(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2静翼構造体の軸方向下に位置する第3インペラをさらに備え、前記第3インペラが複数のインペラの羽根を含むことを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の送風機。
前記第1インペラ、前記第2インペラ、及び前記第3インペラの少なくとも1つが、一体成形されたプラスチック構造のものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の送風機。
【背景技術】
【0003】
OSAの経鼻的CPAP治療
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)の経鼻的な持続的気道陽圧法(CPAP)による治療は、Sullivanによって発明された。特許文献1を参照されたい。OSAを治療する装置は、典型的に、送気導管によって、マスクなどの患者側の接続装置に空気または呼吸に適した気体の供給を与える送風機を備える。典型的に、装置を装着している間、患者は眠るので、静かで快適であるシステムを有することが望ましい。
【0004】
一般的送風機/エアポンプ
送風機は、典型的に、遠心式、軸流式または混流式として分類される。一般に、送風機は、回転部品、すなわちインペラおよびシャフトと、典型的には渦形室のようなチャンバである流体流路を画定する固定部品との2つの主な部品を備える。インペラの回転は、空気に運動エネルギーを与える。固定部品は、インペラから放出される空気を、囲まれた出口通路へと向け直す。この向け直す際に、下流の抵抗または下流の圧力源によって発生される圧力のため、流れに対する抵抗が起こる。流れがこの抵抗に対して減速されるにつれ、運動エネルギーの一部が、圧力の形の位置エネルギーに変換される。
【0005】
一般に、インペラがより速く回転されると、より高い圧力が発生される。効果のより低い送風機は、効果のより高い送風機と同じ圧力を発生させるために、そのインペラをより速く回転させなければならない。一般に、所与の送風機をより低速で作動すると、送風機がより静かになり、その寿命が延びる。それゆえに、一般に、陽圧の空気供給を発生させる際に、送風機をより効果的にすることが望まれる。
【0006】
図1および2を参照して、3つの方向、すなわち半径方向R、接線方向T、および軸方向Aが定義される。従来技術の遠心式送風機10は、出口20、入口30、電気モータ40、インペラ50、およびシャフト60を含む。矢印70は、気流の概略的な方向を示す。空気は、入口30において送風機に入り、回転するインペラによって加速される。インペラによって与えられる回転が、概ね、接線方向Tに空気流を向ける。次に、渦形室が空気流を拘束して、渦形室をらせん状に進ませる。次に、空気流は、出口20を介して、概ね接線方向Tに送風機を出る。
【0007】
軸方向に展開された渦形室の送風機などのいくつかの送風機では、渦形室の幾何学形状が、接線方向の螺旋を描く空気流を、概ね接線方向Tに送風機を出る前に、わずかに軸方向Aに向ける。
【0008】
送風機の性能は、空気の流速対空気の出口圧力を示すファンの曲線を使用して、しばしば説明される。インペラの直径ならびにインペラの羽根の数および形状を含む多くの要因が、ファンの曲線に影響を与える。設計の過程は、望ましい圧力、流速、サイズ、信頼性、製造性、および騒音などの相対する特性同士の間の複雑なバランスである。構成要素のサイズ、形状および構成の多くの組み合わせが、加圧された空気の流れを起こし得るが、そのような結果は最適状態からは程遠いか、または非実用的であり得る。
【0009】
ResMed社の軸方向の渦形室構成
既知の送風機構成の別の形態は、その内容が本明細書によって明白に援用される、ResMed社の特許文献2において説明される。この特許出願において説明されるように、渦形室の幾何学形状は概ね軸方向に展開するが、空気は概ね接線方向にこの送風機を出る。
【0010】
Respironics社の人工呼吸器
Respironics社の特許文献3は、好ましくは3つの回転式のインペラおよび2つの固定式の固定子を含む送風機組立体を有する医療用人工呼吸器を説明する。この装置では、空気が概ね接線方向に送風機組立体を出るように、従来式の渦形室構成が用いられる。
【0011】
こ の送風機構成の不利益は、この構成が、羽根通過音の騒音の放出を被りやすいことである。
【0012】
Respironics社のREMstar
既知の別の送風機は、CPAP装置のRespironics社のREMstarシリーズに見られる。この装置では、空気は概ね接線方向に送風機を出る。
【0013】
ResMed社の送風機
ResMed社に譲渡された特許文献4は、気体を所望の圧力および流動特性へと協働して加圧する気体流路内の2つのインペラを含む、患者の持続的気道陽圧法(CPAP)の換気用の両端式無段変速送風機について説明する。この特許の内容は、本明細書に明白に援用される。この装置では、空気は概ね接線方向に送風機を出る。
【0014】
特許文献5および特許文献6は、多段式送風機について説明する。この両方のPCT出願の内容は、本明細書に援用される。
【0015】
上述のように、既知のCPAPおよびVPAP送風機は、多かれ少なかれ従来式の渦形室構成、すなわち、空気が接線方向に渦形室を出るものを使用する。これらの構成は、渦形室の非対称形が、渦形室およびインペラにおける流れのパターンを非対称に導く不利益を有する。この問題は、渦形室の理想的な「設計」流速から離れた流速において、特に重大である。CPAPおよびVPAPは、残念なことに、流れの所要量の変動が非常に大きい結果として、その作動時間の相当な部分が、非理想的な流れの条件の下において使用される。これは、渦形室内、および結果としてインペラ内の流れのパターンが、非常に非対称的で不均一となり、不安定にさえもなることを意味する。これが、パルスを加圧することおよび乱流につながる。結果として、音的な羽根通過音の騒音および乱流の騒音が発生される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。・・・
【0031】
本発明の態様は、CPAP、機械的人工換気法および補助呼吸法などの非侵襲的換気(NIVV)治療装置(たとえば気道陽圧(PAP)装置または流れ発生器)に対する用途において本明細書に説明されるが、本発明の特徴は、真空式掃除機、コンピュータの冷却装置、ならびに建造物および車両において見られるようなHVAC装置などの、送風機が使用される他の応用分野に対する用途を有することが理解されたい。
【0032】
本明細書では、語「空気ポンプ」および「送風機」は、相互に置き換えて使用され得る。本明細書では、語句「固定部品」は、「渦形室」を含むものと解釈される。用語「空気」は、呼吸に適した気体(たとえば追加の酸素を有する空気)を含むものと解釈される。
また、本明細書に説明される送風機は、空気以外の流体を送るように構成され得ることが認められる。
【0033】
本明細書では、語「備える(comprising)」は、その「開いた(open)」意味、すなわち「含む(including)」という意味に理解されるべきであり、したがって、その「閉じた(closed)」意味、すなわち「〜のみからなる(consisting only of)」という意味に限定されないことが理解されたい。対応する意味は、その語が現れる位置における対応する語「備える(comprise)」、「備えた(comprised)」、および「備える(comprises)」に帰するものである。
【0034】
本発明の特定の実施形態が説明されてきたが、本発明は、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態において具体化され得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の実施形態および実施例は、すべての点において例示的であり、限定的ではないものと考えられるべきであり、本発明の範囲は、前述の実施例または説明よりもむしろ、添付の請求項によって示され、したがって、請求項の意味および均等の範囲内にあるすべての変更は、本発明に包含されることが意図される。既知の従来技術への本明細書におけるすべての参照は、反対の指示がない限り、そのような従来技術が、本発明の態様が関係する当業者によって一般に既知であるということを認めるものではないことを、さらに理解されたい。
【0035】
1. 全体的な説明
本発明の一実施形態による送風機100は、固定部分と、回転部分と、電気モータとを備える遠心式空気ポンプの形態であってよい。
【0036】
図3a〜5gに示す例示的な実施形態では、固定部分は、2つの部品172、174の外部筐体170と、3セットの固定子構成要素180、182、184および2つの遮蔽部190、192を含む内部流れ案内構成要素の組立体とを含む。回転部分は、3つのインペラ150、152、154と、電気モータ140によって駆動されるように構成されたシャフト160とを備える。一実施形態では、電気モータ140は、ブラシレス直流モータであってよい。図示の実施形態では、送風機は、対応するインペラと静翼および遮蔽部の組とをそれぞれが備えた3つの段を有する。
図3a〜3gおよび4aに示すように、送風機100は、概ね円筒形であり、一方の端部に入口130を、他方の端部に出口120を有する。
【0037】
図示の実施形態では、送風機のすべての構成要素は、すべての構成要素がそれを中心に概ね対称形をなす軸を画定する、モータのシャフトに沿って整列される。一実施形態では、送風機は、その軸を中心に扇形に自己相似であってよい。この軸方向の対称性は、すべての段に適用されてよい。
【0038】
本発明の一実施形態による送風機の利点は、この送風機が、使用時に遭遇される圧力および流速の範囲にわたって、渦形室内に対称的で安定した流れのパターンを促進することである。このようにして、羽根の通過音および乱流の騒音の放出が低減される。
【0039】
図示の実施形態の利点は、特に射出成形される場合において構成要素の幾何学形状によって与えられる、および組立体の積み重ねられた性質によって与えられる製造および組立ての容易さである。
【0040】
2. 流体の流路
2.1 第1段
送風機の第1段が、ここに説明される。
図4a〜4cおよび5a〜5gに最もよく示されるように、空気は、入口130において送風機100に入り、第1回転インペラ150へと通り、そこで空気は、接線方向に加速され、半径方向外側に向けられる。次に空気は、モータ140の側部の回りを通過し、大きい接線方向の速度成分と、また、固定子構成要素180の第1組の静翼185に向かう軸方向の成分とを有して、らせん状に流れる。
本実施形態では、遮蔽の機能はモータのケースによって与えられているので、第1段に遮蔽部は設けられない。第1組の静翼185において、空気は、穴181に向かって半径方向内側に向けられ、その後で第2段へと向けられる。
【0041】
2.2 第2段
第2段では、
図4a〜4cおよび5a〜5gに示すように、空気は、まず、第2回転インペラ152によって接線方向に加速され、また、半径方向外側に流れる。次に、空気は、大きい接線方向の速度成分と、また円形の円板190の外縁部および固定子構成要素182の内表面によって画定される間隙164を通過する軸方向の成分とを有してらせん状に流れる。次に、空気は、固定子構成要素182内に形成された第2組の静翼187に入り、穴183に向かって半径方向内側に向けられ、その後、第3段へと向けられる。
【0042】
2.3 第3段
第3段の流体流路は、第2段の流体流路と同様である。
図4a〜4cおよび5a〜5gに示すように、空気は、穴183を介してこの段に入り、第3回転インペラ154によって接線方向に加速され、また、半径方向外側に向けられる。次に、空気は、大きい接線速度の成分と、また円形の円板192の外縁部および筺体174の内縁部によって画定される間隙166を通過する軸方向の成分とを有してらせん状に流れる。次に空気は、筐体174内に形成された静翼184によって、出口120の方へ向けられる。
【0043】
3. 固定部分
3.1 全体
送風機の固定部は、2つの外部筐体部品172、174と、内部流れ案内固定子構成要素180、182、184と、2つの遮蔽部190、192とを含み、寸法的に安定である任意の適切な剛性または半剛性の材料から作製されてよい。一実施形態では、固定子構成要素は、良好な熱伝導性、比較的低いコスト、低い密度、音の緩衝特性、および後の機械加工を減らす成形の容易さのうちの1つまたは複数の特性をもたらす材料から作製されてよい。熱伝導性材料の使用は、また、モータを冷たく保ち、空気を暖めるのを助けることができる。空気を加熱する能力は、NIVV装置に使用される送風機に追加の利点を提供し得る。
【0044】
一実施形態では、固定部分の構成要素の少なくともいくらかは、アルミニウムまたはその合金、たとえばアルミニウムダイキャスト品から作製されてよい。別の実施形態では、固定部分の構成要素の少なくともいくらかは、マグネシウムまたはその合金から作製されてよい。さらに別の実施形態では、固定部分の構成要素の少なくともいくらかは、プラスチック材料から作製されてよい。
【0045】
3.2 入口
空気入口130は、所望の流れの必要条件が確実に満たされる一方で、空気入口130から過剰な騒音が戻って放出されないように、送風機内に十分な空気流を入れるように構成される。また、空気入口130の寸法は、送風機によって必要とされる流れの所望のレベル、および特定の用途に依存する。NIVVの実施形態では、空気入口130は、2mmから100mmの間、たとえば15mmから20mmの間の直径を有してよい。
【0046】
3.3 固定子構成要素
静翼を含む固定子構成要素は、流れの方向に滑らかな移行部を促進するように構築される。一実施形態では、2つの固定子構成要素180、182は、プラスチックから射出成形される(たとえば
図7a〜7dを参照)。第3の固定子構成要素は、底部のケーシング174内に成形される静翼184を含む。別の実施形態では、静翼は金属のような熱伝導性材料を使用して作製されてもよい。
【0047】
3.3.1 半径方向への流れの方向付け
本発明のNIVVの実施形態では、静翼は、概ね半径方向に流れを向ける。羽根は、1mmから100mm、たとえば3mmから5mmの範囲の高さを有する。この構成は、ほぼ直角に流れを持っていき、かなりの軸方向の成分を含む翼または段から段への通路と比較したとき、全体として送風機の小型の構成を維持する助けとなる。
【0048】
3.3.2 形状
それぞれの段は、空気流を向けるための複数の静翼、たとえば2つから100の静翼を有する。一実施形態では、各段は7つの静翼を有する。それぞれの翼は、実質的に同一であり、空気が激しくなりすぎる前に空気を減速するように、翼の内側端部において翼の外側端部よりも小さい湾曲半径を有する、概ねらせん状の形状を有する。
【0049】
非常に高い流速が必要であり、騒音は主要な考慮事項でない場合の用途など、他の用途では、空気は、静翼によって減速されなくてもよい。
【0050】
3.3.3 混合された軸方向/半径方向への流れの方向付け
本発明の代替の実施形態では、翼は、軸に対して垂直である面に流れを向けてよいか、または、少なくとも1セットの静翼が半径方向および軸方向の両方に流れを向けるように、向けられた流れに対する軸方向の成分があってよい。この実施形態では、最終段の静翼は、傾斜面に配置されてよいか、または一定の高さのものではないが、軸方向ならびに半径方向に展開し、それによって空気がより段階的に軸方向に曲げられる。たとえば、
図10aおよび10bは、モータシャフト260に取り付けられたインペラ250と、遮蔽部290と、半径方向および軸方向の両方に流れを向けるように構築された静翼285を含む固定子280とを示す。このように、翼は(上記の実施形態で行うように)接線方向に始まるが、最終的には、(上記の実施形態におけるように半径方向よりもむしろ)軸方向に流れを向ける。この構成は、少々より多くの空間を占めるが、圧力の発生を改善することができる。この構成は、空気が直角に通過しないことを意味する。
【0051】
3.4 静翼を絶縁する遮蔽部
本発明の別の態様は、静翼とインペラの羽根との間に配置される遮蔽部(たとえば
図8a〜8cを参照)に関する。一実施形態では、遮蔽部は射出成形されたプラスチックから形成されるが、他の適切な材料(金属など)が使用されてもよい。図示の実施形態では、遮蔽部は、静翼の外縁部を越えて半径方向に延在する。これは、静翼とインペラの羽根との間に「視線」路がないことを意味し、結果として、静翼に衝突する空気流が、確実に、一様に循環する性質のものとなるように働く。
【0052】
図5b、5dおよび5eに最もよく示されるように、遮蔽部190、192は、それぞれ環状開口164、166を介して流れを向ける。周囲部の開口が、また、使用されてもよい。一形態では、遮蔽部は、その外縁部と固定部分の壁との間に狭い環状の間隙のみを残す。この間隙は、過剰な圧力低下をもたらすことなく次の段に十分な空気流をもたらすのに十分である。NIVV装置に用いられる送風機の一実施形態では、間隙は、0.5mmから100mmの間、たとえば1mmから2mmの間であってよい。遮蔽部はまた、インペラの羽根の圧力のパルスを静翼から絶縁することによって、音の障壁をもたらす。
【0053】
一形態では、遮蔽部は円形の円板であり、NIVV装置では、静翼に溶接されてよい。
【0054】
代替実施形態では、遮蔽部は回転してよい。そのような回転する遮蔽部は、下側の囲い板がインペラの羽根と静翼との間で回転する遮蔽部の働きをするように、インペラに一体化されてよい。たとえば、
図9はモータシャフト360に取り付けられたインペラ350を示す。インペラ350は、下側の囲い板354がインペラの羽根355と固定子380の静翼385との間の回転する囲い板の働きをする、上下の囲い板352、354を含む。
【0055】
3.5 出口
送風機を出る空気を概ね接線方向に向ける、既知の従来技術の遠心式送風機とは対照的に、本発明の一実施形態による遠心式送風機は、概ね軸方向に空気を向ける。この軸対称性は、インペラおよび羽根が、すべての装置の流速において対称的な流れのパターンに遭遇するため、空気流の乱流を低減させ、羽根通過音を低減させることにおいて有効である。
【0056】
3.6 筐体
筐体は、筐体の別々の構成要素をともに取り付けることを助ける外部筐体上の面取り部を備える。この構成のため、全体的により小さいパッケージが可能になる。
【0057】
外部筐体の内壁とモータの外壁との間の間隙によって、空気がモータの側部の回りを下に通過できるようになる。一実施形態では、間隙のサイズは、かなりの摩擦損失を防ぐのに十分であるが、装置の全体的なサイズが過大になるほど大きくはない。NIVV装置において用いられる送風機の一実施形態では、間隙のサイズは、0.1mmから100mmの間、たとえば約4mmであってよい。
【0058】
空気がモータの回りを流れる能力は、モータを冷たく保つのを助けることができる。その能力はまた、NIVV装置において患者の空気を加熱するのを助けることができる。
【0059】
4. 回転部分
4.1 インペラ
NIVVの実施形態では、送風機は、
図4aから4cに示すように、複数のインペラ150、152、154を備える。図示の実施形態では、インペラは構成において同一であるので、インペラ150のみを詳述する。
図6aから6gを特に参照すると、インペラ150は、一体成形されたプラスチック構造のものであるが、他の適切な材料および製造技術が使用可能である。インペラ150は、一対の円板状の囲い板202、204の間に挟まれた複数の連続的に湾曲された羽根200を備える。小さい方の囲い板202は、モータシャフト160を受けるように構成されたハブまたはブッシュ206を組み込む。囲い板202は、羽根200の内側部分に重なる、すなわち、小さい方の囲い板の外径(OD)は、大きい方の囲い板204のODより実質的に小さい。大きい方の囲い板204は、比較的大きい中央開口部208を備えて形成され、羽根の半径方向外側の先端部まで延在する。小さい方の囲い板202のODを、囲い板204の中央開口部208の直径よりわずかに小さくすることが、インペラを製造するのに用いられる成形工程を容易にする。
【0060】
異なるサイズの囲い板を用いることによって、インペラ150の慣性が低減される一方で、インペラの全体的な剛性が維持される。この点に関して、インペラ150は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、またはインペラの共鳴を緩衝する音の緩衝特性をもたらす他の材料から作製されてよい。ガラス繊維の補強が、これらの材料のうちのいずれかの剛性を増すのに用いられてよい。
【0061】
4.1.1 直径
NIVVの実施形態では、インペラ150は、20mmから200mmの範囲の直径を有してよい。一実施形態では、インペラ150は、40mmから50mmの範囲、たとえば42mmの直径を有してよい。この範囲の直径を備えたインペラは、送風機の全体的な寸法、回転の慣性、および乱流のレベルの間に、良好な妥協点をもたらし得る。
【0062】
4.1.2 羽根の数
NIVVの実施形態では、インペラは、4つから100(たとえば11)の一次羽根200を有する。インペラは、二次羽根および三次羽根を含んでもよく、異なる羽根通過断面(図示せず)のものであってもよい。
【0063】
4.1.3 羽根の形状
一実施形態では、インペラの羽根200は、半径方向に連続的に湾曲され、また、半径方向外側の部分において幅にテーパが付けられてもよい。羽根の先端部の狭くされた幅は、乱流を低減させることができる(たとえば、レイノルズ数は、(順に)3つのインペラ、2つのインペラ、1つのインペラを備えた送風機においてより少なくなる)。一実施形態では、羽根の最も外側の横方向の縁部は、羽根の先端部における乱流騒音を低減させるのを助けるように、羽根のそれぞれの横方向の幅に沿って段(図示せず)が付けられてもよい。別の実施形態では、羽根200の最も外側の横方向の縁部は平坦である。一実施形態では、羽根200は、1mmから40mm、たとえば3mmから6mmの範囲の出口高さを有する。一形態では、羽根200は、出口高さと同じである入口高さを有するが、他の形態では、入口および出口の高さは、異なってもよい。
【0064】
羽根200は、0°から90°の間、たとえば約20°の接線に対する入口角度を有する。羽根200は、70°から110°の間の接線に対する出口角度を有するが、他の角度も可能である。
【0065】
4.2 シャフト
一実施形態では、シャフト160と遮蔽部190、192との間に間隙がある。この間隙は、シャフトが遮蔽部内で回転できるようにするのに十分であるが、インペラ152、154と内部流れ案内構成要素182、184との間におけるかなりの漏れを防ぐように十分小さい。NIVV装置用の送風機では、間隙は10mm未満、たとえば2mm未満であってよい。
【0066】
5. 軸方向の対称性
本発明の一実施形態による送風機は、静翼を使用する、軸方向に対称形の渦形室を備える。空気流は、実質的に軸方向に、送風機内の各段に入り、各段を出る。結果として、空気は、一方の端部において軸方向に送風機に入り、他方において軸方向に送風機を出る。
空気流路は、送風機全体において実質的に軸方向に対称的であり、インペラを介しておよび渦形室内において、一定の供給パターンを維持する。対称形の送風機は、バランスを与え、それが、羽根の通過音のレベルを下げ、乱流の騒音のレベルを下げることにつながる。インペラと静翼との間に配置される遮蔽部は、翼の前縁にインペラの羽根先端部からの障壁をもたらし、こうして、羽根の通過音を低減させる。
【0067】
6. 複数の段
図示の実施形態では、送風機は、3つの対応するインペラを備えた3つの段を含む。この実施形態では、1つのインペラがモータの一方の側に配置され、2つのインペラがモータの他方の側に配置される。
【0068】
代替実施形態では、送風機は、2つの段(モータの両側に1つずつ)を含んでよい。さらなる別の実施形態では、モータの両側に2つずつ備えた、4つの段を使用する。別の実施形態は、単一の段の構成である。さらなる実施形態は、モータの一方の側のみに複数の段を備える。
【0069】
7. 代替実施形態
以下は、本発明の代替の実施形態による送風機を示す。それぞれの実施形態では、空気は、一方の端部において軸方向に送風機に入り、他方の端部において軸方向に送風機を出る。
【0070】
7.1 2段式送風機
図11〜16は、本発明の別の実施形態による送風機400を示す。図示のように、送風機400は、2つの対応するインペラ450、452を備えた2つの段を含む。この実施形態では、2つのインペラは、磁石462および固定子組立体465の同じ側に配置されるが、軸受444はインペラ450、452の間に配置される。
【0071】
このような送風機は、いびきのPAP、CPAP、APAPおよび/またはVPAPに使用可能であり、人工呼吸器の変形例を提供するように構成可能である。
【0072】
7.1.1 小型のサイズ
送風機400は、より小型またはミニサイズの送風機をもたらす比較的小さいサイズを有する。たとえば、
図14に示すように、送風機400は、約50から60mm、たとえば53mmの全径d、および約40〜50mm、たとえば44mmの全長lを有してよい。しかしながら、他の適切なサイズが可能である。
【0073】
7.1.2 概要
送風機400の固定部分は、第1および第2の筐体部品472、474を備えた筐体470と、静翼485を含む固定子構成要素480と、第1および第2の遮蔽部490、492とを含む。送風機400の回転部分は、モータ440によって駆動されるように構成された第1および第2のインペラ450、452を含む。モータは、シャフト460の回転する動きを起こすようにシャフト460および固定子組立体465に設けられた磁石462を含む。一実施形態では、モータは、(小型のサイズのために)2つの極を含み、センサなし、および/または(低騒音のために)溝なしであってよい。
【0074】
送風機400は、概ね円柱形であり、一方の端部に第1筐体部品472によって設けられる入口430を、他方の端部に第2筐体部品474によって設けられる出口420を有する。
図12および16に最もよく示されるように、出口420は、環または輪の形状を有する。一実施形態では、入口も、環または輪の形状(図示せず)を有してもよい。
【0075】
上記の実施形態と同様に、送風機400は、軸対称性を有し、空気は、一方の端部において軸方向に送風機に入り、他方の端部において軸方向に送風機を出る。このような構成は、たとえば軸対称性および/または低い渦形室の乱流のために、使用時に比較的低い騒音をもたらすことができる。
【0076】
7.1.3 固定部分
図15および16に最もよく示されるように、固定子構成要素480は、遮蔽部490を適所に固定するように、遮蔽部490に設けられた対応する開口部491内に係合(たとえば圧入)する円柱形のハブ486を含む。さらに、ハブ486は、回転可能にシャフト460を支持する軸受444を保持または収容する凹部488を備える。図示のように、軸受444は、インペラ450から空気が送られる面に沿って配置されるように、固定子構成要素480の中に納められる。軸受444がモータ構成要素(すなわち固定子組立体および磁石)を囲む筐体の外に配置されるので、この構成は軸方向の空間を節約する。
【0077】
図15および16に最もよく示されるように、筐体部品474は、流れを出口420の方へ向ける静翼487を含む。さらに、筐体部品474は、外側環状フランジ478、およびモータ構成要素を支持する内側環状フランジ476をもたらすハブ475を含む。具体的には、内側環状フランジ476は、シャフト460を回転可能に支持する軸受446を保持または収容する。外側環状フランジ478は、固定子組立体465を保持または収容する。遮蔽部492は、シャフト460上の磁石462とともに筐体部品474内に固定子組立体465を囲むように、外側環状フランジ478に係合(たとえば圧入)する。
【0078】
一実施形態では、筐体部品474は、筐体部品474が、使用時に固定子組立体465から生じた熱を伝導し放散させるヒートシンクとして働くことができるように、金属から作製されてよい。また、固定子組立体465を支持する外側環状フランジ478の少なくとも一部は、空気の流れに露出され、それによって、使用時に筐体部品474を介して空気が流れる際に固定子組立体465の冷却が可能である。しかしながら、筐体部品は他の送風機の構成要素とともに、他の適切な材料、たとえばアルミニウム、プラスチックなどから作製されてもよい。
【0079】
7.1.4 回転部分
図示の実施形態では、それぞれのインペラ450、452は、一対の円板状の囲い板455、456の間に挟まれた連続的に湾曲されたまたは直線状の複数の羽根454を含む。下側の囲い板456は、シャフト460を受けるように構成されたハブまたはブッシュを組み込む。また、それぞれのインペラ450、452は、羽根454が外縁部に向かってテーパになるテーパ付きの構成を含む。インペラのさらなる詳細は、その全体が本明細書に援用される、特許文献5に開示される。このような構成は、たとえば、比較的低い慣性のインペラのために、比較的速い圧力の応答をもたらすことができる。
【0080】
7.1.5 流体の流路
第1段において、空気または気体は、入口430において送風機400に入り、第1インペラ450内へと通り、そこで空気は接線方向に加速されて、半径方向外側に向けられる。次に空気は、大きい接線方向の速度成分と、また、遮蔽部490の外縁部と筐体部品472の内面とによって画定された間隙464を通過する軸方向の成分とを有して、らせん状に流れる。空気は、次に、固定子構成要素480内に形成された静翼485に入り、半径方向内側に穴483の方へ向けられ、その後、第2段へ向けられる。
【0081】
第2段では、空気または気体は、第2インペラ452内へと通り、そこで接線方向に加速され、半径方向外側に向けられる。次に空気は、大きい接線方向の速度成分と、また、遮蔽部492の外縁部と筐体部品474の内面とによって画定された間隙466を通過する軸方向の成分とを有して、らせん状に流れる。次に空気は、筐体部品474内に形成された静翼487に入り、出口420の方へ向けられる。
【0082】
7.1.6 支持システム
図17に示すように、送風機400は、支持システムによって、(たとえばPAP装置のようなNIVV装置の一部を形成する)外部ケーシング415内に支持されてよい。外部ケーシング415は、ベース部416と、ベース部416に設けられたカバー418とを含む。支持システムは、送風機400を支持する側部支持部424、頂部支持部425、または底部支持部426、あるいはこれらの組み合わせを含む。支持システムは、また、送風機400の入口側と出口側との間の封止部もたらすように構成されてもよい。
【0083】
側部支持部424は、外部ケーシング425内で、柔軟かつ/または振動絶縁するやり方で送風機を支持するように構成された環状の可撓性の輪の形態であってよい。さらに、可撓性の輪424は、外部ケーシングの出口の方へ流れを向ける連結管の必要を回避するように、外部ケーシング425の出口から外部ケーシング425の入口を分離する。また、可撓性の輪424は、ベース部416と外部ケーシング415のカバー418との間の封止部をもたらしてよい。
【0084】
底部支持部426は、偏向部材427(たとえば板ばね)と、伝導部材428とを含む。使用時には、底部支持部426が、送風機400を外部ケーシング415から絶縁(たとえば振動絶縁)する可撓性の構造体を与える。一実施形態では、伝導部材428は、外部の源からの電流を固定子組立体465へと伝導するように固定子組立体465と結合される。
【0085】
7.2 軸受管を備えた2段式送風機
図18は、本発明の別の実施形態による2段式の送風機500を示す。2段式の送風機500は、上述の送風機400と同様である。対照的に、第2筐体部品574および第2遮蔽部592が、モータ構成要素を支持する異なる構造体をもたらす。
【0086】
図示のように、第2筐体部品574は、出口520の方へ流れを向ける静翼587を含む。さらに、筐体部品574は、環形のフランジ576をもたらすハブ575を含む。環形のフランジ576は、固定子組立体565の下側を係合するように構築される。
【0087】
第2遮蔽部592は、そこから延在する(たとえば1つの部品として一体的に形成された)管部分595を含む。図示のように、固定子組立体565は、固定子組立体565が、第2筐体部品574の環状のフランジ576と遮蔽部592のテーパ付き突出部593との間に囲まれ、挟まれるように、管部分595の外面に沿って設けられる。
【0088】
図示の実施形態では、固定子組立体565の外面は、筐体部品574を通過する気体の流れに露出され、それによって、使用時に固定子組立体565が冷却できるようにする。
また、固定子組立体からの熱は、別個の加熱器の必要なく、患者のための気体を加熱するように使用可能である。
【0089】
管部分595の内面は、シャフト560を回転可能に支持する軸受546を保持または収容する。さらに、管部分595は磁石562をシャフト560上に囲み、磁石562は固定子組立体565と整列される。一実施形態では、固定子組立体565が管部分595内に配置された磁石562上で作用できるように、管部分595は、磁束密度のかなりの損失、および/またはある場合には増加する熱のない、「磁気透過性」であってよい。磁気透過性の管のさらなる詳細は、その全体が本明細書に援用される特許文献7に開示される。
【0090】
シャフト560の端部部分(たとえばインペラを支持する端部部分の反対側)に、釣合いリング598が任意選択で設けられてもよい。
【0091】
図示の実施形態では、ハブ575は、上述の送風機400のハブ475より筐体からさらに外側に突出する。この構成は、たとえば送風機400に対して、送風機500の高さに約1〜10mm(たとえば5mm)加えてよい。たとえば、送風機500は、約50〜60mm(たとえば53mm)の全径d、および約40〜55mm(たとえば49mm)の全長lを有してよい。しかしながら、他の適切なサイズが可能である。
【0092】
7.3 テーパ付き構成を有する3段式送風機
図19は、本発明の別の実施形態による3段式の送風機600を示す。上述の3段式送風機100と同様に、送風機600は、モータ640の一方の側に配置された1つのインペラ650と、モータ640の他方の側に配置された2つのインペラ652、654とを備えた3つの段を含む。
【0093】
図示の実施形態では、送風機600のそれぞれのインペラ650、652、654は、テーパ付きの構成を有する。さらに、筐体670および固定子構成要素680、682の対応する部分が、インペラ650、652、654のテーパ付きの構成と一致するようにテーパを付けられる。
【0094】
図示の実施形態では、それぞれのインペラ650、652、654は、一対の円板状の囲い板655、656の間に挟まれた連続的に湾曲されたまたは直線状の複数の羽根653を含む。下側の囲い板656は、シャフト660を受けるように構成されたハブまたはブッシュを組み込む。また、それぞれのインペラ650、652、654は、羽根653が外縁部に向かってテーパになるテーパ付きの構成を含む。インペラのさらなる詳細は、その全体が本明細書に援用される特許文献5に開示される。
【0095】
筐体部品672の上側の壁673は、インペラ650のテーパ付きの構成と一致するようにテーパを付けられ、対応する固定子構成要素680、682の下側の壁657、659は、インペラ652、654のテーパ付きの構成と一致するようにテーパを付けられる。
【0096】
また、図示の実施形態では、下側の遮蔽部692の中央部分693は、出口620の方へ空気流を下向きに向けるような形状にされる。中央部分693は、たとえば、遮蔽部692に一定の断面/厚さを維持するため、および材料のコストを節約するために、インペラ654に面する表面に沿った空隙696を含む。
【0097】
図示のように、シャフト660を支持する軸受644、646が、モータ640の筐体642内に設けられる。代替実施形態では、別の軸受(すなわち第3の軸受)が、追加の支持を加えるために、下側のインペラ654の近くのシャフト660の端部の方に加えられてもよい。別の代替実施形態では、第3の軸受を加えるよりもむしろ、モータ筐体642内の軸受644または646の一方はその位置に保持され、他方の軸受644または646は、追加の支持を加えるために、下側のインペラ654の近くのシャフト660の端部の方へ移動されてもよい。しかしながら、他の軸受の構成が可能である。
【0098】
この実施形態では、送風機600は、支持システムによって、(たとえばPAP装置のようなNIVV装置の一部を形成する)外部ケーシング615内に支持されてよい。支持システムは、送風機600の側部を支持する側部支持部624と、送風機600の底部を支持する底部支持部626とを含む。
【0099】
側部および底部の支持部624、626は、送風機600を外部ケーシング615から絶縁(たとえば振動絶縁)する可撓性の部材(たとえばエラストマー)であってよい。図示のように、側部支持部624は、送風機600に設けられた対応する釘635を係合するように構成される。底部支持部626は、送風機600の出口620から外部ケーシング615の出口617までの(たとえば、治療のために患者に加圧された空気を送る空気送達用の導管に連結可能である)導管をもたらす。
【0100】
8. その他のコメント
本発明は遠心式ポンプについて概ね説明されてきたが、本発明はこの形態に限定されず、また、混合流タイプの形態をとってもよい。
【0101】
本発明の態様は、空気流路を画定するチャンバが概ね軸方向に対称形であることである。これは、本発明による送風機を用いる装置の全体の空気流路も軸方向に対称形でなければならないという意味ではない。本発明の範囲内の変形例は、いくらかの非対称部を含んでよい。これらの非対称部は、損失および騒音があまり影響を受けない速度の低い領域にあってよい。
【0102】
一実施形態では、この送風機は、インペラを介しておよび渦形室内に、流速にかかわりなく対称性を保持する空気流の供給パターンを可能にする。この結果、羽根の通過音の騒音の放出のレベルを下げ、乱流の騒音の放出のレベルを下げる。
【0103】
本発明は、現在最も実用的であり、好ましい実施形態であると考えられるものに関して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されず、その反対に、本発明の精神および範囲内に含まれる様々な修正例および均等構成物におよぶことが意図されることを理解されたい。また、上述の様々な実施形態は、他の実施形態とともに実施されてよく、たとえば、一実施形態の態様は、さらに他の実施形態を実現するために別の実施形態の態様と組み合わされてもよい。さらに、任意の所与の組立体のそれぞれの独立した特徴または構成要素が、追加の実施形態を構成してもよい。さらに、本発明はOSAを患う患者に対して特定の用途を有するが、他の疾患(たとえばうっ血性心不全、糖尿病、病的肥満症、卒中、肥満手術など)を患う患者が、上記の教示から利益を得ることができることが理解されよう。さらに、上記の教示は、非医療の用途において同様に患者および患者以外に適用可能性を有する。