特許第5706644号(P5706644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5706644
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】自動取引装置及び自動取引プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20150402BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20150402BHJP
   G06Q 20/18 20120101ALI20150402BHJP
【FI】
   G07D9/00 426Z
   G07D9/00 461A
   G07D9/00 421
   G06Q40/02 180
   G06Q20/18 100
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-179043(P2010-179043)
(22)【出願日】2010年8月9日
(65)【公開番号】特開2012-38170(P2012-38170A)
(43)【公開日】2012年2月23日
【審査請求日】2013年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】菊池 瞬
【審査官】 鈴木 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−251121(JP,A)
【文献】 特開2004−234384(JP,A)
【文献】 特開2001−144858(JP,A)
【文献】 特開平11−312265(JP,A)
【文献】 特開昭61−022400(JP,A)
【文献】 特開昭57−111649(JP,A)
【文献】 特開2001−319067(JP,A)
【文献】 特開2007−226338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00− 5/10
7/12
9/00−13/00
G07F 19/00
G06Q 20/18、40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引項目を画面表示する表示部と、
前記取引項目に基づく顧客による取引の操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が受け付けた操作に応じて音声信号を生成する音声信号生成部と、
前記顧客の振込先履歴情報に骨伝導又は指伝導を利用したことを取引操作ごとに記憶する履歴情報記憶部を備えたサーバ装置から前記振込先履歴情報を受信する送受信部と、
前記振込先履歴情報に記憶され、選択された振込先が前記骨伝導又は前記指伝導を利用した振込先である場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して前記骨伝導又は前記指伝導により前記顧客に伝達する振動伝達部と、
を備える自動取引装置。
【請求項2】
更に、前記操作受付部が受け付けた前記顧客の操作において、入力された数字及び数字の終わりを認識し、桁の情報を付加した数字データを生成する数字データ生成部を備え、
前記音声信号生成部は、前記数字データ生成部が生成した数字データに基づき、桁の情報を付加した音声信号を生成する、
請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
更に、前記表示部は、前記数字データ生成部が生成した数字データに基づき、桁の情報を付加した数字を画面表示する、
請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
更に、前記顧客を認証する顧客認証部を備え、
前記振動伝達部は、前記顧客認証部によって前記顧客を認証する際、前記顧客が前記骨伝導又は前記指伝導の使用を希望することが登録されている場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導又は指伝導により前記顧客に伝達する、
請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記顧客認証部による前記顧客の認証は、媒体認証、音声認証及び生体認証を含む、
請求項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記振動伝達部を内蔵するハンドセットを備え、
前記顧客認証部は、前記顧客が前記ハンドセットの使用を開始する場合に前記顧客を認識し、
前記音声信号生成部は、前記顧客認証部によって前記顧客が認証される場合に、前記操作受付部の操作に応じた音声信号の生成を開始する、
請求項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
更に、骨伝導マイクロホンと、
前記骨伝導マイクロホンが感知した前記顧客の声帯振動を音声信号として音声認識する音声認識部と、を備え、
前記操作受付部は、前記音声認識部が音声認識した情報を、前記顧客による取引の操作として受け付ける、
請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項8】
サーバ装置と端末とを備え、
前記サーバ装置は、
前記端末と通信可能に接続するための送受信部と、
顧客の振込先履歴情報に骨伝導又は指伝導を利用したことを取引操作ごとに記憶する履歴情報記憶部と、を有し、
前記端末は、
取引項目を画面表示する表示部と、
前記取引項目に基づく前記顧客による取引の操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部の操作に応じて音声信号を生成する音声信号生成部と、
前記振込先履歴情報に記憶され、選択された振込先が前記骨伝導又は前記指伝導を利用した振込先である場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導又は指伝導により前記顧客に伝達する振動伝達部と、
前記サーバ装置と通信可能に接続するための送受信部と、を有し、
前記端末の前記送受信部は、前記サーバ装置から前記振込先履歴情報を受信し、
前記音声信号生成部は、前記操作受付部が受け付けた振込先情報が、前記送受信部が受信した前記振込先履歴情報に含まれる場合に、前記振込先履歴情報に基づいて音声信号を生成する、
自動取引システム。
【請求項9】
取引項目を画面表示するステップと、
前記取引項目に基づく顧客による取引の操作を受け付けるステップと、
前記操作を受け付けるステップにおける操作に応じて音声信号を生成するステップと、
前記顧客の振込先履歴情報に骨伝導又は指伝導を利用したことを取引操作ごとに記憶するステップと、
前記振込先履歴情報に記憶され、選択された振込先が前記骨伝導又は前記指伝導を利用した振込先である場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導又は指伝導により前記顧客に伝達するステップと、
をコンピュータに実行させる自動取引プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等に設置され、顧客との取引を自動で行う現金自動預払機等の自動取引装置及び自動取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銀行、郵政公社、コンビニエンスストア等に、現金自動預払機又はその機能を含む複合端末装置が設置されている。これらの装置には、タッチパネル等の表示及び操作手段や、現金の取り忘れに対する注意喚起等のための音声出力手段が備えられる。
【0003】
現金自動預払機に限らず、一般的に、情報処理装置が備える音声出力手段は、音響機器としてのスピーカー等である。聴力の低下した高齢者等においては、空気の振動を伝達するスピーカーからの案内音声を聞き取りにくい場合がある。そこで、このような通常のスピーカーに替えて、骨伝導(指伝導等を含む)により、情報処理機器を介する案内音声を顧客に伝達する手法が開発されてきた。
【0004】
例えば、特許文献1には、音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導により使用者に伝達するリモコンが記載されている。特許文献2には、情報処理装置から電気信号にて出力される音情報を骨伝導可能な振動に変換して出力する操作装置が記載されている。特許文献3には、受信音声信号に応じて振動を骨伝導するスピーカーを備える眼鏡型コミュニケーション支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−6369号公報
【特許文献2】特開2007−310623号公報
【特許文献3】特開2008−176681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の特許文献に記載の技術は、予め記憶された音声信号又は通信により受信した音声信号を骨伝導を介して顧客に伝達するものであり、顧客の操作誤りの予防は考慮されていなかった。顧客による操作を受け付け、受け付けた操作内容を当該顧客に確認した後に決済を実行する現金自動預払機等の自動取引装置においては、視力の低下した高齢者等が自己の操作誤りに気づかずに決済が実行される問題があり、受け付けた操作内容を通常のスピーカーから音声出力すると周囲の他人に取引内容が漏洩するという問題があった。したがって、音声案内による支援が有効である場合に、周囲への音声の漏洩のない骨伝導又は指伝導を介して案内を行うと共に、顧客の操作ミスに対する予防手段を備える現金自動預払機等の自動取引装置が求められている。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、現金自動預払機等の自動取引装置の操作時に、音声案内の支援を必要としている顧客に骨伝導又は指伝導を介して案内を行うと共に、顧客の操作ミスに対する予防手段を備える自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明の自動取引装置は、取引項目を画面表示する表示部と、前記取引項目に基づく顧客による取引の操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が受け付けた操作に応じて音声信号を生成する音声信号生成部と、前記顧客の振込先履歴情報に骨伝導又は指伝導を利用したことを取引操作ごとに記憶する履歴情報記憶部を備えたサーバ装置から前記振込先履歴情報を受信する送受信部と、前記振込先履歴情報に記憶され、選択された振込先が前記骨伝導又は前記指伝導を利用した振込先である場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して前記骨伝導又は前記指伝導により前記顧客に伝達する振動伝達部と、を備える。
【0009】
本発明によれば、現金自動預払機等の自動取引装置音声案内の支援を必要としている顧客に、当該顧客による取引ごとに操作内容を骨伝導又は指伝導を介して伝達することが可能な、現金自動預払機等の自動取引装置を提供することができる。したがって、本発明による自動取引装置において、表示手段に表示される文字情報を視認しづらい高齢者や、空気振動によるスピーカーからの音声を聴取しづらい顧客等に対して、顧客自身の操作が自動取引装置に正しく受け付けられたかどうかを、骨伝導又は指伝導により伝達することができる。
【0010】
上記発明において、自動取引装置は、更に、操作受付部が受け付けた顧客の操作において、入力された数字及び数字の終わりを認識し、桁の情報を付加した数字データを生成する数字データ生成部を備え、音声信号生成部は、数字データ生成部が生成した数字データに基づき、桁の情報を付加した音声信号を生成する。本発明によれば、顧客がタッチパネル操作等により入力した金額を単に数字の並びとして画面表示するだけでなく、金額において「何万円」又は「何千円」等の形式で桁の情報を付加して音声信号を生成することができる。したがって、本発明によれば、顧客による操作内容に桁の情報を付加して骨伝導又は指伝導を介して伝達することが可能な、現金自動預払機等の自動取引装置を提供することができる。
【0011】
上記発明において、自動取引装置は、更に、表示部は、数字データ生成部が生成した数字データに基づき、桁の情報を付加した数字を画面表示する。本発明によれば、顧客は、文字の表示として「何万円」又は「何千円」等の形式で桁の情報を付加した金額を視認できる。したがって、顧客は、複数の桁にわたって数字のゼロが並ぶような桁を有する金額の口座取引について、ゼロの数を数え間違える等の入力過誤があるかどうかを、決済指示前に確認しやすくなる。このように、本発明に係る自動取引装置は、顧客の操作ミスを予防することができる。
【0013】
上記発明において、自動取引装置は、更に、前記顧客を認証する顧客認証部を備え、前記振動伝達部は、前記顧客認証部によって前記顧客を認証する際、前記顧客が前記骨伝導又は前記指伝導の使用を希望することが登録されている場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導又は指伝導により前記顧客に伝達する。本発明によれば、自動取引装置は、骨伝導又は指伝導を介する音声伝達を顧客に提供するかどうかを、顧客認証部の動作によって自動的に切り替えることができる。例えば、自動預払機で使用可能な磁気カード媒体に、当該カード媒体の使用者が骨伝導又は指伝導を介する音声伝達を希望するかどうかを記録しておく。本発明に係る自動取引装置は、顧客認証部を用いて、骨伝導又は指伝導を介する音声伝達を提供するかどうかを自動的に切り替えることができる。したがって、操作画面上に骨伝導を使用するかどうかを顧客に選択させるメニューを設けなくとも、顧客が磁気カード媒体を自動取引装置に差し入れるだけで、骨伝導又は指伝導を介する音声伝達を提供することができ、顧客に対してより簡便な操作とすることができる。
【0014】
上記発明において、顧客認証部による顧客の認証は、媒体認証、音声認証及び生体認証を含む。本発明によれば、顧客認証部は、骨伝導又は指伝導を介する音声伝達を提供するかどうかを判定するために、媒体認証、音声認証及び生体認証を含む顧客認証を行うことができる。本発明に係る自動取引装置の顧客認証に用いることのできる認証としては、磁気カード、接触又は非接触集積回路カード等による媒体認証;声紋による音声認証;指紋認証、虹彩認証、手のひら静脈認証、顔認証等の生体認証が挙げられるが、これらに限定されない。これらの認証は、顧客が特定の口座の取引について有資格者であることの認証と合わせて行うこともできる。例えば、自動取引装置は、顧客が口座取引の有資格者であることをICカードによって認証する際に、当該顧客が骨伝導を介する音声伝達を提供する対象であることを認証してもよい。同様に、口座取引の有資格者認証としての手のひら静脈認証の際に、骨伝導を介する音声伝達を提供する対象であることを認証してもよい。したがって、本発明に係る自動取引装置の顧客は、特に顧客認証のための操作を追加することなく、骨伝導又は指伝導を介する音声伝達の提供を受けることができる。
【0015】
上記発明において、自動取引装置は、振動伝達部を内蔵するハンドセットを備え、顧客認証部は、顧客がハンドセットの使用を開始する場合に顧客を認識し、音声信号生成部は、顧客認証部によって顧客が認証される場合に、操作受付部の操作に応じた音声信号の生成を開始する。本発明によれば、自動取引装置の所定位置にハンドセットを格納しておき、顧客がハンドセットを当該所定位置から取り外すことによって顧客を認証し、伝導又は指伝導を介する音声伝達の提供を開始することができる。したがって、本発明に係る自動取引装置の顧客は、手間いらずに骨伝導又は指伝導を介する音声伝達の提供を受けることができる。
【0016】
上記発明において、自動取引装置は、更に、骨伝導マイクロホンと、骨伝導マイクロホンが感知した顧客の声帯振動を音声信号として音声認識する音声認識部と、を備え、操作受付部は、音声認識部が音声認識した情報を、顧客による取引の操作として受け付ける。本発明によれば、顧客は、音声認識によって自動取引装置の操作を行い、受け付けられた自己の操作内容を骨伝導又は指伝導を介する音声伝達により、周囲への漏洩なく確認することができる。
【0017】
第2の発明の自動取引システムは、サーバ装置と端末とを備え、前記サーバ装置は、前記端末と通信可能に接続するための送受信部と、顧客の振込先履歴情報に骨伝導又は指伝導を利用したことを取引操作ごとに記憶する履歴情報記憶部と、を有し、前記端末は、取引項目を画面表示する表示部と、前記取引項目に基づく前記顧客による取引の操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部の操作に応じて音声信号を生成する音声信号生成部と、前記振込先履歴情報に記憶され、選択された振込先が前記骨伝導又は前記指伝導を利用した振込先である場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導又は指伝導により前記顧客に伝達する振動伝達部と、前記サーバ装置と通信可能に接続するための送受信部と、を有し、前記端末の前記送受信部は、前記サーバ装置から前記振込先履歴情報を受信し、前記音声信号生成部は、前記操作受付部が受け付けた振込先情報が、前記送受信部が受信した前記振込先履歴情報に含まれる場合に、前記振込先履歴情報に基づいて音声信号を生成する。
【0018】
本発明によれば、顧客は、異なる端末の使用時においても、使用中の端末がサーバ装置の履歴情報記憶部に記憶された振込先履歴情報を受信して動作することにより、当該振込先履歴情報に基づいて音声信号によるサービスを受けることができる。したがって、顧客は、本発明に係る自動取引システムにより、以前に振込を行ったことのある送金先を、骨伝導又は指伝導を介する音声で確認し、周囲への漏洩がなく自己にとって好都合な音声を確認して自動取引装置を簡便に操作することができる。
【0019】
第3の発明の自動取引プログラムは、取引項目を画面表示するステップと、前記取引項目に基づく顧客による取引の操作を受け付けるステップと、前記操作を受け付けるステップにおける操作に応じて音声信号を生成するステップと、前記顧客の振込先履歴情報に骨伝導又は指伝導を利用したことを取引操作ごとに記憶するステップと、前記振込先履歴情報に記憶され、選択された振込先が前記骨伝導又は前記指伝導を利用した振込先である場合に、前記音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導又は指伝導により前記顧客に伝達するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0020】
本発明によれば、顧客による操作内容を骨伝導又は指伝導を介して伝達することが可能な現金自動預払機等の自動取引装置として、コンピュータを動作させるプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現金自動預払機等の自動取引装置の操作時に、音声案内の支援を必要としている顧客に骨伝導又は指伝導を介して案内を行うと共に、顧客の操作ミスに対する予防手段を備える自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の外観を例示する見取図である。
図2】本発明の実施形態に係る自動取引システム50に含まれる装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の操作画面を示す説明図である。
図4】本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の、振込先履歴情報を利用する操作画面を示す説明図である。
図5】本発明の実施形態に係るサーバ30の履歴情報記憶部32に記憶される履歴情報データベース70のデータ構造を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の動作を例示するフロー図である。
図7】本発明の実施形態に係る現金自動預払機1及びサーバ30の動作を例示するフロー図である。
図8】本発明の実施形態に係る現金自動預払機1及びサーバ30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の外観を例示する見取図である。現金自動預払機1は、銀行や日本郵政株式会社等の金融機関や、コンビニエンスストア等の店舗に設置されるATM(Automated Teller Machine、現金自動預払機)の機能と、顧客による操作内容を骨伝導又は指伝導を介して伝達する機能とを有する。現金自動預払機1は、取引項目を画面表示する表示部5、カード取扱部6、通帳取扱部7、現金取扱部8、ハンドセット10及び生体認証部19を備えている。顧客は、カード取扱部6に受け付けられる磁気カード、通帳取扱部7に受け付けられる預金通帳、生体認証部19への指紋又は手のひら静脈の呈示等、更に暗証番号の入力等によって特定の口座取引の顧客であることを認証される。現金自動預払機1のハンドセットは、骨伝導又は指伝導を介する音声伝達を顧客に提供する機能、顧客の声帯振動を感知する骨伝導マイクロホンとしての機能、及び適宜窓口担当者への連絡手段としての機能を有する。
【0025】
図2は、本発明の実施形態に係る自動取引システム50に含まれる装置の機能ブロック図である。図2に示すように、現金自動預払機1は、制御部2、記憶部3、操作受付部4、表示部5、カード取扱部6、通帳取扱部7、現金取扱部8、送受信部9、顧客認証部12、数字データ生成部14、音声信号生成部15、振動伝達部としての骨伝導スピーカー16、骨伝導マイクロホン17、音声認識部18、生体認証部19を備えている。骨伝導スピーカー16及び骨伝導マイクロホン17は、ハンドセット10に内蔵される。
【0026】
制御部2は、記憶部3に格納される各種プログラムに従って、現金自動預払機1内の各部を制御する。記憶部3は、制御部2が実行する各種プログラムや制御部2による処理結果などを格納する。
【0027】
操作受付部4は、顧客の操作を受け付ける各種ボタンや後述するタッチパネル等を備え、顧客による操作メニューの選択、振込先口座の指定、振込金額の入力、決済指示の確認等の操作を受け付ける。操作受付部4は、受け付けた操作情報を制御部2に送信する。
【0028】
表示部5は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、顧客が操作受付部4を操作して入力した振込先口座や金額、決済指示の確認等を表示する。前述のタッチパネルは、表示部5上に設けられる。
【0029】
カード取扱部6は、顧客が挿入したキャッシュカード等の取引カードの磁気ストライプやICカードに記録されている顧客識別情報や金融機関名、支店名、口座番号等の顧客情報を読み出す。また、カード取扱部6は、明細票に取引結果等を記載する機能も有する。通帳取扱部7は、顧客が挿入した通帳の磁気ストライプやICカードから顧客情報を読み出し、取引結果や残高等を通帳に記載する。
【0030】
現金取扱部8は、入金時や振込取引時に顧客の紙幣や硬貨を受け入れ、これを鑑別及び計数して、金種毎に収納庫に収納する。送受信部9は、ネットワーク20と接続し、サーバ30との通信を実現する。ネットワーク20は、銀行内のサーバ30と複数のATMとを通信接続するための通信網である。
【0031】
顧客認証部12は、現金自動預払機1を使用しようとする者が特定の口座取引の有資格者であることを認証するよう動作する。現金自動預払機1の顧客認証に用いることのできる認証としては、磁気カード、接触又は非接触集積回路カード等による媒体認証;声紋による音声認証;指紋認証、虹彩認証、手のひら静脈認証、顔認証等の生体認証が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、顧客は、現金自動預払機1のカード取扱部6に磁気カードを差し入れ、当該磁気カードと関連付けられた暗証番号を操作受付部4に入力する。すると、顧客認証部12は、磁気カードから読み取った情報及び暗証番号を用いて、当該顧客が有資格者であるか否かを認証する。顧客認証部12による顧客の認証は、このような媒体等を用いる認証以外にも、音声認証、生体認証等を用いることが可能である。生体認証部19は、顧客認証部12と接続され、例えば指紋認証又は手のひら静脈認証による生体認証を行い、その結果を用いて顧客認証部12は顧客の認証を行う。
【0032】
数字データ生成部14は、操作受付部が受け付けた顧客の操作において、入力された数字及び数字の終わりを認識して数字データを生成する。数字の終わりは、例えば、顧客がいくつかの数字ボタンを押した後に「円」というボタンを押すことによって認識されてもよい。あるいは、数字の入力時に、顧客が所定時間を超えてボタン操作を中断したことに基づいて、最後に入力された数字ボタンを数字の終わりとして認識してもよい。
【0033】
音声信号生成部15は、操作受付部5が受け付けた操作に応じて音声信号を生成する。生成された音声信号は、骨伝導スピーカー16を介して骨伝導により顧客に伝達される。この伝達は、骨伝導に限らず、例えば指伝導でもよい。骨伝導スピーカー16は、骨伝導マイクロホン17と共にハンドセット10に内蔵される。骨伝導マイクロホン17は、顧客の話声による声帯振動を感知する。この声帯振動は、電気信号の形式で音声認識部18に送られ、音声認識が行われる。
【0034】
サーバ30は、サーバ制御部31、振込先登録手段としての履歴情報記憶部32、入力部33、記憶部34及び送受信部35を備えている。履歴情報記憶部32に記憶される情報については、図5を示して後述する。
【0035】
このようにして、現金自動預払機1は、通常のATMとしての機能に加えて、顧客から受け付けた操作に応じた音声信号を骨伝導により顧客に伝達し、顧客の声帯振動を感知して音声認識を行う機能を有する。したがって、現金自動預払機1は、視力の低下した高齢者等の顧客に対し、表示部5及び操作受け受付部4による操作の案内と受付に加えて、骨伝導による音声案内と音声認識による操作の受付を行うことができる。
【0036】
図3は、本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の操作画面を示す説明図である。この操作画面は、表示部5による表示の上に設けられる、タッチパネル等を用いた操作受付部4により構成され、表示部5に表示される画面上のボタン等に顧客が触れることにより、現金自動預払機1に対する顧客の操作が入力として受け付けられる。
【0037】
図3(a)から(c)に示す操作画面は、表示部5の所定領域内に、「払い出し」、「入金」、「振込」及び「残高確認」を表す画面上のボタン5A〜5Dを含む。現金自動預払機1には、表示部5と共にハンドセット10が備えられている。以下、画面上のボタン5C「振込」が選択される場合の操作画面について説明するが、これに限定されず、現金自動預払機1は、操作受付部4、表示部5及びハンドセット10により、顧客の操作を受け付けて顧客への音声案内を提供することができる。
【0038】
図3(a)は、顧客により画面上のボタン5C「振込」が選択された状況を表す。現金自動預払機1は、通常のATMと同様に通帳又はカードを受け付け、顧客を認証する。
【0039】
図3(b)は、通帳又はカードを受け付けた顧客の口座から、他口座への振込金額の入力を受け付ける状況を表す。この例では、表示部5には、「振込金額を入力してください」というメッセージが表示されるメッセージ領域5E、数字入力のための画面上のキーパッド5F、桁入力のための画面上のキーパッド5G、数字入力の最後を示す「円」が表された画面上のキーパッド5H、及び顧客が入力した金額の数字を表示する領域5Jが設けられ、それぞれの領域に対応して、操作受付部4により顧客の操作が受け付けられる。例えば、顧客が、振込金額として「2」「0」「000」の画面上のキーに触れた後には、金額の数字を表示する領域5Jには「20000」という数字が現れている。この数字は、操作受付部4によって受け付けられた数字が、表示部5の金額の数字を表示する領域5Jに表示されたものである。
【0040】
図3(c)は、前述の図3(b)に示した数字の表示の後に、数字データ生成部14が、顧客により入力された数字及び数字の終わりを認識し、桁の情報を付加した数字データを生成し、生成された数字データが、桁の情報を付加されて表示部5の金額の数字を表示する領域5Jに表示されたものである。すなわち、図3(b)において「20000」と表示されていた数字は、図3(c)においては「2万円」という表示に置き換わる。更に、数字データ生成部14により生成された桁の情報を付加した数字データは、音声信号生成部15により当該数字データの読み上げ及び所定の語法等を含む音声信号に変換され、ハンドセット10から骨伝導により顧客に伝達される。例えば、この例では、「にまんえん、ですね?」等の骨伝導音声が顧客に伝達される。したがって、顧客は、表示部15に表示される「2万円」という桁の情報を含む金額を文字として視認すると共に、骨伝導により「にまんえん」という語句を含む音声を周囲への漏洩なく聴取することができる。すなわち、顧客は、現金自動預払機1により受け付けられた自己の入力が「20万円」でも「2千円」でもなく、「2万円」であることを、桁の情報が付加された文字情報及び音声情報として確認できる。図3(b)に示す表示部5には、「訂正」と表記された画面上のボタン5Zも表示される。これにより、顧客は、自己の入力ミスに気づいた場合等には、金額の訂正操作又は以前の操作メニューに戻って再度入力し直す等の訂正操作を行うことも可能である。
【0041】
また、図3(c)に例示する表示部5においては、メッセージ領域5Eに「金額を確認してください」というメッセージが表示され、金額の確認を指示するための「確認」と表記された画面上のボタン5Wが表示される。顧客が画面上のボタン5Wに触れることにより、現金自動預払機1は、表示部5の金額の数字を表示する領域5Jに表示されている金額を用いて、送金先口座の指定等の他の処理を続行する。
【0042】
現金自動預払機1は、振込以外の「払い出し」、「入金」又は「残高確認」等のメニューにおいても、同様に桁の情報を付加した数字データを用いることができる。したがって、顧客は、桁の情報を付加した文字情報及び音声情報の形式で、取引の金額を確認できる。
【0043】
このように、現金自動預払機1の顧客は、とりわけ複数の桁にわたって数字のゼロが並ぶような桁を有する金額の口座取引について、ゼロの数を数え間違える等の入力過誤があるかどうかを、決済指示前の時点で容易に確認できる。したがって、本発明に係る現金自動預払機1は、顧客の操作ミスを予防することができる。
【0044】
図4は、本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の、振込先履歴情報を利用する操作画面を示す説明図である。図3と同様に、画面上のボタン5C「振込」が選択される場合の操作画面について説明する。
【0045】
図4(a)は、顧客により画面上のボタン5C「振込」が選択された状況であり、現金自動預払機1は、通常のATMと同様に通帳又はカードを受け付け、顧客を認証する。顧客の認証により、現金自動預払機1は、図2に示したサーバ30と通信して、サーバ30から当該顧客の振込先履歴情報を受信する。例えば、認証された顧客が、以前に2名の銀行口座宛に送金を行ったことが振込先履歴情報に蓄積されている場合に、現金自動預払機1は、サーバ30からこれらの送金の情報を受信する。
【0046】
図4(b)は、現金自動預払機1が受信した振込先履歴情報に基づいて、顧客が今回の送金先を一覧から選択できることを表示している状況を表す。表示部5のメッセージ領域5Eには、「以前の振込先に送金できます」というメッセージが表示され、以前の振込先を指定するための画面上のボタン5K、5L、及び以前の振込先ではない新しい振込先を指定するための画面上のボタン5Mが表示される。画面上のボタン5K及び5Lに表示される情報は、振込先履歴情報に含まれる情報に基づいて適宜設計できる。例えば、ある振込先口座情報が「A銀行B支店、普通預金口座、口座番号CDEFGH」である場合に、画面上のボタン5K及び5Lに表示される情報は、この振込先口座情報を一つの画面上のボタンとして表示してもよく、この振込先口座情報に含まれる名義人の名称のみを表示してもよい。図4(b)には、一例として、顧客が、画面上のボタン5Lに表示された「BBB様」という名称の名義人を指定することを示す。また、画面上のボタン5K及び5Lに表示される情報は、顧客が指定又は編集できるようにしてもよい。例えば、図4(a)に示した操作画面に、顧客による操作画面のカスタマイズを行うためのボタン等を追加し、当該顧客による過去の振込履歴の一覧から選択して、画面上のボタン5K及び5Lに表示される情報が設定されるようにしてもよい。
【0047】
図4(c)は、振込先の口座が指定された後に、顧客に送金金額の入力と確認を促す状況を表している。表示部5のメッセージ領域5Eには、「金額を確認してください」というメッセージが表示される。送金金額の入力及び確認については、前述の図3(a)〜(c)に示したものと同様であるが、図4(c)に示す振込先履歴情報を利用する操作画面においては、顧客が指定した口座に関連付けられている、振込先履歴情報に含まれる情報を用いて、顧客に対して文字情報又は音声情報を提供することができる。具体的には、本実施形態に係るサーバ30は、図5を示して後述する履歴情報データベース70のデータ構造を用いて、当該顧客を表す顧客識別子に対して、文字情報又は音声情報等を関連付けて記憶し、現金自動預払機1を介してこれらの情報を当該顧客に提供することができる。例えば、顧客が「BBB様」という送金先口座を指定した場合に、現金自動預払機1は、音声信号生成部15により当該送金先口座の名義人の読み上げ及び所定の語法等を含む音声信号を生成し、ハンドセット10から骨伝導音声の形式で「BBB様へのお振り込みですね?」という音声を顧客に伝達できる。読み上げる文字情報としては、口座の名義人名に限らず、顧客によって予め設定される文字情報等でもよい。例えば、顧客は、ある振込先口座情報を表す「初孫のIちゃん」という、文字情報又は音声情報を登録するようにしてもよい。したがって、本発明に係る現金自動預払機1の顧客は、顧客自身に馴染みが深い文字情報又は音声情報を振込先口座情報に登録して、より簡便かつ確実に取引先を選択することができる。
【0048】
このようにして、現金自動預払機1の顧客は、振込先履歴情報として蓄積された過去の取引の情報を利用し、表示部5に表示される文字情報及びハンドセット10を介して周囲への漏洩なく伝達される骨伝導音声として、取引内容を決済指示前の時点で容易に確認できる。したがって、本発明に係る現金自動預払機1は、顧客の操作ミスを予防することができる。
【0049】
図5は、本発明の実施形態に係るサーバ30の履歴情報記憶部32に記憶される履歴情報データベース70のデータ構造を示す図である。サーバ30は、サーバ30と現金自動預払機1とが通信可能に接続される自動取引システム50において、現金自動預払機1からの送信要求に基づいて、この履歴情報データベース70に蓄積された情報を検索することができる。
【0050】
図5に示すように、本実施形態の履歴情報データベース70のデータ構造においては、一つの顧客識別子につき、顧客情報、口座情報、送金履歴情報、関連情報が関連付けられる。図5には、ATMによる送金の履歴を含むデータ構造を示すが、履歴情報データベース70のデータ構造は、送金の履歴に限定されず、様々な取引の記録や、顧客に提供する文字情報又は音声情報等を蓄積して記憶するために使用できる。例えば、いずれかのATMにおいて自動取引が完了した時点で、当該自動取引に対して一つの識別子(例えば、履歴情報データベース70の顧客識別子)を用い、当該自動取引に用いられた骨伝導の利用の有無等の情報が相互に関連付けられて履歴情報データベース70に蓄積記憶される。また、例えば、サーバ30は、履歴情報データベース70のデータ構造を用いて、顧客識別子に対して文字情報又は音声情報等を関連付けて記憶し、現金自動預払機1を介してこれらの情報を当該顧客に提供することができる。
【0051】
顧客識別子は、ATMにおける1回の操作を識別するために設けられる。顧客情報は、ATM操作時に利用者認証部12よって認証された顧客の情報である。口座情報は、取引が行われた口座の情報である。送金履歴情報は、1回のATM操作における送金履歴の情報である。関連情報は、例えば、顧客識別子によって識別されるATMの操作ごとに、骨伝導による音声の伝達が行われたかどうかを記憶するために用いられるが、これに限定されない。
【0052】
図5に例示する履歴情報データベース70においては、顧客識別子「00123」に関連付けられる情報と、顧客識別子「00124」に関連付けられる情報とは、いずれも同一の顧客情報「顧客02011」を含んでいる。したがって、この例では、顧客情報が「顧客02011」である顧客は、送金先履歴情報として「履歴00123」及び「履歴00124」の送金履歴を有している。現金自動預払機1がサーバ30に対して「顧客02011」に関連付けられる振込先履歴情報の送信を要求する場合に、サーバ30は、これらの「履歴00123」及び「履歴00124」を含む振込先履歴情報を送信することができる。すると、現金自動預払機1は、「履歴00123」及び「履歴00124」を含む振込先履歴情報を受信でき、これらの振込先履歴情報に含まれる、送金先口座を含む送金先の情報を受信することができる。
【0053】
このようにして、本発明に係る、サーバ30と現金自動預払機1とが通信可能に接続される自動取引システム50において、現金自動預払機1は、特定の顧客情報に関連付けられている振込先履歴情報を受信し、図4(b)に示した以前の振込先を指定するための画面上のボタン5K、5L等を表示部5に表示することができる。
【0054】
図6は、本発明の実施形態に係る現金自動預払機1の動作を例示するフロー図である。以下、骨伝導を例示するが、指伝導についても同様に実施することができる。
【0055】
ステップS101で、現金自動預払機1は、取引メニューを表示する。例えば、図3(a)に例示したように、表示部5の所定領域内に、「払い出し」、「入金」、「振込」及び「残高確認」を表す画面上のボタン5A〜5Dが表示される。
【0056】
ステップS102で、現金自動預払機1は、カード又は通帳を受け付ける。ステップS103で、現金自動預払機1は、顧客認証を行う。すなわち、現金自動預払機1は、通常のATMと同様に通帳又はカードを受け付け、顧客が特定の口座の取引について有資格者であることを認証する。この顧客認証は、媒体認証、音声認証及び生体認証を含む。具体的には、磁気カード、接触又は非接触集積回路カード等による媒体認証;声紋による音声認証;指紋認証、虹彩認証、手のひら静脈認証、顔認証等の生体認証が挙げられるが、限定されない。
【0057】
ステップS104で、現金自動預払機1は、骨伝導を使用するかどうかを判定する。判定の結果が真であればステップS105に進み、偽であればステップS115に進む。この判定には、前段のステップS103における顧客認証が用いられる。例えば、現金自動預払機1は、顧客が口座取引の有資格者であることをICカードによって認証する際に、ICカードに記憶された情報に基づいて、当該顧客が骨伝導を介する音声伝達を提供する対象であることを認証してもよい。同様に、口座取引の有資格者認証としての手のひら静脈認証の際に、通常のATMと同様に有資格者として認証された顧客の個人情報を参照し、当該個人情報の記録に基づいて、当該顧客が骨伝導を介する音声伝達を提供する対象であることを認証してもよい。したがって、現金自動預払機1の顧客は、骨伝導を使用するための認証の操作を別途追加することなく、骨伝導を介する音声伝達の提供を受けることができる。
【0058】
ステップS105で、現金自動預払機1は、送金先口座の入力を受け付ける。ステップS106で、現金自動預払機1は、送金金額の入力を受け付ける。これらのステップにおける、送金先口座及び送金金額の入力は、操作受付部4によって受け付けられる。このときに、骨伝導マイクロホン17及び音声認識部18を用いて認識される顧客からの音声を、送金先口座及び送金金額の入力として、操作受付部4によって受け付けてもよい。
【0059】
ステップS107で、現金自動預払機1は、送金金額から数字データを生成する。すなわち、操作受付部4が受け付けた送金金額の数字に対し、数字データ生成部14は、入力された数字及び数字の終わりを認識し、桁の情報を付加した数字データを生成する。例えば、入力された数字の並びに、「何万円」又は「何千円」等の形式で桁の情報を付加した数字データが生成される。生成された数字データは、図3(c)に示したように、表示部5の金額の数字を表示する領域5Jに表示することができる。
【0060】
ステップS108で、現金自動預払機1は、音声信号を生成する。この音声信号は、前段のステップS107において生成された、桁の情報を付加した数字データの読み上げを含む。
【0061】
ステップS109で、現金自動預払機1は、音声信号を骨伝導で伝達する。顧客は、桁の情報を付加した数字データを、表示部5に表示される文字として視認できると共に、周囲への漏洩のない骨伝導を介する音声として聴取することができる。したがって、キータイプミスによる口座指定又は送金金額の誤り等を予防することができる。
【0062】
ステップS110で、現金自動預払機1は、送金指示の入力を受け付ける。ステップS111で、現金自動預払機1は、送金指示にしたがい、送金処理を実行する。
【0063】
前述のステップS104の判定により、骨伝導を介する音声伝達が提供されない場合には、現金自動預払機1は通常のATMと同様の送信処理を行うことができる。すなわち、ステップS115で、現金自動預払機1は、送金先口座の入力を受け付ける。ステップS116で、現金自動預払機1は、送金金額の入力を受け付ける。ステップS120で、現金自動預払機1は、送金指示の入力を受け付ける。ステップS121で、現金自動預払機1は、送金指示にしたがい、送金処理を実行する。
【0064】
このようにして、現金自動預払機1は、音声案内の支援を必要としている顧客に骨伝導を介して操作内容の読み上げを行うと共に、桁の情報を付加した数字データを文字及び音声の形式で顧客に提供し、顧客の操作ミスを予防することができる。
【0065】
図7は、本発明の実施形態に係る現金自動預払機1及びサーバ30の動作を例示するフロー図である。
【0066】
ステップS201及びステップS202の処理は、図6に示したステップS101及びステップS102の処理と同様である。
【0067】
ステップS203で、現金自動預払機1は、顧客認証を行う。このときに、現金自動預払機1は、認証した顧客について、サーバ30の履歴情報記憶部32に蓄積して記憶されている振込先履歴情報を参照するために、サーバ30に振込先履歴情報の送信を要求する。
【0068】
ステップS204で、サーバ30は、履歴情報記憶部32から当該顧客の振込先履歴情報を検索する。ステップS205で、サーバ30は、検索結果を現金自動預払機1に送信する。
【0069】
ステップS206で、現金自動預払機1は、振込先操作受付及び検索結果受信を行う。振込先操作受付は、現金自動預払機1を操作している顧客によって入力された振込先情報を受け付けることである。検索結果受信は、サーバ30から受信した、当該顧客の振込先履歴情報である。したがって、このステップS206の段階で、現金自動預払機1は、顧客により入力された振込先情報と、当該顧客の振込先履歴情報とを取得した状態となる。
【0070】
ステップS207で、現金自動預払機1は、振込先は振込先履歴情報に含まれるかを判定する。判定の結果が真であればステップS208に進み、偽であればステップS215に進む。
【0071】
ステップS208で、現金自動預払機1は、送金先一覧表示及び選択受付を行う。送金先一覧表示は、図4(b)に示したように、以前の振込先を指定するための画面上のボタン5K及び5L等の形態で顧客に示すことができる。選択受付は、送金先一覧表示及び以前の振込先ではない新しい振込先を指定するための画面上のボタン5M等から、顧客が画面上のボタンのいずれかを選択することを、操作受付部4によって受け付けることである。
【0072】
ステップS209で、現金自動預払機1は、送金先を表す音声信号を生成する。現金自動預払機1は、音声信号生成部15により当該送金先口座の名義人の読み上げ及び所定の語法等を含む音声信号を生成する。
【0073】
ステップS210で、現金自動預払機1は、音声信号を骨伝導で伝達する。すなわち、前段のステップS209で生成した音声信号が、ハンドセット10から骨伝導音声の形式で顧客に伝達される。
【0074】
ステップS220で、現金自動預払機1は、送金処理(ステップS105〜S111、又はステップS115〜S121)を実施する。この送金処理は、図6を示して説明した送金処理と同様である。
【0075】
ステップS207の判定において、振込先が振込先履歴情報に含まれていなかった場合、現金自動預払機1は、ステップS215で送金先口座の入力を受け付け、ステップS220に進み送金処理を実施する。
【0076】
このようにして、本発明に係る現金自動預払機1は、サーバ30の履歴情報記憶部32に蓄積して記憶されている振込先履歴情報を利用し、送金先口座の名義人の読み上げを含む音声信号を生成して、顧客に骨伝導音声として伝達できる。したがって、顧客は、表示部5に表示される文字情報及びハンドセット10を介して周囲への漏洩なく伝達される骨伝導音声から、取引内容を決済指示前の時点で容易に確認でき、現金自動預払機1は、顧客の操作ミスを予防することができる。
【0077】
図8は、本発明の実施形態に係る現金自動預払機1及びサーバ30のハードウェア構成の一例を示す図である。現金自動預払機1及びサーバ30は、ホスト・コントローラ1001により相互に接続されるCPU1002、RAM1003、グラフィック・コントローラ1004、及び表示装置1005を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1006によりホスト・コントローラ1001に接続される通信インターフェイス1007、ハードディスクドライブ1008、及びCD−ROMドライブ1009を有する入出力部と、入出力コントローラ1006に接続されるROM1010、フレキシブルディスク・ドライブ1011、及び入出力チップ1012を有するレガシー入出力部とを備える。
【0078】
ホスト・コントローラ1001は、RAM1003と、高い転送レートでRAM1003をアクセスするCPU1002、及びグラフィック・コントローラ1004とを接続する。CPU1002は、ROM1010、及びRAM1003に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ1004は、CPU1002等がRAM1003内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置1005上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1004は、CPU1002等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0079】
入出力コントローラ1006は、ホスト・コントローラ1001と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ1008、通信インターフェイス1007、CD−ROMドライブ1009を接続する。ハードディスクドライブ1008は、CPU1002が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス1007は、外部に接続してプログラム又はデータを送受信する。CD−ROMドライブ1009は、CD−ROM1020からプログラム又はデータを読み取り、RAM1003を介してハードディスクドライブ1008、及び通信インターフェイス1007に提供する。
【0080】
また、入出力コントローラ1006には、ROM1010と、フレキシブルディスク・ドライブ1011、及び入出力チップ1012の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1010は、現金自動預払機1及びサーバ30が起動時に実行するブート・プログラムや、ハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1011は、フレキシブルディスク1021からプログラム又はデータを読み取り、RAM1003を介してハードディスクドライブ1008、及び通信インターフェイス1007に提供する。入出力チップ1012は、フレキシブルディスク・ドライブ1011や、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0081】
CPU1002が実行するプログラムは、フレキシブルディスク1021、CD−ROM1020、又はICカード等の記録媒体に格納されて顧客によって提供される。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ1008にインストールされ、RAM1003に読み出されてCPU1002により実行される。
【0082】
CPU1002により実行されるプログラムは、図1図7に関連して説明した現金自動預払機1及びサーバ30として機能させる。また、CPU1002により実行される自動取引用のプログラムは、取引項目を画面表示するステップと、前記取引項目に基づく顧客による取引の操作を受け付けるステップと、前記操作受付部の操作に応じて音声信号を生成するステップと、前記音声信号を機械的な振動に変換して骨伝導又は指伝導により前記顧客に伝達するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0083】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0084】
1 現金自動預払機
4 操作受付部
5 表示部
10 ハンドセット
14 数字データ生成部
15 音声信号生成部
16 骨伝導スピーカー
17 骨伝導マイクロホン
20 ネットワーク
30 サーバ
32 履歴情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8