特許第5706558号(P5706558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5706558
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】直線型重量式充填機
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/20 20060101AFI20150402BHJP
【FI】
   B67C3/20 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-82931(P2014-82931)
(22)【出願日】2014年4月14日
【審査請求日】2014年9月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594111395
【氏名又は名称】新宅工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】新宅 憲一
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−033086(JP,A)
【文献】 実開昭60−126303(JP,U)
【文献】 特開平10−120092(JP,A)
【文献】 特開2000−118700(JP,A)
【文献】 特開2013−095446(JP,A)
【文献】 特許第3855381(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C3/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベヤ上に直線状に形成されたボトルの充填路と、
この充填路の両側に当該充填路と平行に装架されて同期駆動される送り装置と、
当該両側の送り装置を前記充填路の幅中央に対して対称に近接離隔させる幅寄せ装置と、
前記送り装置におけるボトルの送り間隔と等しい間隔で前記充填路の幅中央上方に配置した充填ノズルとを備えている、ボトルの直線型充填機において、
ボトル載置面をボトルの送り方向に延在する複数の帯体の上面で形成した前記コンベヤと、
前記充填ノズルのそれぞれの下方に配置されて前記コンベヤに対して相対昇降するボトル台であってボトルの送り方向から見た形状が上向きコ字形のボトル台と、
それぞれのボトル台の荷重を検出するロードセルとを備え、
充填ノズルの液供給時に、前記両側の送り装置を互いが離隔する方向に移動すると共に前記ボトル台のボトル支持部を前記複数の帯体の間を通して前記コンベヤに対して相対上昇させることを特徴とする、
ボトルの直線型重量式充填機。
【請求項2】
充填路へのボトルの入口に設けたボトル口整列装置と、前記充填ノズルの直下からボトルの送り方向下流側へと延びる前記ボトル支持部を備えた前記ボトル台とを備え、
前記送り装置の停止位置の制御により、同心ボトルは充填ノズルの直下に位置決めし、偏心ボトルは充填ノズルの直下より下流側にボトル口の偏心量だけ移動した位置で位置決めする、請求項1記載の直線型重量式充填機。
【請求項3】
前記送り装置が送りチェンであり、当該チェンのボトル出口側スプロケット軸に当該チェンのリンクの間隔と同一となる角度間隔で放射状に配置された複数のボトル保持具を備え、充填不良ボトルを当該ボトル保持具で保持して前記スプロケット軸の回転により充填路の側方に排出する、請求項1又は2記載の直線型重量式充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、充填量を重量で計測する直線型の充填機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボトルの自動充填機には大別して旋回型のものと直線型のものとがある。旋回型の充填機は、高能率であるが、ボトルの寸法が変わったときは、ボトルを保持しているスターホイール及び円弧状搬送路の外側側面を案内する外周ガイド等の部材の交換が必要で、ボトルの種類が多くなるとこれらの部材を幾種類も準備しなければならず、またボトルの種類が変わったときの段取り替えの作業も面倒で時間がかかる。
【0003】
本願出願人は、特許文献1において、直線状に形成されたボトルの搬送路の中央線を挟んで対向する送りチェンを設け、当該チェンに搬送路側に突出する把持部材を等間隔に設けた「壜の搬送位置決め装置」を提案している。
【0004】
上記装置では、搬送路上のボトルの形状や寸法に合わせて、ハンドルで送りチェンの対向間隔を調整できるようになっている。従って、搬送路の中央線の上方に送りチェンの把持部材の間隔と等しい間隔で充填ノズルを配置することにより、ボトルの種類や寸法が変わっても部品の交換を必要とせず、段取り替えを円滑にかつ短時間で行うことができる直線型の充填機を得ることができる。
【0005】
一方、ボトルに充填する液量を計量する方法として、予め計量した量の液を充填ノズルに供給する方法と、ロードセルでボトルの重量を計量しながら充填を行って所定重量になったときに充填ノズルを閉める方法とがある。
【0006】
直線型の重量式充填機の例として、特許文献2には、直線状のローラコンベヤの上を流れる缶をローラの間に配置した昇降突起で持ち上げて液を充填する装置が提案されている。昇降突起は、ロードセルの検知部の上に乗っており、ロードセルと共に昇降する。
【0007】
特許文献3の充填機では、互いに平行に設けたボトルの導入コンベヤと送出コンベヤの間に重量式の充填ステーションが配置されている。スターホイールで等間隔にして導入コンベヤ上を流れるボトルを枠の腕で横に押してロードセルの上に載せる。同時に、先にロードセルの上に載っていたボトルは、枠の腕に押されて反対側の送出コンベヤへと押し出される。ロードセルは容器間隔の半分の間隔で2種類のものが交互に配置されており、設定の違いにより、ロードセルを移動プレートで動かして、選択した方のロードセルで計量する。
【0008】
一方、旋回型の重量式充填機の例としては、特許文献4に提案されたものがある。特許文献4の重量式充填機は、グリッパとスターホイールのポケットと外周ガイドで挟まれた状態で旋回する容器に液を充填する。定位置の充填箇所では、グリッパがボトルを外周側に押したあと後退し、外周ガイドは外側に開いて、ボトルを開放する。ボトルはロードセルの台の上に乗っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−330086号公報
【特許文献2】実開昭60−126303号公報
【特許文献3】特開2013−95446号公報
【特許文献4】特許第3855381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、特許文献1で提案した搬送位置決め装置を備えた重量式の自動充填機を得ることを目的として為されたもので、ボトルの円滑な搬送と充填量の正確な計測を行うことができる構造が簡単で部品点数も少ない直線型の重量式自動充填機を提供することを課題としている。
【0011】
更にこの発明は、ボトル口がボトル胴部の中心に設けられている同心ボトルと、ボトル中心から偏心した位置に設けられている偏心ボトルとの両方のボトルに充填が可能で、ボトルの形状寸法やボトル口の位置が異なるなど、ボトルの種類に変更があったときも部品交換などすることなく対応でき、充填不良ボトルの排出装置も簡単な構成で可能になる上記充填機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、搬送コンベヤ11の間欠送りにより、ボトルの搬送路に設けた直線状の充填領域(以下、「充填路」と言う。)1に複数のボトルを停止させ、充填量をロードセル63で検出しながら当該複数のボトルに液の充填を行い、充填済みボトルを送出する構造の直線型重量式充填機において、充填量の計測時にボトルを搬送コンベヤ11や送り装置2に接触しない自由状態とすることにより、充填量を正確に計測できるようにしたことを特徴とするもので、充填路1の両側に配置したチェンやスクリュなどの送り装置2a、2bの間隔の制御をサーボモータ26で行うと共に、搬送コンベヤ11とロードセル63のボトル台61との相対昇降により、ボトル重量の正確な計測を可能にしたものである。
【0013】
搬送コンベヤ11ボトルの送り方向に延在する複数のベルト(帯体。連接する複数の板片で形成されたベルトを含む。)11a〜11cを備えたベルトコンベヤとし、ボトル台61を板材を折り曲げてボトルの送り方向から見た形状を上向きコ字形にし、そのコ字の上縁62を複数のベルト11a〜11cの間を通して相対昇降する構造とすれば、ボトルの送り方向に長いボトル支持部62を確保でき、ボトル胴部の大小やボトル口が胴部中心から偏心している偏心ボトルを正しい姿勢で支持することができ、複数種のボトルを処理する重量式充填機の構造として好適である。
【0014】
偏心ボトルの充填処理も行えるようにした充填機では、ボトル台61をボトルの送り方向下流側に長い支持部62を備えた形状とし、送り装置2の停止位置の制御により、同心ボトルは充填ノズル6の直下に位置決めし、偏心ボトルは充填ノズル6の直下より下流側にボトル口の偏心量だけ移動した位置で位置決めすることで、同心ボトルと偏心ボトルの両者に対する正確な液充填を可能にしている。
【0015】
また請求項4の発明では、充填不良が生じたときに充填不良ボトルを搬送路から排出するために、送り装置2をチェンで構成し、ボトルの送り方向下流側のチェンスプロケット軸の一方27に保持中心の間隔をチェンリンクの間隔と等しい間隔にしてボトル保持具71(71a、71b)を設け、充填不良ボトルをこの保持具で保持して当該スプロケット軸の回転動作を利用して充填不良ボトルの排出を行う。
【発明の効果】
【0016】
この発明により、同心ボトルと偏心ボトルの別やボトル胴部の寸法などが変更されても、部品交換が不要で、変更後のボトルに対応するための機械の段取り替えを短時間で簡単に行うことができ、充填量の正確な計測も可能な重量式の自動充填機を提供できる。
【0017】
また、送り装置としてチェンを用いた装置では、充填不良ボトルが発生した場合に送り装置の出口側スプロケットの回転動作を利用して充填不良ボトルを排出する機構を実現できるため、簡単な構造で速やかに充填不良ボトルの排出を行うことを可能にしている。すなわち、旋回型の充填機における機内排出に比較して機械構造を簡素にすることができ、また充填不良ボトルの排出を送出コンベヤに送り出した後で行うものと比較して、排出動作の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例装置を示す平面図
図2】ボトルと共に示す図1の装置の要部の側面図
図3図2に示す要部をボトル送り方向から見た図
図4】他の構造を示した図3と同様の図
図5】制御系及び駆動系の要部と共に示す図1の装置の側面図
図6】充填不良ボトルの排出装置を示す平面図
図7】充填不良ボトルの排出装置の他の例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。ボトルは、搬送路に設けた直線状の充填路1で内容物が充填される。充填路1の底面は、プーリー13、14の間に巻架された3本の搬送ベルト11a、11b、11cで形成されている。3本の搬送ベルト11a〜11cは、ボトルの荷重による下方への撓みを防止するために、それぞれのガイドレール15に案内されている。ガイドレール15は、その両側端をシリンダ16で昇降する昇降桁17で支持されている。ガイドレール15は、プーリー13、14を軸支しているコンベヤフレーム18と一体で、シリンダ16の進退により、プーリー13、14及び搬送ベルト11a〜11cが昇降する。
【0020】
図の充填機は、ボトル口がボトル胴の中心に位置する同心ボトルの充填と、ボトル口がボトル胴の中心から偏心している偏心ボトルの充填とを共に可能とした装置で、搬送されるボトルのボトル口を充填路1の幅中央に位置するように案内するボトル口ガイド3と、偏心ボトルのボトル口をボトル胴部の中心より送り方向後方の搬送路10の幅中央に誘導するボトル口整列装置4とを備えている。
【0021】
ボトル口ガイド3は、充填路1の上方に充填路と平行に配置した2本のガイド材31、32で形成されており、充填路1の幅中央に位置するボトル口を幅方向両側から遊隙を持った状態で案内している。
【0022】
ボトル口整列装置4は、ガイド材の一方31のボトル送り方向先端を他方32の先端よりボトルの送り方向上流側に延在させた延在部33と、ガイド材31、32の先端の傾斜案内部34、35と、延在部33の下方のスクリュ41と、搬送路を挟んでこのスクリュと対向している摩擦ベルト43とで形成されている。
【0023】
スクリュ41は、搬送路と平行な軸回りに回転駆動されており、搬送されて来るボトルの胴部をらせん溝に受け入れることによって、隣接するボトルの相互の間隔を一定間隔となるように規定しながらボトルに送り方向の力を付与している。摩擦ベルト43は、2個のプーリー44、45の間に装架されて図1で右回りに回転することにより、通過するボトルに反送り方向の摩擦力を付与している。
【0024】
スクリュ41のらせん溝に受け入れられたボトルは、摩擦ベルト43に軽く押し付けられた状態で送られる。同心ボトルやボトル口がガイド材の延在部33に当接していない偏心ボトルは、この摩擦ベルト43の摩擦力によって鉛直軸回りに図1で左回りに、すなわちボトル口がボトル送り方向の後方となる方向に回動する。ボトル口がガイド材の延在部33に当接している偏心ボトルは、当該当接によって回動が阻止されて、摩擦ベルト43に滑り接触しながらスクリュ41によって充填路1へと送られる。摩擦ベルト43は、回動が阻止されているボトルの滑り移動を妨げないように、ボトルとの接触面を摩擦係数の小さい合成樹脂製とした搬送ベルトを用いている。
【0025】
ガイド材31、32の傾斜案内部34、35は、搬送路の中央からずれている偏心ボトルのボトル口をボトル口ガイド3へと案内する。ボトル口整列装置4を通過することにより、偏心ボトルのボトル口は、ボトル中心より後方の搬送路の中央に位置するように整列する。
【0026】
充填路1の両側には、送りチェン2a、2bが装架されている。この送りチェン2a、2bは充填路1の両側の入口側と出口側に配置したスプロケット22i(22ia、22ib)と22o(22oa、22ob)との間に巻架されている。スプロケット22(22ia〜22ob)の回転軸は鉛直方向である。充填路1の一方の側のスプロケット22ia、22oaはその側に配置した幅寄せ台23aに、他方の側のスプロケット22ib、22obはその側に配置した幅寄せ台23bに軸支されている。
【0027】
送りチェン2a、2bにはそれらのリンクを繋ぐピンに把持部材21となる円板が固定されている。把持部材21は、充填路1に対向して突出するように設けられて、充填路1上の前後に隣接するボトルの間に入り込むことにより、ボトルの間隔と位置を規定している。
【0028】
幅寄せ台23aと23bとは、充填路1と直交する水平方向に装架された2本のガイドロッド24、24にそれぞれ摺動自在に支持されており、かつガイドロッド24、24の中間部分において、ガイドロッド24と平行に装架したネジ杆25に螺合している。ネジ杆25の一方の幅寄せ台23aと螺合するネジは右ネジであり、他方の幅寄せ台23bと螺合するネジは左ネジである。
【0029】
ネジ杆25は、コンベヤフレーム18に軸方向移動不能にかつ回転自在に軸支されており、ネジ杆25の一端にはこれを回動させるサーボモータ26が装着されている。幅寄せ台23aと23bとは、送りチェン2aと2bとが充填路1の中央に対称に位置するようにネジ杆25に螺合されている。図示しない制御器には、サーボモータ26の停止位置を設定する設定器が設けられている。当該設定器で、送りチェンに設けた把持部材21がボトル胴部に軽く接触する位置とボトル胴部から離れた位置で幅寄せ台23a、23bが停止するように、サーボモータの回転角を設定する。
【0030】
充填路1の上方には、図3及び図5に示すように、複数の充填ノズル6が送りチェンの把持部材21の配設間隔と等しい間隔で配置されている。
【0031】
両側の送りチェン2a、2bの駆動スプロケット22oa、22obは、駆動モータ46で同期駆動されている。駆動スプロケット軸27の回転は、歯車対48、49を介して、スクリュ駆動軸47に伝達され、スクリュ駆動軸47の回転は、歯車対68、69を介してスクリュ41に伝達されている。送りチェン2a、2bとスクリュ駆動軸47及びスクリュ41とは、送りチェンが把持部材21の1ピッチ分だけ回転したときに、スクリュ駆動軸47及びスクリュ41が1回転するように同期駆動される。
【0032】
スクリュ駆動軸47の1箇所には、軸直角方向に突出するアーム51が設けられており、かつこのアームの旋回位置に検出センサ52が設けられている。検出センサ52の出力はカウンタ53に与えられている。カウンタ53のカウントアップ信号が出力された後、偏心量設定器54に設定された距離だけ送りチェン2a、2bが移動するまで遅延手段55が信号を遅延させた後、停止指令手段56から駆動スプロケット22oの駆動モータ46及びコンベヤモータ12に停止指令が与えられ、かつカウンタ53がリセットされる。カウンタ53のカウントアップ値は、充填ノズル6の個数である。
【0033】
ボトルが同心ボトルであるときは、偏心量設定器54に0が設定され、ボトルの中心がノズル6の真下に来たときに、送りチェン2a、2b及び搬送コンベヤ11が停止する。一方、ボトルが偏心ボトルであるときは、偏心量設定器54にボトル口の偏心量を設定する。この場合には、その設定量だけ送りチェン2a、2b及び搬送コンベヤ11が更に駆動された後、停止する。
【0034】
偏心ボトルのボトル口は、充填路1の幅中央に位置しておりかつボトル中心から設定された偏心量だけ後方に位置しているので、上記の停止位置制御により、ボトル口が充填ノズル6の直下になった位置でボトルが停止する。
【0035】
各充填ノズル6の下方には、ボトル台61が設けられている。ボトル台61は、ボトル送り方向から見た形状が上向きコ字形で、ボトルを支持する2本の上縁62が3本の搬送ベルト11a〜11cの間に位置している。各ボトル台61は、それぞれのロードセル63によって支持されている。シリンダ16により、ボトル搬送時には、搬送コンベヤ11が上動位置にあり、ボトル台の支持縁62は、搬送ベルト11a〜11cの上面より下方に位置している。ボトル充填時には、シリンダ16が搬送ベルト11a〜11cを下降して、ボトル台の支持縁62が搬送ベルト11a〜11cの上面の上方に位置する。
【0036】
なお、図2に示したボトル台61がボトルの送り方向下流側が長い支持縁62を備えているのは、偏心ボトルの停止位置が充填ノズル6の直下より下流側に移動することを考慮したものであり、偏心ボトルの充填量の計量も正確に行うことができるようにするためである。
【0037】
ボトル口が充填ノズル6の直下に来た位置で送りチェン2が停止すると、次にシリンダ16により搬送ベルトの上面がボトル台の支持縁62の下方となる位置まで下降する。この動作と同時に送りチェン2の間隔を調整する幅寄せ装置20のサーボモータ26が所定量駆動されて幅寄せ台23a、23bの間隔を広げて把持部材21をボトル胴部から離隔させる。これらの動作により、充填ノズル6の下に位置決めされた各ボトルは、送り装置2に接触しない自由状態でボトル台61に支持された状態となり、各ボトルの液の充填量をそれぞれのロードセル63で正確に計測できる状態となる。
【0038】
この状態で充填ノズル6から液の充填が開始され、所定の充填量になったときに、各ロードセル63からの信号により、対応する充填ノズルの供給弁65が閉鎖される。総ての充填ノズルについての液の充填が終了すると、サーボモータ26及びシリンダ16が逆方向に動作して、充填済みボトルがコンベヤ11で支持されかつ送り装置2でボトル間隔が保持された状態となり、駆動モータ46が駆動されて充填済みボトルが充填路1から送り出される。
【0039】
上記の実施例では、コンベヤ11とボトル台61との間のボトルの受け渡しをコンベヤ11を昇降させることによって行っているが、図4に示すように、コンベヤ11を昇降させるシリンダ16に代えてロードセル63を昇降させるシリンダ64を設けて、ボトル台61を昇降させてコンベヤ11とボトル台61との間のボトルの受け渡しを行うこともできる。
【0040】
ボトルへの液充填時に何らかの原因によって充填不良が発生したとき、充填不良ボトルを搬送路10から排出する排出装置を設けるのが好ましい。ボトルの送り装置として実施例に示すような送りチェンを採用した場合、このチェンの下流側のスプロケット軸27の回転を利用して、充填不良ボトルの排出を行う構造とすることができる。
【0041】
次に、図6に示した実施例を参照して、充填不良ボトルの排出装置を説明する。送りチェンの一方2aの下流側スプロケット22oaに先端が把持部材21の中間位置に延びる真空吸引パッド71aが放射状に設けられている。この吸引パッドには回転継手72、開閉バルブ73を介して負圧源74が連結されている。
【0042】
図5に示す計量確認手段57は、各ロードセル63からの計量信号を受け、所定の充填量に達したときに、対応する充填ノズル6に供給停止信号を出力するが、あるロードセルから充填不良となる信号を受けたとき、当該計量確認手段57は、カウンタ58をリセットして送り方向下流側から数えたそのロードセルの番号をカウンタ58のカウントアップ値に設定する。
【0043】
そして、充填ボトルの送出動作が開始された後、充填不良ボトルが下流側スプロケット22oaの位置に来たときに、カウンタ58からの信号を受けたバルブ開閉手段59が開閉バルブ73を開いて、その時点で搬送路側を向いている吸引パッド71aに負圧を供給し、当該位置にあるボトルを吸着する。吸着された充填不良ボトルは、スプロケット22oaの回転に伴って搬送路の側方へと排出されるから、排出されたボトルを受け取るテーブル75を設けて、ボトルがテーブル75上に移動してきたときに、吸引パッドの負圧を解除することにより、充填不良ボトルをテーブル75に排出することができる。
【0044】
なお、負圧を放射状に設けた複数の吸引パッド71aのうちの搬送路を向いた1個のみに作用させるには、回転継手72の部分にロータリーバルブを設けるか、あるいは各吸引パッド毎に開閉バルブ73を設けて、充填不良となる信号を出したロードセルの番号をバルブ開閉手段59に出力して動作させるバルブを選択するようにしてやればよい。
【0045】
図6の実施例では、充填不良ボトルの保持具71として吸引パッドを用いているが、要は充填不良ボトルをスプロケット軸27の回転に伴う円弧軌跡を描いて搬送路10の側方に排出すればよいのであるから、保持具71としてはどのようなものを用いてもよい。図7は、他の一般的な保持具の例としてフィンガ71bを用いた例を示している。図7のフィンガ71bは、側方からボトルの胴部を把持するように図示されているが、口部を把持するようにしてもよく、また上方から把持するようにしてもよい。フィンガ71bの把持及び開放動作を空気圧により行う構造とすれば、吸引パッド71aについて図5で説明したと同様な制御でフィンガの開閉を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 充填路
2(2a、2b) 送り装置
3 ボトル口ガイド
4 ボトル口整列装置
6 充填ノズル
10 搬送路
11 搬送コンベヤ
11a〜11c 搬送コンベヤのベルト
15 ガイドレール
16 シリンダ
20 幅寄せ装置
22 スプロケット
26 サーボモータ
27 スプロケット軸
61 ボトル台
62 支持縁
63 ロードセル
71(71a、71b) 充填不良ボトルの保持具
【要約】
【課題】ボトルの円滑な搬送と充填量の正確な計測が可能な構造が簡単で部品点数も少ない直線型の重量式自動充填機を提供する。ボトルの寸法や口の位置が異なる複数種のボトルに部品交換することなく充填が可能で、充填不良ボトルの排出装置も簡単な構成で可能にする。
【解決手段】搬送コンベヤの間欠送りにより、ボトルの搬送路に設けた直線状の充填領域に複数のボトルを停止させ、充填量をロードセルで検出しながら当該複数のボトルに液の充填を行う。充填路の両側に配置したチェンやスクリュなどの送り装置の間隔の制御をサーボモータで行うと共に、搬送コンベヤとロードセルのボトル台との相対昇降により、ボトル重量の正確な計測を可能にした。充填領域の入口にボトル口整列装置を設け、送り装置の出口側チェンスプロケット軸の回転を利用して充填不良ボトルの排出を行う。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7