特許第5707134号(P5707134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707134
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】銅系ナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/30 20060101AFI20150402BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20150402BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20150402BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20150402BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20150402BHJP
   H01B 5/00 20060101ALI20150402BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   B22F9/30 Z
   B22F1/00 L
   B22F1/02 B
   B22F9/00 B
   H01B13/00 501Z
   H01B5/00 F
   H01B1/22 A
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-524716(P2010-524716)
(86)(22)【出願日】2009年8月6日
(86)【国際出願番号】JP2009063962
(87)【国際公開番号】WO2010018782
(87)【国際公開日】20100218
【審査請求日】2012年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2008-207524(P2008-207524)
(32)【優先日】2008年8月11日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508114454
【氏名又は名称】地方独立行政法人 大阪市立工業研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】591040292
【氏名又は名称】大研化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳
(72)【発明者】
【氏名】中許 昌美
(72)【発明者】
【氏名】山本 真理
(72)【発明者】
【氏名】柏木 行康
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】垣内 宏之
(72)【発明者】
【氏名】松村 慎亮
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−183207(JP,A)
【文献】 特開2004−273205(JP,A)
【文献】 特開2007−056321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数8〜30の1,2−アルカンジオール及び/又はその誘導体ならびに3級アミン化合物を含む有機物の存在下、非酸化性雰囲気下で有機銅化合物を当該化合物の分解開始温度以上かつ完全分解温度未満の温度で熱処理することにより有機成分、亜酸化銅及び銅を含む銅系ナノ粒子を得ることを特徴とする銅系ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記有機銅化合物が炭素数5以上の有機酸の銅塩である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
1級アミン及び2級アミンが存在しない条件下で熱処理を行う、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅系ナノ粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子は、粒子径が1〜100nmの超微粒子であり、表面に存在する原子が非常に不安定であるために自発的に粒子間で融着を起こし、粗大化することが知られている。そのため、通常、金属ナノ粒子は有機保護基を用いて表面を覆うことにより安定化されている。金属ナノ粒子は、バルク金属と異なり、低融点化・低温焼結性といった特異な物性を示し、工学的応用として配線形成用の導電ペーストに利用されている。
【0003】
金属ナノ粒子は、合成法によって分類されることが多い。金属ナノ粒子の合成法は、バルク金属を粉砕してナノ粒子を得る物理的方法と、金属塩や金属錯体等の前駆体からゼロ価の金属原子を生成し、それらを凝集させてナノ粒子を得る化学的方法との2つに大きく分類される。物理的方法のひとつである粉砕法は、ボールミル等の装置を用いて金属をすりつぶすことで微細化し、金属ナノ粒子を得る方法である。しかし、この手法で得られる粒子は粒子径分布が広く、数百nm以下のサイズの粒子を得ることは難しい。一方、化学的方法としては、1)レーザー合成法というCOレーザーで反応ガスを加熱して金属ナノ粒子を合成する方法、2)噴霧熱分解法という金属塩溶液を高温雰囲気中に噴霧して瞬間的な溶液の蒸発と熱分解を起こすことによって金属ナノ粒子を得る方法、3)還元法という金属塩溶液から還元反応により金属ナノ粒子を得る方法等があるが、いずれも大量合成が困難という欠点がある。
【0004】
これに対し、本発明者らは、このような既存の金属ナノ粒子合成法の問題を解決するため、金属源となる金属錯体を無溶媒で加熱するだけで金属ナノ粒子を合成できる熱分解制御法を先に開発している(特許文献1、特許文献2等)。この熱分解制御法の最大の特徴は、無溶媒で加熱するだけという簡便さであり、そのため大量合成も可能である。さらに、穏やかな還元性を有する有機化合物等を反応系に加えることによって反応条件が穏やかになり、また粒子径や形状、表面保護層の設計等が可能になることを見出している。
【0005】
金属ナノ粒子の工業的応用は、様々な分野において活発に検討されているが、その一つに金属ナノ粒子を用いた微細配線技術が挙げられる。金属ナノ粒子は表面が有機保護層で覆われているため、溶剤分散性が高く、またナノ粒子特有の低温融着現象の利用によってこれまでにない低温での配線が可能になると期待されている。現在、主に銀ナノ粒子を用いた配線材料への応用が行われているが、銀は貴金属であるためコストが高く、また高湿度下での使用において、銀がイオン化して回路外で再析出することによって電極間を短路するマイグレーションという現象が非常に起こりやすいことが問題視されている。このため、低コストが期待でき、マイグレーションがほとんど起こらない銅ナノ粒子に注目が集まっている。
【0006】
しかしながら、銅は空気中で容易に酸化されるという問題がある。実際、銅ナノ粒子はこれまで様々な方法で合成が検討されている(特許文献3、特許文献4等)が、酸化の問題について着目された技術はなく、酸化の問題を解決する技術も未だ提案されていない。
【特許文献1】特開2007−63579号
【特許文献2】特開2007−63580号
【特許文献3】特開2008−19503号
【特許文献4】特開2008−95195号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の主な目的は、耐酸化性に優れた銅系ナノ粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の条件下で得られた粒子が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の銅系ナノ粒子の製造方法に係る。
1. 炭素数8〜30の1,2−アルカンジオール及び/又はその誘導体ならびに3級アミン化合物を含む有機物の存在下、非酸化性雰囲気下で有機銅化合物を当該化合物の分解開始温度以上かつ完全分解温度未満の温度で熱処理することにより有機成分、亜酸化銅及び銅を含む銅系ナノ粒子を得ることを特徴とする銅系ナノ粒子の製造方法。
2. 前記有機銅化合物が炭素数5以上の有機酸の銅塩である、前記項1に記載の製造方法。
3. 1級アミン及び2級アミンが存在しない条件下で熱処理を行う、前記項1に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法では、特に有機銅化合物を一定の条件下で熱処理することにより、銅系ナノ粒子を効率的に製造することができる。特に、亜酸化銅(CuO)を含む銅系ナノ粒子を製造することもできる。
【0011】
本発明の銅系ナノ粒子は、有機成分と亜酸化銅を含むことから、分散安定性に優れるとともに、優れた耐酸化性をも発揮することができる。分散安定性に優れていることにより、溶剤に分散させると可溶化状態とすることができる。例えば、そのままトルエン、ヘキサン、ウンデカン等に分散して用いても良く、また公知のペースト化剤に配合してペーストとして用いることもできる。また、耐酸化性に優れているので、長期間保存していても一定の性能を維持することができる。
【0012】
このような特徴をもつ本発明の銅系ナノ粒子は、さまざまな特性(触媒活性、導電性、紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性、抗菌性、防汚性、防錆性、防食性等)を発揮することができる。このため、例えば電子材料(プリント配線、導電性材料、光学素子等)、磁性材料(磁気記録媒体、電磁波吸収体、電磁波共鳴器等)、触媒材料(高速反応触媒、センサー等)、構造材料(遠赤外材料、複合皮膜形成材等)、セラミックス・金属材料(焼結助剤、コーティング材料等)、医療材料等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。特に、本発明銅系ナノ粒子は、配線形成用又は接合用(基板層間接続用)として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1で得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を示す。
図2】実施例1で得られた粉末のTEM像を示す。
図3】実施例1で得られた粉末の粒子径分布を示す。
図4】実施例1で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図5】実施例2で得られた粉末のTEM像を示す。
図6】実施例2で得られた粉末の粒子径分布を示す。
図7】実施例2で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図8】実施例3で得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を示す。
図9】実施例3で得られた粉末のTEM像を示す。
図10】実施例3で得られた粉末の粒子径分布を示す。
図11】実施例3で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図12】実施例4で得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を示す。
図13】実施例4で得られた粉末のTEM像を示す。
図14】実施例4で得られた粉末の粒子径分布を示す。
図15】実施例4で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図16】実施例5で得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を示す。
図17】実施例5で得られた粉末のTEM像を示す。
図18】実施例5で得られた粉末の粒子径分布を示す。
図19】実施例5で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図20】実施例6で得られた粉末のTEM像を示す。
図21】実施例6で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図22】実施例7で得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を示す。
図23】実施例7で得られた粉末のTEM像を示す。
図24】実施例7で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図25】実施例8で得られた粉末のTEM像を示す。
図26】実施例8で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図27】比較例1で得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を示す。
図28】比較例1で得られた粉末のTEM像を示す。
図29】比較例1で得られた粉末のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図30】合成直後のCuNP/(C8)3N 1,2-DDOと1ヶ月後の同化合物のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図31】CuNP/(C8)3N 1,2-DDOのXRDパターンにおける強度比の経時変化を示す。薄い色の棒グラフがCuOを示し、濃い色の棒グラフがCuを示す。
図32】合成直後のCuNP/(iPr)2NEt 1,2-DDOと1ヶ月後の同化合物のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図33】合成直後のCuNP/(2-EtC6)3N 1,2-DDOと1ヶ月後の同化合物のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図34】CuNP/(2-EtC6)3N 1,2-DDO短時間合成直後と1ヶ月後の同化合物のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図35】合成直後のCuNP/1,2-DDOと1ヶ月後の同化合物のX線回折分析(XRD)の結果を示す。
図36】平均粒子径の大きさによるXRDパターンの比較を示す。
図37】平均粒子径の大きさによるCu及びCuOのXRDパターンの強度比を示す。薄い色の棒グラフがCuOを示し、濃い色の棒グラフがCuを示す。
図38】試験例2において、ポリイミドフィルム上に形成した配線パターンを示す。
図39】試験例3における接合実験によるせん断試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.銅系ナノ粒子の製造方法
本発明の銅系ナノ粒子の製造方法は、炭素数5以上の1,2−アルカンジオール及び/又はその誘導体を含む有機物の存在下、非酸化性雰囲気下で有機銅化合物を当該化合物の分解開始温度以上かつ完全分解温度未満の温度で熱処理することにより有機成分を含む銅系ナノ粒子を得ることを特徴とする。
【0015】
本発明における有機銅化合物とは、有機酸の銅塩のほか、銅のアルコキシド、銅のアセチルアセトネート等を包含する。これらの1種又は2種以上を用いることができるが、熱処理の温度制御という点では1種の有機銅化合物を用いることが望ましい。
【0016】
本発明では、特に、有機酸の銅塩を好適に用いることができる。このような銅塩としては、例えばステアリン酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、オクタン酸塩、安息香酸塩、n−デカン酸塩、パラトルイル酸塩、酪酸塩、カプロン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラウリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、リシノレン酸塩等のモノカルボン酸塩のほか、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩等のジカルボン酸塩を挙げることができる。これらの中でも炭素数5以上(特に炭素数6以上、さらには炭素数8〜14)の有機酸の銅塩を用いることがより好ましい。
【0017】
有機物としては、炭素数5以上の1,2−アルカンジオール及び/又はその誘導体(以下「本発明ジオール」ともいう。)を用いる。前記炭素数としては、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、最も好ましくは12〜30とする。このような1,2−アルカンジオールとしては、例えば1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ウンデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−トリデカンジオール等を挙げることができる。1,2−アルカンジオールは、直鎖アルカンジオールが好ましい。また、前記誘導体としては、エチレングリコールの炭素上の水素原子を他の置換基で置換したものが挙げられる。この場合の置換基としては、例えばアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、ニトロソ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、フェニル基、フェノキシ基、ベンゾイル基、アセチル基等が挙げられる。なお、前記誘導体の場合の炭素数は、置換基の炭素数も含めた炭素数である。
【0018】
本発明ジオールの使用量は、限定的ではないが、通常は有機銅化合物100モルに対して100〜300モル程度、特に150〜250モルとすることが好ましい。
【0019】
また、本発明では、前記有機物として、必要に応じて、さらに3級アミン化合物も用いることができる。3級アミン化合物としては、一般式RN(但し、R〜Rは、同一又は異なって、置換基を有していても良いアルキル基又はアリール基を示す、R〜Rは環状につながっていても良い。)を用いることができる。置換基としては、例えばアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、ニトロソ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、フェニル基、フェノキシ基、ベンゾイル基、アセチル基等が挙げられる。前記のアルキル基又はアリール基の炭素数(但し、置換基を有する場合は置換基の炭素数を含む。)は、アルキル基の場合通常1〜12程度、特に3〜12、アリール基の場合通常6〜18程度、特に6〜12とすることが好ましい。好ましい3級アミン化合物の具体例としては、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、その他トリス(2−エチルへキシル)アミン等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
【0020】
3級アミン化合物の使用量は、用いる3級アミン化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、通常は有機銅化合物100モルに対して100〜300モル程度、特に150〜250モルとすることが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法では、本発明の効果に影響を与えない限り、3級アミン以外のアミン(1級アミン及び2級アミン)が存在していても良いが、特に1級アミン及び2級アミンが存在しない条件下で熱処理を行うことが好ましい。これにより、所望の耐酸化性を有する銅ナノ粒子をより確実に得ることが可能となる。
【0022】
本発明では、熱処理は、非酸化性雰囲気下で有機銅化合物を当該化合物の分解開始温度以上かつ完全分解温度未満の温度で実施する。これにより、有機成分を含む銅系ナノ粒子を得る。
【0023】
熱処理雰囲気は、非酸化性雰囲気であれば限定されず、例えば不活性ガス中、還元性雰囲気中等のいずれであっても良い。本発明では、特に不活性ガス中により好適に熱処理を実施することができる。不活性ガスとしては、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等を用いることができる。
【0024】
熱処理温度としては、有機銅化合物の分解開始温度以上かつ完全分解温度未満の温度とする。分解開始温度とは、TG/DTA測定において、その有機銅化合物が分解し、有機成分が蒸発しはじめる温度をいい、また完全分解温度とはその有機銅化合物の有機成分が完全に蒸発してしまう温度をいう。本発明では、この温度範囲内において、有機銅化合物の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、分解開始温度が約100℃であり、完全分解温度が約400℃である有機銅化合物を用いる場合、100〜400℃の温度範囲内で熱処理温度を保持すれば良い。また例えば、後記の実施例に記載のように、熱処理温度100〜300℃(特に100〜200℃)の温度範囲内で好適に熱処理することもできる。
【0025】
また、前記の通り、熱処理温度の制御という観点より有機銅化合物は1種にすることが好ましいが、有機銅化合物を2種以上用いる場合は分解開始温度が最も高い化合物を基準にして熱処理温度を設定すれば良い。
【0026】
熱処理温度の保持時間は、用いる有機銅化合物の種類、熱処理温度等に応じて適宜変更することができる。
【0027】
熱処理が終了した後、室温まで冷却し、必要に応じて精製を行う。精製方法は、公知の精製法も適用でき、例えば遠心分離、膜精製、溶媒抽出等により行えば良い。
【0028】
本発明の製造方法では、有機成分を含む銅系ナノ粒子を得ることができる。すなわち、有機成分及び銅から実質的に構成されるナノ粒子のほか、有機成分、銅及び亜酸化銅から実質的に構成されるナノ粒子を得ることができる。本発明の製造方法では、特に3級アミンの種類を変えることにより、粒子径及び/又はCuO含有量をより容易かつ確実に制御することが可能となる。とりわけ、3級アミンの分子サイズ及び立体障害のレベルの少なくとも一方を変えることにより、粒子径及び/又はCuO含有量をより容易かつ確実に制御することができる。
【0029】
2.銅系ナノ粒子
【0030】
本発明の銅系ナノ粒子は、有機成分及びCuOを含む銅系ナノ粒子であって、X線回折パターンにおけるCu及びCuOの強度の合計を100%としたCuOの強度比が50%以下であることを特徴とする。
【0031】
本発明の銅系ナノ粒子は、有機成分及びCuOを含有する。本発明の銅系ナノ粒子は、前記の本発明の製造方法により得られるものであることが好ましい。すなわち、炭素数5以上の1,2−アルカンジオール及び/又はその誘導体を含む有機物の存在下、非酸化性雰囲気下で有機銅化合物を当該化合物の分解開始温度以上かつ完全分解温度未満の温度で熱処理することにより有機成分を含む銅系ナノ粒子を得ることを特徴とする銅系ナノ粒子の製造方法により得られる銅系ナノ粒子であることが望ましい。
【0032】
有機成分は特に限定されないが、本発明の銅系ナノ粒子は本発明の製造方法により得られるものが好ましいことから、有機成分としては炭素数5以上の1,2−アルカンジオール、その誘導体及びこれらの由来成分の少なくとも1種を含むことが好ましい。前記由来成分は、炭素数5以上の1,2−アルカンジオール及び/又はその誘導体を前記熱処理に供することにより生成する有機成分であることが好ましい。
【0033】
有機成分の含有量は、通常25重量%以下、特に20重量%以下であることが好ましい。有機成分の含有量の下限値は限定されないが、通常は1重量%程度とすれば良い。
【0034】
CuO(亜酸化銅)は、その含有量として、X線回折パターンにおけるCu及びCuOの強度の合計を100%としたCuOの強度比が50%以下(特に10%以下)である。前記強度比の下限値は限定されないが、通常0.1%程度であれば良い。このように、本発明では、CuOを比較的少量ながらもこれを積極的に銅系ナノ粒子中に含有させることによって優れた耐酸化性を得ることができる。より具体的には、合成直後の銅系ナノ粒子を大気中にて温度25℃及び湿度60%で1ヶ月放置する耐酸化性試験を実施した直後のX線回折パターンにおけるCu及びCuOの強度変化が、前記合成直後の銅系ナノ粒子のX線回折パターンにおけるCu及びCuOの強度に対して3%以内(好ましくは2%以内)という性能を発揮することができる。
【0035】
本発明の銅系ナノ粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、通常は3〜500nm程度、好ましくは7〜50nmである。特に、本発明では、従来技術では得ることが困難とされていた平均粒子径80nm以下の銅系ナノ粒子も提供することができる。なお、平均粒子径は、本発明の製造方法においては、製造条件(特に3級アミン及び/又は1,2−アルカンジオールの種類)を変えることによってより容易かつ確実に制御することができる。
【0036】
本発明の銅系ナノ粒子は、分散安定性に優れることから、例えば溶剤に分散させると可溶化状態となる。このため、例えば溶剤及び粘度調整用樹脂の少なくとも1種ならびに銅系ナノ粒子を含むペーストとして好適に用いることができる。溶剤としては特に限定されず、例えばテルペン系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、セロソルブ系溶剤、カルビトール系溶剤等が挙げられる。より具体的には、ターピネオール、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロパノール、ブチルカービトール、デカン、ウンデカン、テトラデカン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ケロシン等の有機溶剤を例示することができる。また、粘度調整用樹脂としては限定的ではなく、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の硬化剤硬化性樹脂等を用いることができる。ペーストとして用いる場合、銅系ナノ粒子の含有量は20〜90重量%の範囲で適宜設定することができる。
【0037】
本発明は、1)本発明の銅系ナノ粒子又はそれを含むペーストにより電気的接合領域又はパターンを形成する工程及び2)前記の電気的接合領域又はパターンを還元性雰囲気中400℃以下で焼成することにより電気的接合又は電気回路を得る工程を含む、電気的接合又は電気回路を形成する方法も包含する。
【0038】
電気的接合領域の形成は、例えば2つの回路を接合するためのハンダ付け等と同様の手法を採用することができる。パターンを形成する工程は、公知の回路形成、電極形成等で採用されている方法を使用すれば良い。例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷方法により所定の回路パターン、電極パターン等を形成することができる。
【0039】
次いで、これらの電気的接合領域又はパターンを還元性雰囲気中で焼成する。これにより焼成体から形成された電気的接合又は電気回路を得ることができる。焼成温度は、用いる銅系ナノ粒子の種類、ペースト組成等に応じて適宜設定することができるが、通常は400℃以下とし、好ましくは150〜400℃とし、より好ましくは180〜380℃とし、最も好ましくは280〜380℃とする。還元性雰囲気としては、還元性ガスを含む雰囲気とすれば良い。例えば、水素ガス1〜10体積%を含み、残部が不活性ガスである混合ガス雰囲気を好適に採用することができる。前記不活性ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガス等のほか、窒素ガスも用いることができる。焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜設定することができるが、通常は1〜10時間程度とすれば良い。
【0040】
なお、必要に応じて、前記の還元性雰囲気下での焼成に先立って、大気中又は酸化性雰囲気中で焼成しても良い。この場合の焼成温度は、通常は150〜400℃とし、好ましくは280〜380℃とすれば良い。この焼成によりポアの発生を抑制し、焼成膜をより緻密化し、電気特性を向上させることができる。
【0041】
このように、本発明では、本発明の銅系ナノ粒子又はそれを含むペーストを用い、これを還元性雰囲気下で焼成(熱処理)することにより、高い導電性を有する電気的接合領域又はパターン(電極パターン、回路パターン又は配線パターン)を提供することができる。電気的接合領域又はパターンは、通常は膜状であり、その膜厚は通常1〜50μm、好ましくは1〜10μmである。
【実施例】
【0042】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0043】
(1)試薬及び測定機器
合成及び測定に用いた試薬:トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリス(2−エチルへキシル)アミン、1.2−ドデカンジオール、1,2−オクタンジオール、1−ドデカノール、及び酒石酸ジエチルはナカライテスク株式会社より、オクタン酸銅は三津和化学薬品株式会社より、3−オクタデシルオキシ−1,2−プロパンジオールは東京化成工業株式会社よりそれぞれ購入した。
酒石酸ジドデシルは、酒石酸ジエチルと1−ドデカノールのエステル交換反応により合成した。
TG/DTA:セイコー電子工業製「SSC/5200」熱分析装置を用いて窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で測定した。
粉末X線回折装置(XRD):Rigaku製「RINT2500」を用いて行った。
透過型電子顕微鏡(TEM):日本電子製「JEM2100」を使用した。なお、観察試料は、銅ナノ粒子にトルエンを加えて超音波照射によって分散させた液をカーボン支持膜付き銅グリッド上に滴下し、乾燥して調製した。
【0044】
(2)化合物の表記
本実施例では、略号として、下記の表記を用いた。
オクタン酸銅:(C7COO)2Cu、
トリブチルアミン:(C4)3N、
トリオクチルアミン:(C8)3N、
トリイソブチルアミン:(iBu)3N、
N,N−ジイソプロピルエチルアミン:(iPr)2NEt、
トリス(2−エチルへキシル)アミン:(2-EtC6)3N、
1,2−オクタンジオール:1,2-ODO、
1,2−ドデカンジオール:1,2-DDO、
1−ドデカノール:1-C12OH
3−オクタデシルオキシ−1,2−プロパンジオール: 3-ODO-1,2-PDO
酒石酸ジドデシル: DDT
また、(C7COO)2Cuと(C8)3Nと1,2-DDOから合成した銅系ナノ粒子をCuNP/(C8)3N 1,2-DDOのように表記する。
【0045】
(3)物性の測定方法
平均粒子径:前記の透過型電子顕微鏡により測定し、任意に選んだ粒子300個の直径の算術平均値を求め、その値をもって平均粒子径とした。
金属成分の含有量:前記の熱分析装置を用い、TG/DTA測定による熱重量(TG)変化から求めた。
耐酸化性試験:粉末X線回折測定用ガラス板の縦1.7cm×横2cm×深さ0.3mmの掘り込み部分に、スライドガラスで銅系ナノ粒子粉末を押しつけながら敷き詰めた。この試料をまず、X線回折装置で測定したのち、そのまま大気中にて温度25℃及び湿度60%で1ヶ月放置し、再度、同試料をX線回折装置で測定し、X線回折パターンにおけるCu及びCuOの強度変化を求めた。
【0046】
<実施例1>
CuNP/(C8)3N 1,2-DDOの合成
1,2-DDO (2.02 g, 10 mmol)と (C8)3N (3.57 g, 10 mmol) に (C7COO)2Cu (1.75 g, 5.0 mmol)を加え、窒素雰囲気下160℃で16時間保持した後、室温まで冷却した。アセトン(20
ml)で洗浄し、桐山ロートで濾過後、減圧下で乾燥し、黒茶色粉末(収量0.38 g、収率95%、金属含有率80%、平均粒子径4.5±0.93nm)を得た。得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を図1に示し、TEM像を図2に示し、粒子径分布を図3に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図4に示す。
【0047】
参考例2>
CuNP/1,2-DDOの合成
1,2-DDO(2.02 g,10 mmol)に(C7COO)2Cu(1.75 g, 5.0 mmol)を加え、窒素雰囲気下で160℃で16時間保持した後、室温まで冷却した。アセトン(20ml)で洗浄し、桐山ロートで濾過後、減圧下で乾燥し、黒茶色粉末(収量0.24 g、収率76%、金属含有率99.8%、平均粒子径24.2±13.9 nm)を得た。得られた粉末のTEM像を図5に示し、粒子径分布を図6に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図7に示す。
【0048】
<実施例3>
CuNP/(iPr)2NEt 1,2-DDOの合成
実施例1において用いたアミン(C8)3Nを(iPr)2NEtに代えたほかは、実施例1と同様に反応させることにより粉末(収量0.31 g、収率79%、金属含有率81%、平均粒子径5.1±0.90 nm)を得た。得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を図8に示し、TEM像を図9に示し、粒子径分布を図10に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図11に示す。
【0049】
<実施例4>
CuNP/(2-EtC6)3N 1,2-DDOの合成
実施例1において用いたアミン(C8)3Nを(2-EtC6)3Nに代えたほかは、実施例1と同様に反応させることにより粉末(収量0.30 g、収率87%、金属含有率90%、平均粒子径7.2±1.9 nm)を得た。得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を図12に示し、TEM像を図13に示し、粒子径分布を図14に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図15に示す。
【0050】
<実施例5>
CuNP/(2-EtC6)3N 1,2-DDO高温短時間での合成
実施例4における反応条件を160℃、16時間から180℃、4時間に変えたほかは、実施例4と同様に反応させることにより粉末(収量0.31 g、収率89%、金属含有率93%、平均粒子径9.7±2.1 nm)を得た。得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を図16に示し、TEM像を図17に示し、粒子径分布を図18に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図19に示す。
【0051】
<実施例6>
CuNP/(C4)3N 3-ODO-1,2-PDOの合成
実施例1において用いたアミン(C8)3Nを(C4)3Nに、1,2-DDOを3-ODO-1,2-PDOにそれぞれ代えたほかは、実施例1と同様に反応させることにより粉末(収量0.34 g、収率100%、金属含有率98%、粒子径50〜100 nm)を得た。得られた粉末のTEM像を図20に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図21に示す。
【0052】
<実施例7>
CuNP/(C8)3N 3-ODO-1,2-PDOの合成
実施例1において用いた1,2-DDOを3-ODO-1,2-PDOに代えたほかは、実施例1と同様に反応させることにより粉末(収量0.36 g、収率100%、金属含有率93%、粒子径10〜50 nm)を得た。得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を図22に示し、TEM像を図23に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図24に示す。
【0053】
参考例8>
CuNP/(2-EtC6)3N DDTの合成
実施例4において用いた1,2-DDOをDDTに代えたほかは、実施例4と同様に反応させることにより粉末(収量0.29g、収率91%、金属含有率100%、粒子径100〜500 nm)を得た。得られた粉末のTEM像を図25に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図26に示す。
【0054】
<比較例1>
CuNP/(2-EtC6)3N 1-C12OHの合成
実施例4において用いたジオール1,2-DDOを1-C12OH に代えたほかは、実施例4と同様に反応させることにより粉末(収量0.24 g、収率74%、金属含有率100%、粗大化)を得た。得られた粉末のTG/DTA測定による熱重量(TG)変化の結果を図27に示す。粗大化した銅粒子は窒素雰囲気中の微量酸素により酸化され、重量増が見られた。また、TEM像を図28に示し、X線回折分析(XRD)の結果を図29に示す。
【0055】
<試験例1>
実施例で得られた銅系ナノ粒子の耐酸化性について調べた。一般に、銅は酸化されやすい金属であり、ナノ粒子になることによってさらに酸化されやすくなることが知られている。そこで、合成した銅ナノ粒子のうち100 nm以下で融着が起こっていない粒子について、合成直後と1ヵ月後の粉末X線回折(XRD)を比較することにより耐酸化性を調べた。その結果を図30及び図31に示す。これらの結果からも明らかなように、平均粒子径(4.5±0.93 nm)が一番小さいCuNP/(C8)3N 1,2-DDOの際、合成直後と1ヵ月後の粉末X線回折(XRD)の亜酸化銅に帰属する回折パターンにわずかな増加がみられ、酸化の進行が確認された。また、平均粒子径がCuNP/(C8)3N 1,2-DDOより大きくなる、CuNP/(iPr)2NEt 1,2-DDO(平均粒子径(5.1±0.90 nm))について同様に耐酸化性を検討したところ、図32に示すように酸化が進行していなかった。さらに粒子径の大きい、CuNP/(2-EtC6)3N 1,2-DDO(平均粒子径(7.2±1.9 nm))図33、CuNP/(2-EtC6)3N
1,2-DDO・短時間合成(平均粒子径(9.65±2.07 nm))図34、CuNP/1,2-DDO(平均粒子径(24.15±13.94 nm))図35についても同様に耐酸化性を検討した。その結果、合成直後と1ヵ月後の粉末X線回折(XRD)の回折パターンはほぼ同じであり、Cu及びCu2OのXRDパターンの強度比に1%以上の変化は確認されなかった。また、合成直後の粉末X線回折(XRD)を比較すると、平均粒子径が大きくなるにつれて亜酸化銅に帰属する回折パターンが小さくなっていることが確認された(図36図37)。
【0056】
<試験例2>
Cuナノ粒子ペーストによる焼成膜の特性
実施例1で合成したCuナノ粒子 CuNP/(C)N 1,2-DDOに、ポリエステル系分散剤と溶剤にターピネオールを加え、分散性を促進させるためにトルエン数滴を滴下した。トルエンが揮発逸散し、残存しなくなるまで混ぜ、金属含有率60wt%のペーストに調合した。
このペーストを用いてスクリーン印刷法により電極パターンを印刷し、大気中にて350℃×30分間焼成した後、窒素に3体積%の水素を含む還元雰囲気下で350℃×30分間焼成した。得られた焼成膜の電気特性を表1に示す。この焼成膜の比抵抗値は20μΩcm以下というバルクに匹敵する比抵抗値を示した。また、図38には、ポリイミドフィルム上に形成した配線パターンを示す。このように、本発明によるCuナノ粒子を用いたペーストは、配線形成用として好適に用いることができる。
【0057】
【表1】
【0058】
<試験例3>
Cuナノ粒子ペーストによる接合実験
実施例1で合成したCuナノ粒子 CuNP/(C)N 1,2-DDOに、ポリエステル系分散剤と溶剤にターピネオールを加え、分散性を促進させるためにトルエン数滴を滴下した。トルエンが揮発逸散し、残存しなくなるまで混ぜ、金属含有率60wt%のペーストに調合した。
このペーストを用いて無酸素銅の接合実験を行った。直径2mmと直径5mmのリング状無酸素銅を被接合材として、ペーストを直径5mmの無酸素銅リング表面の中央部に塗布し、直径2mmの無酸素銅リングではさんだ。まず、150℃に加熱し、300秒保持し、ペーストを乾燥させた。次に20MPaの加圧をかけ、所定の温度(300〜400℃)まで加熱し、その温度で300秒保持した。その後、圧力を加えることなく、自然放冷した。接合した継ぎ手のせん断試験の結果を図39に示す。これから明らかなように、このように本発明による銅ナノ粒子ペーストは10MPa以上の強度を有し、接合用途にも好適な材料である。
図1
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