(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707072
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20150402BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20150402BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20150402BHJP
H02M 3/07 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 520
G02F1/133 550
G09G3/20 611A
G09G3/20 612D
G09G3/20 612K
G09G3/20 612L
G09G3/20 621M
G09G3/20 633E
G09G3/20 680G
H02M3/07
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-206542(P2010-206542)
(22)【出願日】2010年9月15日
(65)【公開番号】特開2011-186426(P2011-186426A)
(43)【公開日】2011年9月22日
【審査請求日】2010年9月16日
【審判番号】不服2014-3770(P2014-3770/J1)
【審判請求日】2014年2月27日
(31)【優先権主張番号】12/719,873
(32)【優先日】2010年3月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502429109
【氏名又は名称】奇景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】楊 思傑
(72)【発明者】
【氏名】張 耀光
(72)【発明者】
【氏名】黄 獻霆
【合議体】
【審判長】
新川 圭二
【審判官】
樋口 信宏
【審判官】
森 竜介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−233202(JP,A)
【文献】
特開2004−343893(JP,A)
【文献】
特開平5−191367(JP,A)
【文献】
特開平4−56437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G09G 3/20
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置、
前記表示装置を駆動する、前記表示装置に備えられた駆動回路、
前記表示装置に外部結合されたフレキシブルプリント回路、
前記駆動回路に対して少なくとも出力電圧を生成する、前記フレキシブルプリント回路に備えられたチャージポンプ回路、及び
前記チャージポンプ回路を制御するように制御信号を生成する、前記表示装置に備えられて前記駆動回路に結合された制御回路、
を有する表示システムであって、
前記チャージポンプ回路は、前記制御回路から生成される前記制御信号を受信する、前記制御回路に結合された1つのみの制御ピンを有し、
前記チャージポンプ回路は、
チャージポンプユニット、
前記制御ピンに結合され、前記制御信号をローパスフィルタリングすることによりクロック信号を生成し、前記制御信号をハイパスフィルタリングすることにより処理信号を生成する分離回路、並びに
前記分離回路及び前記チャージポンプユニットに結合され、前記クロック信号及び前記処理信号に従って前記チャージポンプユニットを制御し、前記処理信号に基づき前記チャージポンプユニットのポンピングファクタを設定する処理ユニット、
を有する、
表示システム。
【請求項2】
前記表示装置は薄膜トランジスタ液晶表示(TFT−LCD)装置であり、前記駆動回路はTFT−LCDドライバICである、請求項1に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示システムに関し、特に、電圧変換効率を改善する表示装置に外部結合されたフレキシブルプリント回路(FPC)にチャージポンプ回路を備えた表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
チャージポンプは、高電圧電源か又は低電圧電源のどちらかを作製する蓄電要素としてキャパシタを用いる一種のDC/DCコンバータである。チャージポンプは、キャパシタへの電圧接続を制御するある形式のスイッチング装置を用いる。チャージポンプは、制御器及び回路トポロジに依存して、電圧を2倍にする、電圧を3倍にする、電圧を半分にする、電圧を反転する、x3/2、x4/3、x2/3等に分数積を得る又は電圧をスケーリングする、及び任意の電圧を生成する。従来のチャージポンプ回路は、電圧電源、1つ又はそれ以上の電荷容量、負荷容量、複数の回路スイッチ及びそれらの回路スイッチを制御するために用いられる固定周波数クロックを有する。実施例(例えば、2倍2相回路)としてクロック周期を用いて、前半期間においては、回路スイッチは、ある電圧レベルに対して電荷容量を充電するように電荷容量と電圧電源との間の並列接続を構成するように用いられ、後半期間においては、回路スイッチは、電圧電源と電荷容量と負荷容量との間の直列接続を構成するように用いられる。複数の周期が繰り返された後、負荷容量の両側における電圧差は、元の電圧電源の電圧レベルに比べてかなり大きい電圧レベルまで大きくされる。
【0003】
従来の小型及び中型薄膜トランジスタ液晶表示(TFT−LCD)装置においては、スクリーンが大型化されるにつれて、消費電力も増大する。チャージポンプ回路がTFT−LCD装置の駆動回路内に備えられる場合、その電圧変換効率は、ITO(Indium Tin Oxide)抵抗により制限されるために、悪化する。
【0004】
更に、システムエンドは、TFT−LCD装置の駆動回路に2.0V乃至4.8Vの範囲内の入力電圧を直接供給するように所望されるために、チャージポンプ回路は、その所望の出力電圧を供給するように異なる倍数(1.5倍、2倍又は3倍等)を有する電圧変換比をサポートすることが可能である必要がある。従って、当該産業における重要な研究開発のテーマは、ITO抵抗により影響されることなくTFT−LCD装置におけるチャージポンプ回路をどのように備えるかということ、及びチャージポンプ回路をどのように制御するかということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するように、表示装置に外部結合されたフレキシブルプリント回路(FPC)にチャージポンプ回路を備えた表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示としての実施形態に従って、表示システムが提供される。その例示としての表示システムは、表示装置と、駆動回路と、FPCと、チャージポンプ回路と、制御回路とを有する。駆動回路は、表示装置を駆動するように表示装置に備えられる。FPCは表示装置に外部接続される。チャージポンプ回路は、駆動回路に対して少なくとも出力電圧を生成するようにFPCに備えられる。制御回路は、チャージポンプ回路を制御する制御信号を生成するように、表示装置に備えられ、駆動回路に結合される。チャージポンプ回路は、制御回路により生成された制御信号を受け入れるように、制御回路に結合された制御ピンを有する。
【0007】
本発明の上記の及び他の目的は、添付図に例示されている好適な実施形態についての以下の詳細説明を理解することにより、当業者にとって明確になることに疑う余地はない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の例示としての実施形態に従った表示システムを示す図である。
【
図2】制御信号、クロック信号及び処理信号のそれぞれを示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲を通して特定の構成要素を参照するように、特定の用語が用いられる。当業者が認識しているように、ハードウェアの製造業者がある構成要素を異なる複数の呼び方をすることがあり得る。本明細書においては、呼び方が異なっているが機能が異なっていない複数の構成要素間で区別するように意図されていない。以下の説明及び特許請求の範囲においては、用語“を有する”は、無制限に用いられ、従って、“有する”を意味するとして解釈される必要があるが、限定的なものではない。用語“結合”及び“結合される”は、非直接電気接続か又は直接電気接続のどちらかを意味するように意図されている、従って、第1装置が第2装置に結合されている場合、その接続は、直接電気接続によるものであるか、他の装置及び接続を介する非直接電気接続によるものであることが可能である。
【0010】
チャージポンプ回路が薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)装置の駆動回路からフレキシブルプリント回路(FPC)に移動される場合に、FPCに備えられたチャージポンプ回路の動作をどのように制御するかを考慮する必要がある。それについては、
図1を参照されたい。
図1は、本発明の例示としての実施形態に従った表示システム100を示す図である。表示システム100は、表示装置110と、パネル120と、駆動回路130と、制御回路140と、フレキシブルプリント回路150と、チャージポンプ回路160とを有する。パネル120は表示装置110に備えられている。駆動回路130は、パネル120を駆動するように表示装置110に備えられている。制御回路140も、チャージポンプ回路160を制御する制御信号を生成するように、表示装置110に備えられ、駆動回路130に結合されている。フレキシブルプリント回路150は、表示装置110に外部結合されている。チャージポンプ回路160は、制御回路140により生成される制御信号SCに従って駆動回路130に少なくともある出力電圧を生成するように、フレキシブルプリント回路150に備えられている。
【0011】
この例示としての実施形態においては、チャージポンプ回路160は、制御ピン162と、チャージポンプユニット164と、分離回路166と、処理ユニット168とを有する。
図1に示すように、制御ピン162は、制御回路140から生成された制御信号SCを受け入れるように、制御回路140に結合されている。換言すれば、チャージポンプ回路160が1つの制御信号を受け入れるように信号ピンのみが備えられていることのために、制御回路140からチャージポンプ回路160に送信されることが可能である1つのみの制御信号が存在する。チャージポンプユニット164が、駆動回路130に対して少なくとも出力電圧を生成するように用いられる。分離回路166は、受け入れられた制御信号SCからクロック信号S
clock及び処理信号S
processをもたらすように、制御ピン16に結合されていて、処理信号S
processはデータ信号S
data又はコマンド信号S
commandであることが可能である。処理ユニット168は、分離回路166から生成されたクロック信号S
clock及び処理信号S
processを受け入れるように、そしてクロック信号S
clock及び処理信号S
processに従ってチャージポンプユニット164を制御するように、分離回路166とチャージポンプユニット164との間に結合されている。チャージポンプ回路160はポンピングファクタPF1を設定し、制御信号SCに従って2つの出力電圧VSP及びVSNを生成し、それらの出力電圧VSP及びVSNは使用するために駆動回路130に送信される。
【0012】
更に、本実施形態における分離回路166はローパスフィルタ1662及びハイパスフィルタ1664を有する。ローパスフィルタ1662は、クロック信号S
clockを生成するように制御信号SCをフィルタリングするように、制御ピン172に結合されている。ハイパスフィルタ1664は、処理信号S
processを生成するように制御信号SCをフィルタリングするように、制御ピン162に結合されている。本実施形態においては、分離回路166は、制御信号SCからクロック信号S
clock及び処理信号S
processをもたらす2つのフィルタを利用するが、このことは本発明の制限として捉えられるべきでないことに留意されたい。換言すれば、分離回路166は、実際の設計の考慮に依存して、他の種類の回路を利用することによりクロック信号S
clock及び処理信号S
processをもたらすことが可能である。制御回路140及びチャージポンプ回路160の動作については、特定の図及び実施形態を用いて下で詳述する。
【0013】
明確化及び簡単化のために、本発明のこの実施形態については、添付図を参照して下で詳述することに留意されたい。しかしながら、本発明はそれに限定されるものでないことに留意する必要がある。
図1に関連付けて
図2を参照されたい。
図2は、制御信号SC、クロック信号S
clock及び処理信号S
processのそれぞれを示すタイミング図である。制御回路140は、駆動回路130の要求に従ってチャージポンプ回路160を制御する制御信号SCを生成する。本実施形態においては、
図2に示すように、制御回路140は、高周波数で送信された処理信号S
process及び関連低周波数で送信されたクロック信号S
clockを制御信号SCに結合する。しかしながら、本発明はそのことに限定されるものでない。
【0014】
チャージポンプ回路160の分離回路166は、制御ピン162を介して制御信号SCを受信する。ローパスフィルタ1662及びハイパスフィルタ1664は、
図2に示されているクロック信号S
clock及び処理信号S
processのそれぞれを生成するようにその受信された制御信号SCをフィルタリングする。その場合、分離回路166のハイパスフィルタ1664は、制御信号SCの高周波数信号成分のキャリア位置に従ってデータ信号S
data又はコマンド信号S
commandを選択的に生成する。例えば、クロック信号S
clockの高周波数に位置している制御信号SCの高周波数信号成分はデータ信号S
data(例えば、
図2に示されている論理値“0110”)とみなされ、クロック信号S
clockの低周波数に位置している制御信号SCの高周波数信号成分はコマンド信号S
command(例えば、
図2に示されている論理値“1011”)とみなされる。チャージポンプ回路160は、クロック信号S
clock及び処理信号S
processに従って2つの出力電圧VSP及びVSNを生成する。例えば、本実施形態においては、チャージポンプ回路160は、論理値“1011”を有するコマンド信号S
commandに従ってポンピングファクタPF1を3/2に設定する。
【0015】
図1から理解できるように、チャージポンプ回路160は、表示装置110の駆動回路130に備えられるのではなく、フレキシブルプリント回路150に備えられている。従って、チャージポンプ回路160の電圧変換効率は、ITO(Indium Tin Oxide)抵抗Rにより制限されないために、実質的に改善されることが可能である。更に、1つの制御信号SCのみが、コストを低減する目的を達成するためにチャージポンプ回路160のピン数(ピンカウント)を最小にする、チャージポンプ回路160の電圧変換比を制御するために必要である。上記の表示装置110はTFT−LCD装置であることが可能であり、駆動回路130はTFT−LCDドライバICであることが可能であるが、このことは本発明を制限するとして解釈されるべきでない。また、チャージポンプ回路160において実施される装置の全ては単一のIC(例えば、SoC(System−on−a−Chip)に集積されることが可能であり、その場合、チャージポンプユニット164は、出力電圧をより高精度に供給することが可能である。
【0016】
上記の実施形態は、単に本発明の特徴を説明するために提示されたものであり、本発明の範囲を制限するものとして決して解釈されるべきものではない。要約すると、本発明は、電圧変換効率を改善するように表示装置に外部結合されたFPCにチャージポンプ回路を備えた表示システムを提供する。本発明の表示システムは、FPCに備えられたチャージポンプ回路を制御するように信号制御ピン及び制御信号を利用する。従って、この表示システムにおけるチャージポンプ回路160の電圧変換効率は、ITO(Indium Tin Oxide)抵抗により制限されるものでない。
【0017】
当業者は、本発明の教示を保ちつつ、上記装置及び方法の多くの修正及び変形が行われることが可能であることを容易に認識することができる。従って、上記の開示は、本明細書と同時提出の特許請求の範囲のみにより制限されると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0018】
110 表示装置
120 パネル
130 駆動回路
140 制御回路
150 フレキシブルプリント回路
160 チャージポンプ回路
164 チャージポンプユニット
166 分離回路
168 処理ユニット
1662 ローパスフィルタ
1664 ハイパスフィルタ