(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクチュエータは、前記第1圧電膜および前記第2圧電膜のそれぞれの上面と下面とに、それぞれの駆動電圧を印加する電極層をさらに有する請求項1から7のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
前記第1圧電膜、前記第2圧電膜、前記第1絶縁層、および前記第2絶縁層は、半導体プロセスによって成膜された請求項1から8のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、および前記支持層は、前記第1圧電膜および前記第2圧電膜の焼成温度に加熱しても破壊されない請求項1から9のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係るスイッチ装置100の構成例を示す。
図2は、本実施形態に係るスイッチ装置100の側面図を示す。スイッチ装置100は、第1接点122と、第2接点134とを接触または離間させるスイッチ装置であって、アクチュエータに剛性を持たせて接点同士が凝着することを防止する。スイッチ装置100は、パッケージ等に密封されて収容されてよい。スイッチ装置100は、基板110と、第1接点部120と、アクチュエータ130と、台座部140と、電源部180と、モニタ部300とを備える。
【0009】
基板110は、第1接点部120が設けられる平坦な第1面を有する。基板110は、絶縁体でよい。基板110は、絶縁性のガラス基板でよく、これに代えてシリコン等の半導体基板等でよい。基板110は、ビア112と、配線部114とをさらに有してよい。また、基板110は、第1接点部120が設けられる第1面とは異なる第2面に配線部114を有してよい。スイッチ装置100がパッケージに収容される場合、基板110は、当該パッケージの一部であってよい。
【0010】
ビア112は、第1接点部120と配線部114とを電気的に接続する金属で形成される。ビア112は、導電性材料が充填されて密閉性を保つように形成されてよい。ビア112は、基板110に設けられる第1接点部120の数または表面積に応じて、基板110に複数備わってよい。
【0011】
配線部114は、スイッチ装置100を通過させる信号を伝送する。配線部114は、少なくとも1つのビア112に対して信号を送信または受信させるべく、基板110の第2面に設けられる配線パターンでよい。配線部114は、ランド、コネクタ、アンテナ等を含み、外部からスイッチ装置100に通過させる信号を送受信してよい。
【0012】
第1接点部120は、第1接点122が設けられる。第1接点122は、突部のない平面であってよい。第1接点部120は、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ロジウム、金、白金、ルテニウム、インジウム、イリジウム、モリブデン、および/またはニッケルを含んでよい。ここで、第1接点122は、これらの材料を含む2以上の材料の合金であってよい。
【0013】
本実施例において、スイッチ装置100は、2つの第1接点部120が基板110に設けられ、2つの第1接点122と1つの第2接点134とが接触/離間する。例えば、スイッチ装置100は、一方の第1接点122aから第2接点134を介して他方の第1接点122bへの信号伝送をON/OFFする。この場合、配線部114は、外部からの信号を第1接点122aへと伝送し、スイッチ装置100がONの場合に当該信号を第1接点122bから外部へと伝送する。
【0014】
アクチュエータ130は、第2接点134を移動させて第1接点122と接触または離間させる。アクチュエータ130は、半導体プロセスによって形成されてよい。アクチュエータ130は、第2接点部132と、積層された第1圧電膜136および第2圧電膜138と、支持層150と、第1圧電膜136の電極層162および電極層164と、第2圧電膜138の電極層172および電極層174と、露出部190と、第1絶縁層310と、第2絶縁層320とを有する。
【0015】
第2接点部132は、第2接点134が設けられる。第2接点部132は、第1接点部120と同様の金属を含んでよい。第2接点134は、第1接点122に面で接触するように、突部のない平面であってもよい。これに代えて、第2接点134は、第1接点122の破壊または劣化を防ぐように、半球状の形状でよく、これに代えて先端を丸めた針状の形状であってもよい。一例として、第2接点134は、第1接点122と接触して伝送線路を形成する場合に、伝送する信号の周波数に応じた伝送線路幅等を形成するように、予め定められた形状で設けられてよい。
【0016】
第1圧電膜136は、駆動電圧に応じて伸縮してアクチュエータ130のそり量を変化させる。第1圧電膜136は、駆動電圧を印加された場合に、アクチュエータ130の長さ方向に伸縮して、第1接点122と第2接点134との距離が変化する方向にアクチュエータ130を湾曲させるように配される。
【0017】
第1圧電膜136は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)のウルツ鉱型の結晶、又は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、若しくはチタン酸バリウム(BTO)等のペロブスカイト系強誘電体等を用いてよい。第1圧電膜136は、例えば、幅方向Wに90μm、長さ方向Lに750μm、厚さ方向Hに1μmのPZTの圧電膜である。
【0018】
第2圧電膜138は、第1圧電膜136と並行して設けられ、第1圧電膜136に駆動電圧を印加しない状態におけるアクチュエータ130のそりを抑える。第2圧電膜138は、第1圧電膜136と同様に、ペロブスカイト系強誘電体等を用いてよい。第2圧電膜138は、第1圧電膜136と略同一の材料で、かつ、第1圧電膜136と略同一の形状で形成されることが望ましい。第2圧電膜138は、例えば、幅方向Wに90μm、長さ方向Lに750μm、厚さ方向Hに1μmのPZTの圧電膜である。
【0019】
ここで、PZTを成膜する場合にチタン酸鉛(PT)を成膜してからPZTを成膜してよい。これによって、PZTは、結晶性良く成膜することができる。
【0020】
ここで、第1圧電膜136および第2圧電膜138は、アクチュエータ130の厚さ方向における中心面の両側に設けられる。また、第1圧電膜および第2圧電膜は、アクチュエータ130の厚さ方向における中心面からの距離および厚さが略同一でよい。これによって、第2圧電膜138は、第1圧電膜136の応力により生じるアクチュエータ130のそりを抑える。第1圧電膜136は、本実施例のように異なる材質の膜の面上に積層されるので、加工形成された後に残留応力によって変形し、アクチュエータ130にそりを生じさせる。
【0021】
第2圧電膜138は、第1圧電膜136と略同一の材料で、かつ、第1圧電膜136と略同一の形状で形成され、アクチュエータ130の第1圧電膜136が形成される面と反対側に設けられる。したがって、第2圧電膜138は、第1圧電膜136によって生じるそりと反対方向にそるように働く応力を生じさせ、アクチュエータ130のそりを抑えることができる。
【0022】
また、第2圧電膜138は、第1圧電膜136の温度変化に伴う伸縮により生じるアクチュエータ130のそりを抑える。第1圧電膜136は、異なる熱膨張計数の材質の膜の面上に積層されるので、温度変化に伴って熱応力によって変形し、アクチュエータ130にそりを生じさせる。
【0023】
第2圧電膜138は、第1圧電膜136と略同一の材料で、かつ、第1圧電膜136と略同一の形状で形成され、アクチュエータ130の第1圧電膜136が形成される面と反対側に設けられる。したがって、第2圧電膜138は、温度変化によって生じるそりに対しても反対方向にそるように働く応力を生じさせ、アクチュエータ130の温度変化に伴うそりを抑えることができる。
【0024】
支持層150は、第1圧電膜136および第2圧電膜138の間に設けられる。支持層150は、力の印加によって変形する弾性を有し、第1圧電膜136が伸縮して力を印加することによって、アクチュエータ130は湾曲する。また、支持層150は、アクチュエータ130が撓みすぎるのを抑制する剛性を有し、第1圧電膜136の力の印加が停止すると、アクチュエータ130は初期位置に戻る。支持層150は、アルミニウム、金、白金等の導電体、ガラス等の絶縁体、またはシリコン等の半導体を用いてよい。
【0025】
電極層162および電極層164は、第1圧電膜136の上面と下面とにそれぞれ備わり、第1圧電膜136に駆動電圧を印加する。電極層162および電極層164は、アクチュエータ130の長さ方向Lに延伸する平板形状を有してよい。電極層162および電極層164は、アルミニウム、金、白金、銅、インジウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、イリジウム等の低抵抗で加工が容易な金属でよく、ルテニウムオキサイド(RuO
2)、イリジウムオキサイド(IrO
2)等酸化物電極、または、シリコン等の半導体を用いてもよい。
【0026】
電極材料としてシリコンを用いる場合には、不純物を高濃度にドープしたシリコンを用いることが好ましい。電極層162および電極層164は、一例として、厚さ方向Hの厚さが0.2μmの白金である。ここで、白金をスパッタ等の真空蒸着で成膜する場合、チタン、タンタル等を成膜してから白金を成膜してよい。
【0027】
電極層172および電極層174は、第2圧電膜138の上面と下面とにそれぞれ備わり、第2圧電膜138の変位電圧をモニタ部300に供給する。また、電極層172および電極層174は、第2圧電膜138に駆動電圧を印加してもよい。電極層172および電極層174は、アクチュエータ130の長さ方向Lに延伸する平板形状を有してよい。電極層172および電極層174は、電極層162および電極層164と略同一の形状、および略同一の材質でよい。また、電極層172は、電極層162と略同一の形状および略同一の材質でよく、電極層174は、電極層164と略同一の形状および略同一の材質でよい。
【0028】
露出部190は、アクチュエータ130の可動端である先端部において、第1圧電膜136および第2圧電膜138が設けられていない支持層150である。第2接点134は、露出部190に設けられてよい。これに代えて、第2接点134は、第1絶縁層310の可動端側に設けられてもよい。この場合、支持層150は、支持層150の端部まで第1圧電膜136、電極層162、電極層164、および第1絶縁層310で覆われてよい。
【0029】
台座部140は、基板110において、第1接点部120の近傍で第1接点部120と離間した位置に配される。台座部140は、SiO
2等の絶縁体を用いてもよい。これに代えて、台座部140は、シリコンまたはガラス等によって形成される基板110の一部であってよい。なお、台座部140の厚みは、アクチュエータ130の最大変位量と同等もしくはそれ以下であってよい。ここで、アクチュエータ130の最大変位量とは、第1圧電膜136に印加できる最大の駆動電圧を印加した場合における、アクチュエータ130の変位量を意味する。
【0030】
アクチュエータ130は、一例として、台座部140を介して基板110上に固定される。アクチュエータ130は、長さ方向Lの一方の端部で台座部140に支持される。第1圧電膜136に電圧を印加すると、アクチュエータ130において台座部140に支持されていない第2接点部側の端部は、厚さ方向に屈曲する(図中、下向きに変位する)、若しくは、反り返る(図中、上向きに変位する)ことができる。
【0031】
電源部180は、第1圧電膜136に駆動電圧を印加する。電源部180は、第1接点122と第2接点134とを接触させてスイッチ装置100をON状態にする場合に、第1圧電膜136に第1駆動電圧を印加する。また、電源部180は、第1接点122と第2接点134とを離間させてスイッチ装置100をOFF状態にする場合に、第1圧電膜136への駆動電圧の供給を停止してよい。これに代えて、電源部180は、スイッチ装置100をOFF状態にする場合に、第1圧電膜136に第1駆動電圧と異なる予め定められた駆動電圧を印加してもよい。
【0032】
モニタ部300は、アクチュエータ130のそり量を検出する。モニタ部300は、電極層172および電極層174に接続され、支持層150の変位により第2圧電膜138に生成される変位電圧を検出する。これによって、電極層172および電極層174は、電極層162および電極層164と形状および材質が略同一で、アクチュエータ130の厚さ方向の中心面に対し略対称に積層されてアクチュエータ130のそりを抑えつつ、そり量を検出するモニタ部300の電極として用いることができる。
【0033】
また、モニタ部300は、電源部180がアクチュエータ130に供給する駆動電圧に対するアクチュエータ130のそり量を検出して、スイッチ装置100のON/OFF切り換え動作が正常に動作しているか否かをモニタしてもよい。これに代えて、モニタ部300は、電極層172および電極層174に接続され、支持層150の変位により第1圧電膜136に生成される変位電圧を検出してもよい。
【0034】
第1絶縁層310は、第1圧電膜136における第2圧電膜138とは反対の面側に設けられる。第2絶縁層320は、第2圧電膜138における第1圧電膜136とは反対の面側に設けられる。
【0035】
第1絶縁層310および第2絶縁層320は、アクチュエータ130の厚さ方向Hにおける中心面の両側に設けられる。第1絶縁層310および第2絶縁層320は、略同一の形状および材質で積層されてよい。また、第1絶縁層310および第2絶縁層320は、アクチュエータ130の厚さ方向Hにおける中心面からの距離および厚さが略同一であってよい。
【0036】
これによって、アクチュエータ130は、2つの絶縁層による高い剛性を持つことができる。また、アクチュエータ130は、一方の絶縁層によって生じる残留応力および熱応力等と、他方の絶縁層によって生じる残留応力および熱応力等とを、略同一にさせてアクチュエータ130のそりを抑えることができる。
【0037】
ここで、第1圧電膜136、第2圧電膜138、第1絶縁層310、および第2絶縁層320は、半導体プロセスによって成膜される。これによって、アクチュエータ130を小型にすることができ、また、再現性よく、大量に生産することもできる。
【0038】
また、第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150は、第1圧電膜136および第2圧電膜138の焼成温度に加熱しても破壊されない材質で形成される。第1圧電膜136および第2圧電膜138をPZT等で形成する場合、焼成温度が700℃以上に達する場合もある。したがって、第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150は、第1圧電膜136および第2圧電膜138の焼成温度に加熱しても、割れ、掛け、またはヒビ等の物理的な破壊が生じない材質で形成することが望ましい。
【0039】
また、第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150は、第1圧電膜136および第2圧電膜138の焼成温度に加熱しても圧電膜または電極層と化学反応を生じ難い材質で形成されることが望ましい。第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150は、圧電膜の焼成温度の加熱によって、圧電膜または電極層と化合物を形成して、割れ、掛け、またはヒビ等の物理的な破壊が生じない材質で形成することが望ましい。また、この場合、第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150は、圧電膜の焼成温度の加熱によって、第1圧電膜136または第2圧電膜138の圧電定数等の膜特性を劣化させない材質で形成することが望ましい。
【0040】
また、第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150は、SiO
2およびSiNの少なくとも一方を含んでよい。これより、アクチュエータ130の剛性を高め、かつ、そりを抑える、第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150を、半導体製造装置等によって安定に形成することができる。第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150は、例えば700℃程度の圧電膜の焼成温度に耐え、金属膜よりも安価なCVD等の製造方法により短時間で形成することができる。
【0041】
一例として、本実施例のアクチュエータ130は、厚さ方向Hに、第1絶縁層310のSiO
2(0.5μm)/チタン(0.1μm以下)/電極層162(白金、0.2μm)/PT(0.1μm以下)/第1圧電膜136(PZT、1μm)/電極層164(白金、0.2μm)/チタン(0.1μm以下)/支持層150(SiO
2、3μm)/チタン(0.1μm以下)/電極層174(白金、0.2μm)/PT(0.1μm以下)/第2圧電膜138(PZT、1μm)/電極層172(白金、0.2μm)/チタン(0.1μm以下)/第2絶縁層320SiO
2(0.5μm)が積層される。この場合、アクチュエータ130は、全体の厚さ約6umに対し、90%以上の部分が対称に形成される。
【0042】
以上の本実施例のスイッチ装置100は、第1絶縁層310、第2絶縁層320、および支持層150によって高い剛性を有するアクチュエータ130を備え、第1接点122と、第2接点134とを接触または離間させる。特に、スイッチ装置100は、第1接点122と第2接点134とが接触している状態から、第1圧電膜136に印加する電圧をOFF状態にしてアクチュエータ130の剛性で各接点を離間させる。したがって、スイッチ装置100は、第1接点122と第2接点134とが凝着することを防ぎ、安定したON/OFF動作を実行することができる。
【0043】
また、アクチュエータ130は、厚さ方向の中心面に対し略対称に積層された複数の膜を有してよい。ここで、図中の点線が、アクチュエータ130の厚さ方向の中心面を示す。これによって、複数の膜が積層されたことによって生じるアクチュエータ130がそる方向に働く残留応力および熱応力等と、そりを抑える方向に働く残留応力および熱応力等とを、略同一にさせてアクチュエータ130のそりを抑えることができる。また、アクチュエータ130は、熱応力によるそりを抑えることができるので、様々な環境温度においてもスイッチング動作を実行することができる。
【0044】
図3は、本実施形態に係るスイッチ装置100の第1の変形例を示す。本変形例のスイッチ装置100において、
図1および
図2に示された本実施形態に係るスイッチ装置100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0045】
本変形例は、
図1および
図2に示された本実施形態に係るスイッチ装置100の支持層150を省略したスイッチ装置100である。したがって、本変形例のスイッチ装置100は、露出部190も存在しない。第2接点部132は、第1絶縁層310の可動端側に設けられる。
【0046】
電極層174は、電極層164における第1圧電膜136とは反対の面側に設けられてよい。これに代えて、電極層164および電極層174は、1つの電極層として形成されてよい。
【0047】
以上の本変形例のスイッチ装置100によれば、電極層164および電極層174の間に支持層150を形成する工程を省きつつ、第1絶縁層310および第2絶縁層320による高い剛性を持たせることができる。スイッチ装置100は、成膜する第1絶縁層310および第2絶縁層320の厚さを調節することによって、アクチュエータ130の剛性を制御することができる。したがって、スイッチ装置100は、省略した支持層150の剛性の分だけ第1絶縁層310および第2絶縁層320の厚さを増加させて形成させてよい。
【0048】
図4は、本実施形態に係るスイッチ装置100の第2の変形例を示す。本変形例のスイッチ装置100において、
図3に示されたスイッチ装置100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0049】
本変形例のスイッチ装置100が備えるアクチュエータ130は、絶縁層の突出部330を更に有する。突出部330は、第1圧電膜136および第2圧電膜138が設けられていない第1絶縁層310および第2絶縁層320である。また、突出部330は、アクチュエータ130の可動端である。
【0050】
第2接点134は、突出部330に設けられる。例えば、第2接点部132は、突出部330の基板110側に形成される。これによって、第2接点134は、電圧が印加される電極層162および電極層164とは離間した可動端に形成されるので、電極層との電気的な相互作用の影響を抑えることができる。即ち、以上の本変形例のスイッチ装置100によれば、第1接点122および第2接点134を介して伝送させる電気信号の高周波特性を向上させることができる。
【0051】
上記において、スイッチ装置100は、第1圧電膜136に駆動電圧を印加して駆動させる例を説明した。これに代えて、スイッチ装置100は、第2圧電膜138に駆動電圧を印加して駆動させてもよい。例えば、スイッチ装置100は、電圧が印加されると第2圧電膜138が伸びるように第2圧電膜138を形成する。電源部180は、第2圧電膜138に駆動電圧を印加する。
【0052】
電源部180は、第1接点122と第2接点134とを接触させてスイッチ装置100をON状態にする場合に、第2圧電膜138に駆動電圧を印加する。また、電源部180は、第1接点122と第2接点134とを離間させてスイッチ装置100をOFF状態にする場合に、第2圧電膜138への駆動電圧の供給を停止する。このように、スイッチ装置100は、第1絶縁層310および第2絶縁層320による高い剛性を持たせつつ、第2圧電膜138に駆動電圧を印加することでスイッチ動作させることもできる。
【0053】
したがって、スイッチ装置100は、スイッチング回数の増加、または経年等によって、第1圧電膜136の伸縮特性がスイッチングに影響するほど劣化した場合に、第2圧電膜138によってスイッチング動作させるように、電源部180と接続させる電極層を切り換えてよい。また、スイッチ装置100は、第1圧電膜136が初期不良等で動作しない場合に、第2圧電膜138によってスイッチング動作させてもよい。
【0054】
また、スイッチ装置100は、第1圧電膜136および第2圧電膜138に駆動電圧を印加して駆動させてもよい。即ち、スイッチ装置100は、第1接点122と第2接点134とを接触させてスイッチ装置100をON状態にする場合に、第1圧電膜136を縮ませつつ、第2圧電膜138を伸ばすようにそれぞれの圧電膜にそれぞれ印加電圧を加える。このようなスイッチ装置100においても、第1絶縁層310および第2絶縁層320による高い剛性を持たせることができるので、第1接点122および第2接点134との凝着を防ぐことができる。
【0055】
また、上記において、スイッチ装置100は、第1圧電膜136および第2圧電膜138の2層の圧電膜を備えたアクチュエータ130の例を説明した。これに代えて、アクチュエータ130は、2層以上の複数の圧電膜の層が、厚さ方向の中心面に対し略対称に形成されてよい。
【0056】
また、上記において、スイッチ装置100は、2つの第1接点部120が基板110に設けられ、2つの第1接点122と1つの第2接点134とが接触/離間する例を説明した。これに代えて、スイッチ装置100は、1つの第1接点部120が基板110に設けられ、1つの第1接点122と1つの第2接点134とを接触/離間させてもよい。
【0057】
この場合、アクチュエータ130は、第2接点134からアクチュエータ130の本体および台座部140を介して基板110の配線部114に電気的に接続する伝送路を更に有する。これによって、スイッチ装置100は、外部から入力される信号を、伝送路を介して第2接点134へと伝送させ、スイッチ装置100がONの場合に当該信号を第1接点122から外部へと伝送する。また、スイッチ装置100は、スイッチ装置100がOFFの場合に当該信号の第2接点134への伝送を遮断する。
【0058】
図5は、本実施形態に係る試験装置410の構成例を被試験デバイス400と共に示す。試験装置410は、アナログ回路、デジタル回路、アナログ/デジタル混載回路、メモリ、およびシステム・オン・チップ(SOC)等の少なくとも1つの被試験デバイス400を試験する。試験装置410は、被試験デバイス400を試験するための試験パターンに基づく試験信号を被試験デバイス400に入力して、試験信号に応じて被試験デバイス400が出力する出力信号に基づいて被試験デバイス400の良否を判定する。
【0059】
試験装置410は、試験部420と、信号入出力部430と、制御部440とを備える。試験部420は、被試験デバイス400との間で電気信号を授受して被試験デバイス400を試験する。試験部420は、試験信号発生部423と、期待値比較部426とを有する。
【0060】
試験信号発生部423は、被試験デバイス400へ供給する複数の試験信号を発生する。試験信号発生部423は、試験信号に応じて被試験デバイス400が出力する応答信号の期待値を生成してよい。試験信号発生部423は、信号入出力部430を介して複数の被試験デバイス400に接続されて、複数の被試験デバイス400を試験してよい。
【0061】
期待値比較部426は、信号入出力部430が受信した受信データ値を期待値と比較する。期待値比較部426は、期待値を試験信号発生部423から受信してよい。試験装置410は、期待値比較部426の比較結果に基づき、被試験デバイス400の良否を判定してよい。
【0062】
信号入出力部430は、1以上の被試験デバイス400に接続され、試験装置410と被試験デバイス400との試験信号をやり取りする。信号入出力部430は、複数の被試験デバイス400を搭載するパフォーマンスボードであってよい。信号入出力部430は、スイッチ装置100を有する。
【0063】
スイッチ装置100は、試験部420および被試験デバイス400の間に設けられ、試験部420および被試験デバイス400の間を電気的に接続または切断する。試験装置410は、本実施形態に係るスイッチ装置100によって電気的な接続または切断を実行してよい。
【0064】
本例において、信号入出力部430は1つの被試験デバイス400に接続され、スイッチ装置100は、1つの被試験デバイス400の入力信号ラインおよび出力信号ラインにそれぞれ1つ設けられる例を説明した。これに代えて信号入出力部430は、複数の被試験デバイス400に接続され、スイッチ装置100は、複数の被試験デバイス400の入力信号ラインおよび出力信号ラインのそれぞれに1つ設けられてよい。また、信号入出力部430から1つの被試験デバイス400へ接続される信号入出力ラインが1つの場合、1つの入出力ラインに1つのスイッチ装置100が設けられてよい。
【0065】
制御部440は、試験装置410の試験を実行すべく、試験部420および信号入出力部430に制御信号を送信する。制御部440は、試験プログラムに応じて、試験部420に、試験信号の発生または試験結果と期待値との比較等を実行させる制御信号を送信する。また、制御部440は、試験プログラムに応じて、接続すべき信号入出力ラインに設けられたスイッチ装置100の接続の指示、および切断すべき信号入出力ラインに設けられたスイッチ装置100の切断の指示等を、信号入出力部430に送信する。
【0066】
以上の本実施形態に係る試験装置410は、剛性を持たせて接点間の凝着を防止するスイッチ装置100を用いて試験を実行することができる。また、試験装置410は、電圧制御による低消費電力のスイッチング制御で、かつ、アクチュエータのそりを抑えるスイッチ装置100を用いて試験を実行することができる。また、試験装置410は、スイッチ装置100の使用できる環境温度範囲を広くすることができるので、スイッチ装置100を高密度に実装してよく、また、冷却装置等の負荷を低減させて試験を実行することができる。
【0067】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0068】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。