【0026】
本発明はパーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC)を使用して本発明の最終のPETコポリエステルを分析する。試験手順を下記に示す。
1.約3mgの固相重合するPETコポリエステルを取り出す;
2.300℃まで加熱しPETコポリエステルを溶融する;
3.溶融したPETコポリエステルを300℃に5分間維持する;
4.溶融したPETコポリエステルを室温まで急速に冷却する;
5.20℃/分の所定加熱率で再加熱してPETコポリエステルにガラス転移、結晶化、及び溶融を含む相転移を経させる。これらの転移はDSCにより高感度で検出されるエネルギー変化又は熱容量変化を含む。
【実施例】
【0034】
実施例1
79.54kgの精製されたテレフタル酸(PTA)と、2.04kgのイソフタル酸(IPA)、1.38kgのジエチレングリコール(DEG)と、2.98kgの2,6‐ナフタレンジカルボン酸(2,6‐NDC)と、37.78kgのエチレングリコール(EG)とを計量し、混合してよく混ざったスラリーを形成し、このスラリーを260℃まで加熱し、エステル化圧を1.5〜2.0kg/cm
2に維持してエステル化反応を行った。エステル化率は95%より高かった。
【0035】
エステル化反応後、チタン酸テトラブチル(TBT)を重縮合触媒として加えた。チタンの添加量はPETコポリエステルの6.0ppmであった。更に、6グラムのリン酸を熱安定剤として加え、blue 104等の青色染料もPETコポリエステルの1.0ppmの濃度で加えた。引き続き、温度を270℃まで上げ反応圧を760〜20トルに制御してプレ重合反応を行った。
【0036】
1時間の反応後、温度を280℃まで更に上げ、真空度を1トル未満に下げて、生成された重合体の固有粘度が0.60dl/gに達するまで重縮合反応を行った。次に、生成された重合体はダイヘッドを通して押し出され、急速に冷却され、柱状コポリエステルチップに切断される。
【0037】
コポリエステルチップを内部が温度200〜220℃で真空度1トル未満の双錐回転真空乾燥タンクに入れて固相重合反応を更に行い、コポリエステルチップの固有粘度を0.72dl/gまで上げた。
【0038】
得られたPETコポリエステルの組成を分析した結果、IPAの含有量はPETコポリエステルに対して2.5モル%であり、DEGの含有量はPETコポリエステルに対して2.5モル%であり、2,6‐NDCの含有量はPETコポリエステルに対して2.5モル%であった。
【0039】
固相重合中のPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量を分析するために、300℃まで急速に加熱してPETコポリエステルを溶融し、次に室温まで急速に冷却し、冷却されたPETコポリエステルを20℃/分の所定加熱率で再加熱してPETコポリエステルに完全に相転移をさせる。
パーキンエルマー社製のDSCで測定したPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱量の値は、表1に示すように7.1ジュール/グラムであった。
【0040】
引き続き、射出吹込み機を使用して最終の得られたPETコポリエステルを溶融温度275〜280℃で重量685グラム、ボトル胴体厚み8.5〜9.0ミリメートル、長さ410ミリメートルのボトルプリフォームに射出成形した。このボトルプリフォームを延伸ブロー成形機に入れ、ボトルプリフォームの温度110℃でボトルプリフォームを内部容量5ガロンの容器にブロー成形した。延伸ブロー成形プロセスは安定であった。
【0041】
ボトルプリフォームと容器との物理的特性を分析した結果を表1に示す。本PETコポリエステルでできたボトルプリフォームは優れた透明性を有し結晶性曇りがなかった。また、5ガロン容器の透明性と強度の両方が良好であり、特に、返却、洗浄、再充填のプロセスにおいて、20回まで返却され再充填が可能であり、ひびも変形も発生することなく美観及び機能上の適正を維持した。
【0042】
実施例2
プロセスは実施例1と同じであるが、得られたPETコポリエステルの組成は、PETコポリエステルに対して2.5モル%のIPAと、2.5モル%のDEGとを含んでいた。固相重合後、PETコポリエステルの固有粘度は0.81dl/gであった。
表1に示すように、得られたPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量は、8.9ジュール/グラムであった。このコポリエステルでできたボトルプリフォームは良好な透明性を有し結晶性曇りがなかった。このボトルプリフォームからブロー成形された5ガロン容器は良好な透明性と良好な強度とを有し、また、20回の返却後、ひびも変形もなくまだ返却再充填が可能であった。
【0043】
実施例3
プロセスは実施例1と同じであるが、得られたPETコポリエステルの組成は、IPAと2,6‐NDCとを含まず、PETコポリエステルに対して2.5モル%のDEGを含んでいた。固相重合後、PETコポリエステルの固有粘度は0.9dl/gであった。
表1に示すように、得られたPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量は、10.0ジュール/グラムであった。このコポリエステルでできたボトルプリフォームは良好な透明性を有し結晶性曇りがなかった。このボトルプリフォームからブロー成形された5ガロン容器は良好な透明性と良好な強度とを有し、また、20回の返却後、ひびも変形もなくまだ返却再充填が可能であった。
【0044】
実施例4
プロセスは実施例1と同じであるが、得られたPETコポリエステルの組成は、PETコポリエステルに対して1.5モル%のIPAと、2.0モル%のDEGとを含んでいた。固相重合後、PETコポリエステルの固有粘度は0.84dl/gであった。
表1に示すように、得られたPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量は、8.0ジュール/グラムであった。このコポリエステルでできたボトルプリフォームは良好な透明性を有し結晶性曇りがなかった。このボトルプリフォームからブロー成形された5ガロン容器は良好な透明性と良好な強度とを有し、また、20回の返却後、ひびも変形もなくまだ返却再充填が可能であった。
【0045】
実施例5
プロセスは実施例1と同じであるが、得られたPETコポリエステルの組成は、IPAを含まず、PETコポリエステルに対して2.0モル%のDEGと、2.5モル%の2,6‐NDCとを含んでいた。固相重合後、PETコポリエステルの固有粘度は0.76dl/gであった。
表1に示すように、得られたPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量は、9.0ジュール/グラムであった。このコポリエステルでできたボトルプリフォームは良好な透明性を有し結晶性曇りがなかった。このボトルプリフォームからブロー成形された5ガロン容器は良好な透明性と良好な強度とを有し、また、20回の返却後、ひびも変形もなくまだ返却再充填が可能であった。
【0046】
比較例1
プロセスは実施例1と同じであるが、アンチモン(Sb)を重縮合触媒として選択し加えた、アンチモンの添加量はPETコポリエステルの6.0ppmであった。得られたPETコポリエステルの組成は、PETコポリエステルに対して5.0モル%のIPAと、2.5モル%のDEGとを含んでいた。固相重合後、PETコポリエステルの固有粘度は0.83dl/gであった。
表1に示すように、得られたPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量は、6.5ジュール/グラムであった。このコポリエステルでできたボトルプリフォームは良好な透明性を有していたが、射出工程で発生したボトルプリフォームの不均一な厚みによって結晶性曇りも有していた。このボトルプリフォームからブロー成形された5ガロン容器は、15回の返却後、ひび又は変形が発生し返却再充填ができなかった。
【0047】
比較例2
プロセスは比較例1と同じであるが、得られたPETコポリエステルの組成は、PETコポリエステルに対して2.4モル%のIPAと、2.4モル%のDEGとを含んでいた。固相重合後、PETコポリエステルの固有粘度は0.84dl/gであった。
表1に示すように、得られたPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量は、15.5ジュール/グラムであった。このコポリエステルでできたボトルプリフォームは結晶性曇りを有し透明性が悪かった。このボトルプリフォームからブロー成形された5ガロン容器は、近赤外光により更に加熱する必要があり、その結果、5ガロン容器は曇り、ブロー成形工程において容易に壊れ、返却再充填ができなかった。
【0048】
比較例3
プロセスは比較例1と同じであるが、得られたPETコポリエステルの組成は、IPAと2,6‐NDCとを含まず、PETコポリエステルに対して2.5モル%のDEGを含んでいた。固相重合後、PETコポリエステルの固有粘度は0.9dl/gであった。
表1に示すように、得られたPETコポリエステルの結晶化転移時の放出熱の量は、29.0ジュール/グラムであった。このコポリエステルでできたボトルプリフォームは結晶性曇りを有し透明性が悪かった。このボトルプリフォームからブロー成形された5ガロン容器は、近赤外光により更に加熱する必要があり、その結果、5ガロン容器は曇り、ブロー成形工程において容易に壊れ、返却再充填ができなかった。
【0049】
結果
1.実施例1〜5で得られたPETコポリエステルは、DSC分析で測定した20℃/分の所定加熱率での結晶化転移時の放出熱の最大量は10ジュール/グラム未満であるという優れた特性を有する。
2.実施例1〜5で得られたPETコポリエステルから製造された5ガロン容器は、良好な透明性と強度とを有し、20回まで返却再充填が可能である。
3.実施例1〜5で製造された5ガロン容器は、人の健康に害のあるアンチモン化合物を含まない。各5ガロン容器は環境上非常に価値がある。
【0050】
【表1】