(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる噴射容器について、以下に
図1〜2を参照して説明する。
図1に示すように、噴射容器1は、有底円筒状の胴部34及び胴部34の上部に縮径した口部32からなる容器本体3と、口部32に装着された噴射ユニット2とを備えるものであり、例えば、殺虫剤、洗浄剤、潤滑剤等の液体の内容物を噴射するものである。なお、説明の便宜上、噴射ユニット2側を上方、容器本体3側を下方として説明する。
【0012】
噴射ユニット2は、口部32と嵌合する嵌合部23と、操作部10と、噴射孔21が形成された噴射ノズル22とを備えるものである。嵌合部23の上方には、2枚の支持板24が立設され、操作部10が支持軸26により支持板24に軸支されている。
図2に示すように、噴射ノズル22は、口部32に備えられた噴射ボタン38に接続され、噴射ボタン38を押下した際に、容器本体3内の内容物を噴射方向Fで噴射するものである。噴射ボタン38の上方には、照射スイッチ36が備えられ、操作部10と噴射ボタン38とは、照射スイッチ36を介して接続されている。
【0013】
操作部10は、照射部11と、照射部11の下方に延設されたレバー20とを備えるものであり、レバー20を操作した際に、支持軸26を軸として回動可能とされたものである。照射部11には、略円形の開口部である照射孔12と、照射孔12に続く導光路13とが形成され、導光路13内には、照射孔12の近傍に位置する集光レンズ14、及び集光レンズ14を挟み照射孔12と反対側に位置する光源15が備えられている。光源15は電池16及び照射スイッチ36と電気的に接続されている。
【0014】
本実施形態において、「噴射手段」は、噴射ノズル22と、噴射ボタン38とで構成されている。
本実施形態において、「光照射手段」は、照射孔12と、導光路13と、集光レンズ14と、光源15とで構成されており、照射孔12から照射される光の照射方向Sが、噴射方向Fと略同方向とされたものである。ここで、「略同方向」とは、噴射対象に内容物を有効に噴射できる距離(有効噴射距離)において、照射部11から照射された光の広がり(照射範囲)の中心が、噴射ノズル22から内容物を噴射した際の内容物の広がり(噴射範囲)の中に入ることをいう。例えば、内容物が殺虫剤である場合、通常、噴射ノズル22の先端と駆除対象との距離が50〜100cmとされる。このため、照射方向Sと噴射方向Fとは、噴射ノズル22の先端から50〜100cmの距離で、照射範囲の中心が、噴射範囲内に位置するように設定されるのが好ましい。
有効噴射距離は、用途に応じて決定でき、例えば、内容物が殺虫剤である場合、噴射ノズル22の先端から、例えば、20〜120cmの距離とされる。なお、有効噴射距離は、噴射ノズル22の長さや、内容液中の噴射剤の割合を調節することにより、任意の距離に設定できる。
噴射範囲は、噴射孔21の孔径や形状、内容液中の噴射剤の割合により、任意に設定される。
照射範囲は、光源15の種類や、集光レンズ14の種類を変えることで、任意に設定される。
【0015】
容器本体3は、従来、エアゾール容器として用いられるものであればよく、例えば、ブリキ等の金属製、樹脂製、ガラス製の耐圧容器が挙げられる。
【0016】
照射孔12の孔径R(
図2)は、特に限定されず、例えば、2〜15mmとされる。
【0017】
光源15は、特に限定されず、例えば、LED(発光ダイオード)、ハロゲンランプ、白熱電球等が挙げられ、中でもLEDが好ましい。LEDであれば、照射部11を小型にできる。加えて、特定の波長の光を照射でき、例えば、内容物を殺虫剤とする場合、紫外線領域の光を排除することで、駆除対象の紫外線に対する忌避行動を防止できる。
光源15が発する光は、用途に応じて決定でき、例えば、内容物を殺虫剤とする場合、駆除対象となる衛生害虫の忌避性等を勘案して決定できる。例えば、駆除対象がゴキブリである場合、白色光、赤色光、橙色光、黄色光、緑色光が好ましく、中でも、500〜750nmである緑色〜黄色〜赤色がより好ましく、560〜700nmがさらに好ましい。このような波長の光源を用いることで、光を照射した際のゴキブリの忌避行動を防止し、内容物をゴキブリに噴射できる。
【0018】
集光レンズ14は、光源15が発する光を任意の範囲に集光できるものであればよい。通常、有効噴射距離内において、噴射された内容物は、噴射範囲の中心で濃度が高くなっている。このため、照射範囲が広すぎると、噴霧範囲の中心を噴射対象に当てにくくなる。一方、照射範囲が狭すぎると、暗所や狭小部で、噴射対象に照準を合わせにくくなる。従って、照射範囲は、用途、有効噴射距離、噴射範囲等を勘案して決定でき、例えば、内容物を殺虫剤とする場合、噴射ノズル22の先端から50〜100cmの距離で、直径1〜30cmが好ましく、5〜20cmがより好ましい。
【0019】
容器本体3に収納される内容物は、殺虫剤、忌避剤、洗浄剤、殺菌剤又は潤滑剤等と噴射剤とを含有するものであり、中でも、殺虫剤及び噴射剤を含有するものが好ましい。本発明は、暗所や狭小部に潜む衛生害虫の駆除において、その効果が顕著に現れる。
殺虫剤は、ゴキブリ、ハエ、蚊、ダニ、ノミ、シラミ、ムカデ等の害虫に致死作用等を有す有効成分を含有するものであり、有効成分としては従来公知の合成又は天然の各種化合物を任意に使用できる。例えば、ジョチュウギクエキス、ピレトリン、アレスリン、dl,d−T80−アレスリン、フタルスリン、d−T80−フタルスリン、レスメトリン、d−T80−レスメトリン、フラメトリン、d−T80−フラメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、エトフェンプロックス、d−T80−シフェノトリン、d・d−T−シフェノトリン、d・d−T−プラレトリン、EZ−エンペントリン、シフルトリン、イミプロトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、エキスリン、テラレスリン、サイパーメスリン等のピレスロイド系殺虫剤、カルバリル、プロポクスル等のカーバメート系殺虫剤、メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系殺虫剤、フェニトロチオン、マラチオン等の有機リン系殺虫剤、メトプレン、ジフルベンズロン、ピリプロキシフェン等のIGR剤(昆虫生育阻害剤)、フィプロニル、アミドフルメト、ヒドラメチルノン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニル、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニル−エチルカルボナート、4−クロルフェニール−3−ヨードプロパギルホルマール等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0020】
忌避剤は、害虫に忌避作用を有する有効成分を含有するものであり、有効成分としては、DEET、IR−3535、メチルウンデシルケトン、ネロリドール、ピネン、ユーカリプトール、シトロネラール、カンファー、リナロール、ゲラニオール、p−メンタン−3,8−ジオール、テルピネオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、ピレスロイド等の忌避剤、ユーカリ、シナモン、シトロネラ、クローブ、月桂樹、松、ペパーミント、ゼラニウム、ヒバ、レモングラス等から取られる精油、抽出液等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0021】
殺虫剤又は忌避剤に用いる溶媒は、特に限定されないが、例えば、水や、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコールアルキルエーテル類、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸n−ブチル、ミリスチン酸イソブチル等の有機酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、炭酸プロピレン等の環状エステル類、ヘキサン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、灯油等の脂肪族炭化水素類、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0022】
洗浄剤としては、従来公知の洗浄剤を用いることができ、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等の界面活性剤の水分散液等が挙げられる。
【0023】
殺菌剤としては、エタノール又はその水溶液、4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、次亜塩素酸ナトリウム等の水分散等が挙げられる。
【0024】
潤滑剤としては、例えば、ひまし油、菜種油等の植物油、シリコーン油等の合成油、鉱物油等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
噴射剤としては、ジメチルエーテル、液化石油ガス、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、2,3−ジハイドロデカフロロペンタン、1,1−ジフルオロエタン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン等が挙げられる。
【0026】
次に、噴射容器1の使用方法について、
図2〜4を用いて説明する。
図2の噴射容器1は、レバー20が操作されておらず、照射スイッチ36及び噴射ボタン38が押下されていない状態である。以下、
図2の状態を「常態」という。
図3は、噴射対象に向けて光を照射した状態を示す噴射装置1の部分断面図であり、
図4は、噴射対象に向けて光を照射しつつ、内容物を噴射した状態を示す噴射装置1の部分断面図である。
常態の噴射容器1のレバー20に手指を掛け、噴射ノズル22を噴射対象に向け、レバー20を矢印Aの方向、即ち、容器本体3に近づく方向に操作する。レバー20を矢印Aの方向に操作すると、操作部10は、支持軸26を軸として回動して操作部10aの状態となり(
図3)、照射スイッチ36を押下し、光源15を点灯させる。点灯した光源15が発した光は、導光路13内を伝播し、集光レンズ14を経て、照射孔12から照射光17として照射方向Sで照射される。この際、噴射ボタン38が押下されていないため、内容物は噴射されない(以上、照準操作)。
【0027】
次いで、照射光17を噴射対象に照射しながら、さらに、レバー20を矢印Bの方向に操作して(
図3)、支持軸26を軸として、操作部10aを回動させて操作部10bの状態とする(
図4)。操作部10bは、照射スイッチ36を介して噴射ボタン38を押下し、容器本体3内の内容液を噴射孔21から噴射方向Fで噴射する。そして、内容液は、任意の形状で霧状に広がる噴射液27となり、噴射対象に噴射される(噴射操作)。なお、この際、
図4に示す照射方向S1は、
図3に示す照射方向Sに比べて下方に傾斜するが、照準操作にて噴射対象を噴射範囲内に捉えているため、噴射液27は、照準操作で決定された照射範囲に応じた噴射範囲に噴射される。
【0028】
本実施形態によれば、内容物の噴射方向と略同方向に光を照射する光照射手段を備えているため、暗所や狭小部でも、噴射対象に対して内容物を正確に噴射できる。加えて、噴射対象から離れていても、噴射方向を噴射対象に合わせることができる。
さらに、照準操作と噴射操作とを1つのレバーの一連の操作により行えるため、より容易かつ正確に内容物を噴射対象に噴射できる。
【0029】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、エアゾール式の容器を用いているが、本発明はこれに限定されず、例えば、トリガーポンプを備える容器、即ち、レバーの操作によりポンプを作動させ、一定量の内容物を噴射するものであってもよい。なお、トリガーポンプを備える容器を用いる場合、内容物には噴射剤が含まれなくてよい。
【0030】
上述の実施形態では、1つのレバーにより、照準操作と噴射操作とを行えるものであるが、本発明はこれに限定されず、照準操作と噴射操作とを、それぞれ異なるレバー、スイッチ又はボタン等の操作により行うものであってもよい。例えば、操作部に備えられたスイッチを押すことで光源を点灯させ、このスイッチを押したまま、レバーを操作して内容物を噴射するもの等が挙げられる。ただし、より容易かつ正確に内容物を噴射対象に噴射するためには、上述の実施形態のように1つのレバーの一連の操作により、照準操作と噴射操作とを行えるものが好ましい。
【0031】
上述の実施形態では、照射部とレバーとが一体とされているが、本発明はこれに限定されず、照射部とレバーとは分離していてもよい。
【0032】
上述の実施形態では、レバーの上部に照射部が備えられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、照射部は容器本体に備えられていてもよいし、操作部の支持板に備えられていてもよい。また、照射部、レバー、噴射孔が一体となっていてもよい。ただし、容器本体を把持する際に障害になったり、レバーを操作する際に障害になったりすることを防止する観点からは、照射部はレバーの上部に備えられていることが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
光源にLED(製品名;OSHR5161A−QR、色調;赤色、ドミナント波長(λd);620〜630nm、標準光度;7cd、Opto Supply Limited製)を用い、
図1の噴射容器1と同様の噴射容器を作製した。
薄明下に直径42cmの有底円筒形の容器を置き、この容器内にゴキブリ1匹を放ち、30分以上放置して慣化させた。その後、ゴキブリが静止した時に、ゴキブリに対し噴射容器の光を照射(照射範囲;φ10cm、LED通電条件;24.5mA)し、ゴキブリの忌避行動が見られるまでの時間を計測した。忌避行動の観察は、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、クロゴキブリの3種類について、雄・雌各3匹に対し行った。忌避行動が見られるまでの時間(φ10cmの照射範囲から出るまでの時間)を下記忌避性判定基準に従って採点し、ゴキブリの種類毎の平均値を種類別忌避性とした。3種のゴキブリの種類別忌避性の平均値を下記総合判定基準に分類し、総合評価とした。これらの結果を表1に示す。
【0035】
<忌避性判定基準>
5点:60秒経過しても忌避行動が見られない。
4点:忌避行動までの時間が30秒以上60秒未満であった。
3点:忌避行動までの時間が15秒以上30秒未満であった。
2点:忌避行動までの時間が5秒以上15秒未満であった。
1点:忌避行動までの時間が5秒未満であった。
【0036】
<総合評価判定基準>
◎◎:種類別忌避性の平均(忌避性平均)が4.7点以上(忌避行動が認められない)。
◎:忌避性平均が4.0点以上4.7点未満(忌避行動が殆ど認められない)。
○:忌避性平均が3.0点以上4.0点未満(忌避行動がわずかに認められる)。
△:忌避性平均が2.0点以上3.0点未満(忌避行動が認められるが、実用上問題がない)。
×:忌避性平均が2.0点未満(明らかな忌避行動が認められる)。
【0037】
(実施例2)
光源をLED(製品名;OSHR5111A−TU、色調;赤色、ドミナント波長(λd);620〜630nm、標準光度;12cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表1に示す。
【0038】
(実施例3)
光源をLED(製品名;OSR5MA5111A−VW、色調;赤色、ドミナント波長(λd);620〜630nm、標準光度;18cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表1に示す。
【0039】
(実施例4)
光源をLED(製品名;OSYL5111A−TU、色調;黄色、ドミナント波長(λd);585〜595nm、標準光度;12cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表1に示す。
【0040】
(実施例5)
光源をLED(製品名;OSYL5161P、色調;黄色、ドミナント波長(λd);585〜595nm、標準光度;18cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表1に示す。
【0041】
(実施例6)
光源をLED(製品名;OSPG5111A−VW、色調;緑色、ドミナント波長(λd);520〜530nm、標準光度;18cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表1に示す。
【0042】
(実施例7)
光源をLED(製品名;OSUB511A、色調;青色、ドミナント波長(λd);465−475nm、標準光度;7cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表2に示す。
【0043】
(実施例8)
光源をLED(製品名;OSUB5111A−ST、色調;青色、ドミナント波長(λd);465−475nm、標準光度;10cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表2に示す。
【0044】
(実施例9)
光源をLED(製品名;OSSV5111A、色調;紫色、ピーク波長(λp);400nm、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表2に示す。
【0045】
(実施例10)
光源をLED(製品名;OSPW5111B−QR、色調;白色、ドミナント波長(λd);400−630nm、標準光度;7cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表2に示す。
【0046】
(実施例11)
光源をLED(製品名;NSPW500CS、色調;白色、ドミナント波長(λd);400−630nm、標準光度;18cd、日亜化学工業株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表2に示す。
【0047】
(実施例12)
光源をLED(製品名;OSPW5111A−Z3、色調;白色、ドミナント波長(λd);400−630nm、標準光度;30cd、Opto Supply Limited製)とした以外は、実施例1と同様にして噴射容器を作製し、ゴキブリの忌避行動を観察した。その結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
表1〜2の実施例1〜12に示すように、光源を赤色、黄色、緑色、青色、紫色、白色のいずれとしても、ゴキブリに照準を合わせてから、殺虫剤を噴射するのに必要な時間を確保できることが判った。
中でも、光源を赤色、黄色、緑色、白色とした場合、光源を青色、紫色とした場合に比べて、ゴキブリが忌避行動を起こすまでの時間が相対的に長かった。特に、光源を赤色、黄色又は緑色とした実施例1〜6は、いずれも総合評価が「○」、「◎」又は「◎◎」であった。
【0051】
(実施例13)
実施例3で作製した噴霧容器に、エアゾール原液(有効成分;イミプロトリン0.25g/100cm
3、溶媒:灯油)90cm
3と、噴射剤(LPG)210cm
3との混合物を内容物として充填し、容器入り殺虫剤とした。
ゴキブリが視認できる程度に調整した薄明下の試験室(6畳)にクロゴキブリ1匹を放ち、クロゴキブリとの距離が、常時、表中の「噴射距離」となるようにし、殺虫剤を噴射した。噴射開始からクロゴキブリがノックダウンするまでの時間(噴射時間)を測定した。これを3回繰り返し、その平均値を表3に示す。
【0052】
(比較例1)
容器入り殺虫剤を市販のエアゾール式殺虫剤Aに換えた以外は、実施例13と同様にして、噴射時間を測定し、その結果を表3に示す。
【0053】
(比較例2)
容器入り殺虫剤を市販のエアゾール式殺虫剤Bに換えた以外は、実施例13と同様にして、噴射時間を測定し、その結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表3に示すように、本発明を適用した実施例13は、いずれの噴射距離であっても、市販のエアゾール式殺虫剤A、Bよりも短持間でゴキブリをノックダウンできた。
この結果から、本発明を適用した容器入り殺虫剤は、駆除対象へ容易かつ正確に照準を合わせられることが判った。