【実施例】
【0071】
次に本発明の複合樹脂粒子について、実施例を示して説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
<シリコーン樹脂芯材粒子の調製>
〔製造例1〕
温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、イオン交換水200重量部およびイソプロピルアルコール5重量部を投入した。この水溶液を25℃で撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−13)25重量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−503)5重量部を添加したところ、加水分解反応が進行し、15分後に液温が34℃に上昇した。
【0072】
さらに撹拌を2時間継続して、液温を25℃にまで冷却させ、攪拌しながら0.5%アンモニア水5重量部を添加し、1分間攪拌した後、攪拌を停止し4時間静置して、シリコーン樹脂芯材粒子のスラリーを調製した。
【0073】
このスラリーを200メッシュの金網を通過させてから、ブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過して、シリコーン樹脂芯材粒子のケーキを得た。
得られたシリコーン樹脂芯材粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒子形状は真球状であり、平均粒子径(φsi)は、2.70μmの単分散粒子であった。
【0074】
〔製造例2〕
製造例1において、メチルトリメトキシシラン(KBM−13)を28重量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503)を2重量部に代えた以外は、製造例1と同様の条件でシリコーン樹脂芯材粒子のケーキを得た。
【0075】
得られたシリコーン樹脂芯材粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒子形状は真球状であり、平均粒子径(φsi)は、2.6μmの単分散粒子であった。
〔製造例3〕
容量二リットルのガラスフラスコに、イオン交換水200重量部を投入し、25℃で攪拌しながらメチルトリメトキシシラン(KBM-13)35重量部を添加して、一時間攪拌した。
【0076】
その後、0.4%アンモニア水3.5重量部を添加して、一分間攪拌した後、攪拌を停止し、三時間静置してポリオルガノシロキサン粒子を得た。得られたスラリーを200メッシュの金網で濾過した後、ブフナーロートで濾紙を用いて、減圧濾過してポリオルガノシロキサンのケイキを得た。このケイキは、平均粒子径(φ
si)が、2.5μmの単分散分子であった。
【0077】
〔実施例1〕
メチルメタクリレート75重量部、エチレングリコールジメタクリレート5重量部、過酸化ベンゾイル0.67重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、亜硝酸ナトリウム0.1重量部、およびイオン交換水200重量部をホモミキサー(特殊機化工業(株)製、型式:TKホモミキサーIII、以下同様)を用いて、10000rpmで3分間撹拌した。
【0078】
次いで、この混合物を、温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移し、製造例1で調製したシリコーン樹脂芯材粒子20重量部、およびイオン交換水40重量部を添加し、75℃で1時間反応させ、続いて90℃で2時間反応させた。
【0079】
次いで、得られた水性分散液をブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過して樹脂粒子のケーキとし、得られたケイキを105℃に設定された熱風乾燥機を用いて乾燥させて複合樹脂粒子群(I)を得た。
【0080】
得られた複合樹脂粒子群(I)について、上記と同様の方法で複合樹脂粒子の平均粒子径(φcp)、複合樹脂粒子群を構成する複合樹脂粒子の中心とシリコーン樹脂芯材粒子の中心との距離(x)、比率(x/φcp)、変動率および真球度を測定し、その結果を表1に示す。
【0081】
また、得られた複合樹脂粒子群(I)のSEM写真を
図10に示す。
こうして得られた複合樹脂粒子群(I)を構成する複合樹脂粒子について、エポキシ樹脂に含浸してその複合樹脂粒子の芯材となっているシリコーン樹脂芯材粒子の断面が露出するようにミクロトームで断面を切り出した。この断面図を
図11に示す。
【0082】
図11に示すように、このシリコーン樹脂粒子の直径(Dsi)は、2.54μmであり、このシリコーン樹脂粒子の中心点(P)を通ってこの複合樹脂粒子の表面と接する点までが最も短い仮想直線(B)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も短い(R
mini)は、1.69μmであった。
【0083】
また、シリコーン樹脂芯材粒子の断面の中心を通るとともに、該複合樹脂粒子の外周面との交点間の距離が最も長い仮想直線(A)を描画したところ、仮想直線(A)は仮想直線(B)と一致した。この仮想直線(B)において、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も長い距離(Rmax)は、2.81μmであった。
【0084】
これらの値から、この複合樹脂粒子が次式(1)、(2)を満足するものである。
【0085】
【数3】
【0086】
同様にしてこの複合樹脂粒子群(I)を構成する複合樹脂粒子について、断面を切り出して上記のようにしてシリコーン樹脂芯材粒子の位置を測定したところ、この複合樹脂粒子群(I)の少なくとも95個数%の粒子において、上記のシリコーン樹脂芯材粒子の偏在が認められた。
【0087】
〔実施例2〕
実施例1において、メチルメタクリレート88.33重量部、製造例1で調製したシリコーン樹脂芯材粒子6.67重量部にした以外は、実施例1と同様の条件で調製し、複合樹脂粒子群(II)を得た。
【0088】
得られた複合樹脂粒子群(II)について、上記と同様の方法で複合樹脂粒子の平均粒子径(φcp)、複合樹脂粒子群(II)を構成する複合樹脂粒子の中心とシリコーン樹脂芯材粒子の中心との距離(x)、比率(x/φcp)、変動率および真球度を測定し、その結果を表1に示す。
【0089】
また、得られた複合樹脂粒子群(II)のSEM写真を
図12に示す。
こうして得られた複合樹脂粒子群(II)を構成する複合樹脂粒子について、その複合樹脂粒子の芯材となっているシリコーン樹脂芯材粒子の断面が露出するように断面を切り出した。この断面図を
図13に示す。
図13に示すように、このシリコーン樹脂粒子の直径(Dsi)は、2.83μmであり、このシリコーン樹脂粒子の中心点(P)を通ってこの複合樹脂粒子の表面と接する点までが最も短い仮想直線(B)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も短い(R
mini)は、1.46μmであった。
【0090】
また、シリコーン樹脂芯材粒子の断面の中心を通るとともに、該複合樹脂粒子の外周面との交点間の距離が最も長い仮想直線(A)を描画したところ、仮想直線(A)は仮想直線(B)と一致した。この仮想直線(B)において、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も長い距離(R
max)は、4.86μmであった。
【0091】
これらの値から、この複合樹脂粒子が次式(1)、(2)を満足するものである。
【0092】
【数4】
【0093】
同様にしてこの複合樹脂粒子群(II)を構成する複合樹脂粒子について、断面を切り出して上記のようにしてシリコーン樹脂芯材粒子の位置を測定したところ、この複合樹脂粒子群(I)の少なくとも98個数%の粒子において、上記のシリコーン樹脂芯材粒子の偏在が認められた。
【0094】
〔実施例3〕
<1段目の重合>
実施例1で使用した装置を用いて、メチルメタクリレート66.6重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.014重量部、過酸化ベンゾイル0.5重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0095】
ついで、この混合物を温度計および窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移して、製造例2で調製したシリコーン樹脂粒子33.3重量部およびイオン交換水40重量部を添加し、50℃で30分間穏やかに撹拌した。
【0096】
その後、PVA5%水溶液40重量部を添加して、75℃で1時間反応させた後、90℃で1時間反応させて、複合樹脂粒子群の分散液(III−1)を得た。
この複合樹脂粒子群の分散液(III−1)中に含有される複合樹脂粒子をSEMにより観察したところ、この複合樹脂粒子は、平均粒子径が4.13μmの真球状の単分散粒子であった。
【0097】
<2段目の重合>
さらに、同様の装置を用いて、メチルメタクリレート90重量部、エチレングリコールジメタクリレート5重量部、過酸化ベンゾイル1.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、亜硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0098】
ついで、この混合物を、温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移し、前記の複合樹脂粒子群の分散液(III−1)を19.2重量部添加し、75℃で1時間反応させ、続いて90℃で2時間反応させ、複合樹脂粒子群(III−2)の分散液を得た。
【0099】
こうして得られた水性分散液をブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過して樹脂粒子のケーキとし、得られたケーキを105℃に設定された熱風乾燥機を用いて乾燥させて複合樹脂粒子群(III−2)を得た。
【0100】
得られた複合樹脂粒子群(III−2)について、上記と同様の方法で複合樹脂粒子の平均粒子径(φcp)、複合樹脂粒子群を構成する複合樹脂粒子の中心とシリコーン樹脂芯材粒子の中心との距離(x)、比率(x/φcp)、変動率および真球度を測定し、その結果を表1に示す。
【0101】
また、得られた複合樹脂粒子群(III−2)のSEM写真を
図14に示す。
こうして得られた複合樹脂粒子群(III−2)を構成する複合樹脂粒子について、その複合樹脂粒子の芯材となっているシリコーン樹脂芯材粒子の断面が露出するように断面を切り出した。この断面図を
図15に示す。
図15に示すように、このシリコーン樹脂粒子の直径(Dsi)は、2.76μmであり、このシリコーン樹脂粒子の中心点(P)を通ってこの複合樹脂粒子の表面と接する点までが最も短い仮想直線(B)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も短い(R
mini)は、1.50μmであった。
【0102】
また、シリコーン樹脂芯材粒子の断面の中心を通るとともに、該複合樹脂粒子の外周面との交点間の距離が最も長い仮想直線(A)を描画したところ、仮想直線(A)は仮想直線(B)と一致した。この仮想直線(B)において、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も長い距離(R
max)は、7.24μmであった。
【0103】
これらの値から、この複合樹脂粒子が次式(1)、(2)を満足するものである。
【0104】
【数5】
【0105】
同様にしてこの複合樹脂粒子群(III−2)を構成する複合樹脂粒子について、断面を切り出して上記のようにしてシリコーン樹脂芯材粒子の位置を測定したところ、この複合樹脂粒子群(III−2)の少なくとも95個数%の粒子において、上記のシリコーン樹脂芯材粒子の偏在が認められた。
【0106】
〔実施例4〕
<1段目の重合>
実施例1で使用した装置を用いて、メチルメタクリレート93.35重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.0185重量部、過酸化ベンゾイル1.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0107】
ついで、この混合物を温度計および窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移して、製造例1で調製したシリコーン樹脂粒子6.65重量部およびイオン交換水40重量部を添加し、50℃で30分間穏やかに撹拌した。
【0108】
その後、PVA5%水溶液40重量部を添加して、75℃で1時間反応させた後、90℃で1時間反応させて、複合樹脂粒子群の分散液(IV−1)を得た。
この複合樹脂粒子群の分散液(IV−1)中に含有される複合樹脂粒子をSEMにより観察したところ、この複合樹脂粒子は、平均粒子径が6.67μmの真球状の単分散粒子であった。
【0109】
<2段目の重合>
さらに、同様の装置を用いて、スチレン75重量部、ジビニルベンゼン(新日鐵化学(株)製、品番:DVB−960、以下同様)5重量部、過酸化ベンゾイル2.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、亜硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0110】
ついで、この混合物を、温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移し、前記の複合樹脂粒子群の分散液(IV−1)を76.2重量部添加し、75℃で3時間反応させ、続いて90℃で3時間反応させ、複合樹脂粒子群(IV−2)の分散液を得た。
【0111】
こうして得られた水性分散液をブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過して樹脂粒子のケーキとし、得られたケーキを105℃に設定された熱風乾燥機を用いて乾燥させて複合樹脂粒子群(IV−2)を得た。
【0112】
得られた複合樹脂粒子群(IV−2)について、上記と同様の方法で複合樹脂粒子の平均粒子径(φcp)、複合樹脂粒子群を構成する複合樹脂粒子の中心とシリコーン樹脂芯材粒子の中心との距離(x)、比率(x/φcp)、変動率および真球度を測定し、その結果を表1に示す。
【0113】
また、得られた複合樹脂粒子群(IV−2)のSEM写真を
図16に示す。
こうして得られた複合樹脂粒子群(IV−2)を構成する複合樹脂粒子について、その複合樹脂粒子の芯材となっているシリコーン樹脂芯材粒子の断面が露出するように断面を切り出した。この断面図を
図17に示す。
図17に示すように、このシリコーン樹脂粒子の直径(Dsi)は、2.25μmであり、このシリコーン樹脂粒子の中心点(P)を通ってこの複合樹脂粒子の表面と接する点までが最も短い仮想直線(B)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も短い(R
mini)は、1.51μmであった。
【0114】
また、シリコーン樹脂芯材粒子の断面の中心を通るとともに、該複合樹脂粒子の外周面との交点間の距離が最も長い仮想直線(A)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(A)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も長い距離(R
max)は、9.81μmであった。
【0115】
これらの値から、この複合樹脂粒子が次式(1)、(2)を満足するものである。
【0116】
【数6】
【0117】
同様にしてこの複合樹脂粒子群(IV−2)を構成する複合樹脂粒子について、断面を切り出して上記のようにしてシリコーン樹脂芯材粒子の位置を測定したところ、この複合樹脂粒子群(IV−2)の少なくとも95個数%の粒子において、上記のシリコーン樹脂芯材粒子の偏在が認められた。
【0118】
〔実施例5〕
<1段目の重合>
実施例1で使用した装置を用いて、メチルメタクリレート66.7重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.0078重量部、過酸化ベンゾイル1.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0119】
ついで、この混合物を温度計および窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移して、製造例1で調製したシリコーン樹脂粒子33.3重量部およびイオン交換水40重量部を添加し、50℃で30分間穏やかに撹拌した。
【0120】
その後、PVA5%水溶液40重量部を添加して、75℃で1時間反応させた後、90℃で1時間反応させて、複合樹脂粒子群の分散液(V−1)を得た。
この複合樹脂粒子群の分散液(V−1)中に含有される複合樹脂粒子をSEMにより観察したところ、この複合樹脂粒子は、平均粒子径が3.89μmの真球状の単分散粒子であった。
【0121】
<2段目の重合>
さらに、同様の装置を用いて、スチレン70重量部、ジビニルベンゼン10重量部、過酸化ベンゾイル2.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、亜硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0122】
ついで、この混合物を、温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移し、前記の複合樹脂粒子群の分散液(V−1)を76.2重量部添加し、75℃で3時間反応させ、続いて90℃で3時間反応させ、複合樹脂粒子群(V−2)の分散液を得た。
【0123】
こうして得られた水性分散液をブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過して樹脂粒子のケーキとし、得られたケーキを105℃に設定された熱風乾燥機を用いて乾燥させて複合樹脂粒子群(V−2)を得た。
【0124】
得られた複合樹脂粒子群(V−2)について、上記と同様の方法で複合樹脂粒子の平均粒子径(φcp)、複合樹脂粒子群を構成する複合樹脂粒子の中心とシリコーン樹脂芯材粒子の中心との距離(x)、比率(x/φcp)、変動率および真球度を測定し、その結果を表1に示す。
【0125】
また、得られた複合樹脂粒子群(V−2)のSEM写真を
図18に示す。
こうして得られた複合樹脂粒子群(V−2)を構成する複合樹脂粒子について、その複合樹脂粒子の芯材となっているシリコーン樹脂芯材粒子の断面が露出するように断面を切り出した。この断面図を
図19に示す。
図19に示すように、このシリコーン樹脂粒子の直径(Dsi)は、2.45μmであり、このシリコーン樹脂粒子の中心点(P)を通ってこの複合樹脂粒子の表面と接する点までが最も短い仮想直線(B)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も短い(R
mini)は、1.23μmであった。
【0126】
また、シリコーン樹脂芯材粒子の断面の中心を通るとともに、該複合樹脂粒子の外周面との交点間の距離が最も長い仮想直線(A)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(A)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も長い距離(R
max)は、3.92μmであった。
【0127】
これらの値から、この複合樹脂粒子が次式(1)、(2)を満足するものである。
【0128】
【数7】
【0129】
同様にしてこの複合樹脂粒子群(V−2)を構成する複合樹脂粒子について、断面を切り出して上記のようにしてシリコーン樹脂芯材粒子の位置を測定したところ、この複合樹脂粒子群(V−2)の少なくとも95個数%の粒子において、上記のシリコーン樹脂芯材粒子の偏在が認められた。
【0130】
〔実施例6〕
<1段目の重合>
実施例1で使用した装置を用いて、メチルメタクリレート93.3重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.02重量部、過酸化ベンゾイル1.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0131】
次いで、この混合物を温度計および窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移して、製造例1で調製したシリコーン樹脂粒子6.7重量部およびイオン交換水40重量部を添加し、50℃で30分間穏やかに撹拌した。
【0132】
その後、PVA5%水溶液40重量部を添加して、75℃で1時間反応させた後、90℃で1時間反応させて、複合樹脂粒子群の分散液(VI−1)を得た。
この複合樹脂粒子群の分散液(VI−1)中に含有される複合樹脂粒子をSEMにより観察したところ、この複合樹脂粒子は、平均粒子径が6.50μmの真球状の単分散粒子であった。
【0133】
<2段目の重合>
さらに、同様の装置を用いて、スチレン85重量部、ジビニルベンゼン5重量部、過酸化ベンゾイル2.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、亜硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpmで3分間撹拌した。
【0134】
ついで、この混合物を、温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移し、前記の複合樹脂粒子群の分散液(VI−1)を37.7重量部添加し、75℃で3時間反応させ、続いて90℃で3時間反応させ、複合樹脂粒子群(VI−2)の分散液を得た。
【0135】
こうして得られた水性分散液をブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過して樹脂粒子のケーキとし、得られたケーキを105℃に設定された熱風乾燥機を用いて乾燥させて複合樹脂粒子群(VI−2)を得た。
【0136】
得られた複合樹脂粒子群(VI−2)について、上記と同様の方法で複合樹脂粒子の平均粒子径(φcp)、複合樹脂粒子群を構成する複合樹脂粒子の中心とシリコーン樹脂芯材粒子の中心との距離(x)、比率(x/φcp)、変動率および真球度を測定し、その結果を表1に示す。
【0137】
また、得られた複合樹脂粒子群(VI−2)のSEM写真を
図20に示す。
こうして得られた複合樹脂粒子群(VI−2)を構成する複合樹脂粒子について、その複合樹脂粒子の芯材となっているシリコーン樹脂芯材粒子の断面が露出するように断面を切り出した。この断面図を
図21に示す。
【0138】
図21に示すように、このシリコーン樹脂粒子の直径(Dsi)は、2.50μmであり、このシリコーン樹脂粒子の中心点(P)を通ってこの複合樹脂粒子の表面と接する点までが最も短い仮想直線(B)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も短い(R
mini)は、2.69μmであった。
【0139】
また、シリコーン樹脂芯材粒子の断面の中心を通るとともに、該複合樹脂粒子の外周面との交点間の距離が最も長い仮想直線(A)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(A)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も長い距離(R
max)は、9.04μmであった。
【0140】
これらの値から、この複合樹脂粒子が次式(1)、(2)を満足するものである。
【0141】
【数8】
【0142】
同様にしてこの複合樹脂粒子群(IV−2)を構成する複合樹脂粒子について、断面を切り出して上記のようにしてシリコーン樹脂芯材粒子の位置を測定したところ、この複合樹脂粒子群(IV−2)の少なくとも95個数%の粒子において、上記のシリコーン樹脂芯材粒子の偏在が認められた。
【0143】
ここで得られた粒子群の反射強度の変化率を
図24に示す。
〔実施例7〕
<1段目の重合>
実施例1で使用した装置を用いて、メチルメタクリレート66.7重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.013重量部、過酸化ベンゾイル1.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05重量部、硝酸ナトリウム0.01重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpm3分間攪拌した。
【0144】
ついで、この混合物を温度計および窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移して、製造例1で調製したシリコーン樹脂粒子33.6重量部およびイオン交換水40重量部を添加し、50℃で30分間穏やかに攪拌した。
【0145】
その後、PVA5%水溶液40重量部を添加して、75℃で1時間反応させた後、90℃で1時間反応させて、複合樹脂粒子群の分散液(VII−1)を得た。
この複合樹脂粒子群の分散液(VII−1)中に含有される複合樹脂粒子をSEMにより観察したところ、この複合樹脂粒子は、平均粒子径が4.63μmの真球状の単分散粒子であった。
【0146】
<2段目の重合>
さらに、同様の装置を用いて、スチレン75重量部、ジビニルベンゼン5重量部、過酸化ベンゾイル2.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、亜硝酸ナトリウム0.1重量部およびイオン交換水200重量部を、ホモミキサーを用い10000rpm3分間撹拌した。
【0147】
ついで、この混合物を、温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移し、前記の複合樹脂粒子群の分散液(V−1)を76.9重量部添加し、75℃で3時間反応させ、続いて90℃で3時間反応させ、複合樹脂粒子群(V−2)の分散液を得た。
【0148】
こうして得られた水性分散液をブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過して樹脂粒子のケーキとし、得られたケーキを105℃に設定された熱風乾燥機を用いて乾燥させて複合樹脂粒子群(V−2)を得た。
【0149】
得られた複合樹脂粒子群(V−2)について、上記と同様の方法で複合樹脂粒子の平均粒子径(φcp)、複合樹脂粒子群を構成する複合樹脂粒子の中心とシリコーン樹脂芯材粒子の中心との距離(x)、比率(x/φcp)、変動率および真球度を測定し、その結果を表1に示す。
【0150】
また、得られた複合樹脂粒子群(V−2)のSEM写真を
図22に示す。
こうして得られた複合樹脂粒子群(V−2)を構成する複合樹脂粒子について、その複合樹脂粒子の芯材となっているシリコーン樹脂芯材粒子の断面が露出するように断面を切り出した。この断面図を
図23に示す。
図23に示すように、このシリコーン樹脂粒子の直径(Dsi)は、2.63μmであり、このシリコーン樹脂粒子の中心点(P)を通ってこの複合樹脂粒子の表面と接する点までが最も短い仮想直線(B)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂粒子の中心点(P)から、この仮想直線(B)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も短い(R
mini)は、1.38μmであった。
【0151】
また、シリコーン樹脂芯材粒子の断面の中心を通るとともに、該複合樹脂粒子の外周面との交点間の距離が最も長い仮想直線(A)を描画し、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(A)が複合樹脂粒子の表面と接する点までの最も長い距離(R
max)は、4.06μmであった。
【0152】
これらの値から、この複合樹脂粒子が次式(1)、(2)を満足するものである。
【0153】
【数9】
【0154】
同様にしてこの複合樹脂粒子群(V−2)を構成する複合樹脂粒子について、断面を切り出して上記のようにしてシリコーン樹脂芯材粒子の位置を測定したところ、この複合樹脂粒子群(V−2)の少なくとも95個数%の粒子において、上記のシリコーン樹脂芯材粒子の偏在が認められた。
【0155】
真球度の測定方法
真球度は、以下の方法によって求めた。
複合樹脂粒子群を電子顕微鏡を用いて撮影を行い、得られた画像を画像解析用ソフトウェアを用いて(三谷商事(株)、WinROOF)、円形度を測定する。約50個の測定値を平均し、これを真球度とする。なお、円形度は下記の式で計算される。
円形度=4π×面積/(周囲長×周囲長)
〔実施例8〕
MMA40重量部、EGDMA10重量部、過酸化ベンゾイル1重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部、イオン交換水300重量部、亜硝酸ナトリウム0.1重量部を、ホモミキサーを用いて10000回転で3分間攪拌した。
【0156】
次いで、この混合物を温度計と窒素ガス導入管を装着した容量1リットルの四つ口フラスコに移し、製造例3で調製したポリオルガノシロキサン粒子50重量部を添加し、40℃で30分間攪拌した。
【0157】
その後、ポリビニルアルコール2重量部を加えて69℃で1時間30分反応させ、次いで90℃で1時間反応させた。
得られた水性分酸液を
ブフナーロートで濾紙を用いて減圧濾過してコアシェル粒子のケーキを得た。
【0158】
得られたケーキを105℃に設定された熱風乾燥機を用いて乾燥させてコアシェル粒子を得た。得られた複合粒子について、シリコーン樹脂粒子の中心点Pを通ってこの複合粒子の表面と接する点までがもっとも短い仮想直線Bが複合粒子と接する点までの最も短い距離(R
mini)は1.25μmであり、またシリコーン芯材粒子の外面との交点間の距離が最も長い仮想直線Aを描画し、この断面におけるシリコーン樹脂芯材粒子の中心点(P)から、この仮想直線(A)が複合樹脂粒子の表面で接する点までの最も長い距離(R
max)は2.68μmであった。
【0159】
得られた複合粒子群の特性を表1に示す。
この実施例8で使用したシリコーン樹脂芯材粒子のSEM写真を、
図26に、複合樹脂粒子群のSEM粒子群を
図27に、
図28に実施例8で得られた粒子群の反射光の変化率を示す。
〔比較例1〜比較例3〕
比較例として、市販のシリコーン粒子(比較例1、モメンディブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名:トスパール145A,平均粒子径(φsi)4.5μm)、架橋ポリメチルメタクリレート粒子(比較例2、綜研化学(株)製、商品名:MX-500、平均粒子径5.0μm)、スチレン系粒子(比較例3、綜研化学(株)製、商品名:SX-500H、平均粒子径5.0μm)を用意して、これらの粒子の反射強度の変化率を表1に示す。
【0160】
比較例3により得られた粒子群の反射強度の変化率を
図25に示す。
〔比較例4〕
比較例1の粒子6.7重量部、比較例2の粒子13.3重量部、比較例3の粒子80重量部の比率で混合して混合粒子を調整し、この混合粒子の反射強度の変化率を表1に示す。
【0161】
【表1】