に外部から作動可能であるように、流体、電解質スポンジ、または他の導電媒体に封入される。これらの実施形態では、受信機は、対象の標的部位から信号が伝送される場合のみ、伝送信号を検出するように構成される。例えば、システムは、適切な事象マーキングを確実にする身体組織との接触時にのみ伝送が発生するように構成されてもよい。例えば、作動は、IEMの処理によって発生可能である。処理または接触により破裂する感圧膜を用いてもよく、この場合、破裂によって、電解質材料が電池要素の連結を可能にする。代替として、胃におけるゲルカプセルの分解も、貯蔵された電解質を解放し、IEMを作動させることが可能である。スポンジ(IEMの近傍に水を保持する導電性材料から構成される)にIEMを封入することによって、少量の液体の存在下で作動が発生可能になる。本構成は、導電性流体の非存在下における伝送性能不足に対抗する。
【0077】
また、他のレイアウト設計も可能であることに留意されたい。加えて、伝送電流が制御回路に干渉することができないように、絶縁体上シリコン(silicon-over-insulator;SOI)製作手法を使用して、論理-制御回路領域を導電性基板から
絶縁することが可能である。
【0078】
特定の実施形態では、識別子組成物は、被験者への投与時に破砕される。したがって、特定の実施形態では、組成物は、例えば、摂取、注入等を介して、身体へ送達後、物理的に破壊され、例えば、溶解、分解、浸食等される。これらの実施形態の組成物は、摂取されて、完全に無傷でなくても、実質的に無傷のままで消化管を通るように構成されるデバイスから区別される。
【0079】
特定の実施形態では、識別子は、撮像システム、例えば、カメラまたは他の可視化要素もしくは撮像要素、あるいはその構成要素、例えば、CCD要素、照明要素等を含まない。特定の実施形態では、識別子は、例えば、標的生理学的部位との接触を検出する作動器を越える、生理学的パラメータを感知するための感知要素を含まない。特定の実施形態では、識別子は、推進要素を含まない。特定の実施形態では、識別子は、流体回収要素等のサンプリング要素を含まない。特定の実施形態では、識別子は、送達要素に活性薬剤を解放させる信号を受信するまで、活性薬剤を組成物に保持する要素等の、作動可能活性薬剤送達要素を含まない。
【0080】
識別子は、任意の簡便な処理技術を使用して製作されてもよい。特定の実施形態では、プレーナ処理プロトコルを用いて、表面電極を有する電源を製作し、この場合、表面電極は、回路支持要素の同一の表面上に少なくとも部分的に少なくとも陽極および陰極を含む。特定の実施形態では、プレーナ処理プロトコルは、電池源を産生するためにウエハ接合プロトコルにおいて用いられる。表面マイクロマシニング技法およびバルクマイクロマシニング技法を含む微小電気機械システム(Micro-Electro-Mechanical System;MEMS)製作技法等のプレーナ処理技法を用いてもよい。構造の製作の特定の実施形態において用いられ得る堆積技法には、電着(例えば、電気めっき)、陰極アーク蒸着、プラズマ溶射、スパッタリング、eビーム蒸発、物理蒸着、化学蒸着、プラズマ助長化学蒸着等が含まれるが、これらに限定されない。材料除去技法には、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば、化学機械研磨、レーザー切断、放電加工(electronic discharge machining;EDM)等を介した平坦化等が挙げられるが、これらに限定されない。リソグラフィープロトコルも対象である。特定の実施形態では、プレーナ処理プロトコルの使用も対象であり、この場合、構造は、連続的に基板に適用される多種多様の異なる材料除去プロトコルおよび堆積プロトコルを使用して、最初は平面である基板の1つまたは複数の表面に蓄積されるか、および/またはその表面から除去される。図示する対象の製作方法については、同時係属PCT出願第PCT/US2006/016370号により詳しく記載されており、その開示は、参照により本明細書に援用される。
【0081】
特定の製作プロトコルでは、犠牲層が使用される。例えば、以下により詳細に説明する実施形態等の、間隙または空間が所望される特定の3次元実施形態において、犠牲層は、製作中に用いられてもよく、製作中に、このような層は、電池の使用の前に全体的にまたは部分的に除去される。対象の犠牲層材料には、堅焼きして安定処理にすることが可能なフォトレジスト含まれるが、これらに限定されない。フォトレジスト犠牲層は、上部電極の堆積の完了後、任意の簡便なプロトコルを使用して、例えば、アセトンによって除去可能である。犠牲層として使用可能な他の材料には、窒化シリコン、2酸化シリコン、ベンゾシクロブテン、またはタングステンが含まれるが、これらに限定されない。犠牲層を除去する他の方法には、気相除去、ドライエッチング除去、および過酸化水素が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
上述のように、特定の実施形態では、プレーナ処理、例えば、MEMSの製作プロトコルを用いて、回路支持要素の同一の表面上に少なくとも部分的に存在する陽極および陰極を含む電池を製作する。「回路支持要素の同一の表面上に少なくとも部分的に存在する」は、陰極の少なくとも一部分および陽極の少なくとも一部分が、回路支持要素の同一の表面上にあることを意味し、この場合、両電極は、回路支持要素の表面上に全体的に存在してもよく、一方の電極は、表面上に全体的に存在してもよく、他方の電極は、表面上に部分的にだけ存在してもよく、例えば、他方の電極は、第1の電極が位置する表面とは異なる表面上に存在する一部分を含み、また、両電極は、同一の表面上に部分的に存在し、次に、異なる表面上に部分的に存在する。埋め込み型オンチップ電池は、多種多様の方式でチップ上に堆積可能である。回路支持要素は、任意の簡便な構成を取ってもよく、特定の実施形態では、集積回路(IC)チップである。電極要素が配置される表面は、必要に応じて、上面、底面、または何らかの表面、例えば、側面であってもよく、特定の実施形態では、電極要素が少なくとも部分的に存在する表面は、ICチップの上面である。
【0083】
MEMS製作技法を使用して、本発明の実施形態の電池は、例えば、上記に検討するように、超小型サイズになるように製造可能である、電池の電極は、例えば、約0.5μmから約10μmまでの範囲等の、約0.001μmから約1000μmまでの範囲の多種多様の厚さで堆積可能である。間隙が電極間に存在する場合、間隙の幅は、約1μmから約10μmまでの範囲等の約0.001μmから約1000μmまでの範囲であってもよい。
【0084】
一実施形態では、2つの陰極は、チップの表面上に堆積され、陽極は、2つの陰極を分離する。誘電体層は、電極および回路チップ間に堆積され、回路接点は、チップ表面を貫通する。本構成によって、多数の電池が直列に配置可能になり、標的部位との接触による電池の作動時に、回路チップに印加される電圧が高くなる。
図30は、プレーナの、内側に指状の電池レイアウトを示す。誘電材料9は、回路接点7を含む回路チップ5上に堆積される。陽極3は、第1の陰極1を第2の陰極2から分離する。本構成を用いる実施形態は、電池が直列であり(例えば、上述のように)、標的生理学的部位との接触時に回路が使用し得る電圧が高くなる実施形態を含む。特定の実施形態では、本構成は、電極が近接して位置するため、低電池インピーダンスも提供する。本実施形態は、陰極要素および陽極要素の両方が、チップの同一の表面上に全体的に存在するという特徴を有する。
【0085】
別の実施形態では、陽極要素および陰極要素のうちの少なくとも1つは、他方の電極と同一の表面上に部分的に存在し、別の表面、例えば、チップの側面、底面等の別の側面上に部分的に存在する。例えば、陽極は、回路チップの表面の片側のごく一部に存在し、そして、回路チップの底面を被覆するようにその側面に巻き付いてもよい。陰極は、回路チップの残りの上面に存在し、小間隙は、陰極および陽極間に設けられる。一局面において、大きな陰極板は、回路チップの上面の大部分を被覆するが、一方、陽極は、回路チップの底面を被覆し、側面から上面に巻き付く。両電極、例えば、板は、チップの上面上の誘電体層を通って回路接点を介して、回路チップに連結可能である。
図31は、回路チップ5を被覆する誘電材料9を示す。陰極1は、誘電材料9の大部分の上面上に堆積される。陽極3は、残りの上面上、ならびに回路チップ5の側面および底面上に堆積され、上面上の陰極1および陽極3間の分離が確保される。特定の実施形態では、分離は、約0.1μmから約100μmまでの範囲等の、約0.001μmから約1000μmまでの範囲、例えば、約2.0μmである。特定の実施形態では、回路チップ5は、チップ5の底面上に陽極3を堆積するために、製作中に反転されてもよい。陽極3および陰極1の両方の回路接点7は、回路チップ5の上面に提供され、下方に誘電体9を通過する。本構成では、回路チップ5の上面および底面の両方、ならびに側面のうちの1つを利用するため、電極範囲が非常に大きくなる。
【0086】
別の実施形態では、陰極は、回路チップの上面上に配置され、例えば、回路チップの上面上の誘電体上に堆積されている層として存在する。製作中、次いで、犠牲層が、陰極層の上に堆積される。次いで、陽極層は、犠牲層の上に堆積される。次いで、犠牲層は、標的部位の流体、例えば、電解胃液の領域を提供して、陽極および陰極を接触させる間隙を残して除去可能である。本実施形態を使用して、追加の電極層が、陽極の上に別の犠牲層を堆積した後に、相互の上に積層可能である。このように、埋め込み型オンチップ電池は、例えば、垂直直列構成が所望される場合に、直列に配置可能である。
図32は、回路チップ5の上に配置される誘電体層9を示す。陰極1は、誘電体層9の上に回路接点7まで配置される。犠牲層(図示せず)は、堆積される陽極3に基部を提供するように、陰極1の上に堆積される。犠牲層が堆積されると、その表面は、粗面化するようにエッチング可能である。したがって、陽極3が犠牲層上に堆積されると、陽極3の底面は、粗面に一致する。また、犠牲層は、陰極アークを使用して堆積されてもよく、陰極アークは、犠牲層を粗野にかつ多孔質にするように堆積し得る。多数の陽極3は、多数の電圧をチップ回路5に提供するように多数のサイズで堆積可能である。陽極3が堆積されると、犠牲層は、間隙を形成するように除去可能であり、特定の実施形態では、間隙は、約0.1μmから約100μmまでの範囲等の、約0.001μmから約1000μmまでの範囲であって、約1μmから約10μmまでの範囲を含む。特定の実施形態では、陽極3および陰極1間の間隙は、電池に所望のインピーダンスおよび異なる電流を提供するように選択される。また、陽極3の範囲は、必要に応じて異なる電圧を回路チップ5に提供するように製造可能である。したがって、陽極3は、多数のインピーダンスおよび電流とともに、多数の電圧を同一のチップに提供するように製造可能であり、チップ空間の使用が最小限に抑えられる。
【0087】
別の実施形態では、陰極層は、チップの表面上の誘導体上に堆積され、多数の陽極は、陰極の異なる範囲上に堆積される。犠牲層は、製作中に、陽極を陰極から分離するように堆積され、除去されると、共通陰極と、陰極上に配置される2つ以上の陽極との間に間隙を産生する。
図33から分かるように、陽極3は、回路チップ5の外側範囲に固定されてもよい。点4において、陽極3の回路接点を配置してもよい。
図33は、陰極1上に堆積される陽極が2つだけであるという点において
図32とは異なる。また、2つの陽極3のサイズが異なるため、異なる表面積を提供する。陽極3は、用途の必要性を満たすように製造可能である。多数の電圧が所望される場合、陽極3は、異なる材料から製造可能である。多数の電流が所望される場合、陽極3は、多数のサイズで堆積可能である。多数のインピーダンスが所望される場合、陽極3は、陽極3および陰極1間の間隙のサイズが異なるように堆積可能である。
【0088】
別の実施形態では、2つの陽極板は、回路チップの表面上に存在し、陰極回路接点は、表面の中央に堆積される。次いで、陰極は、陽極を覆うことによって陰極および陽極間の間隙を形成するように、回路接点に取り付けられる。
図34は、回路チップ5の上の空間を利用する埋め込み型オンチップコンデンサの別の実施形態を示す。絶縁層171は、回路チップ5の表面上に形成される。陰極1の回路接点は、チップの中央に形成され、陽極3は、両側に形成され、回路接点および陽極3間に間隙を残す。製作中、次いで、犠牲層は、陰極1の基部を形成するように陽極3の上に堆積される。陰極1が堆積されると、犠牲層は除去され、液体が流入する空間が提供される。
【0089】
別の実施形態では、陰極は、回路チップの表面上に存在し、陽極は、陰極の上および少なくとも部分的にその周りに開放チャンバを提供するのに十分であるように配置される。電解流体がチャンバに流入可能にする開口部が設けられ、陽極および陰極間に電流経路が産生される。例えば、チャンバ内部に空気が閉じ込められないようにするために、多数の開口部を必要に応じて設けてもよい。
図35において、陽極3は、陰極1を囲繞し、電解流体が流入するチャンバ173を形成する。絶縁層11は、陰極1を回路チップ5から分離する。標的部位との接触時に、電解流体は、開口部175を介してチャンバ173に流入する。開口部175は、内部に空気が閉じ込められないようにチャンバ173の反対の角に位置してもよい。
図35の構成は、特定の事例において望ましい。例えば、胃に十分な量の電解流体が無い場合、例えば、
図35に示すように、埋め込み型オンチップ電池は、電極の周囲に接触する流体を含むように製作可能である。このようにして、電池は、連続的な反応を有することが確実になるが、一方、開放する場合、流体は、反応範囲を出入りし、電池を停止させ得る。
【0090】
所定の電池ユニットが、例えば、
図35に示すようなチャンバを含む場合、必要に応じて、チャンバを流出入する流体流動を調節する表面コーティングを用いてもよい。特定の実施形態では、チャンバの一部分の表面、例えば、チャンバの内面は、所望の流体流動特性を提供するように修正されてもよい。例えば、チャンバの1つ以上の表面の表面エネルギーおよび流体ポートは、チャンバへの流体流動が増速するように修正されてもよい。例えば、チャンバの1つ以上の表面の表面エネルギーは、表面がより親水性になるように増加してもよい。多種多様の異なる表面エネルギー修正プロトコルを用いてもよく、選択される特定のプロトコルは、障壁の特定の組成物および所望の表面エネルギーに依存し得る。例えば、所定の表面の表面エネルギーを増加したい場合、表面は、プラズマ処理を受け、例えば、各々が全目的のために全体として本明細書に援用される米国特許第5,948,227号および第6,042,710号に記載される表面修正ポリマー溶液等の表面エネルギー修正に接触される。特定の実施形態では、親水性物質は、例えば、その開示が参照により本明細書に援用されるPCT出願第PCT/US07/82563に記載のように、電解流体をチャンバに引き付けて保持するように用いられ得る。
【0091】
特定の実施形態では、電池の1つ以上の表面、例えば、チャンバの内面は、表面上の気泡の形成および配置を調節するように修正される。例えば、電池の作動により、気泡生成、例えば、水素の気泡生成がもたらされ得る。作動中に、例えば活性陰極上で産生された気泡は、陰極から別の位置へ、例えば、陰極から離隔して、チャンバの外部等に引き付けられるように、表面修正を用いてもよい。
【0092】
上記実施形態は、少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極が回路支持要素の同一の表面上にある、発明のプレーナ処理プロトコルにより産生される電池の例である。上記説明は、決して限定するものではなく、上記の共通特徴を有する他の実施形態をもたらすことができる。
【0093】
本発明の別の実施形態において、電池源を産生するために、プレーナ処理プロトコルをウエハ接合プロトコルにおいて用いる。このような実施形態のうちの特定の実施形態において、誘電体が、回路チップ上に堆積される。次いで、陰極層が、誘電体の上に堆積可能である。陽極は、別の支持ウエハ上に堆積可能である。次いで、陽極は、回路チップの底面に接合され、その点において、支持ウエハをエッチングし、陽極表面が電解流体に接触することを可能にする。したがって、埋め込み型オンチップ電池の作製に使用可能な別の製作技法は、ウエハ接合である。埋め込み型オンチップ電池は、
図36の実施形態におけるような2つのウエハを使用して製造可能である。回路チップ5は、陰極1に基部を提供し、陰極1は、誘電体9の上に堆積される。これは、第1のウエハアセンブリ179を構成する。第2のウエハアセンブリ178は、支持ウエハ177および陽極3から構成される。陽極3は、支持ウエハ177の表面上に堆積される。次いで、陽極3は、回路チップ5に接合され、バルク支持ウエハ177はエッチングされて、陽極3のある範囲を暴露する。エッチングされる支持ウエハ177の量は、陽極3の所望の範囲に依存する。本製作方法は、より多くの回路が所望される場合に、支持ウエハ177に配置可能であるため、埋め込み型オンチップ電池に有用であることが可能である。
【0094】
上記に論じられた実施形態および図面の全ては、陰極を陽極と入れ替えて、およびその逆で、またさらなる本発明の開示構成を提供するように変更可能である。さらなるプレーナ処理により製作される対象の実施形態には、その開示が参照により本明細書に援用される米国仮出願第60/889,868号に記載されるものが含まれる。
【0095】
(任意の生理学的に許容される担体成分)
上述の識別子構成要素に加え、摂取可能な事象マーカは、生理学的に許容される担体成分、例えば、識別子の摂取を支援し、および/または対象の標的部位に到達するまで識別子を保護する組成物または運搬媒体に存在し得る(すなわち、それに組み合わせられる)。「生理学的に許容される担体成分」は、摂取可能である固体または流体(例えば、液体)であり得る組成物を意味する。
【0096】
コーンスターチまたはゼラチン、ラクトース、デキストロース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、第2リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸等の一般的な担体および賦形剤が対象である。本発明の製剤に一般的に使用される崩壊薬には、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸でんぷんナトリウム、およびアルギン酸が含まれる。
【0097】
液体組成物には、適切な液体担体(例えば、懸濁化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、香味剤、または着色剤を含む、エタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の非水溶媒、油、または水)における化合物または薬学的に許容される塩の懸濁液または溶液が含まれてもよい。代替として、液体製剤は、再構成可能な粉末剤から調合可能である。例えば、活性化合物、懸濁化剤、スクロース、および甘味料を含有する粉末剤は、懸濁液を形成するように水と再構成可能であり、活性成分、スクロース、および甘味料を含有する粉末剤からシロップ剤を調合することが可能である。
【0098】
錠剤またはピル形式の組成物は、固体組成物の調合に日常的に使用される任意の適切な薬学的担体を使用して調合可能である。このような担体の例として、ステアリン酸マグネシウム、でんぷん、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロース、および結合剤、例えば、ポリビニルピロリドンが挙げられる。また、錠剤には、色塗膜、または担体の一部として含まれる色が提供されることが可能である。加えて、活性化合物は、制御放出剤形において、親水性マトリクスまたは疎水性マトリクスを含む錠剤として製剤可能である。
【0099】
「制御放出」、「持続放出」、および類似の用語は、適用または注入直後に分散するのではなく、ある時間において確認可能かつ制御可能な速度で、活性薬剤が送達運搬媒体から放出される際に発生する活性薬剤送達のモードを示すために使用される。制御放出または持続放出は、時間、日、月に及び、多数の要因の関数として変化し得る。本発明の薬学的組成物では、放出速度は、組成物における選択される賦形剤の種類と、賦形剤の濃度とに依存する。放出速度の別の決定因子は、ポリオルトエステルの単位の間およびその中における連鎖の加水分解の速度である。次いで、加水分解および速度は、ポリオルトエステルの組成物およびポリオルトエステルにおける加水分解性結合の数によって制御され得る。本薬学的組成物からの活性薬剤の放出速度を決定する他の要因には、粒径、媒体の酸性(マトリクスに対して内部または外部のいずれか)、ならびにマトリクスにおける活性薬剤の物理的特性および化学的特性が含まれる。
【0100】
カプセル形式の組成物は、日常的なカプセル化手順を使用して、例えば、活性化合物および賦形剤を硬ゼラチンカプセルに組み込むことによって調合可能である。代替として、活性化合物の半固体マトリクスおよび高分子重量ポリエチレングリコールは、硬ゼラチンカプセルに調合および充填可能であり、またはポリエチレングリコールにおける活性化合物の溶液もしくは食用油、例えば、液体パラフィンもしくはヤシ油における懸濁液は、軟ゼラチンカプセルに調合および充填可能である。
【0101】
含めることが可能である錠剤結合剤は、アカシア、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、でんぷん、およびエチルセルロースである。使用可能な滑剤には、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸、シリコン流体、タルク、ワックス、オイル、およびコロイド状シリカが含まれる。
【0102】
また、ペパーミント、冬緑油、サクランボ香味、またはその同等物等の香味剤も使用可能である。加えて、剤形の見た目を良くするため、または製品を識別し易くするために着色剤を添加することが望ましい。
【0103】
本発明の製剤の使用に適切な他の成分については、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed. (1985)に記載される。
【0104】
(任意の活性薬剤)
特定の実施形態では、摂取可能な事象マーカは、薬学的活性薬剤を含まない。したがって、摂取可能な事象マーカを構成する識別子および任意の担体または他の成分は、活性薬剤を含まない。
【0105】
さらに他の実施形態では、摂取可能な事象マーカは、活性薬剤を含む。「活性薬剤/担体成分」は、固体または流体(例えば、液体)であり得る組成物であって、薬学的に許容される担体に存在するある量の活性薬剤、例えば、投与量を有する組成物を意味する。活性薬剤/担体成分は、「投与製剤」と呼ばれてもよい。
【0106】
「活性薬剤」は、生体、例えば、ヒト等の哺乳類との接触時に、生理学的結果、例えば、有益な結果または有用な結果をもたらす任意の化合物または化合物の混合を含む。活性薬剤は、運搬媒体、担体、希釈剤、滑剤、結合剤、および他の製剤補助等の成分、ならびにカプセル化成分または保護成分から区別可能である。活性薬剤は、生体における生物学的過程を調節可能である任意の分子ならびに結合部分またはそのフラグメントであってもよい。特定の実施形態では、活性薬剤は、薬物の成分として、疾患の診断、治療、または予防に使用される物質であってもよい。特定の実施形態では、活性薬剤は、中枢神経系に影響を及ぼし、かつ行動の変化を引き起こす麻酔剤または幻覚剤等の化学物質であってもよい。
【0107】
活性薬剤(すなわち、薬剤)は、生体における標的と相互作用することが可能である。標的は、多数の異なる種類の自然発生的な構造であってもよく、対象標的には、細胞内および細胞外の両方の標的が含まれる。このような標的は、タンパク質、リン脂質、核酸、およびその同等物であってもよく、この場合、タンパク質は、特別な対象である。特定の対象タンパク質に類似の標的には、酵素、例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、レダクターゼ、シクロオキシゲナーゼ、プロテアーゼ、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されず、標的は、SH2、SH3、PTB、およびPDZドメイン等のタンパク質−タンパク質相互作用、構造タンパク質(例えば、アクチン、チューブリン等)、膜受容体、免疫グロブリン(例えば、IgE、インテグリン等の細胞接着受容体)、イオンチャンネル、膜貫通ポンプ、転写因子、信号伝達タンパク質、およびその同等物に関与するドメインを含む。
【0108】
活性薬剤(すなわち、薬剤)は、特定の薬剤およびその目的の標的に応じて、標的との構造的相互作用に必要な1つ以上の官能基、例えば、疎水性、親水性、静電気、または共有結合性の相互作用に必要な基を含んでもよい。標的がタンパク質である場合、薬剤部分は、水素結合、疎水性−疎水性相互作用、静電相互作用等の、タンパク質との構造的相互作用に必要な官能基を含んでもよく、また、少なくとも2つの化学官能基等の、少なくとも1つのアミン基、アミド基、スルフヒドリル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含んでもよい。
【0109】
対象の薬剤は、上記官能基のうちの1つ以上と置換される循環炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含んでもよい。また、薬剤部分として、ペプチド、単糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体、またはそれらの組み合わせを含む生体分子に見られる構造も対象である。このような化合物は、対象の化合物を識別するためにスクリーニングされてもよく、多種多様の異なるスクリーニングプロトコルは、当技術分野において既知である。
【0110】
活性薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリを含む多種多様の源から入手され得る自然発生的化合物または合成化合物由来であってもよい。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの調合を含む多数の手段が、多種多様の有機化合物および生体分子のランダム合成および指向的合成に利用可能である。代替として、細菌抽出物、真菌抽出物、植物抽出物、動物抽出物の形式の天然化合物のライブラリが利用可能であるか、または容易に産生される。加えて、天然のまたは合成的に産生されたライブラリおよび化合物は、従来の化学的手段、物理的手段、および生化学的手段により容易に修正され、また、組み合わせライブラリを産生するために使用されてもよい。既知の薬理学的薬剤は、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等の指向的またはランダムな化学修正を受けて、構造類似体を産生してもよい。
【0111】
したがって、活性薬剤は、組み合わせ手段、すなわち、化合物多様性組み合わせライブラリによって産生される化合物のライブラリを含む自然発生的化合物または合成化合物のライブラリから入手されてもよい。このようなライブラリから入手する場合、用いられる薬剤部分は、活性に関する適切なスクリーニングアッセイにおいてある望ましい活性を明示する。組み合わせライブラリならびにこのようなライブラリを産生およびスクリーニングする方法は、当技術分野において既知であり、第5,741,713号、第5,734,018号、第5,731,423号、第5,721,099号、第5,708,153号、第5,698,673号、第5,688,997号、第5,688,696号、第5,684,711号、第5,641,862号、第5,639,603号、第5,593,853号、第5,574,656号、第5,571,698号、第5,565,324号、第5,549,974号、第5,545,568号、第5,541,061号、第5,525,735号、第5,463,564号、第5,440,016号、第5,438,119号、第5,223,409に記載され、これらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0112】
対象の活性薬剤の広義のカテゴリには、心血管作動薬;痛み止め薬、例えば、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症薬等;神経作用剤化学療法剤(例えば、抗腫瘍薬)等が含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
(個体用信号受信機)
上記に検討するように、IEMに加え、本発明のシステムは、IEMの識別子から信号を受信するように構成される、すなわち、IEMの摂取後に、IEMの標的生理学的部位との接触時に、IEMから発信される信号を受信するように構成される信号受信機を含む。信号受信機は、例えば、下記に検討するように、信号生成要素によって生成される信号の特質に応じて大幅に異なってもよい。したがって、信号受信機は、上記に示すように、RF信号、磁気信号、導電性(近接場)信号、音響信号等を含むが、これらに限定されない多種多様の異なる種類の信号を受信するように構成されてもよい。
【0114】
特定の実施形態では、受信機は、2つの構成要素が、患者の身体を通信媒体として使用するように、別の構成要素、例えば、IEMの識別子から導電的に信号を受信するように構成される。したがって、IEMの識別子および受信機間で転送される信号は、身体を移動し、伝導媒体として身体を必要とする。識別子により発信された信号は、身体組織を伝導する交流電流(a.c.)電圧信号の形式で、被験者身体の皮膚および他の身体組織を通って伝送されて、皮膚および他の身体組織から受信され得る。結果として、このような実施形態は、センサデータが被験者の皮膚および他の身体組織を介して直接交換されるため、任意の追加のケーブルもしくは配線接続、または自律センサユニットから中央送受信ユニットおよびシステムの他の構成要素へセンサデータを伝送するための無線リンク接続さへも必要としない。本通信プロトコルは、受信機が被験者の身体上の所望の部位に適応可能に配置されることができ、それによって、受信機が、信号伝送の達成に必要な導電体に自動的に連結されるという利点、すなわち、信号伝送が、被験者の皮膚および他の身体組織により提供される導電体を介して実行されるという利点を有する。受信機が感知要素(以下参照)を含む場合、複数の受信機/センサ要素が身体において分配され、かつこの身体の導電性媒体プロトコルを介して相互に通信することができる。加えて、このような身体ベースのデータ伝送は、必要とされる電力伝送が極度に小さいという利点を有する。これは、他のデバイスの電気的動作における干渉の生成を回避し、また、機密医療データの予期せぬ傍受またはタッピング、および偵察の防止に役立つ。加えて、結果として生じる非常に低い電力消費は、特に、電力供給が限られた適用における長期監視の目標の達成に有利である。
【0115】
信号受信機は、IEMの識別要素から信号を受信するように構成される。したがって、信号受信機は、IEMの識別子から発信された信号を認識可能であるように構成される。特定の実施形態では、信号検出構成要素は、識別子から発信された信号を検出と作動されるものである。特定の実施形態では、信号受信機は、例えば、2以上、5以上、10以上等の多数の情報薬学対応組成物を同時に検出することが可能である(すなわち、検出するように構成される)。
【0116】
信号受信機は、多種多様の異なる種類の信号受信機要素を含んでもよく、この場合、受信機要素の特質は、信号生成要素により産生される信号の特質に応じて必然的に変化する。特定の実施形態では、信号受信機は、信号生成要素により発信された信号を検出するために、1つ以上の電極(例えば、2つ以上の電極、3つ以上の電極は、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上の対の電極等の多数の電極を含む)を含んでもよい。特定の実施形態では、受信機デバイスは、ある距離、例えば、電極が差動電圧を検出可能である距離だけ分散された2つの電極が設けられる。この距離は、変化してもよく、特定の実施形態では、約0.5cmから約2.5cmまでの範囲等の、例えば、約1cmの約0.1cmから約5cmまでの範囲であり、例えば、約1cmである。特定の実施形態では、第1の電極は、導電性身体要素、例えば、血液と接触し、第2の電極は、上記導電性身体要素ととの関係で、電気的に絶縁の要素、例えば、脂肪組織(脂肪)に接触する。代替実施形態では、単一電極を利用する受信機が用いられる。特定の実施形態では、信号検出構成要素は、信号生成要素により発信された信号を検出するための1つ以上のコイルを含んでもよい。特定の実施形態では、信号検出構成要素は、信号生成要素により発信された信号を検出するための音響検出要素を含む。特定の実施形態では、多数の対の電極(例えば、上記に検討するような電極)は、例えば、信号の検出確率を上げるために提供される。
【0117】
対象の信号受信機は、外部信号受信機および埋め込み型信号受信機の両方を含む。外部の実施形態では、信号受信機は体外にあり、これは、受信機が、使用中、身体の外部に存在することを意味する。受信機が埋め込まれる場合、信号受信機は体内にある。信号受信機は、例えば、体内または体外のいずれかにおいて、少なくともIEMから発信された信号を受信する時間中に、身体と安定的に関連付けられるように構成される。
【0118】
最も広義の意味では、本発明の受信機は、受信機が動作するように構成される患者に対して可動または不可動のいずれかであってもよい。信号受信機の可動実施形態は、生体の動きに実質的に影響を及ぼさないように、生体に安定的に関連付けられるようなサイズを有するものを含む。したがって、実施形態において、信号受信機は、ヒト被験者等の被験者に用いられる場合に、被験者が自身の運動能力においていかなる違いも経験しないような寸法を有する。これらの実施形態では、受信機は、そのサイズが、被験者の身体的運動能力を妨害しないような寸法を有する。
【0119】
特定の実施形態では、信号受信機は、超小型のサイズを有するように構成可能である。信号受信機が小型のサイズを有する場合、特定の実施形態では、信号受信機は、約1cm
3以下を含む約3cm
3以下等の約5cm
3以下の空間容積を占める。特定の実施形態では、信号受信機の所望の機能は、1つの再充電可能電池により達成される。
【0120】
摂取可能な事象マーカの識別子から信号を受信することに加え、信号受信機は、1つ以上の特有の生理学的パラメータ感知能力をさらに含んでもよい。生理学的パラメータ感知能力は、心拍数、呼吸速度、温度、圧力、流体の化学組成物、例えば、血液中の検体検出、流体状態、血流速度、加速度計運動データ、心電図(intra cardiac electrogram;IEGM)データ等を含むが、これらに限定されない生理学的パラメータまたはバイオマーカを感知する能力を意味する。信号受信機が生理学的パラメータまたはバイオマーカ感知能力を含む場合、信号受信機が感知し得る特有のパラメータまたはバイオマーカの数は、例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上等に異なってもよい。用語の「バイオマーカ」は、特定の病態の存在および重度に関連付けられる解剖学的、生理学的、生化学的、または分子的パラメータをいう。バイオマーカは、身体検査、研究室アッセイ、および医療撮像を含む多種多様の方法によって検出可能かつ測定可能である。特定の実施形態に応じて、信号受信機は、信号受信要素を使用して、例えば、信号受信および感知用途のために受信機の電極を使用して、これらの感知機能のうちの1つ以上を達成してもよく、または、信号受信機は、信号受信要素とは異なる1つ以上の特有の感知要素を含んでもよい。信号受信機上に存在し得る(または少なくとも連結される)特有の感知要素の数は、例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上等に異なってもよい。
【0121】
特定の実施形態では、信号受信機は、信号受信および信号感知の2重機能を提供する1組の2つ以上の電極を含む。例えば、信号の受信に加え、電極は、追加の感知機能の役割を果たすことも可能である。特定の実施形態では、電極は、心電図データを生成するために使用される。このデータから、例えば、頻脈、細動、心拍数等種々の心臓事象を検出するために実行可能な多くの種類の処理が存在する。入手した心電図データは、薬物の漸増に使用可能であり、または心拍数または心調律における重要な変化または重大な異常が検出される場合の警告に使用可能である。特定の実施形態では、本データはまた、ペースメーカを持たない患者(例えば、神経性無食欲の患者の心拍数の監視)、あるいは代替として、ホルターモニタもしくは心臓事象モニタ、心臓の電気的活動を24時間連続的に監視する携帯型デバイス、または他のデバイスを通常必要とし得る患者の心拍数の監視に役立つ。長い記録期間は、短期間で識別するのが難しい偶発不整脈の観察に有用である。
【0122】
信号受信機の2つの電極により達成され得る別の感知能力は、電極間のインピーダンスの測定を用いる。測定されたインピーダンスは、呼吸に関連する胸部横断インピーダンスにより判断されるある成分を有する。このように、インピーダンスデータを用いて、被験者の呼吸速度を入手することが可能である。また、電極は、被験者の流体状態のセンサとして用いられることが可能である。経時的に、特に、利尿薬を服用する心不全患者について、流体状態は、非常に重要な量である。入手した流体状態は、薬物を漸増するために使用可能である。人が病院に行く直前に、その肺が流体で充填され始めているため、入手した流体状態は、警告のためにも使用可能であり、これは、本システムにより検出され得る。流体状態の測定に加え、インピーダンス測定は、体脂肪を測定するためにも使用され得る。特定の実施形態では、皮膚電気反応(例えば、「butler.cc.tut.fi/〜malmivuo/bem/bembook/27/27.htm」の前に配置される「http://」から構成されるアドレスを有するウェブサイトに記載のものの議論を参照)が監視され得る。
【0123】
上述のように、電極とは異なる1つ以上の追加の生理学的センサは、信号受信機に含まれてもよい。例えば、温度センサ、例えば、サーミスタが、信号受信機に含まれてもよい。代替として、例えば、白金から作製される抵抗温度デバイス(resistive temperature device;RTD)を用いて、温度の正確な測定を入手してもよい。対象の別の実施形態は、中核体温等の被験者の体温を経時的に監視し、必要に応じて、感知された追加の生理学的パラメータと組み合わせることによってもたらされ得る埋め込み型妊娠モニタである。追加の生理学的センサは、血液酸素化を測定し、パルス圧力に関する情報を提供するために用いられ得るパルス酸素濃度計に組み合わせられるLEDおよび光ダイオードを含んでもよい。また、磁化率センサを用いて、貧血を測定することも可能である。例えば、公開米国特許出願第20010029329号を参照されたい。
【0124】
加えて、信号受信機の実施形態は、例えば、信号受信機が、動脈圧を測定するために動脈の隣に埋め込まれる場合、圧力センサを含む。例えば、体内の圧力は、信号受信機の表面に感圧膜を置くことによって入手される。例えば、信号受信機の側面における膜は、動脈または静脈のいずれかに近接し、その結果、動脈が脈打つ際に動脈が圧力センサを押圧する。適切な較正により、絶対圧力値が入手される。代替として、アウトリガーカフ構成を有するセンサ、例えば、血管(動脈等)の周りのカフ型センサが用いられる。特定の実施形態では、圧力変形を測定するために歪みゲージが存在し、このゲージは、信号受信機に取り付けられる。別の実施形態では、歪みゲージは、子宮収縮を検出するために使用される。このような実施形態は、危険性の高い妊娠の監視等の、多種多様の異なる用途において使用される。
【0125】
また、信号受信機は、検体検出センサも含んでもよい。例えば、特定の化学センサは、種々の薬剤、例えば、グルコース、BNP(心臓病に関連するB型ナトリウムペプチド)等の種々の薬剤の存在を検出するために、信号受信機に組み込まれてもよい。特定の実施形態では、酸素が細胞のpHを変化させて、その変化の伝導性が測定される選択的多孔質インピーダンス細胞が用いられる。信号受信機が、検体検出感知要素を含む場合、この感知要素は、多数の異なる方式で信号受信機において構成可能である。例えば、検出したい薬剤に対して透過性である選択透過性膜を含むセンサが提供されてもよく、この場合、その後方に単離細胞が存在し、薬剤は、膜を通って、その細胞の特性、通常は電気的特性を変更させ、次いて、その特性を測定する。特定の実施形態では、膜がそれを横断する状態で、信号受信機の側面上に小さな容器を用いてもよく、その後方の電気回路を測定する。また、伝導性の変化を引き起こすセンサに対する検体の結合に基づくChemFETセンサも対象である。特定の実施形態では、例えば、タンパク質検体がそれに結合する場合に、電気的特性(または他の特性)が変化する材料が用いられる。
【0126】
対象のセンサには、本出願の本発明者のうちの少なくとも数人による以下の出願において記載のセンサ:名称が「Method And System For Monitoring And Treating Hemodynamic Parameters」であり第2004193021号として公開された米国特許出願第10/734490号;名称が「Methods And Apparatus For Tissue Activation And Monitoring」であり、第20060058588号として公開された米国特許出願第11/219,305号; 名称が「Implantable Addressable Segmented Electrodes」である国際出願第PCT/US2005/046815号; 名称が「Implantable Accelerometer-Based Cardiac Wall Posi
tion Detector」である米国特許出願第11/324,196号; 名称が「Method and Apparatus for Enhancing Cardiac Pacing」である米国特許出願第10/764,429号、名称が「Methods and Systems for Measuring Cardiac Parameters」である米国特許出願第10/764,127号、名称が「Method and System for Remote Hemodynamic Monitoring」である米国特許出願第10/764,125号; 名称が「Implantable Hermetically Sealed Structures」である国際出願第PCT/ US2005/046815号;名称が「Fiberoptic
Tissue Motion Sensor」である米国出願第11/368,259号; 名称が「Implantable Pressure Sensors」である国際出願第PCT/US2004/041430; 名称が「Implantable Doppler Tomography System」である米国特許出願第11/249,152号、および米国仮特許出願第60/617,618号に対する優先権の主張; 名称が 「Cardiac Motion Characterization by Strain Gauge 」である国際出願第PCT/USUS05/39535号がさらに含まれるが、これらに限定されない。これらの出願は、参照により本明細書に援用される。
【0127】
特定の実施形態では、自律センサユニットと考えられ得る信号受信機が対象である。これらの実施形態のうちの特定の実施形態において、センサユニットは、センサと、被験者の皮膚または身体表面上に配置されるように適合される1対の伝送電極/受信電極とを含む。受信機は、被験者の身体に配置されるように適合される中央送受信ユニットと、携帯型データ記録ユニットとをさらに含んでもよい。自律センサユニットは、被験者身体からのセンサデータ、すなわち、脈拍数、血中酸素量、血中グルコース量、他の血中組成物データ、血圧データ、心電図データ、脳波図データ、呼吸速度データ、発汗データ、体温データ、活動、運動、電極インピーダンス、およびその同等物のうちの1つ以上等の医療データおよび/または身体的データを獲得するように適合される。加えて、構成要素は、内部デバイス、例えば、IEMの識別子から信号を受信する能力を含む。各自律センサユニットの伝送電極/受信電極は、獲得したセンサデータを被験者の身体に伝送するように適合され、結果的に、これらのセンサデータは、被験者の皮膚および/または他の身体組織を介して中央送受信ユニットに伝送される。監視信号およびポーリング信号等の他の信号は、中央送受信ユニットから、被験者の身体組織を介してセンサユニットに伝送可能であり、この場合、これらの信号は、それぞれのセンサユニットの伝送電極/受信電極によって選出される。
【0128】
センサユニット、身体送受信機、ならびにデータレコーダもしくはデータロガーを備える本発明に従う基礎システムによって、データは、電子メモリカード、もしくは磁気データキャリア、またはその同等物に記録可能になるか、あるいは、さらなる処理または評価を実行するために、適切なインターエースを介して、パーソナルコンピュータまたはオンボードコンピュータシステム等のコンピュータにダウンロード可能になる。身体送受信機からデータロガーまたはデータレコーダへのデータ伝送は、テレメトリ、例えば、無線リンクによって実行され、これによって、伝送領域は、数メートル、例えば、10メートル以下に限定される。携帯型データロガー本体は、例えば、被験者の衣服のベルトまたはポケットに身に付けることが可能である。
【0129】
本発明システムに一体型のセンサは、主に、被験者の医学的状態または身体的状態を測定するため、例えば、被験者の体温、EKG、脈拍、血中酸素飽和度、および/または皮膚伝導性等のパラメータを測定するためのセンサである。それでもなお、追加のいわゆる環境センサを、発明システムと組み合わせることも可能であり、例えば、酸素含有量等の一般的な環境大気質、周囲大気温度、および/または全地球位置測定システム(global positioning system;GPS)によるセンサのそれぞれの位置、あるいはその同等物等を測定するように適合されるセンサが挙げられる。したがって、被験者の皮膚または他の身体組織を介して伝送または交換されるセンサデータは、被験者の医学的状態または身体的状態に関するデータに限定されないが、代わりに、被験者の周囲環境に関する情報も提供することが可能である。これらの異なる種類のデータの全ては、身体送受信機によって、受信、処理、および再伝送される。代替として、種々の対象データストリームは、遠隔位置、例えば、ネットワークにおいて融合または相関/処理され得る。
【0130】
特定の実施形態では、信号受信機(すなわち、信号検出構成要素)は、埋め込み型構成要素である。埋め込み型は、信号受信機が、例えば、半永久的または永久的に、被験者に埋め込まれるように設計、すなわち、構成されることを意味する。これらの実施形態では、信号受信機は、使用中、体内にある。埋め込み型は、受信機が、体内に見られる高塩環境、高湿度環境を含む生理学的環境に存在する際に、約1週間以上、約4週間以上、約6ヶ月間以上、約1年間以上、例えば、約5年間以上等の2日間以上、機能を維持するように構成されることを意味する。特定の実施形態では、埋め込み型回路は、約5年間から約70年間以上までの範囲等の、約1年間から約80年間以上までの範囲であって、約10年間から約50年間以上までの範囲を含む期間、生理学的部位に埋め込まれる場合に、機能を維持するように構成される。
【0131】
埋め込み型実施形態では、信号受信機は、カプセル状、円板状等を含むが、これらに限定されない任意の簡便な形状を有してもよい。信号受信機は、多数の異なる位置、例えば、腹部、腰、肩(例えば、埋め込み型パルス発生器が位置する)等に配置されるように構成されてもよい。
【0132】
本発明の埋め込み型受信機は、概して、電源を含む。特定の実施形態では、受信機の電源は、再充電可能電池である。電源は、2週間の寿命を有し、連続的に再充電されるように、患者のベッドのコイルから自動的に再充電してもよい。特定の実施形態では、信号受信機は、RF信号によって、使用中に電力供給されるものであってもよい。
【0133】
特定の埋め込み型実施形態では、信号受信機は、任意の他の種類の埋め込み型デバイスに物理的に連結されないという点において、スタンドアロン型デバイスである。さらに他の実施形態では、埋め込み型信号受信機は、第2の埋め込み型デバイス、例えば、1つ以上の生理学的センサのプラットフォームとしての役割を果たすデバイスに物理的に連結されてもよく、この場合、デバイスは、心臓血管リード等のリードであってもよく、これらの実施形態のうちのいくつかの実施形態では、心臓血管リードは、1つ以上の特有の生理学的センサを含み、例えば、リードは、マルチセンサリード(multi-sensor
lead;MSL)である。対象の埋め込み型デバイスには、埋め込み型パルス発生器(例えば、ICD)、神経刺激デバイス、埋め込み型ループレコーダ等がさらに含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
本発明の側面は、例えば、1つ以上の電極(2つの離間電極)等の形式の少なくとも1つの受信機要素と、発電要素、例えば、電池とを有する受信機を含み、電池は、前述のように再充電可能であってもよい。特定の実施形態では、発電要素は、外部位置から無線で電力を受信するように変換される。
【0135】
信号受信機に存在し得る追加の要素には、例えば、摂取可能な事象マーカから発信された信号を復号化するための信号復調器;例えば、信号受信機から外部位置に信号を送信するための信号送信機;例えば、受信した信号、生理学的パラメータデータ、医療記録データ等に関するデータを格納するためのデータ記憶要素;例えば、特定の時間を、信号の受信等の事象と関連付けるためのクロック要素;前置増幅器;例えば、信号受信機の異なる機能のうちの1つ以上を調節するためのマイクロプロセッサが含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
信号受信機の埋め込み型バージョンの側面は、生物学的に適合したエンクロージャ、2つ以上の感知電極、1次電池もしくは再充電可能電池のいずれかであり得る電源、またはコイルに誘導的にブロードキャストすることによって電力供給されるものを有する。信号受信機は、伝送された信号を復号化するための復調器、事象の記録のためのある記憶装置、クロック、および身体の外部に伝送する経路を含む回路を有してもよい。特定の実施形態では、クロックおよび伝送機能は省略されてもよい。送信機は、局所データ記憶装置から外部データ記憶デバイスに情報を転送するためのRFリンクまたは導電性リンクであってもよい。
【0137】
復調器構成要素は、存在する場合、薬学情報対応型の薬学的組成物の識別子から発信された信号を復調するように構成される任意の簡便な復調器であってもよい。特定の実施形態では、復調器は、有意な雑音の存在下であっても、消費する電力が非常に低い小型のチップを使用して、低レベル信号の正確な信号復号化を可能にする体内伝送復号器である。一実施形態では、体内伝送復号器は、2位相偏移変調(BPSK)を使用して変調された信号を復号化するように設計される。次いで、信号は、コスタスループを使用して変調可能である。2進コードは、シンボル復元手法をコスタスループ出力に適用することによって復元される。いくつかの実施形態では、体内伝送復号器は、自動利得制御(automatic gain control;AGC)ブロックを含むことが可能である。AGCブロックは、着信信号の最強周波数成分および信号電力を判断することが可能である。信号の最強周波数を使用して、アルゴリズムの他の部分において、フィルタおよび電圧制御型発振器を調整することが可能である。これは、受信機が、着信信号の周波数の変動および着信信号の周波数のドリフトを能動的に調整することに役立つことが可能である。信号電力を測定することによって、次いで、AGCブロックは、信号電力を所定値に正規化するのに必要な利得を計算および適用することが可能である。この利得は、コスタスループにおいて信号電力を読み取ることによってさらに調整可能である。一実施形態では、体内伝送復号器は、存在する雑音量等の状態に調整するために、着信信号のサンプリングレートを能動的に調整することが可能である。例えば、信号対雑音比(signal to
noise ratio; SNR)が十分である場合、サンプリングレートは、低値に保持可能である。SNRが、復号化プロセス中に設定閾値未満に減少する場合、サンプリングレートは、増加され得る。このように、サンプリングレートは、復元信号の精度を妥協せずに、可能な限り低く維持可能である。サンプリングレートを可能な限り低く能動的に調整することによって、アルゴリズムは電力を節約する。このような体内伝送復号器のさらなる側面は、名称が「In-Vivo Transmission Decode
r」である係属米国仮特許出願第60/866,581号に提供され、その出願の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0138】
特定の実施形態では、本受信機の構成要素または機能ブロックは、集積回路上に存在し、集積回路は、多数の特有の機能ブロック、すなわち、モジュールを含む。所定の受信機内において、例えば、機能ブロックの全てを含むまでの、例えば、2つ以上のうちの少なくともいくつかは、受信機における単一の集積回路に存在し得る。単一の集積回路は、異なる機能ブロックの全てを含む単一の回路構造を意味する。したがって、集積回路は、半導体材料の薄型基板の表面で製造された小型電子回路(半導体素子ならびに受動部品を含み得る)であるモノリシック集積回路(IC、超小型回路、マイクロチップ、シリコンチップ、コンピュータチップ、またはチップとしても既知である)である。本発明の特定の実施形態の集積回路は、個々の半導体素子ならびに基板または回路基板に接合される受動部品から構成される小型電子回路であるハイブリッド集積回路であってもよい。
【0139】
図13は、本発明のある実施形態に従う機能ブロック図の概略図を提供する。
図13において、受信機10は、第1および第2の電極e0およびe1(それぞれ11および12)を含み、これらの電極は、距離Xだけ離間し、薬学情報対応型の薬学的組成物の識別子によって生成された信号を受信するアンテナとしての役割を果たす。距離Xは、異なってもよく、特定の実施形態では、約0.5cmから約1.5cmまでの範囲等の、約0.5cmから約5cmまでの範囲、例えば、約1cmである。増幅器13は、電極における差分信号を検出する。次いで、検出された信号は、復調器14に進む。復調されたデータを格納するためのメモリ15も示される。そのメモリに書き込むクロック16は、事象にタイムスタンプする。伝送回路(Tx)(16)は、メモリから外部受信機(図示せず)にデータを転送する。また、全ての超小型電子機器に電力供給する電源17も存在する。図示する実施形態において、これらの全ブロック間の機能を調節するマイクロプロセッサ18も存在する。最後に、周囲に巻き付けられるコイル19は、RF伝送を提供する。上記に要約されるように、
図13の実施形態に示される異なる機能ブロックの全ては、同一の集積回路にあってもよい。
【0140】
代替実施形態を
図14に示す。
図14において、受信機20の主要部分は、上記に列挙した機能の全て(図示せず)およびe0(21)を含む。図示するように、e1は、ワイヤ23の端部に存在する。本構成は、e0およびe1間に十分な距離を提供し、効果的な受信機としての役割を果たし、さらに、受信機20の全体のサイズを最小限に抑える。
【0141】
上記に検討するように、特定の実施形態では、信号受信機は、医療運搬装置、例えば、リードに物理的に連結され、その上に1つ以上の特有の生理学的センサを有する。このような実施形態では、リードは、1以上の、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、約10以上、約15以上等の特有の生理学的センサを有し、この場合、センサは、上述のセンサを含む対象の任意のセンサであってもよい。
図15は、心臓疾患を監視および治療する際に使用するように具体的に構成される信号受信機の図を提供する。
図15において、受信機50は、主要受信機構成要素51および心臓血管リード52を含み、リード52は、多数の異なるセンサを含むため、マルチセンサリードまたはMSLと呼ばれてもよい。また、リード52上に図示されるのは、導電性血流センサ53、心臓に流入する血液の温度を測定するため配置される温度センサ54、冠状動脈洞温度を測定するために配置される温度センサ55、関連の心臓組織の動作を測定するために配置される感知電極56、および刺激電極57である。感知電極および刺激電極は、リング電極または分割電極であってもよい。分割電極構造は、4以上を含む、2以上、例えば、3以上の異種電極要素を含む電極構造を意味する。分割電極構造の実施形態は、2006年9月1日に出願され、名称が「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」である出願第PCT/US2005/031559号、および2005年12月22日に出願され、名称が「Implantable Addressable Segmented Electrodes」である第PCT/US2005/46811号において開示され、これらの出願の種々の分割電極構造に関する開示は、参照により本明細書に援用される。1つ以上のこのような電極アセンブリは、心臓ペーシングリードに沿って配置されてもよい。
【0142】
図15に示す実施形態において、MSLは、受信機から下方に心臓へ進み、対象の心臓パラメータ、例えば、血液温度、心拍数、血圧、同期性データを含む動きデータ、IEGMデータ、ならびに薬物療法コンプライアンスを測定するために用いられることが可能である。入手したデータは、受信機に記憶される。本構成の実施形態は、初期心不全診断ツールとして用いられてもよい。本構成は、注意深く監視し、かつ悪化を防止することを目標として、心不全が悪化する前に被験者に導入してもよい。最終的に、刺激療法が必要である場合、受信機は、埋め込み型パルス発生器と置換されてもよく、次いで、埋め込み型パルス発生器は、刺激電極を用いて、適切なペーシング療法を患者に提供してもよい。
【0143】
信号受信機は、他の機能を含む埋め込み型デバイスの構成要素であることが可能である。例えば、信号受信機は、ペースメーカ等の埋め込み型パルス発生器58の構成要素であることが可能である。
図16は、本発明のある実施形態に従う受信機構成要素59を含む埋め込み型パルス発生器58の図を提供し、受信機構成要素は、受信回路59Aおよび受信電極59Bを含む。また、外部インターフェースアンテナ60およびペーシング電子機器61も示す。
【0144】
信号受信機が外部にある場合、信号受信機は、任意の簡便な方式で構成されてもよい。外部構成は、必要に応じて、埋め込み型実施形態に関して上述の要素のうちのいずれかを含んでもよい。したがって、外部受信機は、
図13に示し、かつ上述の回路を含んでもよい。したがって、信号受信機、送信機、メモリ、プロセッサ、復調器等の上述の要素は、必要に応じて、本発明の外部受信機に存在してもよい。例えば、本発明の外部受信機に存在し得る回路の機能図が、
図17Aおよび
図17Bに提供される。
図17Aは、本発明に従う受信機70の機能ブロック図を提供し、受信機は、外部インターフェースブロック71を含み、外部インターフェースブロックは、無線通信要素(例えば、アンテナ)、シリアルポート、導電性インターフェース等を含んでもよい。また、信号受信回路ブロック72も存在する。また、受信電極機能ブロック73も存在する。
図17Bは、発明のある実施形態に従う受信機に見られる回路74の図を提供する。回路74は、外部インターフェース75、メモリ76、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor;DSP)77、およびリアルタイムクロック(real time clock;RTC)78を含む。また、アナルグ/デジタル変換器(analog to
digital converter;ADC)79、前置増幅器80、任意の参照電極(共通モードキャンセル回路)81、および電極82も示す。
【0145】
特定の実施形態では、信号受信機は、望ましい皮膚部位と関連付けられるように構成される。したがって、特定の実施形態では、外部信号受信機は、被験者の局所皮膚部位に接触するように構成される。対象の構成には、パッチ、リストバンド、ベルト、ハーネス、衣料品、例えば、靴、ネックレス等に関連付けられるように構成される機器、または他の身体に関連付けられる機器、例えば、補聴器、眼鏡、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されない。例えば、適切な受信要素、例えば、以下により詳細に説明する電極または1対の電極を外部に身に付け、かつ装着される腕時計またはベルトは、本発明の一実施形態に従う信号受信機として使用可能である。
【0146】
特定の外部実施形態において、受信機は、一時的、すなわち、過渡的、例えば、摂取可能な事象マーカが実際に摂取されている間だけ、患者に接触または関連付けられるように構成されてもよい。例えば、受信機は、2つの指電極またはハンドグリップを有する外部デバイスとして構成されてもよい。IEMの摂取時に、患者は、電極またはグラブに完全に触れて、受信機との導電性回路を産生する。IEMからの信号の発信時に、例えば、IEMが胃に接触する際に、IEMの識別子により発信された信号は、受信機によって選出される。この時点において、受信機は、例えば、可聴信号または可視信号の形式で、IEMからの信号を受信したという標示を患者に提供してもよい。上記に示すように、特定の外部実施形態において、受信機は、一時的、すなわち、過渡的、例えば、ピル、摂取可能なマーカ等が実際に摂取されている間だけ、患者に接触または関連付けられるように構成されてもよい。例えば、受信機は、
図18に示す薬物分注箱83等の外部デバイスとして構成されてもよい。分注箱83は、2つの指電極84Aおよび84Bを含む。特定の実施形態では、これらの電極は、ハンドグリップまたは他の簡便な患者接触フォーマットの形式である。使用中、患者は、まず、蓋86を開放することによってデバイスおよび受信機を作動する。薬物を服用する時を患者に警告するために、箱は、信号またはアラームを提供するように構成されてもよい。箱から投与量を除去した後(この場合、投与量は、区画87に存在する)、第1の信号、例えば、赤色光が、表示灯85において提供されてもよい。次いで、患者は、IEMを含むピルを摂取し、受信機を含む導電性回路を完成させるために、右指を右指電極84Bに触れ、左指を左指電極84Aに触れる。ピルに関連付けられるIEMからの信号の発信時、例えば、ピルが胃の中で溶解する際に、ピルの識別子により発信された信号は、受信機によって選出される。この時点において、受信機は、例えば、可聴信号または可視信号(緑色の光)の形式で、ピルからの信号を受信したという標示を患者に提供してもよい。次いで、患者は、患者の次のピル服用予定まで受信機を解放することが可能である。箱83は、例えば、上述のように、検出回路、メモリ、および伝送機能88を含む。このような実施形態は、例えば、長期治療レジメンにおける結核患者のための設定等の、多種多様の異なる設定において適用される。
【0147】
図19は、本発明のリストバンド受信機の実施形態に関する図を提供する。図示するように、受信機は、上部91および底部92を含むリストバンド90の形式であり、底面接触部は、患者の手首に接触するためのものである。上部接触部は、使用中に、患者が、右指で触れるためのものである。本デバイスの使用中、IEMの摂取時に、患者は、次いで、右指を受信機93上の接触部91に触れて、また、受信機93は、接触部92を介して左手首と接触し、これによって、回路を完成させる。IEMにより生成された信号を検出すると、患者は、受信機から指を取り除くことが可能である。
【0148】
このようなシステムは、患者の治療レジメンのコンプライアンスを監視する際、例えば、IEMの摂取が、治療活性薬剤(以下により詳細に説明する)の投与に関連付けられる際に有用である。次いで、患者は、患者の次のピル服用予定まで受信機を解放することが可能である。このような実施形態は、例えば、長期治療レジメンにおける結核患者のための設定等の、多種多様の異なる設定において適用され、このようなシステムの実施形態については、さらに、以下により詳細に説明する。
【0149】
特定の実施形態では、外部信号受信機は、バンドエイド型パッチを形成するように電極と一体型である小型電子機器を含む。パッチは、適用時に皮膚に接触する電極を含む。バンドエイド型パッチは、被験者の望ましい標的皮膚部位、例えば、胸部、背中、胴の側面等に配置されるように構成されてもよい。これらの実施形態では、受信機回路は、被験者内部のデバイスから、例えば、識別子IEMから信号を受信するように構成されてもよい。本システムにおける使用に容易に適合され得るバンドエイド型受信機には、その開示が参照により本明細書に援用される米国特許第6,315,719号に記載の受信機、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されない。
【0150】
外部信号受信機に関し、実施形態は、皮膚に対向する電極、復調器、記憶装置、および電力を有する構造を含む。通信は、無線であってもよく、または1つ以上の導電性媒体、例えば、ワイヤ、光ファイバ等上で実行されてもよい。特定の実施形態では、信号を受信および送信するために同一の電極を使用する。一例として、身体に導電的に接触する腕時計フォーマットが挙げられ、この場合、インプラントから腕時計にデータを移動させるために、電流をパッドに送り、腕時計がそれを受信する。コイルを用いる誘導プロトコル等の、用いられ得る身体から伝送するための多数のRF技法が存在する。代替として、電場を用いてもよく、この場合、導電的に接触される電極ではなく、絶縁電極を使用し得る。
【0151】
信号受信機が外部構成要素を含む場合、構成要素は、例えば、音声フィードバックおよび/または視覚フィードバックを提供するために、出力デバイスを有してもよく、例として、可聴警報、LED、ディスプレイ画面、またはその同等物が挙げられる。また、外部構成要素は、インターフェースポートも含んでもよく、それを介して、構成要素は、そこに格納されるデータを読み出すために、コンピュータに接続される。
【0152】
上記に検討される信号受信機は、摂取可能な事象マーカ(IEM)から信号を受信するように構成されるという観点から主に説明される。しかしながら、本発明の信号受信機は、薬学情報対応型の薬学的組成物(例えば、PCT出願第US2006/016370号に記載)、摂取可能な事象マーカ(例えば、仮出願第60/949,223号に記載)、またはスマート非経口デバイス(例えば、PCT/US2007/15547に記載)、あるいは類似のデバイスから信号を受信するように構成される受信機であってもよく、これらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0153】
(システム動作)
本発明のIEMシステムの方法において、個体が、対象の個体的事象をマークまたは注記したい場合に、個体は、本発明の1つ以上の摂取可能な事象マーカを摂取する。本マーカは、所望の結果をもたらすことが可能である任意の簡便な手段を使用して、被験者によって摂取されてもよく、この場合、投与経路は、例えば、上記に検討するように、組成物の特定のフォーマットに部分的に依存し、例えば、IEM組成物を飲み込むことによって、摂取可能な事象マーカを摂取することを伴う。多種多様の異なる種類の個体は、方法を実施することができる。概して、このような個体は、「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、肉食動物(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびネズミ)、ならびに霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、および猿)の類目を含む哺乳綱内にある生命体を説明するように広義に使用される。代表的実施形態において、被験者はヒトである。
【0154】
特定の用途に応じて、本方法は、事象マーカを、単独でまたは別の組成物と併用して摂取するステップを含んでもよく、後者の実施形態では、識別子は、他の組成物とともに同時摂取されてもよく、または他の組成物と組み合わせてから摂取されてもよい。同時接触する場合、識別子および他の組成物は、連続的にまたは同時に摂取されてもよい。所定の方法は、所定の用途に応じて、信号識別子または2つ以上の識別子(同一または異なる場合がある)の摂取を含んでもよい。特定の実施形態では、事象をマークするため、例えば、事象が何であるかを標示するために、多数の識別子を用いてもよい。異なる種類の事象を標示するために、異なるマーカを選んでもよい。
【0155】
摂取可能な事象マーカが標的生理学的部位に到達すると、IEMの識別子は、例えば、上記に検討するように、検出可能信号を発信する。信号受信機は、受信したデータ(例えば、摂取可能な事象マーカから発信された信号の形式)を、種々の方式で処理してもよい。いくつかの実施形態では、信号受信機は、単に、例えば、即座にまたはある時間の後、データを外部デバイスに再伝送するだけであり(例えば、従来のRF通信を使用して)、この場合、データは、受信機の記憶要素に格納される。したがって、特定の実施形態では、信号受信機は、外部デバイスに後に再伝送するために、または後のデータの処理(例えば、経時的にあるパラメータにおける変化を検出する)に使用するために、受信したデータを記憶する。例えば、埋め込み型コレクタは、従来のRF回路(例えば、405MHz医療デバイス周波数帯で動作する)を含んでもよく、例えば、当技術分野において既知であるワンド等のデータ読み取りデバイスを使用して、医師はその回路と通信することができる。他の実施形態では、信号受信機は、その制御下にあるエフェクタを動作するステップ、可視警報または可聴警報を作動させるステップ、身体の他の位置にあるエフェクタに制御信号を伝送するステップ、またはその同等物等の処置を取るか否かを判断するために、受信したデータを処理する。信号受信機は、受信したデータを使用して、これらの動作および/または他の動作の任意の組み合わせを実行してもよい。
【0156】
特定の実施形態では、受信機のデータ記憶要素上に記録されるデータは、時間、日付、および患者に投与された各組成物の識別子(例えば、グローバル一意シリアル番号)のうちの全部でなくても、少なくとも1つを含み、識別子は、組成物の一般名称またはその符号化バージョンであってもよい。受信機のデータ記憶要素上に記録されたデータは、受信機が関連付けられる被験者の医療記録情報、例えば、氏名、年齢、治療記録等を含むが、これらに限定されない識別情報をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、対象データは、血行動態測定を含む。特定の実施形態では、対象データは、心臓組織特性を含む。特定の実施形態では、対象データは、圧力または容積測定、温度、活動、呼吸速度、pH等を含む。
【0157】
特定の実施形態では、信号受信機は、センサ、受信機、および任意の他の内部および外部両方のデバイスの身体関連システムまたはネットワークの一部であり、外部プロセッサ等のプロセッサによって最終的に収集および処理される多種多様の異なる種類の情報を提供し、次いで、患者に関するコンテクストデータを出力として提供することが可能である。例えば、そのセンサは、ピル摂取、1つ以上の生理学的感知パラメータ、埋め込み型デバイス動作等に関するデータを含む出力を、データの外部コレクタに提供可能であるデバイスの体内ネットワークの一部であってもよい。例えば、データの医療ネットワークサーバ等の形式である外部コレクタは、次いで、この受信機により提供されたデータを、患者に関する追加の関連データ、例えば、体重、天気、医療記録データ等に組み合わせ、この異種データを処理して、高度に特有かつコンテクスト的な患者特有データを提供してもよい。
【0158】
特定の実施形態では、信号受信機は、受信した信号のデータを上記被験者の外部の位置に提供するように構成される。例えば、信号受信機は、例えば、モニタ(ベッドサイドモニタ等)、コンピュータ(例えば、PCまたはMAC)、携帯情報端末(personal digital assistant;PDA)、電話、メッセージングデバイス、スマートフォン等の形式であり得る外部データ受信機に、データを提供するように構成されてもよい。一実施形態では、ピルが摂取されたことを標示する信号の検出に、信号受信機が失敗する場合、信号受信機は、ピルを服用するリマインダを、被験者のPDAまたはスマートフォンに伝送してもよく、次いで、PDAまたはスマートフォンは、スマートフォンに着呼することによって(例えば、記録メッセージ)、ユーザに対して薬物を服用するプロンプト、例えば、PDA上の表示または警報を提供してもよい。信号受信機は、受信した信号のデータを、上記被験者の外部の位置に再伝送するように構成されてもよい。代替として、従う信号受信機は、受信した信号のデータを外部位置に提供するために、外部問い合わせデバイスによって問い合わせされるように構成されてもよい。
【0159】
したがって、特定の実施形態では、システムは、受信機(埋め込みされる、または特定の実施形態では局所的に適用され得る)とは異なる外部デバイスを含み、本外部デバイスは、多数の機能を提供する。このような装置は、フィードバックおよび適切な臨床規則を患者に適用する容量を含むことが可能である。このようなデバイスは、多数の形式のうちのいずれかを取ることが可能である。例として、デバイスは、患者の隣のベッド、例えば、ベッドサイドモニタに存在するように構成可能である。他のフォーマットには、PDA、スマートフォン、ホームコンピュータ等が含まれるが、これらに限定されない。デバイスは、ペースメーカデバイスまたはピル検出専用インプラントにより内部産生される薬学的摂取報告デバイスおよび生理学的感知デバイスの両方から、本特許出願の他の節でより詳細に説明する情報を読み出すことが可能である。外部装置の目的は、患者からデータを取り出して、外部デバイスに送ることである。外部装置の一特徴として、電話線等の伝送媒体を介して、臨床医等の遠隔位置、または中央監視機関に伝送可能である薬理学的および生理学的情報を提供するためのその能力が挙げられる。
【0160】
図20は、本発明のある実施形態に従うシステムの概略図を提供する。
図20において、システム100は、摂取可能な事象マーカ104および個体用健康受信機102を含む。図w0に示すシステムにおいて、IEM104は、組み込み型可消化マイクロチップベースのデータ送信機形式の、識別子を装備したピルである。データ送信機は、摂取される短い時間の間に作動し、一意的信号をデータ受信機102に送信する。多剤治療の場合、患者により摂取される各ピルは、検出のために異なる電子信号を有してもよく、例えば、薬学的投与量の一部として服用されるか、または薬学的投与量と併用する異なるIEMによって提供される。マイクロチップは、消化管を容易に通過するシリコンベースの材料と、ビタミンとしての使用に関する長い歴史を有する他の化合物とから構成される。
【0161】
図w0のシステムに示すように、ダイムサイズの装着型(例えば、パッチとして)または皮下型埋め込み型受信機である受信機102が存在し、摂取IEMの摂取を記録する検出器と、呼吸、心拍数、温度、血圧、および/または他の重要バイオマーカを監視する生理学的センサとを含む。特定の実施形態では、受信機は、ポンプデバイス、埋め込み型細動除去器、神経学的デバイス等の既存の医療インプラントの一部である(例えば、
図16参照)。特定の実施形態では、受信機102は、患者の医療記録等の、他の重要かつ関連の健康管理データを記憶する。
【0162】
外部レコーダは、
図20に示されない。しかしながら、上記に要約したように、システムは、1つ以上の外部要素を含んでもよい。ソフトウェアは、Blackberry等の携帯型PDA、またはノート型もしくはデスクトップ型コンピュータにインストール可能であり、受信機からのセキュアな無線データ伝送および医師およびケア提供者へのユーザ制御型情報配信を可能にする。これらのシステムによって、患者による薬物投与の実際の時間およびレベルに関して収集されたデータは、生理学的パラメータに一体化され、個体のパフォーマンスならびにケア提供者による臨床決定および疾患管理をさらに支援するように、患者および医師に提示される。
【0163】
図21は、IEMおよび受信機、ならびに追加の生理学的パラメータセンサおよび非生理学的パラメータのデータソースを含む本発明のシステムに関する実施形態を示す。
図21において、患者110は、薬学的活性薬剤を含むIEM111を摂取する。IEM111は、胃液との接触時に信号を発信し、信号は、受信機112により受信される。また、受信機112は、神経刺激器113、圧力センサ114、O
2センサ115、および患者の靴にある歩数計116からデータを入手する。これらの種々のデータストリームは、受信機によって外部サーバに送信される。外部サーバ117は、患者の医療記録、天気データ、血圧データ、および体重データ等の追加情報118を含むこれらのIEM注釈付きデータストリームを処理して、コンテクスト化データを得る。以下の表は、本発明のシステムにおいて用いられ得る異なるセンサの種類と、それから得られるデータの種類とを示す。これらの実施形態のシステムのこのような異種構成要素から得たデータは、例えば、医療専門家が後で使用するために、必要に応じて、ネットワーク層において融合されてもよい。
【0165】
【化3】
上記に検討するように、対象の特定の実施形態では、受信機要素は、半導体支持構成要素を含む。受信機構造およびその構成要素の製造の際に多種多様の異なるプロトコルのいずれかを使用してもよい。例えば、成形、堆積、および材料除去、例えば、表面マイクロマシニング技法およびバルクマイクロマシニング技法を含む微小電気機械システム(Micro-Electro-Mechanical System;MEMS)製作技法等のプレーナ処理技法を用いてもよい。構造の製作の特定の実施形態において用いられ得る堆積技法には、電気めっき、陰極アーク蒸着、プラズマ溶射、スパッタリング、eビーム蒸発、物理蒸着、化学蒸着、プラズマ助長化学蒸着等が含まれるが、これらに限定されない。材料除去技法には、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば、化学機械研磨、レーザー切断、放電加工(electronic discharge machining; EDM)を介した平坦化等が挙げられるが、これらに限定されない。リソグラフィープロトコルも対象である。特定の実施形態において、プレーナ処理プロトコルの使用も対象であり、この場合、構造は、連続的に基板に適用される多種多様の異なる材料除去プロトコルおよび堆積プロトコルを使用して、最初は平面である基板の1つまたは複数の表面に蓄積されるか、および/またはその表面から除去される。図示する対象の製作方法については、同時係属PCT出願第PCT/US2006/016370号により詳しく記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0166】
特定の実施形態では、既製の構成要素を用いて、受信機を製作してもよい。例えば、入力増幅器のための既製の機器類用増幅器を、例えば、ベアダイ形式で用いてもよい。復調器に対処するFPGAまたはASICのいずれかにおけるカスタム論理、メモリ、マイクロプロセッサ機能、および全インターフェース機能を使用してもよい。送信機は、例えば、医療インプラントに認可される混合通信帯域において、Zarlinkにより作製される既製チップであってもよい。クロックは、スタンドアロン型クロックであってもよく、またはデバイスは、クロック内蔵のマイクロプロセッサを有してもよい。
【0167】
(有用性)
有用である本摂取可能な事象マーカ、システム、および方法は、多種多様の異なる用途において用いられてもよく、その用途は、本質的に、医療および非医療の両方であってもよい。異なる例証的用途について、以下により詳しく検討する。
【0168】
上述のように、特定の用途は、対象の個体的事象、例えば、生理学的パラメータの(対象症状)の発現、活動の発現等をマークするために、摂取可能識別子を単独で使用することを伴う。例えば、特定の実施形態では、事象マーカは、対象の症状の発現をマークするために用いられる。このような事例において、個体が、対象の症状に自覚する場合、例えば、火照り、吐き気、興奮状態等を感じ始める場合、例えば、個体は、対象の症状の発生をマークするためにIEMを摂取してもよい。例えば、患者は、具合が悪いと感じ始めると、この病感に応答して事象マーカを摂取してもよい。摂取すると、マーカは、信号を受信機に送信し、生理学的データ等と組み合わせるため等、さらに使用するために、信号の受信を記録してもよい。特定の実施形態では、受信した信号は、患者から(例えば、受信機上のセンサによって、埋め込み型レコーダ等から)入手した任意の生理学的データにコンテクストを提供するために用いられる。
【0169】
対象の別の症状は、疼痛である。これらの実施形態では、摂取可能な事象マーカは、疼痛マーカとして使用されてもよい。例えば、患者が疼痛に関して監視されている時に、患者が疼痛を感じない場合、患者は、第1の種類のマーカを摂取してもよい。患者が疼痛を感じる場合、患者は、第2の種類のマーカを摂取してもよい。異なる種類のマーカは、必要に応じて、患者による識別および適切な使用を支援するように、色分け等により区別可能であってもよい。例えば、患者が疼痛を感じない場合に摂取されるマーカは、青色に色分けされ、一方、患者が疼痛を有する場合に摂取されるマーカは、黄色に色分けされる。異なる種類のマーカを有する代わりに、摂取されるマーカの量、ひいては、例えば、単一マーカまたは2つ以上のマーカから入手した信号が、疼痛等の対象症状の度合いを示すために用いられるプロトコルを用いてもよい。したがって、個体が激痛を有する場合、個体は、同時に4つの疼痛陽性ピルを服用し、一方、軽度の痛みに応答して、個体は、マーカを1つだけしか服用しない。
【0170】
このような実施形態では、事象マーカの摂取および信号機による信号の検出によってマークされる対象症状の発現を、例えば、埋め込み型生理学的モニタを使用して、1つ以上の対象の生理学的パラメータの記録を開始する関連時点として用いてもよい。これらの事例において、マーカから発信された信号は、受信機によって受信され、次いで、受信機は、生理学的パラメータレコーダ(Reveal(登録商標) Plus lnsertable Loop Recorder(ILR)、Medtronic Corporation等)に、例えば、後で使用するために、データの記録およびデータの保存を開始させる。例えば、埋め込み型生理学的パラメータレコーダは、可能な記録時間が限られる場合がある(42分等)。このような状況において、データは、保護のための何らかのフラグまたはマークが無い限り、自動的に上書きされ得る。本方法において、IEMは、患者が感知する対象の症状の発現をマークするために摂取されてもよく、信号を受信すると、受信機は、信号時間の前後(その後、またはその前)に入手したデータを保護するように、レコーダとともに役割を果たすことができる。本システムは、事象マーカの摂取だけでなく、生理学的感知パラメータ、例えば、pHに応答して作動するようにさらに構成されてもよい。したがって、本方法は、情報の診断用情報ストリームにフラグを付けること、および医師が後に考察可能であるように上書きを防止することの観点から、事象レコーダとして使用される。
【0171】
特定の実施形態では、事象マーカは、所定の組の生理学的データを後で解釈するためのコンテクストを提供する。例えば、活動センサを用い、かつ事象マーカを特定の薬剤と同時投与する場合、その薬剤によってもたらされる活動における任意の変化を注記することが可能である。事象マーカおよび薬剤の両方を服用した後に、活動降下が認められる場合、その降下は、例えば、眠気を催させることによって、または実際に眠らせることによって、薬剤が人にその活動を低下させる可能性があるということを標示する。このようなデータは、薬剤投与を調整するために用いてもよく、また、代替薬物に切り替える決定の根拠となり得る。
【0172】
特定の実施形態では、事象マーカは、多数の事象のデータベースを構築するために用いられる。このようなデータベースを用いて、多数のマークされた事象間の共通点を探索してもよい。多数のマークされた事象間の共通点を探索するための単純または複雑プロトコルを用いてもよい。例えば、多数の事象は、平均化されてもよい。代替として、インパルス応答理論等の技法を用いてもよく、この場合、このような技法は、特定の事象に関与する1組の多数のセンサストリームにおける厳密な共通特徴に関する情報を提供する。
【0173】
本発明のIEMシステムは、「気分が優れない」等の自覚症状を使用して、生理学的現状に関して得た客観的測定に、コンテクストおよび背景を与えることが可能になる。したがって、異常を感じる度に、事象マーカを服用し、客観的センサデータのデータベースを参照し、データベースにおける共通特徴を参照することができる。このような手法を用いて、主観的感覚の根本的な原因を発見することができる。例えば、このような手法を用いて、気分が優れないと感じる度に血圧が変化すること、ならびに自覚症状および客観的生理学的データ間のリンクをその診断に使用可能であることを判断することができる。したがって、一般化可能な事象マーカは、任意の他のソースからの離散データにコンテクストをもたらす。したがって、経口薬物事象マーカの使用によって、任意の他の関連健康監視情報または健康事象にコンテクストが提供される。
【0174】
特定の実施形態では、事象マーカは、警告マーカであることが可能であり、マーカの摂取によって、例えば、患者が医療的支援を必要としていることを標示する警報信号が、患者から送信される。例えば、患者が、胸痛等の対象の症状の発現を感じる場合、患者は、事象マーカを摂取してもよい。事象マーカから摂取された信号は、受信機によって受信されてもよく、次いで、受信機は、警報を生成して、医療専門家に配信することができる。
【0175】
特定の実施形態では、治療効果を促進または開始するため、例えば、埋め込み型パルス発生器を作動させて電気療法を供給するため、埋め込み型薬剤送達デバイスを作動させて薬剤の投与量を投与するため、生理学的センサを作動させてデータ取得等を開始するために、事象マーカを用いる。例えば、患者が、片頭痛の治療のために神経刺激器を有する場合、前兆の発現を感知すると、患者は、IEMを摂取してもよい。次いで、発信された信号は、神経刺激器を刺激モードに作動させ、それによって、インプラントは療法を送達し得る。代替として、埋め込み型薬剤送達デバイス、例えば、膠質剤を送達するデバイスを有する場合、IEMの摂取により、埋め込み型デバイスは、活性薬剤を送達することができる。
【0176】
特定の実施形態では、事象マーカは、患者における埋め込み型医療デバイスに情報を供給するために用いられる。例えば、摂取可能な事象マーカは、埋め込み型パルス発生器、例えば、ペースメーカ等のファームウェア更新データ等の、埋め込み型医療デバイスのための更新データを含む信号を送信してもよい。このような事例において、信号は、IEMから導電的に医療デバイスにブロードキャストされるアップグレード符号を含んでもよく、信号および符号を受信すると、医療デバイスのファームウェアは、アップグレードされる。
【0177】
事象マーカが単独で用いられ得る他の用途は、通勤時間、運動レジメンの開始、睡眠時間、喫煙(例えば、喫煙量をログすることが可能である)等の非医療個体的事象の開始をマークまたは注記することである。
【0178】
上記に示すように、本発明の実施形態は、事象マーカが別の組成物、例えば、薬学的組成物、食物等とともに同時摂取されるという特徴を有する。例えば、事象マーカは、薬学的薬剤の摂取を追跡するために使用されてもよく、この場合、マーカを対象薬剤とともに同時投与する。薬剤およびマーカの同時投与が対象である用途には、臨床研究、薬物、例えば、血圧用薬物の漸増等が含まれるが、これらに限定されない。必要に応じて、IEMは、本質的に、薬局において充填されると、別のピルとして提供され得る。
【0179】
事象マーカを、別の組成物、例えば、薬剤、食物等とともに同時摂取する代わりに、マーカおよび他の組成物は、例えば、エンドユーザによって配合されてもよい。例えば、カプセル形式のIEMは、エンドユーザによって開放されて、薬学的組成物を充填することが可能である。結果として生じる配合されたカプセルおよび活性薬剤は、次に、エンドユーザによって摂取されてもよい。エンドユーザの代わりに、薬剤師または医療提供者が、配合ステップを実行してもよい。
【0180】
さらに他の実施形態では、マーカは、他の組成物の製造源、例えば、薬学的組成の製造者または生産者において、他の組成物と既に配合されて存在する。このような組成物の例として、その開示が参照により本明細書に援用されるPCT出願第PCT/US2006/016370に記載されるものが含まれる。
【0181】
特定の実施形態では、本発明のIEMは、個体ベースで、個体が服用する薬剤と、所望の効果に相関する標示に対するその影響とに関する所望の結果を考察することが可能であるように用いられる。所定の患者が、多数の薬学的薬剤のレジメンを処方され、処方された治療レジメンに患者がどのように応答するかという標示として監視される多数の異なる生理学的パラメータが存在する場合、所定のマーカによりマークされた所定の薬剤は、対象の生理学的パラメータのうちの1つ以上に対するその影響の観点から評価されることが可能である。この評価の後、適宜調整を加えることが可能である。このように、個体の応答に基づいて療法を調節するために自動化を用いてもよい。例えば、患者が、膠質療法を受ける場合、事象マーカを使用して、リアルタイムなコンテクストを、入手した生理学的パラメータデータに提供することが可能である。結果として生じる注釈付きリアルタイムデータを使用して、療法を継続するか否か、または新しい療法に変更するか否かに関して決定することが可能である。
【0182】
特定の実施形態では、投与事象(IEMによりマークされる)は、薬物動態学的モデルおよび/または薬力学的モデルの観点から、所定の薬剤がどのように作用するかに関するプロファイルを展開するために、センサデータと相関される。センサは、薬物動態学的モデルを入手するために、投与事象のIEMマーキングとともに用いられる。薬物動態学的モデルを入手すると、投与事象を使用して、そのモデルを駆動し、血清中薬物レベルおよび応答を予測することが可能である。種々のセンサから判断されるように、この患者がこの時点において健康ではないことが発見され得る。薬物動態学的モデルを見返し、患者が健康でないと感知される場合に、この薬剤の血中レベルが低くなっていることが示され得る。次いで、このデータを使用して、所定の投与事象における投与頻度の増加または投与量の増加に関する決定をする。事象マーカは、モデルを展開してからそれを適用する方式を提供する。
【0183】
IEMが、薬学的薬剤、例えば、2つの別々の組成物または単一の組成物(上述)等とともに同時投与される場合、
図12に示すもののような、本発明のシステムは、薬物タイミングおよびレベルを追跡し、療法に対する応答を測定し、そして個々の患者の生理学および分子プロファイルに基づいて、変更した投与を推奨する動的フィードバックおよび治療ループを可能にする。例えば、症候性心不全患者は、日々多数の薬剤を服用し、主に、心仕事量の低下および患者の生活の質の改善を目標とする。療法の中心は、アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)阻害剤、β遮断薬、および利尿薬を含む。薬物療法を効果的にするには、患者が、処方されたレジメンを順守し、適切な時間に所要の投与量を服用することが不可欠である。臨床文献における多数の研究によって、50%を上回るクラス2およびクラス3の心不全患者が、ガイドライン推奨の療法を受けておらず、適切に滴定される患者のうちの40%〜60%のみがレジメンに順守していることが実証されている。本システムによって、心不全患者は、患者による療法に対する順守について監視可能であり、順守の実行は、主要な生理学的測定にリンクされ、医師による療法の最適化を促進可能にする。
図22において、システム120は、IEMを含む薬学的組成物121を含む。また、システム120において、薬学的組成物121の識別子から発信された信号を検出するように構成される受信機122(図面において「Raisin」と表示される)も存在する。また、埋め込み型受信機122は、生理学的感知能力も含む。埋め込み型受信機122は、データを外部PDA123に伝送するように構成され、次に、PDA123は、データをサーバ124に伝送する。サーバ124は、必要に応じて、例えば、患者宛て許可を提供するように構成されてもよい。例えば、サーバは、家族のケア提供者が、例えば、インターフェース(ウェブインターフェース等)を介して、患者の治療レジメンに参加可能にするように構成されてもよく、インターエースは、矢印126が示すように、家族のケア提供者が、サーバが生成した警告および傾向を監視し、再び患者に支援を提供することを可能にする。また、サーバは、矢印127が示すように、例えば、患者警告、患者インセンティブ等の形式で、患者に直接応答を提供するように構成されてもよい。また、サーバ124は、医療専門家(例えば、RN、医師)128と対話してもよく、データ処理アルゴリズムを使用して、例えば、健康指標概要、警告、患者間ベンチマーク等を入手し、矢印129が示すように、情報に基づく臨床通信および患者への再支援を提供することが可能である。
【0184】
特定の実施形態では、本発明のシステムは、センサデータおよび投与データを含む情報の集合を入手するために用いられてもよい。例えば、心拍数、呼吸速度、多軸加速データ、流体状態に関すること、および温度に関することを組み合わせて、被験者の全活動に関して報告する指標を導き出すことが可能であり、この指標を使用して、活動指標等の生理学的指標を生成することが可能である。例えば、温度が上昇する場合、心拍数が少し増加し、呼吸速度が増加するが、これを、人が活動しているという標示として用いてもよい。これを較正することによって、その時点で人が燃焼するカロリー量を判断することができる。別の例において、特定の律動組のパルスまたは多軸加速データは、階段を上っていることを標示することが可能であり、それによって、消費エネルギー量を推測可能である。別の実施形態では、体脂肪測定(例えば、インピーダンスデータによる)は、測定されたバイオマーカの組み合わせから生成された活動指標と組み合わせて、体重減少または心臓血管健康プログラムの管理に有用である生理学的指標を生成してもよい。この情報は、心機能標示と組み合わせて、健康全般に関する良好な状況を入手することが可能であり、これは、薬物療法投与データと組み合わせ可能である。別の実施形態では、例えば、特定の薬剤が、体温の微増、または心電図の変化と相関することが分かる。薬剤の代謝のための薬力学的モデルを展開し、受信機からの情報を使用して、そのモデルに自由パラメータを本質的に適合させて、被験者の血清に実際に存在するレベルをより正確に推定することが可能である。本情報は、投与体制にフィードバックすることが可能である。別の実施形態では、危険性の高い妊娠の監視として使用するために、子宮収縮(例えば、歪みゲージによる)を測定し、かつ胎児心拍数も監視するセンサからの情報を組み合わせることが可能である。
【0185】
特定の実施形態では、本発明のシステムを使用して回収される本特定情報は、1人以上の追加の個体からのデータと組み合わせられる位置に伝送されて、2人以上、例えば、5人以上、10人以上、25人以上、50人以上、100人以上、1000人以上等の個体から回収されたデータの複合であるデータの収集を提供する。次いで、複合データは、異なる基準に従って操作、例えば、カテゴリ化され、1つ以上の異なる種類の群、例えば、患者群、医療専門家群に利用可能となり、この場合、データの操作は、任意の所定の群のアクセスを、群がアクセス可能であるデータの種類に限定するようなものであり得る。例えば、データは、同一の病状を患い、かつ同一の薬物を服用する100人の異なる個体から収集可能である。データを処理および使用して、薬学的投与レジメンおよび一般的健康への患者のコンプライアンスに関する表示を容易にすることが可能である。群の患者のメンバーは、本情報にアクセスし、群の他の患者のメンバーと自身のコンプライアンスがいかに一致するか、および他の患者が受ける恩恵を自身が享受しているか否かを知ることことが可能である。さらに別の実施形態では、医者にも、複合データの操作へのアクセスが付与され、自身の患者が、他の医者の患者といかに一致するかを知ることができ、実際の患者が所定の療法治療レジメンにどのように応答するかという有用な情報を得ることができる。追加の機能は、複合データへのアクセスが付与される群に提供可能であり、このような機能には、データに注釈を付ける能力、チャット機能、セキュリティ特権等が含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
発明の薬物動態学的モデルによって、体内の異なる血清レベルに応答して、薬剤投与レジメンをリアルタイムに調整することが可能になる。薬物動態学的モデルは、体内の所定の薬物の血清レベルを予測または測定することが可能である。次いで、このデータを使用して、次に患者が薬物を投与すべき時を計算することが可能である。警報は、患者が投与量を服用するように警告する時間にトリガ可能である。血清レベルが依然として高い場合、警告は、元々処方された時間間隔で次の投与量を服用しないように患者に警告するようにトリガ可能である。薬物動態学的モデルは、上述のようなIEMを含む薬物摂取監視システムと併用して使用可能である。本システムからのデータは、モデル、ならびに集団データ、測定データ、患者による入力データに組み込まれることが可能である。多数のソースからデータを利用して、非常に強力かつ正確なツールを開発することが可能である。
【0187】
いくつかの実施形態では、受信機により収集されたデータを、薬物動態学的モデルによって直接使用して、薬物の投与時間、薬物の種類、および薬物の量を判断することが可能である。本情報を使用して、患者における薬物の血清レベルの推定を計算することが可能である。計算された血清レベルに基づいて、薬物動態学的モデルは、警告を患者に送信して、血清レベルが高過ぎて、毒性レベル付近もしくは毒性レベルを上回ること、または血清レベルが低過ぎて、別の投与量を服用すべきであることのいずれかを示すことが可能である。薬物動態学的モデルは、埋め込み型受信機本体の上で実行可能であるか、埋め込み型受信機からデータを受信する外部システム上で実行可能である。
【0188】
薬物動態学的モデルの単純な形式は、血清レベルをモデル化するために、全ての患者が同一であり、平均集団データを使用することを仮定することが可能である。より複雑でより正確なモデルは、患者に関する他の情報を入力することによって得ることが可能である。本情報は、医師等のユーザによって入力可能であるか、または関連のセンサから受信機によって収集可能である。モデルの調整に使用可能である情報には、他の要因の中でも、服用される他の薬物、患者が患う疾患、患者の臓器機能、酵素レベル、代謝、体重、年齢が含まれる。また、情報は、低血糖性を感じる場合、または疼痛もしくは目眩を有する場合等に、患者自身によって入力可能である。これは、モデルの予測を有効にするためのさらなる証拠として使用可能である。
【0189】
また、血清レベルは、体温および心拍数等の生理学的パラメータに基づいて推定可能である。例えば、患者が、心拍数に影響を及ぼすβ遮断薬を服用する場合、フィードバックをモデルに組み入れることができる。心拍数が増加し、活動増加等のそれに関する他の生理学的原因が存在しない場合、モデルは、β遮断薬が切れているために心拍数が増加していることを仮定することが可能である。
【0190】
他の実施形態では、実際の血清レベルは、埋め込み型受信機によって直接測定され、モデルにおいて使用可能である。多数の血清レベルセンサでは、測定に使用可能なウエルの数が限定されている。この場合、いくつかの測定を初期段階に行ない、初期モデルパラメータを開発することが可能である。その後、血清レベルを周期的に測定し、モデル推定と比較することが可能である。血清レベルは、規則的な間隔で、または不確実性の高い時間、もしくはピルの摂取等の別の事象に関連する時間等の特定の環境において測定可能である。モデルをデータに適応させるために、最適推定技法を使用して、モデルを調整することが可能である。モデル適合技法は、当技術分野において周知である。一実施形態では、参照により全体として本明細書に援用される Robert F. Stengelによる「Optimal Control and Estimation」(Dover Publications、1994)に論じられるもの等の技法を使用して、モデルを測定データに適合させることが可能である。
【0191】
いくつかの初期データを個々の患者から収集することによって、薬物動態学的モデルは、個体に適合するように調整可能である。通院中、患者は、多くの場合、広範囲に及ぶデータを収集する日常検査を受ける。この時間中、血清レベルを測定することが可能である。薬物の消費を記録するシステムを患者が装着する場合、システムは、薬物が服用された時間を把握し、測定された血清レベルと併用してその情報を使用して、モデルを適合させることが可能である。代替として、投与された薬物の時刻、種類、および量に関する情報は、医療管理者によって入力可能である。患者が検査を受けない状況では、医者は、具体的には、薬物動態学的モデルを適合させるためにデータを収集する目的で、検査を実行するべきであるか否かを決定することができる。
【0192】
薬物がまず患者に投与される場合、それは、定常状態ではなく、体内で測定される反応は、薬物に適応した後に身体がどのように反応するかについて必ずしも標示しない。これは、モデルにおいて考慮可能である。また、インプラントユニットからの測定は、モデルを定常状態に調整することに役立つことが可能である。
【0193】
モデルが個々の患者に適合されると、患者のインプラントデバイス上で実行可能である。インプラントデバイスは、外部デバイスと無線通信し、モデルデータならびに患者の実際の薬物投与スケジュール等の測定データを中継することが可能である。また、インプラントは、別の投与薬物を服用する等の、メッセージを患者に送信するように、警告を外部デバイスに送信することが可能である。患者の薬物の摂取過多等のいくつかの場合において、薬物動態学的モデルは、患者に警告を送信し、医者を訪問するように患者に伝えることができる。また、薬物動態学的モデルは、医療問題を検出した場合に、医者または病院に直接連絡することができる。
【0194】
他の実施形態では、患者を含む集団のサブセットから収集されたデータを使用して、初期モデルを提供することが可能である。例えば、モデルは、集団データを考察することによって、腎不全を患う患者における薬剤相互作用に酷似するモデルを開発することが可能である。次いで、本モデルは、腎不全を有する任意の患者の開始点として使用可能であり、次に、入力される任意の他のデータに対して調整され得る。
【0195】
他の服用薬物は、個々の薬剤が体内で処理される方式に大幅に影響を及ぼすことが可能である。情報薬学システムとともに組み込まれる場合、受信機は、多数の薬物の服用時刻を把握し、モデルを適宜調整することが可能である。
【0196】
薬物動態学的モデルにより可能になる動的投与レジメンは、薬物を患者に処方する際の非常に価値のあるツールであることが可能である。インスリンの場合、体内インスリンレベルは、他の要因の中でも、インスリンの代謝および製剤に依存する。薬物動態学的モデルは、インスリンの血清レベルを判断する際に、これらの要因を考慮することが可能である。また、血糖は、直接測定可能であり、モデルに組み込むことが可能である。本情報を使用して、薬物動態学的モデルは、別の接種のインスリンを投与すべきであることを判断した場合に、患者に警告することが可能である。
【0197】
また、薬物動態学的モデルは、提案された投与タイミングについて判断する際に、患者の睡眠週間を組み込むことが可能である。患者は、睡眠中に薬物投与量を投与することができないため、薬物動態学的モデルは、通常患者が睡眠している時刻を記録し、本情報を使用して、血清レベルを最適領域に維持するためにいつ投与量を服用すべきかを判断することが可能である。
【0198】
場合によっては、特定の投与において、異なる量の薬物を服用することが可能である場合、それをモデルに組み込むことが可能であり、例えば、患者は、現在の血清レベルおよび他の要因に応じて、1つまたは2つのピルを服用するように伝えられることが可能である。
【0199】
図23は、薬物投与量が時刻2で服用され、血清レベル4が上昇してから減衰する理想的な状況を示す。別の投与量は、時刻3、5、7、および9において服用される。血清レベル4は、全体にわたって治療域8内にとどまる。投与量が服用される時刻は、等間隔であり、減衰は、常に、同一の速度で発生する。本グラフは、処方された投与レジメンが基づく理想的な状況を示す。
【0200】
図24は、より現実的な状況を示す仮想グラフを示し、この場合、薬物の投与量は、不規則な間隔で服用される。投与量は、時刻10、12、14、16、および17において服用される。治療域18は、毒性限界20および下限22によって境界付けられる。本グラフにおける血清濃度は、不規則な投与時刻に起因して、毒性限界20を上回り、下限22を下回る。
図24における状況は、薬物動態学的モデルを使用して回避され得る。時点14において、システムは、警告を患者に送信し、その時点で投与量を服用しないように患者に伝えることが可能である。システムは、次に患者が投与量を服用すべき時刻を伝えることが可能である。インプラントの場合、警告は、携帯情報端末(personal data assistant;PDA)、コンピュータ、腕時計、携帯電話、または他の機器等の、メッセージを患者に表示可能である外部ユニットに無線通信されることが可能である。次に投与量を服用すべき時刻は、新しい測定を入手する度に変更してもよく、表示メッセージは、適宜変更可能である。システムは、患者に表示されるメッセージに患者が従うことを仮定していない。薬物動態学的モデルが、薬物の摂取を検出するシステムと併用して使用される場合、システムは、薬物の摂取時刻を記録する。代替として、推定または測定された血清レベルが上昇する場合、システムは、投与量が服用されたと判断することが可能である。システムは、投与量が服用されたと判断されるまで、投与量を服用するように患者に通知し続けるように構成可能である。代替として、患者は、投与量を服用したというデータをシステムに入力することが可能である。
【0201】
薬物動態学的モデルは、2007年3月7日に出願された米国仮出願第60/893,545号において論じられるより強固なモデルと併用して使用可能であり、この出願は、参照によりその全体として本明細書に援用される。十分なデータがモデルに組み込まれると、モデルは、個々の患者を予測することが可能である。これにより、医師は、患者自身の代わりに、モデルの異なる治療オプションで実験することが可能になる。例えば、医師は、異なる薬物レジメンが患者にもたらす効果を研究し、結果に応じて、最適治療を選ぶことが可能である。インプラント受信機によって収集される全てのデータならびに健康記録からのデータ、および医療スタッフおよび患者自身が入力したデータは、モデルに直接組み込み可能である。
【0202】
薬物動態学的モデルに関するある実施形態において、いくつかの自由パラメータは、モデルの結果が、患者において測定された結果に一致するまで調整可能である。モデルの結果が、患者において測定された結果に一致する場合、モデルがその特定の患者を予測するという結論に達することが可能であり、療法の基礎をこれらの予測に置くことが可能である。
【0203】
新しく収集または入って来るデータは、モデルと照合することが可能であり、モデルは、患者の変化に対応するために、かつモデルをより正確にするために、新しいデータに適合することが可能である。入力データが、モデルの予測と大幅に異なる場合、これは、患者に何かが起こっている徴候であり、相違を警告する警報を送信することが可能である。これは、より可視的な症状が発症する前に、患者の変化を識別する際に非常に強力であることが可能である。
【0204】
図25は、長期的血圧測定からの投与量反応に関する推定を提供するための、システムのある実施形態の使用に関する図を提供する。
図26において、ピル摂取時刻(例えば、本発明のIEMシステムによって提供される)を伴う長期血圧トレースが与えられると、個々の投与量応答は、薬物動態の一般線形モデルを使用して判断可能であるということが明らかである。用いられ得る投与反応の一般線形モデルの一例について
図26に示す。
図27は、本発明のシステム(「Raisin」と表示される要素は、本発明に従う個体用健康受信機である)において使用され得る異なる生理学的感知モダリティに関する図を提供する。
【0205】
食物の例は、以下を含む。糖尿病等の特定の病状において、患者の食べた物および時間が重要であり得る。このような事例において、本発明の事象マーカは、患者が食べる食物の種類に合わせるか、またはリンクされる。例えば、異なる食料品について1組の事象マーカを有することが可能であり、それらを食料品と同時投与することが可能である。結果としてもたらされるデータから、個体に関する完全な個体の代謝プロファイルを実行することが可能である。患者が消費しているカロリーを把握することが可能である。活動および心拍数ならびに大気温度に対する体温データを入手することによって、消費カロリーを計算することが可能である。結果として、何をいつ食べるかに関するガイダンスを患者に提供することが可能である。非疾患患者も、このようにして、食物摂取を追跡することができる。例えば、厳しいトレーニング食を順守する運動選手は、IEMを用いて、食物摂取および1つ以上の対象生理学的パラメータに対する食物摂取の効果を十分監視することができる。
【0206】
上の議論において検討するように、本発明のIEMシステムは、治療用途および非治療用途の療法において使用される。治療用途において、IEMは、薬学的活性薬剤と配合されてもよく、または配合されてなくてもよい。IEMが活性薬剤と配合されるこれらの実施形態では、結果として配合された組成物は、薬学情報対応型の薬学的組成物として考えられ得る。
【0207】
このような情報薬学実施形態において、IEMおよび活性薬剤を含む組成物の有効量は、組成物に存在する活性薬剤を必要とする被験者に投与され、この場合、「有効量」は、所望の結果、例えば、それに関連する病状または症状の改善、所望の生理学的変化の達成等をもたらすのに十分な投与量を意味する。また、投与される量は、治療上有効な量と考えられ得る。「治療上有効な量」は、疾患の治療のために被験者に投与される際に、その疾患の治療をもたらすのに十分な量である。
【0208】
組成物は、所望の結果をもたらすことが可能である任意の簡便な手段を使用して、被験者に投与されてもよく、この場合、投与経路は、例えば、上記に検討するように、組成物の特定のフォーマットに部分的に依存する。上記に検討するように、組成物は、治療的投与に関する多種多様の製剤にフォーマット化可能であり、錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、および注射等の固体、半固体、または液体を含むが、これらに限定されない。したがって、組成物の投与は、経口、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内等の投与を含むが、これらに限定されない種々の方式で達成可能である。薬学的剤形では、所定の組成物は、単独で、または他の薬学的活性化合物と組み合わせて投与されてもよく、例えば、それと安定的に関連付けられる信号生成要素を有する組成物であってもよい。
【0209】
本方法は、病状を含む多種多様の異なる状態の治療に使用される。本組成物によって治療可能な特定の病状は、本組成物に存在可能な活性薬剤の種類に応じて変化する。したがって、病状には、心血管疾患、腫瘍性疾患等の細胞増殖性疾患、自己免疫疾患、ホルモン異常疾患、感染病、疼痛管理、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
治療は、被験者を苦しめる病状に関連する症状を少なくとも改善することを意味し、改善は、パラメータの大きさ、例えば、治療される病的状態に関連する症状を少なくとも軽減することを言及するために、広義の意味で使用される。したがって、治療は、病的状態、または少なくともそれに関連する症状が、完全に抑制され、例えば、発生が予防され、または停止され、例えば終結されて、被験者が、病的状態、または少なくとも病的状態を特徴とする症状を患わなくなる状況も含む。したがって、疾患を「治療すること」または「治療」は、疾患にかかり易いが、依然として疾患の症状を経験または明示しない動物において疾患が発生することを予防すること(予防的治療)、疾患を抑制すること(その発症を遅らせるまたは阻止する)、症状または副作用からの軽減を提供すること(緩和的治療を含む)、および疾患を軽減すること(疾患の退行を引き起こす)を含む。本発明において、「疾患」は疼痛を含む。
【0211】
特定の実施形態では、上述のように、本方法は、例えば、1週間以上、1ヶ月以上、6ヶ月以上、1年以上、2年以上、5年以上等の長期間に渡って、病状を管理する方法である。本方法は、1つ以上の追加の疾患管理プロトコル、例えば、ペーシングプロトコル、心臓再同期化プロトコル等の心血管疾患管理における電気刺激ベースのプロトコル;多種多様の異なる病状の食事および/または運動レジメン等の生活様式と併用して用いてもよい。
【0212】
特定の実施形態では、本方法は、組成物から入手した治療レジメンベースのデータを調節することを含む。例えば、データは、処方された治療レジメンへの患者のコンプライアンスに関する情報を含むデータを入手してもよい。追加の生理学的データ(例えば、上述のセンサデバイス等の1つ以上のセンサを使用して入手される)の有無にかかわらず、このデータは、例えば、必要に応じて、適切な決定ツールとともに用いて、何らかの方式(例えば、薬物レジメンおよび/またはインプラント活動レジメンの修正)によって、所定の治療レジメンを維持すべきかまたは修正すべきかを判断してもよい。したがって、本発明の方法は、組成物から入手した信号に基づいて治療レジメンを修正する方法を含む。
【0213】
特定の実施形態では、本発明の組成物の履歴を判断する方法も提供され、組成物は、活性薬剤、識別子要素、および薬学的に許容される担体を含む。識別子が、問い合わせに応答して信号を発信する特定の実施形態では、識別子は、信号を入手するために、例えば、ワンドまたは他の適切な問い合わせデバイスによって問い合わせを受ける。次いで、入手された信号は、組成物に関する履歴情報、例えば、ソース、分析過程の管理を判断するために用いられる。
【0214】
特定の実施形態では、システムは、多数の異なるIEM、例えば、5以上、7以上、10以上の特有のIEMを含む、2以上の特有のIEMS、3以上の特有のIEMS、4以上等の特有のIEM等から構成されるシステムが用いられる。この特有のIEMは、区別可能な信号を提供するように構成されてもよく、例えば、この場合、信号は、信号自体の特質の観点から、信号の発信のタイミングの観点等から区別可能であってもよい。例えば、このような組における各IEMは、異なって符号化される信号を発信してもよい。代替として、各IEMは、異なる生理学的標的部位において信号を発信するように構成されてもよく、例えば、各IEMは、異なる標的生理学的部位において作動するように構成され、例えば、第1のIEMは口で作動し、第2のIEMは食道で作動し、第3のIEMは、小腸で作動し、第4のIEMは、大腸で作動する。このような組の多数の異なる区別可能なIEMは、多種多様の異なる用途において使用される。例えば、上述の4つのIEMの組を有する場合、診断用途にその組を使用して、消化器系、例えば、運動性消化管における運動性、胃内容排出等の機能を決定することが可能である。例えば、各IEMがそのそれぞれの信号を発信する時刻を記録することによって、信号時刻のグラフが生成され、それによって、消化管機能に関する情報を入手することが可能である。
【0215】
本発明は、治療道具における重要な新しいツール、すなわち、体内に実際に送達される薬学的薬剤の自動検出および識別を臨床医に提供する。この新しい情報デバイスおよびシステムの用途は多種多様である。用途には、(1)処方された治療レジメンへの患者のコンプライアンスを監視すること、(2)患者のコンプライアンスに基づいて治療レジメンを調整すること、(3)臨床試験における患者のコンプライアンスを監視すること、(4)制御物質の利用を監視すること、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されない。これらの異なる例証的用途の各々は、同時係属PCT出願第PCT/US2006/016370号において以下により詳細に検討され、その開示は、参照により本明細書に援用される。
【0216】
本システムが使用される追加の用途は、米国特許第6,804,558号に記載の用途を含み、その開示は、参照により本明細書に援用される。例えば、本システムは、患者の体内に埋め込まれる埋め込み型医療デバイス(implantable medical
device;IMD)の性能を監視すること、患者の健康を監視すること、および/またはIMDを介して患者に療法を遠隔供給することとを可能にする医療情報通信システムにおいて使用されてもよい。本発明の信号受信機は、例えば、バンドエイド型または埋め込み型フォーマット等の外部フォーマットにおいて、IMDと通信し、また、患者の身体の外部に位置する通信モジュール、携帯電話、および/または携帯情報端末(PAD)との双方向通信が可能である。本システムは、IMD、通信モジュールおよび/または携帯電話および/またはPDAを含む信号受信機、遠隔コンピュータシステム、および双方向通信が可能である通信システムを備えてもよく、この場合、通信モジュール、携帯電話、および/またはPDAは、IMDから情報を受信ことが可能であり、または、上記に検討するように、患者の内部または外部にある信号受信機を介して、そこに情報を中継することが可能である。
【0217】
本発明の受信機が使用され得る追加の用途には、不妊監視、体脂肪監視、満腹監視、満腹制御、全血液量監視、コレステロール監視、喫煙検出等が含まれるが、これらに限定されない。
【0218】
(コンピュータ可読媒体およびプログラミング)
特定の実施形態では、本システムは、データを格納するための要素、すなわち、データ記憶要素をさらに含み、本要素は、ベッドサイドモニタ、PDA、スマートフォン等の外部デバイス上に存在する。典型的には、データ記憶要素は、コンピュータ可読媒体である。本明細で使用する際、用語の「コンピュータ可読媒体」は、実行および/処理するために、命令および/またはデータをコンピュータに提供することに関与する任意の記憶媒体または伝送媒体である。記憶媒体の例として、デバイスがコンピュータの内部または外部に存在するかにかかわらず、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD-RO
M、ハードディスクドライブ、ROMもしくは集積回路、磁気光学ディスク、またはPCMCIA等のコンピュータ可読カード、およびその同等物が挙げられる。情報を含むファイルは、コンピュータ可読媒体上に「格納」されてもよく、この場合、「格納」は、コンピュータによって後にアクセス可能および読み出し可能になるように、情報を記録することを意味する。コンピュータ可読媒体に関し、「永久メモリ」は、永久であるメモリをいう。永久メモリは、コンピュータまたはプロセッサへの電力供給の終了によって消去されない。コンピュータハードドライブROM(すなわち、仮想メモリとして使用されないROM)、CD-ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、およびDVDの全ては、永久
メモリの例である。ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory;RAM)は、非永久メモリの例である。永久メモリにおけるファイルは、編集可能かつ再書き込み可能であり得る。
【0219】
また、本発明は、上記方法を実行するために、例えば、IEM、受信機、およびシステムの他の構成要素をプログラミングするために、コンピュータ実行可能命令(すなわち、プログラミング)を提供する。コンピュータ実行可能命令は、コンピュータ可読媒体上に存在する。したがって、本発明は、例えば、上記に検討するように、本発明の組成物によって生成された信号を検出および処理する際に使用するためのプログラミングを含むコンピュータ可読媒体を提供する。
【0220】
したがって、特定の実施形態では、本システムは、データ記憶要素、データ処理要素、データ表示要素、データ伝送要素、通知機構、およびユーザインターフェースのうちの1つ以上を含む。これらの追加の要素は、受信機に組み込まれてもよく、および/または外部デバイス、例えば、データを処理し、決定を下し、そしてこのような活動を提供する遠隔位置にデータを転送するように構成されるデバイス上に存在してもよい。
【0221】
上述のシステムは、薬学的組成物上の識別子と受信機との間の通信の観点から検討される。しかしながら、本システムは、それに限定されない。より広義な意味において、本システムは、例えば、上記に検討するような送信機/受信機機能を使用して、例えば、上述のような単極送信機(例えば、アンテナ)構造を使用して、相互に通信する2つ以上の異なるモジュールから構成される。したがって、上記識別子要素は、複数の異なるデバイスのいずれかに組み込まれて、例えば、体内の2つの電源内蔵デバイスの間のシステムに通信を提供してもよく、電源内蔵デバイスは、センサ、データ受信機、および記憶要素、エフェクタ等であってもよい。例示的システムでは、これらのデバイスのうちの一方は、センサであってもよく、他方は、外部へ通信するための通信ハブであってもよい。本進歩的実施形態は、多数の形式を取ってもよい。多数のセンサ、多数の送信機、および1つの受信機が存在することが可能である。これらのうちの両方が、既知の通信プロトコル従って、送信および受信を順番に行なう送受信機であることが可能である。特定の実施形態では、2つ以上の個々のデバイス間の通信手段は、例えば、上述のように、単極システムである。これらの実施形態では、これらの送信機の各々は、大型コンデンサおよび導体である身体を出入りする電荷を生じる単極を使用して、高周波数信号を身体に送信することを順番に行なうように構成されてもよい。受信機、すなわち、単極受信機は、その周波数において、身体を出入りする電荷を検出し、振幅変調信号または周波数変調信号等の暗号化信号を復号化する。本発明の本実施形態は、広義に使用される。例えば、多数のセンサは、位置または加速を測定する身体の種々の部分に配置および埋め込み可能である。中央ハブに連結するワイヤを含まずに、通信媒体を介してその情報を通信することが可能である。
【0222】
(キット)
また、本方法を実施するためのキットも提供される。キットは、本発明のIEMシステムの構成要素、例えば、上述のように、1つ以上のIEM(区別可能なIEMの組を含む)、1つ以上の受信機、第3の外部デバイス等を含んでもよい。加えて、キットは、1つ以上の投与組成物、例えば、薬学情報対応型の投与組成物、またはIEMと同時投与される組成物を含んでもよい。キットに提供される1つ以上の薬理学的物質の投与量は、単一の用途または多数の用途に十分であり得る。したがって、本キットの特定の実施形態では、単回投与量の薬理学的物質がキットに存在し、特定の他の実施形態では、複数回投与量の薬理学的物質が存在してもよい。複数回投与量の薬理学的物質を有するこれらの実施形態では、単一の容器、例えば、単一の管、ボトル、バイタル、およびその同等物にパッケージ化されてもよく、または1回以上の投与量は、特定のキットが薬理学的物質の複数の容器を有するように、個々にパッケージ化されてもよい。
【0223】
1つ以上の薬理学的物質を被験者に送達するための適切な手段は、本キットにおいて提供されてもよい。キットにおいて提供される特定の送達手段は、上述のように、用いられる特定の薬理学的物質、例えば、錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、注射、吸入、およびエアロゾル、ならびにその同等物等の固体、半固体、または液体の調合に製剤されるか否か等の薬剤の特定の形式と、例えば、経口、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内等であるか否かの薬剤の投与の特定のモードとによって決定付けられる。したがって、特定のシステムは、座薬塗布器、注射器、IVバック、および管、電極な等を含んでもよい。
【0224】
特定の実施形態では、キットは、例えば、上述のように、例えば、組成物の利用に関して入手したデータを入手および処理する診療所、中心施設等の遠隔位置との通信を提供し得る外部モニタデバイスも含んでもよい。
【0225】
特定の実施形態では、キットは、非経口的有効薬剤、または例えば、その開示が参照により本明細書に援用される2007年7月6日に出願され、名称が「Smart Parenteral Administration System」である同時係属出願第PCT/US2007/015547号に記載されるような注射器、吸入器、もしくは薬物を投入する他のデバイスを使用する他の方法によって身体に取り込まれる有効薬剤の特定の識別および検出を提供するスマート非経口送達システムを含んでもよい。
【0226】
また、本キットは、キットの構成要素を使用して、本方法をどのように実施するかに関する指示書を含んでもよい。指示書は、適切な記録媒体または基板上に記録されてもよい。例えば、指示書は、紙またはプラスチック等の基板上に印刷されてもよい。したがって、指示書は、キットの容器またはその構成要素(すなわち、パッケージまたはサブパッケージに関連付けられる)等において、添付文書としてキットに存在してもよい。他の実施形態では、指示書は、例えば、CD-ROM、ディスケット等の適切なコンピュータ可読
記憶媒体上に存在する電子記憶データファイルとして存在する。さらに他の実施形態では、実際の指示書は、キットに存在しないが、遠隔ソースから、例えばインターネットを介して指示書を入手する手段が提供される。本実施形態の例として、指示書が閲覧可能であり、および/またはそこから指示書をダウンロード可能であるウェブアドレスを含むキットが挙げられる。指示書に関し、指示書を入手する本手段は、適切な基板上に記録される。
【0227】
本キットの構成要素の一部または全部は、滅菌を維持するために、適切なパッケージにおいてパッケージ化されてもよい。本キットの多数の実施形態において、キットの構成要素は、キット収納要素においてパッケージ化されて、単一の扱い易いユニットを作製し、この場合、キット収納要素、例えば、箱または類似の構造は、例えば、キットの構成要素の一部または全部の滅菌をさらに保護するように、気密容器であってもなくてもよい。
【0228】
本発明が特定の実施形態に限定されず、変化し得ることを理解されたい。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のものであり、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるため、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0229】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各値、すなわち、文脈上他に明示しない限り、下限の単位の10分の1までの値、およびその記述された範囲内の、任意の他の記述された値または介在する値が、本発明に包含されることが理解されたい。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してより小さな範囲に含まれてもよく、記述された範囲の任意の特に除外された限界にも従うことを条件として、本発明に包含される。記述された範囲が、限界の片方または両方を含む場合、これら含まれる限界の片方または両方を除く範囲もまた本発明に含まれる。
【0230】
他に規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が所属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に説明される方法および材料に類似する、または同等の任意の方法および材料も、本発明の実施または試験に使用可能であるが、代表的な例証的方法および材料がここで説明される。
【0231】
本明細書に引用される全ての出版物および特許は、各個別の出版物または特許が、参考により組み込まれるべく具体的かつ個別に示されるように参照により本明細書に組み込まれ、出版物の引用に関連する方法および/または材料を開示および説明するために、本明細書において参照により組み込まれる。任意の出版物の引用は、出願日の前の開示に対してであり、本発明が、従来の発明によってこのような公開に先行するように権利化されないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、実際の公開日は、自主的に確認されることを必要とし得る。
【0232】
本明細書および添付の請求項において使用する際、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。請求項は、任意の選択的要素を除外するように記載され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の要素の列挙に関連するこのような排他的な専門用語、例えば、「単独で」、「唯一の」、およびその同等物の使用のため、または「否定的な」限定の使用のために、先の記載としての役割を果たすように意図されている。
【0233】
本開示を熟読することで、当業者に明白であるように、本明細書において説明および図示される個別の実施形態の各々は、別々の構成要素および特徴を有し、これらは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、容易に分離されてもよく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせられてもよい。任意の列挙される方法は、列挙される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行可能である。
【0234】
前述の発明は、理解を明確にする目的で図示および実例によって、詳細に説明されているが、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対して、特定の変化および変更を加えてもよいことが、本発明の教示を考慮すると、当業者に容易に明白になる。
【0235】
したがって、前述のものは、本発明の原理を単に例証したに過ぎない。本明細書に明確には説明または示されていなくても、当業者が本発明の原理を具現化する種々の配置を考案することが可能であり、本発明の精神および範囲に含まれることが理解されたい。さらに、本明細書に列挙される全ての例および条件の用語は、主に読み手が本発明の原理および発明者によって技術を促進するために与えられた概念を理解することを支援するように意図されており、このような特別に列挙される例および条件に限定されることはないと解釈されるべきである。さらに、本明細書において、本発明の原理、側面、および実施形態を列挙する全ての記述、ならびにそれらの特定の例は、構造的におよび機能的の両方においてそれらの同等物を含むことが意図される。加えて、このような同等物は、現在既知の同等物および将来的に開発される同等物、すなわち、構造にかかわらず同一の機能を実行する任意の、開発される要素の両方を含む。したがって、本発明の範囲は、本明細書において図示および説明された例示的実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の請求項によって具現化される。