(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配置決定ステップは、色相に基づいて前記画像のX軸方向の配置を決定すると共に、輝度および彩度に基づいて前記画像のY軸方向の配置を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像配置方法。
前記Y軸は、所定の彩度以上の画像が輝度にしたがって配置される第1の半円弧軸と、前記所定の彩度未満の画像が輝度にしたがって配置される第2の半円弧軸と、から成るループ状の無端軸であり、前記第1の半円弧軸と前記第2の半円弧軸は、各軸上の輝度の最大値同士および最小値同士がつながって1つの円弧となるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像配置方法。
前記表示制御ステップは、前記各画像の読み込みが完了していない状態で、ユーザーの選択操作により、任意の画像が選択された場合、当該任意の画像から画像の読み込みを開始することを特徴とする請求項8に記載のブラウズ方法。
前記表示制御ステップは、ユーザーによるフィルタリング条件の入力により、前記座標空間に表示する画像数が減少する場合、減少前の画像レイアウトを保持したまま、前記フィルタリング条件に該当する画像のみを表示させることを特徴とする請求項8に記載のブラウズ方法。
前記表示制御ステップは、ユーザーによるフィルタリング条件の入力により、前記座標空間に表示する画像数が減少する場合、前記フィルタリング条件に該当する画像のみを対象として前記配置決定ステップにより配置し直された座標空間を表示させることを特徴とする請求項8に記載のブラウズ方法。
前記表示制御ステップは、ユーザーによるフィルタリング条件の入力により、前記座標空間に表示する画像数が減少する場合であって、減少する画像数が所定数以上の場合、前記フィルタリング条件に該当する画像のみを対象として前記配置決定ステップにより配置し直された座標空間を表示させ、減少する画像数が所定数未満の場合、減少前の画像レイアウトを保持したまま、前記フィルタリング条件に該当する画像のみを表示させることを特徴とする請求項8に記載のブラウズ方法。
コンピューターに、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像配置方法における各ステップ、または請求項8ないし13のいずれか1項に記載のブラウズ方法における各ステップを実行させるためのプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1では、「色の三属性(色の三要素)」と称される「色相」、「明度(輝度)」、「彩度」のうち、2つの要素しか考慮されていない。つまり、X軸とY軸にそれぞれ1つの色要素しか割り当てられていないため、残りの1つの色要素について、画像を視認上滑らかに配置することができない。このため、アルバムアートワークを「画像」として表示画面上に配置した場合、目的のアルバムを見つけ出すことが困難になると予想される。また、上記特許文献1には、3つの色要素を全て考慮した場合の実施例として、白黒モードのON/OFFを切り替える構成が記載されており、白黒モードOFF時は「彩度」が一定以上の画像を「色相」と「明度」に基づいて配置し、白黒モードON時は「彩度」が一定未満の画像を「明度」に基づいて配置することが記載されている。ところが、白黒モードによって表示対象が「彩度」の閾値で切り替わるため、両方の表示対象をシームレスに表示できず、特に閾値周辺の画像を探す場合や、目的の画像がはっきりしていない場合にデメリットとなる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、複数の画像を見栄え良く配置できると共に、目的の画像を効率的に探し出すことが可能な画像配置方法、ブラウズ方法、表示制御装置、サーバー
、通信システム、画像配置システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像配置方法は、X軸およびY軸を有する座標空間上に、複数の画像を配置させる画像配置方法であって、各画像から、各画像を構成するN個(但し、NはN≧3となる整数)の色要素を取得する色要素取得ステップと、N個の色要素のうちM個(但し、Mは1≦M≦Nとなる整数)の色要素に基づいて画像のX軸方向の配置を決定すると共に、残りの(N−M)個の色要素に基づいて画像のY軸方向の配置を決定する配置決定ステップと、決定した配置にしたがって、複数の画像を座標空間上に配置させる画像配置ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の表示制御装置は、X軸およびY軸を有する座標空間上に、複数の画像を配置させる表示制御装置であって、各画像から、各画像を構成するN個(但し、NはN≧3となる整数)の色要素を取得する色要素取得手段と、N個の色要素のうちM個(但し、Mは1≦M≦Nとなる整数)の色要素に基づいて画像のX軸方向の配置を決定すると共に、残りの(N−M)個の色要素に基づいて画像のY軸方向の配置を決定する配置決定手段と、決定した配置にしたがって、複数の画像を座標空間上に配置させる画像配置手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、各画像のN個(但し、NはN≧3となる整数)の色要素のうち、M個(但し、Mは1≦M≦Nとなる整数)の色要素に基づいて画像のX軸方向の配置を決定すると共に、残りの(N−M)個の色要素に基づいて画像のY軸方向の配置を決定する。つまり、3つの色要素を取得した場合は、X軸およびY軸のいずれか一方の軸に、2つの色要素が割り当てられ、当該2つの色要素に基づいて一方の軸方向の配置を決定する。これにより、各画像を規則的且つ見栄え良く配置することができる。
なお「色要素」とは、「色の三属性」である色相、明度または輝度、彩度の他、加法混合の3色(赤、緑、青)、減法混色の3色(シアン、マゼンタ、イエロー)なども含む概念である。また、「色の三属性」は、HLS色空間やHSV色空間など、どの色空間(表色系)の成分を指すものであっても良い。
また、「X軸およびY軸を有する座標空間」は、必ずしも2次元空間でなくても良く、3次元空間であっても良い。つまり、「少なくともX軸およびY軸で表される座標空間」であれば良い。また、X軸とY軸は、必ずしも直交していなくても良い。
また、「画像」とは、座標空間に配置可能且つ視認可能な物体を指すものであり、画像であっても良いし、映像であっても良い。また、平面体ではなく、立体であっても良い。
【0010】
上記の画像配置方法において、N個の色要素は、HLS色空間の3つの成分である、色相、輝度、彩度であることを特徴とする。
【0011】
上記の画像配置方法において、配置決定ステップは、色相に基づいて画像のX軸方向の配置を決定すると共に、輝度および彩度に基づいて画像のY軸方向の配置を決定することを特徴とする。
【0012】
これらの構成によれば、「色の三属性」に基づいて、各画像を規則的且つ見栄え良く配置することができる。また、HLS色空間に基づく色相、輝度(明るさ)、彩度を用いることで、より見栄え良く(視覚上、滑らかに)各画像を配置できる。
【0013】
上記の画像配置方法において、X軸は、色相環にしたがって各画像が配置されるループ状の無端軸であることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、色相環にしたがって、各画像をX軸方向にシームレスに配置することができる。
【0015】
上記の画像配置方法において、Y軸は、所定の彩度以上の画像が輝度にしたがって配置される第1の半円弧軸と、所定の彩度未満の画像が輝度にしたがって配置される第2の半円弧軸と、から成るループ状の無端軸であり、第1の半円弧軸と第2の半円弧軸は、各軸上の輝度の最大値同士および最小値同士がつながって1つの円弧となるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、輝度および彩度にしたがって、各画像をY軸方向にシームレスに配置することができる。特に、第1の半円弧軸と第2の半円弧軸は、各軸上の輝度の最大値同士および最小値同士がつながって1つの円弧となるように構成されているため、輝度と彩度の両方について、視覚上滑らかに各画像を配置することができる。
【0017】
上記の画像配置方法において、所定の彩度は、輝度の影響を考慮して算出された補正彩度によって定められていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、人間が実際に感じる彩度は、輝度の影響を受けているため、補正彩度によって閾値を定めることで、各画像をより見栄えの良く(視覚上、滑らかに)配置することができる。
【0019】
上記の画像配置方法において、色要素取得ステップは、各画像の全画素について、色相、輝度、彩度を取得し、全画素の色相、輝度、彩度に基づいて、各画像の色相、輝度、彩度の代表値を決定する代表値決定ステップをさらに備え、配置決定ステップは、各画像の色相、輝度、彩度の各代表値に基づいて、X軸方向およびY軸方向の配置を決定することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、全画素について取得された各色要素から、画像毎の各色要素の代表値を決定するため、アルバムアートワークなど複雑な絵柄が含まれる画像(複数色が用いられる画像)であっても、その代表色(ユーザーがイメージする色)によって、見栄え良く配置することができる。
【0021】
本発明のブラウズ方法は、上記の画像配置方法における各ステップと、複数の画像が配置された座標空間を表示画面に表示させる表示制御ステップと、を備え、表示制御ステップは、ユーザーの画面移動操作にしたがって、座標空間のX軸方向およびY軸方向の表示位置をシームレスに移動させることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、各画像が、色要素にしたがって規則的且つ見栄え良く配置されているため、目的の画像を効率的に探し出すことができる。また、座標空間のX軸およびY軸は、いずれもループ状の無端軸であるため、ユーザーの画面移動操作にしたがって表示画面の表示位置をX軸方向およびY軸方向にシームレスに移動させることができ、より迅速に目的の画像を探し出すことができる。
【0023】
上記のブラウズ方法において、表示制御ステップは、ユーザーの画面拡大操作および画面縮小操作にしたがって、座標空間および各画像の表示サイズを変更し、各画像の画像サイズが所定サイズ以下となった場合、各画像を、色相、輝度、彩度の各代表値に基づく代表色で塗り潰すことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、座標空間および各画像の表示サイズを変更することができるため、配置されている画像数によらず、より効率的に目的の画像を探し出すことができる。また、各画像の画像サイズが所定サイズ以下となった場合、各画像が代表色で塗り潰されるため、表示画面の解像度が低い場合であっても、ユーザーが記憶する色のイメージから、目的の画像を探し出すことができる。
【0025】
上記のブラウズ方法において、表示制御ステップは、各画像の読み込みが完了していない状態で、ユーザーの選択操作により、任意の画像が選択された場合、当該任意の画像から画像の読み込みを開始することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、ユーザーが選択した任意の画像から読み込みが開始されるため、より早く任意の画像を確認することができる。
【0027】
上記のブラウズ方法において、表示制御ステップは、ユーザーによるフィルタリング条件の入力により、座標空間に表示する画像数が減少する場合、減少前の画像レイアウトを保持したまま、フィルタリング条件に該当する画像のみを表示させることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、フィルタリング条件の入力により、表示させる画像の絞込みを行うことができる。また、フィルタリング前後で、フィルタリング条件に該当する画像の配置は変わらないため、徐々に絞込みを行いながら目的の画像を探し出すような場合、目的の画像を見失うことがない。
【0029】
上記のブラウズ方法において、記表示制御ステップは、ユーザーによるフィルタリング条件の入力により、座標空間に表示する画像数が減少する場合、フィルタリング条件に該当する画像のみを対象として配置決定ステップにより配置し直された座標空間を表示させることを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、フィルタリングによって表示させる画像数が極端に少なくなった場合、再配置によってフィルタリング条件に該当する画像が集結されるため、目的の画像を探し出しやすくなる。
【0031】
上記のブラウズ方法において、表示制御ステップは、ユーザーによるフィルタリング条件の入力により、座標空間に表示する画像数が減少する場合であって、減少する画像数が所定数以上の場合、フィルタリング条件に該当する画像のみを対象として配置決定ステップにより配置し直された座標空間を表示させ、減少される画像数が所定数未満の場合、減少前の画像レイアウトを保持したまま、フィルタリング条件に該当する画像のみを表示させることを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、フィルタリングによって減少する画像数に応じて、好ましい配置を実現できる。具体的には、フィルタリングによって極端に画像数が減少した場合、再配置されるため、目的の画像を探し出しやすくなる。また、フィルタリング前後の画像数がさほど変化しない場合は、画像レイアウトが変化しないため、目的の画像を見失うことがない。
【0033】
本発明のサーバーは、X軸およびY軸を有する座標空間上に、複数の画像を配置させ、当該座標空間をユーザー端末に提供するサーバーであって、各画像から、各画像を構成するN個(但し、NはN≧3となる整数)の色要素を取得する色要素取得手段と、N個の色要素のうちM個(但し、Mは1≦M≦Nとなる整数)の色要素に基づいて画像のX軸方向の配置を決定すると共に、残りの(N−M)個の色要素に基づいて画像のY軸方向の配置を決定する配置決定手段と、決定した配置にしたがって、複数の画像を座標空間上に配置させる画像配置手段と、を備えることを特徴とする。
【0034】
本発明のユーザー端末は、上記のサーバーと接続されて用いられ、座標空間を表示する表示画面と、座標空間に配置された複数の画像のうち、任意の画像を選択するための操作手段と、を備えたことを特徴とする。
【0035】
本発明の通信システムは、上記のサーバーと、サーバーと接続されて用いられ、座標空間を表示する表示画面と、座標空間に配置された複数の画像のうち、任意の画像を選択するための操作手段と、を備えたユーザー端末と、が通信可能に構成されていることを特徴とする。
【0036】
本発明の画像配置システムは、X軸およびY軸を有する座標空間上に、複数の画像を配置させ、当該座標空間をユーザー端末に提供する画像配置システムであって、各画像から、各画像を構成するN個(但し、NはN≧3となる整数)の色要素を取得する色要素取得手段と、N個の色要素のうちM個(但し、Mは1≦M≦Nとなる整数)の色要素に基づいて画像のX軸方向の配置を決定すると共に、残りの(N−M)個の色要素に基づいて画像のY軸方向の配置を決定する配置決定手段と、決定した配置にしたがって、複数の画像を座標空間上に配置させる画像配置手段と、座標空間を表示する表示画面と、表示画面に表示された複数の画像のうち、任意の画像を選択するための操作手段と、を備えたことを特徴とする。
【0037】
これらの構成によれば、ネットワーク上のサーバーで、本発明を実現できる。また、クラウドコンピューティングにも、本発明を適用できる。さらに、サーバー、PC、ユーザー端末がネットワーク接続された構成に本発明を適用する場合は、最低限、ユーザー端末に、表示画面、操作手段、サーバーおよび/またはPCと通信するための通信手段を備えれば良く、他の手段(色要素取得手段、配置決定手段、画像配置手段)については、サーバー、PC、ユーザー端末のいずれか、またはそれぞれに分散して備えられれば良い。
【0038】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の画像配置方法における各ステップ、または上記のブラウズ方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0039】
このプログラムを用いることにより、複数の画像を見栄え良く配置できる画像配置方法、および目的の画像を効率的に探し出すことができるブラウズ方法を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態に係る画像配置方法、ブラウズ方法、表示制御装置、サーバー
、通信システム、画像配置システムおよびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、パーソナルコンピューター(以下、「PC」と表記する)上で動作する「ファイルミュージックプレーヤ」に、本発明を適用した場合について例示する。
【0042】
図1は、PC10(表示制御装置)の概略構成を示す構成図である。同図に示すように、PC10は、表示部11、操作部12、外部記憶装置インターフェース部(以下、「外部記憶装置I/F部」と表記する)13、通信部14、制御部15、記憶部16、再生処理部17、音声出力部18の他、これらを接続するバス19を備えている。
【0043】
表示部11は、不図示の表示画面上に、ファイルミュージックプレーヤの操作画面D0(
図2参照)などを表示する。特に本実施形態は、操作画面D0のブラウザ領域E5に、多数のアルバムアートワークAAWを、アルバムアートワークAAWから取得された色要素に基づく配列で表示することを特徴とする。操作部12は、マウス、キーボード、タッチパッド等を有し、ユーザーが各種操作を行うために用いられる。
【0044】
外部記憶装置I/F部13は、外部記憶装置30から楽曲情報等を読み出すなど、PC10と外部記憶装置30との間で情報の入出力を行う。なお、外部記憶装置30とは、PC10にローカル接続された記憶デバイス(外付けハードディスク装置など)や、PC10に搭載のメモリスロットで読み出し可能なUSBメモリなどを指す。
【0045】
通信部14は、インターネットやイントラネットなどのネットワークNWを介して、ネットワークNW上の機器(サーバー)のメモリから楽曲情報等を取得するなど、PC10とネットワークNW上の機器との間で通信を行う。
【0046】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から成り、各種演算処理を行う。また、操作部12の操作に基づく表示部11の表示制御、外部記憶装置I/F部13および通信部14を介した情報入出力制御、楽曲の編集処理(ミキシング処理を含む)、楽曲の再生制御等を行う。
【0047】
記憶部16は、ハードディスクドライブ等から成り、ファイルミュージックプレーヤを実現するための専用アプリケーション20を記憶すると共に、楽曲情報を記憶する。「楽曲情報」としては、楽曲ファイル(または楽曲ファイルのパス)と楽曲付随情報などを記憶する。楽曲付随情報は、楽曲の識別情報(楽曲ID)、楽曲タイトル名、アルバム名、アーティスト名、ジャンル名、作曲者名、リミキサー名、レーベル名、アルバムアートワークAAWのID、アルバムアートワークAAWの画像ファイル(または画像ファイルのパス)、アルバムアートワークAAWの代表色情報、発売時期、楽曲アートワークTAWのID、楽曲アートワークTAWの画像ファイル(または画像ファイルのパス)、楽曲アートワークTAWの代表色情報、レート(ユーザーによる評価)、BPM(Beats Per Minute)、楽曲の調性(キー)、音声波形データ、楽音の有無、メロディ、ハーモニー、リズム、データベース登録日、楽曲ファイルの最終更新日、楽曲の長さ(再生時間)、再生回数や再生日時などのアクセス履歴、などである。
【0048】
なお、これらの情報のうち、ジャンル、BPM、楽曲の調、音声波形データ、楽音の有無、メロディ、ハーモニー、リズムなどは、専用アプリケーション20による楽曲ファイルの解析結果から得られる情報とすることも可能である。また、予め楽曲付随情報内に設定されていてもよいが、ユーザーが指定するようにしてもよい。また、アルバムアートワークAAWや楽曲アートワークTAWの代表色情報も、専用アプリケーション20によってアートワークAW(以下、アルバムアートワークAAWや楽曲アートワークTAWを「アートワークAW」と表記する)の画像ファイルから取得される情報である(詳細については後述する)が、予め楽曲付随情報内に設定されていてもよく、ユーザーが指定するようにしてもよい。なお、楽曲アートワークTAWは、特に設定されていない場合は、アルバムアートワークAWと同じ画像とすることも可能である。
【0049】
再生処理部17は、制御部15の制御下で、楽曲ファイルの再生処理を行い、その再生信号を音声出力部18に出力する。音声出力部18は、DSP、アンプ、スピーカーまたはヘッドフォン等から成り、再生信号を外部出力する。なお、音声出力部18としては、外付けのものを用いても良い。
【0050】
次に、
図2を参照し、ファイルミュージックプレーヤの操作画面D0について説明する。操作画面D0は、画面上部のプレーヤ部Eaと、画面下部のブラウザ部Ebと、から成る。プレーヤ部Eaは、再生中の楽曲に関する情報を表示する領域であり、楽曲のアルバムアートワークAAWを表示するアートワーク表示領域E1と、当該アルバム内の現在再生中の楽曲の楽曲情報、再生時間、音声波形等を表示する再生情報表示領域E2と、各種再生操作を行うためのボタン群表示領域E3と、を有している。
【0051】
一方、ブラウザ部Ebは、ユーザーが各種操作および情報確認を行うための領域であり、操作内容を選択するためのユーザー操作領域E4と、多数のアルバムアートワークAAWを配列したブラウザ領域E5と、を有している。ユーザー操作領域E4は、ブラウザ領域E5を表示させる「ARTWORKSボタン」、任意のデータベースファイル(外部記憶装置30、ネットワークNW上の機器、記憶部16の記憶領域)を選択するための「SELECT DBボタン」、楽曲情報を取り込むための「IMPORTボタン」、楽曲情報を表示させるための「PROPERTYボタン」などが配置されている。なお、同図の操作画面D0は、「ARTWORKSボタン」が選択されている状態を示している。
【0052】
また、ブラウザ領域E5には、選択されたデータベース内の各楽曲ファイルに対応するアルバムアートワークAAWの画像群が、3つの色要素(HLS色空間の色相、輝度、彩度)に基づいて、X軸方向(図示横方向)およびY軸方向(図示縦方向)に配列されている。つまり、色要素の近いアルバムアートワークAAW(以下、「画像」とも称する)が近い場所に配置されるように(グラデーションになるように)、離散的な2次元空間に配置されている。なお、画像群は、必ずしも縦・横方向において間隙なく(完全なマトリクス状として)配置される訳ではなく、各画像の代表色に基づき、3つの色要素全てにおいて滑らかな変化が得られることを優先して配置される。したがって、ブラウザ領域E5の随所に、画像が配置されない空白領域E00が発生する。なお、各画像の代表色(HLS代表値)を決定するアルゴリズム、および各画像の配置を決定するアルゴリズムについては後述する。
【0053】
また、本実施形態のファイルミュージックプレーヤは、ブラウザ領域E5に表示する画像群を、ジャンル、アルバム名、アーティスト名、BPM、再生回数や再生日時などのアクセス履歴、発売時期などのフィルタリング条件の入力により絞込む絞込み機能を有している。また、ブラウザ領域E5に表示する画像群を、全てのアルバムアートワークAAWを表示する他に、アーティストの代表アルバムのアルバムアートワークAAW、プレイリストのアートワークAW、楽曲の楽曲アートワークTAWや音声波形データなどの表示に切り替えることも可能である。詳細については、
図16を参照して後述する。さらに、ユーザーによる、再生中の楽曲またはプレイリスト内の楽曲の指定により、指定された楽曲を含むアルバムのアルバムアートワークAAWに、ブラウザ領域E5上でジャンプするジャンプ機能も有している。
【0054】
なお、ブラウザ領域E5には、アルバムアートワークAAWのないアルバムについては表示されない。これは、例えば既存製品のようにアルバムアートワークAAWがないことを表す画像を表示した場合、美観が損なわれるだけでなく、他のアルバムアートワークAAWが存在するアルバムを探す際の妨げとなるためである。なお、アルバムアートワークAAWのないアルバムについては、アルバムアートワークAAW以外の情報(アルバム名検索、アーティスト名検索など)による検索が可能である。
【0055】
また、ブラウザ領域E5は、アルバムアートワークAAWが同一のアルバムについて纏めて表示する。複数組みのディスクやコンピレーションアルバムなど、楽曲データベース上異なるアルバムに、同一のアルバムアートワークAAWが設定される場合があるが、これらは1のアルバムアートワークAAWとして表示する。これは、ブラウザ領域E5に同一のアルバムアートワークAAWが複数表示されると、それらの区別が困難となるためである。もっとも、それぞれのアルバムアートワークAAWを区別するために、ブラウザ領域E5上にアルバムアートワークAAW以外の情報を表示することも考えられるが、ユーザーは、アルバムアートワークAAWに加えてそれらの情報を確認しなければならず、アルバムアートワークAAWによる直感的なブラウズの妨げになってしまう。このため、複数のアルバムに紐付けられたアルバムアートワークAAWが選択された場合は、アルバムアートワークAAWが選択された後、目的のアルバムを選択するための別画面を表示する構成となっている。なお、アルバムアートワークAAWが同一のアルバムを纏めて表示することにより、同じ縮尺で一度に表示・認識できる実質的な情報量が増えるため、目的のアルバムアートワークAAWをより探し出しやすくなるといった利点もある。
【0056】
次に、
図3を参照し、PC10(ファイルミュージックプレーヤ)の機能構成について説明する。PC10は、主な機能構成として、色要素取得手段51、代表値決定手段52、配置決定手段53、画像配置手段54、表示制御手段55を備えている。なお、これらの各手段は、いずれも専用アプリケーション20を用いた制御部15の制御によって実現される。
【0057】
色要素取得手段51は、各画像から、各画像を構成する複数の色要素を取得する。具体的には、各画像の全画素について、色相(H値)、輝度(L値)、彩度(S値)を取得する。代表値決定手段52は、全画素について取得された色相、輝度、彩度に基づいて、画像ごとに、色相、輝度、彩度の各代表値を決定する(
図8にて後述する)。また、配置決定手段53は、画像ごとに決定された色相、輝度、彩度の各代表値に基づいて、X軸方向およびY軸方向の配置を決定する(
図9にて後述する)。画像配置手段54は、配置決定手段53により決定された配置にしたがって、各画像をX軸およびY軸を有する2次元座標空間(ブラウザ領域E5)上に配置させる。表示制御手段55は、ユーザーの画面移動操作にしたがって、ブラウザ領域E5の表示位置をシームレスに移動させるなど、ユーザーの操作に基づく表示制御を行う。以下、
図4以降を参照し、各機能について詳細に説明していく。
【0058】
まず、
図4ないし
図6を参照し、HLS色空間と2次元座標空間の対応関係について説明する。
図4は、単色画像群のブラウザ領域E5への配置例を示す図である。ここでは、説明を分かりやすくするため、各画像を単色画像で示す。同図に示すように、ブラウザ領域E5の横軸には、色相(H値)を割り当てる。また、ブラウザ領域E5の縦軸(横軸に直交する軸)には、輝度(L値)および彩度(S値)を割り当てる。但し、縦軸方向の割り当ては、各画像を、閾値θ(所定の彩度)以上の彩度を有する画像群と、閾値θ未満の彩度を有する画像群とに分け、さらに前者の画像群については、図示上側から中央部に向かって(矢印71に沿って)輝度が高くなるように配置し、後者の画像群については、図示下側から中央部に向かって(矢印72に沿って)輝度が高くなるように配置している。
【0059】
図5は、各軸とHLS色空間の対応関係を示す図である。同図は、
図4に示した横軸(X軸)と縦軸(Y軸)を、概念的に示した図である。X軸は、色相環にしたがって各画像が配置されるループ状の無端軸となっている(図示、横長の円弧参照)。一方、Y軸は、彩度が閾値θ以上の画像が輝度にしたがって配置される左側半円弧軸(第1の半円弧軸)と、彩度が閾値θ未満の画像が輝度にしたがって配置される右側半円弧軸(第2の半円弧軸)と、から成るループ状の無端軸である(図示、縦長の円弧参照)。ここで、左側半円弧軸および右側半円弧軸は、いずれも上端が輝度の最小値、下端が輝度の最大値となっている。つまり、Y軸は、各半円弧軸上の輝度の最大値同士および最小値同士がつながって1つの円弧となるように構成されている。
【0060】
図6は、
図4および
図5に示したHLS色空間と2次元座標空間の対応関係に基づいて、各画像を実際に配置した状態を示す図である。各画像領域内には、その画像の代表HLS値を示している。同図に示すように、横軸(X軸)については、画像群が色相(H値)にしたがって配置され、縦軸(Y軸)については、彩度が閾値θ以上の画像群が、ほぼ矢印73に沿って輝度(L値)が高くなるように配置されていることが分かる。但し、彩度(S値)については、その値にばらつきがある。なお、同図の例は、閾値θをθ=30(0〜255)とした場合を例示している。
【0061】
ここで、
図7を参照し、輝度による彩度補正について説明する。HLS色空間においては輝度が中央(0.5)から離れるほど彩度の影響が小さくなり、輝度が最大値、もしくは最小値の場合彩度値に関わらず同一の色(白、もしくは黒)になる。これを考慮し、後述の代表値決定手段52による代表値(代表HLS値)決定処理において
図7に示す計算式、もしくはそれに準じた式により補正彩度(S´)を算出し、代表彩度とする。
図7に示す計算式において、S´は補正彩度、Sは彩度(S値)、Lは輝度(L値)を示す。また、S´、S、Lは、いずれも最小値「0.0」〜最大値「1.0」で表すものとする。なお、同図に示す計算式を用いた場合、補正彩度S´の閾値を「0.12」程度として、画像群を二分することが好ましい。
【0062】
次に、
図8のフローチャートを参照し、代表値決定手段52による代表値(代表HLS値)決定処理について説明する。代表値決定手段52は、色要素取得手段51によって取得された全画素のHLS値に基づいて、彩度(補正彩度S´)による重み付きの色相スペクトル、輝度(L値)の平均値、彩度(補正彩度S´)の平均値を算出する(S01)。ここで、補正彩度S´は、
図7の計算式による輝度の影響を考慮した彩度値である。続いて、S01で得られた彩度による重み付きの色相スペクトルの各色相成分に対して、その近傍の成分を重み付きで足し合わせ、色相スペクトル値を算出する(S02)。ここでの重み付けは、近い成分ほど大きく(但し、最大でも1.0未満)、遠いほど小さく、ある程度以上遠い成分は「0」になるように設定する。代表値決定手段52は、S02で得られた色相スペクトル値が最大の色相値を代表H値、S01で得られた輝度の平均値を代表L値、S01で得られた彩度の平均値を代表S値として、HLS別の代表値を決定する(S03)。このように、代表値決定手段52によって決定されたHLS別の代表値に基づいて、各画像の代表色が定まる。
【0063】
次に、
図9のフローチャートを参照し、配置決定手段53による配置決定処理について説明する。
図9(a)に示すように、配置決定手段53は、まず画像群を、彩度の閾値θによって、集合Aと集合Bに二分する(S11)。ここで、集合Aは、彩度Sが閾値θ以上のグループ、集合Bは、彩度Sが閾値θ未満のグループとする。続いて、配置決定手段53は、集合Aが空でない場合、集合Aに属する画像の配置を決定する(S12)。同様に、集合Bが空でない場合、集合Bに属する画像の配置を決定する(S13)。
【0064】
図9(b)は、
図9(a)のS02の処理(集合A配置決定処理)を示すサブフローチャートである。配置決定手段53は、集合Aの画像を配置する行数を、配置領域のアスペクト比が適当になるように決定する(S121)。続いて、各行に対応する輝度の範囲を、画像の分布がなるべく一様になるように決定する(S122)。その後、集合A内の画像を、色相(代表H値)でソートし(S123)、ソートした順序に従い、各画像を輝度(代表L値)が対応する行に割り当てていく(S124)。なお、S124では、対応する行が既に割り当て済みの場合、可能な限り近くの行や前の列に割り当てる。見た目上自然になる割り当て先がない場合は、次の列に移行して同様の処理を繰り返す。集合Aに属する画像を全て割り当てたら、集合A配置決定処理を終了する。このとき画像が割り当てられなかった場所は、空白領域E00(
図2参照)となる。
【0065】
なお、
図9(a)のS03の処理のサブフローチャートは、集合A配置決定処理とほぼ同様であるため説明を省略する。但し、集合Aおよび集合Bのいずれも空でない場合は、S121において、集合Bを配置する際の行数を、集合Bの列数が集合Aの列数と同程度になるように決定する。
【0066】
次に、
図10ないし
図14を参照し、表示制御手段55による表示制御について説明する。
図10は、ユーザーの平行移動操作に基づく表示制御の説明図である。同図(a)に示す状態から、操作部12により、表示位置をY軸方向に画像一行分上げる操作が行われると、同図(b)に示す状態となる。つまり、ユーザーの画面移動操作にしたがって、X軸方向およびY軸方向の平行移動が可能である。また、
図5に示したとおり、X軸およびY軸は、いずれもループした2次元座標空間上に配置されているため、X軸方向およびY軸方向においてシームレスに移動させることができる。これにより、ユーザーは、例えば目的となる赤色の画像が、色相値「0°」で左端にあるのか、色相値「359°」で右端にあるのかなどを考慮することなく操作を行うことができる。なお、同図の例では、画面中央に位置する画像が選択された状態となっており、他の画像よりも若干大きく、または縁取られて表示される。また、選択された画像を、選択されていない他の画像よりも詳細に(高画質に)表示しても良い。
【0067】
続いて、
図11は、ユーザーの画面拡大/縮小操作に基づく表示制御の説明図である。
図11(a)は、例えば
図10(a)に示した状態から、画面拡大操作が行われたズームイン状態を示している。また、
図11(b)は、例えば
図10(a)に示した状態から、画面縮小操作が行われたズームアウト状態を示している。このように、ユーザーの画面拡大/縮小操作に伴って、シームレスなズームイン/ズームアウトが可能である。また、画像の表示サイズが小さすぎて識別できない、またはPC10のスペック上の要因で画像を表示しきれない場合は、
図11(b)のように各画像を代表色(色相、輝度、彩度の各代表値に基づく色,
図8参照)で塗り潰して(単色画像として)表示する。これにより、ユーザーは、ズームアウトによって全体を俯瞰した状態(
図11(b)の状態)から、色の記憶を頼りに、目的の画像がある位置を容易に推定できる。また、目的の画像があると考えられるあたりに平行移動およびズームインすることにより、迅速に目的の画像を探し出すことができる。
【0068】
続いて、
図12は、画像読み込み動作の説明図である。
図12(a)は、ブラウザ領域E5の略中央に位置する画像G1が、ユーザーによって選択(指定)された直後の状態を示している。同図に示すように、ユーザーによって選択された画像G1は強調表示される。具体的には、画像枠を太枠にしたり、他の画像よりも若干大きく表示したり、アルバムアートワークAAWを表す「画像本体領域」の下部に重ねて(半透明で)「アルバム名領域」を付加するなどの装飾を施す。また、画像の読み込みが完了していない状態で、ユーザーの選択操作が行われた場合は、選択された画像G1を最優先に読み込みを開始する(同図の例は、画像G1の選択前に、既に2つの画像の読み込みが行われていた状態を示している)。つまり、全ての画像が読み込まれていない状況でも、選択された画像G1のブラウズ動作を進行させつつ、バックグラウンドで必要な画像の読み込みとリサイズを行い、完了したものから逐次表示を更新していく。まだ読み込めていない画像については、
図12(a)に示すように代表色で塗り潰した単色画像で表示し、読み込めているがリサイズが完了していない画像(例えば、
図12(a)の画像G1参照)については、低画質だが高速な簡易リサイズの画像を表示しておき、その後逐次更新していく。なお、
図12(b)は、全ての画像の読み込みが完了した後の状態を示している(実際には、より高画質な画像で表示される)。
【0069】
なお、画像の読み込みが完了しているか否かに拘らず、選択された画像G1を、他の画像よりも詳細に(より多くの情報を付加して、または高画質に)表示しても良い。この場合、他の画像は単色画像とするなど、簡易な表示とすることが好ましい。また、選択画像を変更した場合は、それまで選択されていた画像が簡易表示となり、新たに選択された画像が詳細な画像となるように表示しても良い。若しくは、選択画像を変更した場合、それまで選択されていた画像と、新たに選択された画像の両方が詳細な画像となるように表示しても良い。
【0070】
続いて、
図13は、ユーザーによって1の画像(アルバムアートワークAAW)が選択された場合(
図12(a)参照)に表示する楽曲選択画面D1の一例を示す図である。楽曲選択画面D1は、ブラウザ領域E5上に重畳表示されるポップアップ画面であり、選択されたアルバムアートワークAAWを表示するアートワーク表示領域E11と、楽曲情報を表示する楽曲情報表示領域E12と、選択されたアルバムに含まれる楽曲のタイトル一覧を表示するタイトル一覧表示領域E13と、タイトル一覧表示領域E13のスクロール操作を行うためのスクロールバーを表示するスクロールバー表示領域E14と、を有している。なお、スクロールバー表示領域E14は、タイトル数が多い場合など、タイトル一覧表示領域E13に全ての楽曲のタイトルを表示できない場合のみ表示する構成としても良い。当該楽曲選択画面D1では、選曲の他、アルバムアートワークAAWが同一のアルバムの選択(2枚組みCDのDISC1/2など)ができると共に、キャンセルしてアルバム選択用の画面(
図2のブラウザ領域E5参照)に戻ることができる。
【0071】
続いて、
図14は、ユーザーのフィルタリング条件の入力に伴う表示制御の説明図である。本実施形態のファイルミュージックプレーヤは、ジャンル、アルバム名、アーティスト名、再生回数や再生日時などのアクセス履歴、発売時期などのフィルタリング条件の入力により、ブラウザ領域E5に表示する画像群の絞込みが可能となっている。例えば、
図14(a)に示すように各画像(Item)がブラウザ領域E5に配置されている状態で、フィルタリング条件が入力され、当該条件入力によって減少する画像数が所定数未満の場合、
図14(b)に示すフィルタリングパターン1のレイアウトとなる。つまり、画像数が減少する前の元のレイアウト(各画像の位置)を保持したまま、フィルタリング条件に該当する画像のみを表示させる。一方、条件入力によって減少する画像数が所定数以上の場合は、
図14(c)に示すフィルタリングパターン2のレイアウトとなる。つまり、フィルタリング条件に該当する画像のみを対象として、配置決定手段53により再配置した再配置後のレイアウトとなる。このように、本実施形態の表示制御手段55は、フィルタリングによって減少する画像数に応じて、好ましい配置を実現できる。つまり、フィルタリング前後の画像数がさほど変化しない場合は、
図14(b)に示すように画像レイアウトが変化しないため、目的の画像を見失うことがない。また、フィルタリングによって、例えばブラウザ領域E5内に全ての画像が表示できる場合など、極端に画像数が減少する場合は、
図14(c)に示すように再配置されるため、画面移動操作を少なくすることができ、目的の画像を探し出しやすくなる。
【0072】
次に、
図15を参照し、楽曲を選択する操作の流れについて説明する。まず、ブラウザ領域E5をズームアウトした状態で(
図11(b)参照)、色を頼りに目的のアルバムアートワークAAWがある場所の目標を定める。続いて、目標を定めた場所に平行移動し(
図10参照)、ズームインしていく(
図11(a)参照)。目的のアルバムアートワークAAWを見つけたら選択し、マウスのダブルクリック等の操作により選択決定し、楽曲選択画面D1を開く。ここで、選択決定したアルバムアートワークAAWに対応したアルバムが複数存在する場合は、切り替えボタン61を操作して、目的のアルバムを選択する。例えば、同図(a)の状態で、左右いずれかの切り替えボタン61が押下されると、同図(b)に示す状態となる。この場合同図に示すように、アートワーク表示領域E11に表示されるアルバムアートワークAAWに変化はないが、アルバム名が異なることにより、異なるアルバムが選択されたことが分かる。当然、タイトル一覧表示領域E13に表示されるタイトル名も変化する。なお、選択したアルバムアートワークAAWに対応したアルバムが1つしかない場合は、切り替えボタン61を非表示またはグレーアウト表示して、対応する他のアルバムが存在しないことをユーザーに明示する。また、切り替えボタン61に代えて、キーボードの左右キー等によりアルバムの選択を行い得るようにしても良い。目的のアルバムを選択決定した後は、タイトル一覧表示領域E13から目的の楽曲(タイトル)を選択する。タイトル選択後に、各種再生操作を行うためのボタン群表示領域E3(
図2参照)の再生操作、若しくは、タイトル一覧表示領域E13から所望のタイトルをマウスのダブルクリック等の操作により選択決定し、楽曲を再生する。目的の楽曲がない場合や、次に再生する楽曲を探す場合、楽曲選択画面D1を閉じて、アルバム選択用の画面(
図2のブラウザ領域E5参照)に戻る。
【0073】
次に、
図16を参照し、アルバムアートワークAAW表示の変形例および絞込みについて説明する。上記の例では、ブラウザ領域E5にアルバムのアルバムアートワークAAWを表示する場合を例示したが、ここではアルバム以外に、アーティストやプレイリストにアルバムアートワークAAWを紐付け、アルバムと同様のブラウズを実現する変形例を説明する。同図に示すように、変形例に係る操作画面D0は、上記の例に示した操作画面D0(
図2参照)に、カテゴリー選択領域E21、キー選択領域E23およびキーワード入力領域E22を追加した画面構成となっている。
【0074】
カテゴリー選択領域E21では、「アルバム」、「アーティスト」、「プレイリスト」、「タイトル」のうちいずれかの項目を選択可能である。「アルバム」選択時の動作は、上記の例に示した通りである。また、「アーティスト」選択時は、「アルバム」選択時と同様の画面(ブラウザ領域E5)において、各アーティストに結び付けられた画像群(例えば、各アーティストの代表アルバムのアルバムアートワークAAWなど)を表示する。なお、いずれかの画像が選択された場合、アルバム名ではなくアーティスト名を表示する(
図12(a)参照)。また、マウスのダブルクリック等の操作で、楽曲選択画面D1(
図15参照)と略同様の画面構成を有するアルバム選択画面(図示省略)に遷移する。当該アルバム選択画面のアートワーク表示領域E11には、アーティストではなく各アルバムに対応するアルバムアートワークAAWを表示する。また、アルバム選択画面では、選択されたアーティストに対応するアルバムが複数存在する場合、切り替えボタン61の操作により、そのアーティストのアルバム群を切り替えて表示させることができる。
【0075】
一方、カテゴリー選択領域E21にて「プレイリスト」が選択された場合は、ブラウザ領域E5において、各プレイリストに結び付けられた画像群を表示する。いずれかの画像が選択された場合は、アルバム名ではなくプレイリスト名を表示する(
図12(a)参照)。また、ダブルクリック等の操作で、楽曲選択画面D1(
図15参照)と略同様の画面構成を有するプレイリスト選択画面(図示省略)に遷移する。プレイリスト選択画面のタイトル一覧表示領域E13には、楽曲選択画面D1と同様に、プレイリスト内の楽曲リストを表示する。また、プレイリスト選択画面では、同じアートワークAWに対応するプレイリストが複数存在する場合、切り替えボタン61の操作により、そのプレイリスト群を切り替えて表示させることができる。
【0076】
また、カテゴリー選択領域E21にて「タイトル」が選択された場合は、ブラウザ領域E5において、各楽曲の楽曲アートワークTAWの画像群を表示する。楽曲アートワークTAWはアルバムアートワークAAWと同一のものであってもよい。いずれかの画像が選択された場合は、アルバム名ではなくタイトル名を表示する(
図12(a)参照)。また、ダブルクリック等の操作で、再生情報表示領域E2に楽曲情報を表示し、アートワーク表示領域E1に楽曲アートワークTAWを表示する。タイトル選択後に、各種再生操作を行うためのボタン群表示領域E3(
図2参照)の再生操作により、楽曲を再生する。また、ブラウザ領域E5において、楽曲アートワークTAWを表示する際には、ユーザー操作により、
図6の座標軸の横軸(X軸)をKEYとし、縦軸(Y軸)をBPMとする表示に切り替えることも可能である。
【0077】
図17に示すように、ブラウザ領域E5には、選択されたデータベース内の各楽曲ファイルに対応する楽曲アートワークスTAWの画像群が、楽曲のKEYとBPMに基づいて、X軸方向(図示横方向)およびY軸方向(図示縦方向)に配列されている。同図では、分かりやすく示すため、各楽曲アートワークスTAWの画像を、四角形の枠で囲まれた文字情報(調性、BPM、トラック番号)で表す。なお、画像群は、必ずしも縦・横方向において間隙なく(完全なマトリクス状として)配置される訳ではなく、調性の近い楽曲の画像がX軸方向においてできるだけ近くになるように、またBPMの近い楽曲の画像がY軸方向においてできるだけ近くになるように配置される。したがって、ブラウザ領域E5内には、画像が配置されない空白領域E00が適宜発生する。
【0078】
図18は、五度圏の調性空間を示す図である。同図に示すように、「五度圏」とは、長調と短調各12個の調性を円環状に並べた調性空間を指すものであり、各調の時計回りの方向に属調、反時計回りに下属調が配置され、同じ角度に位置する長調と短調の組み合わせは平行調となっている。このため、五度圏上で近い位置にある調性ほど共通の音程を多く含み、ミキシングした際に不協和音が発生しにくくなる。つまり、楽曲アートワークスTAWの画像群は、X軸方向(矢印方向)において、この五度圏の時計回りの調性配列と一致しているため、X軸方向においてより近い位置に配置されたタイトルを選択してミックスした場合、不協和音の発生を抑えられるようになっている。なお、X軸は、五度圏の調性空間に基づくループ状の無端軸となっている。これにより、ブラウザ領域E5は、X軸方向においてその表示位置をシームレスに移動させることができる。
【0079】
一方、
図17に示すように、ブラウザ領域E5の縦軸(Y軸,横軸に直交する軸)には、BPMが割り当てられている。同図の例では、矢印方向に向かってBPMが徐々に大きくなるように配置されている。これにより、Y軸方向においてより近い位置に配置された対象物Gを選択してミックスした場合、各楽曲の再生速度を大きく変更せずに、楽曲ミキシングを実現できる。ブラウザ領域E5において、いずれかの画像が選択された場合は、アルバム名ではなくタイトル名、BPM、キーを表示する(
図12(a)参照)。
【0080】
更にまた、カテゴリー選択領域E21にて「タイトル」が選択された場合は、各楽曲の楽曲アートワークTAWの画像群を、ユーザーの操作により、
図6の座標軸の横軸(X軸)をKEYとし、縦軸(Y軸)をBPMとした表示に切り替え可能であるとともに、各楽曲の音声波形を示す画像群の表示に切り替えることも可能である。いずれかの画像が選択された場合は、アルバム名ではなくタイトル名を表示する(
図12(a)参照)。また、ダブルクリック等の操作で、再生情報表示領域E2に楽曲情報を表示し、アートワーク表示領域E1に楽曲アートワークTAWを表示する(
図17参照)。
【0081】
続いて、フィルタリング条件入力の例として、キーによる絞込みについて説明する。キー選択領域E23は、図示のように、ジャンル、アーティスト、アルバム、BPM、プレイリスト、などに基づき、複数階層から成るキー選択が可能である。つまり、ジャンルなどのキーを指定することで、合致するアイテム(アートワークAW)のみをブラウザ領域E5に表示させることができる。例えば、同図の例では、絞込みキーとして「ジャンル−ジャズ」が選択されているため、ジャンルが「ジャズ」のアイテムのみが表示される。
【0082】
続いて、キーワードによる絞込みについて説明する。キーワード入力領域E22は、入力領域および検索実行ボタンから成り、入力領域に、例えば楽曲付随情報に関連する情報などの任意のキーワードを入力し、検索実行ボタンを押下することで、合致するアイテム(アートワークAW)のみをブラウザ領域E5に表示させることができる。キーワードとしては、アルバム名、アーティスト名、プレイリスト名、ジャンル名、作曲者名、リミキサー名、レーベル名、発売時期、レート(ユーザーによる評価)、BPM(Beats Per Minute)、楽曲の調性(キー)、データベース登録日、楽曲ファイルの最終更新日、などの楽曲付随情報に関連する情報、再生回数や再生日時などのアクセス履歴を入力可能であり、入力された文字列がそれらの文字列情報内に含まれるか否かを判別し、含まれる場合、合致するアイテムをブラウザ領域E5に表示する。なお、入力領域に複数のキーワード入力があった場合、and条件またはor条件による検索が可能である。
【0083】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、各画像から、HLS色空間の3つの成分である、色相、輝度、彩度を取得し、色相に基づいて画像のX軸方向の配置を決定すると共に、輝度および彩度に基づいて画像のY軸方向の配置を決定する。これにより、各画像を規則的且つ見栄え良く配置することができ、ひいては目的の画像を効率的に探し出すことができる。また、X軸およびY軸は、いずれもループ状の無端軸で構成されるため、ユーザーの画面移動操作にしたがってブラウザ領域E5の表示位置をX軸方向およびY軸方向にシームレスに移動させることができ、迅速に目的の画像を探し出すことができる。
【0084】
なお、上記の実施形態では、色要素として、HLS色空間の3つの成分(色相、輝度、彩度)を例示したが、HSV色空間や各種表色系の成分を採用しても良い。また、加法混合の3色(赤、緑、青)、減法混色の3色(シアン、マゼンタ、イエロー)なども、色要素として採用しても良い。また、これらのうち、いずれか2以上を組み合わせたものを色要素としても良い。例えば、色相、輝度、明度、彩度の4つの要素を、色要素として採用しても良い。
【0085】
また、上記の実施形態では、X軸に色相を割り当て、Y軸に輝度および彩度を割り当てたが、これに限らず、X軸に色相および彩度を割り当て、Y軸に輝度を割り当てるなど、各軸への色要素の割り当ては任意である。また、X軸およびY軸共に、2以上の色要素を割り当てるなど、割り当てる色要素の数も任意である。また、どの軸にどの色要素を割り当てるかについて、ユーザーが任意に設定可能としても良い。
【0086】
また、上記の実施形態では、補正彩度S´の閾値を「0.12(0.0(Min)〜1.0(Max))」程度であるものとしたが、表示対象となる画像群の色分布や画像数などに応じて動的に決定しても良い。また、補正彩度S´の閾値について、ユーザーが任意に設定可能としても良い。
【0087】
また、上記の実施形態では、フィルタリング条件が入力された場合、減少する画像数に応じて、フィルタリングパターン1またはフィルタリングパターン2のいずれかのレイアウトを適用するものとしたが(
図14参照)、減少する画像数にかかわらず、フィルタリングパターン1およびフィルタリングパターン2のいずれかのフィルタリングパターンを固定使用しても良い。また、フィルタリングパターン1およびフィルタリングパターン2のいずれのレイアウトを適用するかについて、ユーザーが任意に設定可能としても良い。
【0088】
また、上記の実施形態に示したPC10の各機能をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを各種記憶媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをPC10の各機能として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記憶媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0089】
また、上記の実施形態では、本発明をPC10(ファイルミュージックプレーヤ)に適用した場合を例示したが、楽曲以外のコンテンツ(映像コンテンツなど)を再生する再生装置や、検索装置にも適用可能である。具体的には、多数の楽曲ファイルを扱うDJ機器、多数の映像ファイルを扱うVJ機器、ポータブルオーディオプレーヤー、HDDコンポ、画像ビューアー(PC、デジタルカメラ、携帯端末上で動作するアプリケーションやブラウザプラグインなど)、多数の商品画像を表示する通信販売・ダウンロード販売サイト、などに本発明を適用可能である。
【0090】
また、PC10の各機能を、ネットワークNW上の機器(サーバー)によって実現しても良い。この場合、ネットワークNW上の機器が、操作画面D0(ブラウザ領域E5)を表示するためのブラウザ(複数の画像を、3つ以上の色要素にしたがって座標空間上に配置した配置結果を示す表示データ)を作成し、ネットワークNW上の機器(サーバ)に接続されたユーザー端末に送信することになる。その場合、ユーザー端末には最低限、表示装置と操作装置と、音声出力部があればよい。また、クラウドコンピューティングにも、本発明を適用可能である。また、サーバー、PC、ユーザー端末など、3つ以上の構成部材から成るシステム(対象物配置システム)によって本発明を実現しても良い。この場合、最低限、ユーザー端末に、
図1に示した構成のうち、操作部12(操作手段)、表示画面(表示部11)、サーバーおよび/またはPCと通信するための通信手段(通信部14)を備えればよく、他の手段については、サーバー、PC、ユーザー端末のいずれか、またはそれぞれに分散して備えられれば良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。