特許第5707124号(P5707124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707124
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】サスペンションフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20150402BHJP
【FI】
   B62D21/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-290890(P2010-290890)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-136189(P2012-136189A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】久保園 聡
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−128177(JP,U)
【文献】 実開昭60−097673(JP,U)
【文献】 特開2005−206121(JP,A)
【文献】 特開2002−321639(JP,A)
【文献】 特開2008−001307(JP,A)
【文献】 特開2010−100275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパプレートとロアプレートとを重ねたメンバ本体を備え、ロアアームは前記メンバ本体の前側左右の前側アーム取付部に軸方向を前後方向にして揺動可能に取り付けられると共に、前記メンバ本体の後側左右に後側アーム取付部が形成されたサスペンションフレーム構造において、
前記左右の前側アーム取付部には、それぞれ前記ロアアームを支持する支持軸が設けられ、
該支持軸の前後両端は前記メンバ本体に支持され、
前記左右の前側アーム取付部の前記支持軸における後方側支持部同士を通る直線を限界線とした場合、前記メンバ本体の前端を前記限界線よりも前方に形成し
前記ロアプレートの前端を前記限界線よりも前方に形成し、
前記アッパプレートの前端は前記ロアプレートの前端よりも後方に設け、
前記ロアプレートに前記アッパプレートを重ねて前後方向の断面形状を中空状に形成すると共に、前記アッパプレートは、前記左右の前側アーム取付部間に跨って形成され、前記左右の前側アーム取付部よりも中央が後方にある略弓型形状に形成したことを特徴とするサスペンションフレーム構造。
【請求項2】
前記ロアプレートは略平板状であることを特徴とする請求項1に記載のサスペンションフレーム構造。
【請求項3】
前記ロアプレートの前端を折り曲げたことを特徴とする請求項1又は2に記載のサスペンションフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッパプレートとロアプレートとを重ねて形成した車両のサスペンションフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1にあるように、サスペンションフレーム構造ではアッパプレートとロアプレートとを重ね合わせて中空状のメンバ本体を形成し、メンバ本体の前側左右にロアアームを揺動可能に取り付けると共に、メンバ本体の後側左右にロアアームを揺動可能に取り付けている。また、メンバ本体の前端は、前側左右のアーム取付部の間が、エンジンの配置等の関係から、前側左右のアーム取付部を結ぶ直線よりも後側になるように、弓なりにオフセットさせた形状に形成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−1307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロアアームを介して、前側左右のアーム取付部から車両幅方向の外力がメンバ本体に作用するが、こうした従来のものでは、メンバ本体の前端をオフセットさせているので、剛性を確保するために、ロアプレートやアッパプレートに板厚の厚い板材を用いなければならず、重量が重くなり、コストアップを招くという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、軽量化を図ったサスペンションフレーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
アッパプレートとロアプレートとを重ねたメンバ本体を備え、ロアアームは前記メンバ本体の前側左右の前側アーム取付部に軸方向を前後方向にして揺動可能に取り付けられると共に、前記メンバ本体の後側左右に後側アーム取付部が形成されたサスペンションフレーム構造において、
前記メンバ本体の前端を前記前側アーム取付部の後側よりも前方に形成したことを特徴とするサスペンションフレーム構造がそれである。
【0007】
前記ロアプレートは略平板状で、前記ロアプレートの前端を前記前側アーム取付部の後側よりも前方に形成した構成としてもよい。また、前記アッパプレートの前端は前記ロアプレートの前端よりも後方に設けた構成としてもよい。更に、前記ロアプレートに前記アッパプレートを重ねて前後方向の断面形状を中空状に形成すると共に、前記アッパプレートは前側左右の前側アーム取付部間に跨って形成され、前側左右の前側アーム取付部よりも中央が後方にある略弓型形状に形成した構成としてもよい。前記ロアプレートの前端を折り曲げた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサスペンションフレーム構造は、メンバ本体の前端を前側アーム取付部の後側よりも前方に形成したので、前側左右の前側アーム取付部に作用する車両幅方向の外力に対する剛性が高く、板厚を薄くしても必要な剛性を確保でき、軽量化を図ることができるので、コストダウンを図ることができるという効果を奏する。
【0009】
また、ロアプレートを略平板状に、ロアプレートの前端をアーム取付部の後側よりも前方に形成することにより、ロアプレートのプレス成形が容易になり、ロアプレートを軽量化できる。更に、アッパプレートの前端をロアプレートの前端よりも後方に設け、断面形状を中空状に形成すると共に、アッパプレートを前側左右の前側アーム取付部間に跨って形成し、前側左右の前側アーム取付部よりも中央を後方にした略弓型形状に形成することにより、曲げや捩り等に対しても剛性を確保できる。しかも、ロアプレートの前端を折り曲げることにより、ロアアームを略平板状に形成しても、剛性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態としてのロアアームを取り付けたサスペンションフレーム構造の斜視図である。
図2】本実施形態のサスペンションフレーム構造の平面図である。
図3】本実施形態のサスペンションフレーム構造の背面図である。
図4図1のAA拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1図3に示すように、1はメンバ本体で、メンバ本体1はアッパプレート2とロアプレート4とを上下に重ね合わせて形成されている。アッパプレート2とロアプレート4とは共にプレス加工により形成されており、アッパプレート2には車両の前後側に水平にフランジ部2a,2bが形成されている。
【0012】
アッパプレート2のフランジ部2a,2bをロアプレート4に重ね合わせて、内部が中空状に形成され、車両の前後方向では閉断面形状に形成されている。また、メンバ本体1は、その後側左右に、それぞれアッパプレート2とロアプレート4とに跨って上下に重ね合わされたサイドプレート6,8を備えている。
【0013】
メンバ本体1には、前側の左右端側に前側アーム取付部10,12が設けられており、後側の左右端側に後側アーム取付部14,16が設けられている。前側アーム取付部10,12にはそれぞれ左右一対のロアアーム18,20の一端が略前後方向の軸の廻りに揺動可能に連結されている。
【0014】
後側アーム取付部14,16にはそれぞれ左右一対のロアアーム18,20の他端が図示しないゴムブッシュを介して上下方向の軸の廻りに揺動可能に連結されている。左右一対のロアアーム18,20の取付孔18a,20aには図示しない車輪を回転自在に支持するナックルが図示しないボールジョイントを介して取り付けられる。
【0015】
左の前側アーム取付部10は、図4に示すように、一方のロアアーム18の一端がゴムブッシュ22を介して略前後方向の支持軸24の廻りに揺動可能に支持され、支持軸24がアッパプレート2等のメンバ本体1に支持されている。右の前側アーム取付部12についても同様の構成である。
【0016】
左の前側アーム取付部10の後方、例えば、支持軸24の両端がメンバ本体1に支持されている箇所のうち後方側支持部26と、同様の右の前側アーム取付部12の図示しない後方側支持部とを通る直線を、図2に示すように、限界線Lとする。
【0017】
メンバ本体1の前端4aは、この限界線Lよりも前方となるように形成されている。本実施形態では、ロアプレート4は、全域にわたってほぼ平坦な略平板状に形成されており、ロアプレート4の前端4aが限界線Lよりも前側となるようにプレス成形されている。また、ロアプレート4の前端4aは、図4に示すように、下方に折り曲げられて、略平板状のロアプレート4の剛性を向上させている。
【0018】
一方、アッパプレート2の前端はロアプレート4の前端4aよりも後側に設けられ、しかも、限界線Lよりも後方に設けられている。また、アッパプレート2は断面形状がほぼコ字状に形成され、開口側を下方にしてロアプレート4に重ね合わせることにより、メンバ本体1の前後方向の断面形状を中空状に形成している。
【0019】
また、アッパプレート2は前側左右の前側アーム取付部10,12間に跨って形成され、前側左右の前側アーム取付部10,12よりも中央が限界線Lよりも後方にある略弓型形状に形成されている。尚、アッパプレート2は複数の部材を溶接等により一体的に形成してもよい。
【0020】
このアッパプレート2の前端よりも前方のロアプレート4はほぼ平坦に形成されている。アッパプレート2よりも前方で、ロアプレート4の上側に図示しないエンジンが配置され、ロアプレート4の前端4aはエンジンの下側に配置される。
【0021】
前側左右の前側アーム取付部10,12よりも後方側のメンバ本体1には、左右一対のボディ取付部材30,32が上方に延出されて設けられている。
このように、メンバ本体1の前端を限界線Lよりも前側となるように、特に、本実施形態では、ロアプレート4の前端4aが限界線Lよりも前側となるように設けているので、図1に矢印aで示すように、前側左右の前側アーム取付部10,12に作用する車両の幅方向の外力に対する剛性が高い。よって、アッパプレート2やロアプレート4の板厚を薄くしても必要な剛性を確保でき、サスペンションフレーム構造の軽量化を図ることができ、引いてはコストダウンを図ることができる。
【0022】
また、ロアプレート4を略平板状に形成することにより、ロアプレート4のプレス成形が容易になる。更に、アッパプレート2の前端をロアプレート4の前端aよりも後方に設け、断面形状を中空状に形成すると共に、アッパプレート2を前側左右の前側アーム取付部10,12間に跨って形成し、前側左右の前側アーム取付部10,12よりも中央を後方にした略弓型形状に形成することにより、曲げや捩り等に対しても剛性を確保できる。しかも、ロアプレート4の前端4aを折り曲げることにより、ロアプレート4を略平板状に形成しても、剛性を確保できる。
【0023】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0024】
1…メンバ本体 2…アッパプレート
4…ロアプレート 4a…前端
6,8…サイドプレート 10,12…前側アーム取付部
14,16…後側アーム取付部 18,20…ロアアーム
24…支持軸 26…後方側支持部
30,32…ボディ取付部材
図1
図2
図3
図4