特許第5707121号(P5707121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5707121レンズ収納機構およびそれを用いた光学撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707121
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】レンズ収納機構およびそれを用いた光学撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20150402BHJP
   G03B 17/04 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   G03B5/00 E
   G03B17/04
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-284843(P2010-284843)
(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公開番号】特開2012-133103(P2012-133103A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】日東光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩一
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−189516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 17/04
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のレンズ群を光軸に沿う撮像位置と光軸から外れる退避位置との間で移動させるレンズ収納機構であって、
スライドガイド部を有する本体部と、
前記本体部に対して接離する接離方向に沿って移動すると共に、光軸に沿う光を通過させる中心孔を有するレンズ群支持枠と、
前記レンズ群支持枠よりも前記本体部に近接する側に設けられ、前記所定のレンズ群を支持すると共に、摺動部を有するレンズ群固定枠と、
前記レンズ群支持枠に取り付けられると共に、前記レンズ群固定枠の摺動をガイドするガイド部材と、
前記レンズ群支持枠から前記本体部側に向かって突出し、前記レンズ群支持枠のうち前記中心孔を挟んで前記退避位置から離間する側に設けられると共に、第一案内部を備える第一移動支持部材と、
前記第一移動支持部材が近接してくる場合には前記第一案内部に当接する当接部を有し、前記摺動部に摺動可能な第二案内部を有すると共に、前記スライドガイド部によって前記撮像位置と前記退避位置とを結ぶ退避移動方向に沿う移動がガイドされる第二移動支持部材と、
を有し、
前記レンズ群支持枠が前記本体部に向かって移動する場合には、前記当接部が前記第一案内部に摺動することによって、前記第二移動支持部材が前記スライドガイド部によりガイドされつつ前記退避位置に向かって移動させられると共に、
前記当接部が前記第一案内部に当接するのに前後して前記摺動部が前記第二案内部に当接し、前記第二移動支持部材が前記退避位置に向かって移動するのにつれて、前記摺動部が前記第二案内部に摺動することによって、前記レンズ群固定枠が前記退避位置に向かって移動させられる、
ことを特徴とするレンズ収納機構。
【請求項2】
請求項1記載のレンズ収納機構であって、
前記第一案内部は、前記退避位置側に向かうにつれて前記本体部から離間する側に向かうように傾斜する第一傾斜部であり、
前記第二案内部は、前記退避位置側に向かうにつれて前記本体部に向かうように傾斜する第二傾斜部であり、
前記ガイド部材は一対のガイド軸であり、
前記摺動部は、前記レンズ群固定枠の側方から離間する向きに向かって突出すると共に前記ガイド軸によってガイドされる一対の外方突出部のうち一方側の先端部分に存在する摺動軸部である、
ことを特徴とするレンズ収納機構。
【請求項3】
請求項2記載のレンズ収納機構であって、
前記第一移動支持部材の前記退避位置側には、前記第一傾斜部に隣接して前記接離方向に沿う第一垂直部が設けられていて、
前記第二移動支持部材の前記退避位置から離間する側には、前記接離方向に沿う第二垂直部が設けられていると共に、前記退避位置側には前記接離方向に沿う第三垂直部が設けられている、
ことを特徴とするレンズ収納機構。
【請求項4】
求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ収納機構であって、
前記第二移動支持部材には、第一の付勢手段によって前記退避位置から離間する向きの付勢力が与えられると共に、
前記レンズ群固定枠には、第二の付勢手段によって前記退避位置から離間する向きの付勢力が与えられる、
ことを特徴とするレンズ収納機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ収納機構を具備することを特徴とする光学撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ収納機構およびそれを用いた光学撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラのような光学系の機器においては、たとえば特許文献1に示すように、レンズ収納機構の小型化を図るべく、非撮影時には第二レンズ群を光路内に配置した状態から、光路外に退避させるものが知られている。この特許文献1には、駆動ギア102が当接部101に当接することにより、時計回りに回動させられ、その回動している駆動ギア102がギア部103と噛み合う。それにより、駆動レバー104が反時計回りに回動させられる。ここで、駆動レバー104の係合孔104aには、第二レンズ枠3の軸部33が係合している。そのため、駆動レバー104の反時計回りの回動に伴って、第二レンズ枠3が光路外の位置に退避させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−189516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、第二レンズ枠3を退避させるために、当接部101、駆動ギア102、ギア部103を有する駆動レバー104、バネ103a、取付レバー105等を有している。また、駆動ギア102や駆動レバー104が回動する支点となる回動軸を設ける必要もある。そのため、特許文献1に開示の構成では、構成が複雑なものとなってしまう。
【0005】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構成が単純でありながらも、第二レンズ群を退避させることが可能なレンズ収納機構およびそれを用いた光学撮像装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のレンズ収納機構の第一の側面は、所定のレンズ群を光軸に沿う撮像位置と光軸から外れる退避位置との間で移動させるレンズ収納機構であって、スライドガイド部を有する本体部と、本体部に対して接離する接離方向に沿って移動すると共に、光軸に沿う光を通過させる中心孔を有するレンズ群支持枠と、レンズ群支持枠よりも本体部に近接する側に設けられ、所定のレンズ群を支持すると共に、摺動部を有するレンズ群固定枠と、レンズ群支持枠に取り付けられると共に、レンズ群固定枠の摺動をガイドするガイド部材と、レンズ群支持枠から本体部側に向かって突出し、レンズ群支持枠のうち中心孔を挟んで退避位置から離間する側に設けられると共に、第一案内部を備える第一移動支持部材と、第一移動支持部材が近接してくる場合には第一案内部に当接する当接部を有し、摺動部に摺動可能な第二案内部を有すると共に、スライドガイド部によって撮像位置と退避位置とを結ぶ退避移動方向に沿う移動がガイドされる第二移動支持部材と、を有し、レンズ群支持枠が本体部に向かって移動する場合には、当接部が第一案内部に摺動することによって、第二移動支持部材がスライドガイド部によりガイドされつつ退避位置に向かって移動させられると共に、当接部が第一案内部に当接するのに前後して摺動部が第二案内部に当接し、第二移動支持部材が退避位置に向かって移動するのにつれて、摺動部が第二案内部に摺動することによって、レンズ群固定枠が前記退避位置に向かって移動させられる、ものである。
【0007】
また、本発明のレンズ収納機構の他の側面は、上述の発明に加えて更に、第一案内部は、退避位置側に向かうにつれて本体部から離間する側に向かうように傾斜する第一傾斜部であり、第二案内部は、退避位置側に向かうにつれて本体部に向かうように傾斜する第二傾斜部であり、ガイド部材は一対のガイド軸であり、摺動部は、レンズ群固定枠の側方から離間する向きに向かって突出すると共にガイド軸によってガイドされる一対の外方突出部のうち一方側の先端部分に存在する摺動軸部である、ことが好ましい。
【0008】
さらに、本発明のレンズ収納機構の他の側面は、上述の発明に加えて更に、第一移動支持部材の退避位置側には、第一傾斜部に隣接して接離方向に沿う第一垂直部が設けられていて、第二移動支持部材の退避位置から離間する側には、接離方向に沿う第二垂直部が設けられていると共に、退避位置側には接離方向に沿う第三垂直部が設けられている、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明のレンズ収納機構の他の側面は、上述の各発明に加えて更に、第二移動支持部材には、第一の付勢手段によって退避位置から離間する向きの付勢力が与えられると共に、レンズ群固定枠には、第二の付勢手段によって退避位置から離間する向きの付勢力が与えられる、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明の他の側面である光学撮像装置は、上述の各発明に係るレンズ収納機構を具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、構成が単純でありながらも、第二レンズ群を退避させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係るレンズ収納機構の構成を示す側断面図であり、各筒が飛び出した状態を示す図である。
図2】レンズ収納機構の構成を示す側断面図であり、各筒が収納されている状態を示す図である。
図3】レンズ収納機構のうち、スライドガイド部付近の構成を示す側断面図である。
図4】第二レンズ群退避機構の構成を示す側断面図であり、図5のA−A線に沿って切断したものを示す図である。
図5】第二レンズ群退避機構の構成を示す図であり、後方側から前方側を見た状態を示す図である。
図6】第二レンズ群退避機構の構成を示す側断面図であり、図5のB−B線に沿って切断したものを示す図である。
図7】第二レンズ群退避機構の構成を示す側断面図であり、第二レンズ群が撮像位置に位置する状態を示す側断面図である。
図8】第二レンズ群退避機構の動作の様子を示す図であり、(A)は第二レンズ群が撮像位置に位置している状態を示し、(B)は第二レンズ群の退避位置に向けた移動が開始された状態を示し、(C)は第二レンズ群が移動して中心孔から見えなくなった状態を示す図である。
図9】第二レンズ群退避機構の動作の様子を示す図であり、(A)は第一傾斜部と第三傾斜部とが当接している状態を示し、(B)は各筒が完全に収納された状態を示す図である。
図10】比較例に係る第二レンズ群退避機構の動作の様子を示す図であり、(A)は図8(A)に対応する状態を示し、(B)は図8(B)に対応する状態を示し、(C)は図8(C)に対応する状態を示す図である。
図11】比較例に係る第二レンズ群退避機構の動作の様子を示す図であり、(A)は図9(A)に対応する状態を示し、(B)は図9(B)に対応する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係るレンズ収納機構10およびこのレンズ収納機構10を用いた光学撮像装置11について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、図1において撮像部90に対して第一レンズ群が接離する方向を前後方向とし、撮像部90から第一レンズ群に向かう側を前方側とし、それとは逆側を後方側として説明する。
【0014】
図1および図3に示すように、レンズ収納機構10は、本体部20と、固定筒30と、第一直進筒40と、カム筒50と、回転筒60と、第二直進筒70と、第一レンズ枠80と、第二レンズ群退避機構100とを具備している。また、これらのレンズ収納機構10は、撮像部90を具備する光学撮像装置11に取り付けられている。
【0015】
本体部20は、撮像部90を不図示の保持機構によって保持している。この本体部20からは、図3に示すように、スライドガイド部21が突出している。スライドガイド部21は、後述する第二移動支持部材118のスライドをガイドするものであり、かかるスライドを良好にガイドするためにスライドガイド部21は立設部211と、第一嵌合部212と、第二嵌合部213とを有している。立設部211は、本体部20から左側に向かって突出する部分である。そして、この立設部211のうち図3における左側端側に、第二嵌合部213が設けられている。また、第一嵌合部212は、立設部211の本体部20側の付け根付近に設けられている。この第一嵌合部212には、立設部211と対向するように凸状のレール部212aが設けられていて、このレール部212aと立設部211とで鉤状をなしている。そして、このレール部212aは、後述する第二移動支持部材118の第一窪み部118a1に嵌まり込む。また、第二嵌合部213にも、凸状のレール部213aが設けられていて、このレール部213aが第二移動支持部材118の第二窪み部に嵌まり込む。
【0016】
なお、本体部20の不図示の保持機構に保持される撮像部90は、たとえばCCDやCMOSといった受光素子91を有している。そして、後述する第一レンズ群Ln1、第二レンズ群Ln2、第三レンズ群Ln3を通過した光は、この受光素子91で受光される。また、第三レンズ群Ln3は、第三レンズ保持枠25に取り付けられているが、この第三レンズ保持枠25は、不図示の駆動機構によって、第一直進筒40の駆動と連動して光軸方向に移動する。なお、第二レンズ群Ln2は、請求項でいうレンズ群の一例に対応する。
【0017】
図1および図2に示すように、固定筒30は、本体部20に対して移動しない状態に設けられている。この固定筒30は、図2に示すように、収納状態(Park状態)において、第一直進筒40、カム筒50、回転筒60、第二直進筒70、および第一レンズ枠80を内部に収納することを可能としている。
【0018】
また、固定筒30の内周面には不図示のヘリコイド谷部が形成されていると共に、このヘリコイド谷部はカム筒50の突出部51と噛み合う。それにより、カム筒50が不図示のモータによって回転駆動させられると、カム筒50が回転しながら前後方向に移動することを可能としている。また、固定筒30の内周面には、ヘリコイド谷部とは別に、前後方向に沿うと共に溝状の固定筒直進溝31が、光軸方向に対して平行となるように形成されている。この固定筒直進溝31には、第一直進筒40の係合突起41が入り込む。それにより、第一直進筒40は固定筒30に対して回転せずに、前後方向に移動可能となる。また、この固定筒直進溝31には、位置決め部材113の筒係合部113cが入り込む。それにより、後述する置決め部材113が固定筒30に対して回転するのが阻止され、位置決め部材113を介して第二レンズ群支持枠110が固定筒30に対して回転するのが阻止される。
【0019】
また、第一直進筒40は、固定筒30の内周側に位置すると共に、カム筒50の外周側に位置する筒状部材である。この第一直進筒40の外周面には、係合突起41が設けられていて、この係合突起41は上述の固定筒直進溝31に入り込むことによって前後方向に移動させられる。また、第一直進筒40の内周面には、カム溝42が形成されていて、このカム溝42には、回転筒60のカムピン62が入り込む。それにより、回転筒60は、回転しながら前後方向に移動する。さらに、第一直進筒40の内周面には、前後方向に沿ってキー溝43が設けられていて、このキー溝43には後述する係合キー71が入り込む。なお、第一直進筒40の後方側の外周面には、嵌合部44が設けられている。
【0020】
また、カム筒50は、第一直進筒40の内周側に位置すると共に、後述する位置決め部材113および第二レンズ群支持枠110の外周側に位置する筒状部材である。このカム筒50には、たとえば内周側または外周側の所定位置に、ギヤ部が設けられていて、このギヤ部が不図示のモータの回転ギヤと噛み合うことにより、回転させられる。上述したように、カム筒50の外周側には、突出部51が設けられていて、この突出部51は固定筒30のヘリコイド谷部と噛み合う。それにより、カム筒50がモータの駆動によって回転させられると、その回転に伴って当該カム筒50が前後方向に移動させられる。
【0021】
このカム筒50のうち、後方側の端部には、フランジ部52が設けられている。フランジ部52は、カム筒50のうち径方向の外方側に最も突出する部分となっている。そして、このフランジ部52のうち径方向の外方側かつ前方側の部位には、噛合部53が設けられている。噛合部53は、第一直進筒40の嵌合部44と噛み合って、第一直進筒40とカム筒50の間の前後方向における移動を規制している。ただし、噛合部53に対して嵌合部44は回転自在に設けられている。すなわち、第一直進筒40は、カム筒50に対して前後方向の移動は規制される。しかしながら、第一直進筒40に対して、カム筒50の回転は規制されない状態となっている。
【0022】
また、カム筒50の内周面には、カム溝54が形成されている。このカム溝54は、後述する第二レンズ群支持枠110の突出ピンと噛み合う。それにより、カム筒50が回転させられると、第二レンズ群支持枠110が前後方向に移動する。また、カム筒50の外周面には、前後方向に沿うキー溝55が設けられている。
【0023】
また、回転筒60は、第二直進筒70の内周側に位置すると共に、カム筒50の外側に位置する筒状部材である。この回転筒60の内周側には、キー61が設けられている。このキー61は、上述のキー溝55に入り込む。それにより、回転筒60はカム筒50の回転に伴って回転する。また、回転筒60の後端側における外周面からは、径方向外方側に向かってカムピン62が突出している。カムピン62は、第一直進筒40のカム溝42に入り込む部材である。そのため、カム筒50と共に回転筒60が回転すると、カムピン62がカム溝42に沿って移動することにより、回転筒60が回転しながら前後方向に移動する。
【0024】
また、回転筒60の外周面のうちカムピン62よりも前方側の部位には、ヘリコイド谷部63が形成されていて、このヘリコイド谷部63には、第一レンズ枠80の突出部81が入り込み、その突出部81がヘリコイド谷部63に沿って摺動する。また、回転筒60の後方側の部位と第二直進筒70の後方側の部位にも、上述の嵌合部44および噛合部53の間の噛み合いと同様の嵌合部分が存在する。それにより、第二直進筒70は、回転筒60に対して前後方向の移動は規制されるが、第二直進筒70に対して、回転筒60の回転は規制されない状態となっている。なお、この嵌合部分については、上述の嵌合部44および噛合部53の間の噛み合い関係と同様のため、説明を省略する。
【0025】
また、第二直進筒70は、第一直進筒40の内周側に位置すると共に、回転筒60の外周側に位置する筒状部材である。この第二直進筒70の後端側の外周面には、係合キー71が設けられていて、この係合キー71は第一直進筒40のキー溝43に入り込む。それにより、第二直進筒70は、第一直進筒40と同様に、前後方向へ移動可能となっている。また、第二直進筒70の内周面には、第二直進溝72が設けられていて、この第二直進溝72には、後述する第一レンズ枠80の突出キー82が入り込む。
【0026】
また、第一レンズ枠80は、第二直進筒70の内周側に位置すると共に、回転筒60の外周側に位置する筒状部材である。この第一レンズ枠80の内周面のうち後端側の部位には、突出部81が設けられている。この突出部81は、回転筒60のヘリコイド谷部63に沿って摺動する部分である。一方、第一レンズ枠80の外周面のうち後端側の部位には、突出キー82が設けられていて、この突出キー82は第二直進溝72に入り込む。そのため、カム筒50が回転した場合でも、突出キー82の第二直進溝72への入り込みにより第一レンズ枠80は回転しない。しかしながら、突出部81がヘリコイド谷部63に入り込んでいることにより、カム筒50の回転によって第一レンズ枠80が前後方向に移動する。
【0027】
また、この第一レンズ枠80には、第一レンズ群保持部83が設けられている。第一レンズ群保持部83は、第一レンズ群Ln1を保持する部分である。
【0028】
<第二レンズ群退避機構100(本発明の要部)について>
続いて、本発明の要部である、第二レンズ群退避機構100の構成について説明する。第二レンズ群退避機構100は、図1図2図4図7に示すような第二レンズ群支持枠110を有している。第二レンズ群支持枠110は、請求項でいうレンズ群支持枠の一例に対応する。この第二レンズ群支持枠110は、外周枠部111と、内周遮蔽部112とを有している。これらのうち、外周枠部111は、内周遮蔽部112よりも内周側の部分よりも、前後方向に向かって突出している部分である。この外周枠部111の外周面からは、カム筒50のカム溝54に入り込むカムピン111aが突出している(図6図7参照)。それにより、第二レンズ群支持枠110は、カム溝54に沿って前後方向への移動がガイドされる。
【0029】
また、外周枠部111の内周側には、内周遮蔽部112が設けられている。内周遮蔽部112は、外周枠部111の内周側を覆っているものの、その径方向中心部分には、中心孔112aが設けられている。そして、この中心孔112aを介して光が第二レンズ群に入り込むことを可能としている。ここで、内周遮蔽部112には、退避溝112bが設けられている。退避溝112bは、第二レンズ群固定枠115を、撮像位置から退避位置に向けて移動させるための溝部分であり、内周遮蔽部112を後方側から前方側に向けて、所定の厚みだけ窪ませた部分である。なお、以下の説明においては、第二レンズ群固定枠115が撮像位置から退避位置に向けて移動するときの移動方向を、退避移動方向として説明する。
【0030】
また、外周枠部111の内周側には、後述するガイド軸114を取り付けるための軸取付部111bが設けられている。本実施の形態では、図5に示すように、合計4つの軸取付部111bが設けられていて、それらの軸取付部111bの取付面(図示省略)は、ガイド軸114の軸線方向(退避移動方向)に対して略垂直を為している。
【0031】
また、外周枠部111の外周側には、周方向に沿って複数の切欠部111cが設けられている(図5においては合計3個)。切欠部111cは、後述する位置決め部材113の延伸部113bを挿通させるための部分であり、それによって位置決め部材113に対する第二レンズ群支持枠110の回転が阻止されている。
【0032】
ここで、図1に示す位置決め部材113には、リング状のリング部113aが設けられている。この位置決め部材113は、カム筒50に対しては回転自在に設けられるものの、カム筒50に対しては前後方向に移動しないように、カム筒50のフランジ部52の後面側とリング部113aとが嵌合している。また、このリング部113aの内周側には、図1において前方側に向かって突出する延伸部113bが設けられている。延伸部113bは、リング部113aの周方向に沿って、上述した切欠部111cに対応する本数だけ設けられている。また、リング部113aの外周側かつ後方側の面から径方向外方に向かい、筒係合部113cが設けられている。筒係合部113cは、固定筒30の固定筒直進溝31に入り込み、かかる入り込みによって、位置決め部材113が固定筒30に対して回転するのが阻止され、ひいては位置決め部材113を介して第二レンズ群支持枠110が固定筒30に対して回転するのが阻止される。
【0033】
図5に示すように、外周枠部111のうち、内周遮蔽部112よりも後方側の所定部位には、一対のガイド軸114が取り付けられている。ガイド軸114は、請求項でいうガイド部材の一例に対応する。このガイド軸114は、退避移動方向に平行に設けられている。また、一対のガイド軸114は、図5に示すように中心孔112aを挟んでほぼ対称となる位置に設けられている。そして、このガイド軸114は、後述する外方突出部115bの貫通孔115cに挿通している。
【0034】
また、図5に示すように、上述のガイド軸114によって、第二レンズ群固定枠115の退避移動方向に沿う移動がガイドされる。第二レンズ群固定枠115は、第二レンズ群Ln2を固定するための固定枠であり、枠部分115aにて第二レンズ群Ln2を固定している。この第二レンズ群固定枠115は、請求項でいうレンズ群固定枠の一例に対応する。また、この枠部分115aの側面のうち、前後方向では後方側に、かつ、退避移動方向では収納状態時に光軸Lにより近い側面には、外方突出部115bが設けられている。外方突出部115bは、図4図7に示すように、前後方向および退避移動方向と略直交するように設けられている。
【0035】
また、外方突出部115bは、一対のガイド軸114の間隔以上の長さに設けられている。そして、この外方突出部115bの突出の両端側には、貫通孔115cがそれぞれ設けられている。貫通孔115cは、上述のガイド軸114をそれぞれ挿通させる孔部分である。なお、外方突出部115bのうち、第一移動支持部材117に近接する部位には、ガイド部115dが設けられていて、一方の貫通孔115cは、このガイド部115dを貫通するように設けられている。このような構成により、第二レンズ群固定枠115はガイド軸114にガイドされて、退避移動方向に移動することを可能としている。
【0036】
ここで、ガイド部115dが設けられている一方側の外方突出部115bには、図5においてガイド部115dよりも第一移動支持部材117側に突出する摺動軸部115eが設けられている。摺動軸部115eは、請求項でいう摺動部の一例に対応する。この摺動軸部115eは、後述する第二傾斜部118eに沿って摺動する部分であり、その摺動に伴って第二レンズ群固定枠115が退避移動方向に移動可能となっている。
【0037】
また、図5に示すように、ガイド部115dと、そのガイド部115dが位置する側のガイド軸114が取り付けられる退避側の軸取付部111bとの間には、付勢バネ116が配置されている。この付勢バネ116は、請求項でいう第二の付勢手段の一例に対応する。付勢バネ116がなすコイル状の孔部分にはガイド軸114が挿通されている。そして、この付勢バネ116によって、第二レンズ群固定枠115には、退避側から離間する向きの付勢力が与えられる。
【0038】
また、図4図7に示すように、第二レンズ群支持枠110には、板状の第一移動支持部材117が設けられている。第一移動支持部材117は、第二レンズ群支持枠110のうち外周枠部111寄りの部分に設けられていて、その第一移動支持部材117の板幅方向は退避移動方向に沿うように設けられている。また、第一移動支持部材117の突出方向(板の長さ方向)は、前後方向に沿っている。
【0039】
ここで、図6および図7に示すように、第一移動支持部材117のうち外周枠部111に近接している部分には、後方側に最も突出する突出頂部117aが設けられている。そして、第一移動支持部材117には、突出頂部117aから退避移動方向に沿って、第一傾斜部117bが設けられている。第一傾斜部117bは、請求項でいう第一案内部の一例に対応する。この第一傾斜部117bは、前後方向および退避移動方向に対して傾斜している。図6および図7においては、第一傾斜部117bが退避移動方向に対して為す傾斜角度は、略45度程度に設けられているが、この傾斜角度は略45度に限られるものではなく、第二移動支持部材の退避移動方向に沿う移動を良好にガイド可能であれば、どのような傾斜角度であっても良い。また、図6および図7に示すように、第一移動支持部材117を側面視すると、第一傾斜部117bは直線状に設けられている。
【0040】
また、図6および図7に示すように、第一移動支持部材117のうち、退避移動方向において突出頂部117aから最も離間する部分には、第一垂直部117cが設けられている。第一垂直部117cは、第一移動支持部材117のうち前後方向に沿う端面であり、この第一垂直部117cの存在により第一移動支持部材117が不必要に長くならない状態となっている。
【0041】
また、図4図7に示すように、第一移動支持部材117に対向するように、第二移動支持部材118が設けられている。第二移動支持部材118は、上述したスライドガイド部21によって、退避移動方向に向かうスライドがガイドされるものである。この第二移動支持部材118には、前後方向に延びる板状部分118cから突出する第一嵌合部118aと第二嵌合部118bとが設けられている。これら第一嵌合部118aと第二嵌合部118bとは、板状部分118cのうち光軸Lから離間する向きに向かって突出している。図3および図4に示すように、第一嵌合部118aおよび第二嵌合部118bは、共に略L字形状に形成されているが、第一嵌合部118aは前方側に向かって開放する第一窪み部118a1を有していて、第二嵌合部118bは後方側に向かって開放する第二窪み部118b1を有している。そして、第一窪み部118a1にはレール部212aが嵌まり込むと共に、第二窪み部118b1にはレール部213aが嵌まり込む。このようにして、第二移動支持部材118のスライドがガイドされる。
【0042】
また、図6および図7に示すように、第二移動支持部材118(板状部分118c)の形状は、上述した第一移動支持部材117の形状と類似している。すなわち、この第二移動支持部材118(板状部分118c)には、突出頂部118d、第二傾斜部118eおよび第二垂直部118fが設けられている。しかしながら、突出頂部118dは、第二移動支持部材118のうち本体部20から離間する側(前方側)に突出する部分である、という点で、突出頂部117aとは突出の向きが逆となっている。なお、この突出頂部118dは請求項でいう当接部の一例に対応し、第二傾斜部118eは請求項でいう第二案内部の一例に対応する。また、第二傾斜部118eも、第二移動支持部材118を側面視した場合に直線状となるように設けられているが、この第二傾斜部118eは、退避側に向かうにつれて、後方側に向かうように設けられている。図6および図7においては、第二傾斜部118eが退避移動方向に対して為す傾斜角度は、略45度程度に設けられているが、この傾斜角度は略45度に限られるものではなく、第一移動支持部材117の退避移動方向に沿う移動を良好にガイド可能であれば、どのような傾斜角度であっても良い。
【0043】
また、第二垂直部118fは、第二移動支持部材118のうち、退避移動方向において突出頂部118dから最も離間する部分であり、前後方向に沿うように形成された端面である。この第二垂直部118fは、第二レンズ群固定枠115が退避位置に位置する場合には、第二レンズ群固定枠115の枠部分115aと接触する。なお、第二移動支持部材118のうち、突出頂部118dに隣接すると共に第二垂直部118fに平行となる端面を、第三垂直部118gとする。
【0044】
また、第二移動支持部材118には、光軸Lから離間する向きに向かい、板状部分118cから突出するバネ受部118hが設けられている。バネ受部118hは、戻しバネ119の一端側が取り付けられる部分である。戻しバネ119は、請求項でいう第一の付勢手段の一例に対応する。この戻しバネ119は、図6および図7に示すように退避移動方向に沿うように設けられている。また、この戻しバネ119の他端側は、本体部20に取付固定されている。そして、この戻しバネ119により、第二移動支持部材118には、突出頂部118dが突出頂部117aに近づかせる向きの付勢力が与えられる。
【0045】
<動作について>
以上のような構成を有するレンズ収納機構10およびこのレンズ収納機構10を用いた光学撮像装置11のうち、第二レンズ群退避機構100の動作について、以下に説明する。
【0046】
図8(A)に示すように、第二レンズ群固定枠115(第二レンズ群Ln2)が退避位置に移動する前の状態では、第二レンズ群固定枠115(第二レンズ群Ln2)は、撮像位置に位置している。この撮像位置は、第二レンズ群Ln2の中心が光軸Lに沿う位置となっていて、第2レンズ群Ln2を通過した光は第三レンズ群Ln3を介して、受光素子91で受光させられる。このとき、第二移動支持部材118の突出頂部118dは、第一移動支持部材117の第一傾斜部117bから離れていると共に、戻しバネ119の付勢力によって、第二移動支持部材118は退避位置から離間する離間位置に位置させられている。
【0047】
この状態から、不図示のモータの駆動によってカム筒50が収納方向に回転させられる場合、位置決め部材113の筒係合部113cが固定筒30の固定筒直進溝31に入り込み、さらに位置決め部材113の延伸部113bが第二レンズ群支持枠110の切欠部111cに入り込んでいるため、第二レンズ群支持枠110は回転しない。しかしながら、第二レンズ群支持枠110のカムピン111aは、カム溝54に入り込んでいるため、このカムピン111aのカム溝54でのガイドによって、第二レンズ群支持枠110が後方側に向かう移動が開始させられる。
【0048】
このとき、第二レンズ群固定枠115(第二レンズ群Ln2)は、ガイド軸114を介して第二レンズ群支持枠110に取り付けられているため、第二レンズ群固定枠115(第二レンズ群Ln2)の第二レンズ群支持枠110に対する前後方向の位置は変わらない。一方、図8(B)に示すように、第二レンズ群固定枠115(第二レンズ群Ln2)は後方側に向かうため、摺動軸部115eは第二移動支持部材118の第二傾斜部118eに当接する。そして、この当接状態から、さらにモータが駆動して、第二レンズ群支持枠110が後方側に向かって移動させられると、摺動軸部115eが後方側に向かって移動しようする。その移動に際しては、摺動軸部115eは第二傾斜部118eにガイドされ、摺動軸部115eと一体的な第二レンズ群固定枠115が、付勢バネ116の付勢力に抗しながらガイド軸114に沿って退避位置に向かって移動を開始する。すなわち、図8(B)に示す状態から図8(C)に示す状態へと、順次移行していく。なお、図8(C)に示す状態においては、第二レンズ群固定枠115は、中心孔112aから外れた(光軸Lに沿って前方側から第二レンズ群支持枠110を見ると、第二レンズ群固定枠115が中心孔112aから見えない)状態となっている。
【0049】
また、摺動軸部115eの第二傾斜部118eへの当接に前後して、突出頂部118dが第一移動支持部材117の第一傾斜部117bに当接する。そして、この当接状態から、さらにモータが駆動して、第二レンズ群支持枠110が後方側に向かって移動させられると、第一移動支持部材117が後方側に向かって移動しようする。その移動に際しては、突出頂部118dは第一傾斜部117bにガイドされるため、第二移動支持部材118が戻しバネ119の付勢力に抗しながら、スライドガイド部21にガイドされて、退避位置側に向かって移動を開始する。その移動は、まず図8(B)に示す状態となり、その後に図8(C)に示す状態となる。
【0050】
そして、図9(A)に示すように、摺動軸部115eが第二傾斜部118eの退避位置側の端部に到達してもなお、第二レンズ群支持枠110が後方側に向かって移動させられると、摺動軸部115eは第二傾斜部118eから第二垂直部118fへと移動する。この状態に前後して、上述の第二レンズ群支持枠110の移動により、突出頂部118dは第一傾斜部117bから外れ、代わりに第三垂直部118gのうち突出頂部118dに近い部分が、第一垂直部117cへ当接する。ここで、図9(A)から明らかなように、摺動軸部115eが第二垂直部118fに位置し、第三垂直部118gが第一垂直部117cと当接する場合には、第二移動支持部材118および第二レンズ群固定枠115は、これ以上、図9(A)において左側には移動しない状態となる。すなわち、図9(A)の状態の場合、退避移動方向においては、第二レンズ群固定枠115は、退避位置に到達した状態となる。
【0051】
そして、図9(A)の状態から、図9(B)に示す状態へと移行する。すなわち、第二レンズ群支持枠110が後方側に向かってさらに移動させられると、第一垂直部117cが第三垂直部118gに沿って後方側に移動し、その後、第二レンズ群支持枠110の前後方向における収納位置まで移動させられて、第二レンズ群支持枠110の後方側への移動が停止させられる。以上のようにして、第二レンズ群固定枠115は、前後方向においても、退避位置に到達した状態となる。
【0052】
また、第二レンズ群支持枠110が退避位置から撮像位置へと向かう場合の動作は、上述した退避位置へ向かう移動とは逆となる。すなわち、図9(B)から順次、図9(A)、図8(C)、図8(B)へと移行し、最後に図8(A)へと移行して、第二レンズ群支持枠110の撮像位置への移動が終了する。
【0053】
<効果>
以上のような構成のレンズ収納機構10およびこのレンズ収納機構10を用いた光学撮像装置11によれば、カム筒50の回転への移動に伴って第二レンズ群支持枠110が後方側へ移動させられると、突出頂部118dが第一傾斜部117bに沿って摺動し、それによって第二移動支持部材118が退避位置に向けて移動させられる。さらに、この第二移動支持部材118の退避位置へ向かう移動によって、摺動軸部115eが第一傾斜部117bに沿って摺動し、それによって第二レンズ群固定枠115が退避位置に向けて移動させられる。
【0054】
そのため、部品点数が少ないながらも、簡単な構成で第二レンズ群Ln2を、退避位置に向けて移動させることが可能となる。また、退避位置に向かう移動量を、十分に確保することが可能となる。
【0055】
ここで、本実施の形態におけるレンズ収納機構10に対する比較例となるレンズ収納機構の構成および動作を、図10および図11に示す。なお、本実施の形態におけるレンズ収納機構10と比較例に係るレンズ収納機構の動作の対応関係について述べると、図8(A)に対応する動作(位置関係)は図10(A)であり、図8(B)に対応する動作(位置関係)は図10(B)であり、図8(C)に対応する動作(位置関係)は図10(C)であり、図9(A)に対応する動作(位置関係)は図11(A)であり、図11(B)に対応する動作(位置関係)は図11(B)となっている。
【0056】
図10および図11に示す構成では、本実施の形態における第二移動支持部材118に相当する部材が存在するが、かかる部材は本体部に固定されている。また、図10および図11においては第一移動支持部材117に相当する構成は存在していない。そのため、第二レンズ群Ln2が退避位置に向かう移動量が十分に確保できない。そのため、かかる図 における構成では、別途の移動機構と組み合わせ、かかる別途の移動機構によって第二レンズ群Ln2の退避位置側への移動量を確保する必要がある。
【0057】
しかしながら、本実施の形態における構成では、上述したような摺動関係によって第二レンズ群Ln2の移動量を十分に確保できるため、別途の移動機構を設ける必要がなく、構成を簡単なものとすることが可能となる。また、部品点数が少なくなり構成が簡単なものとなるため、コストを低減させることが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態では、図6および図7に示すように、第一移動支持部材117には第一傾斜部117bが設けられ、第二移動支持部材118には第二傾斜部118eが設けられ、さらに第二レンズ群固定枠115には摺動軸部115eが設けられている。そのため、第一傾斜部117bに対して突出頂部118dをスムーズに摺動させることが可能となり、第二傾斜部118eに対して摺動軸部115eをスムーズに摺動させることが可能となる。特に、第一傾斜部117bおよび第二傾斜部118eを側面視した場合に直線状に設けられているため、スムーズな摺動を行わせることが可能となっている。
【0059】
さらに、本実施の形態では、第一移動支持部材117の退避位置側には、第一傾斜部117bに隣接して第一垂直部117cが設けられていて、第二移動支持部材118の退避位置から離間する側には第二垂直部118fが設けられ、さらに第二移動支持部材118の退避位置側には第三垂直部118gが設けられている。このため、第一移動支持部材117および第二移動支持部材118が不必要に長くならなくなり、第二レンズ群Ln2の退避移動に最適な第一移動支持部材117および第二移動支持部材118とすることが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態では、第二移動支持部材118には、戻しバネ119によって退避位置から離間する向きの付勢力が与えられると共に、第二レンズ群固定枠115には、付勢バネ116によって退避位置から離間する向きの付勢力が与えられる。そのため、第二レンズ群Ln2の退避位置へ向かう移動のみならず、戻しバネ119および付勢バネ116の付勢力により、第二レンズ群Ln2を退避位置から撮像位置に向けて移動させることが可能となる。そのため、第二レンズ群Ln2を撮像位置に向けて移動させるための、別途の移動機構が不要となる。
【0061】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。以下、それについて説明する。
【0062】
上述の実施の形態では、レンズ収納機構10によって退避位置に移動させられるレンズ群、このレンズ群を固定するレンズ群固定枠、およびこのレンズ群固定枠と対向するレンズ群支持枠として、第二レンズ群Ln2、第二レンズ群固定枠115および第二レンズ群支持枠110を挙げている。しかしながら、レンズ群、このレンズ群を固定するレンズ群固定枠、およびこのレンズ群固定枠と対向するレンズ群支持枠としては、第二レンズ群Ln2、第二レンズ群固定枠115および第二レンズ群支持枠110に限られるものではない。たとえば第四レンズ群まで具備するものであれば、その内部に存在する第二レンズ群と第三レンズ群のうちの少なくとも1つが退避位置に向けて移動するものについても本発明を適用可能であるように、第Nレンズ群まで具備するものであれば、その内部に存在する第二レンズ群から第N−1レンズ群までのうちの少なくとも1つが1つが退避位置に向けて移動するものについても本発明を適用可能である。
【0063】
また、上述の実施の形態において、第一移動支持部材117の第一傾斜部117bは、たとえば厚み方向の中央側が凹となる形状として、突出頂部118dが第一傾斜部117bに衝突するのをガイドするようにしても良い。
【0064】
さらに、上述の実施の形態では、第一傾斜部117bおよび第二傾斜部118eを側面視した場合に、その形状が直線状に設けられている。しかしながら、第一傾斜部117bおよび第二傾斜部118eを側面視したときの形状は、直線形状に限られるものではなく、種々の曲線形状とすることも勿論可能である。ここで、本実施の形態においては、戻しバネ119および付勢バネ116のバネ力は、それらのバネが伸びるにつれて大きくなる。そのため、バネ力が弱いときに大きく移動させるようにし、バネ力が強くなるにつれて移動量を少なくするように、第一傾斜部117bおよび第二傾斜部118eを形成しても良い。
【符号の説明】
【0065】
10…レンズ収納機構、11…光学撮像装置、20…本体部、21…スライドガイド部、25…第三レンズ保持枠、30…固定筒、40…第一直進筒、50…カム筒、60…回転筒、70…第二直進筒、80…第一レンズ枠、90…撮像部、91…受光素子、100…第二レンズ群退避機構、110…第二レンズ群支持枠(レンズ群支持枠の一例に対応)、111a…カムピン、111…外周枠部、111b…軸取付部、111c…切欠部、112…内周遮蔽部、112a…中心孔、112b…退避溝、113…位置決め部材、113c…筒係合部、114…ガイド軸(ガイド部材の一例に対応)、115…第二レンズ群固定枠(レンズ群固定枠の一例に対応)、115b…外方突出部、115c…貫通孔、115d…ガイド部、115e…摺動軸部(摺動部の一例に対応)、116…付勢バネ(第二の付勢手段の一例に対応)、117…第一移動支持部材、117b…第一傾斜部(第一案内部の一例に対応)、117c…第一垂直部、118…第二移動支持部材、118a…第一嵌合部、118b…第二嵌合部、118c…板状部分、118d…突出頂部(当接部の一例に対応)、118e…第二傾斜部(第二案内部の一例に対応)、118g…第三垂直部、118h…バネ受部、118a1…第一窪み部、118b1…第二窪み部、119…戻しバネ(第一の付勢手段の一例に対応)、211…立設部、212…第一嵌合部、212a,213a…レール部、213…第二嵌合部、L…光軸、Ln1…第一レンズ群、Ln2…第二レンズ群(請求項でいうレンズ群の一例に対応)、Ln3…第三レンズ群
図1
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図11