特許第5707059号(P5707059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707059
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20150402BHJP
   A47L 9/22 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   A47L9/00 103
   A47L9/22
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-123371(P2010-123371)
(22)【出願日】2010年5月28日
(65)【公開番号】特開2011-245141(P2011-245141A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2013年3月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩田 宜之
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭38−005345(JP,Y1)
【文献】 実開昭50−029070(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/099200(WO,A1)
【文献】 特開2009−131329(JP,A)
【文献】 特開2003−135338(JP,A)
【文献】 特開2009−233013(JP,A)
【文献】 実公昭56−035172(JP,Y2)
【文献】 特開2009−219527(JP,A)
【文献】 特開平05−084194(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/051930(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
A47L 9/22−9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵部およびこの集塵部に連通する風路部を備えた本体ケースと、
吸気側を上方に向けて前記本体ケースに配置された電動送風機と、
弾性を有し、前記電動送風機の吸気側と前記風路部との間に配置されたシール部材と、
前記電動送風機の周囲に水平方向に沿ってそれぞれ放射状に取り付けられ、この電動送風機側の一端部が他端部に対して下方に位置し、径方向である上下方向の湾曲の復元力によって前記電動送風機を上方に向けて付勢して支持する複数のコイルばねと
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
コイルばねの軸方向に沿って形成され、このコイルばねの径方向の変形を抑制する抑制部材を具備した
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
電動送風機の少なくとも一部を覆うカバー体と、
このカバー体と本体ケースとの間に配置された緩衝部材と
を具備したことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、吸気側を上方に向けて配置された電動送風機を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機は、中空状の本体ケースの内部に電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。この掃除機本体には、電動送風機の吸込側に連通する集塵部が電動送風機の前方に配置されており、この集塵部は、本体吸込口を介してホース体、延長管および床ブラシなどの管部に連通する。
【0003】
電動送風機は、その吸込側と集塵部との接続が、弾性を有するシール部材によってシールされている。このシール部材には、同時に、電動送風機の回転などに伴う振動が本体ケースに伝達されて騒音とならないようにする制振機能を持たせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−29259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
掃除機本体の形状などによっては、電動送風機の吸込側を上側として配置する場合がある。このような場合でも、電動送風機の自重によるシール部材の変形などによってシール性および制振性が損なわれないようにすることが望まれている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電動送風機の吸込側を上側として本体ケースに配置しつつ、電動送風機のシール性および制振性を確保できる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機は、集塵部およびこの集塵部に連通する風路部を備えた本体ケースを有する。また、この電気掃除機は、吸気側を上方に向けて本体ケースに配置された電動送風機を有する。さらに、この電気掃除機は、弾性を有し、電動送風機の吸気側と風路部との間に配置されたシール部材を有する。また、この電気掃除機は、電動送風機の周囲に水平方向に沿ってそれぞれ放射状に取り付けられ、この電動送風機側の一端部が他端部に対して下方に位置し、径方向である上下方向の湾曲の復元力によって電動送風機を上方に向けて付勢して支持する複数のコイルばねを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の電気掃除機の掃除機本体を示す縦断面図である。
図2】同上電気掃除機の一部を示し、(a)はその平面図、(b)はその一部を示す説明図である。
図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0010】
図3において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、吸込風路体(風路形成体)である管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0011】
管部12は、掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側、あるいはホース体16の先端側に選択的に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0012】
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
【0013】
また、掃除機本体13は、図1に示すように、集塵部としての集塵装置である集塵カップ24が着脱可能に備えた本体ケース25を備えている。
【0014】
集塵カップ24は、含塵空気を内部で旋回させて塵埃を遠心分離する、いわゆるサイクロン集塵装置であり、円筒状の集塵部本体としての透視部であるカップ本体部31と、このカップ本体部31の上端に気密に着脱可能に取り付けられた風向制御部32と、カップ本体部31の下端に回動可能に軸支された蓋部としての底蓋33とを備えている。
【0015】
カップ本体部31は、内部に導入された含塵空気から遠心分離した塵埃を収容するもので、透明、あるいは半透明の部材である合成樹脂などにより円筒形状に形成されている。また、このカップ本体部31の前部には、含塵空気を内部へと接線方向に沿って導入するための集塵装置吸込口としてのカップ吸込口35が円筒状に開口形成されている。
【0016】
風向制御部32は、有蓋円筒状に形成されており、接線方向に沿う筒状の連通部37が後方に向けて突出している。また、この風向制御部の内部には、図示しないが、フィルタが取り付けられている。
【0017】
底蓋33は、図示しない操作部の操作によってカップ本体部31の下端を開くように構成されている。すなわち、この底蓋33は、集塵カップ24内に捕集した塵埃を掃除終了後に廃棄する際にカップ本体部31の下端を開くものである。
【0018】
また、本体ケース25は、中空状のケース本体部41と、このケース本体部41の前部下側から前方へと突出する集塵部着脱部としてのカップ取付部42と、このカップ取付部42の上方に位置しケース本体部41から前方へとループ状に突出したハンドル部43とを一体的に有している。そして、カップ取付部42の上方でかつ、ケース本体部41とハンドル部43との間の位置に、集塵カップ24を着脱するための略円形状の着脱開口44が形成されている。
【0019】
ケース本体部41の内部には、電動送風機45が吸気側を上方に向けた状態で配置され、この電動送風機45の上方に、集塵カップ24と連通する風路部46が形成されている。また、ケース本体部41の内部には、電動送風機45の駆動を制御する図示しない制御手段が収容されているとともに、電動送風機45および制御手段などに給電するための図示しない電源部が配置されている。さらに、ケース本体部41の両側部には、大径の走行輪49(一方のみ図示)が回転自在に取り付けられている。そして、ケース本体部41には、図示しない本体排気口が形成されている。
【0020】
電動送風機45は、電動機51と、この電動機51の回転軸52に連結された遠心ファン53と、この遠心ファン53と電動機51との間に位置する整流板54と、遠心ファンおよび整流板54を覆って電動機51に取り付けられ吸気側を構成するファンカバー55とを備えている。また、この電動送風機45は、カバー体56によって覆われており、このカバー体56に対して、弾性支持装置57により弾性的に支持されている。さらに、この電動送風機45は、カバー体56とともに本体ケース25に対して緩衝部材58を介して支持されている。
【0021】
電動機51は、回転軸52を有する本体部であるモータ本体部61と、このモータ本体部61を保持する胴体ケースとしての円筒状のフレーム62とを有する、インナロータ型の周知のものであり、例えばブラシ装置を用いる整流子モータ、あるいは、ブラシレスモータなどである。
【0022】
モータ本体部61は、回転軸52が上下方向に沿う状態でフレーム62の内部に収容されている。
【0023】
また、フレーム62の周囲には、排気用の排気口63が形成されている。すなわち、この排気口63は、電動送風機45の下部に配置されている。
【0024】
遠心ファン53は、中央部に吸気口65を開口しており、この吸気口65から吸い込んだ空気を外周方向へと吹き出すように構成されている。
【0025】
整流板54は、遠心ファン53から外周方向へと吹き出された空気を整流しつつ電動機51のフレーム62内へと導くように構成されている。また、この整流板54の中央部には、回転軸52が挿通されている。そして、この整流板54は、フレーム62に固定されている。
【0026】
ファンカバー55は、略有蓋円筒状に形成され、電動機51のフレーム62に圧入嵌合されている。また、このファンカバー55の中央部には、円形状の吸込口67が形成されており、この吸込口67の周縁部に沿って、円筒状の接続部68が一体に形成されている。
【0027】
吸込口67は、遠心ファン53の吸気口65と気密に接続されており、風路部46を通過した空気を吸い込むように構成されている。すなわち、この吸込口67は、電動送風機45の上部に配置されている。
【0028】
接続部68は、上方に向けて突出しており、この接続部68の周囲には、略円筒状のシール部材71が気密に取り付けられている。すなわち、シール部材71は、吸込口67に対して気密に接続されてこの吸込口67と連通している。
【0029】
シール部材71は、吸込口67と風路部46とを気密に接続するものであり、例えばゴムなどの弾性を有する部材により形成されている。また、このシール部材71は、接続部68の周囲に気密に嵌合する円筒状のシール部材本体73と、このシール部材本体73の一端側である下端側に形成された略円筒状の下流側接続部74と、シール部材本体73の他端側である上端側に形成された略円筒状の上流側接続部75とを一体に有している。
【0030】
下流側接続部74は、ファンカバー55の外面である上面に密着する部分であり、下側へと、すなわち電動送風機45側へと徐々に拡径するように形成されている。
【0031】
上流側接続部75は、風路部46に気密に接続される部分であり、上側へと、すなわち風路部46側へと徐々に拡径するように形成されている。また、この上流側接続部75の先端部である上端部の周縁には、風路部46とカバー体56との間に挟持される密着部であるリップ部75aが突出して一体に形成されている。
【0032】
また、カバー体56は、例えば合成樹脂などにより形成されており、下部カバー78と、上部カバー79とに分割されている。なお、このカバー体56は、必須の構成ではなく、その分割構成も任意に設定できる。
【0033】
下部カバー78は、上側が開口した略有底円筒状に形成されており、本体ケース25の底面25a上に、緩衝部材58を介して載置されている。また、この下部カバー78の内部には、電動送風機45が同軸状に収容されており、この下部カバー78は、電動送風機45の電動機51のフレーム62の周囲に間隙を介して位置している。さらに、この下部カバー78の外周部、すなわち側部には、排気用の図示しないカバー排気口が形成されている。
【0034】
また、上部カバー79は、下側が開口した有蓋円筒状に形成されており、下部カバー78の上側を覆って取り付けられている。すなわち、この上部カバー79は、電動送風機45のファンカバー55を覆って配置されている。さらに、この上部カバー79の略中央部には、吸気用のカバー吸気口83が形成されている。そして、このカバー吸気口83の周縁部には、シール部材71の上流側接続部75のリップ部75aの下側が嵌合して密着する溝部83aが形成されている。
【0035】
また、弾性支持装置57は、電動送風機45の回転に伴う振動(回転振動)の外部への伝達を抑制するとともに、電動送風機45の吸込側を風路部46に対して気密に圧接するための付勢手段であり、図2(a)および図2(b)に示すように、環状に形成された一方の支持体としての内周側支持体85と、環状に形成された他方の支持体としての外周側支持体86との間に、複数、例えば3つの振動吸収体であるコイルばね87が放射状に取り付けられて構成されている。
【0036】
図1および図2に示すように、内周側支持体85は、電動送風機45(の電動機51のフレーム62)の周囲に内周側が嵌合する円環状に形成されており、外周側に各コイルばね87の一端部を固定するための(一方の)抑制部材としての(一方の)支持部であるばね保持部85aがそれぞれ形成されている。
【0037】
また、外周側支持体86は、内周側支持体85と同軸(同心)状で、かつ、この内周側支持体85の外側に配置されており、本体ケース25側、ここではカバー体56(の下部カバー78)の内周に外周側が嵌合する円環状に形成されており、内周側支持体85と対向する内周側に、各コイルばね87の他端部を固定するための(他方の)抑制部材としての(他方の)支持部であるばね保持部86aがそれぞれ形成されている。したがって、各コイルばね87は、水平方向に沿って配置されている。
【0038】
ここで、各ばね保持部85a,86aは、それぞれ十字状のリブ状に形成されており、支持体85,86からそれぞれ突出し、各コイルばね87に沿っている。そして、これらばね保持部85a,86aは、各コイルばね87の内部に挿入されることで、各コイルばね87を内周側から支持している。すなわち、各コイルばね87は、せん断方向(径方向)の剛性が比較的強いものの、これらばね保持部85a,86aを突出させて各コイルばね87の端部を支持することにより、各コイルばね87のせん断方向(径方向)の強度を、より向上している。したがって、これらばね保持部85a,86bは、各コイルばね87のせん断方向に作用する部分を抑制することにより、各コイルばね87の径方向の変形、すなわち各コイルばね87の座屈を抑制している。また、これらばね保持部85a,86aは、それぞれコイルばね87の内周、すなわち径方向に対して若干の隙間を有する最大外形を有している。このため、各コイルばね87の端部は、それぞればね保持部85a,86bに対して若干径方向へと移動可能となっている。
【0039】
そして、電動送風機45と本体ケース25(カバー体56)との間に弾性支持装置57を取り付けた状態で、すなわち、電動送風機45の停止状態、換言すれば電動送風機45の駆動による負圧が作用していない状態で、内周側支持体85のばね保持部85aの先端側と、外周側支持体86のばね保持部86aの先端側とは、互いに所定の間隙を介して対向するとともに、ばね保持部85aがばね保持部86aに対して下側に位置している。このため、各コイルばね87は、ばね保持部85a,86aの上下方向の位置ずれにより、それぞれの端部の下側がばね保持部85a,86aの下部に当接することで、径方向(せん断方向)、すなわち上下方向にわずかに湾曲し、この湾曲の復元力によって電動送風機45を上方向へと付勢している。言い換えると、各コイルばね87は、電動送風機45の重力による落ち込みに対して、常時上方に向けて付勢力を与え、シール部材71のリップ部75aと風路部46との密着性を向上している。また、電動送風機45の動作状態、換言すれば電動送風機45の駆動による負圧が作用している状態では、この負圧によって電動送風機45がシール部材71を上下方向(軸方向)に押圧しつつ相対的に上方へと移動することにより、ばね保持部85a,86aが略等しい高さ位置となり、各コイルばね87が略水平状態となるように構成されている。
【0040】
なお、本実施の形態において、各コイルばね87は、支持体85,86(ばね保持部85a,86a)間に圧縮した状態で保持することで組立性を向上し小型化を図っているが、例えば支持体85,86(ばね保持部85a,86a)間に伸張した状態で保持してもよい。
【0041】
また、緩衝部材58は、例えばゴム、あるいはエラストマなどの弾性を有する部材により形成されており、カバー体56から本体ケース25への振動および騒音などの伝達を抑制している。したがって、電動送風機45は、弾性支持装置57、カバー体56および緩衝部材58により、本体ケース25への振動および騒音などの伝達を二重に抑制している。
【0042】
また、風路部46は、電動送風機45側に気密に接続される接続風路部91と、集塵カップ24側に気密に接続される導風部92とを一体に有している。
【0043】
接続風路部91は、下側が開口して形成されており、下端部がシール部材71のリップ部75aの上側に圧接されて気密に接続されている。また、この接続風路部91は、導風部92に対して断面積が大きく形成されており、導風部92を通過した空気を膨張させて消音する膨張型消音器の機能を有している。さらに、接続風路部91の後部には、風路部46を固定するための固定部93が突出して形成されている。この固定部93は、カバー体56の上部カバー79の上部に形成された固定受部94に載置された状態で固定されている。
【0044】
また、導風部92は、筒状に形成されており、風路部46の上部前側に連通しており、前側(上流側)へと上方に向けて傾斜している。さらに、この導風部92は、先端部である上端部、すなわち上流側が、ケース本体部41の前部に形成された開口部95に気密に接続されている。この開口部95には、パッキンなどの気密部材96が取り付けられており、この気密部材96により、集塵カップ24の連通部37の下流側および風路部46(導風部92)の上流側がそれぞれ気密に接続される部分であり、前後方向に沿って開口している。
【0045】
また、制御手段は、例えば電動送風機45の駆動を制御するためのトランジスタ(トライアック)などの制御素子、および、制御手段本体であるマイコンなどを有し、設定ボタン22(図3)により設定された動作モードに応じて電動送風機45を駆動させるものである。また、この制御手段は、電動送風機45からの排気風により冷却される位置に配置されている。
【0046】
そして、電源部は、例えば商用交流電源から電源を取るための電源コードを巻回したコードリール、あるいは複数の(二次)電池を備えた電池パックなどである。
【0047】
一方、カップ取付部42は、図1および図3に示すように、集塵カップ24のカップ本体部31の下部および底蓋33が嵌合する集塵部受部としての受け凹部であるカップ受部97と、このカップ受部97の前端部にて上方へと突出する本体接続部98とを有している。
【0048】
カップ受部97は、集塵カップ24を下側から支持する部分であり、ケース本体部41の前方に位置している。また、このカップ受部97は、底部の前側が後側に対して相対的に上側に位置するように傾斜しており、このカップ受部97に取り付けられた集塵カップ24を、連通部37がケース本体部41側(開口部95(風路部46の上流側)へと密着するように、傾斜した状態で保持することが可能となっている。
【0049】
また、本体接続部98は、上端部に前後方向に沿う円筒状の連通接続部99が形成されている。この連通接続部99は、前端部に本体吸込口100を有しており、この本体吸込口100に、管部12(図3)の接続管部15が気密に接続されるように構成されている。また、この連通接続部99は、後端部が、カップ取付部42に取り付けた集塵カップ24のカップ吸込口35に気密に接続されるように構成されている。したがって、この連通接続部99は、管部12(図3)と電動送風機45の吸込側とを、集塵カップ24を介して気密に接続するように構成されている。
【0050】
次に、上記一実施形態の作用を説明する。
【0051】
掃除機本体13の組み立てに際しては、まず、本体ケース25の底面25a上に、カバー体56の下部カバー78を、緩衝部材58を介して載置して固定する。
【0052】
次いで、電動送風機45の周囲に弾性支持装置57を取り付ける。このとき、電動送風機45の周囲には、弾性支持装置57の内周側支持体85を嵌合させ、この内周側支持体85の各ばね保持部85aに各コイルばね87の一端部を取り付け、さらにこれらコイルばね87の他端部を各ばね保持部86aに取り付けるように外周側支持体86を取り付ける。
【0053】
そして、この弾性支持装置57とともに電動送風機45を、本体ケース25の固定された下部カバー78の内部に組み付けた後、上部カバー79を上側から被せ、この上部カバー79と下部カバー78とを互いに固定するとともに、電動送風機45の吸込側に気密に接続したシール部材71のリップ部75aを上部カバー79の溝部83aに嵌合させて、電動送風機45(のファンカバー55)の吸込口67とカバー吸気口とを気密に接続する。
【0054】
このとき、内周側支持体85の各ばね保持部85aと外周側支持体86の各ばね保持部86aとの位置が上下にずれ、各ばね保持部85aが各ばね保持部86aの下側に位置することにより、各コイルばね87が電動送風機45を上方向へと付勢する。また、各コイルばね87は、互いの付勢力のつりあいにより、電動送風機45を所定の中心位置に保持する。
【0055】
そして、本体ケース25の内部に別途組み込んだ制御手段および電源部などと電動送風機45とを電気的に接続し、風路部46によりシール部材71のリップ部75aをカバー体56(の上部カバー79の溝部83a)との間で挟み込むとともに、ケース本体部41の上側を閉塞する。
【0056】
掃除の際には、カップ取付部42に集塵カップ24を取り付ける。このとき、集塵カップ24は、カップ本体部31の上部に風向制御部32を取り付け、カップ本体部31の底部を底蓋33によって閉塞した状態で、着脱開口44から下方へと挿入してカップ取付部42(のカップ受部97)に下側を嵌合させて固定するとともに、カップ吸込口35を本体ケース25の連通接続部99の下流側(後側)に接続することにより、本体吸込口100とカップ吸込口35とを気密に接続する。
【0057】
このとき、電動送風機45は、自重により相対的に下側に位置しており、ばね保持部85aがばね保持部86aに対して下側に位置した状態となっているため、各コイルばね87により上方へと付勢されて、シール部材71(のリップ部75a)が風路部46(の接続風路部91)に圧接されて密着し、電動送風機45の吸込側と風路部46との接続の気密性が確保された状態となっている。
【0058】
そして、例えば電源コードを図示しないコンセントに接続するなど、制御手段および電動送風機45に給電可能な状態として、使用者が把持部21を把持して所望の設定ボタン22を操作することにより、制御手段が、設定された動作モードで電動送風機45を駆動させる。
【0059】
この電動送風機45は、電動機51の駆動により、回転軸52に連結された遠心ファン53が回転し、この遠心ファン53の吸気口65と気密に接続されたファンカバー55の吸込口67、カバー吸気口83、風路部46および開口部95を介して、負圧が集塵カップ24へと作用し、さらに、この集塵カップ24のカップ吸込口35と連通する本体吸込口100を介して、この本体吸込口100に気密に接続された管部12(の接続管部15、ホース体16、延長管18および床ブラシ19)へと負圧が作用して、被掃除面である床面上の塵埃を、空気とともに吸い込む。
【0060】
このとき、電動送風機45は、駆動に伴い発生する負圧により、シール部材71のリップ部75aを押圧しつつ上方向へと相対的に移動し、電動送風機45の吸込側と風路部46との接続の気密性がより確実となる。これに伴い、電動送風機45の周囲に固定された内周側支持体85も相対的に上方へと移動するため、ばね保持部85a,86aが互いに略等しい高さ位置となる。そして、電動送風機45は、駆動により回転方向に交差する径方向(中心軸方向)に振動が発生しようとするものの、このような振動成分は、略水平状となった各コイルばね87の伸縮により電動送風機45が調芯されることで吸収され、本体ケース25(カバー体56)への振動の伝達が抑制される。
【0061】
そして、吸い込まれた含塵空気は、管部12を介して本体吸込口100から連通接続部99およびカップ吸込口35を介してカップ本体部31の内部へと接線方向に沿って吸い込まれ、このカップ本体部31の内周面に沿って旋回する旋回流が発生することで、含まれる塵埃が遠心分離される。遠心分離された塵埃は、自重によりカップ本体部31内に落下して捕集され、塵埃が分離された空気は、風向制御部32および連通部37を介して開口部95から風路部46の導風部92へと吸い込まれる。
【0062】
この後、空気は、導風部92に沿って後方下側へと流れ、風路部46の接続風路部91に流入した際に膨張することで消音され、さらに、風路部46の接続風路部91に気密に接続された電動送風機45のカバー吸気口83および吸込口67を介して吸気口65から遠心ファン53内へと吸い込まれる。
【0063】
そして、遠心ファン53へと吸い込まれた空気は、遠心ファン53の外周方向へと吹き出され、整流板54により整流されつつ電動機51のフレーム62内へと流入し、電動機51のモータ本体部61を冷却しつつ、排気口63から電動送風機45の外部へと排気され、さらにカバー体56のカバー排気口を介してケース本体部41内へと排気され、制御手段などを冷却しつつ本体排気口から本体ケース25の外部へと排気される。
【0064】
掃除が終了すると、使用者が所定の設定ボタン22を操作することにより、電動送風機45の駆動を停止させる。
【0065】
上述したように、上記一実施形態によれば、吸気側を上方に向けて本体ケース25に配置した電動送風機45の周囲に、電動送風機45側の一端部が他端部に対して下方に位置して電動送風機45を上方に向けて付勢する複数のコイルばね87を放射状に取り付けることにより、例えば電動送風機45の停止状態などでも、自重(重力)による落ち込みによって電動送風機45の吸込側と風路部46との接続の気密性が低下することを防止でき、電動送風機45の吸込側を上側として本体ケース25に配置しつつ、電動送風機45のシール性(真空度)を確保でき、電動送風機45の吸込仕事率(吸込性能)を向上できるとともに、電動送風機45は、動作時でも、各コイルばね87により径方向に弾性的に支持されるので、回転駆動などに伴う振動(回転振動)を、各コイルばね87の弾性によって効果的に抑制でき、制振性(振動絶縁効果)を確保でき、振動に伴う騒音などを抑制して静音性を向上できる。
【0066】
特に、各コイルばね87によって電動送風機45を支持および付勢しているため、シール部材71に電動送風機45の支持および付勢などの機能を持たせずに済むので、シール部材71をより軟質とすることができ、シール性および制振性を向上できる。
【0067】
また、各コイルばね87の径方向の変形、すなわち座屈を抑制するばね保持部85a,86aを、各コイルばね87の軸方向に沿って形成することにより、各コイルばね87の必要以上の座屈によって、各コイルばね87による電動送風機45の付勢が損なわれることを防止できる。
【0068】
さらに、電動送風機45の少なくとも一部を覆うカバー体56と本体ケース25との間に緩衝部材58を配置することにより、肉厚および形状などの制約が本体ケース25と比較して少ないカバー体56にて各コイルばね87の端部を受けることができるので、例えばカバー体56を用いずに各コイルばね87の他端部を直接本体ケース25に固定する場合と比較して、各コイルばね87の他端部を受ける強度(剛性)を向上できるとともに、各コイルばね87によって電動送風機45の振動のカバー体56への伝達を抑制しつつ、さらにカバー体56の振動の本体ケース25への伝達を抑制できるので、電動送風機45を本体ケース25に対して二重に制振でき、制振性および静音性をより向上できる。
【0069】
なお、上記一実施形態において、ばね保持部85a,86aは、例えば各コイルばね87の軸方向に沿って突出する円筒リブ状などに形成し、内周側に各コイルばね87の端部を保持する構成としても同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
また、集塵部は、集塵カップ24に限定されるものではなく、例えば本体ケース25の内部に使い捨ての紙パックなどの集塵袋を集塵部として用いる構成でもよいし、本体ケース25の内部に集塵部である集塵室を区画し、この集塵室と電動送風機45の吸込側との間にフィルタを配置する構成などでもよい。
【0071】
さらに、電動送風機45は、吸込側(中心軸)を例えば水平方向に対して45°以上に傾斜させた構成であれば、上記の構成を適用できる。すなわち、吸込側(中心軸)を例えば水平方向に対して45°以上傾斜させた場合であれば、各コイルばね87の力が、重力により倒れる電動送風機45を支持する力としてよりも電動送風機45の回転振動を抑制する力として作用するので、上記一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0072】
そして、電気掃除機11としては、例えば床ブラシ19を掃除機本体13の下部に接続したアップライト型のものなど、任意の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0073】
11 電気掃除機
24 集塵部としての集塵カップ
25 本体ケース
45 電動送風機
46 風路部
56 カバー体
58 緩衝部材
71 シール部材
85a,86a 抑制部材としてのばね保持部
87 コイルばね
図1
図2
図3