特許第5706934号(P5706934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5706934外装材端縁部の固定防水構造及び固定防水具セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5706934
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】外装材端縁部の固定防水構造及び固定防水具セット
(51)【国際特許分類】
   E04D 11/00 20060101AFI20150402BHJP
   E04D 5/14 20060101ALI20150402BHJP
   E04D 13/15 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   E04D11/00 C
   E04D5/14 V
   E04D13/15 301Z
【請求項の数】6
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-161623(P2013-161623)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-31065(P2015-31065A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2013年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】513159505
【氏名又は名称】有限会社ハイパーシール工業
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】堀川 和人
【審査官】 南澤 弘明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−171531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 11/00
E04D 5/14
E04D 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物外壁の開放型コーナー部の略水平壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部及びコーナー部を越えて敷設されること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とが嵌合連結され、しかも前記押圧部材(A)が締結具により建造物外壁に固定された状態で、押圧平板部の固定作業面と、カバー部の内側表面との間に形成される締結具保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;そして
保護対象の外装材端縁部は、押圧平板部の保護端縁部側の押圧接触面と建造物外壁との間に形成される端縁保護空間において、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されるか、あるいは、押圧平板部の保護端縁部先端から押圧接触面側に突出させて設けたヒサシ部で覆われることによって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造。
【請求項2】
建造物外壁の閉鎖型コーナー部の略水平壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合連結部と前記閉鎖型コーナー部の略立設壁面と間に、シーリング材が充填可能な端縁保護空間を形成するように敷設されること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とが嵌合連結され、しかも前記押圧部材(A)が前記締結具(B)により建造物外壁に固定された状態で、押圧平板部の固定作業面と、カバー部の内側表面との間に形成される締結具保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;及び
前記端縁保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造。
【請求項3】
建造物外壁の上方開放型コーナー部の略垂直壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部及びコーナー部を越えて敷設されること;
保護対象の外装材端縁部は、押圧平板部の保護端縁部側の押圧接触面と建造物外壁との間に形成される端縁保護空間において、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されるか、あるいは、押圧平板部の保護端縁部先端から押圧接触面側に突出させて設けたヒサシ部で覆われることによって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造。
【請求項4】
建造物外壁の上方閉鎖型コーナー部の略垂直壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合連結部と前記閉鎖型コーナー部の略水平壁面との間に、シーリング材が充填可能な端縁保護空間を形成するように敷設されること; 及び
前記端縁保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造。
【請求項5】
建造物外壁の略垂直壁面に下方向きに位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部を越えて敷設されること;及び
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とが嵌合連結され、しかも前記押圧部材(A)が締結具により建造物外壁に固定された状態で、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合連結部と略垂直壁面との間に形成される連結部保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造。
【請求項6】
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と、
(D)内部シーリング材と、
(E)開口部シーリング材と
の組合せを含み、
建造物外壁に敷設される外装材の端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護するための固定防水具セットであって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結可能であること;
を特徴とする、固定防水具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物(例えば、ビル)の外壁に設けた外装材の端縁領域を固定すると共に、端縁部での雨漏りを防止するための固定防水構造及び固定防水具セットに関し、更には、固定防水方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物の外壁や屋上には、外装材として、外壁材、屋根材、又は防水材などが一般的に敷設されている。これらの外装材の端縁部は、コンクリート建造物の外壁や屋上に堅固に固定する必要があるだけでなく、雨漏防水処理も必要になる。また、外装材を建造物外壁へ固定するために種々の固定手段が用いられているが、その固定箇所にも雨漏防水処理が必要になる場合がある。
図18は、防水シート81の端縁部82を、従来から使用されていたL字金具83によって固定した状態を示す模式的断面図である。例えば、図18(a)に示すように、屋上の水平床面84Rに敷設した防水シート81aの端縁部82aをL字金具83aとネジ85aとで固定すると、防水シート81aの端縁部82aを屋上床面84Rに堅固に固定すると共に、端縁部82aの防水処理も同時に行うことができる。しかしながら、雨水87が、ネジ85aとL字金具83a及び防水シート81aとの隙間89を通って床内部に侵入し、雨漏りの原因となる。また、図18(b)に示すように、屋上床面84A及び屋上床から立設する壁面84Bに敷設した防水シート81bの端縁部82bをL字金具83bとネジ85bとで固定し、更に、L字金具83bの短辺部83Aと、上方壁面84Cとの間の空間に防水シーリング材88を充填して防水処理を行うことも行われていた。しかしながら、この従来法によると、雨水87が、ネジ85bとL字金具83b及び防水シート81bとの隙間を通って壁内部に侵入して雨漏りの原因となるだけでなく、防水シーリング材88が劣化して隙間89が発生するので、定期的な交換修理が必要になり、高性能シーリング材を用いると交換修理の回数は低減するが高コストになり、低コストのシーリング材を用いると劣化が早く起こり、交換修理の回数が増加するという欠点があった。
【0003】
更に、防水シート端縁部の防水処理方法としては、従来から、例えば、防水シート端縁部をシーリング材で被覆し、被覆したシーリング材を端末押さえ部材でカバーし、端末押さえ部材と防水シートとを締結具によって壁面に固定し、端末押さえ部材の上部と笠木部との間をシーリング材で封鎖し、そしてシーリング材と締結具とを保護するためのカバー部材を、端末押さえ部材に取り付ける方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この従来法では、端末押さえ部材の構造が複雑なために製造コストが高くなるだけでなく、シーリング材の被覆操作が極めて困難であり、実施化は事実上不可能であった。すなわち、この従来法では、形成された隙間にシーリング材を充填するのではなく、防水シート端縁部をシーリング材で被覆した後に、そのシーリング材を端末押さえ部材でカバーしたり、端末押さえ部材の上部と笠木部との間をシーリング材でシールした後に、カバー部材でカバーする必要があるので、必要なシーリング材の量を決定することが非常に困難であった。また、端末押さえ部材やカバー部材でシーリング材をカバーした後に、シーリング材の量が不適切であることが分かった場合には、シーリング材及び金属部材を取り外して、再度、被覆作業を最初からやり直す必要があった。
【0004】
なお、前記特許文献1に記載の方法の改良法が、特許文献2に提案されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法は、建造物壁面に箱目地を形成する必要があるため、作業が煩雑になるだけでなく、防水シートをネジやビスなどで堅固に締結する固定方式ではないために、例えば、国土交通省が指定する仕様(非特許文献1参照)に適合しないことがあり、適用範囲が限定される欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−293528
【特許文献2】特開2005−171531
【非特許文献1】国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成22年版、財団法人建築保全センター、第42頁下から第2行〜1行、第50頁第5行〜6行など。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、外装材(例えば、外壁材、屋根材、又は防水材)の端縁部を、ネジやビスなどの締結具で建造物の外壁本体に堅固に固定することができ、しかも外装材端縁部及び固定手段に対して充分な防水効果を得ることができ、構造が単純で、取り付け操作も容易な固定防水構造、及びその固定防水構造の構築に適した固定防水具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、本発明により、建造物外壁の開放型コーナー部の略水平壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部及びコーナー部を越えて敷設されること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とが嵌合連結され、しかも前記押圧部材(A)が締結具により建造物外壁に固定された状態で、押圧平板部の固定作業面と、カバー部の内側表面との間に形成される締結具保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;そして
保護対象の外装材端縁部は、押圧平板部の保護端縁部側の押圧接触面と建造物外壁との間に形成される端縁保護空間において、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されるか、あるいは、押圧平板部の保護端縁部先端から押圧接触面側に突出させて設けたヒサシ部で覆われることによって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造により解決することができる。
【0008】
本発明は、また、建造物外壁の開放型コーナー部の略水平壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物の外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水方法であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
を特徴とし、前記固定防水方法が
(1)前記押圧部材(A)を、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触させて保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部及びコーナー部を越えて敷設し、押圧平板部の保護端縁部側の押圧接触面と建造物外壁との間に端縁保護空間を形成する工程;及び
(2)敷設された前記押圧部材(A)を、前記押圧部材(A)と建造物外壁との間に外装材を挟んで押圧した状態で、前記締結具(B)により、前記押圧部材(A)と前記外装材とを貫通させて建造物外壁に固定する工程;
を実施した後、
(3)前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部については、
(3−1a)前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を内部シーリング材で被覆してから、前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより押圧平板部の固定作業面とカバー部の内側表面との間に締結具保護空間を形成した後;あるいは
(3−1b)前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより押圧平板部の固定作業面とカバー部の内側表面との間に締結具保護空間を形成させてから、その締結具保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填した後、
(3−2)前記締結具保護空間の開口側に開口部シーリング材を充填する工程
を実施し、そして、
(4)前記端縁保護空間については、
(4−1)奥の方に内部シーリング材を充填した後、
(4−2)開口側に開口部シーリング材を充填する工程
を実施し、
前記工程(3)及び(4)をそれぞれ独立に任意の順序で実施することを特徴とする、前記固定防水方法にも関する。
【0009】
本発明は、また、建造物外壁の開放型コーナー部の略水平壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物の外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水方法であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域、及び(ニ)押圧平板部の保護端縁部先端から押圧接触面側の方向に突出させて設けたヒサシ部を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
を特徴とし、前記固定防水方法が
(1)前記押圧部材(A)を、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触させて保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)のヒサシ部で保護対象の外装材端縁部を覆うように敷設する工程;
(2)敷設された前記押圧部材(A)を、前記押圧部材(A)と建造物外壁との間に外装材を挟んで押圧した状態で、前記締結具(B)により、前記押圧部材(A)と前記外装材とを貫通させて建造物外壁に固定する工程;
(3)前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部については、
(3−1a)前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を内部シーリング材で被覆した後に、前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより押圧平板部の固定作業面とカバー部の内側表面との間に締結具保護空間を形成するか;あるいは
(3−1b)前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより押圧平板部の固定作業面とカバー部の内側表面との間に締結具保護空間を形成させた後に、その締結具保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填した後、
(3−2)前記締結具保護空間の開口側に開口部シーリング材を充填する工程
を実施する
ことを特徴とする、前記固定防水方法にも関する。
【0010】
また、本発明は、建造物外壁の閉鎖型コーナー部の略水平壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合連結部と前記閉鎖型コーナー部の略立設壁面と間に、シーリング材が充填可能な端縁保護空間を形成するように敷設されること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とが嵌合連結され、しかも前記押圧部材(A)が前記締結具(B)により建造物外壁に固定された状態で、押圧平板部の固定作業面と、カバー部の内側表面との間に形成される締結具保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;及び
前記端縁保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造にも関する。
【0011】
本発明は、また、建造物外壁の閉鎖型コーナー部の略水平壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物の外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水方法であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
を特徴とし、前記固定防水方法が
(1)前記押圧部材(A)を、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触させて保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部から形成される嵌合連結部と前記閉鎖型コーナー部の立設壁面と間に、シーリング材が充填可能な端縁保護空間を形成するように敷設する工程;及び
(2)敷設された前記押圧部材(A)を、前記押圧部材(A)と建造物外壁との間に外装材を挟んで押圧した状態で、前記締結具(B)により、前記押圧部材(A)と前記外装材とを貫通させて建造物外壁に固定する工程;
を実施した後、
(3)前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部については、
(3−1a)前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を内部シーリング材で被覆した後に、前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより押圧平板部の固定作業面とカバー部の内側表面との間に締結具保護空間を形成するか;あるいは
(3−1b)前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより押圧平板部の固定作業面とカバー部の内側表面との間に締結具保護空間を形成させた後に、その締結具保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填した後、
(3−2)前記締結具保護空間の開口側に開口部シーリング材を充填する工程
を実施し、
(4)前記端縁保護空間については、
(4−1)前記端縁保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填した後、
(4−2)前記端縁保護空間の開口側に開口部シーリング材を充填する工程
を実施することを特徴とする、前記固定防水方法にも関する。
【0012】
本発明は、更に、建造物外壁の上方開放型コーナー部の略垂直壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部及びコーナー部を越えて敷設されること;
保護対象の外装材端縁部は、押圧平板部の保護端縁部側の押圧接触面と建造物外壁との間に形成される端縁保護空間において、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されるか、あるいは、押圧平板部の保護端縁部先端から押圧接触面側に突出させて設けたヒサシ部で覆われることによって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造にも関する。
【0013】
本発明は、また、建造物外壁の上方開放型コーナー部の略垂直壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物の外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水方法であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
を特徴とし、前記固定防水方法が
(1)前記押圧部材(A)を、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触させて保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部及びコーナー部を越えて敷設し、押圧平板部の保護端縁部側の押圧接触面と建造物外壁との間に端縁保護空間を形成する工程;及び
(2)敷設された前記押圧部材(A)を、前記押圧部材(A)と建造物外壁との間に外装材を挟んで押圧した状態で、前記締結具(B)により、前記押圧部材(A)と前記外装材とを貫通させて建造物外壁に固定する工程;
を実施した後、
(3a)前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させる工程;及び
(3b)前記端縁保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填した後、開口側に開口部シーリング材を充填する工程
を任意の順序で実施することを特徴とする、前記固定防水方法にも関する。
【0014】
本発明は、さらに、建造物外壁の上方開放型コーナー部の略垂直壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物の外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水方法であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域、及び(ニ)押圧平板部の保護端縁部先端から押圧接触面側の方向に突出させて設けたヒサシ部を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
を特徴とし、前記固定防水方法が
(1)前記押圧部材(A)を、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触させて保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)のヒサシ部で保護対象の外装材端縁部を覆うように敷設する工程;及び
(2)敷設された前記押圧部材(A)を、前記押圧部材(A)と建造物外壁との間に外装材を挟んで押圧した状態で、前記締結具(B)により、前記押圧部材(A)と前記外装材とを貫通させて建造物外壁に固定する工程;
を実施した後、
(3a)前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させる工程;及び
(3b)押圧平板部の保護端縁部側の押圧接触面と建造物外壁とヒサシ部との間に形成される端縁保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填した後、開口側に開口部シーリング材を充填する
を任意の順序で実施することを特徴とする、前記固定防水方法にも関する。
【0015】
本発明は、更に、建造物外壁の上方閉鎖型コーナー部の略垂直壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合連結部と前記閉鎖型コーナー部の略水平壁面との間に、シーリング材が充填可能な端縁保護空間を形成するように敷設されること;及び
前記端縁保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造にも関する。
【0016】
本発明は、更に、建造物外壁の上方閉鎖型コーナー部の略垂直壁面に位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物の外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水方法であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
を特徴とし、前記固定防水方法が
(1)前記押圧部材(A)を、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触させて保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合連結部と前記閉鎖型コーナー部の略水平壁面と間に、シーリング材が充填可能な端縁保護空間を形成するように敷設する工程;及び
(2)敷設された前記押圧部材(A)を、前記押圧部材(A)と建造物外壁との間に外装材を挟んで押圧した状態で、前記締結具(B)により、前記押圧部材(A)と前記外装材とを貫通させて建造物外壁に固定する工程;
を実施した後、
(3−1a)前記第1嵌合部と前記閉鎖型コーナー部の略水平壁面と間に、内部シーリング材を充填してから、前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより前記端縁保護空間を形成した後;あるいは
(3−1b)前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより前記端縁保護空間を形成させてから、端縁保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填した後、
(3−2)前記端縁保護空間の開口側に開口部シーリング材を充填する工程
を実施することを特徴とする、前記固定防水方法にも関する。
【0017】
本発明は、更に、建造物外壁の略垂直壁面に下方向きに位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水構造であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
前記押圧部材(A)は、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触して保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部を下方に越えて敷設されること;及び
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とが嵌合連結され、しかも前記押圧部材(A)が締結具により建造物外壁に固定された状態で、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合連結部と略垂直壁面との間に形成される連結部保護空間は、奥の方に充填される内部シーリング材と、開口側に充填される開口部シーリング材によって保護されること;
を特徴とする、前記固定防水構造にも関する。
【0018】
本発明は、更に、建造物外壁の略垂直壁面に下方向きに位置する外装材端縁部に対して、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材及び前記外装材端縁領域を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と
の組合せによって、外装材端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護する固定防水方法であって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結させること;
を特徴とし、前記固定防水方法が
(1)前記押圧部材(A)を、押圧接触面側で前記外装材に直接に接触させて保護対象の外装材端縁部に沿って、しかも、前記押圧部材(A)の保護端縁部が、保護対象の外装材端縁部を下方向に越えるように敷設する工程;及び
(2)敷設された前記押圧部材(A)を、前記押圧部材(A)と建造物外壁との間に外装材を挟んで押圧した状態で、前記締結具(B)により、前記押圧部材(A)と前記外装材とを貫通させて建造物外壁に固定する工程;
を実施した後、
(3)前記第1嵌合部と前記略垂直壁面との間に形成される連結部保護空間の奥の方に内部シーリング材を充填する工程;及び
(4)前記連結部保護空間の開口側に開口部シーリング材を充填する工程;
を実施し、
前記工程(3)の前、前記工程(3)と前記工程(4)との間、又は前記工程(4)の後に、
(5)前記保護部材(C)を前記押圧部材(A)に嵌合連結させることにより締結具保護空間を形成工程;
を実施することを特徴とする、前記固定防水方法にも関する。
【0019】
更にまた、本発明は、
(A)建造物外壁に敷設された外装材と直接に接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することのできる押圧部材と、
(B)前記押圧部材を貫通して、前記押圧部材によって外装材端縁領域を建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、
(C)前記押圧部材との嵌合連結が可能な保護部材と、
(D)内部シーリング材と、
(E)開口部シーリング材と
の組合せを含み、
建造物外壁に敷設される外装材の端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護するための固定防水具セットであって;
前記押圧部材(A)は、(イ)一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面であり、もう一方の反対側表面が固定作業面である押圧平板部、(ロ)前記固定作業面に設けた第1嵌合部、及び(ハ)前記固定作業面側から締結具を貫通させる平板領域を有すること;
前記保護部材(C)は、(イ)一方の端部に位置する第2嵌合部、(ロ)前記第2嵌合部の反対側の端部に位置するカバー部、及び(ハ)前記第2嵌合部と前記カバー部とを連結する連結部を有すること;
前記押圧部材(A)と前記保護部材(C)とは、前記締結具(B)が前記前記平板領域から露出した端部を前記保護部材(C)のカバー部によって覆うことができるように両者を嵌合連結可能であること;
特徴とする、固定防水具セットにも関する。
【0020】
本明細書において、上下の位置関係(例えば、「上方」又は「下方」)は、本発明の固定防水構造や固定防水具セットが建造物外壁に適用された場合の上下関係(重力方向)のみを示しており、それ以外の状態(例えば、固定防水具セットの搬送時又は組み立て前の状態)での位置関係を限定するものではない。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、外装材の端縁領域を、ネジやビスなどの締結具により、建造物の外壁本体に堅固に固定することができるだけでなく、外装材の端縁部から雨水などが侵入することを有効に防止することができる。また、外装材の端縁領域の固定に用いた締結具(例えば、ネジやビス)の利用によって生じる隙間からの雨漏も有効に防止することができる。
【0022】
更に、本発明による固定防水具セットは、防水処理用シーリング材を2回に分けて充填する操作が容易になる構造を有している。従って、外装材と直接に接触する内部シーリング材として外装材と親和性の高いシーリング材を使用することによって高密閉性を得ることが可能になると共に、内部シーリング材の外側に充填する開口部シーリング材として耐候性の高いシーリング材を用いることにより、高耐性を得ることができる。また、シーリング材の充填操作を2回に分けて実施することになり、充填ミスの点検が十分に実施される利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明で使用する押圧部材の端部領域部分の模式的斜視図である。
図2】本発明で使用する保護部材の端部領域部分の模式的斜視図である。
図3図1の押圧部材と図2の保護部材とを嵌合連結させた状態(端部領域部分)を示す模式的斜視図である。
図4】本発明で使用する別の態様の押圧部材(端部領域部分)及び保護部材(端部領域部分)の嵌合連結状態の組合せを分解した状態を示す模式的斜視図である。
図5】本発明で使用する更に別の態様の押圧部材(端部領域部分)及び保護部材(端部領域部分)の嵌合連結状態の組合せを分解した状態を示す模式的斜視図である。
図6】建造物の開放型コーナー部の垂直壁面に上方向に敷設された外装材端縁部に対して、本発明による固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図7図6と同様の外装材端縁部に対して、本発明による別の態様の固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図8】建造物の閉鎖型コーナー部の垂直壁面に上方向に敷設された外装材端縁部に対して、本発明による固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図9図8と同様の外装材端縁部に対して、本発明による別の態様の固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図10図8と同様の外装材端縁部に対して、本発明による更に別の態様の固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図11】建造物の開放型コーナー部の水平壁面に敷設された外装材端縁部に対して、本発明による固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図12図11と同様の外装材端縁部に対して、本発明による別の態様の固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図13図11と同様の外装材端縁部に対して、本発明による更に別の態様の固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図14図11と同様の外装材端縁部に対して、本発明による更に別の態様の固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図15】建造物の閉鎖型コーナー部の水平壁面に敷設された外装材端縁部に対して、本発明による固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図16】建造物の垂直壁面に下方向に敷設された外装材端縁部に対して、本発明による固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図17】建造物の閉鎖型コーナー部の垂直壁面に下方向に敷設された外装材端縁部に対して、本発明による固定防水構造を適用した場合を示す模式的断面図である。
図18】従来技術における防水構造を示す模式的断面図である。
【0024】
図1図18は、本発明及び従来技術の固定防水構造を説明することが主目的であるので、押圧部材、保護部材、内部シーリング材、開口部シーリング材、外装材(特に、防水シート)、及び建造物外壁の厚さを誇張して示しており、それらの相対比は正確なものではない。また、締結具などの大きさも誇張して示しており、押圧部材、保護部材、シーリング材や外装材(特に、防水シート)との大きさの相対比も正確なものではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔1〕本発明の適用対象
本発明による固定防水構造及び固定防水具セットは、建造物(例えば、ビル)、特にコンクリート建造物の外壁に設けた外装材(例えば、外壁材、屋根材、又は防水材)に適用することができる。また、外壁は、降雨水などと接触する外壁であり、例えば、屋外に露出する建造物外壁、屋上床面、ベランダ床面、又は屋上設備の外壁などを含む。
これらの外装材の端縁領域は、建造物の外壁に、ネジやビスなどの締結具で、堅固に固定させることが必要な場合がある。本発明による固定防水構造及び固定防水具セットは、ネジやビスなどの締結具を外装材自体に貫通させて外壁に固定させる方式の固定方法に適用するのに適している。このような場合には、外装材の端縁部への防水処理が必要になるだけではなく、締結具によって生じる外装材貫通孔などに対する防水処理が必要になる。
【0026】
外装材は種々の態様で建造物外壁に敷設されており、その端縁部は、種々の位置に存在する。例えば、図18(a)に示すように、水平外壁面(屋上床面)84Rの上に外装材(防水シート)81を水平に敷設し、端縁部82aが水平外壁面(屋上床面)84Rのコーナー部に露出する場合や、図18(b)に示すように、垂直外壁面(立設壁面)84Bの上に外装材(防水シート)81bを垂直に敷設し、端縁部82bが垂直外壁面(立設壁面)84Bと上方壁面84Cとのコーナー部に位置する場合などがある。
【0027】
本発明による固定防水構造及び固定防水具セットは、任意の位置の外装材端縁部に対して適用させることができる。最初に、図6図17を参照して、本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の位置を説明する。
本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の第1の位置は、上方開放型コーナー部の略垂直壁面に上向きに配置されている場合である。図6及び図7に示すように、外壁84の上部壁面84Uと立直壁面84Vとによって形成されるコーナー部84Kは、立直壁面84Vの上部に壁面が存在しないので、本明細書においては、このコーナー部84Kを上方開放型コーナー部と称する。また、立直壁面84Vは、図6及び図7に示すように正確に垂直方向(重力方向)に限定されるだけでなく、図7の矢印A及びBに示すように、垂直面から+45°又は−45°の範囲で傾斜していてもよく、本明細書においては、正確な垂直方向(重力方向)に加えて、±45°の範囲で傾斜する壁面を含めて略垂直壁面と称する。
【0028】
本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の第2の位置は、上方閉鎖型コーナー部の略垂直壁面に上向きに配置されている場合である。図8図10に示すように、天井外壁84Cの上部壁面84Uと立直外壁84Bの立直壁面84Vとによって形成されるコーナー部84Hは、立直壁面84Vの上部に上部壁面84Uが存在するので、本明細書においては、このコーナー部84Hを上方閉鎖型コーナー部と称する。また、立直壁面84Vは、図8図10に示すように正確に垂直方向(重力方向)に限定されるだけでなく、図6及び図7で説明したように、垂直面から+45°又は−45°の範囲で傾斜していてもよく、本明細書においては、正確な垂直方向(重力方向)に加えて、±45°の範囲で傾斜する壁面を含めて略垂直壁面と称する。
【0029】
本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の第3の位置は、開放型コーナー部の略水平壁面(略水平の床面:すなわち、下方に存在する略水平壁面の上に外装材を載置する場合)において、コーナー部の方向に配置されている場合である。図6及び図7に示したコーナー部84Kと同様に、図11図14に示すコーナー部84Kは、外壁84の上部水平壁面84Uと立直壁面84Vとによって形成され、上部水平壁面84Uの前方(外装材端面が向かう方向)に壁面が存在しないので、本明細書においては、このコーナー部84Kを開放型コーナー部と称する。また、上部壁面84Uは、図11及び図14に示すように正確に水平方向に限定されるだけでなく、図11の矢印C及びDに示すように、水平面から+45°又は−45°の範囲で傾斜していてもよく、本明細書においては、正確な水平方向に加えて、±45°の範囲で傾斜する壁面を含めて略水平壁面と称する。
【0030】
また、本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の第4の位置は、開放型コーナー部の略水平壁面(略水平の天井面:すなわち、上方に存在する略水平壁面の表面に外装材を下方向から上方向に向けて載置する場合)において、コーナー部の方向に配置されている場合である。この場合は、前記第3の位置の説明がそのまま当てはまるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の第5の位置は、閉鎖型コーナー部の略水平壁面(略水平の床面:すなわち、下方に存在する略水平壁面の上に外装材を上方側から下方向に向けて載置する場合)において、コーナー部の方向に配置されている場合である。図15に示すコーナー部84Hは、立直外壁84Bの立直壁面84Vと床84Cの水平床面84Fとによって形成され、防水シート(外装材)82を担持する水平床面84Fの前方に立直壁面84Vが存在するので、本明細書においては、このコーナー部84Hを閉鎖型コーナー部と称する。また、水平床面84Fは、図15に示すように正確に水平方向に限定されるだけでなく、図15の矢印E及びFに示すように、水平面から+45°又は−45°の範囲で傾斜していてもよく、本明細書においては、正確な水平方向に加えて、±45°の範囲で傾斜する壁面を含めて略水平壁面と称する。
【0032】
また、本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の第6の位置は、閉鎖型コーナー部の略水平壁面(略水平の天井面:すなわち、上方に存在する略水平壁面の表面に外装材を下方向から上方向に向けて載置する場合)において、コーナー部の方向に配置されている場合である。この場合は、前記第5の位置の説明がそのまま当てはまるので、詳細な説明は省略する。
【0033】
本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用が可能な外装材端縁部の第7の位置は、略垂直壁面に下方向きに配置されている場合である。図16及び図17に示すように、防水シート(外装材)82を担持する立直壁面84Vにおいて、外装材端縁部82の下方が開放型コーナー部84K(図16)であっても、閉鎖型コーナー部84H(図17)であっても、あるいは、外装材端縁部に近接するコーナー部が存在しない場合(図示せず)でも、本発明の固定防水構造及び固定防水具セットの適用方法に差異はないため、略垂直壁面に下方向きに配置されている場合を、一括して、第7の位置として説明する。なお、立直壁面84Vは、図16及び図17に示すように正確に垂直方向(重力方向)に限定されるだけでなく、図16の矢印G及びHに示すように、垂直面から+45°又は−45°の範囲で傾斜していてもよく、本明細書においては、正確な垂直方向(重力方向)に加えて、±45°の範囲で傾斜する壁面を含めて略垂直壁面と称する。
【0034】
本明細書においては、略垂直壁面と略水平壁面とが、それぞれ45°で傾斜する場合に重複することになるが、45°で傾斜する場合には、略垂直壁面との立場で本発明を適用しても、略水平壁面との立場で本発明を適用してもよい。
【0035】
〔2〕固定防水具セット
次に、図1図5に沿って、本発明の固定防水具セットの具体的実施態様を説明する。
図1は、本発明の固定防水構造及び固定防水方法に使用することのできる押圧部材1の代表的態様の端部領域の模式的部分斜視図であり、図2は、図1の押圧部材1と組合せて使用することのできる保護部材3の代表的態様の端部領域の模式的部分斜視図である。図3は、図1の押圧部材1と図2の保護部材3と組合せて嵌合連結させた状態の模式的部分斜視図である。
【0036】
本発明による固定防水具セットは、建造物外壁に敷設される外装材の端縁領域を前記建造物外壁に固定すると共に、外装材端縁部を雨漏的露出から保護するために使用することができる。ここで、雨漏的露出から保護するとは、外装材端縁部から、雨水などが侵入して建造物の雨漏の原因となることを防止する意味である。本発明による固定防水具セットは、(A)押圧部材と、(B)前記押圧部材と外装材端縁領域と建造物外壁に押圧固定することのできる締結具と、(C)保護部材と、(D)内部シーリング材と、(E)開口部シーリング材との組合せを含む。なお、後述する通り、内部シーリング材としては、それが接触する被保護材料(すなわち、保護対象の外装材端縁部又は締結具など)と親和性を有するシーリング材を用いることが好ましく、開口部シーリング材としては、耐候性を有するシーリング材を用いることが好ましい。
【0037】
図1図3に示すように、前記押圧部材1は、押圧平板部11を主要部として含み、押圧平板部11は、一方の表面が前記外装材に直接に接触する押圧接触面25であり、もう一方の反対側表面が固定作業面27である。押圧接触面25は、その全表面が、建造物外壁に敷設された外装材と直接に(すなわち、接着剤やシーリング材などを間に介在させずに)接触して外装材端縁領域を建造物外壁に押圧することができるように、外装材端縁領域の形状に沿って形成され、外装材端縁領域の形状が一般的には平坦面であるので、押圧接触面25も一般的には平坦面である。押圧接触面25の反対側表面は、固定作業面27であり、一方の端部に、第1嵌合部13を有し、第1嵌合部13の他の領域として平板領域15を含む。前記押圧部材1は、図1に破線で示すように、押圧平板部11の一方の端部(保護端縁)にヒサシ部19を備えることができる。
【0038】
平板領域15には、予め、締結具用貫通孔17を備えることができる。締結具用貫通孔17は、締結具18による固定操作の際に形成することもできる。締結具18は、例えば、ネジやビスであり、その先端部18Tが、この締結具用貫通孔17を貫通し、更に外装材を貫通して外装材本体に至って固定され、先端部18Tとキャップ部18Cとの間に前記押圧部材1と外装材(例えば、防水シート)と挟むことにより、外装材(例えば、防水シート)を建造物外壁に押圧固定することができる。締結具18は、種々の公知の締結補助具(例えば、ナットやワッシャー)と共に用いることができる。第1嵌合部13は、相互に平行に延びる第1帯状平板部22と、第2帯状平板部24との間に形成された嵌合溝23からなり、図2で後述する保護部材3が備える第2嵌合部32と組合せて、図3に示すように、相互に嵌合連結させることができる。
【0039】
前記の嵌合溝23を形成する第1帯状平板部22及び第2帯状平板部24は、固定作業面27から直立する高さを同じにすることもできるし、図1に示すように、保護端縁21の側の第1帯状平板部22を低くしたり、高くしたりすることもできる。また、第1嵌合部13を設ける位置も限定されず、図1に示すように、保護端縁21に接して設けることもでき、あるいは、保護端縁21から若干離間させて設けることもできる。更には、保護端縁21とは反対の端部側に設けることもできる。
【0040】
保護部材3は、一方の端部に第2嵌合部31を備え、その第2嵌合部の反対側の端部にカバー部33を有し、更に、前記第2嵌合部と前記カバー部との間に両者を連結する連結部35を有する。第2嵌合部31は、平板状であり、その先端部32を嵌合溝23に挿入して、図3に示すように嵌合連結させることができる。前記押圧部材1と前記保護部材3との嵌合連結は、前記締結具18が前記貫通孔から露出した端部(キャップ部18C)を前記保護部材3のカバー部33によって覆い、締結具保護空間9を形成することができるように両者を嵌合連結する必要がある。図3に示す保護部材3の連結部35は、直角屈曲連結部であり、カバー部33は平板状カバー部であり、嵌合連結状態において、平板状カバー部33は、押圧部材1の押圧平板部11と平行になる。屈曲連結部は、直角屈曲連結部だけでなく、鋭角又は鈍角の屈曲連結部(図11参照)であることもできる。また、屈曲の回数も1回に限定されず、2回ないしそれ以上の屈曲も可能である(図9参照)。また、カバー部の先端には、嵌合連結された際に、押圧部材側に突出する帯状突出部(図11図15参照)を設けることもできる。
【0041】
図4は、本発明の固定防水構造及び固定防水方法に使用することのできる別の代表的態様の押圧部材1Aの端部領域と別の代表的態様の保護部材3Aの端部領域との組合せの模式的部分斜視図である。図4に示す態様においては、図1図3に示す態様と異なる部分についてのみ説明し、同じ部分については、同一の参照番号を付し、説明を省略する。
図4に示す態様において、押圧部材1Aは、第1嵌合部として、挿入板部13Aを有し、一方、保護部材3Aは、相互に平行に延びる第1帯状平板部と第2帯状平板部との間に形成された嵌合溝36Aからなる第2嵌合部31Aを備え、嵌合溝36Aに挿入板部13Aを挿入して嵌合連結させることができる。また、押圧部材1Aと保護部材3Aとを締結具(例えば、ビスやネジ)37Aによって一層堅固に固定することもできる。
【0042】
なお、図4に示す態様の締結具37Aを操作する作業スペースが存在しない場合や、その操作作業がスペース的に困難な場合には、例えば、図5に示す態様の押圧部材1Bと保護部材3Bとの組合せを使用することもできる。図5に示す態様においても、図1図4に示す態様と異なる部分についてのみ説明し、同じ部分については、同一の参照番号を付し、説明を省略する。
図5に示す態様においては、押圧部材1Bは、第1嵌合部として挿入板部13Bを有し、一方、保護部材3Bは、嵌合溝36Bを含む第2嵌合部31Bを備え、嵌合溝36Bに挿入板部13Bを挿入して嵌合連結させることができる。また、図4に示す態様とは別の方向から締結具(例えば、ビスやネジ)37Bの固定操作を実施して、押圧部材1Bと保護部材3Bとを一層堅固に固定することもできる。
【0043】
押圧部材の別の態様としては、図6図16、及び図17に示すように、押圧平板部11C,11Hから突出する高さが同じ第1帯状平板部22C,22Hと第2帯状平板部24C,24Hとを備えた(ヒサシ部を有していない)押圧部材1C,1Hを使用することができる。更に、図7及び図12に示すように、押圧平板部11Dから突出する高さが同じ第1帯状平板部22Dと第2帯状平板部24Dとを備えると共に、保護端縁21Dにヒサシ部19Dを備えた押圧部材1Dを使用することができる。また、図13に示すように、押圧平板部11Eから突出する高さが同じ第1帯状平板部22Eと第2帯状平板部24Eとからなる第1嵌合部13Eを、保護端縁21Eとは反対側の端部に設けた押圧部材1Eを使用することもできる。更にまた、図14に示すように、押圧平板部11Fから突出する高さが同じ第1帯状平板部22Fと第2帯状平板部24Fとからなる第1嵌合部13Fを、保護端縁21Fとは反対側の端部に設けると共に、保護端縁21Fにヒサシ部19Fを備えた押圧部材1Fを使用することもできる。更に、図15に示すように、押圧平板部11Gから突出する高さが同じ第1帯状平板部22Gと第2帯状平板部24Gとからなる第1嵌合部13Gを、保護端縁21Gから離間して設けた押圧部材1Gを使用することもできる。
なお、押圧部材1C〜1の説明において、図1で説明した部分に相当する部分については、図1で付した参照番号の後ろに、それぞれ「C」〜「」を付して説明するが、押圧部材1C〜1を示す図面においては、煩雑さを避けるため、それらの部分の指示を省略することがある。
【0044】
保護部材の別の態様としては、図9図15に示す保護部材3C〜3Fを用いることができ、それらの構造は後述する。なお、保護部材3C〜3Fの説明において、図1で説明した部分に相当する部分については、図1で付した参照番号の後ろに、それぞれ「C」〜「F」を付して説明するが、保護部材1C〜1Fを示す図面においては、煩雑さを避けるため、それらの部分の指示を省略することがある。
各種の態様の押圧部材と、各種の態様の保護部材とは、それらが嵌合連結可能である限り、種々に組合せて用いることができる。
【0045】
〔3〕第1の外装材端縁部位置への適用
本発明による固定防水構造及び固定防水具セットを、第1の外装材端縁部位置(すなわち、外装材端縁部が、上方開放型コーナー部の略垂直壁面に上向きに配置されている場合)へ適用する具体的態様について、図6及び図7に沿って説明する。図6及び図7に示す上方開放型コーナー部84Kでは、防水シート81の端縁部82が立直壁面84Vの上端に上向きに位置するように、防水シート81が敷設されている。
図6に具体的に示す固定防水構造は、押圧平板部から突出する高さが同じ第1帯状平板部と第2帯状平板部とを備えた押圧部材1Cと、図2に示す保護部材3との組合せを用いて形成することができる。
具体的工程は、最初に、押圧部材1の押圧平板部11を、押圧接触面25で防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際、押圧部材1の保護端縁21が、防水シート81の端縁部82を上方方向に越え、更に、上方開放型コーナー部84Kも上方方向に越えるように押し当てると、押圧平板部11の押圧接触面25と、外壁84の上部壁面84Uとの間に端縁保護空間6が形成される。
【0046】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11の固定作業面27の側から、締結具用貫通孔17に締結具18を通し、更に、防水シート81及び外壁84に穴を開けて、押圧部材1と、防水シート81とを外壁84に堅固に固定すると、締結具18のキャップ部18Cだけが固定作業面27から露出した状態になる。
【0047】
続いて、保護部材3の第2嵌合部31の先端部32を、第1嵌合部13の嵌合溝23に挿入して、保護部材3を押圧部材1に嵌合連結させることにより、保護部材3のカバー部33によって、連結具保護空間9を形成して、締結具18のキャップ部18Cからの雨漏を防止することができる。すなわち、保護部材3のカバー部33が、締結具18のキャップ部18Cを覆い、雨水などが締結具18のキャップ部18Cにかからないようにする。従って、保護部材3のカバー部33の長さは、押圧部材1に嵌合連結させた状態で、締結具18のキャップ部18Cを雨漏から保護することのできる長さであることが必要である。
【0048】
一方、防水シート81の端縁部82は、前記端縁保護空間6に、内部シーリング材4と、開口部シーリング材5とを充填することにより、雨漏的露出から保護することができる。前記端縁保護空間6の奥には、最初に内部シーリング材4を充填し、続いて、内部シーリング材4の上から、開口部シーリング材5を充填する。内部シーリング材4としては、防水シート81と親和性の高い材料を選択して、高い密着性及び高い密封性を得るのが好ましい。しかしながら、内部シーリング材4は、外気に直接に触れることはないので、高耐候性の材料を選択する必要はない。一方、開口部シーリング材5は、外気に直接に触れるので、高耐候性の材料を選択するのが好ましい。しかしながら、開口部シーリング材5は、防水シート81の端縁部82とは直接に接触しないので、防水シート81との親和性を考慮する必要はない。
前記端縁保護空間6の前記充填工程は、保護部材3を嵌合連結させる工程の前に実施してもよく、嵌合連結工程の後に実施してもよい。
【0049】
図7に示す固定防水構造は、押圧平板部11Dから突出する高さが同じ第1帯状平板部22Dと第2帯状平板部24Dとを備えると共に、保護端縁21Dにヒサシ部19Dを備えた押圧部材1Dを使用して形成することができる。具体的には、最初に、押圧部材1の押圧平板部11を、押圧接触面25で防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際、ヒサシ部19の内側表面(下方向の内側表面)と、外壁84の上部壁面84Uとの間に、シーリング材を充填可能な端縁保護空間6Aを形成させるように、押し当てる。
【0050】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11の固定作業面27の側から、締結具用貫通孔17に締結具18を通し、前記と同様に、押圧部材1と防水シート81とを外壁84に堅固に固定し、締結具18のキャップ部18Cだけを固定作業面27から露出させる。続いて、保護部材3の第2嵌合部31の先端部32を、第1嵌合部13の嵌合溝23に挿入して、保護部材3を押圧部材1に嵌合連結させることにより、保護部材3のカバー部33によって、締結具保護空間9が形成され、締結具18のキャップ部18Cからの雨漏を防止することができる。
【0051】
一方、端縁保護空間6には、内部シーリング材4と、開口部シーリング材5とを充填することにより、防水シート81の端縁部82を雨漏的露出から保護することができる。前記端縁保護空間6の奥には、最初に内部シーリング材4を充填し、続いて、内部シーリング材4の上から、開口部シーリング材5を充填する。内部シーリング材4としては、防水シート81と親和性の高い材料を選択して、高い密着性及び高い密封性を得るのが好ましく、開口部シーリング材5としては、高耐候性の材料を選択するのが好ましい。前記端縁保護空間6の前記充填工程は、保護部材3の嵌合連結工程前に実施してもよく、嵌合連結工程後に実施してもよい。
【0052】
〔4〕第2の外装材端縁部位置への適用
本発明による固定防水構造及び固定防水具セットを、第2の外装材端縁部位置(すなわち、外装材端縁部が、上方閉鎖型コーナー部の略垂直壁面に上向きに配置されている場合)へ適用する具体的態様について、図8図10に沿って説明する。図8図10に示す上方閉鎖型コーナー部84Hでは、防水シート81の端縁部82が立直壁面84Vの上端に位置し、しかも、天井外壁84Cの上部壁面84Uとほぼ接するように、防水シート81が敷設されている。
【0053】
図8に示す固定防水構造は、例えば、図1図3に示す押圧部材1と保護部材3との組合せを用いて形成することができる。
具体的工程は、最初に、押圧部材1の押圧平板部11を、押圧接触面25で防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際、押圧部材1の保護端縁21に設けた第1嵌合部13の第1帯状平板部22と、天井外壁84Cの上部壁面84Uとの間に、内部シーリング材4を充填可能な容積を有する端縁保護内部空間41が形成されるようにする。この端縁保護内部空間41は、端縁保護空間6の奥側の一部に相当する。前記端縁保護内部空間41は、内部シーリング材4を充填可能な容積を有していればよく、防水シート81の端縁部82が、天井外壁84Cの上部壁面84Uと接近している場合は、押圧部材1の保護端縁21から露出していてもよい。逆に、防水シート81の端縁部82が、天井外壁84Cの上部壁面84Uから離間している場合は、防水シート81の端縁部82を上方方向に越えて、押圧部材1の保護端縁21を押圧してもよい。
【0054】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11の固定作業面27の側から、締結具用貫通孔17に締結具18を通し、前記と同様に、押圧部材1と防水シート81とを立設壁面84Bに堅固に固定し、締結具18のキャップ部18Cだけを固定作業面27から露出させる。続いて、押圧部材1の保護端縁21に設けた第1嵌合部13の第1帯状平板部22と、天井外壁84Cの上部壁面84Uとの間に形成された端縁保護内部空間41Bに、内部シーリング材4を充填する。この充填操作の段階では、充填空間が形成されており、しかも保護部材3の嵌合連結操作前に実施するので、操作スペースが比較的広く開いており、充填操作を比較的容易に実施することができる。
【0055】
続いて、保護部材3の第2嵌合部31の先端部32を、第1嵌合部13の嵌合溝23に挿入して、保護部材3を押圧部材1に嵌合連結させることにより、保護部材3のカバー部33によって、締結具保護空間9が形成され、締結具18のキャップ部18Cからの雨漏を防止することができる。同時に、保護部材3の第2嵌合部31の上面と、天井外壁84Cの上部壁面84Uとの間に、端縁保護開口部空間51が形成される。端縁保護開口部空間51は、端縁保護空間6の開口側の一部に相当する。この端縁保護開口部空間51に、開口部シーリング材5を充填する。
なお、内部シーリング材4の充填操作を実施する前に、保護部材3の嵌合連結操作を実施し、続いて、端縁保護内部空間41に内部シーリング材4を充填し、続いて端縁保護開口部空間51に開口部シーリング材5を充填することもできる。
【0056】
図1に示す押圧部材1と組合せて使用可能な保護部材の別の態様を用いて形成した固定防水構造を図9及び図10に示す。図9及び図10に示す態様においては、図8に示す態様と異なる部分についてのみ説明し、同じ部分については、同一の参照番号を付し、説明を省略する。
図9に示す保護部材3Cは、第2嵌合部31とは反対側端部に平板状カバー部33Cを備え、第2嵌合部31と平板状カバー部33Cとの間に、2段屈曲連結部35Cを有する。2段屈曲連結部35Cにより、端縁保護開口部空間51の開口部が広くなり、開口部シーリング材5の充填操作が一層容易になる。
【0057】
図10に示す保護部材3Dは、第2嵌合部31とは反対側端部に湾曲カバー部33Dを備え、第2嵌合部31と湾曲カバー部33Dとの間に、1段屈曲連結部35Dを有する。湾曲カバー部33Dにより、締結具保護空間9の開口部が狭くなり、下方向から跳ね上がった雨水が、締結具保護空間9に侵入する可能性を減少させることができる。
【0058】
〔5〕第3の外装材端縁部位置への適用
本発明による固定防水構造及び固定防水具セットを、第3の外装材端縁部位置へ適用する具体的態様について、図11図14に沿って説明する。第3の外装材端縁部位置とは、開放型コーナー部の略水平壁面(略水平の床面:すなわち、下方に存在する略水平壁面の上に外装材を載置する場合)において、外装材端縁部が、コーナー部の方向に配置されている場合である。図11図14に示す開放型コーナー部84Kでは、防水シート81の端縁部82が、上部壁面84Uにおいて、開放型コーナー部84Kの方向に位置するように、防水シート81が敷設されている。
【0059】
図11に示す固定防水構造の製造方法では、図1に示す押圧部材1と、鋭角屈曲連結部35Eを有すると共にカバー部33の先端に帯状突出部38Eを備える保護部材3Eとの組合せを用いる。
最初に、押圧部材1の押圧平板部11を、押圧接触面25で防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際、押圧部材1の保護端縁21が、防水シート81の端縁部82を越え、更に、開放型コーナー部84Kも越えるように押し当てると、押圧平板部11の押圧接触面25と、外壁84の立直壁面84Vとの間に端縁保護空間6が形成される。
【0060】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11の固定作業面27の側から、締結具用貫通孔17に締結具18を通し、更に、防水シート81及び外壁84に穴を開けて、押圧部材1と、防水シート81とを外壁84に堅固に固定すると、締結具18のキャップ部18Cだけが固定作業面27の平板領域から露出した状態になる。
【0061】
前記締結具18のキャップ部18Cが前記平板領域から露出した端部について、
(a)前記キャップ部18Cが露出した部分を内部シーリング材7で被覆してから、保護部材3Eを前記押圧部材1に嵌合連結させることにより押圧平板部11の固定作業面とカバー部33Eの内側表面との間に締結具保護空間9を形成するか、あるいは
(b)保護部材3Eを前記押圧部材1に嵌合連結させることにより押圧平板部11の固定作業面とカバー部33Eの内側表面との間に締結具保護空間9を形成させてから、その締結具保護空間9の奥の方に内部シーリング材7を充填する。
前記工程(a)又は(b)の後に、前記締結具保護空間9の開口側に開口部シーリング材8を充填する。なお、前記カバー部33は、鋭角屈曲連結部35Eから開口部端部に向かって空間を狭くするように傾斜しており、しかも先端に帯状突出部38Eを備えるので、締結具保護空間9の開口面積が小さくなり、開口部シーリング材を外部環境から保護することができる。
【0062】
一方、前記端縁保護空間6については、奥の方に内部シーリング材4を充填した後、開口側に開口部シーリング材5を充填する。前記締結具保護空間9へのシーリング材充填工程と、前記端縁保護空間6へのシーリング材充填工程との実施順序は、適宜相互に入れ替えて実施することができる。例えば、それぞれの内部シーリング材の充填工程を実施した後に、それぞれの開口部シーリング材の充填工程を実施することもできる。
【0063】
図12に示す固定防水構造の製造方法では、図7で説明したヒサシ部19Dを有する押圧部材1Dと、直角屈曲連結部35Fを有すると共にカバー部33の先端に帯状突出部38Fを備える保護部材3Fとの組合せを用いる。
【0064】
最初に、押圧部材1Dの押圧平板部11Dを、押圧接触面25Dで防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際に、ヒサシ部19Dの内側表面と、開放型コーナー部84Kの立直壁面84Vとの間に、端縁保護空間6を形成させるように、押し当てる。こうして、防水シート81の端縁部82は、雨漏的露出から保護される。
【0065】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11Dの固定作業面27Dの側から、締結具用貫通孔17に締結具18を通し、更に、防水シート81及び外壁84に穴を開けて、押圧部材1Dと、防水シート81とを外壁84に堅固に固定すると、締結具18のキャップ部18Cだけが固定作業面27Dの平板領域から露出した状態になる。
【0066】
前記締結具18のキャップ部18Cが前記平板領域から露出した端部について、
(a)前記キャップ部18Cが露出した部分を内部シーリング材7で被覆してから、保護部材3Fを前記押圧部材1Dに嵌合連結させることにより押圧平板部11Dの固定作業面とカバー部33Fの内側表面との間に締結具保護空間9を形成するか、あるいは
(b)保護部材3Fを前記押圧部材1Dに嵌合連結させることにより押圧平板部11Dの固定作業面とカバー部33Fの内側表面との間に締結具保護空間9を形成させてから、その締結具保護空間9の奥の方に内部シーリング材7を充填する。
前記工程(a)又は(b)の後に、前記締結具保護空間9の開口側に開口部シーリング材8を充填する。なお、前記カバー部33Fの先端に帯状突出部38Fを備えるので、締結具保護空間9の開口面積が小さくなり、開口部シーリング材を外部環境から保護することができる。
【0067】
図13に示す固定防水構造の製造方法では、押圧平板部から突出する高さが同じ第1帯状平板部と第2帯状平板部とからなる第1嵌合部を、保護端縁とは反対側の端部に設けた押圧部材1Eと、図12で説明した保護部材3Fとの組合せを用いる。
最初に、押圧部材1Eの押圧平板部11Eを、押圧接触面25Eで防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際、押圧部材1Eの保護端縁21Eが、防水シート81の端縁部82を越え、更に、開放型コーナー部84Kも越えるように押し当てると、押圧平板部11Eの押圧接触面25Eと、外壁84の立直壁面84Vとの間に端縁保護空間6が形成される。
【0068】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11E固定作業面27E側から、締結具用貫通孔17に締結具18を通し、更に、防水シート81及び外壁84に穴を開けて、押圧部材1E、防水シート81とを外壁84に堅固に固定すると、締結具18のキャップ部18Cだけが固定作業面27E平板領域から露出した状態になる。
【0069】
前記締結具18のキャップ部18Cが前記平板領域から露出した端部について、
(a)前記キャップ部18Cが露出した部分を内部シーリング材7で被覆してから、保護部材3Fを前記押圧部材1Eに嵌合連結させることにより押圧平板部11Eの固定作業面とカバー部33Fの内側表面との間に締結具保護空間9を形成するか、あるいは
(b)保護部材3Fを前記押圧部材1Eに嵌合連結させることにより押圧平板部11Eの固定作業面とカバー部33Fの内側表面との間に締結具保護空間9を形成させてから、その締結具保護空間9の奥の方に内部シーリング材7を充填する。
前記工程(a)又は(b)の後に、前記締結具保護空間9の開口側に開口部シーリング材8を充填する。なお、前記カバー部33Fの先端に帯状突出部38Fを備えるので、締結具保護空間9の開口面積が小さくなり、開口部シーリング材を外部環境から保護することができる。
【0070】
一方、前記端縁保護空間6については、奥の方に内部シーリング材4を充填した後、開口側に開口部シーリング材5を充填する。前記締結具保護空間9へのシーリング材充填工程と、前記端縁保護空間6へのシーリング材充填工程と順序は、適宜相互に入れ替えて実施することができる。例えば、それぞれの内部シーリング材の充填工程を実施した後に、それぞれの開口部シーリング材の充填工程を実施することもできる。
【0071】
図14に示す固定防水構造の製造方法では、押圧平板部11Fから突出する高さが同じ第1帯状平板部22Fと第2帯状平板部24Fとからなる第1嵌合部13Fを、保護端縁21Fとは反対側の端部に設けると共に、保護端縁21Fにヒサシ部19Fを備えた押圧部材1Fと、図12で説明した保護部材3Fとの組合せを用いる。
【0072】
最初に、押圧部材1Fの押圧平板部11Fを、押圧接触面25Fで防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際に、ヒサシ部19Fの内側表面と、開放型コーナー部84Kの立直壁面84Vとの間に、端縁保護空間6を形成させるように、押し当てる。こうして、防水シート81の端縁部82は、雨漏的露出から保護される。
【0073】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11Fの固定作業面27Fの側から、締結具用貫通孔17に締結具18を通し、更に、防水シート81及び外壁84に穴を開けて、押圧部材1Fと、防水シート81とを外壁84に堅固に固定すると、締結具18のキャップ部18Cだけが固定作業面27Fの平板領域から露出した状態になる。
【0074】
前記締結具18のキャップ部18Cが前記平板領域から露出した端部について、
(a)前記先端部18Tが露出した部分を内部シーリング材7で被覆してから、保護部材3Fを前記押圧部材1Fに嵌合連結させることにより押圧平板部11Fの固定作業面とカバー部33Fの内側表面との間に締結具保護空間9を形成するか、あるいは
(b)保護部材3Fを前記押圧部材1Fに嵌合連結させることにより押圧平板部11Fの固定作業面とカバー部33Fの内側表面との間に締結具保護空間9を形成させてから、その締結具保護空間9の奥の方に内部シーリング材7を充填する。
前記工程(a)又は(b)の後に、前記締結具保護空間9の開口側に開口部シーリング材8を充填する。なお、前記カバー部33Fの先端に帯状突出部38Fを備えるので、締結具保護空間9の開口面積が小さくなり、開口部シーリング材を外部環境から保護することができる。
【0075】
なお、第4の外装材端縁部位置へ適用する具体的態様については、前記の説明から当業者には、具体的適用方法は明らかであると考える。ちなみに、ヒサシ部を有する押圧部材を用いて端縁保護空間を形成する場合は、開口部が上方を向くので、内部シーリング材及び開口部シーリング材を充填するする必要がある。
【0076】
〔6〕第5の外装材端縁部位置への適用
本発明による固定防水構造及び固定防水具セットを、第5の外装材端縁部位置へ適用する具体的態様について、図15に沿って説明する。第5の外装材端縁部位置とは、閉鎖型コーナー部の略水平壁面(略水平の床面:すなわち、下方に存在する略水平壁面)の上に外装材を上方側から下方向に向けて載置し、外装材端縁部を立直壁面に近接して敷設する場合である。図15に示す閉鎖型コーナー部84Hでは、防水シート81の端縁部82が立直壁面84Vの下端とほぼ接するように、防水シート81が敷設されている。
【0077】
図15に示す固定防水構造は、押圧平板部から突出する高さが同じ第1帯状平板部と第2帯状平板部とからなる第1嵌合部を、保護端縁から離間しているが保護端縁側に設けた押圧部材1Gと、図12で説明した保護部材3Fとの組合せを用いる。
具体的工程は、最初に、押圧部材1Gの押圧平板部11Gを、押圧接触面25Gで防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際、押圧部材1Gの保護端縁21Gから若干離間して設けた第1嵌合部13Gの第1帯状平板部22Gと、立直壁面84Vとの間に、内部シーリング材4を充填可能な容積を有する端縁保護内部空間41が形成されるようにする。この端縁保護内部空間41は、端縁保護空間6の奥側の一部に相当する。前記端縁保護内部空間41は、内部シーリング材4を充填可能な容積を有していればよく、防水シート81の端縁部82が、立直壁面84Vと接近している場合は、押圧部材1Gの保護端縁21Gから露出していてもよい。逆に、防水シート81の端縁部82が、立直壁面84Vから離間している場合は、防水シート81の端縁部82を立直壁面84Vの方向に越えて、押圧部材1Gの保護端縁21Gを押圧してもよい。
【0078】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11Gの固定作業面27Gの側から、締結具用貫通孔17Gに締結具18を通し、前記と同様に、押圧部材1Gと防水シート81とを水平床面84Fに堅固に固定し、締結具18のキャップ部18Cだけを固定作業面27Gから露出させる。続いて、押圧部材1Gの保護端縁21Gに設けた第1嵌合部13Gの第1帯状平板部22Gと、立直壁面84Vとの間に形成された端縁保護内部空間41に、内部シーリング材4を充填する。この充填操作の段階では、充填空間が形成されており、しかも保護部材3Fの嵌合連結操作前に実施するので、操作スペースが比較的広く開いており、充填操作を比較的容易に実施することができる。
【0079】
続いて、保護部材3Fの第2嵌合部31Fの先端部32Fを、第1嵌合部13Gの嵌合溝23Gに挿入して、保護部材3Fを押圧部材1Gに嵌合連結させることにより、保護部材3Fのカバー部33Fによって、締結具保護空間9が形成される。同時に、保護部材3Fの第2嵌合部31と、立直壁面84Vとの間に、端縁保護開口部空間51が形成される。端縁保護開口部空間51は、端縁保護空間6の開口側の一部に相当する。この端縁保護開口部空間51に、開口部シーリング材5を充填する。
なお、内部シーリング材4の充填操作を実施する前に、保護部材3Fの嵌合連結操作を実施し、続いて、端縁保護内部空間41に内部シーリング材4を充填し、続いて端縁保護開口部空間51に開口部シーリング材5を充填することもできる。
【0080】
前記締結具保護空間9については、その奥の方に内部シーリング材7を充填し、続いて、開口側に開口部シーリング材8を充填する。なお、前記カバー部33Fの先端に帯状突出部38Fを備えるので、締結具保護空間9の開口面積が小さくなり、開口部シーリング材を外部環境から保護することができる。
【0081】
なお、第6の外装材端縁部位置へ適用する具体的態様については、前記の説明から当業者には、具体的適用方法は明らかであると考える。
【0082】
〔7〕第7の外装材端縁部位置への適用
本発明による固定防水構造及び固定防水具セットを、第7の外装材端縁部位置(すなわち、外装材端縁部が、略垂直壁面に下方向きに配置されている場合)へ適用する具体的態様について、図16及び図17に沿って説明する。
図16及び図17に示す固定防水構造の製造方法では、押圧平板部11Hから突出する高さが同じ第1帯状平板部22Hと第2帯状平板部24Hとを含む第1嵌合部13Hを保護端縁21Hとは反対側に有する押圧部材1Hと、図2に示す保護部材3との組合せを用いて形成することができる。
【0083】
具体的工程は、最初に、押圧部材1Hの押圧平板部11Hを、押圧接触面25Hで防水シート81に直接に接触させて押し当てる。その際、押圧部材1Hの保護端縁21Hが、防水シート81の端縁部82を下方方向に越えるように押し当てる。こうして、防水シート81の端縁部82は、雨漏的露出から保護される。
また、保護端縁21Hの反対側の端部に設けた第1帯状平板部と、立直壁面84Vとによって連結具保護空間91が形成される。
【0084】
次に、この押圧接触状態で、押圧平板部11Hの固定作業面27Hの側から、締結具用貫通孔17Hに締結具18を通し、押圧部材1Hと防水シート81とを立直壁面84Vに堅固に固定し、締結具18のキャップ部18Cだけを固定作業面27Hから露出させる。続いて、連結具保護空間91については、その奥の方に内部シーリング材92を充填し、その後で、前記連結部保護空間91の開口側に開口部シーリング材93を充填する。
【0085】
また、前記保護部材3を前記押圧部材1Hに嵌合連結させることにより締結具保護空間9を形成する。なお、この嵌合連結工程は、前記内部シーリング材の充填工程の前、前記内部シーリング材の充填工程と前記開口部シーリング材充填工程との間、又は前記開口部シーリング材充填工程の後に実施することができる。
【0086】
前記の図6図17においては、特定の外装材端縁部位置に対して特定の押圧部材及び特定の保護部材を用いる例を説明したが、各外装材端縁部位置に対して適宜別の態様の押圧部材及び特定の保護部材を用いることができることは、当業者には自明である。
【符号の説明】
【0087】
1, 1A, 1B, 1C, 1D, 1E, 1F, 1G・・・押圧部材;
3, 3A, 3B, 3C, 3D, 3E, 3F・・・保護部材;
4, 4A, 4B・・・内部シーリング材;5, 5A, 5B・・・開口部シーリング材;
6・・・端縁保護空間;7・・・内部シーリング材;8・・・開口部シーリング材;
9・・・締結具保護空間;11, 11D・・・押圧平板部;13・・・第1嵌合部;
13A, 13B・・・挿入板部;15・・・平板領域;17・・・締結具用貫通孔;
18・・・締結具;18C・・・キャップ部;18T・・・先端部;
19, 19D, 19F・・・ヒサシ部;21・・・押圧部材の保護端縁;
22・・・第1帯状平板部;23・・・嵌合溝;24・・・第2帯状平板部;
25・・・押圧接触面;
27, 27D, 27E, 27F, 27G, 27H・・・固定作業面;
31, 31A・・・第2嵌合部;32・・・先端部;
33, 33D, 33E, 33F・・・カバー部;
35, 35C, 35D, 35E, 35F・・・連結部;
36A, 36B・・・嵌合溝;37A・・・締結具;38E, 38F・・・帯状突出部;
41B・・・端縁保護内部空間;
81, 81a, 81b・・・防水シート;
82, 82a,82b・・・防水シートの端縁部;
83, 83a, 83b・・・L字金具;83A・・・L字金具の短辺部;
84・・・水平外壁面;84A・・・屋上床面;84B・・・壁面;84C・・・上方壁面;
84F・・・水平床面;84K・・・上方開放型コーナー部;
84H・・・閉鎖型コーナー部;84R・・・屋上の水平床面;
84U・・・外壁の上部壁面;84V・・・立直壁面;85a, 85b・・・ネジ;
87・・・雨水;88・・・防水シーリング材; 89・・・隙間;
91・・・連結具保護空間;92・・・内部シーリング材;
93・・・開口部シーリング材;
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18